JP2017042126A - アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置 - Google Patents

アミド化合物の製造方法およびアミド化合物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的に非常に重要なアミド化合物の効率的な製造方法、および該方法に好適に用いられるアミド化合物の製造装置を提供する。
【解決手段】ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において菌体および/またはその菌体処理物を、酸素を含有する気体に接触させた後に反応槽へ供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法、およびニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する反応槽と、酸素を含有する気体を供給する給気ラインを有する菌体触媒貯槽を備えるアミド化合物の製造装置
【選択図】なし

Description

本発明は、菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用い、ニトリル化合物を水和してアミド化合物を得るアミド化合物の製造方法、ならびにアミド化合物の製造装置に関するものである。
アミド化合物の主要な製造方法の一つとして、ニトリル化合物を原料とする水和法は多くの場合に用いられており、アクリルアミド等のアミド化合物の工業的製法としては、例えば、ラネー銅等の金属銅を触媒として用い、アクリロニトリル等のニトリル化合物を水和する方法、あるいは近年ではニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として用い、ニトリル化合物を水和する方法が知られている。
菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いる方法は、アクリロニトリル等のニトリル化合物の転化率および選択率が高いことから工業的に注目を浴びている。
菌体触媒の活性は不安定であり、継時的に低下しやすい。また、菌体触媒は菌体の耐熱性を越える温度で活性の低下をもたらすことがあるため、反応槽は活性が維持される温度で通常は運転されている。例えば特許文献1では、熱に対して失活しやすい生体触媒を用いてアクリロニトリルからアクリルアミドを製造する方法において、工業的な反応スケールでありながら反応熱を効率的に除去する方法として、反応温度と熱交換器に導入する冷却水の温度との温度差を一定の範囲に保持する方法が提案されている。特許文献2には、ニトリルヒドラターゼを有する生体触媒を用いて、アクリロニトリルからアクリルアミドを製造する方法において、より少ない触媒量でより高濃度の高品質なアクリルアミドを製造する方法として、30℃未満で保存されたアクリロニトリルを使用する方法が提案されている。特許文献3には、菌体触媒の活性を低下させずに効率的にアミド化合物を製造する方法として、反応槽へ供給するニトリル化合物および水の温度を反応槽内の液温+10℃以下で供給する方法が提案され、さらに、実施例においては、アクリロニトリルおよび純水の貯槽を15℃の温度の水浴中に浸漬することにより貯槽内の温度を15℃になるように制御し、かつ、菌体触媒の懸濁液の貯槽を5℃の温度の水浴中に浸漬することにより貯槽内の温度を5℃以下になるように制御する方法が開示されている。特許文献4には、ニトリル化合物からアミド化合物を製造するにあたり、生体触媒の劣化を抑えながら分散性が良好となることによりニトリル化合物からアミド化合物への変換効率を高める方法として、反応器内で攪拌しながら反応を行うアミド化合物の製造方法において、反応液流体の単位体積当たりの攪拌所要動力を0.08〜0.7kW/m3の範囲内にする方法が開示されている。特許文献5には、ニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法において、菌体とアミド化合物を含む液の輸送に、容積型ポンプを用いることにより不純物の少ないアミド化合物を製造する方法が開示されている。特許文献6には、アミド化合物の効率的な製造方法として、アミド化合物を製造する方法において温度制御装置および攪拌機を備えた菌体触媒貯槽を用いて菌体および/またはその菌体処理物を反応槽へ供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法においては、温度制御が実施されるのは反応槽や、供給される原料のみであり、菌体触媒を効率良く使用するには不十分であった。また、特許文献3に開示されている菌体触媒の懸濁液の貯槽を冷却する方法は、貯槽壁表面からのみの冷却となるため、貯槽内液を効率的に冷却することができない、また、貯槽内液を均一に冷却することができず、貯槽内液に温度分布が生じる。さらに、小スケールの菌体触媒の貯槽で検討されており、工業的なスケールでの除熱効率が考慮されていない。工業的な生産規模を考慮すると、菌体触媒の貯槽の容積は大きなものとなり、貯槽の容積が大きくなるほど、容積当たりの冷却に用いられる伝熱面積の割合は小さくなるため除熱はさらに困難になり菌体触媒を効率良く使用するには不十分である。また、特許文献4や特許文献5に記載の方法においては、反応器内へ供給された触媒の劣化は抑制されるものの、反応器への供給のために貯蔵されている触媒の劣化を抑制することはできない。また、特許文献6に記載の方法においては、反応器への供給のために貯蔵されている触媒の劣化の抑制が十分ではなく、未だ検討の余地が残されている。
国際公開第10/038832号パンフレット 国際公開第11/138966号パンフレット 国際公開第12/039407号パンフレット 国際公開第09/113654号パンフレット 特開2006/187257号パンフレット 特開2015/73490号パンフレット
菌体および/またはその菌体処理物を用いたニトリル化合物の水和反応において、アミド化合物を効率的に製造する方法、および当該方法において好適に用いられるアミド化合物の製造装置を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、菌体および/またはその菌体処理物を、酸素を含有する気体に接触させた後に反応槽へ供給することにより菌体触媒の活性を低下させずに効率的にアミド化合物を製造することができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、菌体および/またはその菌体処理物を反応槽へ供給する菌体触媒貯槽へ酸素を含有する気体を供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法
〔2〕前記菌体触媒貯槽へ供給する気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]が0.1以上であることを特徴とする前記〔1〕に記載の製造方法
〔3〕ニトリル化合物がアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである前記〔1〕または〔2〕に記載の製造方法
〔4〕ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する反応槽と、酸素を含有する気体を供給する給気ラインを有する菌体触媒貯槽を備えるアミド化合物の製造装置
本願発明においては、菌体触媒の活性を低下させずに効率的にアミド化合物を製造することができる。
図1は、本発明の製造装置の一実施形態を示す模式図である。
以下、本発明のアミド化合物の製造方法および製造装置について説明する。
〔アミド化合物の製造方法〕
本発明のアミド化合物の製造方法は、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、菌体および/またはその菌体処理物を、酸素を含有する気体に接触させた後に反応槽へ供給する工程を有する。
<ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物>
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを単に「菌体触媒」ともいう。)をニトリル化合物のアミド化合物への水和触媒として用いる。
ニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力(以下、「ニトリルヒドラターゼ活性」ともいう。)を有する酵素(たんぱく質)をいう。
ニトリルヒドラターゼを含有する菌体としては、ニトリルヒドラターゼを産生し、かつニトリル化合物およびアミド化合物の水溶液中でニトリルヒドラターゼ活性を保持している菌体であれば特に限定されない。ニトリルヒドラターゼを産生する菌体としては、例えば、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する菌体が挙げられる。これらは一種で用いても二種以上を併用しても良い。
また、これら菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および組換えDNA技術を用いて該ニトリルヒドラターゼの構成アミノ酸の一個または二個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体等も挙げられる。尚、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、とくに大腸菌に限定されるものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822〔本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター 中央第6 独立行政法人 品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター)に受託番号FERMBP−5785として、特許手続き上の菌体の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。〕が挙げられる。
これら菌体の中でも、高活性、高安定性のニトリルヒドラターゼを有するという点で、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する菌体、および該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体が好ましい。なお、上記形質転換体は、ニトリルヒドラターゼの安定性をより高め、菌体当たりの活性がより高い点で好ましい。
また、菌体内にニトリルヒドラターゼを高発現できる、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1、該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体も同様に好ましい。上記ニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法により調製できる。
本発明に係る組換えベクターは、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を含有するものであり、ベクターにニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を連結することにより得ることができる。ベクターとしては、特に限定されるものではなく、例えば、pET-21a(+)、pKK223-3、pUC19、pBluescriptKS(+)およびpBR322等に代表される市販の発現プラスミドに、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を組み込むことにより、該ニトリルヒドラターゼの発現プラスミドを構築することができる。また、形質転換に使用する宿主生物としては、組換えベクターが安定、かつ自己増殖可能で、さらに外来のDNAの形質が発現できるものであれば良く、例えば大腸菌が好例として挙げられるが、大腸菌だけに限らず枯草菌、酵母等に導入することにより、ニトリルヒドラターゼの産生能を有する形質転換体を得ることができる。
上述のようなニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、公知の方法により、適宜培養し増殖させ、ニトリルヒドラターゼを産生させても良い。この場合に使用される培地としては炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養素を適量含有する培地であれば合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。例えば、LB培地、M9培地等の通常の液体培地に、菌体を植菌した後、適当な培養温度(一般的には20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でも良い。)で培養させることにより調製できる。培養は前記培養成分を含有する液体培地中で振とう培養、通気攪拌培養、連続培養、流加培養等の通常の培養方法を用いて行うことができる。形質転換体の培養温度としては、15〜37℃が好ましい。培養条件は、特に限定されるものではなく、培養の種類、培養方法により適宜選択すれば良く、菌株が生育しニトリルヒドラターゼを産生することができれば良い。
本発明では上述のニトリルヒドラターゼを産生する菌体を、ニトリル化合物と反応させるために、遠心等による集菌や、破砕し菌体破砕物を作製する等、さまざまな処理を行っても良く、これらのなんらかの処理を施した菌体を菌体処理物と総称する。
菌体破砕物を作製する場合の破砕される菌体の形態としては、ニトリルヒドラターゼを産生する菌体を含む限り特に限定はされず、例えば、該菌体を含む培養液そのもの、その培養液を遠心分離して分離・回収された集菌体、さらにこの集菌体を生理食塩水等で洗浄したものが挙げられる。
上記菌体を破砕する装置としては、菌体を破砕可能であれば特に限定はされず、例えば、超音波破砕機、フレンチプレス、ビーズショッカー、ホモゲナイザー、ダイノーミル、クールミル等の摩砕装置が挙げられる。これらの中でも、安価にスケールアップができるという点で、ホモゲナイザーが好ましい。
菌体を破砕する時の温度は特に限定はされず、好ましくは0℃以上50℃以下、より好ましくは0℃以上25℃以下である。
また、菌体を破砕する時のpHは特に限定はされず、好ましくはpH4以上10以下、より好ましくはpH6以上8以下である。
ホモゲナイザーを用いて菌体を破砕する場合の圧力は菌体が破砕される圧力であれば特に限定はされず、好ましくは10MPa以上300MPa以下、より好ましくは30MPa以上100MPa以下である。
<ニトリル化合物>
ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ニトリル化合物、炭素数6〜20の芳香族ニトリル化合物が挙げられ、一種で用いても二種以上を併用しても良い。
脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリルが挙げられ、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリル等の脂肪族飽和モノニトリル類;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリル等の脂肪族飽和ジニトリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル等の脂肪族不飽和ニトリルが挙げられる。
芳香族ニトリル化合物としては、例えば、ベンゾニトリル、o−,m−またはp−クロロベンゾニトリル、o−,m−またはp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−またはp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−またはp−トルニトリル、o−,m−またはp−シアノピリジン、ベンジルシアナイドが挙げられる。
ニトリル化合物の中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
<水(原料水)>
原料水は特に限定されず、蒸留水、イオン交換水等の精製水を用いることができる。
<pH調節剤>
pH調節剤は、反応混合物のpHを菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲に調節するために用いられる。
反応に好適なpHが7よりも小さい場合には、pH調節剤として酸を用いることができる。
pH調節剤として用いる酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。無機酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、沃化水素等のハロゲン化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜沃素酸、亜沃素酸、沃素酸、過沃素酸等のハロゲン化オキソ酸、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、蓚酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、安息香酸等のカルボン酸やメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。pH調節剤として用いる酸は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の酸は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の酸も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の酸の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
反応に好適なpHが7よりも大きい場合には、pH調節剤として塩基を用いることができる。
pH調節剤として用いる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれも用いることができる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニアが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジンが挙げられる。pH調節剤として用いる塩基は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の塩基は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の塩基も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の塩基の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、 さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
<反応槽>
反応槽としては、一つの反応器から構成される単段の反応槽を用いても良く、複数の反応器から構成される多段の反応槽を用いても良い。反応器としては、槽型反応器を用いても良く、管型反応器を用いても良い。槽型反応器としては、撹拌機を備える反応器が好ましい。槽型反応器が攪拌機を有する場合の攪拌機の攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼が挙げられる。攪拌翼は、1枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
反応槽には、循環ポンプを備えた外部循環ラインが設置されていても良い。循環ポンプを備えた外部循環ラインは、反応槽に一つ設置されていても、複数設置されていても良い。
反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合の、外部循環ラインに備えられたポンプは、特に限定されるものではなく、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプ等のターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプ等の容積型ポンプが挙げられる。
反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、外部循環ラインに備えられたポンプを用いて、反応混合物の一部が反応槽内から取り出され、外部循環ラインを経由して反応槽へ戻される。反応槽に設置された外部循環ラインには、温度制御装置が設置されていることは好ましい。温度制御装置としては、好ましくは熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、多管円筒式、渦巻管式、渦巻板式、プレート式、二重管式等の形態のものが挙げられる。
複数の反応器から構成される多段の反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、ポンプを備えた外部循環ラインは各々の反応器に全て設置されていても良く、いずれか一つの反応器にのみ設置されていても良い。複数の反応器から構成される場合において、ポンプを備えた外部循環ラインがいずれか一つの反応器にのみ設置される場合には、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)に設置されることが好ましい。
一段目の槽型反応器と二段目の管型反応器とから構成される反応槽を用い、槽型反応器から取り出される反応液を管型反応器で更に反応させる形態とし、槽型反応器にポンプを備えた外部循環ラインを設置する反応槽は、転化率を向上できるのでより好ましい。
槽型反応器および管型反応器は、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性が維持される温度に保たれる限り、熱交換器を備えていてもいなくても良いが、後述する反応槽温度を制御するため、前記反応器は熱交換器を備えることが好ましい。熱交換器としては、例えば、多管円筒式、渦巻管式、渦巻板式、プレート式、二重管式等の形態のものを外部循環ライン上に設置することは好ましく、それ以外にも、ジャケット式、コイル式等の反応器に直接設置する形態のものが挙げられる。反応器が管型反応器である場合は、反応器自体を多管円筒式あるいは二重管式の熱交換器で構成することが可能である。
反応方法としては、例えば、(1)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を反応槽に一度に全量仕込んでから反応を行う方法(回分反応)、(2)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤の一部を反応槽に仕込んだ後、連続的または間欠的に残りの菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を供給して反応を行う方法(半回分反応)、(3)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤の連続的または間欠的な供給と、反応液(菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む。)の連続的または間欠的な取り出しを行いながら、反応槽内の反応液を全量取り出すことなく連続的に反応を行う方法(連続反応)が挙げられる。これらの中でも、工業的にアミド化合物を大量かつ効率的に製造しやすい点で、連続反応が好ましい。
反応は、菌体触媒の存在下で行われる。菌体触媒の使用形態として、好ましくは懸濁床であり例えば連続反応の場合、菌体触媒の懸濁液を調製し、懸濁液を反応槽に供給すれば良い。
なお、反応槽として複数の反応器から構成される多段の反応槽を用いる場合、その構成としては、(a)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を上段の反応器に供給し、上段の反応器から取り出された反応液(菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む。)を、下段の反応器に供給する直列式態様、(b)菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤を二以上の反応器に(他の反応器を経由せずに)直接供給する並列式態様が挙げられる。
例えば、多段の反応槽を用いて連続反応を行う場合において、菌体触媒、反応原料(ニトリル化合物および原料水)およびpH調節剤の供給先は、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)のみに限定されず、二段目以降の反応器(下流に位置する反応器)であっても良い。
反応槽内の液温である反応槽温度は、菌体触媒の耐熱性にもよるが、通常0〜50℃に設定され、好ましくは10〜40℃に設定される。反応槽温度が前記範囲にあると、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応槽温度とは、反応槽が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内の液温を指し、反応槽が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内の液温を指す。反応槽温度は、例えば、熱電対法(例:Kタイプ)により測定することができる。反応槽温度は、反応槽内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応槽出口(反応液取り出し口)で測定可能である。
反応槽の容積は、特に限定するものではないが、工業的な生産を考慮すると、通常0.1m3以上、好ましくは1〜100m3、より好ましくは5〜50m3である。反応槽が複数の反応器から構成される場合、前記容積は各々の反応器の容積を指す。
反応は、一般的には常圧下で行われるが、ニトリル化合物の溶解度を高めるために加圧下で行うこともできる。反応槽内のpHは、菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲であれば特に限定されないが、好ましくはpH5〜pH10の範囲にある。pHが前記範囲にあると、ニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応槽のpHとは、反応槽が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内のpHを指し、反応槽が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内のpHを指す。反応槽のpHは、例えば、指示薬法、水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法、ガラス電極法により測定することができる。反応槽のpHは、反応槽内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応槽出口(反応液取り出し口)で測定可能である。
<菌体触媒貯槽>
菌体触媒貯槽とは、菌体触媒の懸濁液を保有し、菌体触媒の懸濁液を反応槽に供給する触媒供給管を有する。菌体触媒貯槽には、菌体触媒貯槽へ酸素を含有する気体を供給するための給気ラインが設置される。給気ラインは、菌体触媒貯槽に一つ設置されていても、複数設置されていても良い。給気ラインからは、菌体触媒貯槽へ酸素を含有する気体が供給される。
菌体触媒貯槽に供給する酸素を含有する気体は、酸素を含有する気体であれば特に限定するものではない。酸素を含有する気体に含有される酸素濃度は、特に制限はないが、低濃度の気体を用いると使用量が過大となるため、好ましくは1%以上100%以下、より好ましくは5%以上100%以下、さらに好ましくは10%以上100%以下である。酸素を含有する気体は、コストあるいは取扱いの容易性の観点から、酸素または空気を用いることが好ましく、空気を用いることがより好ましい。
本発明において、酸素を含有する気体が菌体触媒貯槽に供給されるポートであって、かつ給気ラインに接続されたポートを「気体入口」ともいう。
菌体触媒貯槽は、気体入口を有する。気体入口の設置位置は特に限定するものでなく、任意の場所を選択でき、例えば、気体入口を菌体触媒貯槽の上部に設置し、菌体触媒貯槽内の気相部へ酸素を含有する気体を供給しても良い。あるいは、例えば、気体入口を菌体触媒の懸濁液中に配置して、酸素を含有する気体を菌体触媒の懸濁液中に供給しても良い。気体入口の形状は特に限定するものでなく、任意の形状を選択できる。気体入口の数は、特に限定するものでなく、任意の数を選択できる。気体入口の数は一つでも良く、複数でも良い。
菌体触媒貯槽への酸素を含有する気体の供給は、一定の間隔をおいて間欠的に行っても良く、連続的に行っても良いが、好ましくは連続的な供給である。酸素を含有する気体を菌体触媒貯槽の気相部および/または菌体触媒の懸濁液中へ供給し、一部をパージしながら連続的に供給することはより好ましい。
菌体触媒貯槽へ酸素を含有する気体を連続的に供給する場合には、酸素を含有する気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]が0.1以上である値であることは好ましい。W/V[1/h]が0.1以上となる値で実施される場合には、菌体触媒の活性を低下させずに効率的にアミド化合物を製造することができる。また、W/V[1/h]が0.1未満となる場合には、菌体触媒の活性を維持することが困難である。
W/V[1/h]の上限値については、0.1以上となる値であれば特に限定はされないが、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。W/V[1/h]が100を超える場合には、酸素を含有する気体の使用量が過大となるためである。
菌体触媒貯槽は温度制御装置を有していても良く、温度制御装置を有していなくても良いが、菌体触媒の懸濁液の液温を制御する観点から、温度制御装置を有することは好ましい。
菌体触媒貯槽が温度制御装置を有する場合の温度制御装置は、菌体触媒貯槽自体に設けても良く、菌体触媒貯槽が外部循環ラインを有している場合には、外部循環ライン上に設けても良い。菌体触媒貯槽における温度制御装置としては、例えば、熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、ジャケット式熱交換器、コイル式熱交換器等の菌体触媒貯槽に直接設置する形態のもの、あるいは多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換等の菌体触媒貯槽の外部循環ラインに設置する形態のものが挙げられる。
菌体触媒貯槽は攪拌機を有していても良く、攪拌機を有していなくても良いが、菌体触媒の液温を制御する観点から、攪拌機を有することは好ましい。菌体触媒貯槽が攪拌機を有する場合の攪拌機の攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼が挙げられる。攪拌翼は、1枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
<反応原料の供給>
反応槽へ供給する原料水は、単独で反応槽へ供給しても良く、ニトリル化合物と混合した後に反応槽へと供給しても良い。原料水を単独で反応槽へ供給する場合、原料水供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができる。原料水を反応槽へ供給する方法としては、液体輸送機能を有する機器を使用することができ、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプ等のターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプ等の容積型ポンプ等のポンプ類、スクリューコンベア等のコンベア類を用いることができる。原料水を反応槽へ供給する方法として、上記の液体輸送機能を有する機器を使用しないで供給することもできる。液体輸送機能を有する機器を使用しない場合には、例えば、原料水を貯蔵する原料水貯槽を反応槽の上部へ設置し、原料水貯槽と反応槽を原料水供給管により接続し、重力を用いた落下により供給する方法が挙げられる。あるいは、原料水貯槽を加圧することにより生じる原料水貯槽と反応槽との圧力差を用いて供給する方法が挙げられる。
原料水を反応槽へ供給する原料水供給管は、一つの反応槽につき一つであっても良く、複数あっても良い。原料水供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の原料水と二トリル化合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、混合槽を用いて攪拌混合する方法、原料水とニトリル化合物を配管中で混合する方法が挙げられる。混合槽を用いる場合には、混合槽の形状は特に限定されるものではないが、一般的に円筒形の混合槽が用いられ、縦型円筒形、横型円筒形、いずれの場合も用いることができる。混合槽には邪魔板を供えていても良く、邪魔板を供えていなくても良い。
混合槽を用いる場合の、攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼が挙げられる。攪拌翼は、1枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
原料水とニトリル化合物を配管中で混合するには、原料水供給管とニトリル化合物供給管を結合することにより原料水とニトリル化合物を直接混合することができ、さらには配管中にスタティックミキサー等のラインミキサーを設置することにより積極的に混合する方法等が挙げられる。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合に、ニトリル化合物は水との混合後、完全に水に溶解していても良いが、必ずしも水に完全に溶解している必要はなく、任意の比率で混合させれば良い。好ましくは水:ニトリル化合物の比率が、体積比で100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは10:1〜1:10である。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の、原料水とニトリル化合物の混合物の供給方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
原料水とニトリル化合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の、原料水とニトリル化合物の混合物を反応槽へ供給する供給管は、一つの反応槽につき一つであっても良く、複数あっても良い。供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
反応槽へ供給するニトリル化合物は、原料水と混合した後に反応槽へと供給しても良く、単独で反応槽へ供給しても良い。ニトリル化合物を単独で反応槽へ供給する場合、ニトリル化合物供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
ニトリル化合物を単独で反応槽へ供給する場合のニトリル化合物の供給方法は、特に限定するもではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
ニトリル化合物を反応槽へ供給するニトリル化合物供給管は、ひとつの反応槽につき一本であっても良く、複数本であっても良い。ニトリル化合物供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。
ニトリル化合物供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
<pH調節剤の供給>
反応槽へ供給するpH調節剤は、単独で反応槽へ供給しても良く、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合した後に反応槽へ供給しても良い。pH調節剤を単独で反応槽へ供給する場合、pH調節剤の供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
pH調節剤を単独で反応槽へ供給する場合のpH調節剤の供給方法は、特に限定するもではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤を反応槽へ供給するpH調節剤の供給管は、ひとつの反応槽につき一本であっても良く、複数本であっても良い。pH調節剤の供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。
pH調節剤の供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
pH調節剤と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物を混合した後に反応槽へ供給する場合のpH調節剤が混合される水系媒体とは、好ましくは原料水である。pH調節剤が混合される水系媒体を含有する混合物とは、例えば、原料水とニトリル化合物の混合物や菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む反応液が挙げられる。
pH調節剤を原料水と混合した後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤が原料水と混合された後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水の混合物の供給方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
反応槽へ供給するpH調節剤と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、pH調節剤:水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物の比率が、体積比で1:1〜1:100,000,000、より好ましくは、1:10〜1:10,000,000である。
pH調節剤を原料水とニトリル化合物と混合した後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水とニトリル化合物の混合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤と菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む反応液と混合する方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。反応槽に反応混合物の一部を反応槽に戻すためのポンプを備えた外部循環ラインを設置し、当該外部循環ラインとpH調節剤供給管を結合させることにより、水系媒体を含有する混合物として反応槽内から取り出された反応混合物の一部を用い、反応混合物の一部とpH調節剤を外部循環ライン中で直接混合する方法等が挙げられる。外部循環ラインにて直接混合された反応混合物の一部とpH調節剤は、そのまま外部循環ラインを用いて反応槽へ供給される
<菌体触媒の供給>
反応槽へ供給する菌体触媒は、単独で反応槽へ供給しても良く、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合した後に反応槽へ供給しても良い。菌体触媒を単独で反応槽へ供給する場合、菌体触媒の供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
菌体触媒を単独で反応槽へ供給する場合の菌体触媒の供給方法は、特に限定するもではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
菌体触媒を反応槽へ供給する菌体触媒の供給管は、ひとつの反応槽につき一本であっても良く、複数本であっても良い。菌体触媒の供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。
菌体触媒の供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
菌体触媒と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物を混合した後に反応槽へ供給する場合の菌体触媒が混合される水系媒体とは、好ましくは原料水である。菌体触媒が混合される水系媒体を含有する混合物とは、例えば、原料水とニトリル化合物の混合物や菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む反応液が挙げられる。
菌体触媒を原料水と混合した後に反応槽へ供給する場合の、菌体触媒と原料水を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
反応槽へ供給する菌体触媒と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、菌体触媒:水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物の比率が、体積比で1:1〜1:100,000,000、より好ましくは、1:10〜1:10,000,000である。
菌体触媒を原料水と混合した後に反応槽へ供給する場合の、菌体触媒と原料水の混合物を供給する方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
菌体触媒を原料水とニトリル化合物の混合物と混合した後に反応槽へ供給する場合の、菌体触媒と原料水とニトリル化合物の混合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と二トリル化合物を混合する方法で例示した方法を用いることができる。
菌体触媒と菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む反応液と混合する方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。反応槽に反応混合物の一部を反応槽に戻すためのポンプを備えた外部循環ラインを設置し、当該外部循環ラインと菌体触媒供給管を結合させることにより、菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成したアミド化合物等を含む反応液として反応槽内から取り出された反応混合物の一部を用い、反応混合物の一部と菌体触媒を外部循環ライン中で直接混合する方法等が挙げられる。外部循環ラインにて直接混合された反応混合物の一部と菌体触媒は、そのまま外部循環ラインを用いて反応槽へ供給される。
菌体触媒の使用量は、反応条件や触媒の種類およびその形態により変化するが、上記菌体の乾燥菌体重量換算で、反応液に対して、通常10〜50,000重量ppm、好ましくは50〜30,000重量ppmである。
反応時間(反応液の滞留時間)は、通常0.5〜50時間、好ましくは2〜25時間である。多段の反応槽を用いる場合、反応時間とは、全反応器における合計の反応時間(反応液の滞留時間)を指す。
本発明のアミド化合物の製造方法において、得られたアミド化合物の回収および精製は、例えば、濃縮操作(例:蒸発濃縮)、活性炭処理、イオン交換処理、濾過処理、晶析操作により行うことができる。
以上のようにして、反応原料であるニトリル化合物に対応するアミド化合物、例えば(メタ)アクリロニトリルであれば(メタ)アクリルアミドを得ることができる。
〔アミド化合物の製造装置〕
本発明のアミド化合物の製造装置は、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて、ニトリル化合物の水和反応によりアミド化合物を製造する反応槽と、酸素を含有する気体を供給するための給気ラインを備えた菌体触媒貯槽を備える。
反応槽の構成については、上述した通りである。
以下、本発明のアミド化合物の製造装置の具体例を、図面を参照して説明する。
図1の製造装置は、攪拌機4’を備える反応槽7と、菌体触媒供給管8を通して反応槽7に接続された菌体触媒貯槽1と、菌体触媒貯槽1に設置された酸素を含有する気体を供給する給気ライン2とジャケット式熱交換器3と攪拌機4と、原料水供給管9とニトリル化合物供給管10とを備える。
次に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製〕
特開2001−340091号公報の実施例1に記載の方法に従いNo.3クローン菌体を取得し、同じく、同実施例1の方法で培養してニトリルヒドラターゼを含有する湿菌体を得た。
〔アクリルアミドの製造〕
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、図1に示す製造装置(ただし、反応装置としては第1反応器のみを図示している。)を用いて、以下の条件で反応を行った。
菌体触媒貯槽として給気ラインと攪拌機を備えた、槽内径1.3m、直胴部長さ1.6mのSUS製ジャケット式熱交換器付槽型攪拌槽(容積2m)を準備した。上記培養方法で得られた湿菌体を菌体触媒貯槽中に純水に懸濁して2mの菌体触媒の懸濁液を調整した。菌体触媒貯槽のジャケットに5℃の冷却水を流通した。給気ラインから空気を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給した。菌体触媒貯槽内の液量V[m3]は2mであり、空気の流量W[m3/h]は1m/hであり、気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]は0.5[1/h]であった。
第1反応器として攪拌機を備えた、槽内径1m、直胴部長さ1.36mのSUS製ジャケット式熱交換器付槽型反応器(容積:1m)、第2反応器として容積0.5mのSUS製二重管型反応器を準備した。第1反応器には、予め400kgの水を仕込んだ。第1反応器内を撹拌しながら、上記で調整した菌体触媒の懸濁液を11kg/hの速度で連続的に供給した。また、純度99.8%のアクリロニトリルを32kg/hの速度でアクリロニトリル供給管を介し第1反応器へ連続的に供給した。純水を37kg/hの速度で純水供給管を介し連続的に供給した。反応中の反応液の温度は20℃となるように、第1反応器のジャケット器および第2反応器の二重管に5℃の冷却水を流通して温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応pHが7.5〜8.5となるように供給量を調節した。反応中の反応液の液面を槽底面から1mの高さとなるように、反応液を第1反応器から80kg/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から50時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第二反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.2重量%であった。
ここで分析条件は以下の通りであった。
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR-101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム:Wakosil-II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液
[実施例2]
実施例1のアクリルアミドの製造において、給気ラインから空気を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給する代わりに、給気ラインから空気を2m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給したしたこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。菌体触媒貯槽内の液量V[m3]は2mであり、空気の流量W[m3/h]は2m/hのであり、気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]は1[1/h]であった。
反応開始から50時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第二反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.1重量%であった。
[実施例3]
実施例1のアクリルアミドの製造において、給気ラインから空気を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給する代わりに、給気ラインから空気を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の菌体触媒の懸濁液中へ供給したしたこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。菌体触媒貯槽内の液量V[m3]は2mであり、空気の流量W[m3/h]は1m/hであり、気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]は0.5[1/h]であった。
反応開始から50時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第二反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.2重量%であった。
[比較例1]
実施例1のアクリロニトリルの製造において、給気ラインから空気を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給する代わりに、給気ラインから空気を0.1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。菌体触媒貯槽内の液量V[m3]は2mであり、空気の流量W[m3/h]は0.1m/hであり、気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]は0.05[1/h]であった。
反応開始から50時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が92%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が80重量ppmとなった。また、第二反応器出口でのアクリルアミド濃度は51.5重量%であった。
[比較例2]
実施例1のアクリロニトリルの製造において、給気ラインから空気を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給する代わりに、給気ラインから窒素を1m/hの流速で菌体触媒貯槽の気相部へ供給した以外は、実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。
反応開始から50時間後に上記HPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が88%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が200重量ppmとなった。また、第二反応器出口でのアクリルアミド濃度は51.0重量%であった。
1:菌体触媒貯槽
2:給気ライン
3:熱交換器
4、4’:攪拌機
5:冷却水入口
6:冷却水出口
7:反応槽
8:菌体触媒供給管
9:原料水供給管
10:ニトリル化合物供給管

Claims (4)

  1. ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する方法において、菌体および/またはその菌体処理物を反応槽へ供給する菌体触媒貯槽へ酸素を含有する気体を供給することを特徴とするアミド化合物の製造方法
  2. 前記菌体触媒貯槽へ供給する気体の流量W[m3/h]を菌体触媒貯槽内の液量V[m3]で除した値W/V[1/h]が0.1以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法
  3. ニトリル化合物がアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである請求項1または2に記載の製造方法
  4. ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いてアミド化合物を製造する反応槽と、酸素を含有する気体を供給する給気ラインを有する菌体触媒貯槽を備えるアミド化合物の製造装置
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