JP2013212511A - ペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビード蛇行が生じることなく高精度な溶接ビードが得られるように送給できるとともに、ペールパック内の溶接用ワイヤがもつれやからみが生じないペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法を提供する。
【解決手段】3個以上のローラを有する矯正器を1ユニットとし、複数のユニットを連接してペールパック入りの溶接用ワイヤを引き出すにあたり、最終ユニットの入口前でワイヤ長さ3000mmを採取し、平面上に置いたときの平面からの最大高さが300mm以下となるように最終ユニット前の各ユニットのローラを調整し、最終ユニットの出口のワイヤ形状を直径150〜3000mmの円形に塑性変形させながら引き出す方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法に係り、特にビード蛇行が生じることなく高精度な溶接ビードが得られるとともに、ペールパック内の溶接用ワイヤがもつれたり、からみが生じないペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法に関する。
近年、溶接構造物の建造において溶接の効率化、自動化および省力化を目的として、溶接ロボットが急速に普及している。この場合の溶接用ワイヤは、例えば100〜400kgをペールパックに収納された溶接用ワイヤが、その良好な溶接作業性および高能率であることから急激に使用量が増加している。また、このような溶接ロボットなどの自動化された使用環境で使用されるペールパック入り溶接用ワイヤに対する性能の要求は、溶接部へのターゲット性、すなわちワイヤの狙い位置が安定で高精度の溶接が維持でき、さらに溶接部へのワイヤ狙いの初期設定の位置が常に精度よく連続して再現できることが必須となっている。
ペールパック入り溶接用ワイヤを引き出したとき、コイルばねを引き伸ばした場合と同様な捩れがワイヤに発生する。このため取り出し時に発生する捩れとは反対方向に、ワイヤ1巻き当たり360°の捩れをワイヤ装填時に与えている。これによりワイヤ引き出し時にこの捩れが戻されてワイヤの直進性が得られるようにしている。
しかし、ワイヤの機械的性質や装填前のワイヤの曲がりなどによって装填されたワイヤは塑性変形を受け、ワイヤそのものに内在する弾性的な捩り角度は220〜300°程度になる。このようなペールパック溶接用ワイヤを引き出すと、コンジットチューブ内でワイヤが中心軸周りに回転、かつ、うねりながら、すなわち螺旋状に回転しながら送給され、溶接トーチから出るワイヤ先端部は、回転とともにうねりながら溶接部へ送られる。したがって、溶接部へのワイヤの狙いが不安定で、溶接ビードが溶接線から外れて精度良く溶接できない場合があった。
図4は、前記ペールパック入り溶接用ワイヤのターゲット性試験の結果を示す。試験方法は、図1に示すように溶接トーチ7先端の給電チップ8から150mm垂直方向に離してターゲット面9を配置し、インチング操作で溶接用ワイヤを送給し、ワイヤ先端がターゲット面9に当たる位置を測定する。ワイヤを給電チップ8の所で切断し再度ターゲット面に当たるまで送給することを繰り返して、150mmごとに連続的に測定する。図4に示すように溶接トーチから出るワイヤ先端部は、ワイヤの中心軸周りの回転とうねりによってΔX、ΔYの距離だけ移動する。なお、図中Sは、ターゲット面の中心を示す。
従来、ターゲット性を改善する方法として、例えば特開昭62−289371号公報(特許文献1)に開示されているように、ペールパックからコンジットチューブを経て引き出された溶接用ワイヤをワイヤ送給装置手前でローラに巻き付ける技術がある。これは溶接用ワイヤに発生する捩れをローラで遮断してワイヤの中心軸周りの回転とうねりのない溶接用ワイヤを溶接トーチに供給するものである。
また、特開平9−277047号公報(特許文献2)には、ペールパックからコンジットチューブを経て引き出された溶接用ワイヤをワイヤ送給装置手前でワイヤ送給路に沿って交互に配置された3〜5個の矯正ローラで直線状に矯正する矯正ローラ組と、この矯正ローラ組から送られた溶接用ワイヤをローラに巻き付けて、一定の曲率を付与させた溶接用ワイヤを溶接トーチに供給する技術が示されている。
これら特許文献1および特許文献2に記載の技術においては、常に一定方向に巻き癖が付いた状態で溶接用ワイヤを溶接トーチに送給するようにしたものであるから、矯正ローラおよび巻付けローラによってワイヤの中心軸周りの回転は止められる。これによってY方向へのうねりがなくなりワイヤ先端の振れは小さくなるが、図5に示すようにX方向へのうねりが残ってワイヤ先端の振れは完全には改善されずΔXが大きい。したがって、溶接線がY方向の場合、溶接ビードが溶接線から著しく逸れるという問題があった。
さらに、矯正ローラおよび巻付けローラによってワイヤの中心軸周りの回転は止められるが、ローラに至るまでに回転した捩れはコンジットチューブ内に蓄積されてペールパック側に捩れが開放され、ペールパック内の溶接用ワイヤが装填時の捩り方向とは逆にキンクしてペールパック内のループ径が小さくなって空洞部への落ち込みからみやもつれが生じるという問題もあった。
特開昭62−289371号公報 特開平9−277047号公報
本発明は、ペールパックから引き出された溶接用ワイヤを、ビード蛇行が生じることなく高精度な溶接ビードが得られるように送給できるとともに、ペールパック内の溶接用ワイヤのもつれやからみが生じないペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
(1)3個以上のローラを有する矯正器を1ユニットとし、複数のユニットを連接してペールパック入りの溶接用ワイヤを引き出す方法において、最終ユニットの入口前でワイヤ長さ3000mmを採取し、平面上に置いたときの平面からの最大高さが300mm以下となるように最終ユニット前の各ユニットのローラを調整し、最終ユニットの出口のワイヤ形状を直径150〜3000mmの円形に塑性変形させながら引き出すことを特徴とするペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
(2)n個のローラを有する最終ユニット内のローラn個目とn−2個目を固定し、該固定ローラの間隔Lを20〜100mm、前記固定ローラとn−1個目の調整ローラ直径Dを10〜50mm、n−1個目の調整ローラ押込み量Pを0.1〜5.0mm、ワイヤの平均降伏応力YP[N/mm]から、最終ユニット出口でワイヤが受ける塑性変形指数δを下記式により算出した値で0.01〜0.50とすることを特徴とする(1)に記載のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
δ=10P/(L×D×YP) ・・・・(式)
(3)各ユニットのローラ数nを3〜9個、ユニット数を2〜5個、各ユニット間の取り付け角度を60°〜90°とすることを特徴とする(1)または(2)に記載のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
(4)連接したユニットはペールパック取り出し口とワイヤ送給装置の間に設置することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法にある。
本発明のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法によれば、ペールパックから引き出された溶接用ワイヤをビード蛇行が生じることなく高精度な溶接ビードが得られるように溶接部へ送給できる。また、溶接部へのワイヤ狙いの初期設定においても精度が良好で、溶接時に溶接トーチ位置を溶接線に合わせるように動かす必要はなくなるなど、手直し工数が低減し溶接部の品質が高められる。さらに、ペールパック内の溶接用ワイヤにもつれやからみが生じることがないので高能率な溶接が可能となる。
本発明のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法の例を示す図である。 矯正器を3個連接した、本発明に用いるローラユニットの例を示す図である。 矯正器を2個連接した、本発明に用いるローラユニットの例を示す図で、(a)、(b)は90°異なる方向から見た図である。 ターゲット性試験の結果を示す図である。 ターゲット性試験の結果を示す図である。 ターゲット性試験の結果を示す図である。
本発明のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法の例を図1に示す。ペールパック1内に捩りを与えて収納された溶接用ワイヤ2は、ペールパック1からワイヤ送給装置3によって引き出されるが、図2に示すように、ペールパック引き出し口の上部に3個以上のローラ(図2では5個)を有する矯正器を1ユニットとし、2〜5ユニット(図2では3ユニット)で構成されるローラユニット4、5、6が設けられている。
これら3個のローラユニット4、5、6はローラの軸方向が相互に60°〜90°(図2では90°)異なる位置に、溶接用ワイヤ引き出し路に沿って連接されている。溶接用ワイヤ2は3個のローラユニット4、5、6で円形に塑性変形されてワイヤの中心軸周りの回転およびうねりが止まり、コンジットチューブ10、ワイヤ送給装置3およびコンジットチューブ11を経て溶接トーチ7に送られて溶接に供される。
ペールパック1から引き出された溶接用ワイヤ2は第1のローラユニット4に送られ、まず第1のローラユニット4の回転自在な固定ローラ41、43、45間に配置した調整ローラ42、44を、調整ねじ46で調整して溶接用ワイヤを円形に予備変形させる。
次に第1のローラユニット4に対してローラの軸方向を60°〜90°変えた第2のローラユニット5を連接させる。第2のローラユニットでも同様に、回転自在な固定ローラ間に配置した調整ローラを調整ねじ56で調整して溶接用ワイヤを予備変形させる。このとき第2のローラユニット5出口のワイヤ形状は、ワイヤ長さ3000mmを採取して平面上に置いた状態で、平面からの最大高さが300mm以下となるように調整する。
第1および第2のローラユニット4、5のみではワイヤの中心軸周りの回転は完全には止められず、第1および第2のローラユニット4、5による塑性変形量にもよるがワイヤが中心軸周りに90〜360°回転する。このため、第1および第2のローラユニット4、5に対してローラの軸方向を60°〜90°変えた第3のローラユニット6を、溶接用ワイヤ引き出し路に沿って連接させる。
第3のローラユニット6では、第1や第2のローラユニットと同様に回転自在な固定ローラ間に配置した調整ローラを調整ねじで調整して溶接用ワイヤを円形に塑性変形させ、ワイヤの中心軸周りの回転を完全に止める。さらに、溶接用ワイヤ装填時に受けた溶接用ワイヤの複雑な曲がりを第1、第2のローラユニット4,5で予備変形した後、第3のローラユニット6で一定方向に円形に塑性変形するので、溶接用ワイヤ2の長手方向のうねりもなくなる。
第1、第2および第3のローラユニット4、5、6から送られた溶接用ワイヤ2は、コンジットチューブ10、11が上下方向のみの屈曲であるとすると、コンジットチューブ10の屈曲Aから屈曲Bに到達するとワイヤ中心軸が180°回転し、ワイヤ送給装置3を経てコンジットチューブ11の屈曲Cで屈曲Bでの回転による応力で逆方向に180°ワイヤ中心軸が回転して溶接トーチ7に送られる。したがって、コンジットチューブ10、11内で一方向に回転しないので給電チップ8から出た溶接用ワイヤ2は、図6にターゲット性試験結果を示すようにΔXおよびΔYともに小さくターゲット性が良好となる。
なお、コンジットチューブ10、11の屈曲が上下方向と左右方向が混在する場合においても、上下方向から左右後行に屈曲した場合は屈曲に併せてワイヤ中心軸が90°回転するのみで、給電チップ8から出る溶接用ワイヤ2のターゲット性は良好である。
第1および第2のローラユニット4、5で溶接用ワイヤ2を予備変形させたときのワイヤ形状は、第2のローラユニット5の出口でワイヤ長さ3000mmを採取し、平面上に置いた状態で測定した平面からの最大高さが300mm以下とする。最大高さが300mmを超えると、ワイヤ中心軸周りのうねりが大きくなる。このため最終ユニットで円形に塑性変形させることができず、給電チップ8から出た溶接用ワイヤ2は、図4に示すようにΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。
第3のローラユニット6で溶接用ワイヤ2を円形に塑性変形するときの塑性変形量は直径150〜3000mmとする。円形の塑性変形量が直径150mm未満であると、コンジットチューブ10、11内での送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。一方、円形の塑性変形量が直径3000mmを超えると、第1、第2および第3のローラユニット4、5、6でワイヤの中心軸周りの回転とうねりを阻止できず、給電チップ8から出た溶接用ワイヤ2は、図4に示すようにΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。また、回転した捩れはペールパック側に捩れが開放されてからみやもつれが生じる場合がある。
なお、図2では矯正器は5個のローラを有する3個のローラユニット4,5、6について詳細に説明したが、ペールパック1内の溶接用ワイヤ2が曲がりなどの塑性変形量が少ない状態で装填されている場合は、図3(a)、(b)に示すように矯正器は3個のローラを有する2個のローラユニット(第1および第2)でも良い。これにより第1のローラユニット4の出口、すなわち最終ユニットの入口でワイヤ長さ3000mmを採取して平面上に置いたときの平面からの最大高さを300mm以下とすることができ、第2のローラユニット5、すなわち最終ユニットで溶接用ワイヤ2を円形に塑性変形するときの塑性変形量を直径150〜3000mmとすることができるので、ワイヤの中心軸周りの回転とうねりを阻止できる。したがって、給電チップ8から出た溶接用ワイヤ2は、図6にターゲット性試験結果を示すようにΔXおよびΔYともに小さくターゲット性が良好となる。また、ペールパック内でからみやもつれが生じることはない。
最終ローラユニットにおけるローラ数をn個としたとき、固定ローラn個目とn−2個目の間隔Lは20〜100mmとする。間隔Lが20mm未満の場合、最終ローラユニットでの送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。一方、間隔Lが100mmを超えると、固定ロール間で溶接用ワイヤ2のうねりが発生し、一様に塑性変形を与えることができないため、ΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。
また、前記固定ローラとn−1個目の調整ローラすなわち最終の調整ローラの直径Dは10〜50mmとする。直径Dが10mm未満の場合、最終ローラユニットでの送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。一方、直径Dが50mmを超えると、溶接用ワイヤ2に十分な塑性変形を与えることができず、ΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。
さらに、n−1個目の調整ローラ押込み量Pを0.1〜5.0mmとする。押込み量Pが0.1mm未満の場合、溶接用ワイヤ2に十分な塑性変形を与えることができず、目標とする円形が形成されない。そのため、ΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。一方、5.0mmを超えると、最終ローラユニット出口での円の直径が小さくなりコンジットチューブ10、11内での送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。
なお、本発明における溶接用ワイヤ2の円形への変形の調整は、図2および図3に示す各ローラユニット4、5、6における、固定ローラおよび調整ローラのローラ溝直径D[mm]の選択、固定ローラ間の距離L[mm]の選択、さらに最終の調整ローラの押し込み量P[mm]の調整、さらに予め測定した溶接用ワイヤ2の平均降伏応力YP[N/mm]より下記式にて算出される塑性変形指数δを0.01〜0.80とする。塑性変形指数δが0.01未満の場合、溶接用ワイヤ2に十分な塑性変形を与えることができず、目標とする円形が形成されない。そのため、ΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。一方、塑性変形指数δが0.50を超えると、最終ローラユニット出口での円の直径が小さくなりコンジットチューブ10、11内での送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。
δ=10P/(L×D×YP) ・・・・(式)
また、各ローラユニット内のローラ数nを3〜9個とする。ローラ数が3個未満の場合、ペールパック1内の溶接用ワイヤ2に内在するうねりを完全に除去することができず、ΔXおよびΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。一方、ローラ数が9個を超えると、ローラユニット4、5、6での送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。
ローラユニットを複数設けず、1つのローラユニットのみで溶接用ワイヤ2を円形に塑性変形させた場合は、ワイヤ長さ3000mmを採取して平面上に置いたときの平面からの最大高さが300mmを超えて、前述のようにワイヤ中心軸周りの回転が完全には止められず略90°回転するので、ターゲット性試験でΔX、ΔYが共に大きくなる。また、回転した捩れはペールパック側に捩れが開放されてからみやもつれが生じる場合がある。一方、ローラユニットの数が5個を超えると、ローラユニットでの送給抵抗が大きくなってワイヤ送給性が不良となる。
各ローラユニット間の取り付け角度は90°として連接する。取り付け角度がワイヤ引き出し線を中心とする回転角として90°±30°の範囲外の場合、ペールパック1内のワイヤに内在するうねりを完全に除去できず、ΔX及びΔYが大きくなってターゲット性が不良となる。したがってローラユニット間の取り付け角度は60°〜90°とする。また、連接したローラユニットはペールパックからの引き出し口とワイヤ送給装置の間に設置することによって前述の効果が得られる。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
ワイヤの平均降伏応力の異なるワイヤ径1.2mmの溶接用ソリッドワイヤ(JIS Z3312 YGW11)を250kgペールパックに装填(ワイヤ1巻き当りの捩り角度:280°)して試験に供した。試験は図1に示す溶接用ワイヤの引き出し装置を用いて、図2に代表される3個以上のローラを有する矯正器を1ユニットとし、複数のユニットを連接してペールパック引き出し口に設け、表1に示すように矯正器の構成およびワイヤへの塑性変形量を種々変えてターゲット性、ワイヤ送給性およびペールパック内でのからみやもつれの有無について調査した。
Figure 2013212511
ターゲット性の調査は、図1に示すように給電チップ8先端から垂直方向に150mm離してターゲット面9を配置した。そしてインチング操作で溶接用ワイヤ2を送給し、溶接用ワイヤ2の先端がターゲット面9に当たったら給電チップ8のところで溶接用ワイヤ2を切断して再度送給することを連続的に繰り返して、150mm毎に150回ターゲット面9に当たった位置を測定した。これにより図4〜図6に示すようにX方向およびY方向ともにその最大距離ΔXおよびΔYを調べた。なお、実際の溶接においては、ワイヤ突き出し長さが20〜25mmであるので前記給電チップ7から150mmの位置でのΔXおよびΔYが20mm以下であれば、ビード蛇行は発生しない。
ワイヤ送給性およびペールパック内でのからみやもつれの有無は、図1に示す溶接装置を用いて、表2に示す溶接条件で30分間溶接して調べた。ワイヤ送給性の調査は、ワイヤ送給装置3の送給モータの電機子電流を測定したが、電機子電流が3Aを超えるとアーク長が変化してアークが不安定となる。それらの結果を表3に示す。
Figure 2013212511
Figure 2013212511
表1および表3において、試験No.1〜8が本発明例、試験No.9〜18は比較例である。本発明例である試験No.1〜8は、矯正器のユニット数、ローラ数および各ユニット連接時の取り付け角度が適正であるので、最終ユニット前で採取したワイヤの平面からの高さが低く、矯正器の最終ユニットでのローラ間隔、ローラ直径、押し込み量および塑性変形量が適正で、円形の塑性変形量が適正であるのでΔXおよびΔYが小さくターゲット性が良好で、電機子電流が低くワイヤ送給性も良好で、ペールパック内でのからみやもつれが生じることがなく極めて満足な結果であった。
比較例中試験No.9は、矯正器のユニット数が1個であるので、最終ユニット前で採取したワイヤの平面からの高さが大きくなり溶接用ワイヤの長手方向のうねりを除去することができず、ΔXおよびΔYが大きくターゲット性が不良であった。またワイヤ送給装置3のローラに至るまでのワイヤの捩れがコンジットチューブ内に蓄積されてペールパック側に捩れが開放され、ペールパック内のループ径が小さくなって空洞部に落ち込み、もつれも生じた。
試験No.10は、矯正器のユニット数が多いので、溶接用ワイヤの送給抵抗が大きくなり、電機子電流が高くワイヤ送給性が不良であった。また、矯正器の最終ユニット内の5個目と7個目のローラ間隔が広いので、溶接用ワイヤの塑性変形が少なく最終ユニット出口での円の直径が大きくなり、ΔXおよびΔYが大きくなりターゲット性が不良であった。
試験No.11は、矯正器の各ユニットのローラ数が多いので、溶接用ワイヤの送給抵抗が大きくなり、電機子電流が高くワイヤ送給性が不良であった。また、矯正器の最終ユニット内のローラ直径が大きいので、溶接用ワイヤの塑性変形が少なく最終ユニット出口での円の直径が大きくなり、ΔXおよびΔYが大きくターゲット性が不良であった。
試験No.12は、矯正器の各ユニット間の取り付け角度が小さいので、最終ユニット前で採取したワイヤの平面からの高さが大きくなり溶接用ワイヤの長手方向のうねりを除去することができず、ΔXおよびΔYが大きくターゲット性が不良であった。また、矯正器の最終ユニット内の5個目と7個目のローラ間隔が狭いので、最終ユニットでの溶接用ワイヤの送給抵抗が大きくなり、電機子電流が高くワイヤ送給性が不良であった。
試験No.13は、矯正器の各ユニット間の取り付け角度が小さいので、最終ユニット前で採取したワイヤの平面からの高さが大きくなり溶接用ワイヤの長手方向のうねりを除去することができず、ΔXおよびΔYが大きくターゲット性が不良であった。
試験No.14は、矯正器の最終ユニット内のローラ直径が小さいので、溶接用ワイヤの塑性変形が大きく最終ユニット出口での円の直径が小さくなりコンジットチューブ内での溶接用ワイヤの送給抵抗が大きく、電機子電流が高くワイヤ送給性が不良であった。
試験No.15は、矯正器の最終ユニット内のローラ押込み量が少ないので、溶接用ワイヤの塑性変形が少なく最終ユニット出口での円の直径が大きくなり、ΔXおよびΔYが大きくなりターゲット性が不良であった。
試験No.16は、矯正器の最終ユニット内のローラ押込み量が多いので、溶接用ワイヤの塑性変形が大きく最終ユニット出口での円の直径が小さくなり、コンジットチューブ内での溶接用ワイヤの送給抵抗が大きいため電機子電流が高くワイヤ送給性が不良であった。
試験No.17は、矯正器の最終ユニット内の塑性変形指数が小さいので、溶接用ワイヤの塑性変形が少なく最終ユニット出口での円の直径が大きくなり、ΔXおよびΔYが大きくなりターゲット性が不良であった。
試験No.18は、矯正器の最終ユニット内の塑性変形指数が大きいので、溶接用ワイヤの塑性変形が大きく最終ユニット出口での円の直径が小さくなり、コンジットチューブ内での溶接用ワイヤの送給抵抗が大きいため電機子電流が高くワイヤ送給性が不良であった。
1 ペールパック
2 溶接用ワイヤ
3 ワイヤ送給装置
4 第1のローラユニット
5 第2のローラユニット
6 第3のローラユニット
7 溶接トーチ
8 給電チップ
9 ターゲット面
10、11 コンジットチューブ
41、43、45、51、53 固定ローラ
42、44、52 調整ローラ
46、56、66 調整ねじ

Claims (4)

  1. 3個以上のローラを有する矯正器を1ユニットとし、複数のユニットを連接してペールパック入りの溶接用ワイヤを引き出す方法において、最終ユニットの入口前でワイヤ長さ3000mmを採取し、平面上に置いたときの平面からの最大高さが300mm以下となるように最終ユニット前の各ユニットのローラを調整し、最終ユニットの出口のワイヤ形状を直径150〜3000mmの円形に塑性変形させながら引き出すことを特徴とするペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
  2. n個のローラを有する最終ユニット内のローラn個目とn−2個目を固定し、該固定ローラの間隔Lを20〜100mm、前記固定ローラとn−1個目の調整ローラ直径Dを10〜50mm、n−1個目の調整ローラ押込み量Pを0.1〜5.0mm、ワイヤの平均降伏応力YP[N/mm]から、最終ユニット出口でワイヤが受ける塑性変形指数δを下記式により算出した値で0.01〜0.50とすることを特徴とする請求項1に記載のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
    δ=10P/(L×D×YP) ・・・・(式)
  3. 各ユニットのローラ数nを3〜9個、ユニット数を2〜5個、各ユニット間の取り付け角度を60°〜90°とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
  4. 連接したユニットはペールパック取り出し口とワイヤ送給装置の間に設置することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のペールパック入り溶接用ワイヤの引き出し方法。
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