JP2013212087A - ブドウの栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブドウ収穫量を最大に確保しながら、低コストかつ安定した収穫を可能にするブドウの垣根栽培方法を提供する。
【解決手段】垣根10を用いたブドウ20の栽培方法であって、(A):地面から伸びた主枝21から、地面に略平行に張設された副枝誘引線11に沿うように、主枝21から伸びた副枝22を誘導し、(B):副枝22からさらに伸びた側枝23を、副枝誘引線11の下方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線12に誘導し、(C):側枝23にブドウの幼果24が着果した後に、(D):副枝誘引線11の上方に、この副枝誘引線11と略平行に張設された側枝誘引線12aに、着果した側枝の全部または一部を誘導する。
【選択図】図2

Description

本発明は、垣根を用いたブドウの栽培方法に関する。
ブドウ(Vitis spp.)には、主としてワイン用の原料として栽培されている種類、生食用として栽培されている種類など豊富にあり、世界各国でそれぞれの地域特性に合致した品種のブドウが様々な工夫を凝らして栽培されている。
日本においてもワインの消費は増加しており、原料となるワイン用ブドウの需要は年々高まっている。ワイン用ブドウの種類は、赤ワイン用、白ワイン用などとして、それぞれ多くの品種が栽培されている。中でも山梨県には甲州種と呼ばれる品種があり、生食用しても代表的な品種であるが、このブドウを原料として用いた白ワインの素晴らしさが認められ、世界的な日本食ブームとも相まって、和食との相性の良いワインとして世界市場への参入も期待されている品種である。
ブドウの栽培方法は、大別して垣根方式と平棚方式とに区分される。
日本におけるブドウ栽培は主として平棚を用いる栽培方法が採用され、生産されるブドウは殆どが生食用として供されてきた。一部はワイン用として利用されてきたが、これらは初めからワイン用として栽培されたものではなく、生食用としては利用できない、または生食用の市場から溢れたブドウがワイン用として利用されてきた歴史がある。
平棚方式と垣根方式の基本的な相違は生産コストにある。平棚は畑全面に高さ2メートル程の棚を張り、これに伸びてくるブドウの実の着く側枝を這わせて棚の下側に果実をぶら下げながら管理して収穫する方法である。この方法では果実は棚の下側にぶら下がるので、枝や葉に擦れて傷付くこともなく質の良い製品が収穫できる方法とされている。しかしながら、側枝は放っておくとどこまでも伸びていくので剪定することが必要だが、一本一本を丁寧に剪定することになるので膨大な人手が必要であり、コスト高の主因となっている。従って、高い販売価格を設定することが可能な高級生食用のブドウでは何とか高いコストを吸収することも可能であるが、高い販売価格を設定することが困難なワイン用ブドウをこの平棚方式で栽培しようとしてもコスト的に困難な場合がある。
世界的にワイン用ブドウは垣根方式で栽培されている。この方法は、ブドウの伸びてくる側枝を上側もしくは斜め上側に伸ばし、全体として垣根のように成型して栽培管理を行う方法であり、伸びてくる側枝も全体的に同じ高さの部位で纏めて剪定することが出来るので省力化栽培が可能であり、生産コストも安価にできるメリットがある。従って、日本国内においてもワイン用原料ブドウは垣根方式で栽培されることが大部分である。また、ブドウ葉茶を収穫するために、ブドウを垣根栽培する方法も知られている(特許文献1)。
しかしながら、代表的な白ワイン用原料ブドウである甲州種においては、これまで垣根方式による栽培法が確立していないのが現状である。これまでに複数の公的試験研究機関を初め、いくつかのワインメーカー、またはブドウ栽培農家が垣根方式による甲州種ブドウの栽培を試みてきたが、ことごとく失敗している。不成功の最大の理由は甲州種の旺盛な成長意欲、強過ぎる樹勢にあるとされている。
すなわち、ブドウなどのツル科植物には、周囲の樹木などの上まで伸びて太陽光を独占しようとする性質がある。側枝が上に伸びる余地があると、上へ伸びることを優先して自ら果実を落としてしまう、所謂「花振るい」(花流れ)または「実振るい」と呼ばれる性質が甲州種では特に強い。平棚方式では何とか実振るいを抑止できるのだが、上または斜め上方に側枝を伸ばす垣根方式では実振るいが激しく生じて、収穫量が激減してしまう現象を止められないとされている。
他方、植物は自身の寿命が尽きようとすると子孫を残そうとする傾向が強まると言われている。そこで強過ぎる樹勢を弱めるためとして成長力の弱い台木を用いたり、痩せた畑で無肥料栽培したり、台木の根が張るのを制限して樹勢を弱めたりして、何とか実振るいの発生を抑止するなどの試みがなされている。しかしながら、このような手段では当然のことながら収穫量が激減してしまうので、収益性が悪化してしまい農業経営が成り立たなくなる欠点が生じてしまう。何とかして収穫量を最大に確保しながら低コストで安定した収穫を可能にする栽培方法が求められている。
甲州種ブドウは実の着く側枝が上方向に向いていると実振るいを起こし易いことは、周知の事実であり、横方向に延びることになる平棚方式では栽培が可能であるとして昔から平棚方式で栽培がなされてきた。ツル科植物であるブドウの特性から鑑みて、上方向よりも横方向に延びる場合の方が実振るいは起こり難いことも理解される。平棚方式でも実振るいが起こる傾向があり、栽培農家はこの実振るいの発生をできるだけ抑えるべく、様々な工夫を凝らして何とか安定生産を行っているのが現状である。
山梨県内の甲州種ブドウの栽培面積は、現在では、十年前の半分以下に落ち込み、さらに減少傾向が続いている。最大の問題点は、現状の平棚方式では人手を必要とする方法なので、大面積の栽培が不可能であり、単位農家当たりの売上高が圧倒的に少な過ぎることにある。国際的に高いとされる日本の労働賃金に見合った売上を達成するには安価で使い易い機械を有効に使用して徹底的な省力化を実現し、大面積のブドウ畑栽培を可能にして安定した収入を確保できる新しいブドウ栽培法が求められている。
特許第4778004号
本発明は、ブドウ収穫量を最大に確保しながら、低コストかつ安定した収穫を可能にするブドウの垣根栽培方法を提供することを目的とする。
上記したように、ブドウの特性として幼果の着く側枝を上方向に伸ばすと、「実振るい」(ブドウが開花しても受粉・受精が行われずに落花したり、受精してまもなく生長が停止したりして、極めて小さい幼果が落果する現象を言い、花振るい、花流れともいう。)が発生し易いことは周知のことであるから、実振るいをできるだけ避けるために横方向に側枝を伸ばし、実振いを抑えて栽培を可能にした方法が平棚方式であると言うこともできる。
この平棚方式では、上記したように実同士の接触による擦り傷、病害の発生を抑制し高品質で高収量が期待できるが、棚の上までブドウの蔓が伸びて広がり収穫期を迎えるまでに年数が掛かり、また、高賃金の農業者が棚の下に立って窮屈な上向き姿で長時間、剪定、摘果等の作業を行うことが必要で、小規模生産しかできない、などのため生産コストが高くなるという問題点があった。
これに対して、垣根方式は、平棚方式に比べて作業性が良く、短期間に収穫開始できる利点があるが、品質、収量などの点で改良の余地があった。
そこで本発明者は、この垣根方式についてさらに鋭意研究を行い、実(幼果)の着く側枝を、横に這わせるよりも下方に伸ばした方がより実振いが少なくなるのではないかと考え、伸びてくる側枝を、副枝より上方に誘導せずに、いったん斜め下方に誘導し、実振るいが止まったことを確認してから、該側枝を上方に誘導したところ、実振るいがほとんど起きなかったこと、収穫量が増大することなどを見出し、本発明の完成に至った。(なお、ブドウの蔓は、地面から伸びた「主枝」、その先に主枝から分岐して伸びる「副枝」、さらにその先に副枝から分岐して伸びる、実(幼果)の着く「側枝」に分けられる。)
すなわち、本発明の栽培方法は、図2に示すように、垣根(10)を用いたブドウ(20)の栽培方法であって、
(A):地面から伸びた主枝(21)から、地面に略平行に張設された副枝誘引線(11)に沿うように、主枝(21)から伸びた副枝(22)を誘導し、
(B):副枝(22)からさらに伸びた側枝(23)を、副枝誘引線(11)の下方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線(12)に誘導し、
(C):側枝(23)にブドウの幼果(24)が着果した後に、
(D):副枝誘引線(11)の上方に、この副枝誘引線(11)と略平行に張設された側枝誘引線(12a)に、着果した側枝(23a)を誘導する、ことを特徴とする。
上記ブドウ(20)は甲州種であることが好ましく、またワイン用であることが好ましい。
上記(D)において、着果した側枝(23)の本数を全部のうち、該側枝(23)の一部は、側枝誘引線(12)に誘導した状態にしておき、該側枝の残部(23a)を、副枝誘引線(11)の上方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線(12a)に誘導することが好ましい。
本発明の栽培方法によると、ブドウ果実の多収穫が実現し、ブドウの栽培管理が容易になり、低コストかつ高品質のブドウ、好ましくはワイン用ブドウの垣根栽培が可能となる。
また、本発明の栽培方法において、副枝より下方に誘導した、ブドウの幼果が着果した側枝のうち、一部(好ましくは約半数)の該側枝を副枝より上方に誘導してブドウを栽培すると、側枝どうしの間隔が広がるため、ブドウの葉による日光の遮りが少なくなるのと同時に風通しが良くなり、疫病の蔓延を防ぐことができる。
図1は、ブドウの栽培方法で従来使用されている垣根(10a)の模式図を示す。 図2は、本発明で好適に用いられる垣根(10)および、この垣根(10)を用いて栽培方法によりブドウ(20)を垣根栽培し、側枝(23,23a)にブドウ果実の幼果(24)が着果した状態の模式図を示す。 図3は、図2に示される本発明のブドウの栽培方法を副枝誘引線(12)の延長線方向(長手方向)から見たブドウ(20)の模式図を示す。なお、図3において、見やすさの観点から便宜的に垣根を省略している。
以下、本発明に係るブドウの栽培方法について詳細に説明する。
本発明に係るブドウの栽培方法は、垣根(10)を用いたブドウ(20)の栽培方法であって、垣根(10)としては、好適には図2に模式的に示すように、所定距離離間して略垂直に立設された複数本の支柱(1)と、
支柱(1)どうしを結ぶように、地面より所定距離離間して、地面と略平行(水平)に張設された副枝誘引線(11)と、この副枝誘引線(11)より下方に、地面より所定距離離間してこの副枝誘引線(11)と略平行(略水平)に張設された側枝誘引線(12)と、上記の副枝誘引線(11)より上方に、この副枝誘引線(11)と略平行(略水平)に張設された側枝誘引線(12a)と、を具備した垣根(10)が好適に用いられる。
この垣根(10)では、図2に示すように、副枝誘引線(11)の上方に側枝誘引線(12a)が2本並列に略平行(水平)に配置された態様が示されているが、この態様に限定されず、ブドウの茂った葉が効率よく光合成を行い、ブドウの高収穫が望める等の観点からは、副枝誘引線(11)の上方および下方のそれぞれに側枝誘引線(12)が複数本並列に配置されていてもよく、また1本でもよい。
垣根(10)の配列は、特に限定されず、果樹園(平面)に広がるように配置されることが多い。
また、この垣根(10)の材質等は特に限定されず、支柱(1)には、例えば、樹脂被覆金属管、木材などが用いられ、副枝誘引線(11)、側枝誘引線(12、12a)には、樹脂被覆金属管、木材、コンクリートなどの他に、ビニール紐、針金(ワイヤー)、なども用いられる。
なお、ブドウは蔓(つる)性の落葉低木であるが、本発明では、説明の都合上、蔓の各部位を、地上に延びた根に最も近い部分(太い蔓部分)を主枝(21)、その主枝(21)から分岐して延びつるを副枝(22)、副枝(22)から分岐してさらに先に延びるつるを側枝(23,23a)という。
また、本発明のブドウの栽培方法において、接ぎ木、挿し木、取り木、茎伏せ(圧条法)等を用いてもよい。例えば、接ぎ木の場合、台木(通常、地表から30cm程度の高さを有する。)に穂木を接いで苗木とし、これが地上から1.5メートル程度の高さまで成長したものが本発明における主枝に相当する。この主枝から水平方向に伸びた枝が、本発明における副枝に相当する。具体的には、台木は、通常、前年の側枝を長さ30cm程度に切り取り、土中に一部または全部を埋め、一年間かけて根を張らせたものをいい、翌年、地上30cm程度の高さの部分で台木を切断し、切断箇所に穂木(例えば、甲州種のブドウであれば、前年の側枝を10cm程度に切ったもの)を接ぎ、これを一年間育てたものを苗木という。この苗木をブドウ畑に植え、約3年目から収穫が始まり、通常5〜6年目で所定の収穫が望める状態になる。
図2に示すように、本発明に係るブドウの栽培方法では、
(A):地面から伸びた主枝(21)から、地面に略平行に張設された副枝誘引線(11)に沿うように、主枝(21)から伸びた副枝(22)を誘導し、
(B):副枝(22)からさらに伸びた側枝(23)を、副枝誘引線(11)の下方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線(12)に誘導し、
(C):側枝(23)にブドウの幼果(24)が着果した後に、
(D):副枝誘引線(11)の上方に、この副枝誘引線(11)と略平行に張設された側枝誘引線(12a)に、着果した側枝(23a)を誘導する。
本発明では、工程(C)、すなわち、副枝誘引線(11)より下方に誘導された側枝(23)にブドウの幼果(24)が着果した後に、着果した側枝(23)の全部または一部を副枝誘引線(11)より上方に誘導することを特徴としている。
すなわち、上記工程(D)において、着果した側枝(23)の本数を全部で100%とするとき、該側枝(23)の一部(約35〜65%)、好ましくは、約半数(40〜60%)を、副枝誘引線(11)の下方に位置する下側の側枝誘引線(12)にそのまま残し、残部の側枝(23a)を副枝誘引線(11)の上方に位置する側枝誘引線(12a)に誘導することにより、側枝および果実の密度を下げながら収穫量を増大させると同時に風通しが良くなることで病害の蔓延を抑止できる効果が高くなる傾向があるため望ましい。
本発明では、側枝(23)の全部をいったん副枝誘引線(11)の下方(斜め下方)に伸ばし、幼果(24)の着果を確認してから、着果した側枝(23)の全部または一部を副枝誘引線(11)の上方に位置する側枝誘引線(12a)に誘導することが、ブドウ幼果の実振るいが少なくなり、収穫量を増やすことができる点、病害の蔓延を抑止できる点で好ましい。
なお、上記ブドウ(20)の品種等については後述する。
以下、図面に則してさらに具体的に説明する。
本発明は、図2に示されるように、垣根(10)を用いたブドウ(20)の栽培方法であり、上記(A)〜(D)の工程を含み、また必要に応じて、種なしブドウにするためのジベレリン処理、消毒、剪定、寒冷(越冬)対策等の工程も含むことができる。
本発明により、従来は極めて困難とされていた実振るいの防止を達成しながら、ブドウ、好ましくは甲州種ブドウ、好ましくはワイン(白ワイン・赤ワイン)用ブドウ、より好ましくはワイン用甲州種ブドウ、さらに好ましくは白ワイン用甲州種ブドウを垣根方式で安定生産できる体制を提供することが可能となる。
<工程(A)>
(A)とは、地面からほぼ垂直に伸びた主枝(21)から、地面に略平行(好ましくは、水平)に張設された副枝誘引線(11)に沿うように副枝(22)を誘導する工程である。これによって、該主枝(21)から、剪定と誘導の結果、二股に分かれて伸びた副枝(22)が、該副枝誘引線(11)に略水平に成長する。この図2に示すように、主枝(21)と二本の副枝(22)とは「T」字形を形成するように見える。
なお、実際に栽培する場合、副枝誘引線(11)は地上から1.5m程度の高さにあり、主枝(21)どうしの間隔は任意であるが、通常1〜5m程度である。
<工程(B)>
(B)とは、副枝(22)からさらに伸びた側枝(23)を、副枝誘引線(11)の下方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線(12)に誘導する工程である。このように着果前の側枝(23)を、いったん、副枝誘引線(11)より下方に誘導すると、ブドウ幼果が側枝から落果する「花振るい」が著しく低減でき、高収量が望める。
なお、従来のブドウの垣根栽培では、本発明とは逆に、副枝(22)から複数本伸びた側枝(23)を全部、副枝誘引線(11)の上方に位置する側枝誘引線(12a)に、樹勢に任せて、着果前は誘導あるいは放置している。
従来の垣根栽培方法であっても、収穫時期までほぼ安定して栽培できる場合もあるが、特に甲州種などのように花振いや実振い現象が生じやすいブドウの品種では収穫量が極端に少なくなってしまうという欠点があることがわかっている。
工程(B)における「下方」とは、副枝誘引線(11)から地面に向かう方向を言い、「上方」とは、下方の反対であり、副枝誘引線(11)から上空(天)に向かう方向をいう。ブドウは蔓性の植物故に、副枝(22)から伸び始めた側枝 (23)は、副枝誘引線(11)より上方に誘導する誘引線(例えば添え木や側枝誘引線(12)等)がないと、重力に従い、自然と下方に成長してゆくはずであるが、実際には複数の側枝が互いに絡み合ったりして上方に伸び、その間に花振い、実振い現象が生じてしまうことも知られている。本発明では側枝(23)を副枝(22)の下方に設けた側枝誘引線(12)に誘導することで花振い現象の発生を抑えることに特徴がある。
側枝(23)を下方の側枝誘引線(12)に誘導する段階で、好ましくは、側枝(23)の付け根(副枝(22)側)の葉を12枚程度残して、側枝(23)の先端側の葉をすべて摘む。また通常、側枝(23)からさらに「脇芽」(図にはない。)が伸びるが、好ましくは剪定する。脇芽を剪定すると、風通しが良くなり、疫病が蔓延しづらくなる。
<工程(C)>
(C)とは、側枝(23)にブドウ果実の幼果(24)(例えば、ブドウ果実が直径3mm程度に膨らんだもの)が着果したことを確認する工程である。すなわち、花振るい(花流れ)が終了したことを確認する。一般的に、このようなブドウの生理的落果は、すべての品種において開花後10日以内に終了する場合が多い。ただし、ブドウの品種によっては、側枝が上に伸びる余地があると、上へ伸びることを優先して自ら果実を落としてしまうものもあるため、着果を確認する必要がある。
<工程(D)>
(D)とは、上記工程(C)の後、副枝誘引線(11)の上方に、この副枝誘引線(11)と略並行に(水平に)張設された側枝誘引線(12a)に、着果した側枝(23)の一部または全部を誘導する工程である。
また、着果した側枝(23)の本数の全部を100%とするとき、通常、約35〜65%、好ましくは40〜60%(約半数)の側枝(23)を、副枝誘引線(11)の上方に張った側枝誘引線(12a)に誘導すると、着果した側枝(23)の本数全部を上方の該側枝誘引線(12a)に誘導した場合、または全部を下方の該側枝誘引線(12)に残した場合に比べて、側枝もしくは果実の密度を減らすことにより風通しが改善され、病害の蔓延を抑止してブドウ収穫量を大幅に増加させることができるため、好ましい。このような態様の本発明の栽培方法は、太陽光を独り占めしようとするブドウ樹木本来の特性とも合致している。
すなわち、本発明の栽培方法の好ましい態様は、上記工程(D)の代わりに、下記工程(D')を含むものである。
<工程(D’)>
(D')は、着果した側枝(23)の本数の全部を100%とするとき、着果した側枝(23)の一部(35〜65%程度)を副枝誘引線(11)の上方に位置する側枝誘引線(12a)に誘導し、着果した側枝(23)の残部(65〜35%程度)を副枝誘引線(11)の下方に位置する側枝誘引線(12)にそのまま残す。
この態様の栽培方法で得られるブドウは、図3に示されるように、側枝(23)が副枝誘引線(11)の線(軸)に沿った方向から見ると、「X」の字形を表わすように見え、また、上述のように図2正面から見ると主枝(21)と副枝(22)は「T」の字形を表わすように見える。よって、この態様の栽培方法を、本明細書において「TX型栽培方法」と呼ぶことがある。
本発明では、上記垣根(10)に代えて、図1に示すような従来公知のブドウ垣根栽培用の垣根(10a)を用いる場合は、副枝誘引線(11)の下方に位置し地面に対して略平行に側枝誘引線(12)を張設したものであれば、特に限定されない。典型的な従来型の垣根は、図1に示されるように、副枝誘引線(11)と、この副枝誘引線(11)に平行にその上方に張設された側枝誘引線(12a)と、さらにこの側枝誘引線(12a)に平行にその上方に張設された補助線(13)が、それぞれ支柱(1)、(1)間を掛け渡すように略水平(略平行)に固定されており、側枝誘引線(12a)は副枝誘引線(11)より上方にある。また、側枝誘引線(12a)は補助線(13)によりさらに上方に固定することもできる。これらの線(11,12a,13)や支柱(1)の本数は特に限定されるものではない。また、これら線や支柱(1)の材料や形状も特に制限されず、上述したように通常の針金や(樹脂被覆金属製)ロープ等を好適に用いることができ、直線状、らせん状、波状等の形状であってもよい。
副枝誘引線(11)や側枝誘引線(12,12a)等を支える支柱、フレームなどは、木、金属、コンクリート等の材料から適宜選択できる。
本発明で用いるブドウの品種としては、特に限定されないが、例えば、主として白ワイン用である甲州、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、リースリング、ゲヴュルツトラミーナー等が挙げられ、一方、主として赤ワイン用であるカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、山ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、ガメ、マスカット・ベーリーA等が挙げられる。これらのうち、甲州種は、白ワイン用ブドウとして大粒で果皮が薄いのにも関わらず丈夫であり、世界的に最上級な品種として国際的評価も高いが、この品種は側枝が上に伸びる余地があると、上へ伸びることを優先して自ら果実を落としてしまう性質が特に強いため、安定した栽培法である本発明の栽培方法に好適である。
これらの品種によっては、混み過ぎを防ぐために冬季に剪定を行うことや、夏季には陽光を受け、果実の品質向上のために芽かきや摘房・摘粒・袋かけなどを行うことがある。
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
ブドウの品種としては甲州種を用い、山梨県北杜市内で垣根栽培を行った。
[実施例1]
甲州種の台木としてリパリア3309(Riparia×Rupestris 3309)に良果が生産されている実績のある成木から取り木した穂木を継いだ苗木を5メートル間隔に植えた。
垣根は、図2に示す垣根(10)を用いた。
主枝(21)に相当する苗木から伸びた副枝(22)を、副枝誘引線(11)に沿って成長させた。
苗木を植えてから3年目に副枝(22)から伸びた側枝(23)を、下方に設けた側枝誘引線(12)に誘導した。
側枝(23)にブドウ果実の幼果(24)が着果したことを確認した後、側枝(23)の約半数に相当する側枝(23a)を上方の側枝誘引線(12a)に誘導し、残りの約半数はそのまま側枝誘引線(12)に残した。その後、側枝(23a)からはヒゲが伸び、側枝(23a)はそれぞれが側枝誘引線(12a)や周囲の側枝(23a)に絡まり、ほぼ固定された。側枝誘導線(12)に誘導された側枝(23)についても同様にヒゲが伸び、側枝誘導線(12)および周囲の側枝(23)に絡まり、固定された。
このように、約半数の側枝(23)が副枝誘引線(11)の下方に張設された側枝誘引線(12)に固定され、残りの約半数の側枝(23a)が副枝誘引線(11)の上方に張設された側枝誘引線(12a)に誘導され固定された状態で、そのままブドウ(20)を栽培した。
途中、長雨による病害も発生したが、最終的に、10アール当たり3年目に300kgの収穫を得、6年目には2,100kgものブドウ果実の収穫があった。
また、収穫したブドウ果実はワインメーカーの品質検査で合格と判定され売却できた。
[比較例1]
実施例1において、垣根として図1に示す垣根(10a)を用いたこと;台木の種類をグロワール(Riparia Gloire de Montpellier)に変更し甲州種を継いだ苗木の植えられた間隔を1メートルに変更したこと;成長した側枝(23)すべてを最初から副枝誘引線(11)の上方に張設された側枝誘引線(12a)に誘導したこと以外は実施例1と同様にしてブドウ(20)を栽培した。
比較例1では、肥料の量を極力抑え、花振いの発生を抑止しようとしたが、完全には止まらなかった。
ブドウ果実の収穫量は、成木どうしの間隔が狭いことから実施例1より成木の本数が多いにもかかわらず、6年目においても10アール当たり500kgに留まった。
ただし、収穫したブドウはワインメーカーの品質検査において合格品と判定され、売却できた。
1 ・・・支柱
10 ・・・本発明において好適な垣根
10a・・・本発明で使用可能な従来型の垣根
11 ・・・副枝誘引線
12 ・・・副枝誘引線(11)の下方に張設された側枝誘引線
12a・・・副枝誘引線(11)の上方に張設された側枝誘引線
13 ・・・補助線
20 ・・・ブドウ(樹木、枝、蔓、果実等の全体)
21 ・・・主枝(主幹)
22 ・・・副枝(副幹)
23,23a・・・側枝
24 ・・・ブドウ果実の幼果

Claims (4)

  1. 垣根(10)を用いたブドウ(20)の栽培方法であって、
    (A):地面から伸びた主枝(21)から、地面に略平行に張設された副枝誘引線(11)に沿うように、主枝(21)から伸びた副枝(22)を誘導し、
    (B):副枝(22)からさらに伸びた側枝(23)を、副枝誘引線(11)の下方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線(12)に誘導し、
    (C):側枝(23)にブドウの幼果(24)が着果した後に、
    (D):副枝誘引線(11)の上方に、この副枝誘引線(11)と略平行に張設された側枝誘引線(12a)に、着果した側枝(23a)を誘導する
    ことを特徴とするブドウの栽培方法。
  2. 上記ブドウ(20)が、甲州種である請求項1に記載のブドウの栽培方法。
  3. 上記(D)において、着果した側枝(23)の本数を全部のうち、
    該側枝(23)の一部は、側枝誘引線(12)に誘導した状態にしておき、
    該側枝の残部(23a)を、副枝誘引線(11)の上方に位置し地面に対して略平行に張設された側枝誘引線(12a)に誘導する、請求項1または2に記載のブドウの栽培方法。
  4. 上記ブドウ(20)が、ワイン用である請求項1〜3のいずれか一項に記載のブドウの栽培方法。
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