JP2013215027A - モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受で発生した熱により弾性部材が熱膨張したとしても、弾性部材の劣化を軽減することができるモータを提供する。
【解決手段】蓋体4は、軸受5Aが収容される軸受収容部42を備える。弾性部材6は、軸受収容部と軸受との間に配置される。軸受収容部は、軸受の外輪の径方向側面に対向する内面を有する。内面は、中心軸に向かう方向に突出する複数の凸部と、径方向に窪む複数の凹部とを含む。弾性部材は、凸部に接し、凹部との間に空隙を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータに関する。
モータは、ロータ及びシャフト等を備える回転部と、コイル及びステータ等を備える静止部とを備える。シャフトは、軸受によって、静止部に回転自在に支持される。軸受の一例として、例えばボール軸受がある。ボール軸受は、シャフトに固定される内輪と、静止部に固定される外輪と、内輪と外輪との間に回転自在に配置されるボールとを備える。
軸受は、回転部が回転する際に振動を発生することがある。特許文献1は、軸受の振動を抑制するために、軸受と軸受室との間にゴムブッシュを介在させる構成を開示している。
特開平5−209615号公報
軸受は、回転部が回転動作をすると、外輪とボールとの間および内輪とボールとの間に生じる摩擦により、熱を発することが多い。軸受で発生した熱がゴムブッシュ(弾性部材)に伝わると、ゴムブッシュが熱膨張することがある。その後、回転部の回転動作が停止し軸受の温度が低下すると、ゴムブッシュが収縮する。このように、モータが回転動作と停止とを繰り返すことによって、ゴムブッシュが熱膨張と収縮とを繰り返す。
このとき、軸受室がゴムブッシュの熱膨張を阻害する構成になっている場合、ゴムブッシュは、体積が増えた分、応力として蓋体等に力をかける状態となる。このように、ゴムブッシュが応力として蓋体等に力をかける状態を繰り返すことにより、ゴムブッシュの劣化が進む。
本願に開示するモータは、静止部と、前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、前記静止部と前記回転部の一部とを収容し、軸方向の一方の端部が開口するケースと、前記ケースの開口を閉塞する蓋体と、を有する。前記静止部は、前記中心軸に対して放射状に延びる複数のティースと、前記ティースに巻かれた導線により構成されるコイルと、前記回転部を回転可能に支持する軸受と、弾性部材と、を有する。前記回転部は、前記中心軸に沿って延びるシャフトと、前記シャフトに固定されるロータコアと、前記ロータコアに装着されるマグネットと、を有する。前記蓋体は、前記軸受が収容される軸受収容部を備える。前記弾性部材は、前記軸受収容部と前記軸受との間に配置される。前記軸受収容部は、前記軸受の外輪の径方向側面に対向する内面を有する。前記内面は、中心軸に向かう方向に突出する複数の凸部と、径方向に窪む複数の凹部とを含む。前記弾性部材は、前記凸部に接し、前記凹部との間に空隙を有する。
本発明によれば、軸受で発生した熱により弾性部材が熱膨張したとしても、弾性部材の劣化を軽減することができる。
図1は、本実施の形態にかかるモータの斜視図である。 図2は、図1におけるZ−Z部の断面図である。 図3Aは、蓋体の斜視図である。 図3Bは、蓋体の平面図である。 図3Cは、図3BにおけるZ−Z部の断面図である。 図4Aは、弾性部材の斜視図である。 図4Bは、弾性部材の平面図である。 図4Cは、図4BにおけるZ−Z部の断面図である。 図5Aは、弾性部材が装着された蓋体の平面図である。 図5Bは、図5AにおけるZ−Z部の断面図である。 図6Aは、弾性部材が装着された蓋体の平面図である。 図6Bは、図6AにおけるY−Y部の断面図である。 図6Cは、図6AにおけるZ−Z部の断面図である。
(実施の形態1)
〔1.モータの構成〕
本発明の実施形態について説明する。なお、本願では、モータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、モータの中心軸に直交する方向を「径方向」、モータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下を定義したものであって、本発明に係るモータの、使用時の向きを限定するものではない。
図1は、本実施の形態にかかるモータの斜視図である。図2は、モータの断面図である。
モータは、静止部1、回転部2、ケース3、蓋体4、第1の軸受5A、第2の軸受5B、および弾性部材6を備える。
静止部1は、コイル11、ステータコア12を備える。コイル11は、ステータコア12のティースに巻かれる。コイル11は、例えば銅線で構成されるが、アルミニウム線等を用いることもできる。ステータコア12は、複数の電磁鋼板が積層されてなる。ステータコア12は、円筒形状のコアバックと、コアバックから中心軸に向かって径方向に突出する複数のティースとを有する。コアバックとティースとは、ステータコア12の一部である。なお、コアバックを円筒形状としたが、これば完全な円筒形状に限らず、筒形状であればよい。
回転部2は、シャフト21,ロータコア22,マグネット23を備える。回転部2は、ステータコア12の内側に配置される。シャフト21は、モータの中心軸に沿う方向へ延びる。ロータコア22は、シャフト21に固定される。ロータコア22は、複数の電磁鋼板が積層されてなる。マグネット23は、ロータコア22の径方向最外面に配置される。マグネット23は、複数備わる。マグネット23は、フェライトマグネット、ネオジウムマグネットを用いることができる。マグネット23は、ロータコア22の径方向最外面において周方向に沿って並べて配置されるが、ロータコア22の中心軸から径方向に沿って放射状に配置してもよい。
ケース3は、有底円筒形状であり、軸方向の一方の端部が開口している。ケース3の開口は、少なくとも静止部1の外径よりも大きい内径を有する。ケース3は、内部空間に静止部1が配置される。すなわち、静止部1は、開口を介してケース3内に挿入することができる。なお、ケース3の形状は、有底円筒形状に限らず、軸方向に貫通孔を有する円筒形状、断面が四角形の筒形状などであってもよい。ケース3は、アルミニウム等の金属、樹脂などで形成することができる。ケース3は、第2の軸受5Bを配置するための軸受収容部31と、静止部1を保持するための保持部とを有する。
蓋体4は、ケース3の軸方向の一方の端部に固定される。蓋体4は、ケース3の開口を閉塞することができる下面41を有する。蓋体4は、例えばネジを用いてケース3に固定される。なお、蓋体4をケース3に固定する構成は、ネジを用いる方法に限らず、接着剤で固定する構成、爪を凹部に引っかける構成であってもよい。蓋体4は、軸方向から見た形状が円形の板状である。なお、蓋体4の形状である「板状」は、厚さが例えば5ミリ程度の概ね板状を成した形状のことであり、厚さは任意の寸法とすることができる。蓋体4の平面形状(軸方向から見た形状)は、円形の他、四角形、多角形など任意の形状とすることができる。また、蓋体4の形状は板状に限らず、少なくともケース3の開口を覆うことができる形状であればよく、例えば円柱形状であってもよい。蓋体4は、樹脂で形成される。蓋体4は、例えば金型を用いて樹脂成形することにより、任意の形状に作製することができる。蓋体4は、下面41に、軸受収容部42を有する。
第1の軸受5A、第2の軸受5Bは、シャフト21を回転自在に支持する。第1の軸受5A、第2の軸受5Bは、本実施の形態ではボール軸受を採用したが、他の軸受を採用してもよい。第1の軸受5A及び第2の軸受5Bは、それぞれ内輪、外輪、およびボールを備える。第1の軸受5Aと第2の軸受5Bとは、同一構成(同一形状、同一サイズ)とすることにより製造が容易になるため、好ましい。内輪は、シャフト21に固定される。内輪は、シャフト21が貫通する孔を有する。第1の軸受5Aの外輪は、蓋体4の軸受収容部42に配置される。第2の軸受5Bの外輪は、ケース3の軸受収容部31に配置される。ボールは、内輪と外輪との間の空間に、回転自在に配置される。このような構成とすることにより、内輪は、外輪に対して回転可能である。
弾性部材6は、第1の軸受5Aと蓋体4の軸受収容部42との間に配置される。弾性部材6は、第1の軸受5Aで発生する振動及び騒音を吸収する材料で形成されていることが好ましい。すなわち、弾性部材6は、防振部材、防音部材の一例である。本実施の形態では、弾性部材6は、一例として、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であるニトリルゴムを用いたが、少なくとも第1の軸受5Aで発生する振動及び騒音を吸収できればこの材料には限定されない。
〔2.軸受周辺の構成〕
図3Aは、蓋体の斜視図である。図3Bは、蓋体の平面図である。図3Cは、図3BにおけるZ−Z部の断面図である。
軸受収容部42は、第1の軸受5Aと弾性部材6とを収容可能な容積を有する。軸受収容部42は、周方向に沿って設けられた内面42Aが筒形状である。なお、内面42Aの形状である「筒形状」は、円筒形状、断面形状が多角形の筒形状などを含む。また、軸受収容部42は、中心軸から内面42Aまでの距離が、軸方向において一定寸法である形状に限らず、軸方向において複数の寸法を有する形状、内面42Aに凹凸等が設けられた形状などを含む。内面42Aは、軸受収容部42に収容される第1の軸受5Aの外輪に対向する。内面42Aと第1の軸受5Aとは、離間している。
内面42Aには、凸部42Bと凹部42Cとを有する。凸部42Bは、凹部42Cよりも中心軸に向かって径方向に突出する。凸部42B及び凹部42Cは、それぞれ複数設けられる。凸部42B及び凹部42Cを複数設けることにより、軸受収容部42に収容される弾性部材6に食い込む凸部42Bの数が多くなるため、第1の軸受5Aが周方向に変位しにくく、好ましい。凸部42Bと凹部42Cとは、周方向に沿って、交互に配置される。凸部42Bと凹部42Cとは、同数であることが好ましい。中心軸を挟んで対向する2つの凸部42B間の距離R1と、中心軸を挟んで対向する2つの凹部42C間の距離R2との関係は、以下の関係式1の通りである。
R1<R2 ・・・(関係式1)
なお、関係式1における距離R1と距離R2との関係は、中心軸を挟んで2つの凸部42Bが互いに対向する位置にあり、中心軸を挟んで2つの凹部42Cが互いに対向する位置にあるときの寸法関係である。
軸受収容部42は、底面に貫通孔42Dを有する。貫通孔42Dは、シャフト21が通される。貫通孔42Dの内径は、シャフト21の外径よりも大きい。
蓋体4は、ケース3と蓋体4とを接合するネジを通すための孔、モータを電子機器における所定の固定箇所へ固定するネジを通すための孔を備えることが好ましい。
図4Aは、弾性部材の斜視図である。図4Bは、弾性部材の平面図である。図4Cは、図4BにおけるZ−Z部の断面図である。図5Aは、弾性部材が装着された蓋体の平面図である。図5Bは、図5AにおけるZ−Z部の断面図である。図6Aは、蓋体4における軸受収容部42近傍の平面図である。図6Bは、図6AにおけるZ−Z部の断面図である。
弾性部材6は、円筒部61と、円盤部62とを有する。円筒部61は、弾性部材6が軸受収容部42内に配置された際、第1の軸受5Aと軸受収容部42の内面42Aとの間に配置される。円筒部61は、その内側に第1の軸受5Aが圧入される。すなわち、円筒部61の内径R3と、第1の軸受5Aの外輪の外径R11(図6A参照)との関係は、以下の関係式2の通りである。なお、内径R3は、円筒部61が弾性変形していないときの寸法である。
R3≦R11 ・・・(関係式2)
なお、上記関係式2において、「R3<R11」は、円筒部61に第1の軸受5Aが圧入された状態における寸法関係である。「R3=R11」は、円筒部61が弾性変形せず、第1の軸受5Aに接する状態における寸法関係である。したがって、第1の軸受5Aを確実に弾性部材6に位置決めするためには、「R3<R11」の寸法関係とすることが好ましい。すなわち、「R3<R11」の寸法関係とすることにより、弾性部材6は、第1の軸受5Aによって押し広げられた状態となるため、第1の軸受5Aに応力をかける。したがって、弾性部材6は、第1の軸受5Aに対して変位しにくくなり、第1の軸受5Aが弾性部材6から外れたり、第1の軸受5Aの外輪が回転したりすることを防ぐことができる。
弾性部材6は、第1の軸受5Aと軸受収容部42の凸部42Bとに接している。これにより、第1の軸受5Aの外輪が変位しにくくなるため、シャフト21及び第1の軸受5Aの内輪が回転した際に第1の軸受5Aの外輪が回転してしまうことを防ぐ。
弾性部材6は、軸受収容部42に圧入される。すなわち、円筒部61の外径R4と、軸受収容部42の内面42Aに形成される凸部42Bの内径R1(図3B参照)との関係は、以下の関係式3の通りである。なお、内径R4は、円筒部61が弾性変形していないときの寸法である。
R1≦R4 ・・・(関係式3)
なお、上記関係式3において、円筒部61が軸受収容部42に圧入される状態は「R1<R4」の寸法関係となる。「R1=R4」の寸法関係は、円筒部61が弾性変形せず、円筒部61が軸受収容部42の凸部42Bに接する状態である。したがって、弾性部材6を確実に軸受収容部42に位置決めするためには、「R1<R4」の寸法関係とすることが好ましい。すなわち、「R1<R4」の寸法関係とすることにより、弾性部材6は、軸受収容部42に圧入された状態となるため、凸部42Bに応力をかける。したがって、弾性部材6は、凸部42Bに対して変位しにくくなり、弾性部材6が軸受収容部42から外れたり、弾性部材6が軸受収容部42の中で回転したりすることを防ぐことができる。
図3Cに示す軸受収容部42の深さD1と、図4Cに示す弾性部材6の厚さD2とは、関係式4に示す寸法関係を有する。なお、高さ寸法D2は、円筒部61が弾性変形していないときの寸法である。
D2≦D1 ・・・・(関係式4)
このような寸法関係とすることにより、弾性部材6が軸受収容部42から軸方向へはみ出さないため、弾性部材6と基板7(図2参照)との干渉を防ぐことができ、基板7をより蓋体4に近い位置に配置することができる。したがって、モータの軸方向の厚さ寸法を小さくすることができ、モータ全体を小型化することができる。なお、軸受収容部42と弾性部材6との関係は、上記関係式4に示す関係に限らず、蓋体4と基板7との間に十分な空間を有する場合は寸法D2を寸法D1よりも大きくしてもよい。
図6Bに示すように、弾性部材6における円筒部61と円盤部62とで囲まれた空間の深さ寸法D3と、第1の軸受5Aの厚さ寸法D4とは、関係式5に示す寸法関係を有する。なお、高さ寸法D4は、円筒部61が弾性変形していないときの寸法である。
D4≦D3 ・・・(関係式5)
なお、第1の軸受5Aと弾性部材6との寸法関係を、関係式2及び「D4<D3」とすることにより、円筒部61における第1の軸受5Aに接する部分は第1の軸受5Aによって押し広げられて径方向外側へ圧縮変形し、円筒部61における第1の軸受5Aから軸方向へ突出した部分は第1の軸受5Aの外輪上に乗り上げる。これにより、第1の軸受5Aが軸方向へ変位することを抑えることができる。したがって、寸法D3と寸法D4とは、「D4<D3」の関係とすることが好ましい。
図6A及び図6Bに示すように、第1の軸受5Aと弾性部材6とが接し、弾性部材6と軸受収容部42の凸部42Bとが接する。弾性部材6は、弾性変形可能な材料で形成されているため、円筒部61の内面は第1の軸受5Aによって押されて弾性変形し、円筒部61の外面は軸受収容部42の凸部42Bに押しつけられて弾性変形する。
また、軸受収容部42の凸部42B及び凹部42Cは、上記関係式1に示す寸法関係を有するため、図6A及び図6Cに示すように、弾性部材6の円筒部61の径方向外周面と軸受収容部42の凹部42Cとの間には、空間45を有する。弾性部材6の円筒部61の径方向外周面と、軸受収容部42の凹部42Cとの径方向距離A1は、本実施の形態では一例として1ミリとしているが、少なくとも弾性部材6の熱膨張を吸収できれば、他の寸法であってもよい。なお、本実施の形態では、凹部42Cは、軸方向に亘って連続的に設けたが、断続的に設けてもよい。
〔3.モータの動作〕
モータを動作させる際は、外部の制御回路からリード線8を介して、基板7に実装された制御回路へモータ電圧を印加するとともに、制御信号を入力する。基板7に備わる制御回路は、外部から入力されるモータ電圧及び制御信号に基づき、コイル11に所定周期で電流を流し、回転部2を回転動作させる。
回転部2は、第1の軸受5Aと第2の軸受5Bとに支持されながら、回転動作を行う。具体的には、シャフト21と第1の軸受5Aの内輪とが、第1の軸受5Aの外輪の内側において回転する。
このとき、第1の軸受5A及び第2の軸受5Bは、内蔵されるボールと内輪及び外輪との間で摩擦が生じるため、熱を発する。第1の軸受5Aが発する熱は、外輪に接する弾性部材6へ伝わる。弾性部材6は、第1の軸受5Aから伝わる熱により、熱膨張する場合がある。本実施の形態では、図6A及び図6Cに示すように弾性部材6と軸受収容部42の凹部42Cとの間に、径方向幅寸法A1の空隙を有するため、弾性部材6が熱膨張した場合、径方向幅寸法A1は小さくなる。より具体的には、弾性部材6における凸部42Bに接している部分は、熱膨張する際、その一部が、弾性部材6と軸受収容部42の凹部42Cとの空隙内へはみ出る場合がある。なお、熱膨張した弾性部材6と凹部42Cとは、接してもよいし、離間していてもよいが、弾性部材6の熱膨張を阻害しないためには離間しているほうが好ましい。
一方、第2の軸受5Bが発する熱は、ケース3へ伝わる。ケース3へ伝わった熱は、空気中へ放出される。これにより、第2の軸受5Bの過度な温度上昇を抑えることができる。
回転部2の回転が停止すると、第1の軸受5Aにおける温度上昇は止まる。第1の軸受5Aにおける温度上昇が抑えられることにより、弾性部材6の温度上昇も抑えられる。弾性部材6に蓄積された熱は、第1の軸受5A、蓋体4などを伝って空気中へ放出される。これにより、弾性部材6は、自身の温度が低下し、収縮する。収縮する弾性部材6は、熱膨張する前の形状に戻るか、熱膨張する前の形状に近い形状に戻る。弾性部材6が収縮することにより、弾性部材6と軸受収容部42の凹部42Cとの間の径方向幅寸法A1は大きくなる。
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、蓋体4の軸受収容部42に凸部42B及び凹部42Cを備えることにより、弾性部材6の熱膨張が阻害されることを軽減できる。すなわち、本実施の形態では、弾性部材6が熱膨張しようとしたときに、弾性部材6の一部が凹部42C内へ膨張できる構成とすることにより、弾性部材6が蓋体4及び第1の軸受5Aにかける応力を低減することができる。したがって、弾性部材6の変質を抑えることができ、弾性部材6の寿命を延ばすことができる。なお、凹部42Cを備えない場合、すなわち弾性部材6と蓋体4(軸受収容部42)との間に隙間が無い場合、弾性部材6が熱膨張すると、弾性部材6の応力により蓋体4及び第1の軸受5Aに力をかけ続けることになる。その場合、弾性部材6の材質が変質し、元の形状に戻りにくくなることがある。
また、軸受収容部42に凸部42B及び凹部42Cを備えることにより、弾性部材6を凸部42Bのエッジ(凹部42Cとの境界に設けられるエッジ)に掛けることができるので、第1の軸受5Aで発生する振動等により弾性部材6が蓋体4に対して変位(中心軸を中心とした回転)することを防止できる。
本実施の形態によれば、蓋体4と第1の軸受5Aとの間に弾性部材6を配置することにより、第1の軸受5Aで発生する振動及び騒音を弾性部材6で吸収することができる。
本実施の形態によれば、第1の軸受5Aを弾性部材6に圧入し、弾性部材6を蓋体4の軸受収容部42に圧入する構成とすることにより、第1の軸受5Aが軸受収容部42から軸方向へ抜け出ることを防止できる。また、第1の軸受5Aの外輪が回転することを防止できる。
本実施の形態によれば、蓋体4を樹脂で作製したことにより、軸受収容部42、凸部42B、凹部42Cを容易に作製することができる。すなわち、蓋体4を樹脂製とし、金型成形を用いて作製することにより、凸部42B及び凹部42Cなどの微細な形状を容易に作成することができる。また、蓋体4を樹脂で作製したことにより、モータから発する熱を効率よく放熱することができる。具体的には、弾性部材6が蓋体4に接しているため、第1の軸受5Aから弾性部材6へ伝わる熱を蓋体4へ伝えることができ、蓋体4から空気中へ放熱することができる。
なお、本実施の形態では、蓋体4は、樹脂製としたが、軸受収容部42,凸部42B、凹部42C等を形成することができれば、樹脂以外の材料で形成することができる。例えば、アルミニウム等の金属で形成することができる。
また、本実施の形態では、軸受収容部42は、蓋体4の下面41に備えるが、蓋体の下面41の裏側の面に備えてもよい。すなわち、軸受収容部42は、蓋体4の軸方向外側に向かって開口する形状にしてもよい。また、軸受収容部31は、ケース3の軸方向外側に備えるが、ケース3の軸方向内側(ケース3の内部)に備えてもよい。
また、本実施の形態では、凸部42Bは、軸受収容部42の内面42Aに6カ所備えたが、この個数は一例である。凹部42Cは、軸受収容部42の内面42Aに6カ所備えたが、この個数は一例である。凸部42B及び凹部42Cは、軸受収容部42の内径が大きければ数を増やすことが好ましく、軸受収容部42の内径が小さければ数を減らすことが好ましい。また、凹部42Cの数を多くしすぎると、凹部42Cの周方向長さが短くなる。凹部42Cの長さが小さいと、弾性部材6が熱膨張したときの裕度が小さくなるため、弾性部材6の劣化を抑えることができる。
また、図3Cに示すように、蓋体4は、下面41と軸受収容部42との境界(すなわち軸受収容部42のエッジ)に、傾斜面42Eを備えることが好ましい。蓋体4に傾斜面42Eを備えることにより、弾性部材6を軸受収容部42に圧入する際、弾性部材6は、傾斜面42Eによって軸受収容部42と同心位置へ案内されるため、弾性部材6の一部を容易に軸受収容部42に入れることができる。なお、図3Cに示す傾斜面42Eは、円弧形状としたが、内面42Aに対して例えば45度の角度を持った平面形状としてもよい。
また、本実施の形態では、軸受収容部42の凸部42Bの内径R1(図3B参照)は、軸方向の任意の位置における寸法をい
また、蓋体4は、凸部42Bの径方向内面に微小な凹凸を備えることが好ましい。このような構成とすることにより、凸部42Bと弾性部材6との間の摩擦が大きくなり、弾性部材6が蓋体4に対して周方向へ変位(回転)することを抑えることができる。
また、本実施の形態では、弾性部材6は、蓋体4の軸受収容部42にのみ配置したが、軸受収容部42とケース3の軸受収容部31とに配置してもよい。
また、本実施の形態では、弾性部材6は、円筒部61と円盤部62とを備えるが、円盤部62は必須ではない。円筒部61は、第1の軸受5Aと蓋体4との間に圧入されることにより、第1の軸受5Aの軸方向及び周方向への変位を抑えることができる。したがって、弾性部材6は、円筒部61のみを備える構成であっても、第1の軸受5Aの軸方向及び周方向への変位を抑えることができる。また、本実施の形態では、弾性部材6は、円筒部61と円盤部62とを備える単一部材としたが、円筒部61と円盤部62とを互いに独立した部材としてもよい。
また、弾性部材6は、円筒部61の軸方向端部に傾斜面を備えることが好ましい。また、弾性部材6は、本実施の形態では円筒部61の内径R3が軸方向において一定である構成としたが、円筒部61における第1の軸受5Aの挿入口側の端部(円盤部62に対して反対側の端部)から円盤部62側へ向かって、内径R3が徐々に小さくなる形状とすることが好ましい。これらの構成とすることにより、第1の軸受5Aが弾性部材6と同心位置へ案内されるため、第1の軸受5Aを弾性部材6の円筒部61の内側へ挿入しやすくなる。したがって、モータの組立作業性を向上できる。
また、本実施の形態における静止部1は、静止部の一例である。本実施の形態における回転部2は、回転部の一例である。本実施の形態のケース3は、ケースの一例である。本実施の形態の蓋体4は、蓋体の一例である。本実施の形態のコイル11は、コイルの一例である。本実施の形態の第1の軸受5A及び第2の軸受5Bは、軸受の一例である。本実施の形態の弾性部材6は、弾性部材の一例である。本実施の形態のシャフト21は、シャフトの一例である。本実施の形態のロータコア22は、ロータコアの一例である。本実施の形態のマグネット23は、マグネットの一例である。本実施の形態の軸受収容部42は、軸受収容部の一例である。本実施の形態の内面42Aは、内面の一例である。本実施の形態の凸部42Bは、凸部の一例である。本実施の形態の凹部42Cは、凹部の一例である。本実施の形態の傾斜面42Eは、傾斜面の一例である。本実施の形態の円筒部61は、筒部の一例である。
1 静止部
2 回転部
3 ケース
4 蓋体
5A 第1の軸受
5B 第2の軸受
6 弾性部材
11 コイル
12 ステータコア
21 シャフト
22 ロータコア
23 マグネット
41 下面
42 軸受収容部
42A 内面
42B 凸部
42C 凹部
42D 貫通孔
42E 傾斜面
61 円筒部
62 円盤部
63 貫通孔

Claims (6)

  1. 静止部と、
    前記静止部に対して回転可能に支持される回転部と、
    前記静止部と前記回転部の一部とを収容し、軸方向の一方の端部が開口するケースと、
    前記ケースの開口を閉塞する蓋体と、を有し、
    前記静止部は、
    前記中心軸に対して放射状に延びる複数のティースと、
    前記ティースに巻かれた導線により構成されるコイルと、
    前記回転部を回転可能に支持する軸受と、
    弾性部材と、を有し、
    前記回転部は、
    前記中心軸に沿って延びるシャフトと、
    前記シャフトに固定されるロータコアと、
    前記ロータコアに装着されるマグネットと、を有し、
    前記蓋体は、前記軸受が収容される軸受収容部を備え、
    前記弾性部材は、前記軸受収容部と前記軸受との間に配置され、
    前記軸受収容部は、前記軸受の外輪の径方向側面に対向する内面を有し、
    前記内面は、中心軸に向かう方向に突出する複数の凸部と、径方向に窪む複数の凹部とを含み、
    前記弾性部材は、前記凸部に接し、前記凹部との間に空隙を有する、
    モータ。
  2. 請求項1記載のモータであって、
    前記弾性部材は、前記軸受収容部と前記軸受との間に圧入される、モータ。
  3. 請求項1記載のモータであって、
    前記蓋体は、樹脂で形成される、モータ。
  4. 請求項1記載のモータであって、
    前記凸部と前記凹部は、周方向に交互に配置される、モータ。
  5. 請求項1記載のモータであって、
    前記軸受収容部は、軸方向の端部に傾斜面を有する、モータ。
  6. 請求項1記載のモータであって、
    前記弾性部材は、筒形状の筒部を備え、
    前記筒部は、前記軸受収容部の前記凸部及び前記凹部に対向する、モータ。
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