JP2013212064A - ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法 - Google Patents

ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013212064A
JP2013212064A JP2012083798A JP2012083798A JP2013212064A JP 2013212064 A JP2013212064 A JP 2013212064A JP 2012083798 A JP2012083798 A JP 2012083798A JP 2012083798 A JP2012083798 A JP 2012083798A JP 2013212064 A JP2013212064 A JP 2013212064A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitrile compound
storage tank
compound
temperature
storage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012083798A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Ishida
努 石田
Arata Sato
新 佐藤
Shigeo Watanabe
重男 渡辺
Teruo Arii
輝夫 有井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2012083798A priority Critical patent/JP2013212064A/ja
Publication of JP2013212064A publication Critical patent/JP2013212064A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】貯蔵槽内液を効率的に冷却することができ、かつ貯蔵槽内の液温を均一に保つことが可能なニトリル化合物の貯蔵装置、前記貯蔵装置を用いたニトリル化合物の貯蔵方法を提供する。
【解決手段】ニトリル化合物からなる貯蔵液の貯蔵槽と、前記貯蔵槽に接続され、前記貯蔵液の循環路である外部循環ラインと、前記外部循環ライン上に設けられた温度制御機構とを有するニトリル化合物の貯蔵装置、および前記貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有するニトリル化合物の貯蔵方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニトリル化合物の貯蔵装置、前記貯蔵装置を用いたニトリル化合物の貯蔵方法、微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用い、前記貯蔵装置から供給されるニトリル化合物を水和してアミド化合物を製造するアミド化合物の製造装置、ならびに前記製造装置を用いたアミド化合物の製造方法に関する。
アクリルアミドは、ポリアクリルアミドの原料として用いられている。アクリルアミド等のアミド化合物の工業的製法としては、例えば、ラネー銅等の金属銅触媒を触媒として用い、アクリロニトリル等のニトリル化合物を水和する方法、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として用い、ニトリル化合物を水和する方法が知られている。
微生物菌体を触媒として用いる方法は、アクリロニトリル等のニトリル化合物の転化率および選択率が高いことから工業的に注目を浴びている。ここで、菌体触媒は熱に対して失活しやすいため、反応熱の除熱方法(反応温度の制御方法)が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ニトリル化合物が反応原料として用いられるため、ニトリル化合物を保存または貯蔵するときの温度も、ニトリル化合物の供給温度という観点から、重要となる(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、アクリロニトリルの貯蔵タンクの冷却機構として、タンクの表面に水もしくは冷却水を散水する機構(散水式)、タンク壁に設けられた冷却用ジャケット機構(ジャケット式)、またはタンク壁もしくはタンク内部にコイルを設置してコイル内部に冷却水やエチレングリコール水溶液などの冷却用溶液を流通させる機構(コイル式)が挙げられ、ランニングコストなどの低さなどから散水式を用いることが好ましいと記載されている。
しかしながら、散水式およびジャケット式では、タンク壁面からのみの冷却となるため、(1)タンク内液を効率的に冷却することができない、(2)タンク内液を均一に冷却することができず、タンク内液に温度分布が生じ、温度検知部の位置によっては規定温度以上の温度の箇所が生じることがある。
また、コイル式では、タンクの高さ方向および円周方向の全域に亘るコイルの設置は現実的に困難であるため、タンク内液においてコイル近傍およびそれ以外の箇所で温度差が生じることがある。
国際公開第2010/038832号パンフレット 国際公開第2011/138966号パンフレット
本発明の課題は、貯蔵槽内液を効率的に冷却することができ、かつ貯蔵槽内の液温を均一に保つことが可能なニトリル化合物の貯蔵装置、前記貯蔵装置を用いたニトリル化合物の貯蔵方法、菌体触媒の活性を低下させずに効率的にアミド化合物を製造するアミド化合物の製造装置、ならびに前記製造装置を用いたアミド化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、下記構成を有するニトリル化合物の貯蔵装置等により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、例えば以下の〔1〕〜〔7〕からなる。
〔1〕ニトリル化合物からなる貯蔵液の貯蔵槽と、前記貯蔵槽に接続され、前記貯蔵液の循環路である外部循環ラインと、前記外部循環ライン上に設けられた温度制御機構とを有するニトリル化合物の貯蔵装置。
〔2〕前記ニトリル化合物が、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種である、前記〔1〕のニトリル化合物の貯蔵装置。
〔3〕前記温度制御機構が、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、および二重管式熱交換器から選択される少なくとも1種の熱交換器である、前記〔1〕または〔2〕のニトリル化合物の貯蔵装置。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項の貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有する、ニトリル化合物の貯蔵方法。
〔5〕ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するアミド化合物の製造装置において、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項のニトリル化合物の貯蔵装置を備えるアミド化合物の製造装置。
〔6〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項のニトリル化合物の貯蔵装置と;ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物の水和反応によりアミド化合物を製造する反応装置と;前記貯蔵装置および前記反応装置を接続するニトリル化合物供給ラインと;水の貯蔵槽と;水の貯蔵槽および前記反応装置を接続する水供給ラインと;を備える、前記〔5〕のアミド化合物の製造装置。
〔7〕ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するアミド化合物の製造方法において、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項の貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有する、アミド化合物の製造方法。
本発明によれば、貯蔵槽内液を効率的に冷却することができ、かつ貯蔵槽内の液温を均一に保つことが可能なニトリル化合物の貯蔵装置、前記貯蔵装置を用いたニトリル化合物の貯蔵方法、菌体触媒の活性を低下させずに効率的にアミド化合物を製造するアミド化合物の製造装置、ならびに前記製造装置を用いたアミド化合物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の貯蔵装置の一実施形態を示す模式図である。 図2は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図3は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図4は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。 図5は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。
以下、本発明のニトリル化合物の貯蔵装置および貯蔵方法について説明する。
〔ニトリル化合物の貯蔵装置〕
本発明のニトリル化合物の貯蔵装置は、ニトリル化合物からなる貯蔵液の貯蔵槽と、前記貯蔵槽に接続され、前記貯蔵液の循環路である外部循環ライン(例:配管)と、前記外部循環ライン上に設けられた温度制御機構(例:熱交換器)とを有する。
本発明において、貯蔵槽内から貯蔵液が排出されるポートであって、かつ外部循環ラインに接続されたポートを「貯蔵槽出口」ともいい、貯蔵槽出口から排出された貯蔵液が貯蔵槽内に供給されるポートであって、かつ外部循環ラインに接続されたポートを「貯蔵槽入口」ともいい、外部循環ラインを介して循環される貯蔵液を「循環液」ともいう。
本発明の貯蔵装置は、外部循環ライン上に設けられた温度制御機構によって循環液を冷却するので、(1)当該ライン上の循環液を効率的に冷却することができ、よって貯蔵液全体を効率的に冷却することができ、(2)貯蔵槽入口近傍において、貯蔵槽内液と温度制御機構によって冷却された循環液とが混合され、よって貯蔵槽内液を均一に冷却することができる。
ここで、「均一」とは、貯蔵槽内の液温の温度分布の幅(温度幅)が小さく、温度検知部の位置によって規定温度以上の温度の箇所が生じにくいことを意味する。本発明では、貯蔵槽内の液温の温度幅を、通常5℃未満、好ましくは2℃未満、より好ましくは1℃未満に収めることができる。温度幅は生じないことが好ましいことから、温度幅の下限値は0℃であることが好ましいが、例えば下限値が0.1℃であっても実用上は問題ないのが通常である。
〈ニトリル化合物の貯蔵槽〉
ニトリル化合物の貯蔵槽は、貯蔵槽出口および貯蔵槽入口を有する。貯蔵槽出口および入口の設置箇所は特に限定されないが、貯蔵槽内の貯蔵液の排出の容易性の観点から、例えば、貯蔵槽出口を貯蔵槽の底部付近に設け、循環流による貯蔵槽内の貯蔵液の混合の効率の観点から、貯蔵槽入口を貯蔵槽の上部に設けることが好ましい。
本発明のニトリル化合物の貯蔵装置を、後述するアミド化合物の製造装置に組み込んで使用する場合、ニトリル化合物の貯蔵装置とアミド化合物を製造する反応装置とを接続するニトリル化合物供給ラインの態様は、特に限定されない。
好ましい実施態様では、ニトリル化合物供給ラインは、外部循環ラインから分岐して、ニトリル化合物の貯蔵装置とアミド化合物を製造する反応装置とを接続する。この場合、ニトリル化合物の貯蔵槽の貯蔵槽出口から当該分岐点までは、ニトリル化合物供給ラインおよび外部循環ラインの一部を構成する。この実施態様では、貯蔵槽出口から当該分岐点までの間に温度制御機構やポンプを設けることができ、コストの観点から好ましい。
また、ニトリル化合物供給ラインと外部循環ラインとを別個独立に設けることもできる。この場合、ニトリル化合物の貯蔵槽は、貯蔵槽出口に加えて、貯蔵槽内から貯蔵液が排出されるポートであって、かつニトリル化合物供給ラインに接続されたポート(以下「ニトリル化合物供給出口」ともいう。)を有する。
ニトリル化合物の貯蔵槽の容積は、特に限定するものではないが、工業的な生産を考慮すると、通常1m3以上、好ましくは10〜5000m3、より好ましくは100〜1000m3である。
貯蔵槽内の液温は、通常0〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、更に好ましくは20〜30℃に設定される。このように調温されたニトリル化合物を、ニトリル化合物供給ラインを介して後述する反応装置に供給することにより、高品質なアミド化合物を効率良く生産することができる。
本発明では、外部循環ライン上に温度制御機構を設けているが、それに加えて、貯蔵槽自体にも温度制御機構を設けてもよい。貯蔵槽自体における温度制御機構としては、例えば、ジャケット式熱交換器、コイル式熱交換器が挙げられる。
本発明では、貯蔵装置が設置される外的環境の温度(周囲温度)に影響されることなく、例えば夏場や高温地域でも、貯蔵槽内の液温(ニトリル化合物からなる貯蔵液の温度)を効率的に外的環境の温度以下、例えば30℃以下の温度に維持することができる。
本発明では、貯蔵槽内に温度検知部を設けてもよい。温度検知部を有する貯蔵槽を使用する場合は、温度検知部から入力される温度情報に基づいて外部循環ラインの循環流量を制御したり、循環液の冷却度合いを制御したりすることで、貯蔵槽内の液温を調節することができる。
本発明において貯蔵対象であるニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ニトリル化合物、炭素数6〜20の芳香族ニトリル化合物が挙げられ、1種で用いても2種以上を併用してもよい。
脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリルが挙げられ;具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリル等の脂肪族飽和モノニトリル類;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリル等の脂肪族飽和ジニトリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル等の脂肪族不飽和ニトリルが挙げられる。
芳香族ニトリル化合物としては、例えば、ベンゾニトリル、o−,m−またはp−クロロベンゾニトリル、o−,m−またはp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−またはp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−またはp−トルニトリル、ベンジルシアナイドが挙げられる。
ニトリル化合物の中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
〈外部循環ライン〉
外部循環ラインは、貯蔵槽出口および貯蔵槽入口を接続する配管から構成される。外部循環ラインは、貯蔵槽内から排出された貯蔵液が、外部循環ラインを介して再び貯蔵槽に循環供給されるように、貯蔵槽に接続されている。なお、外部循環ラインは、複数(ライン1、ライン2…など。)あってもよく、この場合、貯蔵槽出口および貯蔵槽入口が、それぞれ複数あってもよい。
外部循環ラインにおける循環流量は、貯蔵槽の容量に応じ、任意に設定することができる。通常0.1〜500m3/h、好ましくは0.5〜100m3/h、より好ましくは1〜50m3/hに設定される。循環流量は、面積式流量計や容積式流量計などの一般的な流量計で測定でき、単位時間当たりに外部循環ラインを通して貯蔵槽内に流入する液量を指す。
貯蔵液の循環方式としては、例えば、常に貯蔵液の循環を行う方式;温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が閾値(例:30℃)を超えた場合には貯蔵液の循環を行い、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が閾値以下の場合には貯蔵液の循環を停止する方式が挙げられる。
なお、冷却時の閾値について一例として30℃を例示したが、閾値はこれに限らず、上述の貯蔵槽内の液温についての数値範囲の任意の温度から設定することができ、例えば、ニトリルヒドラターゼ反応に使用される後述する菌体触媒の性質や反応時の温度に応じて適宜変更することができる。
〈温度制御機構〉
本発明の貯蔵装置では、外部循環ライン上に温度制御機構が設けられているので、循環液の液温、ひいては貯蔵槽内の液温が所望の温度範囲に調節される。温度制御機構は、外部循環ライン上に複数設けることもできる。
外部循環ライン上に設けられた温度制御機構としては、例えば、熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器などの一般的な熱交換器を用いることができる。
〈貯蔵装置の具体例〉
本発明の貯蔵装置の一実施態様を、図1(貯蔵装置1)に示す:貯蔵槽10の底部に貯蔵槽出口11が、貯蔵槽10の頂部に貯蔵槽入口12が、それぞれ設けられている。配管21の一端に貯蔵槽10の貯蔵槽出口11が接続され、配管21の他端に循環ポンプ30の吸入部が接続されており;配管22の一端に循環ポンプ30の吐出部が接続され、配管22の他端に貯蔵槽10の貯蔵槽入口12が接続され;配管22上に熱交換器40が設けられている。ここで配管21〜22は、外部循環ライン20を構成する。
〔ニトリル化合物の貯蔵方法〕
本発明のニトリル化合物の貯蔵方法は、上述したニトリル化合物の貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有する。本発明の貯蔵方法によれば、ニトリル化合物を効率良く、かつ均一に冷却することができることから、貯蔵装置が設置される外的環境の温度(周囲温度)に影響されることなく、例えば夏場や高温地域でも、ニトリル化合物を効率的に外的環境の温度以下、例えば30℃以下の温度に維持することができる。
具体的には、本発明のニトリル化合物の貯蔵方法では、上述したニトリル化合物の貯蔵装置を用いて貯蔵液の循環を行うことによって、貯蔵槽内の液温を通常0〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、更に好ましくは20〜30℃に維持することができるとともに、貯蔵槽内の液温の温度幅を通常5℃未満、好ましくは2℃未満、より好ましくは1℃未満に維持することができる。また、上記循環において、例えば、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が閾値を超えた場合には貯蔵液の循環を行い、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が閾値以下の場合には貯蔵液の循環を停止する方式を採用することができる。
本発明のニトリル化合物の貯蔵装置は、アミド化合物の製造装置および製造方法に組み込むことができる。以下、本発明のニトリル化合物の貯蔵装置を用いた、アミド化合物の製造装置および製造方法について説明する。
〔アミド化合物の製造装置〕
本発明のアミド化合物の製造装置は、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを「菌体触媒」ともいう。)を触媒として用いて、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するアミド化合物の製造装置において、上述したニトリル化合物の貯蔵装置を備える。
本発明のアミド化合物の製造装置の好適態様は、
(1)上述したニトリル化合物の貯蔵装置と;
(2)ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物の水和反応によりアミド化合物を製造する反応装置と;
(3)前記貯蔵装置および前記反応装置を接続するニトリル化合物供給ラインと;
(4)水の貯蔵槽と;
(5)水の貯蔵槽および前記反応装置を接続する水供給ラインと;
を備える。
本発明のアミド化合物の製造装置では、ニトリル化合物からなる貯蔵液が貯蔵槽内において効率的に冷却され、かつ液温が均一に保たれていることから、当該製造装置を用いることにより、高品質のアミド化合物を効率良く(例:ニトリル化合物の転化率が高い)製造することができる。
〈原料貯蔵槽〉
以下では、ニトリル化合物の貯蔵装置が有する貯蔵槽、および水の貯蔵槽を総称して、「原料貯蔵槽」ともいう。また、ニトリル化合物および原料水などを総称して、「反応原料」ともいう。
《(i)ニトリル化合物の貯蔵装置》
ニトリル化合物の貯蔵装置は、上述したように、ニトリル化合物の貯蔵槽(以下「貯蔵槽N」ともいう。)と、前記貯蔵槽Nに接続された外部循環ラインと、前記外部循環ライン上に設けられた温度制御機構とを有する。好ましい実施態様では、ニトリル化合物供給ラインは、貯蔵槽Nの外部循環ラインから分岐して、貯蔵槽Nと反応装置とを接続する。また、貯蔵槽Nは、上述したように、貯蔵槽出口、貯蔵槽入口およびニトリル化合物供給出口を有し、ニトリル化合物供給ラインと貯蔵槽Nの外部循環ラインとが独立していてもよい。
アミド化合物の原料成分として用いられるニトリル化合物としては、〔ニトリル化合物の貯蔵装置〕の欄にて上述したとおりであり、例示および好ましい化合物も同様である。
《(ii)水(原料水)の貯蔵槽》
水(原料水)の貯蔵槽(以下「貯蔵槽W」ともいう。)は、貯蔵液が貯蔵槽W内から排出されるポートであって、水供給ラインに接続されたポート(以下「水供給出口」ともいう。)を有する。
貯蔵槽Wは、外部循環ラインを有してもよい。
好ましい実施態様では、水供給ラインは、貯蔵槽Wの外部循環ラインから分岐して、貯蔵槽Wと反応装置とを接続する。この場合、貯槽槽Wの水供給出口から当該分岐点までは、水供給ラインおよび貯蔵槽Wの外部循環ラインの一部を構成する。この実施態様では、水供給出口から当該分岐点までの間に温度制御機構やポンプを設けることができ、コストの観点から好ましい。
また、水供給ラインと貯蔵槽Wの外部循環ラインとを別個独立に設けることもできる。この場合、貯蔵槽Wは、水供給出口に加えて、外部循環ラインに接続された貯蔵槽出口および貯蔵槽入口を有する。
貯蔵槽Wには、貯蔵液の液温を制御する観点から、温度制御機構を設けてもよい。貯蔵槽Wにおける温度制御機構は、貯蔵槽Wが有してもよい外部循環ライン上に設けてもよく、貯蔵槽W自体に設けてもよい。貯蔵槽Wにおける温度制御機構としては、例えば、熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換などの貯蔵槽Wの外部循環ラインに設置する形態のもの、あるいはジャケット式熱交換器、コイル式熱交換器などの貯蔵槽Wに直接設置する形態のものが挙げられる。
貯蔵槽W内の液温は、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、更に好ましくは20〜30℃に設定される。このように調温された水を反応装置に供給することにより、高品質なアミド化合物を効率良く生産することができる。
原料水は特に限定されず、蒸留水、イオン交換水などの精製水を用いることができる。
〈反応装置〉
反応装置としては、単段の反応器(一つの反応器)を用いてもよく、多段の反応器(複数の反応器)を用いてもよい。反応器としては、槽型反応器を用いてもよく、管型反応器を用いてもよい。槽型反応器としては、撹拌機を備える反応器が好ましい。
特に、一段目の槽型反応器と二段目の管型反応器とから構成される反応装置を用い、槽型反応器から排出される反応液を管型反応器で更に反応させると、転化率を向上できるので好ましい。
槽型反応器および管型反応器は、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性が維持される温度に保たれる限り、熱交換器を備えていてもいなくてもよいが、後述する反応温度を制御するため、前記反応器は熱交換器を備えることが好ましい。熱交換器としては、例えば、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器などの反応器の外部に設置する形態のもの、あるいはジャケット式熱交換器、コイル式熱交換器などの反応器に直接設置する形態のものが挙げられる。反応器が管型反応器である場合は、反応器自体を多管円筒式あるいは二重管式の熱交換器で構成することが可能である。
反応方法としては、例えば、(1)菌体触媒および反応原料を反応装置に一度に全量仕込んでから反応を行う方法(回分反応)、(2)菌体触媒および反応原料の一部を反応装置に仕込んだ後、連続的または間欠的に残りの菌体触媒および反応原料を供給して反応を行う方法(半回分反応)、(3)菌体触媒および反応原料の連続的または間欠的な供給と、反応液(菌体触媒、未反応原料および生成したアミド化合物などを含む。)の連続的または間欠的な取出しを行いながら、反応装置内の反応液を全量取り出すことなく連続的に反応を行う方法(連続反応)が挙げられる。これらの中でも、工業的にアミド化合物を大量かつ効率的に製造しやすい点で、連続反応が好ましい。
反応は、菌体触媒(ニトリル化合物のニトリル基のアミド化触媒)の存在下で行われる。菌体触媒の使用形態として、懸濁床、固定床などの適切な形式を選択することができる。例えば連続反応の場合、菌体触媒の懸濁液(例:菌体触媒を水に懸濁してなる液)を調製し、懸濁液を反応装置に供給すればよい。
ニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力(以下「ニトリルヒドラターゼ活性」ともいう。)を有する酵素(たんぱく質)をいう。
ニトリルヒドラターゼを含有する微生物としては、ニトリルヒドラターゼを産生し、かつニトリル化合物およびアミド化合物の水溶液中でニトリルヒドラターゼ活性を保持している微生物であれば特に限定されない。
ニトリルヒドラターゼを産生する微生物としては、例えば、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobavter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する微生物が挙げられる。これらは1種で用いても2種以上を併用してもよい。
微生物の菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法を利用して調製すればよい。例えば、LB培地やM9培地などの通常液体培地に微生物を植菌した後、適当な培養温度(一般的に20〜50℃であり、好熱菌の場合は50℃以上でもよい。)で生育させ、続いて、微生物を遠心分離によって培養液より分離・回収する方法が挙げられる。
微生物の菌体処理物とは、微生物菌体の抽出物や磨砕物、前記抽出物や磨砕物のニトリルヒドラターゼ活性画分を分離精製して得られる分離物、微生物菌体や前記抽出物・磨砕物・分離物を適当な担体を用いて固定化して得られる固定化物などをいう。これらはニトリルヒドラターゼ活性を有している限りは菌体処理物に該当する。
なお、反応装置として多段の反応器を用いる場合、その構成としては、(a)反応原料を原料貯蔵槽から上段の反応器入口に供給し、上段の反応器出口から排出された反応液(菌体触媒、未反応原料および生成したアミド化合物などを含む。)を、下段の反応器入口に供給する直列式態様、(b)反応原料を原料貯蔵槽から二以上の反応器に(他の反応器を経由せずに)直接供給する並列式態様が挙げられる。以下、反応原料が直接供給される反応器、すなわち以下の原料供給ラインが直接接続された反応器を「反応器(i)」ともいう。
例えば、多段の反応器を用いて連続反応を行う場合等において、菌体触媒および反応原料の供給先は、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)のみに限定されず、二段目以降の反応器(下流に位置する反応器)であってもよい。
〈原料供給ライン〉
本発明において、ニトリル化合物供給ラインおよび水供給ラインを総称して、「原料供給ライン」ともいう。ただし、反応装置が複数の反応器から構成される場合、ある反応器から他の反応器へ反応液を送るラインは原料供給ラインには含まれない。
ニトリル化合物供給ラインは、具体的には貯蔵槽Nおよび前記反応装置を接続する配管である。ニトリル化合物の貯蔵槽Nから、ニトリル化合物供給ラインを通じてニトリル化合物からなる貯蔵液が反応装置に供給される。好ましい実施態様では、ニトリル化合物供給ラインは、貯蔵槽Nの外部循環ラインの途中から分岐したものであって、貯蔵槽Nと反応装置とを接続する。
水供給ラインは、具体的には貯蔵槽Wおよび前記反応装置を接続する配管である。水の貯蔵槽Wから、水供給ラインを通じて水からなる貯蔵液が反応装置に供給される。好ましい実施態様では、水供給ラインは、貯蔵槽Wの外部循環ラインの途中から分岐したものであって、貯蔵槽Wと反応装置とを接続する。
ニトリル化合物供給ラインおよび水供給ラインは、別々に反応装置に接続されていてもよく、ニトリル化合物供給ラインおよび水供給ラインが途中で接続されて合流ラインとした後、反応装置に接続されていてもよい。
反応装置が複数の反応器から構成される場合、原料供給ラインは、一段目の反応器のみに接続されていてもよく(直列式態様)、一段目の反応器と二段目以降の反応器とに並列的に接続されていてもよい(並列式態様)。
原料供給ラインには、反応原料の供給温度を制御する観点から、温度制御機構を設けてもよい。原料供給ライン上に設けることのできる温度制御機構としては、例えば、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器などの熱交換器が挙げられる。
〔アミド化合物の製造方法〕
本発明のアミド化合物の製造方法は、ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するアミド化合物の製造方法において、上述したニトリル化合物の貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有する。本発明では、例えば、菌体触媒を含む反応装置に、水と上述したニトリル化合物の貯蔵装置において貯蔵されたニトリル化合物とが供給される。
好ましくは、本発明のアミド化合物の製造方法は、装置内の液温が0〜50℃に保たれた反応装置に、水と上述したニトリル化合物の貯蔵装置において貯蔵されたニトリル化合物とを、いずれも反応装置内の液温+15℃以下の温度で供給する工程を有する。
本発明のアミド化合物の製造方法では、ニトリル化合物からなる貯蔵液が貯蔵槽内において効率的に冷却され、かつ液温が均一に保たれていることから、ニトリル化合物の供給によって菌体触媒の活性が低下することなく、高品質のアミド化合物を効率良く(例:ニトリル化合物の転化率が高い)製造することができる。
〈反応条件〉
《(1)温度等の条件》
反応装置内の液温である反応温度は、菌体触媒の耐熱性にもよるが、通常0〜50℃に設定され、好ましくは10〜40℃、より好ましくは10〜30℃、更に好ましくは10〜20℃に設定される。反応温度が前記範囲にあると、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応温度とは、反応装置が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内の液温を指し;反応装置が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内の液温を指す。反応温度は、例えば、熱電対法(例:Kタイプ)により測定することができる。反応温度は、反応器内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応器出口(反応液取出し口)で測定可能である。
反応装置の容積は、特に限定するものではないが、工業的な生産を考慮すると、通常0.1m3以上、好ましくは0.1〜100m3、より好ましくは0.5〜50m3である。反応装置が複数の反応器から構成される場合、前記容積は各々の反応器の容積を指す。
反応は、一般的には常圧下で行われるが、ニトリル化合物の溶解度を高めるために加圧下で行うこともできる。反応器内のpHは特に限定されないが、好ましくはpH5〜pH10の範囲にある。pHが前記範囲にあると、ニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
《(2)反応原料および菌体触媒の供給条件》
ニトリル化合物および水は、(I)それぞれ別々の原料供給ライン(ニトリル化合物供給ライン、水供給ライン)で反応装置へ供給してもよく、(II)両者を混合した後に混合液(合流ライン)として反応装置へ供給してもよい。
菌体触媒は菌体の耐熱性を超える温度で活性が低下するため、反応装置は活性が維持される温度で通常は運転されている。反応原料であるニトリル化合物および/または水は、外気温のまま反応装置に供給されてその後に温度制御されるのが通常であり、原料貯蔵槽および原料供給ラインでは、温度制御されていない。
しかしながら、ある温度よりも高い温度のニトリル化合物および/または水を反応装置に供給する場合、これらの反応原料が反応装置に供給された後に拡散して適温に制御されたとしても、触媒の活性が低下することがある。菌体触媒は、金属触媒と異なり、反応温度が適温であっても原料供給口付近が一時的に高温の反応原料にさらされると活性が低下し、元の活性までは回復しないと推定される。
したがって、反応装置に供給されるニトリル化合物および水の温度(以下「供給温度」ともいう。)は、「反応器内の液温+15℃」以下であることが好ましく、「反応器内の液温+10℃」以下であることがより好ましく、「反応器内の液温+5℃」以下であることが更に好ましい。供給温度の上限値は、菌体触媒の耐熱性に応じて決まる。なお、供給温度の上限値は特に限定されないが、通常60℃程度、好ましくは50℃程度である。供給温度の下限値は、特に限定されないが10℃程度である。
菌体触媒の懸濁液を反応装置に供給する場合は、懸濁液の温度上昇は菌体触媒の活性低下を引き起こす原因となるため、懸濁液は低温で供給することが好ましい。具体的には、懸濁液の供給温度は、30℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。懸濁液の供給温度の下限値は、液として供給可能な範囲内であれば特に限定されない。
なお、反応装置が複数の反応器から構成される場合(例:槽型反応器を直列で複数用いる場合、槽型反応器および管型反応器を接続して用いる場合)は、上述の直列式態様(a)および並列式態様(b)ともに、上段の反応器出口から排出される反応液の温度が好ましくは下段の反応器内の液温+15℃以下(より好ましくは下段の反応器内の液温+10℃以下、更に好ましくは下段の反応器内の液温+5℃以下)となっていれば、当該反応液を特に温度制御を行わずに下段の反応器入口に供給してもよいし、必要に応じて温度制御をしてもよい。
また、反応装置が複数の反応器から構成される場合であって、上述の並列式態様(b)の場合、各々の反応器(i)に直接供給される反応原料の供給温度が、上述の温度要件を満たすよう(例:各反応器(i)内の液温+15℃以下、好ましくは液温+10℃以下、より好ましくは液温+5℃以下となるよう)、それぞれ温度制御を行うことが好ましい。
供給温度が上記温度範囲を越えると、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性が低下し、アミド化合物の収率が低下することがある。反応原料の供給温度は、上記(I)の場合はニトリル化合物および水の各々の温度を指し、上記(II)の場合は混合液の温度を指す。
ニトリル化合物および水を別々に供給する場合、各々の原料貯蔵槽および/または原料供給ライン上に設けられた熱交換器(例:多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器)などの公知の温度制御機構を用いて、供給温度を制御することができる。ニトリル化合物および水を混合供給する場合、両者を温度制御した後に混合してもよく、混合後に温度制御機構を用いて供給温度を制御してもよい。
ニトリル化合物および水の供給割合は、ニトリル化合物に対して水が当モル以上あればよく、ニトリル化合物と水とのモル比(ニトリル化合物:水)で通常1:1〜1:50、好ましくは1:1〜1:20である。菌体触媒の使用量は、反応条件や触媒の種類およびその形態により変化するが、上記微生物の乾燥菌体重量換算で、反応液に対して、通常10〜50,000重量ppm、好ましくは50〜30,000重量ppmである。
反応時間(反応液の滞留時間)は、通常0.5〜50時間、好ましくは2〜25時間である。多段の反応器を用いる場合、反応時間とは、全反応器における合計の反応時間(反応液の滞留時間)を指す。
本発明のアミド化合物の製造方法において、得られたアミド化合物の回収および精製は、例えば、濃縮操作(例:蒸発濃縮)、活性炭処理、イオン交換処理、ろ過処理、晶析操作により行うことができる。
以上のようにして、反応原料であるニトリル化合物に対応するアミド化合物、例えば(メタ)アクリロニトリルであれば(メタ)アクリルアミドを得ることができる。
以下、本発明のアミド化合物の製造装置の具体例を、図面を参照して説明する。
図2の製造装置は、撹拌機61を備える反応装置60と、原料(ニトリル化合物)供給配管23を通して反応装置60に接続されたニトリル化合物の貯蔵槽10と、ニトリル化合物の貯蔵槽10に配管を介して設置された循環ポンプ30および熱交換器40と、原料(水)供給配管23’を通して反応装置60に接続された水(原料水)の貯蔵槽50と、水(原料水)の貯蔵槽50に配管を介して設置された循環ポンプ30’および熱交換器40’とを備える。
図3の製造装置は、図2の製造装置において、原料(ニトリル化合物)供給配管23と原料(水)供給配管23’とを途中で接続して合流配管としたものである。
図4の製造装置は、図2の製造装置において、原料(ニトリル化合物)供給配管23および原料(水)供給配管23’にそれぞれ熱交換器41、41’を設置したものである。
図5の製造装置は、図3の製造装置において、原料(ニトリル化合物)供給配管23と原料(水)供給配管23’との合流配管に熱交換器41を設置したものである。
これらの実施形態は例示であって、本発明の製造装置はこれらに限定されない。
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[実施例1]
〔アクリロニトリルの貯蔵〕
図1に示すアクリロニトリルの貯蔵装置を用いて、アクリロニトリルを貯蔵した。すなわち、外部循環ライン上に循環ポンプとプレート式熱交換器とを備えた直径6m、高さ5mのSUS製貯蔵槽に、アクリロニトリル100m3を入れ、循環による温度制御を行い、アクリロニトリルを72時間貯蔵した。
循環方式としては、貯蔵槽内に温度検知部を設置し、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が30℃を超えた場合に貯蔵液の循環を行い、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が30℃以下になった場合に循環を停止する方式を用いた。貯蔵中の外気温の変動は、最高気温は33℃、最低気温は24℃であった。
貯蔵槽内の温度検知部の設置箇所は、以下のいずれかである:
(1)貯蔵槽の底部からの高さ0.3m、外周部からの距離0.2m。
(2)貯蔵槽の底部からの高さ0.3m、外周部からの距離3m。
(3)貯蔵槽の底部からの高さ3m、外周部からの距離0.2m。
(4)貯蔵槽の底部からの高さ2m、外周部からの距離3m。
72時間後の温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温は、温度検知部の設置箇所が上記(1)〜(4)のいずれの場合においても、30℃であった。結果を表1に示す。
〔ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体の調製〕
特開2001−340091号公報の実施例1に記載の方法に従いNo.3クローン菌体を取得し、同じく、同実施例1の方法で培養してニトロリルヒドラターゼを含有する湿菌体を得た。
〔アクリルアミドの製造〕
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、図2に示す製造装置(ただし、反応装置としては第1反応器のみを図示している。)を用いて、以下の条件で反応を行った。
第1反応器として攪拌機を備えた容積1m3のSUS製槽型反応器、第2反応器として容積0.5m3のSUS製二重管型反応器を準備した。第1反応器には、予め400kgの水を仕込んだ。
上記培養方法で得られた湿菌体を純水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を11kg/hの速度で連続的に供給した。また、上記貯蔵後のアクリロニトリルは32kg/hの速度で、純水は37kg/hの速度で連続的に供給した。アクリロニトリルおよび純水はそれぞれ別々の原料供給配管により供給した。反応中の反応液の温度は20℃となるように温度制御を行った。さらに反応pHが7.5〜8.5となるように、0.1M−NaOH水溶液を供給した。
反応開始から200時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。
ここで分析条件は以下のとおりであった。
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR-101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム :Wakosil-II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液
[実施例2]
実施例1のアクリロニトリルの貯蔵において、外部循環ライン上に設置した熱交換器としてプレート式熱交換器を使用する代わりに渦巻板式熱交換器を使用したこと以外は実施例1と同様にして、アクリロニトリルの貯蔵を行った。結果を表1に示す。
上記貯蔵後のアクリロニトリルを用いて、実施例1のアクリルアミドの製造と同様にして反応を行った。反応開始から200時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。
[実施例3]
実施例1の条件下での貯蔵後のアクリロニトリルを用いて、実施例1のアクリルアミドの製造において、図2に示す製造装置を用いる代わりに図3に示す製造装置を用いたこと以外は実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。すなわち、アクリロニトリル供給ラインおよび純水供給ラインは途中で接続されて合流ラインとなっており、アクリロニトリルおよび純水は合流ライン中で混合され、混合物が反応装置へ供給された。
反応開始から200時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。
[比較例1]
実施例1のアクリロニトリルの貯蔵において、貯蔵槽には外部循環ラインを設置せずに散水設備を設置し、散水設備より20℃の水を散水することにより温度制御を行ったこと以外は実施例1と同様にして、アクリロニトリルの貯蔵を行った。結果を表1に示す。
散水式としては、貯蔵槽内に温度検知部を設置し、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が30℃を超えた場合に散水を行い、温度検知部が検知した貯蔵槽内の液温が30℃以下になった場合に散水を停止する方式を用いた。
上記貯蔵後のアクリロニトリルを用いて、実施例1のアクリルアミドの製造と同様にして反応を行った。反応開始から200時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が92%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が80重量ppmとなった。
Figure 2013212064
1:貯蔵装置
10:ニトリル化合物の貯蔵槽
11:貯蔵槽出口
12:貯蔵槽入口
20:外部循環ライン
21、21’:配管
22、22’:配管
23 :原料(ニトリル化合物)供給配管
23’:原料(水)供給配管
30、30’:循環ポンプ
40、40’:熱交換器
41、41’:熱交換器
50:水(原料水)の貯蔵槽
60:反応装置
61:攪拌機

Claims (7)

  1. ニトリル化合物からなる貯蔵液の貯蔵槽と、
    前記貯蔵槽に接続され、前記貯蔵液の循環路である外部循環ラインと、
    前記外部循環ライン上に設けられた温度制御機構と
    を有するニトリル化合物の貯蔵装置。
  2. 前記ニトリル化合物が、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから選択される少なくとも1種である、請求項1のニトリル化合物の貯蔵装置。
  3. 前記温度制御機構が、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、および二重管式熱交換器から選択される少なくとも1種の熱交換器である、請求項1または2のニトリル化合物の貯蔵装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項の貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有する、ニトリル化合物の貯蔵方法。
  5. ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するアミド化合物の製造装置において、請求項1〜3のいずれか1項のニトリル化合物の貯蔵装置を備えるアミド化合物の製造装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項のニトリル化合物の貯蔵装置と;
    ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物の水和反応によりアミド化合物を製造する反応装置と;
    前記貯蔵装置および前記反応装置を接続するニトリル化合物供給ラインと;
    水の貯蔵槽と;
    水の貯蔵槽および前記反応装置を接続する水供給ラインと;
    を備える、請求項5のアミド化合物の製造装置。
  7. ニトリルヒドラターゼを含有する微生物菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するアミド化合物の製造方法において、請求項1〜3のいずれか1項の貯蔵装置を用いてニトリル化合物を貯蔵する工程を有する、アミド化合物の製造方法。
JP2012083798A 2012-04-02 2012-04-02 ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法 Pending JP2013212064A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012083798A JP2013212064A (ja) 2012-04-02 2012-04-02 ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012083798A JP2013212064A (ja) 2012-04-02 2012-04-02 ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013212064A true JP2013212064A (ja) 2013-10-17

Family

ID=49585976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012083798A Pending JP2013212064A (ja) 2012-04-02 2012-04-02 ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013212064A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6881563B2 (ja) アクリルアミドの製造方法
KR101647165B1 (ko) 아크릴아마이드의 제조방법
JP2015057968A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2014176344A (ja) 反応経過を監視することを特徴とするアミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
KR101975068B1 (ko) 아크릴아미드의 제조 방법
WO2012039407A1 (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
KR101878012B1 (ko) 아크릴아미드 수용액의 제조 방법
JP2013212064A (ja) ニトリル化合物の貯蔵装置およびニトリル化合物の貯蔵方法、ならびにアミド化合物の製造装置およびアミド化合物の製造方法
JP2015080443A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP6994104B2 (ja) アミド化合物の製造方法
JP2014113092A (ja) ポンプを用いるアミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2019118312A (ja) アミド化合物の製造装置
JP2016202029A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP6098510B2 (ja) アクリルアミド水溶液の製造方法
JP2014079199A (ja) 原料混合供給によるアミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2017042126A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2015057967A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2018000079A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2015070801A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2015073490A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2014113089A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2018046795A (ja) アミド化合物の製造方法
JP2018002632A (ja) アミド化合物の精製方法およびアミド化合物の精製装置
JP2017136049A (ja) アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置
JP2017043577A (ja) アミド化合物の精製方法およびアミド化合物の精製装置