JP2013210428A - ホログラム製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホログラムの製造における生産性を向上させる。
【解決手段】ホログラム製造方法は、θ1なる角度方向からの光照射に対してω1なる角度方向に回折光を出射する第1の原版とホログラム記録用媒体とを対向させ、第1の原版およびホログラム記録用媒体に対するθ1なる角度方向からの光照射により、ホログラム記録用媒体に第1の情報を記録することと、第2の原版とホログラム記録用媒体とを対向させ、第2の原版およびホログラム記録用媒体に対するθ2なる角度方向からの光照射により、ホログラム記録用媒体に第2の情報をさらに記録することとを含む。第1の原版および第2の原版の少なくとも一方が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、θ2が、θ1およびω1とは異なる角度から選択される。
【選択図】図1

Description

本開示は、ホログラム製造方法に関する。本開示は、特に、生産性の向上されたホログラム製造方法に関する。
立体表示が可能なホログラムは、クレジットカード、身分証明書などの真贋判定のために使用されている。ホログラムの中でも、近年では、干渉パターンを記録層内部の屈折率の差として記録する体積型ホログラムが使用されることが多い。これは、体積型ホログラムの製造に必要な記録材料の入手が困難なためである。また、体積型ホログラムの製造においては、記録画像の制作に高度な技術が要求されるからである。
体積型ホログラムの複製技術も日々進歩していることから、ホログラムには、より高度な真贋判定機能や偽造防止の対策が求められている。
ホログラムに対してより高度な真贋判定機能を与える方法として、例えば、下記の特許文献1には、原版に記録されている画像と、完成したホログラムの一点一点を識別するための情報(以下、識別情報と適宜称する。)とを重畳して記録することが提案されている。特許文献1に記載の製造方法は、いわゆるステップアンドリピート(step-and-repeat)の方式により、原版に記録されている画像の複製と、識別情報の記録とを一括して行う製造方法である。
ところで、例えば、下記の特許文献2には、個々に識別可能なホログラムの制作時間を低減させるために、ホログラム記録用媒体をマスタホログラムに密着して配置し、光変調素子で変調した光によりホログラム記録用媒体を露光することが開示されている。
また、例えば、下記の特許文献3には、マスタホログラムにホログラム記録用媒体を重ね、スポットビームを走査してマスタホログラムの一部領域を選択的に複製することにより、識別情報をパターンとしてホログラム記録用媒体に書き込むことが開示されている。
しかしながら、特許文献2では、個々に識別可能なホログラムの制作に使用されるホログラムマスタに要求される特性については、なんらの情報も開示されていない。また、特許文献3に開示された技術では、立体像と重ねて識別情報を記録するには、識別情報に応じた数のマスタホログラムが必要となってしまう。なお、特許文献3に開示された技術では、識別情報自体もマスタホログラムと同様の反射型ホログラムとしてホログラム記録用媒体に記録される。そのため、例えば、立体像と識別情報とを、それぞれ異なる視差をもって再生されるホログラム画像としたり、立体像と識別情報とで視野角をそれぞれ異ならせたりすることはできない。
特開2010−176116号公報 特表2010−538330号公報 特開平08−123307号公報
高度な真贋判定機能を備えるホログラムの製造における生産性の向上が望まれている。
本開示の第1の好ましい実施態様は、
ホログラム製造方法が、
θ1なる角度方向からの光照射に対してω1なる角度方向に回折光を出射する第1の原版とホログラム記録用媒体とを対向させ、第1の原版およびホログラム記録用媒体に対するθ1なる角度方向からの光照射により、ホログラム記録用媒体に第1の情報を記録することと、
第2の原版とホログラム記録用媒体とを対向させ、第2の原版およびホログラム記録用媒体に対するθ2なる角度方向からの光照射により、ホログラム記録用媒体に第2の情報をさらに記録することと
を含む。
第1の原版および第2の原版の少なくとも一方が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、
θ2が、θ1およびω1とは異なる角度から選択される。
少なくとも1つの実施例によれば、ホログラムの製造における生産性を向上させることができる。
図1Aは、本開示の実施の形態にかかるホログラム製造方法に適用可能なホログラム製造装置の構成例を示す概略図である。図1Bは、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録の工程を説明するための略線図である。図1Cは、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録の工程を説明するための略線図である。 図2A〜図2Cは、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。 図3Aは、第1の情報を記録するためのホログラムがあらかじめ記録された第1の原版の構成例を示す平面図である。図3Bおよび図3Cは、図3Aに示す状態から視点をかえて第1の原版を観察したときに観察される画像を説明するための図である。図3Dは、第1の原版に記録された第1の情報を再生させるための照明光の入射角と、第1の原版から出射される再生光の出射角との間の関係を説明するための図である。 図4Aは、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録方法の一例を示す略線図である。図4Bは、第2の原版に記録されたホログラムを再生させるための照明光の入射角と、第2の原版から出射される再生光の出射角との間の関係を説明するための図である。図4Cは、第2の原版にたてた法線に対してθ2なる角度方向から照明された第2の原版を、第2の原版にたてた法線に対してω2なる角度方向から観察したときに観察される画像を説明するための図である。図4Dは、第2の原版にたてた法線に対してθ2なる角度方向から照明された第2の原版を、第2の原版にたてた法線に対してω2とは異なる角度方向から観察したときに観察される画像を説明するための図である。 図5Aは、ホログラム記録用媒体に対する、第1の情報の記録の工程を説明するための概略図である。図5Bおよび図5Cは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第1の情報がホログラム記録用媒体に複製されていく様子を説明するための概略図である。 図6Aは、光源の他の構成例を示す概略図である。図6Bおよび図6Cは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第1の情報がホログラム記録用媒体に複製されていく様子を説明するための概略図である。 図7は、ホログラム記録用媒体に対する、第2の情報の記録の原理を説明するための概略図である。 図8Aは、ホログラム記録用媒体に対する、第2の情報の記録の工程を説明するための概略図である。図8Bおよび図8Cは、ホログラム記録用媒体に対して第2の情報の記録用の照明光を照射するための光源の構成例を示す略線図である。図8Dおよび図8Eは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第2の情報がホログラム記録用媒体に記録されていく様子を説明するための概略図である。 図9Aは、光源の他の構成例を示す概略図である。図9Bおよび図9Cは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第2の情報がホログラム記録用媒体に記録されていく様子を説明するための概略図である。 図10は、シート状のホログラム記録用媒体に、第1の情報および第2の情報が多面付けで記録されることにより構成された画像記録媒体の例を示す概略図である。 図11A〜図11Iは、白色光の照明のもとにおいて画像記録媒体から観察されるホログラム画像の例を示す概略図である。 図12A〜図12Dは、ホログラム記録用媒体および第2の原版に対する、第2の情報の記録用の光が入射する角度の好適な設定の例を説明するための概略図である。 図13Aは、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録の工程を説明するための略線図である。図13Bは、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録の工程を説明するための略線図である。 図14Aは、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録方法の一例を示す略線図である。図14Bは、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版を使用した、第2の情報の記録の原理を説明するための概略図である。図14Cは、第2の情報の観察時における照明光の入射方向と、画像記録媒体の観察方向との間の関係を説明するための概略図である。
以下、ホログラム製造方法の実施形態について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
[1−1.ホログラム製造方法の概略]
(1−1−1.ホログラム記録用媒体の構成例)
(1−1−2.第1の原版の構成例)
(1−1−3.第2の原版の構成例)
(1−1−4.ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録)
(1−1−5.ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録)
[1−2.画像記録媒体の例]
[1−3.第2の原版からの回折光の出射角度の選択]
<2.第2の実施形態>
[2−1.ホログラム製造方法の概略]
(2−1−1.逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版)
[2−2.画像記録媒体からの第2の情報の再生]
<3.変形例>
なお、以下に説明する実施形態は、ホログラム製造方法の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、ホログラム製造方法の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
<1.第1の実施形態>
[1−1.ホログラム製造方法の概略]
図1Aは、本開示の実施の形態にかかるホログラム製造方法に適用可能なホログラム製造装置の構成例を示す概略図である。
図1Aに示すように、長尺のシート状とされたホログラム記録用媒体3は、例えば、第1のロール状原版11および第2のロール状原版21ならびに複数のローラ101、102、103および104の間に通されて、一方向に走行させられる。なお、図1Aでは、ホログラム記録用媒体3の走行する方向を、矢印F0〜F3により示した。
第1のロール状原版11は、例えば、ロール状の支持体10の外周面に、第1の原版1が貼りつけられることにより構成されている。支持体10の外周面に貼りつけられた第1の原版1には、第1の情報の記録のためのホログラムが、あらかじめ記録されている。同様に、第2のロール状原版21は、例えば、ロール状の支持体20の外周面に第2の原版2が貼りつけられることにより構成されている。支持体20の外周面に貼りつけられた第2の原版2には、第2の情報の記録のためのホログラムが、あらかじめ記録されている。
図1Aに示すように、シート状のホログラム記録用媒体3は、例えば、第1のロール状原版11の外周面および第2のロール状原版21の外周面に巻きつけられる。ロール状原版11の外周面に巻きつけられたホログラム記録用媒体3および第1のロール状原版11に対しては、図1Aに示すように、第1の情報の記録用の光RL1が照射される。第1の情報の記録用の光RL1の照射により、ホログラム記録用媒体3に第1の情報が記録される。
第1の情報の記録用の光RL1の照射に続けて、ロール状原版21の外周面に巻きつけられたホログラム記録用媒体3および第2のロール状原版21に対して、第2の情報の記録用の光RL2が照射される。第2の情報の記録用の光RL2の照射により、ホログラム記録用媒体3に第2の情報が記録される。
このように、本開示のホログラム製造方法は、概略的には、ホログラム記録用媒体に情報を記録するための工程を、少なくとも2つ含んでいる。また、ホログラム記録用媒体に情報を記録するための工程においては、例えば、ホログラム記録用媒体と原版とが対向させられ、ホログラム記録用媒体および原版に対して、あらかじめ定められた角度方向から、情報の記録用の光が照射される。
本開示では、ホログラム記録用媒体3に対する第1の情報の記録と、ホログラム記録用媒体3に対する第2の情報の記録とが連続して行われる。そのため、製造工程の一部または全部のプロセスを、例えば、いわゆるロールツーロール(Roll to Roll)により行うこともでき、ホログラムの製造における生産性を向上させることができる。
以下では、本開示のホログラム製造方法が、情報の記録の工程を2つ含み、一方の工程においてホログラム記録用媒体に第1の情報が記録され、他方の工程においてホログラム記録用媒体に第2の情報が記録されるものとして説明する。
図1Bは、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録の工程を説明するための略線図である。図1Cは、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録の工程を説明するための略線図である。なお、図1Bおよび図1Cにおいては、作図の便宜上、第1の原版1の主面および第2の原版2の主面ならびにホログラム記録用媒体3の主面が平面であるものとして図示した。他の図についても同様とし、以下では、第1の原版1の主面および第2の原版2の主面ならびにホログラム記録用媒体3の主面が平面であるものとして説明する。
また、説明が複雑となることを避けるため、本明細書中においては、図1Bおよび図1Cに示すように、ある平面Σにおける平面角を用いて本開示の説明を行うものとする。すなわち、本明細書における「角度」は、光照射の対象への入射光の光軸または光照射の対象からの出射光の光軸の平面Σへの射影と、光照射の対象の主面にたてた法線とのなす角度を指すものとする。平面Σは、ホログラム記録用媒体の主面に垂直かつホログラム記録用媒体の進行方向を含む平面である。
第1の情報の記録の工程においては、図1Bに示すように、第1の原版1とホログラム記録用媒体3とが、対向して配置される。このとき、例えば、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31が、第1の原版1に密着させられる。
また、第1の情報の記録の工程においては、図1Bに示すように、第1の原版1およびホログラム記録用媒体3に対して、θ1なる角度方向から、第1の情報を記録するための光が照射される。第1の原版1は、具体的には、例えば、ホログラムの記録されたホログラフィック原版であり、第1の原版1としては、図1Bに示すように、θ1なる角度方向からの光照射に対してω1なる角度方向に回折光を出射するホログラフィック原版が使用される。
第2の情報の記録の工程においては、図1Cに示すように、第2の原版2とホログラム記録用媒体3とが、対向して配置される。このとき、第1の情報の記録の工程と同様に、例えば、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31が、第2の原版2に密着させられる。
また、第2の情報の記録の工程においては、図1Cに示すように、第2の原版2およびホログラム記録用媒体3に対して、θ2なる角度方向から、第2の情報を記録するための光が照射される。第2の情報を記録するための光の入射角θ2は、第1の原版1に対して設定された角度θ1およびω1とは異なる角度から選択された角度である。
第2の原版2は、第1の原版1と同様に、具体的には、例えば、ホログラムの記録されたホログラフィック原版である。後述するように、第1の原版および前記第2の原版の少なくとも一方は、角度選択性ホログラフィック原版とされる。
以下では、第1の方向に視差を有する絵柄を第1の情報としてホログラム記録用媒体に記録するとともに、第2の方向に視差を有する、識別情報に関する画像を第2の情報としてホログラム記録用媒体に記録する構成例について説明する。第1の方向とは、例えば、完成後のホログラム(以下、画像記録媒体と適宜称する。)における左右方向であり、第2の方向とは、例えば、画像記録媒体における上下方向である。もちろん、第1の方向および第2の方向は、この例に限られず、それぞれ任意の方向に設定することができる。
(1−1−1.ホログラム記録用媒体の構成例)
まず、画像記録媒体の製造工程において使用されるホログラム記録用媒体の一例について説明する。
図1Bおよび図1Cに示すように、ホログラム記録用媒体3は、例えば、透明基材層33の一主面上にホログラム記録層31を備える積層体とされる。
ホログラム記録層31は、具体的には、例えば、光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層である。すなわち、情報の記録されたホログラム記録層31は、屈折率変調により情報が記録された体積型ホログラムとなる。
図2A〜図2Cは、光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。
光重合型フォトポリマは、初期状態では、図2Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。
図2Bに示すように、光重合型フォトポリマに対して10〜400mJ/cm2程度のパワーの光LAが照射されると、露光部においてモノマMが重合する。そして、モノマMがポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化する。これにより、屈折率変調が生じる。
この後、図2Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの光LBが光重合型フォトポリマの全面に照射されることにより、モノマMの重合が完了する。1000mJ/cm2程度のパワーの光LBは、例えば、紫外線や可視光である。
光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉パターンを、屈折率の変化として記録することができる。光重合型フォトポリマを用いることにより、露光後における特別な現像処理を不要とすることができる。そのため、ホログラム記録層に光重合型フォトポリマを用いることにより、ホログラム製造装置の構成を簡略化することができる。
透明基材層33は、例えば、画像記録媒体の製造工程における、ホログラム記録層31の形状の保持を目的として設けられる層である。すなわち、例えば、透明基材層33の一主面上に光重合型フォトポリマがシート状に塗布されることにより、ホログラム記録層31としての光重合型フォトポリマの層が形成される場合には、透明基材層33は、ホログラム記録層31のベースフィルムとして機能する。
なお、完成後のホログラムの観察者は、透明基材層33を介して、ホログラム記録層31に記録された第1の情報および第2の情報を観察する。したがって、ホログラムの完成後においては、透明基材層33は、ホログラム記録層31の保護層として機能する。
透明基材層33は、例えば、可視光領域で高い光透過性を有する樹脂シートまたは樹脂フィルムである。透明基材層33の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマ、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、アラミドなどを挙げることができる。製造工程における取り扱いや、被着体に対する画像記録媒体の貼りつけを容易とする観点から、透明基材層33は、折り曲げが自在であることが好ましい。
次に、画像記録媒体の製造工程において使用される第1の原版および第2の原版の構成の一例について説明する。
第1の原版1および第2の原版2のそれぞれは、ホログラム層を備えている。第1の原版1および第2の原版2のそれぞれにおけるホログラム層は、例えば、上述した光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層である。
ホログラム記録用媒体3への情報の記録に先立ち、第1の原版1のホログラム層および第2の原版2のホログラム層のそれぞれには、ホログラム記録用媒体3に対する第1の情報および第2の情報の記録のためのホログラムが、それぞれ記録される。
(1−1−2.第1の原版の構成例)
図3Aは、第1の情報を記録するためのホログラムがあらかじめ記録された第1の原版の構成例を示す平面図である。図3Bおよび図3Cは、図3Aに示す状態から視点をかえて第1の原版を観察したときに観察される画像を説明するための図である。
第1の原版1は、例えば、ホログラム記録用媒体3に対する第1の情報の記録のためのホログラムが反射型のホログラム画像として記録されたホログラフィック原版である。図3Aでは、ホログラム記録用媒体3に対する第1の情報の記録のためのホログラムとして、ラグビーボールの絵柄が第1の原版1にホログラム記録されている構成例を示している。すなわち、本例における第1の情報は、ホログラム画像としてのラグビーボールの絵柄である。第1の情報は、例えば、波長が約532nmの緑色レーザにより、第1の原版1にホログラム記録されている。
ここでは、第1の情報として記録されたラグビーボールの絵柄が、例えば、第1の原版1における左右方向に連続した視差を有するホログラム画像であるものとする。例えば、第1の原版1に対する第1の情報の記録の際における参照光の照射方向と同様の方向から、第1の原版1を緑色レーザにより照明し、第1の原版1を観察する視点を水平方向にそって変化させたとする。すると、図3Bおよび図3Cに示すように、第1の原版1から観察されるラグビーボールの絵柄が滑らかに変化する。
第1の原版1から再生される画像を、第1の原版1における左右方向に連続した視差を有する画像とするには、例えば、水平方向に関して視差情報を有するホログラフィックステレオグラムを、反射型のホログラム画像として第1の原版1に記録しておけばよい。なお、この場合、第1の原版1に記録されるホログラム画像は、短冊形状の要素ホログラム画像の集合から構成されることになる。
図3Dは、第1の原版に記録された第1の情報を再生させるための照明光の入射角と、第1の原版から出射される再生光の出射角との間の関係を説明するための図である。
図3Dに示すように、第1の原版1にたてた法線Nm1に対してθ1の角度で第1の原版1に入射した照明光は、第1の原版1により回折され、第1の原版1にたてた法線Nm1に対してω1の角度で第1の原版1から出射される。第1の原版1に対する照明光の入射角および第1の原版1からの再生光(回折光)の出射角は、第1の原版1に対する第1の情報の記録の際における参照光の入射角および物体光の入射角にそれぞれ対応する。
(1−1−3.第2の原版の構成例)
第2の原版2は、例えば、特定の絵柄や文字などの記録されていないホログラフィック原版とされる。第2の原版2には、例えば、特定の絵柄や文字などに関するホログラムが記録されていないのに対して、例えば、あらかじめ定められた方向から入射した光を、特定の方向に強く回折させるためのホログラムが一様に記録されている。
言い換えれば、第2の原版2は、光の入射する領域の全面において、入射光に対する回折光強度および角度選択性が一様な原版(回折特性が一様な原版であるといってもよい。)として構成されている。このように、あらかじめ定められた方向から入射した光を特定の方向にほぼ均一に回折させる光機能素子を、本開示では、「角度選択性ホログラフィック原版」と称することにする。以下の説明により明らかとなるように、角度選択性ホログラフィック原版は、回折特性および拡散性能がほぼ均一とされることにより、領域を選択して部分的に光学的な複製を行うことを可能とする原版である。なお、“均一”とは、局所的な均一性ではなく、大局的な均一性をいう。
図4Aは、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録方法の一例を示す略線図である。
第2の原版2を角度選択性ホログラフィック原版とするには、図4Aに示すように、例えば、第2の原版2のほぼ全面に対して、第2の原版2の両主面のそれぞれの側から、相互にコヒーレントなレーザ光を入射させる。このとき、例えば、一方のレーザ光(参照光に相当する。)は、第2の原版2にたてた法線Nm2に対してξ2の角度で第2の原版2に入射され、他方のレーザ光(物体光に相当する。)は、第2の原版2にたてた法線Nm2に対してζ2の角度で第2の原版2に入射される。本開示では、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角ξ2は、上述したθ1およびω1とは異なる角度から選択される。
第2の原版2の両主面のそれぞれの側から入射した2つのレーザ光は、第2の原版2のホログラム層において干渉する。したがって、第2の原版2は、例えば、第2の情報を記録するためのホログラムが反射型のホログラム画像として記録されたホログラフィック原版となる。
図4Bは、第2の原版に記録されたホログラムを再生させるための照明光の入射角と、第2の原版から出射される再生光の出射角との間の関係を説明するための図である。
図4Bに示すように、第2の原版2にたてた法線Nm2に対してθ2の角度で第2の原版2に入射した照明光は、第2の原版2により回折され、第2の原版2にたてた法線Nm2に対してω2の角度で第2の原版2から出射される。第1の原版1の場合と同様に、第2の原版2に対する照明光の入射角および第2の原版からの再生光(回折光)の出射角は、第2の原版2に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角および物体光の入射角にそれぞれ対応している。すなわち、ξ2、θ2、ζ2およびω2の間には、図4Aおよび図4Bに示すように、ξ2≒θ2およびζ2≒(ω2+180°)の関係がある。
図4Cは、第2の原版にたてた法線に対してθ2なる角度方向から照明された第2の原版を、第2の原版にたてた法線に対してω2なる角度方向から観察したときに観察される画像を説明するための図である。図4Dは、第2の原版にたてた法線に対してθ2なる角度方向から照明された第2の原版を、第2の原版にたてた法線に対してω2とは異なる角度方向から観察したときに観察される画像を説明するための図である。
図4Cに示すように、例えば、第2の原版2に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角ξ2に対応したθ2なる角度方向から、参照光と等価な光により第2の原版2を照明したとする。このとき、ω2なる角度方向から第2の原版2を観察すると、第2の原版2の観察者は、第2の原版2に記録されたホログラムを確認することができる。すなわち、例えば、緑色レーザを使用してホログラム記録を行った場合、第2の原版2に対してθ2なる角度方向から緑色レーザを入射させて、ω2なる角度方向から第2の原版2を観察したとすると、第2の原版2の全面が緑色に見えることになる。なお、図4Cでは、第2の原版2を観察したときに緑色に見える領域を白色の領域として示した。
このとき、第2の原版2を観察する視点をずらすと、第2の原版2から再生されたホログラムを確認することができなくなる。すなわち、第2の原版2を観察する視点をずらすと、図4Dに示すように、第2の原版2の全面が透明に見えることになる。なお、図4Dでは、第2の原版2を観察したときに透明に見える領域を黒色の領域として示した。
第2の原版2を観察する視点をずらすことにかえて、観察者に対する第2の原版2の傾きや、第2の原版2に対する緑色レーザの入射方向を変えた場合も、図4Dに示すように、第2の原版2に記録されているホログラムを確認することができなくなる。
上述したように、ξ2は、第1の原版1に関する角度θ1およびω1とは異なる角度から選択され、かつξ2≒θ2なる関係がある。すなわち、本開示の実施形態にかかる第2の原版2は、第1の原版1に関する角度θ1およびω1とは異なる角度から選択されるθ2なる角度方向からの光照射に対して、ω2なる角度方向に回折光を出射するホログラフィック原版とされる。
次に、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録の工程および第2の情報の記録の工程について説明する。ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録と、第2の情報の記録とは、連続して行われる。
(1−1−4.ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録)
第1の情報は、例えば、第1の原版1に記録された第1の情報がホログラム記録用媒体3に対して複製されることにより、ホログラム記録用媒体3に記録される。
図5Aは、ホログラム記録用媒体に対する、第1の情報の記録の工程を説明するための概略図である。
図5Aに示すように、第1の情報の記録の工程においては、例えば、ホログラム記録用媒体3と、第1の原版1とが対向させられ、ホログラム記録用媒体3および第1の原版1に複製用の照明光RL1が照射される。
上述したように、ホログラム記録用媒体3は、例えば、長尺のシート状とされ、供給用ロールなどから連続的に繰り出されるとともに、複数のローラなどにより走行させられる。図5Aでは、矢印F1により示すように、ホログラム記録用媒体3が、図の左側から右側へ向けて走行させられているものとした。ホログラム記録用媒体3への第1の情報の複製の際には、例えば、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31と第1の原版1とが、密着させられる。
ホログラム記録用媒体3と第1の原版1とが密着させられた状態で、ホログラム記録用媒体3および第1の原版1に対して、複製用の照明光RL1が光源51から照射される。複製用の照明光RL1としては、第1の原版1から第1の情報を再生させるために、少なくとも、第1の原版1に対する第1の情報の記録に使用された参照光の波長を含む光が使用される。例えば、第1の情報が、波長が約532nmの緑色レーザにより第1の原版1に記録されている場合、光源51として緑色レーザが選択される。
このとき、図5Aに示すように、複製用の照明光RL1は、第1の原版1にたてた法線Nm1に対してθ1の角度でホログラム記録用媒体3および第1の原版1に入射させられる。
複製用の照明光RL1は、ホログラム記録用媒体3を通過した後、第1の原版1に入射する。第1の原版1に入射した複製用の照明光RL1は、図3Dを参照して説明したように、第1の原版1により回折される。したがって、第1の原版1により回折された光が、ホログラム記録用媒体3に入射する。
すると、第1の原版1からの回折光(物体光)と、複製用の照明光RL1(参照光)とが、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31内で干渉することとなり、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31に干渉パターンが記録される。すなわち、第1の原版1に記録された第1の情報がホログラム記録用媒体3に複製され、第1の情報の複製後のホログラム記録用媒体3は、第1の情報の記録された反射型ホログラムとなる。
ここで、ホログラム記録用媒体3および第1の原版1に対して照射される複製用の照明光RL1は、例えば、線状もしくは点状の光または線状に配列された点状の光の群とされる。すなわち、ホログラム記録用媒体3への第1の情報の記録の工程においては、図5Aに示すように、ホログラム記録用媒体3が、例えば、線状または点状に順次露光される。なお、図5Aでは、複製用の照明光RL1の照射領域を破線EX1により示した。
ホログラム記録用媒体3を、例えば、線状に順次露光させるために、ホログラム記録用媒体3および第1の原版1に対しては、図5Aに示すように、例えば、線状に集光された光が照射される。すなわち、複製用の照明光RL1は、レーザ光源から出射され、ビームエキスパンダで拡大された後、シリンドリカルレンズなどでほぼ線状に集光された光である。または、例えば、ホログラム記録用媒体3および第1の原版1に対しては、一列に配列されたレーザ光源の群から出射された光が照射される。
ホログラム記録用媒体3を移動させながら、ホログラム記録用媒体3が線状に順次露光されることにより、ホログラム記録用媒体3に対する、第1の情報の記録が連続して行われる。
図5Bおよび図5Cは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第1の情報がホログラム記録用媒体に複製されていく様子を説明するための概略図である。
図5Bおよび図5Cに示すように、第1の原版1に密着させられたホログラム記録用媒体3が光源51に対して移動することにより、第1の原版1に記録された第1の情報が、ホログラム記録用媒体3に順次複製されていく。なお、図5Bおよび図5Cは、ホログラム記録用媒体3に記録されていく情報量の変化を、絵柄の変化として表した模式図である。
図6Aは、光源の他の構成例を示す概略図である。
図6Aに示すように、複製用の照明光RL1を照射するための光源52が、レーザ光源53と、いわゆるポリゴンミラー55と、fθレンズ(エフシータレンズ)と呼ばれるレンズ群57とを含む構成とされてもよい。図6Aに示す構成例では、ポリゴンミラー55などによりスポット状の光を走査して、図6Aにおいて矢印S1により示したように、複製用の照明光RL1の照射領域EX1を移動させるようにしている。
ポリゴンミラー55は、上面および底面の重心を結ぶ直線を回転軸として高速回転される正多角柱の側面を反射面とした光学素子である。ポリゴンミラー55にかえて、例えば、ガルバノスキャナ(ガルバノメータスキャナなどとも呼ばれる。)やレゾナントスキャナなどを使用してもよい。
fθレンズ57は、レンズの周辺部と中心部とで走査速度が一定となるように設計されたレンズ群であり、ホログラム記録用媒体3に照射されたレーザ光の移動が、ホログラム記録用媒体3の面内で等速運動となるようにするために使用される。fθレンズ57として、テレセントリックfθレンズなどを適用してもよい。
図6Bおよび図6Cは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第1の情報がホログラム記録用媒体に複製されていく様子を説明するための概略図である。なお、図6Bおよび図6Cは、ホログラム記録用媒体3に記録されていく情報量の変化を、絵柄の変化として表した模式図である。
図6Bおよび図6Cに示すように、スポット状の光を走査させる場合も、第1の原版1に密着させられたホログラム記録用媒体3を光源52に対して移動させることにより、第1の原版1に記録された第1の情報をホログラム記録用媒体3に順次複製していくことができる。
このように、ホログラム記録用媒体3を線状または点状に順次露光していくことにより、第1の原版1に記録されている第1の情報が、ホログラム記録用媒体3に順次複製される。第1の原版1に密着させられたホログラム記録用媒体3が複製用の照明光RL1の照射領域を通過することにより、ホログラム記録用媒体3に対する第1の情報の記録が完了する。
本例では、第1の原版1に記録されている第1の情報が、第1の原版1における左右方向に連続した視差を有するホログラム画像とされている。そのため、第1の原版1から第1の情報の複製されたホログラム記録用媒体3は、左右方向に連続した視差を有するホログラム画像の記録された反射型ホログラムとなる。したがって、例えば、第1の情報の複製の際における照明光RL1の照射方向と同様の方向から、白色光によりホログラム記録用媒体3を照明して、ホログラム記録用媒体3を観察する視点を水平方向にそって変化させたとする。すると、第1の原版1をレーザ光により照明した場合と同様に、ホログラム記録用媒体3から観察されるラグビーボールの絵柄が、視点の変化に伴い滑らかに変化することになる。
(1−1−5.ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録)
次に、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録の工程について説明する。
上述した構成例では、例えば、第1の原版1に記録された第1の情報をホログラム記録用媒体3に対して複製することにより、第1の情報がホログラム記録用媒体3に記録された。第2の情報の記録の工程においても、例えば、ホログラム記録用媒体3と、第2の原版2とが密着させられる。さらに、ホログラム記録用媒体3および第2の原版2に対して、第2の情報の記録用の光が照射される点で、第2の情報の記録の工程は、第1の情報の記録の工程とほぼ共通する。
ここで、第2の情報は、例えば、ホログラム記録用媒体3および角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版2に対して、変調されたレーザ光が照射されることにより、ホログラム記録用媒体3に記録される。または、例えば、第2の情報は、ホログラム記録用媒体3および角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版2に対して、スポット状とされたレーザ光が間欠的に照射されることにより、ホログラム記録用媒体3に記録される。
特許文献1に記載の技術として例示した、識別情報をホログラム画像として記録する従来の手法においては、ホログラム記録用媒体が、ホログラム記録用媒体の表面および裏面の両方から照射されたレーザ光により、面単位で露光される。これに対して、本開示の実施形態では、回折光の出射方向があらかじめ設定された角度選択性ホログラフィック原版をホログラム記録用媒体に密着させ、ホログラム記録用媒体を、線単位または点単位で露光することを特徴とする。
図7は、ホログラム記録用媒体に対する、第2の情報の記録の原理を説明するための概略図である。
上述したように、第2の原版2には、第2の情報を記録するためのホログラムが一様に記録されている。第2の情報を記録するためのホログラムは、例えば、あらかじめ定められた方向から入射した光を、特定の方向に強く回折させるためのホログラムである。
図7に示すように、例えば、第2の情報の記録用の照明光RL2が、第2の原版2にたてた法線Nm2に対してθ2の角度でホログラム記録用媒体3および第2の原版2に入射させられたとする。例えば、第2の情報を記録するためのホログラムが、波長が約532nmの緑色レーザにより第2の原版2に記録されている場合、第2の情報の記録用の照明光RL2としては、緑色レーザ光が選択される。
ホログラム記録用媒体3を通過して第2の原版2に到達した光は、角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版2により回折されて、第2の原版2にたてた法線Nm2に対してω2の角度方向に進行する。
すると、ホログラム記録用媒体3に入射する光と、角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版2で回折してホログラム記録用媒体3に向けて出射する光とが、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31において干渉することになる。すなわち、第2の原版からの回折光(物体光)DL2と、記録用の照明光(参照光)RL2とが、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31内で干渉することにより、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31に干渉パターンが記録される。
なお、第2の原版2の代わりにミラーを使用し、ホログラム記録用媒体3と、ミラーとを密着させて、ホログラム記録用媒体3およびミラーに対して記録用の照明光RL2を照射することによっても、第2の情報の記録を行うことは可能である。
しかしながら、第2の原版2の代わりにミラーを使用すると、画像記録媒体を観察したときに、照明光の正反射の方向に、第2の情報に関するホログラム画像が再生されることになる。そうすると、第2の情報に関するホログラム画像の観察の際に、照明光が画像記録媒体の観察者の目に入ることとなり、第2の情報に関するホログラム画像が観察しにくくなってしまう。
そのため、本開示の実施形態では、あらかじめ定められた方向から入射した光を特定の方向に強く回折させるためのホログラムが一様に記録された角度選択性ホログラフィック原版を、ホログラム記録用媒体3に対向させて配置させるようにしている。
第2の原版2からの回折光(物体光)DL2と、記録用の照明光(参照光)RL2との間の干渉は、ホログラム記録用媒体3に入射した光が第2の原版2により回折された領域の近傍でのみ生じる。図7では、ホログラム記録用媒体3に入射する、第2の情報の記録用の照明光RL2と、第2の原版2により回折された光DL2とを網掛けにより示し、干渉の生じる領域Ωを濃い網掛けにより示している。
すなわち、ホログラム記録用媒体3と密着して第2の原版2を配置し、ホログラム記録用媒体3の所望の領域に向けて、所定の方向から記録用の光を照射することにより、ホログラム記録用媒体3における所望の領域の近傍にのみ干渉パターンを記録できる。言い換えれば、このように、例えば、第2の原版2として角度選択性ホログラフィック原版を使用することにより、ホログラム記録用媒体3の所望の領域を選択的に露光し、所望の情報を反射型のホログラム画像のパターンとして記録していくことができる。
なお、図7に示すように、第2の原版2は、例えば、ホログラム層2hと、ホログラム層2hの表面を保護するための保護層2sとを備えている。第2の原版2の保護層2sが厚いと、干渉の生じる領域Ωと、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31とが重なりを有する領域が、小さくなってしまう。言い換えれば、第2の原版2の保護層2sが厚いと、記録用の照明光RL2の利用効率が低下してしまう。
したがって、ホログラム記録用媒体3に記録される第2の情報の解像度の低下を防止するため、第2の原版2の保護層2sが、50μm以下程度に薄いことが好ましい。第2の原版における保護層2sが厚いと、ホログラム記録用媒体3および第2の原版2に照射される光のスポットサイズによっては、物体光DL2と参照光RL2との干渉の生じる部分が小さくなるからである。
なお、ホログラム記録用媒体3において、ホログラム記録層31に対して透明基材層33とは反対の側に、基材層を形成しておき、該基材層と第2の原版2とを、直接またはインデックスマッチング液などを介して密着させるようにしてもよい。この場合も、第2の原版2の保護層2sが、なるべく薄く構成されていることが好ましい。
図8Aは、ホログラム記録用媒体に対する、第2の情報の記録の工程を説明するための概略図である。
図8Aに示すように、第2の情報の記録の工程においては、例えば、ホログラム記録用媒体3と、第2の原版2とが対向させられ、ホログラム記録用媒体3および第2の原版2に、第2の情報の記録用の照明光RL2が照射される。
ホログラム記録用媒体3および第2の原版2に対して照射される、第2の情報の記録用の照明光RL2は、第1の情報の記録の工程の場合と同様に、例えば、線状もしくは点状の光または線状に配列された点状の光の群とされる。すなわち、図8Aに示すように、ホログラム記録用媒体3への第2の情報の記録の工程においては、ホログラム記録用媒体3が、例えば、線状に順次露光される。なお、図8Aでは、第2の情報の記録用の照明光RL2の照射領域を破線EX2により示した。
ホログラム記録用媒体3および第2の原版2に対しては、図8Aに示すように、光源61から、例えば、第2の情報に応じて変調され、かつほぼ線状に成形された光が照射される。
図8Bおよび図8Cは、ホログラム記録用媒体に対して第2の情報の記録用の照明光を照射するための光源の構成例を示す略線図である。図8Bは、ホログラム記録用媒体3の主面に垂直かつホログラム記録用媒体3の進行方向F2に平行な面に向かって、ホログラム記録用媒体3を見た場合の図に相当する。図8Cは、ホログラム記録用媒体3の主面に垂直かつホログラム記録用媒体3の進行方向F2に垂直な面に向かって、ホログラム記録用媒体3を見た場合の図に相当する。
光源61は、例えば、レーザ光源63と、ビームエキスパンダ65と、光変調素子67と、シリンドリカルレンズの組69とを備えている。
図8Bおよび図8Cに示すように、レーザ光源63から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ65により平行光とされ、光変調素子67に入射する。光変調素子67に入射したレーザ光は、光変調素子67により変調され、例えば、識別情報に関する情報がレーザ光に重畳される。
光変調素子67は、例えば、ドライバに入力される制御信号に応じて駆動される液晶パネルである。液晶パネルに表示される画像を順次切り替えていくことにより、液晶パネルの各画素におけるレーザ光の透過および遮断を切り替えることができる。
光変調素子67により識別情報に関する情報などが重畳されて変調されたレーザ光は、シリンドリカルレンズの組69により、照射領域がほぼ線状とされた平行光に成形され、ホログラム記録用媒体3に照射される。
図8Dおよび図8Eは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第2の情報がホログラム記録用媒体に記録されていく様子を説明するための概略図である。
図8Dおよび図8Eに示すように、第2の原版に密着させられたホログラム記録用媒体3の光源61に対する移動ならびに光変調素子67によるレーザ光の変調に応じて、干渉パターンの生じる部分が順次変化する。したがって、ホログラム記録用媒体3における干渉パターンの生じる部分の変化に応じて、ホログラム記録用媒体3に第2の情報が順次記録されていく。なお、図8Dおよび図8Eは、ホログラム記録用媒体3に対して、識別情報「0831」を記録するものとして、ホログラム記録用媒体3に記録されていく情報量の変化を、識別情報「0831」に関する画像の変化として表した模式図である。
図9Aは、光源の他の構成例を示す概略図である。
図9Aに示すように、記録用の照明光RL2を照射するための光源62が、レーザ光源75と、光変調器77と、いわゆるポリゴンミラー79と、fθレンズ81とを含む構成とされてもよい。図9Aに示す構成例では、ポリゴンミラー79などによりスポット状の光を走査して、図9Aにおいて矢印S2により示したように、記録用の照明光RL2の照射領域を移動させるようにしている。
光変調器77は、情報を光の信号に変換するための変調器である。光変調器77としては、例えば、電気光学変調器(EO変調器:electrooptical modulator)、音響光学変調器、熱光学効果を利用した光スイッチ、フォトニック結晶を用いた光スイッチ、非線形光学効果を利用した光スイッチなどが挙げられる。
レーザ光源75から出射されたレーザ光に対して、光変調器77により制御を加えるとともに、スポット状の光を走査することにより、ホログラム記録用媒体3を点状に順次露光して、ホログラム記録用媒体3に第2の情報を記録することができる。
上述したように、例えば、第2の原版2として角度選択性ホログラフィック原版を使用することにより、ホログラム記録用媒体3の所望の領域を選択的に露光することができ、あたかもレーザマーキングのようにして、第2の情報の記録を行うことができる。なお、光変調器77として、例えば音響光学変調器を適用した場合には、強度変調(アナログ変調またはデジタル変調)により、第2の情報として、例えば、文字や図形以外の絵柄などもホログラム記録用媒体3に記録することが可能である。
図9Bおよび図9Cは、ホログラム記録用媒体の移動に伴い、第2の情報がホログラム記録用媒体に記録されていく様子を説明するための概略図である。なお、図9Bおよび図9Cは、ホログラム記録用媒体3に記録されていく情報量の変化を、識別情報「0831」に関する画像の変化として表した模式図である。
図9Bおよび図9Cに示すように、スポット状の光を変調および走査させる場合も、第2の原版に密着させられたホログラム記録用媒体3を光源62に対して移動させることにより、第2の情報をホログラム記録用媒体3に順次記録していくことができる。
または、例えば、記録用の照明光RL2を照射するための光源を、一列に配列されたレーザ光源の群とすることもできる。この場合は、第2の原版に密着させられたホログラム記録用媒体3の移動に応じて個々のレーザ光源のオンおよびオフを制御することにより、点描のようにして、ホログラム記録用媒体3に第2の情報を記録していくことができる。
このように、ホログラム記録用媒体3の任意の部分を線状または点状に順次露光していくことにより、第2の情報を、ホログラム記録用媒体3に順次記録していくことができる。第2の原版に密着させられたホログラム記録用媒体3が記録用の照明光RL2の照射領域を通過することにより、ホログラム記録用媒体3に対する第2の情報の記録が完了する。
上述したように、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録においては、第2の原版からの回折光(物体光)と、記録用の照明光(参照光)との干渉パターンが、ホログラム記録用媒体のホログラム記録層に記録される。すなわち、第2の情報は、ホログラム記録用媒体に対する記録用の照明光の照射方向と同様の方向から照明されたときに、第2の原版からの回折光の出射方向と同様の方向に再生される反射型のホログラム画像として、ホログラム記録用媒体に記録される。なお、第2の情報の記録後のホログラム記録用媒体を、第2の原版からの回折光の出射方向と同様の方向から照明すると、第2の情報が、ホログラム記録用媒体に対する記録用の照明光の照射方向と同様の方向に再生される。
ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録が完了した後、ホログラム記録用媒体に対しては、必要に応じて、記録画像を定着させるための紫外線の照射や加熱といった後処理が施される。また、必要に応じて、被着体との貼りあわせのための粘着層の形成や裁断が行われ、第1の情報および第2の情報の記録された画像記録媒体が完成する。
図10は、シート状のホログラム記録用媒体に、第1の情報および第2の情報が多面付けで記録されることにより構成された画像記録媒体の例を示す概略図である。図10では、情報の記録されたホログラム記録用媒体の背面に黒色の粘着層が形成された画像記録媒体の例を示した。
例えば、第1の情報を第1の原版に多面付けで記録しておけば、ホログラム記録用媒体に対して、面ごとに相異なる第1の情報を連続的に複製していくこともでき、第1の情報および第2の情報の記録された画像記録媒体5を連続的に製造することができる。
また、画像記録媒体5を裁断して得られる、複数の画像記録媒体のそれぞれを区別するための識別情報は、図10に示すように、例えば、共通の絵柄の記録された領域に重畳して記録される。このとき、個々の識別情報の位置や大きさなどを、記録される識別情報に応じて、それぞれ変更するようにしてもよい。例えば、記録される識別情報の末尾の数字が奇数であるかまたは偶数であるかに応じて、識別情報の書体を変更するといったことも容易である。
このように、本開示では、ホログラム記録用媒体が、例えば、線状または点状に順次露光されることにより、ホログラム記録用媒体に情報が記録されるので、いわゆるステップアンドリピートの方式と比較して、極めて高い生産性を実現することができる。さらに、角度選択性ホログラフィック原版を使用してホログラム記録用媒体に情報が記録されるため、例えば、共通の絵柄がホログラム画像として記録された複数のホログラム記録用媒体に対して、個々のホログラム記録用媒体を区別するための識別情報を記録することができる。また、上述の説明から明らかなように、本開示によれば、共通の絵柄を視差画像としたり、識別情報を視差画像としたりすることも容易である。
[1−2.画像記録媒体の例]
上述した例では、まず、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の複製用の光の入射角θ1およびホログラム記録用媒体に近接して配置される第1の原版からの回折光の出射角ω1が規定される。次に、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角ξ2が、上述したθ1およびω1とは異なる角度となるように規定される。さらに、第2の原版に対する記録用の光の入射角θ2がξ2とほぼ同じ角度として選択され、θ2なる角度方向からの光照射に対する、第2の原版からの回折光の出射角が、ω2なる角度とされている。本開示では、第2の原版からの回折光の出射角度が、第1の原版に対する複製用の光の入射角度および第1の原版からの回折光の出射角度に応じて、あらかじめ規定される。
ここで、例えば、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録の工程において、ω2=θ1に設定されていたとする。すなわち、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録において、参照光が、第2の原版にたてた法線に対してξ2の角度で第2の原版に入射されるのに対して、物体光の入射角が、ζ2≒(ω2+180°)=(θ1+180°)であったとする。
この場合、完成した画像記録媒体の主面にたてた法線に対して、θ1なる角度方向から、白色光により画像記録媒体を照明したとすると、第1の情報の再生像に関する回折光は、ω1なる角度方向に最も強く回折される。一方、第2の情報の再生像に関する回折光は、θ2(≠ω1)なる角度方向に最も強く回折されることになる。
さらに、例えば、第2の原版の仕様が適宜に変更されることにより、画像記録媒体から第2の情報に関する画像を確認することのできる視点の範囲が、ある範囲に規定されていたとする。
すると、第2の情報に関する画像を確認することのできる視点の範囲が、ある範囲に規定されているため、第1の情報に関する画像および第2の情報に関する画像が、視点の変化に応じて切り替わる。
図11A〜図11Iは、白色光の照明のもとにおいて画像記録媒体から観察されるホログラム画像の例を示す概略図である。図11A〜図11Iでは、情報の記録されたホログラム記録用媒体の背面に黒色の粘着層が形成された画像記録媒体の例を示した。図11B〜図11Iは、画像記録媒体7と視点との間の相対位置関係を図11Aに示す状態から変化させたときに、画像記録媒体7から観察されるホログラム画像の例を示す図である。
画像記録媒体7には、第1の原版1から複製された、ラグビーボールの絵柄が記録されている。第1の情報として画像記録媒体7に記録されたラグビーボールの絵柄は、左右方向に連続した視差を有している。したがって、例えば、図11Aに示す状態から、画像記録媒体7を観察する視点を水平方向にそって変化させると、図11Bおよび図11Cに示すように、画像記録媒体7から観察されるラグビーボールの絵柄が滑らかに変化する。
ここで、例えば、図11Aに示す状態から、画像記録媒体7を観察する視点を上方に動かすと、図11Dに示すように、画像記録媒体7からはラグビーボールの絵柄が観察されなくなる。図11Dに示す状態から、画像記録媒体7を観察する視点を水平方向にそって変化させたとした場合も、図11Eおよび図11Fに示すように、画像記録媒体7からはラグビーボールの絵柄が観察されない。
次に、例えば、図11Aに示す状態から、画像記録媒体7を観察する視点を下方に動かすと、図11Gに示すように、画像記録媒体7からは、第2の情報として記録された識別情報に関する画像が観察される。言い換えれば、第2の情報としての識別情報に関する画像は、画像記録媒体7の上下方向に視差を有する画像として、画像記録媒体7に記録されている。なお、図11Gに示す状態から、画像記録媒体7を観察する視点を水平方向にそって変化させると、図11Hおよび図11Iに示すように、画像記録媒体7からは識別情報が観察されない。
[1−3.第2の原版からの回折光の出射角度の選択]
上述した例では、まず、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の複製用の光の入射角θ1およびホログラム記録用媒体に近接して配置される第1の原版からの回折光の出射角ω1が規定される。次に、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角ξ2が、上述したθ1およびω1とは異なる角度となるように規定される。さらに、第2の原版に対する記録用の光の入射角θ2がξ2とほぼ同じ角度として選択され、θ2なる角度方向からの光照射に対する、第2の原版からの回折光の出射角が、ω2なる角度とされる。
すなわち、本開示では、第2の情報の記録用の光を第2の原版からω2なる角度方向へ回折させるために、入射角θ2が、第1の原版に対する複製用の光の入射角度および第1の原版からの回折光の出射角度に応じて、あらかじめ規定される。これは、上述した例では、ホログラム記録用媒体への第1の情報の記録に続けて、第1の情報の記録された領域に、第2の情報の記録が行われるからである。
例えば、ξ2=θ1に設定されていたとすると、第2の情報の記録の工程において、ホログラム記録用媒体および第2の原版に対しては、θ2=θ1なる角度方向から、第2の情報の記録用の照明光が入射されることになる。ところが、ホログラム記録用媒体には、反射型のホログラム画像としての第1の情報がすでに記録されている。そのため、ホログラム記録用媒体に入射する、第2の情報の記録用の照明光が、ω1の方向に回折されてしまうこととなり、第2の情報の記録の際の光の利用効率が低下してしまう。ξ2=ω1に設定した場合も同様に、第2の情報の記録の工程において、第2の情報の記録用の照明光が、θ1の方向に回折されてしまい、第2の情報の記録の際の光の利用効率が低下する。
したがって、ホログラム記録用媒体の記録領域に第1の情報および第2の情報を重ねて記録するには、ホログラム記録用媒体および第2の原版に対する、第2の情報の記録用の照明光が入射する角度を、適切な角度としなければならない。言い換えれば、ホログラム記録用媒体および第1の原版に対する、第1の情報の記録用の照明光が入射する角度および第1の原版からの回折光の出射する角度に応じて、ξ2(θ2といってもよい。)が適切に設定された第2の原版を使用する必要がある。
図12A〜図12Dは、ホログラム記録用媒体および第2の原版に対する、第2の情報の記録用の光が入射する角度の好適な設定の例を説明するための概略図である。図12A〜図12Dでは、画像記録媒体9a〜9dを左側面から見た状態をそれぞれ模式的に示している。すなわち、図12A〜図12Dの各図における上方は、画像記録媒体9a〜9dの上方とそれぞれ対応している。
画像記録媒体を観察するときの、照明光の入射角α、第1の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度β1および第2の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度β2の好適な設定として、例えば、以下の設定(以下、第1の設定例と適宜称する。)が挙げられる。
照明光の入射角:α≒45°
第1の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β1≒0°
第2の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β2≒+22.5°
図12Aは、第1の設定例に対応する図である。第1の設定例が適用される場合、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=0°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第1の原版1が使用される。このような第1の原版1が使用されることにより第1の情報が記録された画像記録媒体9aを45°の角度方向から照明すると、第1の情報に関するホログラム画像の最大輝度となる角度方向が、0°となる。
なお、(45°−15°)≦θ1≦(45°+15°)かつ(0°−15°)≦ω1≦(0°+15°)であると好ましい。
画像記録媒体の観察時においては、照明光の光源は、観察者の上方に位置することが多い。そのため、画像記録媒体に記録されているホログラムが反射型である場合には、画像記録媒体の観察者の視点および画像記録媒体の中心を結ぶ線分と、照明光の光源および画像記録媒体の中心を結ぶ線分とのなす角は、45°程度であると考えてよい。また、画像記録媒体に記録されたホログラムが画像記録媒体の左右方向に視差を有するホログラム画像である場合には、画像記録媒体のほぼ正面から観察すると、画像記録媒体に記録されたホログラムを観察しやすい。
第2の原版2としては、θ2=+22.5°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版が使用される。このような角度選択性ホログラフィック原版が第2の原版2として使用されることにより第2の情報が記録された画像記録媒体9aを、45°の角度方向から照明すると、第2の情報に関するホログラム画像の最大輝度となる角度方向が、+22.5°となる。なお、θ2=45°なる角度方向から照射された光を、ω2=+22.5°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用しないのは、第2の情報の記録の工程における、第2の情報の記録用の光RL2の利用効率の低下を防止するためである。
または、例えば、好適な設定として、以下の設定(以下、第2の設定例と適宜称する。)が挙げられる。
照明光の入射角:α≒45°
第1の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β1≒0°
第2の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β2≒−22.5°
図12Bは、第2の設定例に対応する図である。第2の設定例を適用するには、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=0°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第1の原版1を使用すればよい。また、第2の原版2として、θ2=−22.5°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。
例えば、好適な設定として、以下の設定(以下、第3の設定例と適宜称する。)を挙げることもできる。
照明光の入射角:α≒45°
第1の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β1≒−15°
第2の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β2≒+15°
図12Cは、第3の設定例に対応する図である。第3の設定例を適用するには、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=−15°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第1の原版1を使用すればよい。また、第2の原版2として、θ2=+15°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。
または、例えば、好適な設定として、以下の設定(以下、第4の設定例と適宜称する。)を挙げることもできる。
照明光の入射角:α≒45°
第1の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β1≒+15°
第2の情報に関するホログラム画像が最大輝度となる角度:β2≒−15°
図12Dは、第4の設定例に対応する図である。第4の設定例を適用するには、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=+15°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第1の原版1を使用すればよい。また、第2の原版2として、θ2=−15°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。
これらの結果から、本出願人らは、第1の原版1がホログラム画像の記録された原版とされ、第2の原版2が角度選択性ホログラフィック原版とされる場合には、θ2が、ほぼ(±θ1+ω1)/2とされることが好ましいということを見出した。
θ2≒(±θ1+ω1)/2と設定することにより、第1の情報に関する画像および第2の情報に関する画像を分離して観察しやすくすることができる。また、第1の情報に関する画像または第2の情報に関する画像の最大輝度で再生される角度方向を、照明光の正反射方向とならないようにすることができる。
ここで、本開示のホログラム製造方法における、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録と、第2の情報の記録とは、いずれが先に行われてもよい。例えば、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録と、第1の情報の記録とが、この順に行われてもかまわない。具体的には、例えば、識別情報に関する画像を第1の情報としてホログラム記録用媒体に記録し、絵柄を第2の情報としてホログラム記録用媒体に記録してもよい。
この場合は、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録および第2の情報の記録のために、第1の原版1として、角度選択性ホログラフィック原版が使用されるとともに、第2の原版2として、ホログラム画像の記録された原版が使用されることになる。
識別情報に関する画像を第1の情報としてホログラム記録用媒体に先に記録する場合には、θ2が、ほぼ(±θ1+2×ω1)とされることが好ましい。識別情報に関する画像を第1の情報としてホログラム記録用媒体に先に記録する場合に、θ2≒(±θ1+2×ω1)と設定することで、画像記録媒体を、第1の情報に関する画像および第2の情報に関する画像の観察しやすい画像記録媒体とすることができる。
また、θ2≒(±θ1+2×ω1)に設定することにより、α、β1およびβ2の組として、上述した好ましい組み合わせを実現することができる。
例えば、第1の設定例を適用するには、第1の原版1として、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=+22.5°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。また、θ2=0°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第2の原版2を使用すればよい。
例えば、第2の設定例を適用するには、第1の原版1として、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=−22.5°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。また、θ2=0°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第2の原版2を使用すればよい。
例えば、第3の設定例を適用するには、第1の原版1として、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=−15°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。また、θ2=+15°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第2の原版2を使用すればよい。
例えば、第4の設定例を適用するには、第1の原版1として、θ1=45°なる角度方向から照射された光を、ω1=+15°の角度方向に最も強く回折させるように設定された角度選択性ホログラフィック原版を使用すればよい。また、θ2=−15°なる角度方向から照射された光を、ω2=45°の角度方向に最も強く回折させるように設定された第2の原版2を使用すればよい。
なお、本開示のホログラム製造方法における、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録と、第2の情報の記録とを、並行して行うこともできる。
例えば、第1の原版および第2の原版の積層体を、ホログラム記録用媒体に対向するようにして配置し、これらに対して、第1の情報の複製用の照明光と、第2の情報の記録用の照明光とを、同時に照射するようにしてもかまわない。この場合は、第2の情報の記録の工程における、第2の情報の記録用の光の利用効率の低下を防止するために、θ1≠ω2と設定しておく必要がある。
<2.第2の実施形態>
[2−1.ホログラム製造方法の概略]
図13Aは、ホログラム記録用媒体に対する第1の情報の記録の工程を説明するための略線図である。図13Bは、ホログラム記録用媒体に対する第2の情報の記録の工程を説明するための略線図である。図13Aおよび図13Bに示す平面Σは、ホログラム記録用媒体の主面に垂直かつホログラム記録用媒体の進行方向を含む平面である。
第2の実施形態では、第1の情報の記録の工程が、上述した第1の実施形態の場合とほぼ共通することに対して、第2の情報の記録の工程において、逆反射の機能(retro-reflective機能)を備える角度選択性ホログラフィック原版が使用される点で、第1の実施形態と相違する。
図13Bに示す第2の原版4は、例えば、上述した光重合型フォトポリマなどからなるホログラム層を備えている。第2の情報の記録の工程においては、図13Bに示すように、第2の原版4およびホログラム記録用媒体3に対して、θ2なる角度方向から第2の情報を記録するための光が照射される。第2の情報を記録するための光の入射角θ2は、第1の原版1に対して設定された角度θ1およびω1とは異なる角度から選択された角度である。
第2の実施形態では、第2の原版4として、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版が使用される。すなわち、第2の実施形態では、図13Bに示すように、θ2なる角度方向からの光照射に対して、ω2=θ2なる角度方向に回折光を出射する角度選択性ホログラフィック原版が、第2の原版4として使用される。
(2−1−1.逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版)
図14Aは、第2の原版に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録方法の一例を示す略線図である。
第2の原版4を、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版とするには、図14Aに示すように、例えば、第2の原版4のほぼ全面に対して、第2の原版4の両主面のそれぞれの側から、相互にコヒーレントなレーザ光を入射させる。このとき、例えば、一方のレーザ光(参照光に相当する。)を、第2の原版4にたてた法線Nm2に対してξ2の角度で第2の原版4に入射させ、他方のレーザ光(物体光に相当する。)を、参照光に相当するレーザ光とは正反対の方向から第2の原版4に入射させる。すなわち、物体光に相当するレーザ光を、第2の原版4にたてた法線Nm2に対してζ2=ξ2+180°の角度で第2の原版4に入射させる(図14Aに示す例では、ξ2<0である。)。第2の原版4に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角ξ2が、上述したθ1およびω1とは異なる角度から選択される点は、第1の実施形態の場合と同様である。
第2の原版4の両主面のそれぞれの側から入射した2つのレーザ光は、第2の原版4のホログラム層において干渉する。したがって、第2の原版4は、例えば、第2の情報を記録するためのホログラムが反射型のホログラム画像として記録されたホログラフィック原版となる。相互に正反対の方向から入射するレーザ光により第2の原版4に記録されたホログラムは、あらかじめ定められた方向から入射した光を、光の入射した方向に再帰的に回折させるためのホログラムとなる。
このように、第2の実施形態では、あらかじめ定められた方向から入射した光を、光の入射した方向に再帰的に回折させるためのホログラムが、第2の原版に一様に記録されている。あらかじめ定められた方向から入射した光を、光の入射した方向に再帰的に回折させる光機能素子を、本開示では、「逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版」と称することにする。
図14Bは、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版を使用した、第2の情報の記録の原理を説明するための概略図である。図14Bに示すように、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版4は、例えば、ホログラム層4hと、ホログラム層4hの表面を保護するための保護層4sとを備えている。
いま、図14Bに示すように、例えば、第2の情報の記録用の照明光RL2が、第2の原版4にたてた法線Nm2に対してθ2≒ξ2の角度でホログラム記録用媒体3および第2の原版4に入射させられたとする。ホログラム記録用媒体3を通過した光は、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版4により回折されて、光の入射方向に向けて出射される。すなわち、ホログラム記録用媒体3を通過して第2の原版4に到達した光は、第2の原版4の位置に配置された鏡により反射されたかのようにして、第2の原版4にたてた法線Nm2に対してω2=θ2の角度方向に進行することになる。
すると、ホログラム記録用媒体3に入射する光と、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版として構成された第2の原版4で回折してホログラム記録用媒体3に向けて出射する光DL2とが、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31において干渉することになる。すなわち、第2の原版4からの回折光(物体光)DL2と、記録用の照明光(参照光)RL2とが、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31内で干渉することにより、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31に干渉パターンが記録される。なお、図14Bでは、ホログラム記録用媒体3に入射する、第2の情報の記録用の照明光RL2と、第2の原版4により回折された光DL2とを網掛けにより示し、ホログラム記録用媒体3中で干渉の生じる領域Ωを濃い網掛けにより示している。
図14Bから明らかなように、第2の情報の記録の工程において、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版を使用することにより、ホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31内で物体光DL2と参照光RL2とを確実に干渉させることができる。すなわち、第2の原版4における保護層4sやホログラム記録用媒体3における基材層が厚い場合であっても、物体光DL2および参照光RL2による干渉パターンをホログラム記録用媒体3のホログラム記録層31に記録することができる。したがって、逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版を使用することにより、ホログラム記録用媒体のホログラム記録層を有効に活用することができ、第1の実施形態と比較して、第2の情報に関する画像の解像度をより向上させることができる。
[2−2.画像記録媒体からの第2の情報の再生]
逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版を第2の原版として使用した場合、ホログラム記録用媒体に記録される第2の情報に関する画像は、あらかじめ定められた方向から入射した光を、光の入射した方向に再帰的に回折させるホログラムとして記録される。したがって、画像記録媒体から第2の情報に関する画像を観察するときは、第2の情報の記録用の照明光の照射方向とは異なる角度方向から画像記録媒体を照明することになる。また、第2の情報の記録用の照明光の照射方向および画像記録媒体から第2の情報に関する画像を再生させるための照明の照射方向とは異なる角度方向から、第2の情報に関する画像を観察することになる。
例えば、第1の情報の記録の工程において、θ1なる角度方向からの光照射に対してω1なる角度方向に回折光を出射する第1の原版1が使用されていたとする。
また、例えば、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角をξ2、したがって、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における物体光の入射角をζ2=ξ2+180°とする。第2の原版4に対する、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の入射角ξ2は、上述したθ1およびω1とは異なる角度から選択される。なお、第2の情報を記録するためのホログラムは、波長が約532nmの緑色レーザにより第2の原版4に記録されているとする。
このとき、第2の情報の記録の工程においては、第2の情報の記録用の照明光RL2が、第2の原版4にたてた法線Nm2に対してθ2≒ξ2の角度でホログラム記録用媒体3および第2の原版4に入射されることになる。なお、第2の情報の記録後のホログラム記録用媒体3を、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の照射方向と同様の方向から白色光により照明したとする。すると、第2の情報は、第2の情報を記録するためのホログラムの記録の際における参照光の照射方向と同様の方向に、緑色のホログラム画像として再生される。すなわち、ω2、θ2およびξ2の間には、ω2=θ2≒ξ2の関係がある。
図14Cは、第2の情報の観察時における照明光の入射方向と、画像記録媒体の観察方向との間の関係を説明するための概略図である。
完成した画像記録媒体9eから第1の情報を観察する場合には、α≒θ1の角度方向から、例えば、白色光により画像記録媒体9eを照明し、β1≒ω1の角度方向から、画像記録媒体9eを観察すればよい。
一方、画像記録媒体9eから第2の情報を観察する場合には、図14Cに示すように、α≒θ1の角度方向から、白色光により画像記録媒体9eを照明して、例えば、β2≠ω2の角度方向から、画像記録媒体9eを観察することになる。
この場合、第2の情報に関する画像の再生色は、緑色とは異なった色みの画像となる。これは、ホログラム記録層に入射する光の波長λと、ホログラム記録層に入射した光により形成された干渉縞の間隔ΛVとの間に、以下の式(1)に示す関係が成り立つためである。
Figure 2013210428
式(1)中、nは、ホログラム記録層の屈折率を表し、ΛVは、ホログラム記録層に入射した光(物体光および参照光)により形成される干渉縞の間隔を表している。λは、ホログラム記録層へのホログラム記録時の物体光および参照光の波長である。式(1)中の角ΘBは、ΘB=(ΘS−ΘR)/2として表され、ΘSは、ホログラム記録層内における物体光の入射角であり、ΘRは、ホログラム記録層内における参照光の入射角である。角ΘBの大きさは、照明光の光軸が干渉縞となす角の大きさを表している。なお、計算の過程および結果に表れる角度は、いずれもz軸から測った角度である。
式(1)の導出においては、一辺の長さがL、厚さがtとされた平板形状のホログラム記録層を想定し、xyz直交座標において、長さLの辺に平行な方向および厚さ方向をそれぞれx軸方向およびz軸方向としている。また、光源や観察者の視点がホログラム記録層の表面から十分に離れているものとし、ホログラム記録層に入射するいずれの光も平面波であるものとみなしている。
逆反射の機能を備える角度選択性ホログラフィック原版を第2の原版4として使用した場合、画像記録媒体9eから第2の情報に関する画像を観察するためには、照明光の入射角度と、再生光の出射角度とを等しくする必要がある。ところが、上述したように、現実的には、θ2とは異なる角度αの方向から画像記録媒体9eを照明して、ω2とは異なる角度β2の方向から、画像記録媒体9eを観察することになる。
すなわち、式(1)中のΘBがΘB+δΘBと変化することに対応して、λがλ+δλへと変化することになる。言い換えれば、第2の情報に関する再生光の波長が、ホログラム記録用媒体3に対する、第2の情報の記録時の波長からずれることになる。
より具体的は、例えば、θ2=10°とし(すなわち、ξ2、θ2およびω2もおよそ10°である。)、α=45°の方向から画像記録媒体9eを白色光により照明して、β2=−22.5°の方向から、画像記録媒体9eを観察したとすると、第2の情報に関する再生光の波長は、約496nmとなる。したがって、画像記録媒体9eの観察者は、第2の情報に関する画像を青色の画像として認識することになる。
第2の実施形態によれば、ホログラム記録用媒体のホログラム記録層内で物体光と参照光とが確実に干渉させられるので、第2の情報に関する画像の解像度を向上させることができ、したがって、第2の情報に関する画像の輝度を向上させることができる。
以上に説明したように、本開示によれば、第1の原版および第2の原版の少なくとも一方に角度選択性ホログラフィック原版を使用しているので、ホログラム記録用媒体を線単位または点単位で露光することができる。したがって、本開示によれば、ホログラム製造方法の一連の工程において、第1の情報の記録と、第2の情報の記録とを連続して行うことができ、ホログラムの製造における生産性を向上させることができる。
さらに、本開示によれば、ホログラム記録用媒体を線単位または点単位で露光することができるので、ホログラム記録用媒体に対して任意のパターンのホログラム画像を記録することができる。例えば、ホログラム記録用媒体に対して識別情報に関する画像を記録したり、任意の像を描画したりすることができる。すなわち、共通の絵柄の上に識別情報を記録することも容易であり、高度な真贋判定機能を備えるホログラムの製造における生産性や露光の安定性を向上させることができる。
<3.変形例>
以上、好適な実施形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した例に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
本開示では、第1の情報の記録の工程と、第2の情報の記録の工程とを含むため、例えば、第1の情報を記録するための光の波長と、第2の情報を記録するための光の波長とを、相異なる波長としてもよい。例えば、第1の情報として記録された絵柄と、第2の情報として記録された、識別情報に関する画像とが、白色光の照明のもとで異なる再生色により再生されるようにしてもよい。
第1の情報として記録された絵柄と、第2の情報として記録された、識別情報に関する画像とが、異なる再生色により再生されるようにすることで、単色のレーザ光による不正なコンタクトコピーを困難とすることができる。したがって、画像記録媒体の真贋判定機能や偽造防止の機能を向上させることができる。
また、上述した実施形態では、第1の原版または第2の原版の一方のみが、角度選択性ホログラフィック原版とされる構成例について説明したが、第1の原版および第2の原版を角度選択性ホログラフィック原版としてもよい。この場合、例えば、白色光のもとで赤色の再生色として再生される絵柄を第1の情報としてホログラム記録用媒体に描画し、白色光のもとで緑色の再生色として再生される識別情報を第2の情報としてホログラム記録用媒体に記録することもできる。
識別情報として、例えば、シリアル番号や一次元バーコード、二次元バーコードのほか、ロット番号、製造者名や製造者の顔写真などの画像情報をホログラム記録用媒体に記録することもできる。
本開示の画像記録媒体は、例えば、商品の包装、非接触IC(integrated circuit)カード、IDカード(identification card)、銀行カード、クレジットカード、社員証、学生証、定期券、運転免許証、外国旅券、ビザ、証券、通帳、印紙、切手、携帯電話、貨幣、宝くじなどにも使用できる。
なお、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、工程、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、工程、材料および数値などを用いてもよい。上述の実施形態の構成、方法、形状、工程、材料および数値などは、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
例えば、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
θ1なる角度方向からの光照射に対してω1なる角度方向に回折光を出射する第1の原版とホログラム記録用媒体とを対向させ、前記第1の原版および前記ホログラム記録用媒体に対する前記θ1なる角度方向からの光照射により、前記ホログラム記録用媒体に第1の情報を記録することと、
第2の原版と前記ホログラム記録用媒体とを対向させ、前記第2の原版および前記ホログラム記録用媒体に対するθ2なる角度方向からの光照射により、前記ホログラム記録用媒体に第2の情報をさらに記録することと
を含み、
前記第1の原版および前記第2の原版の少なくとも一方が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、
前記θ2が、前記θ1および前記ω1とは異なる角度から選択されるホログラム製造方法。
(2)
前記角度選択性ホログラフィック原版および前記ホログラム記録用媒体に対する光照射により記録される情報が、前記ホログラム記録用媒体を点状または線状に順次露光していくことにより記録される(1)に記載のホログラム製造方法。
(3)
前記第1の情報および前記第2の情報の少なくとも一方が、識別情報とされる(1)または(2)に記載のホログラム製造方法。
(4)
前記第1の情報および前記第2の情報の少なくとも一方が、視点の移動にともなって視差をもって再生されるホログラム画像とされる(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のホログラム製造方法。
(5)
前記第1の情報が、第1の方向にそった視点の移動にともなって前記第1の方向に視差をもって再生されるホログラム画像とされ、
前記第2の情報が、第2の方向にそった視点の移動にともなって前記第2の方向に視差をもって再生されるホログラム画像とされる(4)に記載のホログラム製造方法。
(6)
前記第1の原版が、ホログラム画像の記録された原版とされ、前記第2の原版が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、
前記θ2が、(±θ1+ω1)/2なる角度と略等しい角度に設定される(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のホログラム製造方法。
(7)
前記第1の原版が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、前記第2の原版が、ホログラム画像の記録された原版とされ、
前記θ2が、(±θ1+2×ω1)なる角度と略等しい角度に設定される(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のホログラム製造方法。
(8)
前記第2の原版が、前記θ2なる角度方向からの光照射に対して、前記θ1とは異なる角度方向に回折光を出射する原版とされる(1)ないし(7)のいずれか1項に記載のホログラム製造方法。
(9)
前記第2の原版が、前記θ2なる角度方向からの光照射に対して、前記θ2なる角度方向に回折光を出射する原版とされる(1)ないし(8)のいずれか1項に記載のホログラム製造方法。
(10)
前記第1の情報を記録するための光の波長と、前記第2の情報を記録するための光の波長とが、相異なる(1)ないし(9)のいずれか1項に記載のホログラム製造方法。
1・・・第1の原版
2,4・・・第2の原版
3・・・ホログラム記録用媒体
5,7,9・・・画像記録媒体
11・・・第1のロール状原版
21・・・第2のロール状原版

Claims (10)

  1. θ1なる角度方向からの光照射に対してω1なる角度方向に回折光を出射する第1の原版とホログラム記録用媒体とを対向させ、前記第1の原版および前記ホログラム記録用媒体に対する前記θ1なる角度方向からの光照射により、前記ホログラム記録用媒体に第1の情報を記録することと、
    第2の原版と前記ホログラム記録用媒体とを対向させ、前記第2の原版および前記ホログラム記録用媒体に対するθ2なる角度方向からの光照射により、前記ホログラム記録用媒体に第2の情報をさらに記録することと
    を含み、
    前記第1の原版および前記第2の原版の少なくとも一方が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、
    前記θ2が、前記θ1および前記ω1とは異なる角度から選択されるホログラム製造方法。
  2. 前記角度選択性ホログラフィック原版および前記ホログラム記録用媒体に対する光照射により記録される情報が、前記ホログラム記録用媒体を点状または線状に順次露光していくことにより記録される請求項1に記載のホログラム製造方法。
  3. 前記第1の情報および前記第2の情報の少なくとも一方が、識別情報とされる請求項1に記載のホログラム製造方法。
  4. 前記第1の情報および前記第2の情報の少なくとも一方が、視点の移動にともなって視差をもって再生されるホログラム画像とされる請求項1に記載のホログラム製造方法。
  5. 前記第1の情報が、第1の方向にそった視点の移動にともなって前記第1の方向に視差をもって再生されるホログラム画像とされ、
    前記第2の情報が、第2の方向にそった視点の移動にともなって前記第2の方向に視差をもって再生されるホログラム画像とされる請求項4に記載のホログラム製造方法。
  6. 前記第1の原版が、ホログラム画像の記録された原版とされ、前記第2の原版が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、
    前記θ2が、(±θ1+ω1)/2なる角度と略等しい角度に設定される請求項1に記載のホログラム製造方法。
  7. 前記第1の原版が、角度選択性ホログラフィック原版とされ、前記第2の原版が、ホログラム画像の記録された原版とされ、
    前記θ2が、(±θ1+2×ω1)なる角度と略等しい角度に設定される請求項1に記載のホログラム製造方法。
  8. 前記第2の原版が、前記θ2なる角度方向からの光照射に対して、前記θ1とは異なる角度方向に回折光を出射する原版とされる請求項1に記載のホログラム製造方法。
  9. 前記第2の原版が、前記θ2なる角度方向からの光照射に対して、前記θ2なる角度方向に回折光を出射する原版とされる請求項1に記載のホログラム製造方法。
  10. 前記第1の情報を記録するための光の波長と、前記第2の情報を記録するための光の波長とが、相異なる請求項1に記載のホログラム製造方法。
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