JP2013216835A - 熱可塑性エラストマー組成物およびその構造体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびその構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも簡易な方法で硫化を必要とせずに製造でき且つ加硫ゴムと同等の物性を備える熱可塑性エラストマー組成物及びこれを成形してなる構造体の提供。
【解決手段】エラストマー成分及びプラスチック成分を含有し、前記プラスチック成分は、ポリアミドと、ポリエチレンテレフタレートと、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとの相溶性を向上させる相溶化剤とを含んでいることを特徴とした熱可塑性エラストマー組成物、及び該エラストマー成分からなるソフトセグメント2と該プラスチック成分からなるハードセグメント3とから構成された熱可塑性エラストマー構造体1。
【選択図】図1

Description

本発明は弾性材料に関し、特に熱可塑性エラストマー組成物及びその構造体に関する。
一般に弾性材料は、天然ゴムまたは合成ゴムに硫黄などの架橋剤を配合して架橋反応を起こさせる加硫工程を経て製造されている。
加硫により架橋され、つまりポリマー同士が結合することで、材料の弾性が強化されると共に、耐摩耗性および柔軟性も向上する。しかし、この加硫工程においては、天然ゴムを材料とした場合には加硫が均一に行われにくいという問題があり、合成ゴムを材料とした場合には加硫に時間がかかるという問題がある。また、加硫ゴムは例えばタイヤの主原料に用いられているが、弾性や耐摩耗性に優れる反面、引張降伏応力や荷重たわみ温度には劣り、また経年劣化しやすいという欠点も持つ。
上記諸問題に鑑み、熱硬化性エラストマーである加硫ゴムに替わる弾性材料として用いるための熱可塑性エラストマー組成物がすでに提案されている(特許文献1)。これは、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体とオレフィン系樹脂を溶融混練しブロック共重合体を形成させた後に、更に架橋剤を混合し溶融混練し、ブロック共重合体中のイソブチレン系重合体の分子同士を架橋させたもので、これにより製造される熱可塑性エラストマーは高い弾性を備えることができる。
国際公開第2003/002654(WO,A1)
しかしながら、上記従来のような熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は煩雑であるゆえ、関係業界では硫化を必要とせずに製造でき且つ加硫ゴムと同等の特性を備えることができる熱可塑性エラストマー組成物の開発が待たれている。
そこで本発明は、従来よりも簡易な方法で硫化を必要とせずに製造することが可能であり且つ加硫ゴムと同等の物性を備える熱可塑性エラストマー組成物の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、
エラストマー成分及びプラスチック成分を含有し、前記プラスチック成分は、ポリアミドと、ポリエチレンテレフタレートと、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとの相溶性を向上させる相溶化剤とを含んでいることを特徴とする。
ここで、前記エラストマー成分の含有量は、前記プラスチック成分の総重量に対して1重量%〜90重量%であることが好ましい。
また、前記エラストマー成分は、無水マレイン酸グラフトエラストマーを含んでいるとよく、前記無水マレイン酸グラフトエラストマーとしては、無水マレイン酸グラフト熱可塑性エラストマー、または無水マレイン酸グラフトゴムを用いることが好ましい。
また、更に詳しくは、前記無水マレイン酸グラフトエラストマーは、無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸グラフトスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレン共重合体ゴム、無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴムからなる群より選ばれることが好ましい。
なお、各成分の配合比としては、前記プラスチック成分の総重量を基準として、前記ポリアミドは10重量%〜85重量%であり、前記ポリエチレンテレフタレートは5重量%〜15重量%であり、前記相溶化剤は5重量%〜80重量% であることが好ましい。
ここで、前記相溶化剤は、エポキシ基を有するポリマーを含有するとよく、更にはエポキシシラン樹脂または脂環式エポキシ樹脂であることが好ましい。
以上の構成によれば、製造に硫化を必要とせず、且つ、エラストマー成分を含むことによる弾性と、ポリアミドを含むことによる耐磨耗性と、ポリエチレンテレフタラートを含むことによる高い強度と荷重たわみ温度とを兼ね備えた熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
本発明に係る熱可塑性エラストマー構造体の一実施形態を示す概略図である。 本発明に係る熱可塑性エラストマー構造体の他の実施形態を示す概略図である。 本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造に用いる二軸押出機の概略図である。
以下に本発明を詳述する。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、エラストマー成分及びプラスチック成分を含有し、該プラスチック成分は、ポリアミドと、ポリエチレンテレフタレートに加えて、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとの相溶性を向上させる相溶化剤を更に含むことにより、熱可塑性プラスチックおよびエラストマーの特性を兼ね備えることができる。
該プラスチック成分中のポリアミドおよびポリエチレンテレフタレートは高極性のポリマーであり、非極性且つ非結晶性のエラストマー成分、例えばエチレンプロピレンゴム(EPR)やエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のポリオレフィンエラストマーとの相容性に劣る。そこで無水マレイン酸が有する、ポリアミドやポリエチレンテレフタレートと反応することができるという性質を利用し、無水マレイン酸をグラフトしたポリオレフィンエラストマーと該プラスチック成分とを混練し反応させることで、熱可塑性プラスチックとエラストマーの特性を兼ね備えた熱可塑性エラストマー組成物を、硫化を経ずに得ることができる。
ここで上記エラストマー成分としては、無水マレイン酸をエラストマーにグラフトさせてなる無水マレイン酸グラフトエラストマー(maleic anhydride grafted elastomer)を含んでいることが好ましい。無水マレイン酸をグラフトすることにより、該プラスチック成分中のポリアミドが有するアミノ基およびポリエチレンテレフタレートが有するヒドロキシ基と反応して結合できる活性な酸無水物基を該エラストマー成分中に持たせることができ、これにより本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、エラストマー成分が有する弾性を備えさせることができる。
ここで、上記無水マレイン酸グラフトエラストマーとしては、無水マレイン酸グラフト熱可塑性エラストマー(maleic anhydride grafted thermoplastic elastomer)、または無水マレイン酸グラフトゴム(maleic anhydride grafted rubber)のいずれかを用いることが好ましい。
また更に詳らかに言うと、上記無水マレイン酸グラフトエラストマーとしては、
無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体
(maleic anhydride grafted ethylene vinyl acetate copolymer、EVA-g-MAH)、
無水マレイン酸グラフトスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
(maleic anhydride grafted styrene butadiene styrene block copolymer, SBS-g-MAH)、
無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレン共重合体ゴム
(maleic anhydride grafted ethylene propylene copolymer rubber, EPR-g-MAH)、
無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム
(maleic anhydride grafted ethylene propylene diene terpolymer, EPDM-g-MAH)
の上記四つからなる群より選ばれることが尚好ましい。
ここで特筆すべきは、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、該エラストマー成分と該プラスチック成分との配合比を適度な範囲内で調整することが可能であるが、配合比を変えることにより熱可塑性エラストマー組成物の物性が変化しうることである。例えば、熱可塑性エラストマー組成物における該エラストマー成分の含有量が該プラスチック成分の含有量に比べて少なすぎると、熱可塑性エラストマー組成物の弾性が不足したり或いは弾性を有さなくなったりする。逆に、該エラストマー成分の含有量が多すぎると、熱可塑性エラストマー組成物の耐摩耗性や強度さらには寸法安定性が低下する。そこで、該エラストマー成分の含有量としては、該プラスチック成分の総重量に対して1重量%〜90重量%であることが好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、該プラスチック成分中のポリアミドが有する高い引っ張り強度と強靭性により、優れた耐摩耗性を備えることができるが、ポリアミドは曲げ強度と寸法安定性には劣るので、ポリエチレンテレフタレートを更に添加することにより、耐摩耗性に加えて曲げ強度と寸法安定性および荷重たわみ温度を向上させることができる。
このように、該プラスチック成分は、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとを含有すべきものであるが、これらは結晶性が異なり互いに不相溶のものであるので、相溶化剤を添加して両者の相容性を向上させると共に両者の結晶化速度を平衡化する必要がある。本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、プラスチック成分中に相溶化剤を添加することにより、プラスチック成分中のポリアミドとポリエチレンテレフタレートとが安定して相容されることができ、これにより優れた寸法安定性を備えることができる。また、相溶化剤を添加することにより、該プラスチック成分を、高結晶性のプラスチックから、ゴムのような柔軟性と触感を備えたプラスチックへと変化させることができる。
ここで上記相溶化剤としては、エポキシ基を有するポリマーを含有していることが好ましく、また該ポリマーは、エポキシシラン樹脂または脂環式エポキシ樹脂であることが好ましい。
また、本発明においては、該プラスチック成分中のポリアミドとポリエチレンテレフタレートおよび相溶化剤の配合比を適度な範囲内で調整することが可能であるが、配合比を変えることにより熱可塑性エラストマー組成物の物性が変化しうる。例えば、該プラスチック成分中におけるポリアミドの含有量が少なすぎると、熱可塑性エラストマー組成物の耐摩耗性が低下する。逆にポリエチレンテレフタレートの含有量が少なすぎると、熱可塑性エラストマー組成物の強度が低下する。また相溶化剤の含有量が少なすぎると、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が低下する。そこで、該プラスチック成分中におけるそれぞれの含有量は、該プラスチック成分の総重量を基準として、ポリアミドが10重量%〜85重量%、ポリエチレンテレフタレートが5重量%〜15重量%、相溶化剤が5重量%〜80重量%であることが好ましい。
また本発明においては更に、低温下における該プラスチック成分の耐衝撃性を高めるために、該プラスチック成分中に改質剤を加えることも可能であり、この場合改質剤の添加量は該プラスチック成分の総重量を基準として10〜70重量%であることが好ましい。
以下に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
なお実施例に先立ち各原料とその物性の試験方法について説明する。
[原料]
ポリアミド(Nylon6):分子量範囲16000〜19000。力鵬企業の廃布と廃糸を粉砕機にて粉砕して得たもの。
ポリエチレンテレフタレート(PET):分子量200000。力鵬企業の廃布と廃糸を粉砕機にて粉砕して得たもの。
相溶化剤:下記一般式〔化1〕で表されるγ‐(2,3エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシ、(商品名:Silane Coupling Agent A-187(KH-560)成都晨邦化工(Chengdu Thinkbond Chemical Co., Ltd.)社製)。
Figure 2013216835
エラストマー成分:無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA‐g‐MAH)、分子量範囲3000‐4000、デュポンダウエラストマー社製。
改質剤:エチレン―オクテン三元共重合体(ethylene octene terpolymer、POE)、分子量5000、デュポンダウエラストマー社製。
[試験方法]
1.引張降伏応力:原料を二軸押出機に投入し混練した後、ASTM D638に準じて、試験片(ASTM D638 Type I)を押出成形し試験した。
2.破断点伸度:上記引張降伏応力試験と同じ製法の試験片を、ASTM D638に準じて試験した。
3.曲げ強度:上記引張降伏応力試験と同じ製法の試験片を、ASTM D790に準じて試験した。
4.曲げ弾性率:上記引張降伏応力試験と同じ製法の試験片を、ASTM D790に準じて試験した。曲げ弾性率とは、弾性範囲で応力を歪みで割った値である。本発明において、歪みは0.3%である際の曲げ弾性率を本発明の曲げ弾性率とする。
5.衝撃強度:上記引張降伏応力試験と同じ製法でASTM D256規格の試験片を製作し 、ASTM D256に準じて試験した。
6.硬度:上記引張降伏応力試験と同じ製法でASTM D2240規格の試験片を製作し、ASTM D2240(Shore D)に準じて試験した。
7.荷重たわみ温度:上記引張降伏応力試験と同じ製法の試験片を、ASTM D648に準じて試験した。具体的には、該試験片の中心に一定の荷重を与え、毎分2℃の速度で加熱し、変形量が0.25mmに達した時の温度を記録した。
8.耐磨耗性:ASTM D3886に準拠して、試験片を膨張可能なダイアフラムによって定位置に保持し、下方に圧するように紙やすりを往復させると共に、試験片を回転摺動させて摩擦し、最初に試験片に破断や穿孔が見られた時の回転速度を計った。
9.線膨張率:上記引張降伏応力試験と同じ製法の試験片を、ASTM D696に準じて試験した。試験片は、直径が5mmの円柱体であり、−30℃から30℃の間で、温度が1℃上昇するごとに試験片における1cmごとの長さの変化量を測った。
<実施例1>
Nylon6:PET:相溶化剤=10:10:80
図3に示すように、(a)10重量%のNylon6と、(b)10重量%のPETと、(c)80重量%の上記相溶化剤と、上記(a)(b)(c)を足した総重量における(d)1重量%の無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体と、上記(a)(b)(c)を足した総重量における(e)10重量%のエチレン―オクテン三元共重合体との以上(a)(b)(c)(d)(e)を上記比率にて二軸押出機4(同方向回転噛み合い型、ψ=30mm、L/D=43.2、神戸製鋼所製)の原料投入口41に投入した。続いて、上記の原料を二軸押出機4の溶融圧縮混練部42で加熱し十分に圧縮混練して流動状の混合物を得た後に、該混合物を二軸押出機4の排出部43から金型44に押し出すことで、熱可塑性エラストマーの試験片を得た。
ここで、二軸押出機4の回転速度は、20rpm〜100rpmとし、また溶融圧縮混練部42の計6部ある加熱部421、422、423、424、425、426の作業温度はそれぞれ順に230℃〜250℃、240℃〜260℃、250℃〜270℃、255℃〜275℃、250℃〜270℃、240℃〜260℃とし、また金型44の作業温度は90℃〜100℃とすることが好ましい。
本実施例においては、二軸押出機4の回転速度を60rpmとし、加熱部421、422、423、424、425、426の作業温度はそれぞれ順に240℃、250℃、260℃、265℃、260℃、250℃とし、金型44の作業温度は80℃とした。そしてこの条件によって得られた熱可塑性エラストマーの試験片に対して上記各物性試験を行った結果は、引張降伏応力48MPa、破断点伸度92%、曲げ強度1424MPa、曲げ弾性率4021MPa、衝撃強度87J/m、硬度60、荷重たわみ温度70℃、耐磨耗性15cc、線膨張率25×10−5cm/cm/℃であった。本実施例の原料配分及び試験結果は下記表1にも示されている。
<実施例2>
Nylon6:PET:相溶化剤=30:10:60
上記実施例1と同様な製造および試験方法を用いたが、原料配分が異なっており、本実施例ではNylon6を30重量%、PETを10重量%、相溶化剤を60重量%とした。更に上記3原料の合計重量における40重量%の無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体と、30重量%のエチレン―オクテン三元共重合体を加えた上で混練した。本実施例により得られた熱可塑性エラストマーの試験片に対して上記各物性試験を行った結果は、引張降伏応力53MPa、破断点伸度89%、曲げ強度1374MPa、曲げ弾性率3668MPa、衝撃強度89J/m、硬度75、荷重たわみ温度85℃、耐磨耗性20cc、線膨張率22×10−5cm/cm/℃であった。本実施例の原料配分及び試験結果は下記表1にも示されている。
<実施例3>
Nylon6:PET:相溶化剤=60:10:30
上記実施例1と同様な製造および試験方法を用いたが、原料配分が異なっており、本実施例ではNylon6を60重量%、PETを10重量%、相溶化剤を30重量%とした。更に上記3原料の合計重量における60重量%の無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体と、50重量%のエチレン―オクテン三元共重合体を加えた上で混練した。本実施例により得られた熱可塑性エラストマーの試験片に対して上記各物性試験を行った結果は、引張降伏応力60MPa、破断点伸度85%、曲げ強度1299MPa、曲げ弾性率3138MPa、衝撃強度92J/m、硬度80、荷重たわみ温度86℃、耐磨耗性22cc、線膨張率15×10−5cm/cm/℃であった。本実施例の原料配分及び試験結果は下記表1にも示されている。
<実施例4>
Nylon6:PET:相溶化剤=85:10:5
上記実施例1と同様な製造および試験方法を用いたが、原料配分が異なっており、本実施例ではNylon6を85重量%、PETを10重量%、相溶化剤を5重量%とした。更に上記3原料の合計重量における80重量%の無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体と、70重量%のエチレン―オクテン三元共重合体を加えた上で混練した。本実施例により得られた熱可塑性エラストマーの試験片に対して上記各物性試験を行った結果は、引張降伏応力51MPa、破断点伸度60%、曲げ強度1297MPa、曲げ弾性率3884MPa、衝撃強度85J/m、硬度100、荷重たわみ温度101℃、耐磨耗性32cc、線膨張率5×10−5cm/cm/℃であった。本実施例の原料配分及び試験結果は下記表1にも示されている。
Figure 2013216835
以上の結果から見て取れるように、上記各実施例の配合比に従って、プラスチック成分としてのNylon6、PET、相溶化剤と、エラストマー成分としての無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA-g-MAH)とを混練し反応させたことによって得られた各熱可塑性エラストマー組成物は、それぞれ強度が向上されているだけでなく、特に荷重たわみ温度または熱膨張率においても優れている。
以下では、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる構造体の実施例を説明する。
図1および図2は本発明に係る熱可塑性エラストマー構造体の2つの実施例を示しており、熱可塑性エラストマー構造体1は、上記エラストマー成分からなる微小粒状の複数のソフトセグメント2と、上記プラスチック成分からなるハードセグメント3とから構成されている。各ソフトセグメント2は、ハードセグメント3内に分布するようにそれぞれ間隔を空けて混在しており、それぞれがハードセグメント3と結合、具体的に言うと共重合されている。
ソフトセグメント2は、上記エラストマー成分、つまり無水マレイン酸がグラフトされたエラストマーを用いているので、エラストマーとしての物性、特に高い弾性と衝撃吸収性を備えることができるだけでなく、活性な酸無水物基を有するため、ハードセグメント3中のポリアミドが有するアミノ基およびポリエチレンテレフタレートが有するヒドロキシ基と反応して結合できる。
ハードセグメント3は、上記プラスチック成分、つまりポリアミドと、ポリエチレンテレフタレートと、相溶化剤とを含有する熱可塑性プラスチックからなっている。ポリアミドが有する高い引っ張り強度と強靭性により、熱可塑性エラストマー構造体1は優れた耐摩耗性を備えることができるが、ポリアミドは曲げ強度と寸法安定性には劣るので、ポリエチレンテレフタレートを更に添加することにより、耐摩耗性に加えて曲げ強度と寸法安定性および荷重たわみ温度を向上させることができる。
また、本発明に係る熱可塑性エラストマー構造体は加工性に優れるので、使用用途に応じて図1のように紐状に成形したり、図2のように板状に成形したりすることが可能であり、あるいはまた成形して例えば靴底におけるアウトソールとして用いたり、タイヤにおけるトレッド層として用いることができる。また使用用途および作業の利便性に応じて熱プレス成形、射出成形または異形押出成形を用いて成形されることができる。更には熱可塑性であることからリサイクル成形も容易であるため、資源を再利用できるという効果も併せ持つ。
以上総括すると、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、プラスチック成分に含有されるポリエチレンテレフタレートにより高い強度と荷重たわみ温度を有し、また同じくプラスチック成分中に含有されるポリアミドにより優れた耐摩耗性を有する。本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物はまた、エラストマー成分を含有することにより、弾性を備えていることから優れた耐衝撃性を有する。つまり、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、製造に硫化を必要とせず、なおかつ加硫ゴムと同等の特性を備えている。
また、本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる熱可塑性エラストマー構造体は、プラスチック成分からなるハードセグメント3中にエラストマー成分からなるソフトセグメントが混在する構造となっていることにより、弾性が強化されており優れた耐衝撃性を有する。
以上、本発明を実施例を以って詳説したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、最も広い解釈の範囲に含まれる種々の変更を網羅していることが意図されていると理解されるべきである。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、製造に硫化を必要とせず、且つ、エラストマー成分を含むことによる弾性と、ポリアミドを含むことによる耐磨耗性と、ポリエチレンテレフタラートを含むことによる高い強度と荷重たわみ温度とを兼ね備えているので、高い物性を必要とする熱可塑性エラストマーの製造に用いることができる。
1 熱可塑性エラストマー構造体
2 ソフトセグメント
3 ハードセグメント
4 二軸押出機
41 原料投入口
42 溶融圧縮混練部
421 加熱部
422 加熱部
423 加熱部
424 加熱部
425 加熱部
426 加熱部
43 排出部
44 金型

Claims (9)

  1. エラストマー成分及びプラスチック成分を含有し、
    前記プラスチック成分は、ポリアミドと、ポリエチレンテレフタレートと、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとの相溶性を向上させる相溶化剤とを含んでいることを特徴とした熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記エラストマー成分の含有量は、前記プラスチック成分の総重量に対して1重量%〜90重量%であること
    を特徴とした請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記エラストマー成分は、無水マレイン酸グラフトエラストマーを含んでいること
    を特徴とした請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記無水マレイン酸グラフトエラストマーは、
    無水マレイン酸グラフト熱可塑性エラストマー、または
    無水マレイン酸グラフトゴムであること
    を特徴とした請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記無水マレイン酸グラフトエラストマーは、
    無水マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、
    無水マレイン酸グラフトスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、
    無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレン共重合体ゴム、
    無水マレイン酸グラフトエチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴム
    からなる群より選ばれること
    を特徴とした請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記プラスチック成分の総重量を基準として、
    前記ポリアミドは、10重量%〜85重量%であり、
    前記ポリエチレンテレフタレートは、5重量%〜15重量%であり、
    前記相溶化剤は、5重量%〜80重量% であること
    を特徴とした請求項1〜請求項5いずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記相溶化剤は、エポキシ基を有するポリマーを含有すること
    を特徴とした請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 前記ポリマーは、エポキシシラン樹脂または脂環式エポキシ樹脂であること
    を特徴とした請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 請求項1〜8に記載のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる構造体。
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