JP2013214040A - レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた保存安定性を有し、かつ塗布欠陥の発生を低減可能なレジスト下層膜形成用組成物及びこのレジスト下層膜形成用組成物を用いたパターン形成方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、[A]ポリシロキサン、及び[B]有機溶媒を含有するレジスト下層膜形成用組成物であって、[B]有機溶媒が、(B1)標準沸点が150.0℃未満のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、及び(B2)標準沸点が150.0℃以上の有機溶媒を含み、[B]有機溶媒における(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有率が50質量%以上99質量%以下であり、(B2)有機溶媒の含有率が1質量%以上50質量%以下であるレジスト下層膜形成用組成物である。(B2)有機溶媒の標準沸点は、180℃以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法に関する。
半導体デバイスの製造にあっては、高集積化に伴うパターンの微細化に対応すべく多層レジストプロセスが用いられている。このプロセスでは、まず被加工基板上にレジスト下層膜形成用組成物を塗布してレジスト下層膜を形成し、このレジスト下層膜上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する。次いで、縮小投影露光装置(ステッパー)等によりフォトマスクを介してレジスト膜を露光し、適当な現像液で現像することによりレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクとしてレジスト下層膜をドライエッチングし、得られたレジスト下層膜パターンをマスクとして更に被加工基板をドライエッチングすることで、被加工基板に所望のパターンを形成することができる。
上記レジスト下層膜形成用組成物としては、レジスト膜に対して高いエッチング選択性を有することによりレジスト下層膜を確実にエッチングできるものとして、ポリシロキサンを含有する組成物を用いたものが開示されている(特開2004−310019号公報及び特開2005−018054号公報参照)。
しかしながら、上述の組成物は、保存安定性が不十分であり、保存期間が長くなると、同じ製造条件であっても形成されるレジスト下層膜の膜厚に差異が生じる。また、従来の組成物では、レジスト下層膜の形成過程において、組成物中に溶存する重合体成分が固化し、生成した固形物に起因して、形成されるレジスト下層膜において塗布欠陥が発生するという不都合がある。
特開2004−310019号公報 特開2005−018054号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、優れた保存安定性を有し、かつ塗布欠陥の発生を低減可能なレジスト下層膜形成用組成物及びこのレジスト下層膜形成用組成物を用いたパターン形成方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]ポリシロキサン、及び[B]有機溶媒を含有するレジスト下層膜形成用組成物であって、
[B]有機溶媒が、(B1)標準沸点が150.0℃未満のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(以下、「(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類」ともいう)、及び(B2)標準沸点が150.0℃以上の有機溶媒(以下、「(B2)有機溶媒」ともいう)を含み、
[B]有機溶媒における(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有率が50質量%以上99質量%以下であり、(B2)有機溶媒の含有率が1質量%以上50質量%以下であるレジスト下層膜形成用組成物である。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、[B]有機溶媒が上記特定の(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類及び高沸点成分である(B2)有機溶媒を含むことで、組成物の保存に伴うレジスト下層膜の膜厚変化を低減可能な優れた保存安定性を有し、かつレジスト下層膜形成過程における塗布欠陥を低減することができる。
(B2)有機溶媒の標準沸点は、180℃以上であることが好ましい。(B2)有機溶媒の標準沸点を上記特定範囲とすることで、当該組成物は、保存安定性をより向上させ、かつ塗布欠陥をより低減することができる。
(B2)有機溶媒は、エステル類、エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。(B2)有機溶媒を上記特定の溶媒とすることで、[A]ポリシロキサンの溶解性を向上させることができ、その結果、塗布欠陥をさらに低減することができる。
(B2)有機溶媒は、カルボン酸エステル類、ラクトン類、カーボネート類及び下記式(1)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2013214040
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。nは、1〜4の整数である。nが2以上の場合、複数のRは、同一でも異なっていてもよい。)
(B2)有機溶媒を上記特定の溶媒とすることで、当該組成物は、[A]ポリシロキサンの溶解性をより向上させることができる。
(B2)有機溶媒の比誘電率は、13以上200以下であることが好ましい。(B2)有機溶媒の比誘電率を上記特定範囲とすることで、当該組成物は、[A]ポリシロキサンの溶解性をさらに向上させることができる。
(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類であることが好ましい。(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類がプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類であることで、[A]ポリシロキサンの溶解性をさらに向上させることができる。
当該レジスト下層膜形成用組成物は、上述の性質を有しているので、多層レジストプロセスに好適に用いることができ、塗布欠陥の少ないレジスト下層膜を形成することができる。
当該レジスト下層膜形成用組成物は、[C]酸拡散制御剤をさらに含有することが好ましい。当該レジスト下層膜形成用組成物が[C]酸拡散制御剤をさらに含有することで、上記効果を維持しつつ、レジスト下層膜中を経由して起こるレジスト膜の酸の拡散を効果的に抑制することができ、その結果、多層レジストプロセスにより形成されるレジストパターンの形状を向上させることができる。
[A]ポリシロキサンは、下記式(i)で表されるシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
Figure 2013214040
(式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又はシアノ基である。上記アルキル基の水素原子の一部又は全部は、エポキシアルキルオキシ基、エポキシ基、酸無水物基又はシアノ基で置換されていてもよい。上記アリール基の水素原子の一部又は全部は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、0〜3の整数である。但し、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[A]ポリシロキサンを上記特定の化合物の加水分解縮合物とすることで、当該組成物は、形状の良好なレジストパターンを形成することができ、かつレジスト下層膜とレジスト膜との密着性を向上させることができる。
本発明のパターン形成方法は、
(1)当該レジスト下層膜形成用組成物を用い、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程、
(2)レジスト組成物を用い、上記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する工程、
(3)フォトマスクを介する露光光の照射により上記レジスト膜を露光する工程、
(4)上記露光されたレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程、及び
(5)上記レジストパターンをマスクとし、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板を順次ドライエッチングする工程
を有する。
当該レジスト下層膜形成用組成物が上記性質を有しているので、本発明のパターン形成方法によれば、形状の良好なレジストパターンを形成することができる。
ここで、「標準沸点」(以下、単に「沸点」ともいう)とは、1気圧における沸点をいう。また、「比誘電率」とは、媒質の誘電率と真空の誘電率の比をいう。化合物の比誘電率としては「化学便覧 基礎編 改訂5版」等に記載された値を参照することができる。上記化学便覧に記載のない化合物の比誘電率としては、JIS C2138に記載の方法により、20℃において測定した値である。また、「1価の有機基」とは、炭素原子を少なくとも1個含む1価の基である。
以上説明したように、本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、優れた保存安定性を有し、かつ塗布欠陥の発生を低減することができる。従って、当該レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法は、パターンの微細化が進む半導体デバイスの製造プロセスに好適に使用することができる。
<レジスト下層膜形成用組成物>
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、[A]ポリシロキサン及び[B]有機溶媒を含有する。また、当該レジスト下層膜形成用組成物は、好適成分として[C]酸拡散制御剤を含有してもよい。さらに、当該レジスト下層膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。
なお、当該レジスト下層膜形成用組成物は、塗布欠陥の改善に優れているので、後述する当該パターン形成方法等で示される多層レジストプロセスに好適に用いることができ、塗布欠陥の少ないレジスト下層膜を形成することができる。以下、各成分について詳述する。
<[A]ポリシロキサン>
[A]ポリシロキサンは、シロキサン結合を有するポリマーである限り特に限定されないが、上記式(i)で表されるシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。ここでいう「シラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物」とは、上記式(i)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物、又は上記式(i)で表されるシラン化合物と上記式(i)で表されるシラン化合物以外のシラン化合物(以下、「その他のシラン化合物」ともいう)との加水分解縮合物を意味する。その他のシラン化合物としては、加水分解されてシラノール基を生成するものであれば特に限定されない。[A]ポリシロキサンを上記式(i)で表される化合物の加水分解縮合物とすることで、当該組成物は、形状の良好なレジストパターンを形成することができ、かつレジスト下層膜とレジスト膜との密着性を向上させることができる。
上記式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又はシアノ基である。上記アルキル基の水素原子の一部又は全部は、エポキシアルキルオキシ基、エポキシ基、酸無水物基又はシアノ基で置換されていてもよい。上記アリール基の水素原子の一部又は全部は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、0〜3の整数である。但し、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソアミル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Rで表される炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−プロペン−3−イル基、1−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、1−ブテン−3−イル基、1−ブテン−4−イル基、2−ブテン−1−イル基、2−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−5−イル基、2−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−2−イル基、1−ヘキセン−6−イル基、2−ヘキセン−1−イル基、2−ヘキセン−2−イル基等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「エポキシ」とは、オキシラニル及びオキセタニルの両者を含むものである。
上記エポキシアルキルオキシ基で置換されたアルキル基としては、例えば、2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基、4−グリシジルオキシブチル基等のオキシラニルオキシアルキル基;3−エチル−3−オキセタニルオキシプロピル基、3−メチル−3−オキセタニルオキシプロピル基、3−エチル−2−オキセタニルオキシプロピル基、2−オキセタニルオキシエチル基等のオキセタニルオキシアルキル基等が挙げられる。これらの中で3−グリシジルオキシプロピル基、3−エチル−3−オキセタニルオキシプロピル基が好ましい。
上記エポキシ基で置換されたアルキル基としては、炭素数2〜10のエポキシアルキル基が好ましく、例えば、1,2−エポキシエチル基、1,2−エポキシプロピル基、1,2−エポキシブチル基、1,2−エポキシペンチル基等が挙げられる。
上記酸無水物基で置換されたアルキル基としては、例えば、2−無水コハク酸基置換エチル基、3−無水コハク酸基置換プロピル基、4−無水コハク酸基置換ブチル基等が挙げられる。これらの中で、3−無水コハク酸基置換プロピル基がより好ましい。
上記シアノ基で置換されたアルキル基としては、例えば、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等が挙げられる。
上記ヒドロキシ基で置換されたアリール基としては、例えば4−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル基、4−ヒドロキシナフチル基等が挙げられる。これらの中で、4−ヒドロキシフェニル基がより好ましい。
上記Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記Rにおける1価の有機基としては、アルキル基、アルキルカルボニル基が好ましい。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。また、上記アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基がより好ましい。
上記式(i)で表されるシラン化合物としては、例えば、
芳香環含有トリアルコキシシランとして、フェニルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−エチルフェニルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、3−メチルフェニルトリメトキシシラン、3−エチルフェニルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、2−メチルフェニルトリメトキシシラン、2−エチルフェニルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、2,4,6−トリメチルフェニルトリメトキシシラン等;
アルキルトリアルコキシシラン類として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−t−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビストリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルジクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−t−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−メチルプロピルトリエトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−t−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリフェノキシシラン、1−メチルプロピルトリメトキシシラン、1−メチルプロピルトリエトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−t−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−t−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン等;
アルケニルトリアルコキシシラン類として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリ−t−ブトキシシラン、アリルトリフェノキシシラン等;
テトラアルコキシシラン類として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等;
テトラアリールシラン類として、テトラフェノキシシラン等;
エポキシ基含有シラン類として、3−オキセタニルメチルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−オキセタニルエチルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン等;
酸無水物基含有シラン類として、3−(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸、2−(トリメトキシシリル)エチル無水コハク酸、3−(トリメトキシシリル)プロピル無水マレイン酸、2−(トリメトキシシリル)エチル無水グルタル酸等;
テトラハロシラン類等として、テトラクロロシラン等が挙げられる。
上記その他のシラン化合物としては、例えばベンジルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、4−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−メトキシフェニルトリメトキシシラン、3−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、3−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−メトキシフェニルトリメトキシシラン、2−フェノキシフェニルトリメトキシシラン、2−アミノフェニルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、2−アセチルアミノフェニルトリメトキシシラン、4−メチルベンジルトリメトキシシラン、4−エチルベンジルトリメトキシシラン、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン、4−フェノキシベンジルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、4−アミノベンジルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノベンジルトリメトキシシラン、4−アセチルアミノベンジルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記加水分解縮合をさせる条件としては、上記式(i)で表されるシラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基(−OR)をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
上記加水分解縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。水の使用量は、上記式(i)で表されるシラン化合物の加水分解性基の合計量1モルに対して、好ましくは0.1〜3モル、より好ましくは0.3〜2モル、さらに好ましくは0.5〜1.5モルの量である。このような量の水を用いることによって、加水分解・縮合の反応速度を最適化することができる。
上記加水分解縮合に使用することができる溶媒としては、特に限定されるものではないが、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類が好ましい。これらの中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は3−メトキシプロピオン酸メチル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)がより好ましい。
上記加水分解縮合反応は、好ましくは酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸)、塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジンなどの含窒素化合物;塩基性イオン交換樹脂;水酸化ナトリウムなどの水酸化物;炭酸カリウムなどの炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;各種ルイス塩基)、又は、アルコキシド(例えば、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド)等の触媒の存在下で行われる。例えば、アルミニウムアルコキシドとしては、トリ−i−プロポキシアルミニウムを用いることができる。触媒の使用量としては、加水分解縮合反応の促進の観点から、加水分解性シラン化合物のモノマー1モルに対して、好ましくは0.2モル以下であり、より好ましくは0.00001〜0.1モルである。
上記加水分解縮合における反応温度及び反応時間は、適宜に設定される。例えば、下記の条件を採用できる。反応温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。このような反応温度及び反応時間とすることによって、加水分解縮合反応を最も効率的に行うことができる。この加水分解縮合においては、反応系内に加水分解性シラン化合物、水及び触媒を一度に添加して反応を一段階で行ってもよく、あるいは、加水分解性シラン化合物、水及び触媒を、数回に分けて反応系内に添加することによって、加水分解縮合反応を多段階で行ってもよい。なお、加水分解縮合反応の後には、脱水剤を加え、次いでエバポレーションにかけることによって、水及び生成したアルコールを反応系から除去することができる。
[A]ポリシロキサンの含有量としては、レジスト下層膜形成用組成物における全固形分に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。なお、上記レジスト下層膜形成用組成物は、[A]ポリシロキサンを1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
[A]ポリシロキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)としては、通常500〜50,000であり、1,000〜30,000が好ましく、1,000〜15,000がより好ましく、1,000〜5,000が特に好ましい。
<[B]有機溶媒>
[B]有機溶媒は、(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類及び(B2)有機溶媒を含み、[B]有機溶媒における(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有率が50質量%以上99質量%以下であり、(B2)有機溶媒の含有率が1質量%以上50質量%以下である。また、[B]有機溶媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、後述の有機溶媒(以下、「(B3)有機溶媒」ともいう)等のその他の成分(有機溶媒)を含んでいてもよい。上記各成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下、各成分について詳述する。
[(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類]
(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類は、標準沸点が150.0℃未満の有機溶媒である。この(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類であることが好ましい。(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類がプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類であることで、[A]ポリシロキサンの溶解性をより向上させることができる。
上記(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:145℃)等;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:146℃)等が挙げられる。これらの中で、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
[B]有機溶媒における(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有率は、50質量%以上99質量%以下である。上記含有率としては、70質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上99質量%以下がより好ましい。(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有率を上記範囲とすることで、保存安定性及び塗布欠陥を効果的に改善性することができる。
[(B2)有機溶媒]
(B2)有機溶媒は、標準沸点が150.0℃以上の有機溶媒である。[B]有機溶媒が高沸点成分である(B2)有機溶媒を含むことで、組成物の保存に伴うレジスト下層膜の膜厚変化を低減可能な優れた保存安定性を有し、かつレジスト下層膜形成過程における塗布欠陥を低減することができる。
(B2)有機溶媒の標準沸点は、160℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。(B2)有機溶媒の標準沸点を上記範囲とすることで、当該組成物は、保存安定性及び塗布欠陥をより効果的に改善することができる。
(B2)有機溶媒の標準沸点は、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましく、220℃以下であることが特に好ましい。上記(B2)有機溶媒の標準沸点を上記範囲とすることで、レジスト下層膜形成後の有機溶媒の残渣を低減することができる。
(B2)有機溶媒の成分としては、例えば、エステル類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、エステル類、エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、カルボン酸エステル類、ラクトン類、カーボネート類及び上記式(1)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。(B2)有機溶媒を上記溶媒とすることで、当該組成物は、[A]ポリシロキサンの溶解性をより向上させることができる。
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基である。Rは水素原子又はメチル基である。nは、1〜4の整数である。nが2以上の場合、複数のRは、同一でも異なっていてもよい。
上記R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。
上記R及びRで表される炭素数1〜4のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
上記エステル類としては、例えば、
カルボン酸エステル類として、酢酸3−メトキシブチル(沸点:172℃)、酢酸2−エチルブチル(沸点:160℃)、酢酸2−エチルヘキシル(沸点:199℃)、酢酸ベンジル(沸点:212℃)、酢酸シクロヘキシル(沸点:172℃)、酢酸メチルシクロヘキシル(沸点:201℃)、酢酸n−ノニル(沸点:208℃)、アセト酢酸メチル(沸点:169℃)、アセト酢酸エチル(沸点:181℃)、プロピオン酸iso−アミル(沸点:156℃)、シュウ酸ジエチル(沸点:185℃)、シュウ酸ジ−n−ブチル(沸点:239℃)、乳酸エチル(沸点:151℃)、乳酸n−ブチル(沸点:185℃)、マロン酸ジエチル(沸点:199℃)、フタル酸ジメチル(沸点:283℃)等;
ラクトン類として、βープロピオラクトン(沸点:162℃)、γ−ブチロラクトン(沸点:204℃)、γ−バレロラクトン(沸点:207℃)、γ−ウンデカラクトン(沸点:286℃)等;
カーボネート類として、エチレンカーボネート(沸点:244℃)、プロピレンカーボネート(沸点:242℃)等が挙げられる。
上記アルコール類としては、例えば、
モノアルコール類として、3−メトキシブタノール(沸点:157℃)、n−ヘキサノール(沸点:157℃)、n−オクタノール(沸点:194℃)、sec−オクタノール(沸点:174℃)、n−ノニルアルコール(沸点:215℃)、n−デカノール(沸点:228℃)、フェノール(沸点:182℃)、シクロヘキサノール(沸点:161℃)、ベンジルアルコール(沸点:205℃)等;
多価アルコール類として、エチレングリコール(沸点:197℃)、1,2−プロピレングリコール(沸点:188℃)、1,3−ブチレングリコール(沸点:208℃)、2,4−ペンタンジオール(沸点:201℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(沸点:196℃)、2,5−ヘキサンジオール(沸点:216℃)、トリエチレングリコール(沸点:165℃)等;
多価アルコール部分エーテル類として、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:171℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点:244℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:202℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:207℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:231℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:161℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:220℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:208℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:259℃)、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(沸点:229℃)、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(沸点:272℃)、エチレングリコールモノアリルエーテル(沸点:159℃)、ジエチレングリコールモノフェニルエ−テル(沸点:283℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点:256℃)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点:302℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:187℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:242℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点:212℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点:170℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点:231℃)、プロピレングリコールモノフェニルエーテル(沸点:243℃)等が挙げられる。
上記エーテル類としては、例えば、
ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点:176℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:189℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:255℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:171℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点:217℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点:188℃)、1,8−シネオール(沸点:176℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点:171℃)、アニソール(沸点:155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点:189℃)、ジフェニルエーテル(沸点:259℃)、ジベンジルエーテル(沸点:297℃)、フェネトール(沸点:170℃)、ジヘキシルエーテル(沸点:226℃)等が挙げられる。
上記ケトン類としては、例えば、
エチルアミルケトン(沸点:167℃)、ジブチルケトン(沸点:186℃)、ジアミルケトン(沸点:228℃)等が挙げられる。
上記アミド系溶媒としては、例えば、
N−メチルピロリドン(沸点:204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点:165℃)、ホルムアミド(沸点:210℃)、N−エチルアセトアミド(沸点:206℃)、N−メチルアセトアミド(沸点:206℃)等が挙げられる。
その他の(B2)有機溶媒として、
フルフラール(沸点:162℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、スルホラン(沸点:287℃)、グリセリン(沸点:290℃)、スクシノニトリル(沸点:265℃)、ニトロベンゼン(沸点:211℃)等が挙げられる。
(B2)有機溶媒の比誘電率は、13以上200以下であることが好ましく、15以上150以下がより好ましく、20以上100以下がさらに好ましい。(B2)有機溶媒が上記範囲の比誘電率を有することで、当該組成物は、[A]ポリシロキサンの溶解性をさらに向上させることができる。
上記範囲の比誘電率を有する(B2)有機溶媒としては、例えば、アセト酢酸エチル(比誘電率:16)N−メチルピロリドン(比誘電率:33)、N,N−ジメチルアセトアミド(比誘電率:39)、ホルムアミド(比誘電率:111)、N−エチルアセトアミド(比誘電率:135)、N−メチルアセトアミド(比誘電率:179)、フルフラール(比誘電率:42)、プロピレンカーボネート(比誘電率:63)、エチレンカーボネート(比誘電率:90)、ジメチルスルホキシド(比誘電率:49)、スルホラン(比誘電率:42)、エチレングリコール(比誘電率:41)、グリセリン(比誘電率:47)、スクシノニトリル(比誘電率:63)、ニトロベンゼン(比誘電率:36)、γ−ブチロラクトン(比誘電率:39)等が挙げられる。
[B]有機溶媒における(B2)有機溶媒の含有率としては、1質量%以上50質量%以下である。上記含有率としては、2質量%以上40質量%が好ましく、2質量%以上30質量%以下がより好ましい。(B2)有機溶媒の含有率を上記範囲とすることで、保存安定性及び塗布欠陥をより効果的に改善性することができる。
[(B3)有機溶媒]
(B3)有機溶媒は、標準沸点が150.0℃未満のアルコール類である。当該レジスト下層膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、この(B3)有機溶媒を含んでいてもよい。
(B3)有機溶媒としては、例えば、
モノアルコール類として、メタノール(沸点:65℃)、エタノール(沸点:78℃)、n−プロパノール(沸点:97℃)、iso−プロパノール(沸点:82℃)、n−ブタノール(沸点:117℃)、iso−ブタノール(沸点:108℃)、sec−ブタノール(沸点:99℃)、tert−ブタノール(沸点:82℃)、n−ペンタノール(沸点:138℃)、iso−ペンタノール(沸点:132℃)、2−メチルブタノール(沸点:136℃)、sec−ペンタノール(沸点:118℃)、tert−ペンタノール(沸点:102℃)、2−メチルペンタノール(沸点:148℃)、2−エチルブタノール(沸点:146℃)等;
多価アルコール部分エーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:125℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:135℃)、プロピレングリコール−1−メチルエーテル(沸点:120℃)、プロピレングリコール−1−エチルエーテル(沸点:133℃)、プロピレングリコール−1−プロピルエーテル(沸点:149.8℃)等が挙げられる。
[B]有機溶媒における(B3)有機溶媒の含有率としては、0質量%以上10質量%以下が好ましく、0質量%以上5質量%以下がより好ましく、0質量%以上3質量%以下がさらに好ましく、0質量%以上0.5質量%以下が特に好ましい。
<[C]酸拡散制御剤>
[C]酸拡散制御剤は、露光の際にレジスト膜中で発生した酸の拡散を抑制する成分である。本発明のレジスト下層膜成型用組成物が[C]酸拡散制御剤をさらに含有することで、上記効果を維持しつつ、レジスト下層膜中を経由して起こるレジスト膜の酸の拡散を効果的に抑制することができ、その結果、多層レジストプロセスにより形成されるレジストパターンの形状を向上させることができる。なお、[C]酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[C]酸拡散制御剤としては、例えば、アミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、例えば、モノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
上記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−カルボキシ−4−ヒドロキシピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−カルボキシ−ピロリジン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物;N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−アミロキシカルボニル基含有アミノ化合物;N−(9−アントラニルメチルオキシカルボニル)ピペリジン等のN−(9−アントラニルメチルオキシカルボニル)基含有アミノ化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン等が挙げられる。
上記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
上記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−(N−ピペリジノ)−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらの中で、アミド基含有化合物、含窒素複素環化合物が好ましく、上記アミド基含有化合物としては、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−t−アミロキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−(9−アントラニルメチルオキシカルボニル)基含有アミノ化合物がより好ましく、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−カルボキシ−4−ヒドロキシピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−2−カルボキシ−ピロリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−(9−アントラニルメチルオキシカルボニル)ピペリジンが特に好ましい。また、上記含窒素複素環化合物としては、3−(N−ピペリジノ)−1,2−プロパンジオールがより好ましい。
また、[C]酸拡散制御剤として、露光により感光し塩基を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えば、下記式(2−1)で示されるスルホニウム塩化合物、下記式(2−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2013214040
上記式(2−1)及び式(2−2)中、Rc1〜Rc5は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。Z及びEは、それぞれ独立して、OH、Rc6−COO又はRc6−SO である。Rc6は、アルキル基、アリール基、アルカリール基又は下記式(2’)で表されるアニオンである。
Figure 2013214040
上記式(2’)中、Rc7は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。但し、上記アルキル基及びアルコキシ基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。uは0〜2の整数である。
c1〜Rc7で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
c1〜Rc5及びRc7表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
c1〜Rc5で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
c6で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
c6で表されるアルカリール基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
上記光崩壊性塩基としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2013214040
これらの中で、式(2−1−1)で表されるトリフェニルスルホニウムサリチレート、式(2−1−2)で表されるトリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、式(2−1−3)で表されるトリフェニルスルホニウムN−ブチルトリフルオロメチルスルホンアミドが好ましい。
[C]酸拡散制御剤の含有量としては、[A]ポリシロキサン100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。[C]酸拡散制御剤の含有量を上記範囲とすることで、レジスト膜に対して高いエッチング選択性を有するレジスト下層膜を形成することができ、かつレジストパターンの形状を向上させることができる。
<その他の任意成分>
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、水、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤等のその他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その他の任意成分の含有量は、その目的に応じて適宜選択することができる。
[D]水
[D]水は、当該レジスト下層膜形成用組成物が含有してもよい成分である。当該レジスト下層膜形成用組成物が水を含有することで、組成物の保存安定性を向上させることができる。この水としては、蒸留水、超純水、脱イオン水が好ましい。
[D]水の含有量としては、[A]ポリシロキサン100質量部に対して、1質量部以上1,000質量部以下が好ましく、5質量部以上500質量部以下がより好ましく、10質量部以上200質量部以下がさらに好ましい。[D]水の含有量を上記範囲とすることで、効果的に保存安定性を向上することができる。
[有機ポリマー]
上記有機ポリマーとしては、例えば、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、芳香族ビニル化合物等の重合体;ビニルアミド系重合体、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体等が挙げられる。
[界面活性剤]
上記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
<レジスト下層膜形成用組成物の調製方法>
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、[A]ポリシロキサン、[B]有機溶媒、必要に応じて[C]酸拡散制御剤、その他の任意成分等を所定の割合で混合することにより調製できる。
<パターン形成方法>
本発明のパターン形成方法は、
(1)当該レジスト下層膜形成用組成物を用い、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程、
(2)レジスト組成物を用い、上記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する工程、
(3)フォトマスクを介する露光光の照射により上記レジスト膜を露光する工程、
(4)上記露光されたレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程、及び
(5)上記レジストパターンをマスクとし、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板を順次ドライエッチングする工程
を有する。
当該レジスト下層膜形成用組成物が上記性質を有しているので、本発明のパターン形成方法によれば、形状の良好なレジストパターンを形成することができる。
[工程(1)]
本工程では、当該レジスト下層膜形成用組成物を用い、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する。上記被加工基板としては、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆したウエハー等が挙げられる。
上記レジスト下層膜の形成方法としては、例えば、被加工基板や後述の他の下層膜等の表面に塗布することにより、当該レジスト下層膜形成用組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理、又は紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより硬化させることで形成できる。当該レジスト下層膜形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。また、加熱温度としては、通常50℃〜450℃であり、150℃〜300℃が好ましい。加熱時間としては、通常5秒〜600秒である。
なお、上記被加工基板には、予め本発明のレジスト下層膜形成用組成物を用いて形成されレジスト下層膜とは異なる他の下層膜(以下、「他の下層膜」ともいう)が形成されていてもよい。この他の下層膜としては、例えば、特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系の反射防止膜等が挙げられる。
上記レジスト下層膜の膜厚としては、通常10nm〜1,000nmであり、10nm〜500nmが好ましい。
[工程(2)]
本工程では、レジスト組成物を用い、上記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるようにレジスト組成物を塗布した後、プレベークすることによって塗膜中の溶媒を揮発させることにより、レジスト膜が形成される。
上記レジスト組成物としては、例えば、酸発生剤を含有するポジ型又はネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等が挙げられる。
上記レジスト組成物の全固形分濃度としては、通常1質量%〜50質量%である。また、上記レジスト組成物は、一般に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過して、レジスト膜の形成に供される。なお、この工程では、市販のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
レジスト組成物の塗布方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法等が挙げられる。また、プレベークの温度としては、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。
[工程(3)]
本工程では、フォトマスクを介する露光光の照射により上記レジスト膜を露光する。上記露光光としては、レジスト組成物に使用される光酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線等から適切に選択される。これらの中で、遠紫外線が好ましく、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、Fエキシマレーザー光(波長157nm)、Krエキシマレーザー光(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー光(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)がより好ましく、ArKrエキシマレーザー光(波長134nm)が特に好ましい。
上記露光後、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるためポストベークを行うことができる。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、通常50℃〜200℃であり、70℃〜150℃が好ましい。
[工程(4)]
本工程では、上記露光されたレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する。本工程で用いられる現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択される。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液が挙げられる。これらのアルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類などの水溶性有機溶媒、界面活性剤等を適量添加することもできる。
上記現像液での現像後、洗浄し、乾燥することによって、所定のレジストパターンが形成される。
[工程(5)]
本工程では、上記レジストパターンをマスクとし、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板を順次ドライエッチングする。ドライエッチングは、公知のドライエッチング装置を用いて行うことができる。また、ドライエッチング時のソースガスとしては、被エッチング物の元素組成にもよるが、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、CHF、CF等のフッ素系ガス、H、NHのガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
また、これらのプロセス後、被加工基板上に残存するレジスト下層膜を除去する工程を有していてもよい。なお、このレジストパターンの形成は、ナノインプリント法等の現像工程を経ないものであってもよい。
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。なお、ポリシロキサンの固形分濃度及びポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の測定は、下記の方法により行った。
<ポリシロキサンの固形分濃度>
ポリシロキサンを含む溶液0.5gを250℃で30分間焼成し、得られた固形分の質量を測定してポリシロキサンの固形分濃度(質量%)を求めた。
<ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)>
東ソー製GPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、G4000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)を測定した。
<[A]ポリシロキサンの合成>
下記シラン化合物を用いて[A]ポリシロキサンを合成した。
M−1:テトラメトキシシラン
M−2:フェニルトリメトキシシラン
M−3:4−メチルフェニルトリメトキシシラン
M−4:メチルトリメトキシシラン
[合成例1]
シュウ酸1.28gを水12.85gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、(M−1)25.05g(90モル%)、(M−2)3.63g(10モル%)及びメタノール43.21gを入れたフラスコに、冷却管及び上記シュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、上記フラスコをオイルバスにて60℃に加熱した後、上記シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート129.00gを上記反応溶液に追加してエバポレーターにセットし、残存する水及び生成したメタノールを除去して固形分としてのポリシロキサン(A−1)を含む溶液86.0gを得た。上記溶液中のポリシロキサン(A−1)の固形分濃度は18.0質量%、ポリシロキサン(A−1)のMwは2,000であった。
[合成例2]
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.92gを水8.75gに加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、上記テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液11.67g、水4.53g及びメタノール20gを入れたフラスコに、冷却管並びに(M−1)10.66g(70モル%)、(M−3)2.12g(10モル%)、(M−4)2.72g(20モル%)及びメタノール20gからなるメタノール溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、上記フラスコをオイルバスにて50℃に加熱した後、上記メタノール溶液をゆっくり滴下し、50℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸4.39gを、水16.14g及びメタノール16.14gに溶解させて別途調製したマレイン酸メタノール溶液36.67gに対し、上述のように放冷した反応溶液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン50gを添加してからエバポレーターにセットし、残存する水、反応溶媒及び反応により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水80gを添加して1回目の水洗を行い、水40gを添加して2回目の水洗を行った。その後、分液ロートからフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50gを添加してからエバポレーターにセットし、4−メチル−2−ペンテノンを除去して固形分としてのポリシロキサン(A−2)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液51gを得た。上記溶液中のポリシロキサン(A−2)の固形分濃度は14.5質量%、ポリシロキサン(A−2)のMwは4,000であった。
[合成例3〜5]
[A]ポリシロキサンを与える各単量体を表1に示す使用量で用いた以外は、合成例1と同様の手法にて、ポリシロキサン(A−3)〜(A−5)を含む溶液を合成した。なお、得られた各[A]ポリシロキサンを含む溶液中の[A]ポリシロキサンの固形分濃度及び[A]ポリシロキサンのMwを表1に示す。
[合成例6]
シュウ酸1.28gを水12.85gに加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、(M−1)25.05g(90モル%)、(M−2)3.63g(10モル%)及びプロピレングリコール−1−エチルエーテル57.19gを入れたフラスコに、冷却管及び上記シュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、上記フラスコをオイルバスにて60℃に加熱した後、上記シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してからエバポレーターにセットし、残存する水及び生成したメタノールを除去して固形分としてのポリシロキサン(A−6)を含む溶液97.3gを得た。上記溶液中のポリシロキサン(A−6)の固形分濃度は18.0質量%、ポリシロキサン(A−6)のMwは2,000であった。
Figure 2013214040
<レジスト下層膜形成用組成物の調製>
[A]ポリシロキサン以外の各成分について以下に示す。
[B]有機溶媒
(B1)成分
B1−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(B2)有機溶媒
B2−1:アセト酢酸エチル
(標準沸点:180.8℃、比誘電率:15.9)
B2−2:γ−ブチロラクトン
(標準沸点:204℃、比誘電率:39)
B2−3:ジメチルスルホキシド
(標準沸点:189.0℃、比誘電率:48.9)
(B3)成分
B3−1:プロピレングリコール−1−メチルエーテル(標準沸点:120℃)
B3−2:プロピレングリコール−1−エチルエーテル(標準沸点:133℃)
B3−3:プロピレングリコール−1−プロピルエーテル(標準沸点:149.8℃)
[C]酸拡散制御剤
下記式(C−1)〜(C−6)で表される化合物
Figure 2013214040
[D]水
D−1:蒸留水
[実施例1]
[A]ポリシロキサンとして(A−1)2.01質量部、(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として(B1−1)68.56質量部、(B2)有機溶媒として(B2−1)29.38質量部、及び[C]酸拡散制御剤として(C−1)0.05質量部を配合し、レジスト下層膜形成用組成物を調製した。
[実施例2〜16、比較例1〜3]
配合する各成分の種類及び配合量を表2に記載した通りとした以外は、実施例1と同様に操作して、各レジスト下層膜形成用組成物を調製した。なお、表2中の「−」は、該当する成分を配合しなかったことを示す。
Figure 2013214040
<評価>
上記調製した各レジスト下層膜形成用組成物について、保存安定性、初期塗布欠陥及び保存後塗布欠陥を下記方法に従い評価した。その評価結果を表3に示す。
[初期塗布欠陥評価]
調製直後の各レジスト下層膜形成用組成物を、塗布/現像装置(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン製)を用いてスピンコート法によりシリコンウエハー上に塗布し、得られた塗膜に対して220℃で60秒間乾燥を行った後、23℃に冷却して膜厚30nmの塗膜を形成した。その後、表面欠陥観察装置(KLA2800、KLAテンコール製)を用いて塗布欠陥を測定し、この測定結果を初期塗布欠陥評価とした。このとき、塗布欠陥が100個以下の場合、初期塗布欠陥評価は良好「○」、100個を超えた場合、不良「×」と評価した。
[保存安定性]
調製直後の各レジスト下層膜形成用組成物を、上記塗布/現像装置を用いてスピンコート法によりシリコンウエハー上に塗布し、得られた塗膜に対して215℃で1分間乾燥を行った後、23℃に冷却した。冷却後、レジスト下層膜の膜厚を、膜厚測定装置(M−2000D、J.A.Woollam製)を用いて測定したところ、30nmであった(この膜厚を初期膜厚(T0)とする)。
次いで、調製した各レジスト下層膜形成用組成物を35℃で30日間保存した後、保存後の各組成物を用いて上記と同様の方法でレジスト下層膜を形成して膜厚を測定した(この膜厚を保存後膜厚(T)とする)。
そして、保存後の膜厚変化率(|T−T0|/T0×100(%))を算出し、この算出値を保存安定性とした。このとき、算出値が2%以内の場合、保存安定性が非常に良好「◎」、2%を超え5%以内の場合、良好「○」、5%を超えた場合、不良「×」と評価した。
[保存後塗布欠陥評価]
調製した各レジスト下層膜形成用組成物を40℃で1週間保存した後、保存後の各レジスト下層膜形成用組成物を用い、上記「初期塗布欠陥評価」で示した方法と同様の方法でレジスト下層膜の塗布欠陥を測定し、この測定結果を保存後塗布欠陥評価とした。このとき、塗布欠陥が100個以下の場合、保存後塗布欠陥評価は良好「○」、100個を超えた場合、不良「×」と評価した。
Figure 2013214040
表3の結果から分かるように、実施例については、保存安定性、並びに初期及び保存後塗布欠陥評価共に良好であった。これに対し、比較例では、上記評価項目のいずれかが不良であった。
本発明は、優れた保存安定性を有し、かつ塗布欠陥の発生を低減可能なレジスト下層膜形成用組成物を提供することができる。従って、当該レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法は、パターンの微細化が進む半導体デバイスの製造プロセスに好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. [A]ポリシロキサン、及び
    [B]有機溶媒
    を含有するレジスト下層膜形成用組成物であって、
    [B]有機溶媒が、
    (B1)標準沸点が150.0℃未満のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、及び
    (B2)標準沸点が150.0℃以上の有機溶媒
    を含み、
    [B]有機溶媒における(B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類の含有率が50質量%以上99質量%以下であり、(B2)有機溶媒の含有率が1質量%以上50質量%以下であることを特徴とするレジスト下層膜形成用組成物。
  2. (B2)有機溶媒の標準沸点が、180℃以上である請求項1に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  3. (B2)有機溶媒が、エステル類、エーテル類からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  4. (B2)有機溶媒が、カルボン酸エステル類、ラクトン類、カーボネート類及び下記式(1)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項3に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
    Figure 2013214040
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基である。Rは、水素原子又はメチル基である。nは、1〜4の整数である。nが2以上の場合、複数のRは、同一でも異なっていてもよい。)
  5. (B2)有機溶媒の比誘電率が、13以上200以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  6. (B1)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  7. 多層レジストプロセスに用いられる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  8. [C]酸拡散制御剤をさらに含有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  9. [A]ポリシロキサンが、下記式(i)で表されるシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
    Figure 2013214040
    (式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又はシアノ基である。上記アルキル基の水素原子の一部又は全部は、エポキシアルキルオキシ基、エポキシ基、酸無水物基又はシアノ基で置換されていてもよい。上記アリール基の水素原子の一部又は全部は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、0〜3の整数である。但し、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  10. (1)請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成用組成物を用い、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する工程、
    (2)レジスト組成物を用い、上記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する工程、
    (3)フォトマスクを介する露光光の照射により上記レジスト膜を露光する工程、
    (4)上記露光されたレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する工程、及び
    (5)上記レジストパターンをマスクとし、上記レジスト下層膜及び上記被加工基板を順次ドライエッチングする工程
    を有するパターン形成方法。
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