JP2013212433A - 熱膨張性マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡成形体の外観を向上させることのできる粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することのできる熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【解決手段】無機塩水溶液に、コロイダルシリカ分散液を添加してコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製する工程と、前記水性分散媒体に、重合性モノマー、揮発性液体及び重合開始剤を含有する油性物質を懸濁させて乳化液を調製する工程と、前記重合性モノマーを重合させる工程とを有し、前記水性分散媒体を調製する工程において、前記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量が3〜15重量%であり、前記コロイダルシリカ分散液を、前記水性分散媒体の濁度が4〜14度となるように添加する熱膨張性マイクロカプセルの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】無機塩水溶液に、コロイダルシリカ分散液を添加してコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製する工程と、前記水性分散媒体に、重合性モノマー、揮発性液体及び重合開始剤を含有する油性物質を懸濁させて乳化液を調製する工程と、前記重合性モノマーを重合させる工程とを有し、前記水性分散媒体を調製する工程において、前記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量が3〜15重量%であり、前記コロイダルシリカ分散液を、前記水性分散媒体の濁度が4〜14度となるように添加する熱膨張性マイクロカプセルの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、発泡成形体の外観を向上させることのできる粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することのできる熱膨張性マイクロカプセルの製造方法に関する。
医療用部材、又は、自動車、鉄道、線路、橋梁、建物等に用いられる部材として、従来から、ゴム、熱可塑性エラストマー等の基材樹脂を板状等に成形した、クッション性、制振性等の性能に優れた成形体が用いられている。また、クッション性、制振性等の性能を更に向上させるために、基材樹脂を発泡成形することが検討されている。
基材樹脂を発泡成形する方法として、例えば、基材樹脂に、加熱すると分解してガスが発生するアゾジカルボンアミド等の化学発泡剤を加えて発泡成形する方法、炭酸ガス等のガスの溶解性を高めて基材樹脂に溶解させ、その後にガスの溶解性を下げることでガスを発生させる方法等が挙げられる。しかしながら、このような発泡成形体は繰り返し圧縮に対する耐疲労性が不充分であり、また、強度が低く、使用時に成形体表面が膨れたり、引き裂かれたり、剥がれたりすることもある。
一方、基材樹脂を発泡成形する方法として、基材樹脂に、ポリマーを含有するシェルにコア剤として揮発性液体を内包する熱膨張性マイクロカプセルを加えて発泡成形する方法も提案されている。このような熱膨張性マイクロカプセルとして、例えば、特許文献1には、主成分となるモノマーがアクリロニトリルであり、カルボキシル基を含有するモノマー、カルボキシル基と反応する基を持つモノマーを必須成分として重合して得られたポリマーを外殻とし、該ポリマーの軟化温度以下の沸点を有する液体を内包する熱膨張性マイクロカプセルが記載されている。
熱膨張性マイクロカプセルを用いた場合、発泡成形体中の気泡は熱膨張性マイクロカプセルのシェルにより形成されることとなる。そのため、熱膨張性マイクロカプセルのシェルが補強材のように働き、加熱すると分解してガスが発生する化学発泡剤を用いた場合等と比べて、繰り返し圧縮に対する耐疲労性、及び、強度が改善される。しかしながら、例えば表面が平滑で外観の良好な発泡成形体を製造するためには、粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルが求められているのに対し、従来の製造方法では、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径を調整することは容易ではなかった。
本発明は、発泡成形体の外観を向上させることのできる粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することのできる熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、無機塩水溶液に、コロイダルシリカ分散液を添加してコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製する工程と、前記水性分散媒体に、重合性モノマー、揮発性液体及び重合開始剤を含有する油性物質を懸濁させて乳化液を調製する工程と、前記重合性モノマーを重合させる工程とを有し、前記水性分散媒体を調製する工程において、前記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量が3〜15重量%であり、前記コロイダルシリカ分散液を、前記水性分散媒体の濁度が4〜14度となるように添加する熱膨張性マイクロカプセルの製造方法である。
以下、本発明を詳述する。
以下、本発明を詳述する。
一般に、熱膨張性マイクロカプセルは、無機塩水溶液に、コロイダルシリカ分散液を添加して分散安定剤としてのコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製し、該水性分散媒体に重合性モノマー、揮発性液体及び重合開始剤を含有する油性物質を懸濁させた状態で重合性モノマーを重合させることにより製造される。
熱膨張性マイクロカプセルの粒子径を小さくするためには、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を増やすことが有効であることが知られている。しかしながら、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を増やすと、表面に多量のコロイダルシリカが付着した熱膨張性マイクロカプセルが得られ、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりするという問題がある。また、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を増やすと、水性分散媒体が増粘してしまい、油性物質を懸濁させることが困難となる。
本発明者は、最終的に得られる熱膨張性マイクロカプセルの粒子径は、単なる水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量ではなく、分散安定剤として作用するコロイダルシリカ凝集体の大きさと密接に関連しており、コロイダルシリカ凝集体を小さくすることで熱膨張性マイクロカプセルの粒子径も小さくなることを見出した。本発明者は、コロイダルシリカが凝集体を形成する前のコロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を所定範囲内とし、かつ、形成した凝集体の大きさを間接的に示す水性分散媒体の濁度を所定範囲内とすることで、小さなコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体とすることが可能となり、その結果、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、少量のコロイダルシリカで生産性よく製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
熱膨張性マイクロカプセルの粒子径を小さくするためには、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を増やすことが有効であることが知られている。しかしながら、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を増やすと、表面に多量のコロイダルシリカが付着した熱膨張性マイクロカプセルが得られ、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりするという問題がある。また、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を増やすと、水性分散媒体が増粘してしまい、油性物質を懸濁させることが困難となる。
本発明者は、最終的に得られる熱膨張性マイクロカプセルの粒子径は、単なる水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量ではなく、分散安定剤として作用するコロイダルシリカ凝集体の大きさと密接に関連しており、コロイダルシリカ凝集体を小さくすることで熱膨張性マイクロカプセルの粒子径も小さくなることを見出した。本発明者は、コロイダルシリカが凝集体を形成する前のコロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を所定範囲内とし、かつ、形成した凝集体の大きさを間接的に示す水性分散媒体の濁度を所定範囲内とすることで、小さなコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体とすることが可能となり、その結果、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、少量のコロイダルシリカで生産性よく製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法では、まず、無機塩水溶液に、コロイダルシリカ分散液を添加してコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製する工程を行う。
無機塩水溶液にコロイダルシリカ分散液を添加することで、コロイダルシリカが凝集し、コロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体が得られる。このようなコロイダルシリカ凝集体は、分散安定剤として作用する。より詳細には、懸濁後の油性物質からなる液滴の表面に付着し、液滴を安定させる。
無機塩水溶液にコロイダルシリカ分散液を添加することで、コロイダルシリカが凝集し、コロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体が得られる。このようなコロイダルシリカ凝集体は、分散安定剤として作用する。より詳細には、懸濁後の油性物質からなる液滴の表面に付着し、液滴を安定させる。
上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量は、下限が3重量%、上限が15重量%である。
上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を上記範囲内とし、かつ、上記水性分散媒体の濁度を所定範囲内とすることで、小さなコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体とすることが可能となり、その結果、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、少量のコロイダルシリカで生産性よく製造することができる。
コロイダルシリカ含有量が3重量%未満であると、コロイダルシリカ凝集体が小さすぎ、懸濁後の油性物質からなる液滴が不安定化し、凝集が生じたり粒子化できなかったりする。コロイダルシリカ含有量が15重量%を超えると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径が大きくなる。また、粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルが得られたとしても表面に多量のコロイダルシリカが付着し、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりする。コロイダルシリカ含有量の好ましい上限は14重量%、より好ましい上限は10重量%である。
上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を上記範囲内とし、かつ、上記水性分散媒体の濁度を所定範囲内とすることで、小さなコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体とすることが可能となり、その結果、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、少量のコロイダルシリカで生産性よく製造することができる。
コロイダルシリカ含有量が3重量%未満であると、コロイダルシリカ凝集体が小さすぎ、懸濁後の油性物質からなる液滴が不安定化し、凝集が生じたり粒子化できなかったりする。コロイダルシリカ含有量が15重量%を超えると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径が大きくなる。また、粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルが得られたとしても表面に多量のコロイダルシリカが付着し、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりする。コロイダルシリカ含有量の好ましい上限は14重量%、より好ましい上限は10重量%である。
上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカの形状として、例えば、球状、鎖状等が挙げられる。これらのなかでは、コロイダルシリカが凝集体を形成する過程において、パッキングが容易であることから、球状が好ましい。
上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカの平均粒子径の好ましい下限は5nm、好ましい上限は50nmである。平均粒子径が5nm未満であると、コロイダルシリカ凝集体が小さすぎ、懸濁後の油性物質からなる液滴が不安定化することがあり、50nmを超えると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径が大きくなることがあり、粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルが得られたとしても表面に多量のコロイダルシリカが付着し、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりすることがある。平均粒子径のより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は30nmである。
上記水性分散媒体を調製する工程では、上記コロイダルシリカ分散液を、上記水性分散媒体の濁度が4〜14度となるように添加する。
濁度は、コロイダルシリカ凝集体の大きさを間接的に示すことから、上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を上記範囲内とし、かつ、上記水性分散媒体の濁度を上記範囲内とすることで、小さなコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体とすることが可能となり、その結果、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、少量のコロイダルシリカで生産性よく製造することができる。
濁度が4度未満であると、コロイダルシリカ凝集体が小さく、懸濁後の油性物質からなる液滴が不安定化することがあり、14度を超えると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径が大きくなることがあり、粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルが得られたとしても表面に多量のコロイダルシリカが付着し、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりすることがある。濁度のより好ましい下限は5度、より好ましい上限は11度である。
濁度は、コロイダルシリカ凝集体の大きさを間接的に示すことから、上記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を上記範囲内とし、かつ、上記水性分散媒体の濁度を上記範囲内とすることで、小さなコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体とすることが可能となり、その結果、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、少量のコロイダルシリカで生産性よく製造することができる。
濁度が4度未満であると、コロイダルシリカ凝集体が小さく、懸濁後の油性物質からなる液滴が不安定化することがあり、14度を超えると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径が大きくなることがあり、粒子径の小さい熱膨張性マイクロカプセルが得られたとしても表面に多量のコロイダルシリカが付着し、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりすることがある。濁度のより好ましい下限は5度、より好ましい上限は11度である。
なお、濁度は、濁度計(例えば、笠原理化社製「TCR−30」)を用いて測定することができる。精製水1Lに対し、カオリン、ホルマジン等の標準物質1mgを含ませ、均一に分散させた懸濁液の濁りが濁度1度と定義される。
上記水性分散媒体の濁度を上記範囲内とする方法として、コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量を上記範囲内とすることに加えて、コロイダルシリカ分散液の投入速度を調整したり、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量を調整したりする方法が好ましい。
上記水性分散媒体を調製する工程では、上記コロイダルシリカ分散液を、7.0〜20.0m/秒の投入速度で添加することが好ましい。投入速度が7.0m/秒未満であると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、濁度を上記範囲内とすることができないことがあり、投入速度が20.0m/秒を超えると、コロイダルシリカ凝集体が小さく、濁度を上記範囲内とすることができないことがあり、熱膨張性マイクロカプセルが得られないこともある。
上記水性分散媒体を調製する工程では、上記コロイダルシリカ分散液を、7.0〜20.0m/秒の投入速度で添加することが好ましい。投入速度が7.0m/秒未満であると、コロイダルシリカ凝集体が大きく成長しすぎ、濁度を上記範囲内とすることができないことがあり、投入速度が20.0m/秒を超えると、コロイダルシリカ凝集体が小さく、濁度を上記範囲内とすることができないことがあり、熱膨張性マイクロカプセルが得られないこともある。
上記水性分散媒体を調製する工程では、上記コロイダルシリカ分散液を、上記水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量が3〜4重量%となるように添加することが好ましい。水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量が3重量%未満であると、懸濁後の油性物質からなる液滴が不安定化することがあり、4重量%を超えると、熱膨張性マイクロカプセルの表面に多量のコロイダルシリカが付着し、発泡成形体の表面に白い斑点模様が生じて外観が損なわれたり、軽量化が不充分となったりすることがある。
上記無機塩水溶液中の無機塩は特に限定されず、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの無機塩のなかでは、塩化ナトリウムが好ましい。
上記水性分散媒体を調製する工程では、上記水性分散媒体中の無機塩含有量を10〜26重量%とすることが好ましい。無機塩含有量が10重量%未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの凝集を抑制する効果が充分に得られないことがあり、26重量%を超えると、水性分散媒体中で未溶解の無機塩が増え、このような無機塩の固体粉末が凝集又は異常反応の起点となることがある。
上記水性分散媒体には、補助安定剤を更に添加してもよい。
上記補助安定剤として、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、水溶性窒素含有化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。これらの補助安定剤のなかでは、縮合生成物が好ましく、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物がより好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合生成物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
上記補助安定剤として、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、水溶性窒素含有化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。これらの補助安定剤のなかでは、縮合生成物が好ましく、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物がより好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合生成物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
上記水溶性窒素含有化合物として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレート等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好ましい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法では、次いで、上記水性分散媒体に、重合性モノマー、揮発性液体及び重合開始剤を含有する油性物質を懸濁させて乳化液を調製する工程を行う。
上記重合性モノマーは、カルボキシル基含有モノマーを含有することが好ましい。重合性モノマーにカルボキシル基含有モノマーを含有させることにより、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性及び耐久性を向上させることができる。なお、通常、カルボキシル基含有モノマーを用いると熱膨張性マイクロカプセルの凝集が生じやすくなるが、本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法によれば、所望の粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することができる。
上記カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸、これらの塩又は無水物等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのなかでは、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
上記カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸、これらの塩又は無水物等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのなかでは、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
上記重合性モノマー中の上記カルボキシル基含有モノマーの含有量は、好ましい下限が1重量%、好ましい上限が50重量%である。カルボキシル基含有モノマーの含有量が1重量%未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性又は耐久性が不充分となることがあり、50重量%を超えると、熱膨張性マイクロカプセルが凝集しやすくなって安定的に得られなかったり、シェルのガスバリア性が低下することにより、発泡倍率が低下したりすることがある。カルボキシル基含有モノマーの含有量のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は40重量%である。
上記重合性モノマーは、ニトリル系モノマーを含有することが好ましい。重合性モノマーにニトリル系モノマーを含有させることにより、熱膨張性マイクロカプセルに高い耐熱性及びガスバリア性を付与することができる。
上記ニトリル系モノマーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのなかでは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
上記ニトリル系モノマーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのなかでは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
上記重合性モノマー中の上記ニトリル系モノマーの含有量は、好ましい下限が50重量%、好ましい上限が99重量%である。ニトリル系モノマーの含有量が50重量%未満であると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルのガスバリア性が低下することにより、発泡倍率が低下することがあり、99重量%を超えると、カルボキシル基含有モノマーの含有量が低下して、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性又は耐久性が不充分となることがある。ニトリル系モノマーのより好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は95重量%である。
上記重合性モノマーは、上記ニトリル系モノマー、上記カルボキシル基含有モノマー以外の他のモノマー(以下、単に他のモノマーともいう)を含有してもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、熱膨張性マイクロカプセルに必要とされる特性に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記他のモノマーとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等も挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、熱膨張性マイクロカプセルに必要とされる特性に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記他のモノマーとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等も挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合性モノマー中の上記他のモノマーの含有量は特に限定されないが、好ましい上限が40重量%である。他のモノマーの含有量が40重量%を超えると、ニトリル系モノマーの含有量が低下して、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性又はガスバリア性が低下することにより、発泡倍率が低下することがある。
上記重合性モノマーが上記カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、上記重合性モノマーには、熱硬化性樹脂を添加してもよい。重合性モノマーに熱硬化性樹脂を添加することにより、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時にカルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基と熱硬化性樹脂とを反応させ、硬化させて、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性及び耐久性を更に向上させることができる。
上記熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノール樹脂として、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂として、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂は、ラジカル重合性の二重結合を有しないことが好ましい。ラジカル重合性の二重結合を有しない場合、熱硬化性樹脂は、重合性モノマーを重合させてなるポリマーの主鎖とは直接結合しないこととなる。このような場合、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡前にはシェルの柔軟性を高く保つことができ、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時にはじめて、カルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基と熱硬化性樹脂とを反応させ、硬化させることができる。
また、上記熱硬化性樹脂は、カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有することが好ましい。カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有することで、熱硬化性樹脂は、より強固な硬化性を有することができ、これにより、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性及び耐久性を大幅に向上させることができる。
上記カルボキシル基と反応する官能基として、例えば、エポキシ基、フェノール基、メチロール基、アミノ基等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ基が好ましい。1分子中の2個以上のカルボキシル基と反応する官能基は、同種であってもよく、2種以上の官能基であってもよい。
上記カルボキシル基と反応する官能基として、例えば、エポキシ基、フェノール基、メチロール基、アミノ基等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ基が好ましい。1分子中の2個以上のカルボキシル基と反応する官能基は、同種であってもよく、2種以上の官能基であってもよい。
ラジカル重合性の二重結合を有さず、かつ、カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、デナコールEX−622)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−622)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−421)、グリセロールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−313)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(デナコールEX−411)、レソルシノールジグリシジルエーテル(デナコールEX−201)、1,6−ヘキサネジオールジグリシジルエーテル(デナコールEX−212)、エチレン,ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−810)等が挙げられる。
上記重合性モノマー中の上記熱硬化性樹脂の含有量は特に限定されないが、好ましい下限が0.01重量%、好ましい上限が30重量%である。熱硬化性樹脂の含有量が0.01重量%未満であると、加熱発泡時に熱硬化特性が現れないことがあり、30重量%を超えると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルのガスバリア性が低下し、発泡が阻害されることがある。熱硬化性樹脂の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は15重量%である。
また、上記熱硬化性樹脂と上記カルボキシル基含有モノマーとの比率は、1倍以上(カルボキシル基含有モノマー/熱硬化性樹脂≧1)とすることが好ましい。上記範囲とすることで、熱硬化性樹脂の未反応部分を低減しながら、硬化性を確保することができる。
また、上記熱硬化性樹脂と上記カルボキシル基含有モノマーとの比率は、1倍以上(カルボキシル基含有モノマー/熱硬化性樹脂≧1)とすることが好ましい。上記範囲とすることで、熱硬化性樹脂の未反応部分を低減しながら、硬化性を確保することができる。
上記揮発性液体として、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル等の低分子量炭化水素、CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらのなかでは、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル、及び、これらの混合物が好ましい。
上記揮発性液体のなかでも、炭素数が10以下の低沸点炭化水素を用いることが好ましい。このような炭化水素を用いることにより、発泡倍率が高く、速やかに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
また、上記揮発性液体として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いてもよい。
また、上記揮発性液体として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いてもよい。
上記揮発性液体の含有量は、重合性モノマー100重量部に対する好ましい下限が10重量部、好ましい上限が50重量部である。揮発性液体の含有量が10重量部未満であると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルが厚くなりすぎ、高温でないと発泡できないことがあり、50重量部を超えると、熱膨張性マイクロカプセルのシェルの強度が低下し、発泡倍率が低下することがある。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が挙げられる。
上記過酸化ジアルキルは特に限定されず、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記過酸化ジアルキルは特に限定されず、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記過酸化ジアシルは特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記パーオキシエステルは特に限定されず、例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
上記パーオキシジカーボネートは特に限定されず、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
上記アゾ化合物は特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
上記重合開始剤の含有量は、重合性モノマー100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。重合開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、重合性モノマーの重合反応が充分に進行せず、熱膨張性マイクロカプセルが得られないことがあり、5重量部を超えると、重合性モノマーの重合反応が急激に開始することにより、凝集が生じやすくなったり、重合が暴走して安全上問題となったりすることがある。
上記重合性モノマーが上記カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、上記油性物質は、更に、金属カチオン塩を含有してもよい。油性物質に金属カチオン塩を含有させることにより、カルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基と金属カチオンとのイオン架橋を形成させることができる。これにより、熱膨張性マイクロカプセルは、シェルの架橋効率が上がって耐熱性が向上し、高温においても破裂及び収縮を生じにくく、発泡倍率が向上する。また、イオン架橋を形成することにより、熱膨張性マイクロカプセルは、高温においてもシェルの弾性率が低下しにくい。このような熱膨張性マイクロカプセルは、基材樹脂に配合された後、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形方法により成形される場合でも破裂及び収縮を生じにくく、発泡倍率が向上する。
上記金属カチオン塩を形成する金属カチオンは、例えば、上記カルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基とイオン架橋を形成することのできる金属カチオンであれば特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Zn、Mg、Ca、Ba、Sr、Mn、Al、Ti、Ru、Fe、Ni、Cu、Cs、Sn、Cr、Pb等のイオンが挙げられる。これらのなかでは、2〜3価の金属カチオンであるCa、Zn、Alのイオンが好ましく、Znのイオンが特に好ましい。
また、上記金属カチオン塩は、上記金属カチオンの水酸化物であることが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記金属カチオン塩は、上記金属カチオンの水酸化物であることが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属カチオン塩を2種以上併用する場合、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンからなる塩と、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属以外の金属カチオンからなる塩とを組み合わせて用いることが好ましい。上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンは、カルボキシル基を活性化することができ、カルボキシル基と上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属以外の金属カチオンとのイオン架橋形成を促進させることができる。
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属は特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Ca、Ba、Sr等が挙げられる。これらのなかでは、塩基性の強いNa、K等が好ましい。
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属は特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Ca、Ba、Sr等が挙げられる。これらのなかでは、塩基性の強いNa、K等が好ましい。
上記金属カチオン塩の含有量は特に限定されないが、重合性モノマー100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。金属カチオン塩の含有量が0.1重量部未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性を向上させる効果が充分に得られないことがあり、10重量部を超えると、熱膨張性マイクロカプセルの発泡倍率が低下することがある。
上記油性物質は、更に、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を含有してもよい。
上記水性分散媒体に上記油性物質を懸濁させて乳化液を調製する方法は特に限定されず、例えば、ホモミキサー又はホモディスパー(例えば、特殊機化工業社製)により攪拌する方法、スタティックミキサー(例えば、ノリタケエンジニアリング社製)、ラインミキサー、エレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法、マイクロチャネル法等が挙げられる。
なお、上記静止型分散装置には、上記水性分散媒体と上記油性物質とを別々に供給してもよく、予め上記水性分散媒体と上記油性物質とを攪拌混合し、得られた乳化液を供給してもよい。
なお、上記静止型分散装置には、上記水性分散媒体と上記油性物質とを別々に供給してもよく、予め上記水性分散媒体と上記油性物質とを攪拌混合し、得られた乳化液を供給してもよい。
また、上記重合性モノマー、上記揮発性液体、及び、上記重合開始剤を別々に上記水性分散媒体に添加して、上記水性分散媒体中で油性物質を調製してもよいが、通常は、予め上記重合性モノマー、上記揮発性液体、及び、上記重合開始剤を混合して油性物質としてから、上記水性分散媒体に添加する。この場合には、上記水性分散媒体と上記油性物質とを予め別々の容器で調製しておき、更に別の容器で攪拌しながら混合することにより、上記水性分散媒体に上記油性物質を懸濁させてもよい。
なお、上記重合開始剤は、予め上記油性物質に添加してもよく、上記水性分散媒体と上記油性物質とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記重合開始剤は、予め上記油性物質に添加してもよく、上記水性分散媒体と上記油性物質とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法では、次いで、上記重合性モノマーを重合させる工程を行う。
上記重合性モノマーを重合させる方法は特に限定されず、例えば、加熱することにより上記重合性モノマーを重合させる方法等が挙げられる。これにより、重合性モノマーを重合させてなるポリマーを含有するシェルに、コア剤として揮発性液体を内包する熱膨張性マイクロカプセルが得られる。得られた熱膨張性マイクロカプセルは、続いて、脱水する工程、乾燥する工程等を経てもよい。
上記重合性モノマーを重合させる方法は特に限定されず、例えば、加熱することにより上記重合性モノマーを重合させる方法等が挙げられる。これにより、重合性モノマーを重合させてなるポリマーを含有するシェルに、コア剤として揮発性液体を内包する熱膨張性マイクロカプセルが得られる。得られた熱膨張性マイクロカプセルは、続いて、脱水する工程、乾燥する工程等を経てもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法によれば、発泡成形体の外観を向上させることのできる粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法により得られる熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が2μm、好ましい上限が20μmである。体積平均粒子径が2μm未満であると、熱膨張性マイクロカプセルを基材樹脂に配合して成形する場合に、発泡倍率が低く発泡成形体の気泡が小さすぎ、クッション性、制振性等の性能又は軽量化が不充分となることがあり、20μmを超えると、表面が平滑で外観の良好な発泡成形体が得られないことがある。体積平均粒子径は、より好ましい下限が3μm、より好ましい上限が15μm、更に好ましい上限が10μmである。
なお、体積平均粒子径は、粒度分布計(例えば、堀場製作所社製「LA−910」)を用いて測定することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法により得られる熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が2μm、好ましい上限が20μmである。体積平均粒子径が2μm未満であると、熱膨張性マイクロカプセルを基材樹脂に配合して成形する場合に、発泡倍率が低く発泡成形体の気泡が小さすぎ、クッション性、制振性等の性能又は軽量化が不充分となることがあり、20μmを超えると、表面が平滑で外観の良好な発泡成形体が得られないことがある。体積平均粒子径は、より好ましい下限が3μm、より好ましい上限が15μm、更に好ましい上限が10μmである。
なお、体積平均粒子径は、粒度分布計(例えば、堀場製作所社製「LA−910」)を用いて測定することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法により得られる熱膨張性マイクロカプセルの最大発泡温度(Tmax)は特に限定されないが、好ましい下限が200℃である。最大発泡温度が200℃未満であると、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性が低くなり、発泡倍率が低下することがある。また、例えば、熱膨張性マイクロカプセルを用いてマスターバッチペレットを製造する場合に、ペレット製造時の剪断力により発泡が生じてしまい、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造できないことがある。最大発泡温度のより好ましい下限は210℃である。
なお、最大発泡温度とは、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大変位量となったときの温度を意味する。
なお、最大発泡温度とは、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大変位量となったときの温度を意味する。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法により得られる熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度(Ts)は、好ましい下限が130℃、好ましい上限が200℃である。発泡開始温度が200℃を超えると、熱膨張性マイクロカプセルを基材樹脂に配合して成形しようとしても、特に射出成形の場合には発泡倍率が上がらないことがある。発泡開始温度のより好ましい上限は180℃である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法により得られる熱膨張性マイクロカプセルの用途は特に限定されない。例えば、本発明の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法により得られる熱膨張性マイクロカプセルを基材樹脂に配合し、射出成形、押出成形等の成形方法を用いて成形することで、クッション性、制振性、遮熱性、断熱性、遮音性、吸音性、防振性、軽量化等を備えた発泡成形体を製造することができる。
本発明によれば、発泡成形体の外観を向上させることのできる粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することのできる熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜5及び比較例1〜5)
重合反応容器に、水250重量部と、コロイダルシリカ分散液(旭電化社製)と、ポリビニルピロリドン(第一工業製薬社製)0.8重量部と、塩化ナトリウム90重量部とを投入し、コロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製した。このときのコロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量(固形分濃度(初期濃度))、コロイダルシリカ分散液の投入速度、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量、得られた水性分散媒体について濁度計(笠原理化社製、TCR−30)を用いて測定した濁度を表1に示す。
重合反応容器に、水250重量部と、コロイダルシリカ分散液(旭電化社製)と、ポリビニルピロリドン(第一工業製薬社製)0.8重量部と、塩化ナトリウム90重量部とを投入し、コロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製した。このときのコロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量(固形分濃度(初期濃度))、コロイダルシリカ分散液の投入速度、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量、得られた水性分散媒体について濁度計(笠原理化社製、TCR−30)を用いて測定した濁度を表1に示す。
次いで、表1に示した配合比の重合性モノマー100重量部と、重合開始剤1重量部と、揮発性液体としてイソペンタン20重量部及びイソオクタン10重量部とからなる油性物質を水性分散媒体に添加し、懸濁させて、乳化液を調製した。得られた乳化液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器内へ仕込み、加圧(0.5MPa)しながら60℃で2時間反応させることより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥することにより、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた熱膨張性マイクロカプセルについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた熱膨張性マイクロカプセルについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)平均粒子径の測定
光回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−910)を用いて、熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径を測定した。
光回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−910)を用いて、熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径を測定した。
(2)凝集評価
熱膨張性マイクロカプセル100gを5分間篩(篩い目開き:150μm、線径:100μm、東京スクリーン社製)にかけ、篩の目開きをとおった熱膨張性マイクロカプセルの重量を測定した。下記式により熱膨張性マイクロカプセルの篩効率を算出し、篩効率が70%以下であった場合を「×」と、70%を超えて80%以下であった場合を「△」と、80%を超えた場合を「○」として評価した。
熱膨張性マイクロカプセル100gを5分間篩(篩い目開き:150μm、線径:100μm、東京スクリーン社製)にかけ、篩の目開きをとおった熱膨張性マイクロカプセルの重量を測定した。下記式により熱膨張性マイクロカプセルの篩効率を算出し、篩効率が70%以下であった場合を「×」と、70%を超えて80%以下であった場合を「△」と、80%を超えた場合を「○」として評価した。
篩効率={(篩の目開きをとおった熱膨張性マイクロカプセルの重量)/(篩にかける前の熱膨張性マイクロカプセルの重量)}×100
(3)表面粗さ
熱膨張性マイクロカプセルと、ポリエチレン(融点105℃)と、滑剤とを混合し、熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチを作製した。成形基材(ポリプロピレン)100重量部と、得られた熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチ7重量部と、顔料3重量部とを混合して発泡性樹脂組成物を作製し、この発泡性樹脂組成物を180〜220℃の成形温度で射出成形した。このとき、成形機のコアバック量を発泡成形体の板厚が3倍になるように設定した。発泡成形体の表面粗さ(Ra)を、走査プローブ顕微鏡(SPM)(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「L−trace」)を用いて、試料測定倍率50μm×50μmの範囲で測定した。
熱膨張性マイクロカプセルと、ポリエチレン(融点105℃)と、滑剤とを混合し、熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチを作製した。成形基材(ポリプロピレン)100重量部と、得られた熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチ7重量部と、顔料3重量部とを混合して発泡性樹脂組成物を作製し、この発泡性樹脂組成物を180〜220℃の成形温度で射出成形した。このとき、成形機のコアバック量を発泡成形体の板厚が3倍になるように設定した。発泡成形体の表面粗さ(Ra)を、走査プローブ顕微鏡(SPM)(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「L−trace」)を用いて、試料測定倍率50μm×50μmの範囲で測定した。
(4)外観評価(白斑点)
熱膨張性マイクロカプセルと、ポリエチレン(融点105℃)と、滑剤とを混合し、熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチを作製した。成形基材(ポリプロピレン)100重量部と、得られた熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチ7重量部と、顔料3重量部とを混合して発泡性樹脂組成物を作製し、この発泡性樹脂組成物を180〜220℃の成形温度で射出成形した。このとき、成形機のコアバック量を発泡成形体の板厚が3倍になるように設定した。発泡成形体の表面1cm2あたりの白斑点の個数を計測し、白斑点の個数が10個以内であった場合を「○」と、10個を超えた場合を「×」として評価した。
熱膨張性マイクロカプセルと、ポリエチレン(融点105℃)と、滑剤とを混合し、熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチを作製した。成形基材(ポリプロピレン)100重量部と、得られた熱膨張性マイクロカプセル含有発泡性マスターバッチ7重量部と、顔料3重量部とを混合して発泡性樹脂組成物を作製し、この発泡性樹脂組成物を180〜220℃の成形温度で射出成形した。このとき、成形機のコアバック量を発泡成形体の板厚が3倍になるように設定した。発泡成形体の表面1cm2あたりの白斑点の個数を計測し、白斑点の個数が10個以内であった場合を「○」と、10個を超えた場合を「×」として評価した。
本発明によれば、発泡成形体の外観を向上させることのできる粒子径の小さな熱膨張性マイクロカプセルを、生産性よく製造することのできる熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。
Claims (3)
- 無機塩水溶液に、コロイダルシリカ分散液を添加してコロイダルシリカ凝集体を含有する水性分散媒体を調製する工程と、
前記水性分散媒体に、重合性モノマー、揮発性液体及び重合開始剤を含有する油性物質を懸濁させて乳化液を調製する工程と、
前記重合性モノマーを重合させる工程とを有し、
前記水性分散媒体を調製する工程において、前記コロイダルシリカ分散液中のコロイダルシリカ含有量が3〜15重量%であり、前記コロイダルシリカ分散液を、前記水性分散媒体の濁度が4〜14度となるように添加する
ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセルの製造方法。 - 水性分散媒体を調製する工程において、コロイダルシリカ分散液を、7.0〜20.0m/秒の投入速度で添加することを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法。
- 水性分散媒体を調製する工程において、コロイダルシリカ分散液を、水性分散媒体中のコロイダルシリカ含有量が3〜4重量%となるように添加することを特徴とする請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法。
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