JP2018115128A - アミド化合物の精製方法およびアミド化合物の精製装置 - Google Patents

アミド化合物の精製方法およびアミド化合物の精製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アミド化合物含有液、特に菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いてニトリル化合物の水和反応で製造されたアミド化合物を効率的に精製する方法、および該方法に好適に用いられるアミド化合物の精製装置を提供する。
【解決手段】ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する方法において、精製処理槽の精製処理液に気体を供給することを特徴とするアミド化合物の精製方法、およびニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する、精製処理液に気体を供給する給気ラインを有する精製処理槽を備えるアミド化合物の精製装置
【選択図】なし

Description


本発明は、アミド化合物含有液、特に菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いてニトリル化合物の水和反応で製造された不純物を含有するアミド化合物の精製方法、ならびにアミド化合物の精製装置に関するものである。

アミド化合物、特にニトリル化合物を水和して得られるアミド化合物含有液にはその製法により種類は異なるものの、通常は高分子物質や界面活性剤、着色物質、溶出物、または他の不純物等が存在する。これらの不純物を除去するために、例えば特許文献1および特許文献2には活性炭による精製処理方法が、特許文献3にはイオン交換膜による精製処理方法が、また特許文献4には多孔質中空糸膜による精製処理方法が記載されている。

しかしながら、上記イオン交換膜や多孔質中空糸膜を用いた精製方法では特殊な精製装置が必要となる等、その実施において、経済性の面でのデメリットは避けられない。また、活性炭による精製方法においては、通常は特殊な設備は必要としないものの、得られる製品中にはなお不純物が存在し、効果の点で未だ不十分である。
また、特許文献5には、簡便でかつ効率的な精製方法として、アミド化合物含有液を酸性条件下で活性炭と接触させる方法が提案されている。しかしながら、特に、ニトリル水和能を有する酵素であるニトリルヒドラターゼ等を用いてニトリル化合物を直接水和してアミド化合物を製造する場合、上記先行技術の活性炭による精製方法では精製効率は十分に高いとは言えず、また、得られるアミド化合物の品質は十分に高いとは言えず、未だ検討の余地が残されている。

特開昭61−115495号公報 特開昭61−122253号公報 特開昭61−115058号公報 特開昭61−122227号公報 特開2001−270857号公報

本発明の課題は、菌体および/またはその菌体処理物を用いたニトリル化合物の水和反応で製造された不純物を含有するアミド化合物の活性炭による精製処理において、アミド化合物を効率的に精製する方法、および当該方法において好適に用いられるアミド化合物の精製装置を提供することにある。

本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、下記工程を有するアミド化合物の精製方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。

すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する方法において、精製処理槽の精製処理液に気体を供給することを特徴とするアミド化合物の精製方法
〔2〕前記精製処理槽の精製処理液に供給する気体の流量W[m3/h]を精製処理槽の底面積S[m2]で除した値W/S[m/h]が0.1以上であることを特徴とする前記〔1〕に記載の精製方法
〔3〕アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである前記〔1〕または〔2〕に記載の精製方法
〔4〕ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する、精製処理液に気体を供給する給気ラインを有する精製処理槽を備えるアミド化合物の精製装置

本願発明においては、少量の活性炭の使用にて効率的にアミド化合物を精製することができる。

以下、本発明のアミド化合物の精製方法および精製装置について説明する。

〔アミド化合物の精製方法〕
本発明のアミド化合物の精製方法は、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する方法において、精製処理液に気体を供給する給気ラインを有する精製処理槽を用いてアミド化合物含有液と活性炭を接触させる工程を有する。

<ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物>
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを単に「菌体触媒」ともいう。)をニトリル化合物のアミド化合物への水和触媒として用いる。
ニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力(以下、「ニトリルヒドラターゼ活性」ともいう。)を有する酵素(たんぱく質)をいう。

ニトリルヒドラターゼを含有する菌体としては、ニトリルヒドラターゼを産生し、かつニトリル化合物およびアミド化合物の水溶液中でニトリルヒドラターゼ活性を保持している菌体であれば特に限定されない。ニトリルヒドラターゼを産生する菌体としては、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する菌体等が挙げられる。これらは一種で用いても二種以上を併用しても良い。
また、これら菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および組換えDNA技術を用いて該ニトリルヒドラターゼの構成アミノ酸の一個または二個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体等も挙げられる。尚、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、特に大腸菌に限定されるものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822〔本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許生物寄託センター)に受託番号FERMBP−5785として、特許手続き上の菌体の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。〕が挙げられる。

これら菌体の中でも、高活性、高安定性のニトリルヒドラターゼを有するという点で、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する菌体、および該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体が好ましい。なお、上記形質転換体は、ニトリルヒドラターゼの安定性をより高め、菌体当たりの活性がより高い点で好ましい。

また、菌体内にニトリルヒドラターゼを高発現できる、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1、該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体も同様に好ましい。上記ニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法により調製できる。

本発明に係る組換えベクターは、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を含有するものであり、ベクターにニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を連結することにより得ることができる。ベクターとしては、特に限定されるものではなく、例えばpET-21a(+)、pKK223-3、pUC19、pBluescriptKS(+)およびpBR322等に代表される市販の発現プラスミドに、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を組み込むことにより、該ニトリルヒドラターゼの発現プラスミドを構築することができる。また、形質転換に使用する宿主生物としては、組換えベクターが安定、かつ自己増殖可能で、さらに外来のDNAの形質が発現できるものであれば良く、例えば大腸菌が好例として挙げられるが、大腸菌だけに限らず枯草菌、酵母等に導入することにより、ニトリルヒドラターゼの産生能を有する形質転換体を得ることができる。

上述のようなニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、公知の方法により、適宜培養し増殖させ、ニトリルヒドラターゼを産生させても良い。この場合使用される培地としては炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養素を適量含有する培地であれば合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。例えば、LB培地、M9培地等の通常の液体培地に、菌体を植菌した後、適当な培養温度(一般的には20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でも良い。)で培養させることにより調製できる。培養は前記培養成分を含有する液体培地中で振とう培養、通気攪拌培養、連続培養、流加培養等の通常の培養方法を用いて行うことができる。形質転換体の培養温度としては、15〜37℃が好ましい。培養条件は、特に限定されるものではなく、培養の種類、培養方法により適宜選択すれば良く、菌株が生育しニトリルヒドラターゼを産生することができれば良い。

本発明では上述のニトリルヒドラターゼを産生する菌体を、ニトリル化合物と反応させるために、遠心等による集菌や、破砕し菌体破砕物を作製する等、さまざまな処理を行っても良く、これらのなんらかの処理を施した菌体を菌体処理物と総称する。
破砕される菌体の形態としては、ニトリルヒドラターゼを産生する菌体を含む限り特に限定はされず、例えば、該菌体を含む培養液そのもの、その培養液を遠心分離して分離・回収された集菌体、さらにこの集菌体を生理食塩水等で洗浄したものが挙げられる。

<ニトリル化合物>
ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ニトリル化合物、炭素数6〜20の芳香族ニトリル化合物が挙げられ、一種で用いても二種以上を併用しても良い。
脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、炭素数2〜6の飽和または不飽和ニトリルが挙げられ;具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、カプロニトリル等の脂肪族飽和モノニトリル;マロノニトリル、サクシノニトリル、アジポニトリル等の脂肪族飽和ジニトリル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル等の脂肪族不飽和ニトリルが挙げられる。
芳香族ニトリル化合物としては、例えば、ベンゾニトリル、o−,m−またはp−クロロベンゾニトリル、o−,m−またはp−フルオロベンゾニトリル、o−,m−またはp−ニトロベンゾニトリル、o−,m−またはp−トルニトリル、o−,m−またはp−シアノピリジン、ベンジルシアナイドが挙げられる。
ニトリル化合物の中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。

<活性炭>
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体触媒を用いて製造されたアミド化合物を活性炭と接触させることにより精製を行う。
活性炭は一般的には、原料として石炭、木、およびヤシ殻等を用いたもの等があるが、吸着能を有するものであれば特段の限定はなく、いずれのものであっても使用することが可能である。しかしながら、処理の対象とするアミド化合物が特に不飽和結合を有するものである場合は、該アミド化合物の保存安定性や重合し易さ等を考慮すると、活性炭としては金属分含有量の少ないものを使用することが好ましく、原料が木質のもの、またはヤシ殻のものを使用することがより好ましい。

本発明において、アミド化合物を精製処理する際に使用する活性炭量は、あまり少ない場合は十分な精製効果を得ることが困難であり、またあまり多く使用しても不経済となることから、その使用量としてはアミド化合物含有液に対して、通常0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは0.05〜10重量%の範囲である。また、活性炭として特に粉状のものを用いる場合、該活性炭はアミド化合物含有液中にそのまま直接添加しても良く、または一旦、活性炭を水等の媒体中に分散させ、スラリー状としたものをアミド化合物含有液に添加、あるいは供給するようにしても良い。

次いで、本発明では上記接触処理したアミド化合物含有液から活性炭を分離し、該アミド化合物含有液の精製液を得る。活性炭を分離する方法としては、一般に用いられる固液分離装置を用いる方法であれば特に限定はなく、例えば加圧濾過器、減圧濾過器、または遠心分離器が挙げられ、更には回分式および連続式のいずれであっても構わない。また、本発明においては上記活性炭を分離した後のアミド化合物含有液を冷却し、液中より目的のアミド化合物を晶析させるという方法を採用することにより、更なる精製されたアミド化合物を得ることも可能である。

<pH調節剤>
pH調節剤は、精製処理液のpHを精製処理における精製効率を良好に保つための好適な範囲に調節するために用いられる。

精製処理に好適なpHが7よりも小さい場合には、pH調節剤として酸を用いることができる。
pH調節剤として用いる酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。無機酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、沃化水素等のハロゲン化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜沃素酸、亜沃素酸、沃素酸、過沃素酸等のハロゲン化オキソ酸、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、蓚酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、安息香酸等のカルボン酸やメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。pH調節剤として用いる酸は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、精製処理槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の酸は水溶液として用いることはより好ましい。精製処理槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の酸も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の酸の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。

精製処理に好適なpHが7よりも大きい場合には、pH調節剤として塩基を用いることができる。
pH調節剤として用いる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれも用いることができる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニアが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジンが挙げられる。pH調節剤として用いる塩基は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、精製処理槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の塩基は水溶液として用いることはより好ましい。精製処理槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の塩基も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の塩基の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。

<精製処理槽>
本発明では、精製処理槽として、精製処理液に気体を供給する給気ラインを有する槽型精製処理器を用いる。給気ラインは、精製処理器に一つ設置されていても、複数設置されていても良い。給気ラインからは、精製処理器内の精製処理液へ気体が供給される。
精製処理液に供給する気体は、特に限定するものではなく、任意の気体を選択できるが、コストあるいは取扱いの容易性の観点から、窒素または空気を用いることが好ましく、空気を用いることがより好ましい。

精製処理槽としては、一つの精製処理器から構成される単段の精製処理槽を用いても良く、複数の精製処理器から構成される多段の精製処理槽を用いても良い。

本発明において、気体が精製処理槽に供給されるポートであって、かつ給気ラインに接続されたポートを「気体入口」ともいう。
精製処理槽は、気体入口を有する。気体入口は精製処理液中に配置され、気体が精製処理液中に供給される。気体入口の形状は特に限定するものでなく、任意の形状を選択できるが、精製処理槽内の精製処理液の混合の効率の観点から、例えば、気体入口の断面積を通気ラインの断面積より小さくすることで、気体入口における気体の線速度を大きくすることが好ましい。気体入口の数は、特に限定するものでなく、任意の数を選択できる。気体入口の数は一つでも良く、複数でも良い。例えば、給気ラインを精製処理液中に配置する配管とし、当該配管へ複数の穴をあけることで気体入口を複数にすることは、精製処理槽内の精製処理液の混合の効率の観点から好ましい。

精製処理槽内の精製処理液への気体の供給は、精製処理液に供給する気体の流量W[m3/h]を精製処理槽の底面積S[m2]で除した値W/S[m/h]が0.1以上となる値で実施される。W/S[m/h]が0.1未満となる場合には、精製処理液中での活性炭の分散性が低下し、精製処理液中の不純物と活性炭との接触が不十分となり、効率的な精製が実施できない。
W/S[m/h]は、好ましくは、0.5以上であり、より好ましくは、1.0以上である。W/S[m/h]の上限値については、特に限定はされないが、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。W/S[m/h]が100を超える場合には、気体の使用量が過大となるためである。

精製処理槽には、循環ポンプを備えた外部循環ラインが設置されていても良い。循環ポンプを備えた外部循環ラインは、精製処理槽に一つ設置されていても、複数設置されていても良い。循環ポンプを備えた外部循環ラインが設置される場合には、複数の精製処理器の全てに設置されていても良く、いずれか一つの精製処理器にのみ設置されていても良い。

精製処理槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合の、外部循環ラインに備えられたポンプは、特に限定されるものではなく、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプ等のターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプ等の容積型ポンプが挙げられる。
精製処理槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、外部循環ラインに備えられたポンプを用いて、精製処理液の一部が精製処理槽内から取り出され、外部循環ラインを経由して精製処理槽へ戻される。

精製処理槽は、温度制御装置を有していても良く、温度制御装置を有していなくても良いが、精製処理液の温度を制御する観点から、温度制御装置を有することは望ましい。
精製処理槽が温度制御装置を有する場合の温度制御装置は、精製処理槽自体に設けても良く、精製処理槽に設置される外部循環ラインに設けても良い。精製処理槽における温度制御装置としては、例えば、熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、ジャケット式熱交換器、コイル式熱交換器等の精製処理槽に直接設置する形態のもの、あるいは多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器等の精製処理槽の外部循環ラインに設置する形態のものが挙げられる。

精製処理方法としては、例えば、(1)アミド化合物含有液と活性炭を精製処理槽に一度に全量仕込んでから精製処理を行う方法(回分方法)、(2)アミド化合物含有液と活性炭の一部を精製処理槽に仕込んだ後、連続的または間欠的に残りのアミド化合物含有液と活性炭を供給して精製処理を行う方法(半回分方法)、(3)アミド化合物含有液と活性炭の連続的または間欠的な供給と、アミド化合物含有液および活性炭などを含む精製処理液の連続的または間欠的な取り出しを行いながら、精製処理槽内の精製処理液を全量取り出すことなく連続的に精製処理を行う方法(連続方法)が挙げられる。これらの中でも、工業的にアミド化合物を大量かつ効率的に製造しやすい点で、連続方法が好ましい。

本発明において、活性炭によりアミド化合物含有液を精製処理する際の温度である精製処理槽温度は、アミド化合物の結晶が析出せずに、かつその安定性に影響のない範囲であれば特に制限はないが、通常は0〜80℃の範囲である。特にアクリルアミドやメタクリルアミド含有液のような、不飽和結合を有するアミド化合物含有液を精製処理する場合の精製処理槽温度は、重合反応の発生を防止するために60℃以下、更には10〜50℃の範囲が好ましい。精製処理槽温度とは、複数の精製処理器の各々の精製処理器内の温度を指す。精製処理器内の温度は、例えば、熱電対法(例:Kタイプ)により測定することができる。精製処理器内の温度は、精製処理器内の任意の場所で測定可能であり、具体的には精製処理器出口(精製処理液取り出し口)で測定可能である。

活性炭との接触処理に要する時間は、処理形式や活性炭の量にもよるが、通常は0.5〜10時間の範囲である。活性炭との接触処理に要する時間とは、複数の精製処理器の各々での接触処理時間を指す。

精製処理槽の容積は、特に限定するものではないが、工業的な生産を考慮すると、通常0.1m3以上、好ましくは1〜100m3、より好ましくは5〜50m3である。前記容積は複数の精製処理器の各々の容積を指す。

精製処理槽内のpHは、精製効率を良好に保つための好適な範囲であれば特に限定されないが、好ましくはpH4〜pH10の範囲にある。pHが前記範囲にあると、活性炭による精製効率を良好に維持できる点で好ましい。
精製処理槽のpHとは、複数の精製処理器の各々の精製処理器内のpHを指す。精製処理器内のpHは、例えば、指示薬法、水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法、ガラス電極法により測定することができる。精製処理器内のpHは、精製処理器内の任意の場所で測定可能であり、具体的には精製処理器出口(精製処理液取り出し口)で測定可能である。

〔アミド化合物の精製装置〕
本発明のアミド化合物の精製装置は、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する、精製処理液に気体を供給する給気ラインを有する精製処理槽を備える。

精製処理槽の構成については、上述した通りである。

次に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

[実施例1]
〔ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製〕
特開2001−340091号公報の実施例1に記載の方法に従いNo.3クローン菌体を取得し、同じく、同実施例1の方法で培養してニトリルヒドラターゼを含有する湿菌体を得た。
〔アクリルアミドの製造〕
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、以下の条件で反応を行った。
第1反応器として攪拌機を備えた、槽内径1m、直胴部長さ1.36mのSUS製ジャケット式熱交換器付槽型反応器(容積:1m3)、第2反応器として容積0.5m3のSUS製二重管型反応器を準備した。原料水の供給管、pH調節剤の供給管、アクリロニトリルの供給管および菌体触媒の供給管はそれぞれ第1反応器へ直接接続している。
第1反応器には、予め400kgの水を仕込んだ。上記培養方法で得られた湿菌体を純水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を11kg/hの速度で連続的に供給した。また、純度99.8%のアクリロニトリルを32kg/hの速度でアクリロニトリルの供給管を介し、第1反応器へ連続的に供給した。純水を37kg/hの速度で純水の供給管を介し、第1反応器へ連続的に供給した。反応中の反応液の温度は20℃となるように、第1反応器のジャケット式熱交換器および第2反応器の二重管に5℃の冷却水を流通して温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応液のpHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、pH調節剤の供給管を介し、第1反応器へ連続的に供給した。反応液のpHは第1反応器出口においてガラス電極法を用いて測定した。
反応中の反応液の液面を槽底面から1mの高さとなるように、反応液を第1反応器から80kg/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から200時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10重量ppm以下)となった。また、第2反応器出口でのアクリルアミド濃度は53.1重量%であった。
ここで分析条件は以下のとおりであった。
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR−101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム:Wakosil−II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液
〔アクリルアミドの精製〕
精製処理槽として給気ラインを備えた、槽内径0.8m、直胴部長さ1.2mのSUS製ジャケット式熱交換器付槽型精製処理槽(容積:0.5m3)を準備した。給気ラインは径0.4mの環状の構造であり、孔径1.5mmの気体入口をピッチ12.5mmの間隔で10個有する。給気ラインは精製処理槽の槽底面から高さ10cmの位置に設置され、気体入口は槽底面に向かって開口している。第2反応器出口配管、pH調節剤の供給管、および活性炭の供給管はそれぞれ精製処理槽へ直接接続している。
上記製造方法で得られた菌体触媒を含有する反応混合物を80kg/hの速度で連続的に精製処理槽に供給した。pH調節剤として0.5重量%−アクリル酸水溶液を使用し、精製処理液のpHが4.9〜5.1となるように供給量を調節し、精製処理槽へ供給した。精製処理液のpHは精製処理槽出口においてガラス電極法を用いて測定した。クラレケミカル株式会社製 粉末活性炭PM-SXを0.5kg/hの速度で精製処理槽へ連続的に供給した。給気ラインから流量1.0m3/hの空気を精製処理槽へ供給した。精製処理槽の精製処理液を槽底面から1mの高さとなるように、精製処理液を精製処理槽から80kg/hの速度で連続的に取り出し、濾過を行った。空気の流量を精製処理槽の底面積で除した値は2.0m/hであった。
精製処理開始から100時間後に濾液を採取した。第2反応器出口から得られた精製処理前の反応液および精製処理後の濾液のそれぞれに含まれるタンパク質の量を比較することによりタンパク質除去率を求めた。
タンパク質濃度は、反応液および濾液それぞれの液に含まれるアミド化合物を半透膜により透析除去した後、バイオラット社製タンパク質分析キットを用いて定量した。精製処理後のタンパク質除去率は99.5%以上であった。

[実施例2]
実施例1のアクリルアミドの精製において、流量1.0m3/hの空気を供給する代わりに流量0.6m3/hの空気を供給したこと以外は実施例1と同様にして精製処理を行った。空気の流量を精製処理槽の底面積で除した値は1.2m/hであった。
精製処理開始から100時間後に濾液を採取した。第2反応器出口から得られた精製処理前の反応液および精製処理後の濾液のそれぞれに含まれるタンパク質の量を比較することによりタンパク質除去率を求めた。
精製処理後のタンパク質除去率は99.5%以上であった。

[実施例3]
実施例1のアクリルアミドの精製において、流量1.0m3/hの空気を供給する代わりに流量0.3m3/hの空気を供給したこと以外は実施例1と同様にして精製処理を行った。空気の流量を精製処理槽の底面積で除した値は0.6m/hであった。
精製処理開始から100時間後に濾液を採取した。第2反応器出口から得られた精製処理前の反応液および精製処理後の濾液のそれぞれに含まれるタンパク質の量を比較することによりタンパク質除去率を求めた。
精製処理後のタンパク質除去率は99.3%であった。

[比較例1]
実施例1のアクリルアミドの精製において流量1.0m3/hの空気を供給する代わりに流量0.04m3/hの空気を供給したこと以外は実施例1と同様にして精製処理を行った。空気の流量を精製処理槽の底面積で除した値は0.08m/hであった。
精製処理開始から100時間後に濾液を採取した。第2反応器出口から得られた精製処理前の反応液および精製処理後の濾液のそれぞれに含まれるタンパク質の量を比較することによりタンパク質除去率を求めた。
精製処理後のタンパク質除去率は92%であった。

Claims (4)

  1. ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する方法において、精製処理槽の精製処理液に気体を供給することを特徴とするアミド化合物の精製方法
  2. 前記精製処理槽の精製処理液に供給する気体の流量W[m3/h]を精製処理槽の底面積S[m2]で除した値W/S[m/h]が0.1以上であることを特徴とする請求項1に記載の精製方法
  3. アミド化合物がアクリルアミドまたはメタクリルアミドである請求項1または請求項2に記載の精製方法
  4. ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物を用いて製造されたアミド化合物を精製する、精製処理液に気体を供給する給気ラインを有する精製処理槽を備えるアミド化合物の精製装置
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