JP2013213010A - ヘテロ環含有環状アミン化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、カルシウム感知受容体(calcium−sensing receptor:CaSR、以下、単にカルシウム受容体と称することがある)拮抗作用を有する化合物等に関する。
骨は、自らの形態変化や血中カルシウム濃度の維持のため、常に形成と吸収を繰り返し再構築を行う動的な器官として知られている。正常な骨では骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収とは平衡関係にあり、骨量は一定に保たれている。一方、骨形成と骨吸収との平衡関係が崩れると、骨粗鬆症などの骨代謝異常になる(非特許文献1、2)。
骨代謝を調節する因子としては、全身性のホルモンや局所性のサイトカインが数多く報告されており、それらの因子の共同作用により骨の形成と維持が営まれている(非特許文献1、3)。加齢による骨組織の変化としては、骨粗鬆症の発症が広く知られているが、その発症機構は性ホルモンの分泌低下やそのレセプター異常、骨局所におけるサイトカイン発現の変動、老化遺伝子の発現、破骨細胞や骨芽細胞の分化あるいは機能不全など多岐にわたっており、加齢による単純な生理現象として理解するのは困難である。原発性骨粗鬆症はエストロゲンの分泌低下による閉経後骨粗鬆症と加齢による老人性骨粗鬆症に大別されているが、その発症機構の解明と治療薬開発の為には、骨吸収と骨形成の調節機構についての基礎的研究の進展が必須である。
破骨細胞は、造血幹細胞に由来する多核の細胞であり、骨との接着面に塩素イオンと水素イオンを放出することによって、細胞と骨の接着面の間隙を酸性化すると共に酸性プロテアーゼであるカテプシンKなどを分泌する(非特許文献4)。この結果、骨基質蛋白質およびリン酸カルシウムの分解が惹起され、血中へのカルシウム動員が起こる。
正常な哺乳動物の血清カルシウム濃度は、厳格に約9〜10mg/dl(約2.5mM)に維持されている(カルシウムホメオスタシス)。副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は、カルシウムホメオスタシスの維持に中心的な役割を果たすホルモンであり、血中Ca2+濃度が低下すると副甲状腺からのPTH分泌が直ちに促進される。このようにして分泌されたPTHは、骨においては骨吸収を促進することにより血中へCa2+を動員し、腎臓においては、遠位尿細管でのCa2+の再吸収を促進することにより血中Ca2+濃度を上昇させる働きを有している。
PTHはヒトや動物に間歇投与すると骨量を増加させることが知られており、骨粗鬆症治療薬として既に臨床応用されている。動物実験においても甲状腺/副甲状腺摘出ラットにウシPTH(1−84)を持続投与すると大腿骨の海綿骨の骨形成と骨吸収がともに亢進し正味の骨量が減少するが、皮下に間歇投与すると骨吸収の亢進は見られず骨形成のみが亢進し、骨量が増加することが報告されている(非特許文献5)。また、卵巣摘出ラットに術後4週目から15週間、ヒトPTH(1−34)を間歇投与すると、投与開始後5週目から10週目まで骨形成の亢進と骨吸収の抑制が認められ、骨量が疑似手術群の約2倍まで増加することが報告された(非特許文献6)。この報告は、PTHは骨粗鬆症モデルの骨量減少を予防するだけではなく、骨量減少が既に顕著に起こった動物に対しても骨量の回復効果を有することを示唆している。
PTH製剤は閉経後骨粗鬆症患者を対象とした臨床試験で顕著な骨折率低下効果が確認されている骨粗鬆症治療薬であるが、生物製剤であるが故のデメリットを有している。すなわち、投与手段として注射を採用しなければならず、多くの患者にとっては苦痛を伴うという問題が残っている。従って、血中のPTH濃度を間歇的に上昇させ得る経口投与可能な薬剤の開発が待ち望まれている。
カルシウム受容体は主に副甲状腺細胞に発現しているG蛋白質共役型受容体であり、血中Ca2+濃度を感知してPTH分泌を調節している(非特許文献7)。ヒトカルシウム受容体は1078個のアミノ酸で構成され、副甲状腺以外にも、腎臓、甲状腺C細胞、脳、骨髄細胞での発現が報告されている。カルシウム受容体はリガンドであるCa2+と結合すると、G蛋白と共役してホスホリパーゼCを活性化し、イノシトール3リン酸の産生、細胞内Ca2+濃度の上昇をもたらし、その結果、PTHの分泌が抑制される(非特許文献8)。従って、カルシウム受容体の活性化を阻害する薬剤、即ちカルシウム受容体に拮抗する薬剤は副甲状腺細胞からのPTH分泌を促進させ、生体内における血中PTH濃度を上昇させることが期待される。その際、血中PTH濃度の上昇が持続的で無く一過性の上昇であるならば、PTHの間歇投与と同様に骨量を増加させる効果が期待できると考えられる。
一方、環状アミン構造を有する化合物としては、以下に示す化合物が知られているが(特許文献1)、本発明の化合物とは、その他の構造的に異なる部分が多くある。
Endocrinological Review,(1992)13,p66-80
Principles of Bone Biology, Academic Press, New York,(1996)p87-102
Endocrinological Review,(1996)17,p308-332
American Journal of Physiology,(1991)260,C1315-C1324
Endocrinology,1982,110,506-512
Endocrinology,1993,132,823-831
Brown,E.M.、「Homeostatic mechanisms regulating extracellular and intracellular calcium metabolism in the parathyroids」、(US)、Raven press,1994,19
Nature,1993,366,575-580
カルシウム受容体拮抗作用を示し、かつ安全性が高く経口投与が可能な新規な低分子化合物等を提供することが課題である。
カルシウム受容体の活性化を阻害する薬剤、即ちカルシウム受容体に拮抗する薬剤は副甲状腺細胞からのPTH分泌を促進させ、生体内における血中PTH濃度を上昇させることが期待される。その際、血中PTH濃度の上昇が持続的で無く一過性の上昇であるならば、PTHの間歇投与と同様に骨量を増加させる効果が期待できると考えられる。
本発明者らは、カルシウム受容体拮抗作用を有する治療薬の開発を目的に鋭意研究した結果、安全性が高く経口投与が可能な新規な環状アミン化合物を見出し、本発明を完成した。
本発明の環状アミン化合物は、カルシウム受容体拮抗作用を有する化合物である。「カルシウム受容体拮抗作用を有する」とは、細胞外Ca2+により誘発される1つまたはそれ以上のカルシウム受容体活性を減少させることを意味する。
すなわち本発明は、
(1)一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩である。
(1)一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩である。
[式中、各置換基は以下のように定義される。
RA:C1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルキル基
X:RDで置換されていてもよく、Aで置換されている、5−6員芳香族へテロ環基
RD:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基
A:カルボキシ基、−SO2NHRZ又はテトラゾリル基で置換されているC1−C6アルキル基
RZ:水素原子又はC1−C6アルキル基
RB:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基
RC:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基]
本発明として、好適には、以下の態様がある。
(2)
RAが、メチル基、エチル基又はプロピル基である、(1)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(3)
5−6員芳香族へテロ環基が、チエニル基又はピリジル基である、(1)又は(2)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(4)
Aがカルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基である、(1)−(3)から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(5)
Xが、カルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基で置換されているチエニル基又はピリジル基である、(1)−(3)から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(6)
C1−C6アルキル基が、エチル基である、(4)又は(5)から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(7)
以下の化合物群から選択されるいずれか1の化合物又はその薬理上許容される塩。
RA:C1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルキル基
X:RDで置換されていてもよく、Aで置換されている、5−6員芳香族へテロ環基
RD:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基
A:カルボキシ基、−SO2NHRZ又はテトラゾリル基で置換されているC1−C6アルキル基
RZ:水素原子又はC1−C6アルキル基
RB:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基
RC:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基]
本発明として、好適には、以下の態様がある。
(2)
RAが、メチル基、エチル基又はプロピル基である、(1)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(3)
5−6員芳香族へテロ環基が、チエニル基又はピリジル基である、(1)又は(2)に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(4)
Aがカルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基である、(1)−(3)から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(5)
Xが、カルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基で置換されているチエニル基又はピリジル基である、(1)−(3)から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(6)
C1−C6アルキル基が、エチル基である、(4)又は(5)から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
(7)
以下の化合物群から選択されるいずれか1の化合物又はその薬理上許容される塩。
(8)
カルシウム受容体アンタゴニストとして用いるための(1)−(7)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
(9)
(1)−(7)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
(10)
カルシウム受容体拮抗剤として用いるための、(9)に記載された医薬組成物。
(11)
異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患を治療又は予防するために用いるための、(9)に記載された医薬組成物。
(12)
異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患が、副甲状腺機能低下症;骨肉腫;歯周疾患;骨折性治癒;変形性関節症;リウマチ様関節炎;パジェット病;悪性腫瘍および骨折性治癒に付随する体液性高カルシウム血症;又は;骨粗鬆症である、(11)に記載された医薬組成物。
(13)
異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患が、骨粗鬆症である、(11)に記載された医薬組成物。
(14)
哺乳動物に(9)に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする骨代謝の改善方法。
(15)
哺乳動物に(9)に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、骨粗鬆症の予防方法又は治療方法。
カルシウム受容体アンタゴニストとして用いるための(1)−(7)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
(9)
(1)−(7)から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
(10)
カルシウム受容体拮抗剤として用いるための、(9)に記載された医薬組成物。
(11)
異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患を治療又は予防するために用いるための、(9)に記載された医薬組成物。
(12)
異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患が、副甲状腺機能低下症;骨肉腫;歯周疾患;骨折性治癒;変形性関節症;リウマチ様関節炎;パジェット病;悪性腫瘍および骨折性治癒に付随する体液性高カルシウム血症;又は;骨粗鬆症である、(11)に記載された医薬組成物。
(13)
異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患が、骨粗鬆症である、(11)に記載された医薬組成物。
(14)
哺乳動物に(9)に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする骨代謝の改善方法。
(15)
哺乳動物に(9)に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、骨粗鬆症の予防方法又は治療方法。
本発明の化合物又はその薬理上許容される塩は、カルシウム受容体アンタゴニストとして作用することにより、異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患、例えば副甲状腺機能低下症、骨肉腫、歯周疾患、骨折性治癒、変形性関節症、リウマチ様関節炎、パジェット病、悪性腫瘍および骨折性治癒に付随する体液性高カルシウム血症および骨粗鬆症の治療又は予防に有用である。
以下に本発明について説明する。
一般式(I)を有する化合物として、好適には、置換基として以下の組合せを有する化合物である。
RAが、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、
5−6員芳香族へテロ環基が、チエニル基又はピリジル基であり、
Aがカルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基である(さらに好適には、Xが、カルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基で置換されているチエニル基又はピリジル基であり、特に好適には、そのC1−C6アルキル基がエチル基である)。
一般式(I)を有する化合物として、さらに好適には、実施例に記載の化合物である。
RAが、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、
5−6員芳香族へテロ環基が、チエニル基又はピリジル基であり、
Aがカルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基である(さらに好適には、Xが、カルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基で置換されているチエニル基又はピリジル基であり、特に好適には、そのC1−C6アルキル基がエチル基である)。
一般式(I)を有する化合物として、さらに好適には、実施例に記載の化合物である。
「ハロゲン原子」とは、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好適には、フッ素原子又は塩素原子である。
「C1−C6アルキル基」とは、炭素数1乃至6個の直鎖若しくは分枝鎖アルキル基であり、好適には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はt−ブチル基であり、さらに好適には、メチル基である。
「C1−C6アルコキシ基」とは、上記C1−C6アルキル基に酸素原子が結合した基であり、好適には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基又はt−ブトキシ基であり、さらに好適には、メトキシ基である。
「ハロゲノC1−C6アルキル基」とは、上記C1−C6アルキル基にハロゲン原子が置換した基であり、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基等があり、好適には、トリフルオロメチル基である。
「ハロゲノC1−C6アルコキシ基」とは、上記C1−C6アルコキシ基にハロゲン原子が置換した基であり、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フルオロエトキシ基、ジフルオロエトキシ基、トリフルオロエトキシ基等があり、好適には、トリフルオロメトキシ基である。
「治療」とは、病気又は症状を治癒させること又は改善させること或いは症状を抑制させることを意味する。
「その薬理上許容される塩」とは、医薬として使用することができる塩を示す。本発明の化合物では、酸性基または塩基性基を有する場合に、塩基又は酸と反応させることにより、塩基性塩又は酸性塩にすることができるので、その塩を示す。
本発明の化合物の薬理上許容される「塩基性塩」としては、好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;N−メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4−ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩のような有機塩基塩類又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、好適には、アルカリ金属塩である。
本発明の化合物の薬理上許容される「酸性塩」としては、好適には、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり、最も好適には、ハロゲン化水素酸塩である。
本発明の化合物又はその薬理上許容される塩は、大気中に放置したり又は再結晶をすることにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となったりする場合があり、本発明には、そのような各種の水和物、溶媒和物及び結晶多形の化合物も包含する。
本発明の化合物、その塩又はそれらの溶媒和物は、置換基の種類や組み合わせによって、シス体、トランス体等の幾何異性体、互変異性体又はd体、l体等の光学異性体等の各種異性体が存在し得るが、本発明の化合物は、特に限定していない場合はそれら全ての異性体、立体異性体及びいずれの比率のこれら異性体及び立体異性体混合物をも包含するものである。これらの異性体の混合物は、公知の分割手段により分離することができる。
本発明の化合物は、ラベル体、すなわち、本発明の化合物の1又は2以上の原子を同位元素(例えば、2H、3H、13C、14C、35S等)で置換した化合物も含まれる。
本発明の化合物は、ラベル体、すなわち、本発明の化合物の1又は2以上の原子を同位元素(例えば、2H、3H、13C、14C、35S等)で置換した化合物も含まれる。
本発明には、本発明の化合物の薬理上許容されるプロドラッグも包含される。薬理上許容されるプロドラッグとは、加水分解により、若しくは、生理学的条件下で、本発明の化合物のアミノ基、水酸基、カルボキシ基等に変換し得る基を有する化合物であり、このようなプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med.、第5巻、2157-2161ページ、1985年や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻、分子設計163−198ページに記載の基である。当該プロドラッグとして、より具体的には、本発明の化合物に、アミノ基が存在する場合には、そのアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、そのアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等である)等を挙げることができ、本発明の化合物に、水酸基が存在する場合には、その水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、その水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等である。)等を挙げることができる。また、本発明の化合物に、カルボキシ基が存在する場合には、そのカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、そのカルボキシ基がエチル エステル化、フェニル エステル化、カルボキシメチル エステル化、ジメチルアミノメチル エステル化、ピバロイルオキシメチル エステル化、エトキシカルボニルオキシエチル エステル化、アミド化又はメチルアミド化された化合物等である。)等が挙げられる。
また、本発明には、本発明の化合物の官能基をいわゆる等価基で置き換えた化合物も包含する。いわゆる等価基としては、例えば、The Practice of Medicinal Chemistry (Camille Georges Wermuth, Academic Press, 1996)に記載されている。特に、カルボキシ基の等価基としては、The Practice of Medicinal Chemistryの215−217ページに記載されている。
(製造法)
本発明の化合物は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、各種の公知の合成法を適用して製造することができる。公知の方法としては、例えば、「ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS」、第2版、ACADEMIC PRESS,INC.、1989年、「Comprehensive Organic Transformations」、VCH Publishers Inc.、1989年等に記載された方法がある。
(製造法)
本発明の化合物は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、各種の公知の合成法を適用して製造することができる。公知の方法としては、例えば、「ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS」、第2版、ACADEMIC PRESS,INC.、1989年、「Comprehensive Organic Transformations」、VCH Publishers Inc.、1989年等に記載された方法がある。
その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基で保護、又は当該官能基に容易に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。
このような官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシ基等があり、それらの保護基としては、例えばT.W. Greene及びP.G. Wuts著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基があり、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法によれば、当該置換基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去、あるいは所望の基に転化することにより、所望の化合物を得ることができる。
このような官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシ基等があり、それらの保護基としては、例えばT.W. Greene及びP.G. Wuts著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基があり、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法によれば、当該置換基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去、あるいは所望の基に転化することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、本発明の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様に、原料ないし中間体の段階で特定の基を導入し、あるいは得られた本発明の化合物を用いて、反応を行うことで製造できる。反応は、通常のエステル化、アミド化、脱水、水素添加等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下に本発明の化合物のうち「5−6員芳香族へテロ環基」がピリジル基の化合物の製造方法について説明するが、ピリジル基以外の5−6員芳香族へテロ環基の場合にも、同様の製造方法によって本発明の化合物を製造することができる。また、本発明は、下記の方法に何ら限定されるものではない。
A法は、化合物(a−7)を製造する方法である。
A法
A法
[式中、
R1は、ピロリジン環上に置換基が存在する場合に、その置換基を示し、
nは、整数1を示し、
PGaは、アミノ基の保護基を示し、
Arは、置換基を有することがあるフェニル基等の芳香族環状基(例えば、置換基RB及び/又はRCを有してもよいフェニル基)を示す。]
A−1工程:
カルボン酸とヒドロキシアミンの縮合反応であり、化合物(a−1)から化合物(a−2)を製造する工程である。
A−2工程:
化合物(a−2)にグリニャール試薬を反応させて、ケトンである化合物(a−3)を製造する工程である。
A−3工程は、化合物(a−3)を還元して化合物(a−4)を得る工程である。
A−1工程からA−3工程は、Zhou et al.のHeteroatom Chemistry 2003,14,603−606に記載の方法に準じて行う。
A−4工程からA−6工程は、化合物(a−4)から化合物(a−7)を製造する工程である。A−4工程及びA−5工程のBarton−McCombie Reactionは、Mulzer et al.のJ.Org.Chem.1986,51,5294−5299に記載の方法に準じて行う。
A−6工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)に記載の方法に準じて保護基を脱保護することによって行う。
R1は、ピロリジン環上に置換基が存在する場合に、その置換基を示し、
nは、整数1を示し、
PGaは、アミノ基の保護基を示し、
Arは、置換基を有することがあるフェニル基等の芳香族環状基(例えば、置換基RB及び/又はRCを有してもよいフェニル基)を示す。]
A−1工程:
カルボン酸とヒドロキシアミンの縮合反応であり、化合物(a−1)から化合物(a−2)を製造する工程である。
A−2工程:
化合物(a−2)にグリニャール試薬を反応させて、ケトンである化合物(a−3)を製造する工程である。
A−3工程は、化合物(a−3)を還元して化合物(a−4)を得る工程である。
A−1工程からA−3工程は、Zhou et al.のHeteroatom Chemistry 2003,14,603−606に記載の方法に準じて行う。
A−4工程からA−6工程は、化合物(a−4)から化合物(a−7)を製造する工程である。A−4工程及びA−5工程のBarton−McCombie Reactionは、Mulzer et al.のJ.Org.Chem.1986,51,5294−5299に記載の方法に準じて行う。
A−6工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)に記載の方法に準じて保護基を脱保護することによって行う。
また、化合物(a−7)はB法でも合成できる。
B法
B法
[式中、
R1は、ピロリジン環上に置換基が存在する場合に、その置換基を示し、
nは、整数1を示し、
PGaは、アミノ基の保護基を示し、
Phは、フェニル基を示し、
Arは、置換基を有することがあるフェニル基等の芳香族環状基(例えば、置換基RB及び/又はRCを有してもよいフェニル基)を示す。]
B−1工程:
化合物(b−1)をリン酸エステル化して化合物(b−2)を製造する工程である。
B−2工程:
上述のA−2工程と同様にグリニャール試薬を用いることによって化合物(a−3)を製造する工程である。
B−3工程:
化合物(a−3)のケトンにベンジル化を行い化合物(a−6)を製造する工程である。
B−4工程:
上述のA−6工程と同様に、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)に記載の方法に準じて保護基を脱保護することによって行う。
B−1工程からB−4工程は、WO2004/106295の16ページに記載の反応例及びYang et al.のBioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,1225−1228に記載の方法に準じて行う。
R1は、ピロリジン環上に置換基が存在する場合に、その置換基を示し、
nは、整数1を示し、
PGaは、アミノ基の保護基を示し、
Phは、フェニル基を示し、
Arは、置換基を有することがあるフェニル基等の芳香族環状基(例えば、置換基RB及び/又はRCを有してもよいフェニル基)を示す。]
B−1工程:
化合物(b−1)をリン酸エステル化して化合物(b−2)を製造する工程である。
B−2工程:
上述のA−2工程と同様にグリニャール試薬を用いることによって化合物(a−3)を製造する工程である。
B−3工程:
化合物(a−3)のケトンにベンジル化を行い化合物(a−6)を製造する工程である。
B−4工程:
上述のA−6工程と同様に、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)に記載の方法に準じて保護基を脱保護することによって行う。
B−1工程からB−4工程は、WO2004/106295の16ページに記載の反応例及びYang et al.のBioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,1225−1228に記載の方法に準じて行う。
C法は、本発明の化合物(c−11)を製造する方法である。
C法
C法
[式中、
R1は、ピロリジン環上に置換基が存在する場合に、その置換基を示し、
R2は、上記RDと同意義を示し、
R3は、上記RAと同意義を示し、
nは、整数1を示し、
mは、整数1−4を示し、
PGcは、カルボキシ基の保護基を示し、
PGaは、アミノ基の保護基を示し、
Phは、フェニル基を示し、
Arは、置換基を有することがあるフェニル基等の芳香族環状基(例えば、置換基RB及び/又はRCを有してもよいフェニル基)を示し、
L1、L2は置換反応の脱離基を示す。]
C−1工程:
化合物(c−1)とN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を用いて化合物(c−2)を製造する工程であり、Kunishima et al.のTetrahedron 1999,55,13159−13170に記載の方法に準じて行う。
C−2工程:
上述のA−2工程と同様に行うことができ、化合物(c−2)から化合物(c−3)を製造する工程である。
さらに、C−3工程で、化合物(c−3)を還元して、化合物(c−4)とした後、C−4工程で、化合物(c−4)と化合物(c−5)を反応させて、化合物(c−6)を製造する。
C−2工程からC−4工程は、WO02/14259の40ページに記載の反応例に準じて行う。より詳細には、C−2工程は、WO02/14259の49ページに記載の実施例23工程2に準じて行う。C−3工程は、WO02/14259の66ページに記載の実施例21工程1に準じて行う。C−4工程は、WO02/14259の50ページに記載の実施例1工程2に準じて行う。
C−5工程からC−7工程は、化合物(c−7)及び(a−7)を用いて、化合物(c−6)から、化合物(c−10)を製造する工程であり、WO04/106280の61ページ記載の反応例に準じて行う。より詳細には、C−5工程は、WO04/106280の67ページ記載の実施例1工程2に準じて行う。C−6工程は、WO04/106280の68ページ記載の実施例1工程4に準じて行う。C−7工程は、WO04/106280の68ページ記載の実施例1工程5に準じて行う。
C−8工程:
化合物(c−10)のカルボキシ基の保護基を脱保護して化合物(c−11)を製造する工程である。
R1は、ピロリジン環上に置換基が存在する場合に、その置換基を示し、
R2は、上記RDと同意義を示し、
R3は、上記RAと同意義を示し、
nは、整数1を示し、
mは、整数1−4を示し、
PGcは、カルボキシ基の保護基を示し、
PGaは、アミノ基の保護基を示し、
Phは、フェニル基を示し、
Arは、置換基を有することがあるフェニル基等の芳香族環状基(例えば、置換基RB及び/又はRCを有してもよいフェニル基)を示し、
L1、L2は置換反応の脱離基を示す。]
C−1工程:
化合物(c−1)とN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を用いて化合物(c−2)を製造する工程であり、Kunishima et al.のTetrahedron 1999,55,13159−13170に記載の方法に準じて行う。
C−2工程:
上述のA−2工程と同様に行うことができ、化合物(c−2)から化合物(c−3)を製造する工程である。
さらに、C−3工程で、化合物(c−3)を還元して、化合物(c−4)とした後、C−4工程で、化合物(c−4)と化合物(c−5)を反応させて、化合物(c−6)を製造する。
C−2工程からC−4工程は、WO02/14259の40ページに記載の反応例に準じて行う。より詳細には、C−2工程は、WO02/14259の49ページに記載の実施例23工程2に準じて行う。C−3工程は、WO02/14259の66ページに記載の実施例21工程1に準じて行う。C−4工程は、WO02/14259の50ページに記載の実施例1工程2に準じて行う。
C−5工程からC−7工程は、化合物(c−7)及び(a−7)を用いて、化合物(c−6)から、化合物(c−10)を製造する工程であり、WO04/106280の61ページ記載の反応例に準じて行う。より詳細には、C−5工程は、WO04/106280の67ページ記載の実施例1工程2に準じて行う。C−6工程は、WO04/106280の68ページ記載の実施例1工程4に準じて行う。C−7工程は、WO04/106280の68ページ記載の実施例1工程5に準じて行う。
C−8工程:
化合物(c−10)のカルボキシ基の保護基を脱保護して化合物(c−11)を製造する工程である。
上記の方法で製造された本発明の化合物は、公知の方法、例えば、抽出、沈殿、蒸留、クロマトグラフィー、分別再結晶、再結晶等により単離、精製することができる。
また、本発明の一般式(I)を有する化合物又は製造の中間体が不斉炭素を有する場合には光学異性体が存在する。これらの光学異性体は、適切な塩と再結晶する分別再結晶(塩分割)やカラムクロマトグラフィー等の常法によって、それぞれの異性体を単離、精製することができる。ラセミ体から光学異性体を分割する方法の参考文献としては、J.Jacquesらの、「Enantiomers,Racemates and Resolution,John Wiley And Sons,Inc.」を挙げることができる。
本発明の化合物又はその薬理上許容される塩を哺乳動物(特にヒト)に投与する場合には、全身的又は局所的に、経口又は非経口で投与することができる。
本発明の医薬組成物は、投与方法に応じて適当な形態を選択し、通常用いられている各種製剤の調製法によって製造できる。
経口用の医薬組成物の形態としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等が挙げられる。これら形態の医薬の調製は、添加剤として通常用いられている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、膨潤剤、膨潤補助剤、コーティング剤、可塑剤、安定剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、保存剤、緩衝剤、希釈剤、湿潤剤等から必要に応じて適宜選択したものを用いて、常法に従って行うことができる。
非経口用の医薬組成物の形態としては、注射剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、点鼻剤、座剤、吸入剤等が挙げられる。これら形態の医薬の調製は、添加剤として通常用いられている安定化剤、防腐剤、溶解補助剤、保湿剤、保存剤、抗酸化剤、着香剤、ゲル化剤、中和剤、溶解補助剤、緩衝剤、等張剤、界面活性剤、着色剤、緩衝化剤、増粘剤、湿潤剤、充填剤、吸収促進剤、懸濁化剤、結合剤等から必要に応じて適宜選択したものを用いて、常法に従って行うことができる。
一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩の投与量は、症状、年齢、体重、組み合わせて投与する薬剤の種類や投与量等によって異なるが、通常、一般式(I)を有する化合物の換算量で、成人一人(体重約60kgとして)一回につき0.001mg〜1000mgの範囲で、全身的又は局所的に、一日一回から数回、経口又は非経口投与されるか、或いは一日1時間〜24時間の範囲で静脈内に持続投与されるのが好ましい。
さらに、本発明の医薬組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じ、その他の有効成分を併用して用いることができる。
本発明には、本発明化合物又はその薬理上許容される塩を投与することを特徴とする前記疾患の防止方法及び/又は治療方法も含まれる。
さらに、本発明には、前記医薬組成物を製造するための本発明化合物、その薬理上許容される塩の使用も含まれる。
製剤例1(散剤)
本発明の化合物 5g、乳糖 895gおよびトウモロコシデンプン 100gをブレンダーで混合することにより、散剤を得る。
製剤例2(顆粒剤)
本発明の化合物5g、乳糖 865gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 100gを混合した後、10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液 300gを加えて練合する。これを押し出し造粒機を用いて造粒し、乾燥して顆粒剤を得る。
製剤例3(錠剤)
本発明の化合物5g、乳糖 90g、トウモロコシデンプン 34g、結晶セルロース 20gおよびステアリン酸マグネシウム 1gをブレンダーで混合した後、錠剤機で打錠することにより、錠剤を得る。
(試験例1)
細胞内カルシウム上昇を指標としたカルシウム感知受容体(CaSR)に対する阻害活性の評価
ヒトカルシウム感知受容体(CaSR)を安定発現するように形質転換したCHO細胞(CHO/hCaSR)を用いて、細胞外カルシウム濃度を高めた際に誘導される細胞内カルシウム上昇が、被験化合物によりどれだけ抑制されたかを指標とすることにより、CaSRアンタゴニスト活性を評価した。
CHO/hCaSRを、10%ウシ胎児血清を含むF12培地(インビトロジェン社製)で2×105細胞/mlに調製したものを384穴プレートに50μl/穴まき、CO2インキュベーター中で一晩培養した。培養上清を完全に除去し、蛍光細胞内カルシウム指示薬であるCalcium 3(モレキュラーデバイス社製)を含むアッセイバッファー(20mM HEPES, 2.5mM probenecid含有HBSS(Ca、Mg不含)、pH 7.4)を25μl/穴添加し、CO2インキュベーター中で1時間静置した。なおCalcium 3は、FLIPR Calcium 3 Assay Kit(モレキュラーデバイス社製)に添付のプロトコールに従って調製した。一時間静置後、被験化合物をアッセイバッファーで2.1〜20,000nM(終濃度1.05〜10,000nM)となるように濃度調製した溶液を25μl/穴添加し、CO2インキュベーター中で15分間静置した。次にアッセイバッファーで8.1nM(終濃度2.7nM)となるように調製したCaCl2溶液を25μl/穴添加し、惹起される細胞内Ca上昇(蛍光強度)を、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、モレキュラーデバイス社製)を用いて経時的に測定した。得られたデータから、CaCl2溶液を添加する前の蛍光強度と、CaCl2溶液添加後の最大蛍光強度との差を計算し、被験化合物の50%阻害濃度(IC50)を算出した。
製剤例1(散剤)
本発明の化合物 5g、乳糖 895gおよびトウモロコシデンプン 100gをブレンダーで混合することにより、散剤を得る。
製剤例2(顆粒剤)
本発明の化合物5g、乳糖 865gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 100gを混合した後、10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液 300gを加えて練合する。これを押し出し造粒機を用いて造粒し、乾燥して顆粒剤を得る。
製剤例3(錠剤)
本発明の化合物5g、乳糖 90g、トウモロコシデンプン 34g、結晶セルロース 20gおよびステアリン酸マグネシウム 1gをブレンダーで混合した後、錠剤機で打錠することにより、錠剤を得る。
(試験例1)
細胞内カルシウム上昇を指標としたカルシウム感知受容体(CaSR)に対する阻害活性の評価
ヒトカルシウム感知受容体(CaSR)を安定発現するように形質転換したCHO細胞(CHO/hCaSR)を用いて、細胞外カルシウム濃度を高めた際に誘導される細胞内カルシウム上昇が、被験化合物によりどれだけ抑制されたかを指標とすることにより、CaSRアンタゴニスト活性を評価した。
CHO/hCaSRを、10%ウシ胎児血清を含むF12培地(インビトロジェン社製)で2×105細胞/mlに調製したものを384穴プレートに50μl/穴まき、CO2インキュベーター中で一晩培養した。培養上清を完全に除去し、蛍光細胞内カルシウム指示薬であるCalcium 3(モレキュラーデバイス社製)を含むアッセイバッファー(20mM HEPES, 2.5mM probenecid含有HBSS(Ca、Mg不含)、pH 7.4)を25μl/穴添加し、CO2インキュベーター中で1時間静置した。なおCalcium 3は、FLIPR Calcium 3 Assay Kit(モレキュラーデバイス社製)に添付のプロトコールに従って調製した。一時間静置後、被験化合物をアッセイバッファーで2.1〜20,000nM(終濃度1.05〜10,000nM)となるように濃度調製した溶液を25μl/穴添加し、CO2インキュベーター中で15分間静置した。次にアッセイバッファーで8.1nM(終濃度2.7nM)となるように調製したCaCl2溶液を25μl/穴添加し、惹起される細胞内Ca上昇(蛍光強度)を、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、モレキュラーデバイス社製)を用いて経時的に測定した。得られたデータから、CaCl2溶液を添加する前の蛍光強度と、CaCl2溶液添加後の最大蛍光強度との差を計算し、被験化合物の50%阻害濃度(IC50)を算出した。
本試験において、実施例2、3、4、5、7、8、9、10、14、16、17、18、19、20、22、23、24、25、33、34、35、36、37、38、39、40に示した化合物は、IC50 1.7μg/ml以下の阻害活性を示した。
(試験例2)ラットを用いたPTH分泌促進作用の評価
一晩絶食させた10〜14週齢雌性F344ラット(日本チャールス・リバー)を、エーテル麻酔下で頚静脈より採血して投与前血清を調製する。続いて被験化合物を溶媒(5%DMA含有0.5%メチルセルロース水溶液)を用いて3mg/5ml/kgの用量で経口投与する。被験化合物の投与5、15、30、60、120、240分後にエーテル麻酔下で頚静脈採血を行い、血清を調製した。血清中のPTH濃度を、ラットIntact PTH ELISAキット(Immutopics社製)を用いて測定する。
(試験例2)ラットを用いたPTH分泌促進作用の評価
一晩絶食させた10〜14週齢雌性F344ラット(日本チャールス・リバー)を、エーテル麻酔下で頚静脈より採血して投与前血清を調製する。続いて被験化合物を溶媒(5%DMA含有0.5%メチルセルロース水溶液)を用いて3mg/5ml/kgの用量で経口投与する。被験化合物の投与5、15、30、60、120、240分後にエーテル麻酔下で頚静脈採血を行い、血清を調製した。血清中のPTH濃度を、ラットIntact PTH ELISAキット(Immutopics社製)を用いて測定する。
(実施例1) 3−[3−(1−{(2R)−3−[(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ}エチル)チオフェン−2−イル]プロパノイック アシッド
(1a)2−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルチオフェン−3−カルボキシアミド
2-ブロモチオフェン−3−カルボン酸(10g、48.3mmol)をアセトニトリル(200ml)に溶解し、そこへ4−(4,6−ジメトキシ−1、3、5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウム クロライド(15.2g、58mmol)、4−メチルモルフォリン(10.6ml、96.6mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(5.7g、58mmol)を順次加え、室温で18時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチルで希釈し、1N−塩化水素水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:へキサン=0:100−50:50)にて精製し、11.5gの標記化合物(収率95%)を淡黄色結晶として得た。
(1b)1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノン
(1b)1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノン
実施例1(1a)で得られた2−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルチオフェン−3−カルボキシアミド(11.5g、46mmol)をテトラヒドロフラン(230ml)に溶解し、0℃にてメチルマグネシウムブロマイドの1.12M−テトラヒドロフラン溶液(82.1ml、92mmol)を滴下した。滴下後、反応液を室温まで昇温し18時間撹拌した。反応液に、1N−塩化水素水および酢酸エチルを加え分液した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後,減圧下にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:へキサン=0:100−50:50)にて精製し、1.22gの標記化合物(収率13%)を淡黄色油状物として得た。
(1c)1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノール
(1c)1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノール
実施例1(1b)で得られた1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノン(1.22g、6mmol)をメタノール(24ml)に溶解し、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(338mg、8.9mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応終了後、1N−塩化水素水を加え、反応液を濃縮した後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:へキサン=0:100=50:50)にて精製し、750mgの標記化合物(収率61%)を淡黄色油状物として得た。
(1d)(2R)−2−{[1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エトキシ]メチル}オキシラン
(1d)(2R)−2−{[1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エトキシ]メチル}オキシラン
実施例1(1c)で得られた1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エタノール(2.25g、10.9mmol)を50%水酸化ナトリウム水溶液(11.25ml)および2−メチルテトラヒドロフラン(22.5ml)に溶解し、(R)−(−)−グリシジルノシレート(3.6g、13.9mmol)およびテトラブチルアンモニウムクロリド(300mg、1.08mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:へキサン=0:100−70:30)にて精製し、1.3gの標記化合物(収率45%)を淡黄色油状物として得た。
(1e)エチル (2E)−3−(3−{1−[(2R)−オキシラン−2−イルメトキシ]エチル}チオフェン−2−イル)プロプ−2−エノエート
(1e)エチル (2E)−3−(3−{1−[(2R)−オキシラン−2−イルメトキシ]エチル}チオフェン−2−イル)プロプ−2−エノエート
実施例1(1d)で得られた(2R)−2−{[1−(2−ブロモチオフェン−3−イル)エトキシ]メチル}オキシラン(2.7g、10mmol)をトルエン(20ml)およびN,N−ジメチルホルムアミド(6ml)に溶解し、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(0.30g、1mmol)、アリルパラジウム(II)クロライド ダイマー(0.18g、0.5mmol)、炭酸カリウム(2.8g、20mmol)およびアクリル酸 エチル(1.63ml、14.9mmol)を加え、窒素置換後、超音波にて15分間脱気した後、110℃にて6時間攪拌した。反応終了後、室温まで放冷した後、セライト濾過し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後,減圧下にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:へキサン=0:100−70:30)にて精製し、2.57gの標記化合物(収率91%)を淡黄色油状物として得た。
(1f)エチル 3−(3−{1−[(2R)−オキシラン−2−イルメトキシ]エチル}チオフェン−2−イル)プロパノエート
(1f)エチル 3−(3−{1−[(2R)−オキシラン−2−イルメトキシ]エチル}チオフェン−2−イル)プロパノエート
実施例1(1e)で得られたエチル (2E)−3−(3−{1−[(2R)−オキシラン−2−イルメトキシ]エチル}チオフェン−2−イル)プロプ−2−エノエート(639mg、2.26mmol)をエタノール(5.5ml)に溶解し、5%ロジウム/アルミナ(128mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて3時間撹拌した。反応液を濾過し、減圧下にて溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:へキサン=0:100−70:30)にて精製し、320mgの標記化合物(収率50%)を淡黄色油状物として得た。
(1g)エチル 3−[3−(1−{(2R)−3−[(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ}エチル)チオフェン−2−イル]プロパノエート
(1g)エチル 3−[3−(1−{(2R)−3−[(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ}エチル)チオフェン−2−イル]プロパノエート
実施例1(1f)で得られたエチル 3−(3−{1−[(2R)−オキシラン−2−イルメトキシ]エチル}チオフェン−2−イル)プロパノエート(194mg、0.68mmol)、PCT WO2010/074088A1出願特許記載の(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン(170mg、0.82mmol)、過塩素酸リチウム(43mg、0.40mmol)およびN,N−ジイソプロピルアミン(142μl、0.82mmol)のトルエン(3ml)混合液を、室温にて16時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて抽出した後、有機層を合わせ飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=60:40−100:0)にて精製し、222mgの標記化合物(収率68%)を淡黄色油状物として得た。
(1h)3−[3−(1−{(2R)−3−[(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ}エチル)チオフェン−2−イル]プロパノイック アシッド
(1h)3−[3−(1−{(2R)−3−[(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ}エチル)チオフェン−2−イル]プロパノイック アシッド
実施例1(1g)で得られたエチル 3−[3−(1−{(2R)−3−[(2S)−2−(3−フルオロ−4−メチルベンジル)ピロリジン−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ}エチル)チオフェン−2−イル]プロパノエート(222mg,0.47mmol)のエタノール(1.11mL)溶液に、2N−水酸化ナトリウム水溶液(0.35mL,0.71mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液に、1N−塩化水素水溶液(0.70mL)を加えた後、塩化メチレンにて抽出(x2)した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、180mgの標記化合物(収率86%)を淡黄色アモルファス状物質として得た。
実施例1に記載の製造方法に準じて、実施例2−45の化合物を製造した。以下に実施例化合物の物理化学データを示す。
EX NO.は、実施例番号を示す。
EX NO.は、実施例番号を示す。
Claims (15)
- 一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩。
[式中、各置換基は以下のように定義される。
RA:C1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルキル基
X:RDで置換されていてもよく、Aで置換されている、5−6員芳香族へテロ環基
RD:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基
A:カルボキシ基、−SO2NHRZ又はテトラゾリル基で置換されているC1−C6アルキル基
RZ:水素原子又はC1−C6アルキル基
RB:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基
RC:水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ基、ハロゲノC1−C6アルキル基又はハロゲノC1−C6アルコキシ基] - RAが、メチル基、エチル基又はプロピル基である、請求項1に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
- 5−6員芳香族へテロ環基が、チエニル基又はピリジル基である、請求項1又は請求項2に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
- Aがカルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基である、請求項1−3から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
- Xが、カルボキシ基で置換されているC1−C6アルキル基で置換されているチエニル基又はピリジル基である、請求項1−3から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
- C1−C6アルキル基が、エチル基である、請求項4又は5から選択されるいずれか1項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩。
- カルシウム受容体アンタゴニストとして用いるための請求項1−7から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩。
- 請求項1−7から選択されるいずれか1項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
- カルシウム受容体拮抗剤として用いるための、請求項9に記載された医薬組成物。
- 異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患を治療又は予防するために用いるための、請求項9に記載された医薬組成物。
- 異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患が、副甲状腺機能低下症;骨肉腫;歯周疾患;骨折性治癒;変形性関節症;リウマチ様関節炎;パジェット病;悪性腫瘍および骨折性治癒に付随する体液性高カルシウム血症;又は;骨粗鬆症である、請求項11に記載された医薬組成物。
- 異常な骨またはミネラルの恒常性に付随する疾患が、骨粗鬆症である、請求項11に記載された医薬組成物。
- 哺乳動物に請求項9に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする骨代謝の改善方法。
- 哺乳動物に請求項9に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、骨粗鬆症の予防方法又は治療方法。
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JP2012084535A JP2013213010A (ja) | 2012-04-03 | 2012-04-03 | ヘテロ環含有環状アミン化合物 |
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2012
- 2012-04-03 JP JP2012084535A patent/JP2013213010A/ja active Pending
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