JP2013209080A - 車両用電動パワーユニット - Google Patents

車両用電動パワーユニット Download PDF

Info

Publication number
JP2013209080A
JP2013209080A JP2013027849A JP2013027849A JP2013209080A JP 2013209080 A JP2013209080 A JP 2013209080A JP 2013027849 A JP2013027849 A JP 2013027849A JP 2013027849 A JP2013027849 A JP 2013027849A JP 2013209080 A JP2013209080 A JP 2013209080A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
case
shaft
swing arm
power unit
electric motor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013027849A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihisa Okamoto
晃尚 岡本
Yuichi OKITSU
雄一 沖津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Musashi Seimitsu Industry Co Ltd
Original Assignee
Musashi Seimitsu Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Musashi Seimitsu Industry Co Ltd filed Critical Musashi Seimitsu Industry Co Ltd
Priority to JP2013027849A priority Critical patent/JP2013209080A/ja
Publication of JP2013209080A publication Critical patent/JP2013209080A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】部品点数及び組立工数が少なく,しかも伝動ケースの軽量化と剛性確保の両立を可能にした車両用電動パワーユニットを提供する。
【解決手段】プロペラシャフト11を収容するシャフトケース部21の後端に,2次減速ギヤ列14を収容する第2ギヤケース部22を一体に連設し,シャフトケース部21の前端には,プロペラシャフト11及び2次減速ギヤ列14のドライブギヤ17を挿入するためと,プロペラシャフト11の後部を支承する第1ベアリング33を装着するための第1開口部23を設け,また第2ギヤケース部22の一側部には,2次減速ギヤ列14のドリブンギヤ17を挿入するためと,リヤアクスル12を支承するベアリング47を保持するリヤアクスルホルダ48を装着するための第2開口部24を設けた。
【選択図】図5

Description

本発明は,電動モータと,この電動モータのロータ軸と平行に,且つ車両の前後方向に沿って配置されるプロペラシャフトと,このプロペラシャフトに対して直角に配置されて車両の後輪を駆動するリヤアクスルと,前記ロータ軸の出力を前記プロペラシャフトの前部に減速して伝達する1次減速ギヤ列と,前記プロペラシャフトの出力を,その後部から前記リヤアクスルに減速して伝達する2次減速ギヤ列と,前記電動モータを支持しつゝ,前記プロペラシャフト,1次減速ギヤ列及び2次減速ギヤ列を収容する伝動ケースとを備えてなり,その伝動ケースが車両の車体フレームに上下揺動可能に取り付けられる,車両用電動パワーユニットの改良に関する。
かゝる車両用電動パワーユニットは,下記特許文献1及び2に開示されるように,既に知られている。
特開平5−213253号公報 特開平5−105160号公報
上記特許文献1及び2記載のものでは,伝動ケースの前部に,車両の車体フレームに取り付けられるピボットに回動自在に支持されるピボット孔を設けているので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減を要求される場合や,電動モータの位置の変更を要求される場合には,それに対応してピボットによる伝動ケースの支持位置を変更する必要があるため,伝動ケースのみならず,その内部の伝動部材に大幅な設計変更が必要となり,電動パワーユニットのコストの低減が困難となる。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減や電動モータの位置変更を要求される場合でも,コストの上昇を極力抑えるべく,伝動ケースや内部の伝動部材に変更を加えることなく,上記要求に容易に対応することができ,しかも電動モータを路面の突起物や飛石等から保護し得る前記車両用電動パワーユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,電動モータと,この電動モータのロータ軸と平行に,且つ車両の前後方向に沿って配置されるプロペラシャフトと,このプロペラシャフトに対して直角に配置されて車両の後輪を駆動するリヤアクスルと,前記ロータ軸の出力を前記プロペラシャフトの前部に減速して伝達する1次減速ギヤ列と,前記プロペラシャフトの出力を,その後部から前記リヤアクスルに減速して伝達する2次減速ギヤ列と,前記電動モータを支持しつゝ,前記プロペラシャフト,1次減速ギヤ列及び2次減速ギヤ列を収容する伝動ケースとを備えてなり,その伝動ケースが車両の車体フレームに上下揺動可能に取り付けられる,車両用電動パワーユニットにおいて,前記伝動ケースに,その下部から前方へ延出して前記電動モータの下面に対向するスイングアームの後端部を固設し,このスイングアームの前端部をピボットを介して前記車体フレームに回動自在に連結したことを第1の特徴とする。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記伝動ケースが,前記電動モータを支持しつゝ前記1次減速ギヤ列を収容する第1ギヤケース部と,この第1ギヤケース部の後部に連結されて前記プロペラシャフトを収容するシャフトケース部と,前記2次減速ギヤ列○を収容する第2ギヤケース部○とを備え,前記第1ギヤケース部の下部に前記スイングアームの後端部を固設したことを第2の特徴とする。
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記伝動ケースの下部にアーム取り付け部を形成し,このアーム取り付け部に前記スイングアームの後端部を着脱可能に連結したことを第3の特徴とする。
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記ギヤケース部を,前記電動モータを支持する前ケース半体と,この前ケース半体の後端に分離可能に接合されて前記シャフトケース部の前端に連なる後ケース半体とで構成し,これら前ケース半体及び後ケース半体の一方に前記スイングアームを一体成形したことを第4の特徴とする。
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記第1ギヤケース部及び前記シャフトケース部間を分離可能に連結し,前記第1ギヤケース部に前記スイングアームを一体成形したことを第5の特徴とする。
さらにまた本発明は,第1〜第5の特徴の何れかに加えて,前記スイングアームを,前記ピボットに支持される左右一対のピボットボス部と,これらボス部の後部間を一体に連結するクロスメンバ部と,このクロスメンバ部から後方へ突設されて前記伝動ケースに固設される左右一対のアーム部とで構成し,前記アーム部及びクロスメンバ部間に水平方向に広がって電動モータの下面に対向する補強リブを形成したことを第6の特徴とする。
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,前記電動モータを,そのロータ軸の軸線が,前記プロペラシャフトの軸線の上方にくるように配置したことを第7の特徴とする。
本発明の第1特徴によれば,伝動ケースに,その下部から前方へ延出して電動モータの下面に対向するスイングアームの後端部を固設し,このスイングアームの前端部をピボットを介して車体フレームに回動自在に連結したので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減や電動モータの位置変更を要求された場合には,スイングアームの長さや形状を変更するのみで,ピボット及びリヤアクスル間の軸間距離を増減し,あるいは電動モータの位置を変更することができ,したがって伝動ケース及びその内部の伝動部材等には変更を加えずに済み,新規の車両用電動パワーユニットを比較的安価に提供することができる。しかも,スイングアームは,伝動ケースの下部から前方へ延出して電動モータの下面に対向するので,路面からの飛石から電動モータを保護する保護部材の役割を果たすことができる。
本発明の第2の特徴によれば,伝動ケースが,電動モータを支持しつゝ1次減速ギヤ列を収容する第1ギヤケース部と,この第1ギヤケース部の後部に連結されてプロペラシャフトを収容するシャフトケース部と,2次減速ギヤ列○を収容する第2ギヤケース部○とを備え,第1ギヤケース部の下部にスイングアームの後端部を固設したので,スイングアームを,伝動ケース中,最前部に位置する第1ギヤケース部の下部に固設することにより,スイングアームの長さを極力短くして,電動パワーユニットの軽量化を図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,伝動ケースの下部にアーム取り付け部を形成し,このアーム取り付け部にスイングアームの後端部を着脱可能に連結したので,適用車両の仕様変更時には,スイングアームを長さや形状の異なるものと交換すれば足り,新規の電動パワーユニットを,より安価に提供することができる。
本発明の第4の特徴によれば,第1ギヤケース部を,電動モータを支持する前ケース半体と,この前ケース半体の後端に分離可能に接合されてシャフトケース部の前端に連なる後ケース半体とで構成し,これら前ケース半体及び後ケース半体の一方にスイングアームを一体成形したので,スイングアーム及び前ケース半体,又はスイングアーム及び後ケース半体の一体化により,構造の簡素化を図ると共に,スイングアーム及びそれに一体に連なるケース半体間の連結強度を高めることができる。特に,後ケース半体から分離した前ケース半体は比較的小部品であるので,スイングアーム及び前ケース半体を一体化する場合には,スイングアームの長さや形状の変更に応じて小部品の前ケース半体を成形する金型に変更を加えるだけで済み,その変更費用は比較的安く,新規の電動パワーユニットのコスト低減に寄与し得る。
本発明の第5の特徴によれば,第1ギヤケース部及び前記シャフトケース部間を分離可能に連結し,第1ギヤケース部にスイングアームを一体成形したので,第1ギヤケース部とスイングアームとの一体化により構造の簡素化と共に,スイングアーム及び第1ギヤケース部間の連結強度を高めることができ,またシャフトケース部から分離した,第1ギヤケース部は比較的小部品であるので,それと一体のスイングアームの長さや形状の変更に応じて第1ギヤケース部を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は比較的安く済み,新規の電動パワーユニットのコスト低減に寄与し得る。
本発明の第6の特徴によれば,スイングアームを,ピボットに支持される左右一対のピボットボス部と,これらボス部の後部間を一体に連結するクロスメンバ部と,このクロスメンバ部から後方へ突設されて伝動ケースに固設される左右一対のアーム部とで構成し,アーム部及びクロスメンバ部間に水平方向に広がって電動モータの下面に対向する補強リブを形成したので,スイングアームの剛性と軽量化を図りつゝ,電動モータの下面に対するスイングアームの対向面積を広め,電動モータを効果的に保護することができる。
本発明の第7の特徴によれば,電動モータを,そのロータ軸の軸線が,プロペラシャフトの軸線の上方にくるように配置したので,電動モータの地上高を充分に確保することができ,路面から飛散する泥水,土砂が電動モータに掛かり難くなる。
本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の側面図。 上記自動二輪車の要部平面図。 図1の3矢視から見た,上記自動二輪車における電動パワーユニットの正面図。 上記自動二輪車の底面図。 図1の5−5線拡大断面図。 図1の6−6線拡大断面図。 スイングアームを上方から見た斜視図。 同スイングアームを下方から見た斜視図。 同スイングアームの隣接部材への取り付け状態を示す斜視図。 本発明の第2実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第3実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第4実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第5実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第6実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第7実施形態を示す,自動二輪車の要部側面図。 本発明の第8実施形態を示す,図5との対応図。 同第8実施形態を示す,自動二輪車の要部側面図。 本発明の第9実施形態を示す,自動二輪車の要部側面図。
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
先ず,図1〜図9に示す本発明の第1実施形態の説明より始める。図1〜図4において,車両としてのスクータ型自動二輪車Vは,車体フレーム1と,この車体フレーム1前端部のヘッドパイプ1aに操向可能に連結されて前輪3を支持するフロントフォーク2と,車体フレーム1の後方下部にピボット57を介して上下揺動可能に取り付けられて後輪4を支持すると共に,それを駆動する電動パワーユニットPとを備え,この電動パワーユニットP及び車体フレーム1間に,電動パワーユニットPの上下揺動を緩衝するクッションユニット5が介装される。
図5に示すように,前記電動パワーユニットPは,ロータ軸10aを自動二輪車Vの前後方向へ向けて配置される電動モータ10と,この電動モータ10のロータ軸10aと平行に配置されるプロペラシャフト11と,このプロペラシャフト11に対して直角且つ水平に配置されるリヤアクスル12と,ロータ軸10aの出力を減速してプロペラシャフト11に伝達する1次減速ギヤ列13と,プロペラシャフト11の出力をリヤアクスル12に減速して伝達する2次減速ギヤ列14と,電動モータ10を支持しつゝ1次減速ギヤ列13,プロペラシャフト11及び2次減速ギヤ列14を収容する伝動ケース19とを備えている。
上記1次減速ギヤ列13は,ロータ軸10aの後端部に固着されるスパードライブギヤ15と,このスパードライブギヤ15と噛合すべくプロペラシャフト11の前端部に固着されるスパードリブンギヤ16とで構成される。
また2次減速ギヤ列14は,プロペラシャフト11の後端部に一体形成されるベベルドライブギヤ17と,このベベルドライブギヤ17と噛合すべくリヤアクスル12に一体形成されるされるベベルドリブンギヤ18とで構成される。プロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17は鍛造により,またリヤアクスル12及びベベルドリブンギヤ18も鍛造により,それぞれ一個の部品に成形される。
上記伝動ケース19は,前記1次減速ギヤ列13を収容する第1ギヤケース部20と,この第1ギヤケース部20の後部に連結されて前記プロペラシャフト11を収容するシャフトケース部21と,このシャフトケース部21の後端に一体に連設されて前記2次減速ギヤ列14を収容する第2ギヤケース部22とで構成され,シャフトケース部21の前端面には,第1ギヤケース部20内に向かって開口する第1開口部23が,また第2ギヤケース部22の一側面には,後輪4に向かって開口する第2開口部24がそれぞれ設けられる。
また第1ギヤケース部20は,電動モータ10を支持する蓋状の前ケース半体25と,この前ケース半体25の後端面に分離可能に接合される後ケース半体26とで構成される。その後ケース半体26は,1次減速ギヤ列13を囲む周壁26aと,この周壁26aの後端部をシャフトケース部21の前端部に一体に連結する後側壁26bとより箱形に形成され,その周壁26aの前端部に前ケース半体25がボルト27により結合される。そして前ケース半体25の前端面に電動モータ10のステータ10bがボルト28で固着される。その際,電動モータ10のロータ軸10aを後輪4の回転中心面を含む鉛直面A上に極力近づけるべく,第1ギヤケース部20は,シャフトケース部21から後輪4の前面側に張り出すように配置される。
前記シャフトケース部21及び第2ギヤケース部22は,Al合金を素材としてダイカスト鋳造により一体成形され,一個の部品とされる。その際,望ましくは前記後ケース半体26もシャフトケース部21等と一体成形される。
シャフトケース部21の後端部には,後部側から環状の前向き肩部30,第1ベアリングハウジング31及びねじ孔32が形成され,上記第1ベアリングハウジング31には,プロペラシャフト11の後端部を支承する第1ボールベアリング33のアウタレース33aが嵌装され,またねじ孔32には,上記アウタレース33aを前向き肩部30との間で挟持するリングナット34が螺着される。また第1ボールベアリング33のインナレース33bと前記ベベルドライブギヤ17との間には第1シム35が介装され,この第1シム35を介してベベルドライブギヤ17を上記インナレース33bに所定のセット荷重で押圧保持するためのコイルばね36が,上記インナレース33bの前端面と,それの前方でプロペラシャフト11にサークリップ42を介して係止される環状のリテーナ37との間に縮設される。
上記ベベルドライブギヤ17付きのプロペラシャフト11,第1ボールベアリング33,リングナット34,第1シム35及びコイルばね36は,前記第1開口部23からシャフトケース部21内に挿入される。その挿入を可能にすべく,第1ボールベアリング33の外径は,第1開口部23の内径より小さく,ベベルドライブギヤ17の最大外径は,第1ボールベアリング33のアウタレース33aが当接する前向き肩部30の内径より小さく設定される。
また第1開口部23には,プロペラシャフト11の前部を支承する第2ボールベアリング38を保持するベアリングホルダ39がシール部材40を介して嵌装され,このベアリングホルダ39の第1取り付けフランジ39aがボルト41により第1ギヤケース部20の後側壁26bに締結される。そしてベアリングホルダ39の前方に突出したプロペラシャフト11の前端部に前記1次減速ギヤ列13のスパードリブンギヤ16が取り付けられる。尚,第1及び第2ギヤケース部20,22の内部を油密にすべく,第1及び第2ボールベアリング33,38はシール付きとすることが望ましい。
一方,第2ギヤケース部22の内側壁には第2ベアリングハウジング45が形成され,これにリヤアクスル12の内端部を支承するボールベアリング46が嵌装される。上記ボールベアリング46,ベベルドリブンギヤ18付きのリヤアクスル12は,前記第2開口部24から第2ギヤケース部22内に挿入される。その挿入を可能にすべく,ベベルドリブンギヤ18の最大外径は,第2開口部24の内径より小さく設定される。
また上記第2開口部24には,リヤアクスル12を支承する一対のボールベアリング47,47を保持するリヤアクスルホルダ48の一端部がシール部材49を介して嵌装され,このリヤアクスルホルダ48の第2取り付けフランジ48aが前記第2開口部24周りの第2ギヤケース部22端面にボルト50により締結される。
リヤアクスルホルダ48には,前記一対のボールベアリング47,47の外側のアウタレース47aの外端に当接する環状の内向き肩部48bが設けられる。一方,リヤアクスル12の,第2ギヤケース部22外に突出する部分は,ベベルドリブンギヤ18側から大径軸部12a,この大径軸部12aの外端に段部12bを介して連なる小径軸部12c及びこの小径軸部12cの外端に連なる,それと略同径のスプライン軸部12d及び,このスプライン軸部12dの外端に連なる,それより小径のねじ軸部12eよりなっており,その大径軸部12aの外周に前記シール部材49に密接し,小径軸部12cに前記一対のボールベアリング47,47の各インナレース47bが嵌装され,段部12bと,内側のボールベアリング47のインナレース47bとの間に第2シム51が介装される。さらにスプライン軸部12dには後輪4のハブ4aがスプライン嵌合され,このハブ4aを前記一対のボールベアリング47,47の各インナレース47b及び第2シム51と共に段部12bに押圧保持すべく,ねじ軸部12eにナット52が螺着される。
またリヤアクスル12の内端部を支承するボールベアリング46のインナレースと,それに隣接するリヤアクスル12の段部12fとの間に第3シム53が嵌装される。上記第1,第2及び第3シム35,51,53は,噛合するベベルドライブギヤ17及びベベルドリブンギヤ18間のバックラッシュを適正にするように,それぞれの厚みが予め選定される。
後輪4には,スポーク4b及びハブ4a間を連結するブレーキドラム54が設けられており,そのブレーキドラム54の開口部に臨むブレーキパネル55が前記リヤアクスルホルダ48に一体に形成され,このブレーキパネル55には,ブレーキドラム54の内周面に摩擦による制動力を付与するブレーキシュー(図示せず)が取り付けられる。
図1,図4,図6〜図9において,前記第1ギヤケース部20の後ケース半体26には,その下面より突出するアーム取り付け部63が一体に形成され,このアーム取り付け部63には,その前方へ延びて前記電動モータ10の下面に対向するスイングアーム56の後端部が着脱可能に固着され,このスイングアーム56の前端部は,車体フレーム1の中央下部に車幅方向に沿って取り付けられるピボット57に回動自在に支持される。
図6〜図9により,上記スイングアーム56及びその周辺の構造について詳細に説明すると,先ず前記アーム取り付け部63には,車幅方向へ延びる位置決め孔64と,この位置決め孔64と平行にしてその周囲に並ぶ複数のねじ孔65,65とが設けられる。
一方,前記スイングアーム56は,左右一対のピボットボス部66,66と,これらピボットボス部66,66の後部間を一体に連結するクロスメンバ部67と,このクロスメンバ部67から後方へ突設される左右一対のアーム部68,68とで構成され,一方のアーム部68は,同側のピボットボス部66,66に近接して配置され,他方のアーム部68は,クロスメンバ部67の中間部に配置され,その両アーム部68,68は,その間に前記アーム取り付け部63を受け入れるようになっている。この両アーム部68,68には,前記位置決め孔64と同軸上に配置される位置決め孔64′と,前記複数のねじ孔65,65に対応する複数のボルト孔65′,65′が設けられ,相対応する位置決め孔64,64′にノックピン69を圧入し,各ボルト孔65′に挿通したボルト70を対応するねじ孔65に螺合緊締することにより,アーム部68,68はアーム取り付け部63に固着される。
また左右のピボットボス部66,66には,ゴムブッシュ72付きの軸受カラー73がそれぞれ装着され,その軸受カラー73に前記ピボット57が嵌挿される。こうして,スイングアーム56はピボット57に上下揺動可能且つ緩衝的に支持される。
またスイングアーム56には,アーム部68,68及びクロスメンバ部67間に水平方向に広がって電動モータ10の下面に対向する補強リブ74が形成される。さらに左右のピボットボス部66,66に近接してスイングアーム56の下面より突出する左右一対のスタンドボス部75,75が形成され,これらスタンドボス部75,75にスタンド58が支軸76を介して起立及び格納可能に連結される。上記スイングアーム56は,図示例では鋳造により一体成形されるが,鋼板製とすることもできる。
再び図1において,第2ギヤケース部22の上面には,クッションブラケット59が一体に突設され,車体フレーム1後部に後端部を連結したクッションユニット5の下端部が上記クッションブラケット59に連結され,このクッションユニット5により電動パワーユニットPが上下揺動が緩衝されるようになっている。
而して,電動パワーユニットPの自動二輪車Vへの搭載状態では,図2〜図4に示すように,電動モータ10及び第1ギヤケース部20は,後輪4の前方に,シャフトケース部21及び第2ギヤケース部22は,後輪4の一側方にそれぞれ配置される。そして電動モータ10のロータ軸10aの軸線rは,プロペラシャフト11の軸線pに対して,後輪4の回転中心面Aに向かって斜め上方へオフセット配置される。したがって,ロータ軸10aの軸線rは,プロペラシャフト11の軸線pに対して後輪4の回転中心面A側へ距離aだけオフセットし,またプロペラシャフト11の軸線pの上方へ距離bだけオフセットすることになる。
次に,この第1実施形態の作用について説明する。
電動パワーユニットPにおいて,電動モータ10を作動すると,そのロータ軸10aの出力は,1次減速ギヤ列13により減速されてプロペラシャフト11に伝達され,次いで2次減速ギヤ列14を介して再度減速されてリヤアクスル12へ伝達され,後輪4を駆動し,自動二輪車Vを走行させることができる。
この電動パワーユニットPにおいて,伝動ケース19を,電動モータ10を支持しつゝ1次減速ギヤ列13を収容する第1ギヤケース部20と,この第1ギヤケース部20の後側壁に連結されてプロペラシャフト11を収容するシャフトケース部21と,このシャフトケース部21の後部に一体に連設されて2次減速ギヤ列14を収容する第2ギヤケース部22とで構成する一方,2次減速ギヤ列14を,プロペラシャフト11の後端に固設されるベベルドライブギヤ17と,リヤアクスル12に固設されてベベルドライブギヤ17と噛合するベベルドリブンギヤ18とで構成し,シャフトケース部21の前端には,プロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17をシャフトケース部21に挿入するためと,プロペラシャフト11の後部を支持する第1ボーベアリング33をシャフトケース部21に装着するための第1開口部23を設け,また第2ギヤケース部22の一側部には,ベベルドリブンギヤ18を第2ギヤケース部22に挿入するためと,リヤアクスルの内端部を支承するボールベアリング46を第2ギヤケース部22に装着するためと,リヤアクスル12の中間部を支承するボールベアリング47,47を保持するリヤアクスルホルダ48を装着するための第2開口部24を設けたことで,プロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17の一体化,並びにシャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の一体化を可能にしながら,第1及び第2開口部23,24からプロペラシャフト11及び2次減速ギヤ列14の伝動ケース19への組み付けを容易に行うことができ,しかもシャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の一体化により伝動ケース19の剛性が強化し,伝動ケース19の薄肉化,延いてはその軽量化が可能となる。またシャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の一体化,並びにプロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17の一体化により部品点数が削減され,シャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の鋳造による一体成形と相俟ってコストの低減を図ることができる。
また前記第1開口部23に,プロペラシャフト11の前部を支持する第2ボールベアリング38を保持するベアリングホルダ39を装着したことで,プロペラシャフト11の支持をシャフトケース部21内で完成させることができ,その後の1次減速ギヤ列13の組み立てを容易に行うことができるのみならず,第1及び第2ボールベアリング33,38の同軸精度を容易に確保できる。
また第1ギヤケース部20を,シャフトケース部21の前端に連結される後側壁26b及び,この後側壁26bの周囲に一体に連設されて1次減速ギヤ列13を囲む周壁26aよりなる後ケース半体26と,前記周壁26aの前端に分離可能に接合されて電動モータ10を支持する前ケース半体25とで構成したことで,電動モータ10の仕様変更時には,その変更に合わせて単純形状の前ケース半体25のみを設計変更すればよく,伝動ケース19の大幅な設計変更は必要がなく,電動モータ10の仕様変更に安価に対応可能である。その際,後ケース半体26をシャフトケース部21と一体成形すれば,伝動ケース19の分割面を少なくして,伝動ケース19の剛性強化及び部品点数の削減を図ることができる。
また第1ギヤケース部20は,シャフトケース部21から後輪4の前面側に張り出すように配置され,電動モータ10のロータ軸10aを後輪4の回転中心面を含む鉛直面A上に極力近づけているので,重量物の電動モータ10は後輪4の略直前に位置すると共に,スイングアーム56を車体フレーム1に支持するピボット57に近づくことになり,これにより車両の走行安定性を高めると共に,ピボット57周りの,後輪4を含む電動パワーユニットPの慣性モーメントを極力小さく抑え,リヤクッションユニット5の荷重負担を少なくすることができる。
しかもプロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17は,鍛造等により一体成形されて一部品となり,またリヤアクスル12及びベベルドリブンギヤ18も,鍛造等により一体成形して一部品となっているので,電動パワーユニットPの部品点数及び組立工数が削減され,コストの低減を図ることができのみならず,トルク容量の増大を図ることができる。
さらに伝動ケース19はAl合金製,プロペラシャフト11は鋼製とされ,1次減速ギヤ列13は,スパードライブギヤ15及びスパードリブンギヤ16で構成されるので,環境温度変化に伴ない伝動ケース19及びプロペラシャフト11の長手方向に熱膨張差が生じても,その差は,スパードライブギヤ15及びスパードリブンギヤ16の噛合部の軸方向の僅かなずれにより吸収されることになり,伝動ケース19やプロペラシャフト11の支持部に無用な応力が発生することを回避して,常にスムーズな動力伝達を確保することができる。
ところで,伝動ケース19には,その下部から前方へ延出して電動モータ10の下面に対向するスイングアーム56の後端部を固設し,このスイングアーム56の前端部をピボット57を介して車体フレーム1に回動自在に連結したので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減や電動モータ10の位置変更を要求された場合には,スイングアーム56の長さや形状を変更するのみで,ピボット57及びリヤアクスル12間の軸間距離,したがってホイールベースLを増減し,あるいは電動モータ10の位置を変更することができる。したがって,伝動ケース19及びその内部の伝動部材には変更を加えずに済み,新規の電動パワーユニットPを比較的安価に提供することができる。また電動モータ10の容量変更時にも,伝動ケース19及びその内部の伝動部材には変更を加えずに済む。
その際,スイングアーム56を,伝動ケース19中,最前部に位置する第1ギヤケース部20の下部に固設することにより,スイングアーム56の長さを極力短くして,電動パワーユニットPの軽量化を図ることができる。
さらに,伝動ケース19の下部にアーム取り付け部63を形成し,このアーム取り付け部63にスイングアーム56の後端部を着脱可能に連結することにより,前記仕様の変更時には,スイングアーム56を長さや形状の異なるものと交換すれば足り,新規の電動パワーユニットPを,より安価に提供することができる。
しかも,スイングアーム56は,伝動ケース19の下部から前方へ延出して電動モータ10の下面に対向することで,路面の突起部や飛石から電動モータ10を保護することができる。即ち,電動モータ10に対する保護部材の役割を果たすことができる。
特に,スイングアーム56を,ピボット57に支持される左右一対のピボットボス部66,66と,これらピボットボス部66,66の後部間を一体に連結するクロスメンバ部67と,このクロスメンバ部67から後方へ突設されて伝動ケース19に固設される左右一対のアーム部68,68とで構成し,アーム部68,68及びクロスメンバ部67間に水平方向に広がって電動モータ10の下面に対向する補強リブ74を形成したことにより,スイングアーム56の剛性と軽量化を図りつゝ,電動モータ10の下面に対するスイングアーム56の対向面積を広め,電動モータ10を効果的に保護することができる。
また後輪4の一側方において自動二輪車Vの前後方向に沿って配置されるプロペラシャフト11の軸線pに対して,電動モータ10のロータ軸10aの軸線rを後輪4の回転中心面A側へオフセットしたことで,電動パワーユニットPの重心を後輪4の回転中心面Aに極力近づけることができ,自動二輪車Vの走行安定性を図ることができる。さらにプロペラシャフト11の軸線pに対して電動モータ10のロータ軸10aの軸線rを上方へオフセットしたことで,電動モータ10の地上高hを充分に確保することができ,路面から飛散する泥水,土砂が電動モータ10にかかり難くなる。
次に,図10に示す本発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態では,第1ギヤケース部20を構成する前ケース半体25は周壁25aと,その前端に一体に形成される前側壁25bとで構成される。蓋状の後ケース半体26は,シャフトケース部21に一体に連設されると共に,周壁25aの後端にボルト27で分離可能に固着される。その他の構成は,第1実施形態と同様の構成であり,図10中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
次に,図11に示す本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態は,第1ギヤケース部20の蓋状の後ケース半体26をシャフトケース部21の前端面にボルト41により接合するようにし,その後ケース半体26にベアリングホルダ39を一体に形成したもので,その他の構成は前記第2実施形態と同様であるので,図11中,第2実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第3実施形態によれば,第1ギヤケース部20及びシャフトケース部21間を分離したことで,それぞれの形状が単純化して,それぞれの成形を容易に行うことができ,しかも第1ギヤケース部20とベアリングホルダ39との一体化により部品点数の増加を抑えることができる。
次に,図12に示す本発明の第4実施形態について説明する。
この第4実施形態は,第1ギヤケース部20の蓋状の前ケース半体25に形成したベアリングハウジング60に,プロペラシャフト11の前端部を支持する第2ベアリング38を装着し,シャフトケース部21の第1開口部23には,第1ギヤケース部20内からシャフトケース部21への潤滑オイルの無用な移行を防ぐシール部材62を装着したもので,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であるので,図12中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第4実施形態によれば,ロータ軸10a及びプロペラシャフト11の軸間距離の精度が向上し,1次減速ギヤ列13の噛み合い精度を向上させることができ,また1次減速ギヤ列13のスパードリブンギヤ16の支持が両持ち式となり,その傾きを防ぐことができる。さらにプロペラシャフト11を支持する第1及び第2ボールベアリング33,38間の距離を最大にして,プロペラシャフト11の支持剛性を高めることができる。
次に,図13に示す本発明の第5実施形態について説明する。
この第5実施形態は,電動モータ10のロータ軸10aと,1次減速ギヤ列13のスパードライブギヤ15との間に,ロータ軸10aの回転数上昇に応じて接続状態となる遠心クラッチ78を介装した点,プロペラシャフト11の前部を支承する第2ボールベアリング38,及びそれに隣接するシール部材79をシャフトケース部21の第1開口部23に直接装着した点,第1ギヤケース部20の前ケース半体25とプロペラシャフト11の前端部との間に,2次減速ギヤ列14から受けるスラスト荷重を受けるスラストベアリング81を介装した点,並びに2次減速ギヤ列14のベベルドライブギヤ17の後端面よりプロペラシャフト11の後端部を突出させ,その後端部を支承する第1ボールベアリング33を,第2ギヤケース部22に形成されて前向きに開口するベアリングハウジング80に装着した点を除けば,前記第1実施形態と略同様の構成であり,図13中,第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。この第5実施形態においても,プロペラシャフト11の後端部を支承する第1ボールベアリング33は,シャフトケース部21の第1開口部23よりベアリングハウジング80に装着される。
次に,図14に示す本発明の第6実施形態について説明する。
この第6実施形態では,第1ギヤケース部20内を油密にするため,第2ボールベアリング38の後側に隣接してプロペラシャフト11の外周面にシールリップを密接するオイルシール83がベアリングホルダ39に装着され,また第1ボールベアリング33のインナレース33bを固定するため,前記第1実施形態のコイルばね36に代えて,該インナレース33bを第1シム35と共にベベルドライブギヤ17の前端面に押圧するナット84がプロペラシャフト11に螺着され,さらに第2ギヤケース部22内を油密するため,シャフトケース部21の後部内周面に密接するOリング85と,プロペラシャフト11の外周面にシールリップを密接するオイルシール86とがリングナット34に装着される。
以上において,リングナット34は,シャフトケース部21の雌ねじ21aに螺合される雄ねじ部34aと,この雄ねじ部34aの後端に連設されて前記第1ボールベアリング33のアウタレース33aを押える,雄ねじ部34aより小径の押え筒部34bと,雄ねじ部34aの前端に連設される,雄ねじ部34aより大径の鍔部34cとよりなっており,その鍔部34cの外周溝に前記Oリング85が装着される。またリングナット34の内周には,前記オイルシール86の前端を押さ得る環状突起34dが形成され,この環状突起34dは,オイルシール86を装着したリングナット34を前記ねじ孔32に螺合するとき,オイルシール86を前方より押圧してプロペラシャフト11の後記シール部11c上へとセットする役割を果たす。
プロペラシャフト11には,前記第1ボールベアリング33のインナレース33bが嵌装されるベアリング嵌装部11a,前記ナット84が螺合される雄ねじ部11b,オイルシール86のシールリップが密接するシール部11c,及びこのシール部11cより前方へ延びる長軸部11dが順次縮径するように形成され,シール部11c及び長軸部11d間には,テーパ状のガイド段部11eが設けられる。したがって,長軸部11dは,オイルシール86の内径より小径となるので,リングナット34に装着したオイルシール86を長軸部11dの前端よりシール部11c上へとセットする際,オイルシール86のシールリップが長軸部11dにより損傷を受けることを防ぐことができる。しかも,オイルシール86は,シール部11cに装着される際には,テーパ状のガイド段部11eによりシールリップが徐々に拡径されつゝ装着されるので,シールリップを損傷することなくシール部11cに容易に装着することができる。
またシャフトケース部21の内周面には,リングナット34の雄ねじ部34aが螺合されるねじ孔32,リングナット34の鍔部34cが嵌合されると共にOリング85が密接するシール部21a,及び鋳抜き勾配が付される空洞部21bが順次拡径するように形成され,シール部21a及び空洞部21b間には,テーパ状のガイド段部21cが設けられる。したがって,リングナット34の雄ねじ部34aの,シャフトケース部21のねじ孔32への螺合に際しては,雄ねじ部34aを空洞部21b及びシール部21aと干渉させることなく,ねじ孔32へスムーズに螺合させることができる。またOリング85も,テーパ状の段部21cに案内させてシール部21aへと容易,的確に到達させることができ,Oリング85の損傷を防ぐことができる。
而して,前記ベアリングホルダ39,リングナット34及びオイルシール83,86等の使用により,第1及び第2ギヤケース部20,22からシャフトケース部21内への潤滑オイルの流入を防ぎ,シャフトケース部21内をドライにすることで,潤滑オイルを第1及び第2ギヤケース部20,22のみに貯留させるに留めて伝動ケース19における潤滑オイルの使用量を最小限に抑えることができると共に,車両の加,減速時や登,降坂時,第1及び第2ギヤケース部20,22における潤滑オイルの油面変動を少なくすることができる。
その他のの構成は,前記第1実施形態と同様の構成であり,図14中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
次に,図15示す本発明の第7実施形態について説明する。
この第7実施形態は,図1及び図5に示す第1実施形態とは反対に,第1ギヤケース部20の前ケース半体25を箱形に形成し,その後ケース半体26を蓋状に形成し,前ケース半体25にスイングアーム56を鋳造により一体成形したもので,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であり,図15中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第7実施形態によれば,箱形で高剛性の前ケース部26とスイングアーム56との一体化により構造の簡素化と共に,スイングアーム56及び前ケース部26間の連結強度を高めることができ,また後ケース半体26から分離した,スイングアーム56付きの前ケース半体25は比較的小部品であるので,スイングアーム56の長さや形状の変更に応じてスイングアーム56付きの前ケース半体25を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は比較的安く済み,新規の電動パワーユニットPのコスト低減に寄与し得る。
次に,図16及び図17に示す本発明の第8実施形態について説明する。
この第8実施形態は,第1ギヤケース部20の前ケース半体25を蓋状に,後ケース半体26を箱形にそれぞれ形成し,その後ケース半体26をシャフトケース部21の前端面にボルト41により分離可能に接合するようにし,この後ケース半体26に,前記ベアリングホルダ39と前記スイングアーム56を鋳造により一体成形したもので,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であり,図16及び図17中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第8実施形態においても,箱形で高剛性の後ケース半体26とスイングアーム56との一体化により構造の簡素化と共に,スイングアーム56及び後ケース半体26間の連結強度を高めることができ,またシャフトケース部21から分離した,スイングアーム56付きの後ケース半体26は比較的小部品であるので,スイングアーム56の長さや形状の変更に応じてスイングアーム56付きの後ケース半体26を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は比較的安く済み,新規の電動パワーユニットPのコスト低減に寄与し得る。
最後に,図18に示す本発明の第9実施形態について説明する。
この第9実施形態は,第1ギヤケース部20の蓋状の前ケース半体25にスイングアーム56を鋳造により一体成形したもので,その他の構成は,図17の第8実施形態と同様であり,図18中,第8実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第9実施形態によれば,蓋状でスイングアーム56付きの前ケース半体25は,より小部品となるので,スイングアーム56の長さや形状の変更に応じてスイングアーム56付きの後ケース半体26を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は,より安価となり,新規の電動パワーユニットPのコスト低減に一層寄与し得る。しかも前ケース半体25は蓋状であっても,これに取り付けられる電動モータ10によって剛性が強化されるので,スイングアーム56を強度上支障なく支持することができる。
以上,本発明の好適実施例について説明したが,本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,前記第1ギヤケース部20を前後対称的に分割することもできる。また前記スパードライブギヤ15及びスパードリブンギヤ16に代えてヘリカルギヤを用いることもでき,前記ベベルドライブギヤ17及びベベルドリブンギヤ18に代えてフェースギヤやハイポイドギヤを用いることもできる。また前記ボールベアリング33,38,46,47に代えて,他の形式のベアリング,例えばプレーンベアリング,アンギュラコンタクトベアリング,ローラベアリングを用いることもできる。さらに本発明は,リヤアクスル12を伝動ケース19の左右外側方に突出させて,その両端部に一対の後輪を取り付けてなる自動三輪車又は四輪車にも適用可能である。
P・・・・電動パワーユニット
V・・・・車両(自動二輪車)
p・・・・プロペラシャフトの軸線
r・・・・ロータ軸の軸線
1・・・・車体フレーム
10・・・電動モータ
10a・・ロータ軸
11・・・プロペラシャフト
12・・・リヤアクスル
13・・・1次減速ギヤ列
14・・・2次減速ギヤ列
19・・・伝動ケース
20・・・第1ギヤケース部
21・・・シャフトケース部
22・・・第2ギヤケース部
25・・・前ケース半体
26・・・後ケース半体
56・・・スイングアーム
57・・・ピボット
63・・・アーム取り付け部
66・・・ピボットボス部
67・・・クロスメンバ部
68・・・アーム部
74・・・補強リブ
本発明は,電動モータと,この電動モータのロータ軸と平行に,且つ車両の前後方向に沿って配置されるプロペラシャフトと,このプロペラシャフトに対して直角に配置されて車両の後輪を駆動するリヤアクスルと,前記ロータ軸の出力を前記プロペラシャフトの前部に減速して伝達する1次減速ギヤ列と,前記プロペラシャフトの出力を,その後部から前記リヤアクスルに減速して伝達する2次減速ギヤ列と,前記電動モータを支持しつゝ,前記プロペラシャフト,1次減速ギヤ列及び2次減速ギヤ列を収容する伝動ケースとを備えてなり,その伝動ケースが車両の車体フレームに上下揺動可能に取り付けられる,車両用電動パワーユニットの改良に関する。
かゝる車両用電動パワーユニットは,下記特許文献1及び2に開示されるように,既に知られている。
特開平5−213253号公報 特開平5−105160号公報
上記特許文献1及び2記載のものでは,伝動ケースの前部に,車両の車体フレームに取り付けられるピボットに回動自在に支持されるピボット孔を設けているので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減を要求される場合や,電動モータの位置の変更を要求される場合には,それに対応してピボットによる伝動ケースの支持位置を変更する必要があるため,伝動ケースのみならず,その内部の伝動部材に大幅な設計変更が必要となり,電動パワーユニットのコストの低減が困難となる。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減や電動モータの位置変更を要求される場合でも,コストの上昇を極力抑えるべく,伝動ケースや内部の伝動部材に変更を加えることなく,上記要求に容易に対応することができ,しかも電動モータを路面の突起物や飛石等から保護し得る前記車両用電動パワーユニットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,電動モータと,この電動モータのロータ軸と平行に,且つ車両の前後方向に沿って配置されるプロペラシャフトと,このプロペラシャフトに対して直角に配置されて車両の後輪を駆動するリヤアクスルと,前記ロータ軸の出力を前記プロペラシャフトの前部に減速して伝達する1次減速ギヤ列と,前記プロペラシャフトの出力を,その後部から前記リヤアクスルに減速して伝達する2次減速ギヤ列と,前記電動モータを支持しつゝ,前記プロペラシャフト,1次減速ギヤ列及び2次減速ギヤ列を収容する伝動ケースとを備えてなり,その伝動ケースが車両の車体フレームに上下揺動可能に取り付けられる,車両用電動パワーユニットにおいて,前記伝動ケースに,その下部から前方へ延出して前記電動モータの下面に対向するスイングアームの後端部を固設し,このスイングアームの前端部をピボットを介して前記車体フレームに回動自在に連結したことを第1の特徴とする。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記伝動ケースが,前記電動モータを支持しつゝ前記1次減速ギヤ列を収容する第1ギヤケース部と,この第1ギヤケース部の後部に連結されて前記プロペラシャフトを収容するシャフトケース部と,前記2次減速ギヤ列を収容する第2ギヤケース部とを備え,前記第1ギヤケース部の下部に前記スイングアームの後端部を固設したことを第2の特徴とする。
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記伝動ケースの下部にアーム取り付け部を形成し,このアーム取り付け部に前記スイングアームの後端部を着脱可能に連結したことを第3の特徴とする。
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記ギヤケース部を,前記電動モータを支持する前ケース半体と,この前ケース半体の後端に分離可能に接合されて前記シャフトケース部の前端に連なる後ケース半体とで構成し,これら前ケース半体及び後ケース半体の一方に前記スイングアームを一体成形したことを第4の特徴とする。
さらにまた本発明は,第2の特徴に加えて,前記第1ギヤケース部及び前記シャフトケース部間を分離可能に連結し,前記第1ギヤケース部に前記スイングアームを一体成形したことを第5の特徴とする。
さらにまた本発明は,第1〜第5の特徴の何れかに加えて,前記スイングアームを,前記ピボットに支持される左右一対のピボットボス部と,これらボス部の後部間を一体に連結するクロスメンバ部と,このクロスメンバ部から後方へ突設されて前記伝動ケースに固設される左右一対のアーム部とで構成し,前記アーム部及びクロスメンバ部間に水平方向に広がって電動モータの下面に対向する補強リブを形成したことを第6の特徴とする。
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,前記電動モータを,そのロータ軸の軸線が,前記プロペラシャフトの軸線の上方にくるように配置したことを第7の特徴とする。
本発明の第1特徴によれば,伝動ケースに,その下部から前方へ延出して電動モータの下面に対向するスイングアームの後端部を固設し,このスイングアームの前端部をピボットを介して車体フレームに回動自在に連結したので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減や電動モータの位置変更を要求された場合には,スイングアームの長さや形状を変更するのみで,ピボット及びリヤアクスル間の軸間距離を増減し,あるいは電動モータの位置を変更することができ,したがって伝動ケース及びその内部の伝動部材等には変更を加えずに済み,新規の車両用電動パワーユニットを比較的安価に提供することができる。しかも,スイングアームは,伝動ケースの下部から前方へ延出して電動モータの下面に対向するので,路面からの飛石から電動モータを保護する保護部材の役割を果たすことができる。
本発明の第2の特徴によれば,伝動ケースが,電動モータを支持しつゝ1次減速ギヤ列を収容する第1ギヤケース部と,この第1ギヤケース部の後部に連結されてプロペラシャフトを収容するシャフトケース部と,2次減速ギヤ列を収容する第2ギヤケース部とを備え,第1ギヤケース部の下部にスイングアームの後端部を固設したので,スイングアームを,伝動ケース中,最前部に位置する第1ギヤケース部の下部に固設することにより,スイングアームの長さを極力短くして,電動パワーユニットの軽量化を図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,伝動ケースの下部にアーム取り付け部を形成し,このアーム取り付け部にスイングアームの後端部を着脱可能に連結したので,適用車両の仕様変更時には,スイングアームを長さや形状の異なるものと交換すれば足り,新規の電動パワーユニットを,より安価に提供することができる。
本発明の第4の特徴によれば,第1ギヤケース部を,電動モータを支持する前ケース半体と,この前ケース半体の後端に分離可能に接合されてシャフトケース部の前端に連なる後ケース半体とで構成し,これら前ケース半体及び後ケース半体の一方にスイングアームを一体成形したので,スイングアーム及び前ケース半体,又はスイングアーム及び後ケース半体の一体化により,構造の簡素化を図ると共に,スイングアーム及びそれに一体に連なるケース半体間の連結強度を高めることができる。特に,後ケース半体から分離した前ケース半体は比較的小部品であるので,スイングアーム及び前ケース半体を一体化する場合には,スイングアームの長さや形状の変更に応じて小部品の前ケース半体を成形する金型に変更を加えるだけで済み,その変更費用は比較的安く,新規の電動パワーユニットのコスト低減に寄与し得る。
本発明の第5の特徴によれば,第1ギヤケース部及び前記シャフトケース部間を分離可能に連結し,第1ギヤケース部にスイングアームを一体成形したので,第1ギヤケース部とスイングアームとの一体化により構造の簡素化と共に,スイングアーム及び第1ギヤケース部間の連結強度を高めることができ,またシャフトケース部から分離した,第1ギヤケース部は比較的小部品であるので,それと一体のスイングアームの長さや形状の変更に応じて第1ギヤケース部を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は比較的安く済み,新規の電動パワーユニットのコスト低減に寄与し得る。
本発明の第6の特徴によれば,スイングアームを,ピボットに支持される左右一対のピボットボス部と,これらボス部の後部間を一体に連結するクロスメンバ部と,このクロスメンバ部から後方へ突設されて伝動ケースに固設される左右一対のアーム部とで構成し,アーム部及びクロスメンバ部間に水平方向に広がって電動モータの下面に対向する補強リブを形成したので,スイングアームの剛性と軽量化を図りつゝ,電動モータの下面に対するスイングアームの対向面積を広め,電動モータを効果的に保護することができる。
本発明の第7の特徴によれば,電動モータを,そのロータ軸の軸線が,プロペラシャフトの軸線の上方にくるように配置したので,電動モータの地上高を充分に確保することができ,路面から飛散する泥水,土砂が電動モータに掛かり難くなる。
本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の側面図。 上記自動二輪車の要部平面図。 図1の3矢視から見た,上記自動二輪車における電動パワーユニットの正面図。 上記自動二輪車の底面図。 図1の5−5線拡大断面図。 図1の6−6線拡大断面図。 スイングアームを上方から見た斜視図。 同スイングアームを下方から見た斜視図。 同スイングアームの隣接部材への取り付け状態を示す斜視図。 本発明の第2実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第3実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第4実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第5実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第6実施形態を示す,図5との対応図。 本発明の第7実施形態を示す,自動二輪車の要部側面図。 本発明の第8実施形態を示す,図5との対応図。 同第8実施形態を示す,自動二輪車の要部側面図。 本発明の第9実施形態を示す,自動二輪車の要部側面図。
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
先ず,図1〜図9に示す本発明の第1実施形態の説明より始める。図1〜図4において,車両としてのスクータ型自動二輪車Vは,車体フレーム1と,この車体フレーム1前端部のヘッドパイプ1aに操向可能に連結されて前輪3を支持するフロントフォーク2と,車体フレーム1の後方下部にピボット57を介して上下揺動可能に取り付けられて後輪4を支持すると共に,それを駆動する電動パワーユニットPとを備え,この電動パワーユニットP及び車体フレーム1間に,電動パワーユニットPの上下揺動を緩衝するクッションユニット5が介装される。
図5に示すように,前記電動パワーユニットPは,ロータ軸10aを自動二輪車Vの前後方向へ向けて配置される電動モータ10と,この電動モータ10のロータ軸10aと平行に配置されるプロペラシャフト11と,このプロペラシャフト11に対して直角且つ水平に配置されるリヤアクスル12と,ロータ軸10aの出力を減速してプロペラシャフト11に伝達する1次減速ギヤ列13と,プロペラシャフト11の出力をリヤアクスル12に減速して伝達する2次減速ギヤ列14と,電動モータ10を支持しつゝ1次減速ギヤ列13,プロペラシャフト11及び2次減速ギヤ列14を収容する伝動ケース19とを備えている。
上記1次減速ギヤ列13は,ロータ軸10aの後端部に固着されるスパードライブギヤ15と,このスパードライブギヤ15と噛合すべくプロペラシャフト11の前端部に固着されるスパードリブンギヤ16とで構成される。
また2次減速ギヤ列14は,プロペラシャフト11の後端部に一体形成されるベベルドライブギヤ17と,このベベルドライブギヤ17と噛合すべくリヤアクスル12に一体形成されるされるベベルドリブンギヤ18とで構成される。プロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17は鍛造により,またリヤアクスル12及びベベルドリブンギヤ18も鍛造により,それぞれ一個の部品に成形される。
上記伝動ケース19は,前記1次減速ギヤ列13を収容する第1ギヤケース部20と,この第1ギヤケース部20の後部に連結されて前記プロペラシャフト11を収容するシャフトケース部21と,このシャフトケース部21の後端に一体に連設されて前記2次減速ギヤ列14を収容する第2ギヤケース部22とで構成され,シャフトケース部21の前端面には,第1ギヤケース部20内に向かって開口する第1開口部23が,また第2ギヤケース部22の一側面には,後輪4に向かって開口する第2開口部24がそれぞれ設けられる。
また第1ギヤケース部20は,電動モータ10を支持する蓋状の前ケース半体25と,この前ケース半体25の後端面に分離可能に接合される後ケース半体26とで構成される。その後ケース半体26は,1次減速ギヤ列13を囲む周壁26aと,この周壁26aの後端部をシャフトケース部21の前端部に一体に連結する後側壁26bとより箱形に形成され,その周壁26aの前端部に前ケース半体25がボルト27により結合される。そして前ケース半体25の前端面に電動モータ10のステータ10bがボルト28で固着される。その際,電動モータ10のロータ軸10aを後輪4の回転中心面を含む鉛直面A上に極力近づけるべく,第1ギヤケース部20は,シャフトケース部21から後輪4の前面側に張り出すように配置される。
前記シャフトケース部21及び第2ギヤケース部22は,Al合金を素材としてダイカスト鋳造により一体成形され,一個の部品とされる。その際,望ましくは前記後ケース半体26もシャフトケース部21等と一体成形される。
シャフトケース部21の後端部には,後部側から環状の前向き肩部30,第1ベアリングハウジング31及びねじ孔32が形成され,上記第1ベアリングハウジング31には,プロペラシャフト11の後端部を支承する第1ボールベアリング33のアウタレース33aが嵌装され,またねじ孔32には,上記アウタレース33aを前向き肩部30との間で挟持するリングナット34が螺着される。また第1ボールベアリング33のインナレース33bと前記ベベルドライブギヤ17との間には第1シム35が介装され,この第1シム35を介してベベルドライブギヤ17を上記インナレース33bに所定のセット荷重で押圧保持するためのコイルばね36が,上記インナレース33bの前端面と,それの前方でプロペラシャフト11にサークリップ42を介して係止される環状のリテーナ37との間に縮設される。
上記ベベルドライブギヤ17付きのプロペラシャフト11,第1ボールベアリング33,リングナット34,第1シム35及びコイルばね36は,前記第1開口部23からシャフトケース部21内に挿入される。その挿入を可能にすべく,第1ボールベアリング33の外径は,第1開口部23の内径より小さく,ベベルドライブギヤ17の最大外径は,第1ボールベアリング33のアウタレース33aが当接する前向き肩部30の内径より小さく設定される。
また第1開口部23には,プロペラシャフト11の前部を支承する第2ボールベアリング38を保持するベアリングホルダ39がシール部材40を介して嵌装され,このベアリングホルダ39の第1取り付けフランジ39aがボルト41により第1ギヤケース部20の後側壁26bに締結される。そしてベアリングホルダ39の前方に突出したプロペラシャフト11の前端部に前記1次減速ギヤ列13のスパードリブンギヤ16が取り付けられる。尚,第1及び第2ギヤケース部20,22の内部を油密にすべく,第1及び第2ボールベアリング33,38はシール付きとすることが望ましい。
一方,第2ギヤケース部22の内側壁には第2ベアリングハウジング45が形成され,これにリヤアクスル12の内端部を支承するボールベアリング46が嵌装される。上記ボールベアリング46,ベベルドリブンギヤ18付きのリヤアクスル12は,前記第2開口部24から第2ギヤケース部22内に挿入される。その挿入を可能にすべく,ベベルドリブンギヤ18の最大外径は,第2開口部24の内径より小さく設定される。
また上記第2開口部24には,リヤアクスル12を支承する一対のボールベアリング47,47を保持するリヤアクスルホルダ48の一端部がシール部材49を介して嵌装され,このリヤアクスルホルダ48の第2取り付けフランジ48aが前記第2開口部24周りの第2ギヤケース部22端面にボルト50により締結される。
リヤアクスルホルダ48には,前記一対のボールベアリング47,47の外側のアウタレース47aの外端に当接する環状の内向き肩部48bが設けられる。一方,リヤアクスル12の,第2ギヤケース部22外に突出する部分は,ベベルドリブンギヤ18側から大径軸部12a,この大径軸部12aの外端に段部12bを介して連なる小径軸部12c及びこの小径軸部12cの外端に連なる,それと略同径のスプライン軸部12d及び,このスプライン軸部12dの外端に連なる,それより小径のねじ軸部12eよりなっており,その大径軸部12aの外周に前記シール部材49に密接し,小径軸部12cに前記一対のボールベアリング47,47の各インナレース47bが嵌装され,段部12bと,内側のボールベアリング47のインナレース47bとの間に第2シム51が介装される。さらにスプライン軸部12dには後輪4のハブ4aがスプライン嵌合され,このハブ4aを前記一対のボールベアリング47,47の各インナレース47b及び第2シム51と共に段部12bに押圧保持すべく,ねじ軸部12eにナット52が螺着される。
またリヤアクスル12の内端部を支承するボールベアリング46のインナレースと,それに隣接するリヤアクスル12の段部12fとの間に第3シム53が嵌装される。上記第1,第2及び第3シム35,51,53は,噛合するベベルドライブギヤ17及びベベルドリブンギヤ18間のバックラッシュを適正にするように,それぞれの厚みが予め選定される。
後輪4には,スポーク4b及びハブ4a間を連結するブレーキドラム54が設けられており,そのブレーキドラム54の開口部に臨むブレーキパネル55が前記リヤアクスルホルダ48に一体に形成され,このブレーキパネル55には,ブレーキドラム54の内周面に摩擦による制動力を付与するブレーキシュー(図示せず)が取り付けられる。
図1,図4,図6〜図9において,前記第1ギヤケース部20の後ケース半体26には,その下面より突出するアーム取り付け部63が一体に形成され,このアーム取り付け部63には,その前方へ延びて前記電動モータ10の下面に対向するスイングアーム56の後端部が着脱可能に固着され,このスイングアーム56の前端部は,車体フレーム1の中央下部に車幅方向に沿って取り付けられるピボット57に回動自在に支持される。
図6〜図9により,上記スイングアーム56及びその周辺の構造について詳細に説明すると,先ず前記アーム取り付け部63には,車幅方向へ延びる位置決め孔64と,この位置決め孔64と平行にしてその周囲に並ぶ複数のねじ孔65,65とが設けられる。
一方,前記スイングアーム56は,左右一対のピボットボス部66,66と,これらピボットボス部66,66の後部間を一体に連結するクロスメンバ部67と,このクロスメンバ部67から後方へ突設される左右一対のアーム部68,68とで構成され,一方のアーム部68は,同側のピボットボス部66,66に近接して配置され,他方のアーム部68は,クロスメンバ部67の中間部に配置され,その両アーム部68,68は,その間に前記アーム取り付け部63を受け入れるようになっている。この両アーム部68,68には,前記位置決め孔64と同軸上に配置される位置決め孔64′と,前記複数のねじ孔65,65に対応する複数のボルト孔65′,65′が設けられ,相対応する位置決め孔64,64′にノックピン69を圧入し,各ボルト孔65′に挿通したボルト70を対応するねじ孔65に螺合緊締することにより,アーム部68,68はアーム取り付け部63に固着される。
また左右のピボットボス部66,66には,ゴムブッシュ72付きの軸受カラー73がそれぞれ装着され,その軸受カラー73に前記ピボット57が嵌挿される。こうして,スイングアーム56はピボット57に上下揺動可能且つ緩衝的に支持される。
またスイングアーム56には,アーム部68,68及びクロスメンバ部67間に水平方向に広がって電動モータ10の下面に対向する補強リブ74が形成される。さらに左右のピボットボス部66,66に近接してスイングアーム56の下面より突出する左右一対のスタンドボス部75,75が形成され,これらスタンドボス部75,75にスタンド58が支軸76を介して起立及び格納可能に連結される。上記スイングアーム56は,図示例では鋳造により一体成形されるが,鋼板製とすることもできる。
再び図1において,第2ギヤケース部22の上面には,クッションブラケット59が一体に突設され,車体フレーム1後部に後端部を連結したクッションユニット5の下端部が上記クッションブラケット59に連結され,このクッションユニット5により電動パワーユニットPが上下揺動が緩衝されるようになっている。
而して,電動パワーユニットPの自動二輪車Vへの搭載状態では,図2〜図4に示すように,電動モータ10及び第1ギヤケース部20は,後輪4の前方に,シャフトケース部21及び第2ギヤケース部22は,後輪4の一側方にそれぞれ配置される。そして電動モータ10のロータ軸10aの軸線rは,プロペラシャフト11の軸線pに対して,後輪4の回転中心面Aに向かって斜め上方へオフセット配置される。したがって,ロータ軸10aの軸線rは,プロペラシャフト11の軸線pに対して後輪4の回転中心面A側へ距離aだけオフセットし,またプロペラシャフト11の軸線pの上方へ距離bだけオフセットすることになる。
次に,この第1実施形態の作用について説明する。
電動パワーユニットPにおいて,電動モータ10を作動すると,そのロータ軸10aの出力は,1次減速ギヤ列13により減速されてプロペラシャフト11に伝達され,次いで2次減速ギヤ列14を介して再度減速されてリヤアクスル12へ伝達され,後輪4を駆動し,自動二輪車Vを走行させることができる。
この電動パワーユニットPにおいて,伝動ケース19を,電動モータ10を支持しつゝ1次減速ギヤ列13を収容する第1ギヤケース部20と,この第1ギヤケース部20の後側壁に連結されてプロペラシャフト11を収容するシャフトケース部21と,このシャフトケース部21の後部に一体に連設されて2次減速ギヤ列14を収容する第2ギヤケース部22とで構成する一方,2次減速ギヤ列14を,プロペラシャフト11の後端に固設されるベベルドライブギヤ17と,リヤアクスル12に固設されてベベルドライブギヤ17と噛合するベベルドリブンギヤ18とで構成し,シャフトケース部21の前端には,プロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17をシャフトケース部21に挿入するためと,プロペラシャフト11の後部を支持する第1ボーベアリング33をシャフトケース部21に装着するための第1開口部23を設け,また第2ギヤケース部22の一側部には,ベベルドリブンギヤ18を第2ギヤケース部22に挿入するためと,リヤアクスルの内端部を支承するボールベアリング46を第2ギヤケース部22に装着するためと,リヤアクスル12の中間部を支承するボールベアリング47,47を保持するリヤアクスルホルダ48を装着するための第2開口部24を設けたことで,プロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17の一体化,並びにシャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の一体化を可能にしながら,第1及び第2開口部23,24からプロペラシャフト11及び2次減速ギヤ列14の伝動ケース19への組み付けを容易に行うことができ,しかもシャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の一体化により伝動ケース19の剛性が強化し,伝動ケース19の薄肉化,延いてはその軽量化が可能となる。またシャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の一体化,並びにプロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17の一体化により部品点数が削減され,シャフトケース部21及び第2ギヤケース部22の鋳造による一体成形と相俟ってコストの低減を図ることができる。
また前記第1開口部23に,プロペラシャフト11の前部を支持する第2ボールベアリング38を保持するベアリングホルダ39を装着したことで,プロペラシャフト11の支持をシャフトケース部21内で完成させることができ,その後の1次減速ギヤ列13の組み立てを容易に行うことができるのみならず,第1及び第2ボールベアリング33,38の同軸精度を容易に確保できる。
また第1ギヤケース部20を,シャフトケース部21の前端に連結される後側壁26b及び,この後側壁26bの周囲に一体に連設されて1次減速ギヤ列13を囲む周壁26aよりなる後ケース半体26と,前記周壁26aの前端に分離可能に接合されて電動モータ10を支持する前ケース半体25とで構成したことで,電動モータ10の仕様変更時には,その変更に合わせて単純形状の前ケース半体25のみを設計変更すればよく,伝動ケース19の大幅な設計変更は必要がなく,電動モータ10の仕様変更に安価に対応可能である。その際,後ケース半体26をシャフトケース部21と一体成形すれば,伝動ケース19の分割面を少なくして,伝動ケース19の剛性強化及び部品点数の削減を図ることができる。
また第1ギヤケース部20は,シャフトケース部21から後輪4の前面側に張り出すように配置され,電動モータ10のロータ軸10aを後輪4の回転中心面を含む鉛直面A上に極力近づけているので,重量物の電動モータ10は後輪4の略直前に位置すると共に,スイングアーム56を車体フレーム1に支持するピボット57に近づくことになり,これにより車両の走行安定性を高めると共に,ピボット57周りの,後輪4を含む電動パワーユニットPの慣性モーメントを極力小さく抑え,リヤクッションユニット5の荷重負担を少なくすることができる。
しかもプロペラシャフト11及びベベルドライブギヤ17は,鍛造等により一体成形されて一部品となり,またリヤアクスル12及びベベルドリブンギヤ18も,鍛造等により一体成形して一部品となっているので,電動パワーユニットPの部品点数及び組立工数が削減され,コストの低減を図ることができのみならず,トルク容量の増大を図ることができる。
さらに伝動ケース19はAl合金製,プロペラシャフト11は鋼製とされ,1次減速ギヤ列13は,スパードライブギヤ15及びスパードリブンギヤ16で構成されるので,環境温度変化に伴ない伝動ケース19及びプロペラシャフト11の長手方向に熱膨張差が生じても,その差は,スパードライブギヤ15及びスパードリブンギヤ16の噛合部の軸方向の僅かなずれにより吸収されることになり,伝動ケース19やプロペラシャフト11の支持部に無用な応力が発生することを回避して,常にスムーズな動力伝達を確保することができる。
ところで,伝動ケース19には,その下部から前方へ延出して電動モータ10の下面に対向するスイングアーム56の後端部を固設し,このスイングアーム56の前端部をピボット57を介して車体フレーム1に回動自在に連結したので,適用車両の仕様変更によりホイールベースの増減や電動モータ10の位置変更を要求された場合には,スイングアーム56の長さや形状を変更するのみで,ピボット57及びリヤアクスル12間の軸間距離,したがってホイールベースLを増減し,あるいは電動モータ10の位置を変更することができる。したがって,伝動ケース19及びその内部の伝動部材には変更を加えずに済み,新規の電動パワーユニットPを比較的安価に提供することができる。また電動モータ10の容量変更時にも,伝動ケース19及びその内部の伝動部材には変更を加えずに済む。
その際,スイングアーム56を,伝動ケース19中,最前部に位置する第1ギヤケース部20の下部に固設することにより,スイングアーム56の長さを極力短くして,電動パワーユニットPの軽量化を図ることができる。
さらに,伝動ケース19の下部にアーム取り付け部63を形成し,このアーム取り付け部63にスイングアーム56の後端部を着脱可能に連結することにより,前記仕様の変更時には,スイングアーム56を長さや形状の異なるものと交換すれば足り,新規の電動パワーユニットPを,より安価に提供することができる。
しかも,スイングアーム56は,伝動ケース19の下部から前方へ延出して電動モータ10の下面に対向することで,路面の突起部や飛石から電動モータ10を保護することができる。即ち,電動モータ10に対する保護部材の役割を果たすことができる。
特に,スイングアーム56を,ピボット57に支持される左右一対のピボットボス部66,66と,これらピボットボス部66,66の後部間を一体に連結するクロスメンバ部67と,このクロスメンバ部67から後方へ突設されて伝動ケース19に固設される左右一対のアーム部68,68とで構成し,アーム部68,68及びクロスメンバ部67間に水平方向に広がって電動モータ10の下面に対向する補強リブ74を形成したことにより,スイングアーム56の剛性と軽量化を図りつゝ,電動モータ10の下面に対するスイングアーム56の対向面積を広め,電動モータ10を効果的に保護することができる。
また後輪4の一側方において自動二輪車Vの前後方向に沿って配置されるプロペラシャフト11の軸線pに対して,電動モータ10のロータ軸10aの軸線rを後輪4の回転中心面A側へオフセットしたことで,電動パワーユニットPの重心を後輪4の回転中心面Aに極力近づけることができ,自動二輪車Vの走行安定性を図ることができる。さらにプロペラシャフト11の軸線pに対して電動モータ10のロータ軸10aの軸線rを上方へオフセットしたことで,電動モータ10の地上高hを充分に確保することができ,路面から飛散する泥水,土砂が電動モータ10にかかり難くなる。
次に,図10に示す本発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態では,第1ギヤケース部20を構成する前ケース半体25は周壁25aと,その前端に一体に形成される前側壁25bとで構成される。蓋状の後ケース半体26は,シャフトケース部21に一体に連設されると共に,周壁25aの後端にボルト27で分離可能に固着される。その他の構成は,第1実施形態と同様の構成であり,図10中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
次に,図11に示す本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態は,第1ギヤケース部20の蓋状の後ケース半体26をシャフトケース部21の前端面にボルト41により接合するようにし,その後ケース半体26にベアリングホルダ39を一体に形成したもので,その他の構成は前記第2実施形態と同様であるので,図11中,第2実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第3実施形態によれば,第1ギヤケース部20及びシャフトケース部21間を分離したことで,それぞれの形状が単純化して,それぞれの成形を容易に行うことができ,しかも第1ギヤケース部20とベアリングホルダ39との一体化により部品点数の増加を抑えることができる。
次に,図12に示す本発明の第4実施形態について説明する。
この第4実施形態は,第1ギヤケース部20の蓋状の前ケース半体25に形成したベアリングハウジング60に,プロペラシャフト11の前端部を支持する第2ベアリング38を装着し,シャフトケース部21の第1開口部23には,第1ギヤケース部20内からシャフトケース部21への潤滑オイルの無用な移行を防ぐシール部材62を装着したもので,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であるので,図12中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第4実施形態によれば,ロータ軸10a及びプロペラシャフト11の軸間距離の精度が向上し,1次減速ギヤ列13の噛み合い精度を向上させることができ,また1次減速ギヤ列13のスパードリブンギヤ16の支持が両持ち式となり,その傾きを防ぐことができる。さらにプロペラシャフト11を支持する第1及び第2ボールベアリング33,38間の距離を最大にして,プロペラシャフト11の支持剛性を高めることができる。
次に,図13に示す本発明の第5実施形態について説明する。
この第5実施形態は,電動モータ10のロータ軸10aと,1次減速ギヤ列13のスパードライブギヤ15との間に,ロータ軸10aの回転数上昇に応じて接続状態となる遠心クラッチ78を介装した点,プロペラシャフト11の前部を支承する第2ボールベアリング38,及びそれに隣接するシール部材79をシャフトケース部21の第1開口部23に直接装着した点,第1ギヤケース部20の前ケース半体25とプロペラシャフト11の前端部との間に,2次減速ギヤ列14から受けるスラスト荷重を受けるスラストベアリング81を介装した点,並びに2次減速ギヤ列14のベベルドライブギヤ17の後端面よりプロペラシャフト11の後端部を突出させ,その後端部を支承する第1ボールベアリング33を,第2ギヤケース部22に形成されて前向きに開口するベアリングハウジング80に装着した点を除けば,前記第1実施形態と略同様の構成であり,図13中,第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。この第5実施形態においても,プロペラシャフト11の後端部を支承する第1ボールベアリング33は,シャフトケース部21の第1開口部23よりベアリングハウジング80に装着される。
次に,図14に示す本発明の第6実施形態について説明する。
この第6実施形態では,第1ギヤケース部20内を油密にするため,第2ボールベアリング38の後側に隣接してプロペラシャフト11の外周面にシールリップを密接するオイルシール83がベアリングホルダ39に装着され,また第1ボールベアリング33のインナレース33bを固定するため,前記第1実施形態のコイルばね36に代えて,該インナレース33bを第1シム35と共にベベルドライブギヤ17の前端面に押圧するナット84がプロペラシャフト11に螺着され,さらに第2ギヤケース部22内を油密するため,シャフトケース部21の後部内周面に密接するOリング85と,プロペラシャフト11の外周面にシールリップを密接するオイルシール86とがリングナット34に装着される。
以上において,リングナット34は,シャフトケース部21の雌ねじ21aに螺合される雄ねじ部34aと,この雄ねじ部34aの後端に連設されて前記第1ボールベアリング33のアウタレース33aを押える,雄ねじ部34aより小径の押え筒部34bと,雄ねじ部34aの前端に連設される,雄ねじ部34aより大径の鍔部34cとよりなっており,その鍔部34cの外周溝に前記Oリング85が装着される。またリングナット34の内周には,前記オイルシール86の前端を押さ得る環状突起34dが形成され,この環状突起34dは,オイルシール86を装着したリングナット34を前記ねじ孔32に螺合するとき,オイルシール86を前方より押圧してプロペラシャフト11の後記シール部11c上へとセットする役割を果たす。
プロペラシャフト11には,前記第1ボールベアリング33のインナレース33bが嵌装されるベアリング嵌装部11a,前記ナット84が螺合される雄ねじ部11b,オイルシール86のシールリップが密接するシール部11c,及びこのシール部11cより前方へ延びる長軸部11dが順次縮径するように形成され,シール部11c及び長軸部11d間には,テーパ状のガイド段部11eが設けられる。したがって,長軸部11dは,オイルシール86の内径より小径となるので,リングナット34に装着したオイルシール86を長軸部11dの前端よりシール部11c上へとセットする際,オイルシール86のシールリップが長軸部11dにより損傷を受けることを防ぐことができる。しかも,オイルシール86は,シール部11cに装着される際には,テーパ状のガイド段部11eによりシールリップが徐々に拡径されつゝ装着されるので,シールリップを損傷することなくシール部11cに容易に装着することができる。
またシャフトケース部21の内周面には,リングナット34の雄ねじ部34aが螺合されるねじ孔32,リングナット34の鍔部34cが嵌合されると共にOリング85が密接するシール部21a,及び鋳抜き勾配が付される空洞部21bが順次拡径するように形成され,シール部21a及び空洞部21b間には,テーパ状のガイド段部21cが設けられる。したがって,リングナット34の雄ねじ部34aの,シャフトケース部21のねじ孔32への螺合に際しては,雄ねじ部34aを空洞部21b及びシール部21aと干渉させることなく,ねじ孔32へスムーズに螺合させることができる。またOリング85も,テーパ状の段部21cに案内させてシール部21aへと容易,的確に到達させることができ,Oリング85の損傷を防ぐことができる。
而して,前記ベアリングホルダ39,リングナット34及びオイルシール83,86等の使用により,第1及び第2ギヤケース部20,22からシャフトケース部21内への潤滑オイルの流入を防ぎ,シャフトケース部21内をドライにすることで,潤滑オイルを第1及び第2ギヤケース部20,22のみに貯留させるに留めて伝動ケース19における潤滑オイルの使用量を最小限に抑えることができると共に,車両の加,減速時や登,降坂時,第1及び第2ギヤケース部20,22における潤滑オイルの油面変動を少なくすることができる。
その他の構成は,前記第1実施形態と同様の構成であり,図14中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
次に,図15示す本発明の第7実施形態について説明する。
この第7実施形態は,図1及び図5に示す第1実施形態とは反対に,第1ギヤケース部20の前ケース半体25を箱形に形成し,その後ケース半体26を蓋状に形成し,前ケース半体25にスイングアーム56を鋳造により一体成形したもので,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であり,図15中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第7実施形態によれば,箱形で高剛性の前ケース部26とスイングアーム56との一体化により構造の簡素化と共に,スイングアーム56及び前ケース部26間の連結強度を高めることができ,また後ケース半体26から分離した,スイングアーム56付きの前ケース半体25は比較的小部品であるので,スイングアーム56の長さや形状の変更に応じてスイングアーム56付きの前ケース半体25を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は比較的安く済み,新規の電動パワーユニットPのコスト低減に寄与し得る。
次に,図16及び図17に示す本発明の第8実施形態について説明する。
この第8実施形態は,第1ギヤケース部20の前ケース半体25を蓋状に,後ケース半体26を箱形にそれぞれ形成し,その後ケース半体26をシャフトケース部21の前端面にボルト41により分離可能に接合するようにし,この後ケース半体26に,前記ベアリングホルダ39と前記スイングアーム56を鋳造により一体成形したもので,その他の構成は,前記第1実施形態と同様であり,図16及び図17中,第1実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第8実施形態においても,箱形で高剛性の後ケース半体26とスイングアーム56との一体化により構造の簡素化と共に,スイングアーム56及び後ケース半体26間の連結強度を高めることができ,またシャフトケース部21から分離した,スイングアーム56付きの後ケース半体26は比較的小部品であるので,スイングアーム56の長さや形状の変更に応じてスイングアーム56付きの後ケース半体26を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は比較的安く済み,新規の電動パワーユニットPのコスト低減に寄与し得る。
最後に,図18に示す本発明の第9実施形態について説明する。
この第9実施形態は,第1ギヤケース部20の蓋状の前ケース半体25にスイングアーム56を鋳造により一体成形したもので,その他の構成は,図17の第8実施形態と同様であり,図18中,第8実施形態に対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
この第9実施形態によれば,蓋状でスイングアーム56付きの前ケース半体25は,より小部品となるので,スイングアーム56の長さや形状の変更に応じてスイングアーム56付きの後ケース半体26を成形する金型に変更を加える場合でも,その変更費用は,より安価となり,新規の電動パワーユニットPのコスト低減に一層寄与し得る。しかも前ケース半体25は蓋状であっても,これに取り付けられる電動モータ10によって剛性が強化されるので,スイングアーム56を強度上支障なく支持することができる。
以上,本発明の好適実施例について説明したが,本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,前記第1ギヤケース部20を前後対称的に分割することもできる。また前記スパードライブギヤ15及びスパードリブンギヤ16に代えてヘリカルギヤを用いることもでき,前記ベベルドライブギヤ17及びベベルドリブンギヤ18に代えてフェースギヤやハイポイドギヤを用いることもできる。また前記ボールベアリング33,38,46,47に代えて,他の形式のベアリング,例えばプレーンベアリング,アンギュラコンタクトベアリング,ローラベアリングを用いることもできる。さらに本発明は,リヤアクスル12を伝動ケース19の左右外側方に突出させて,その両端部に一対の後輪を取り付けてなる自動三輪車又は四輪車にも適用可能である。
P・・・・電動パワーユニット
V・・・・車両(自動二輪車)
p・・・・プロペラシャフトの軸線
r・・・・ロータ軸の軸線
1・・・・車体フレーム
10・・・電動モータ
10a・・ロータ軸
11・・・プロペラシャフト
12・・・リヤアクスル
13・・・1次減速ギヤ列
14・・・2次減速ギヤ列
19・・・伝動ケース
20・・・第1ギヤケース部
21・・・シャフトケース部
22・・・第2ギヤケース部
25・・・前ケース半体
26・・・後ケース半体
56・・・スイングアーム
57・・・ピボット
63・・・アーム取り付け部
66・・・ピボットボス部
67・・・クロスメンバ部
68・・・アーム部
74・・・補強リブ

Claims (7)

  1. 電動モータ(10)と,この電動モータ(10)のロータ軸(10a)と平行に,且つ車両(V)の前後方向に沿って配置されるプロペラシャフト(11)と,このプロペラシャフト(11)に対して直角に配置されて車両(V)の後輪(4)を駆動するリヤアクスル(12)と,前記ロータ軸(10a)の出力を前記プロペラシャフト(11)の前部に減速して伝達する1次減速ギヤ列(13)と,前記プロペラシャフト(11)の出力を,その後部から前記リヤアクスル(12)に減速して伝達する2次減速ギヤ列(14)と,前記電動モータ(10)を支持しつゝ,前記プロペラシャフト(11),1次減速ギヤ列(13)及び2次減速ギヤ列(14)を収容する伝動ケース(19)とを備えてなり,その伝動ケース(19)が車両の車体フレーム(1)に上下揺動可能に取り付けられる,車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記伝動ケース(19)に,その下部から前方へ延出して前記電動モータ(10)の下面に対向するスイングアーム(56)の後端部を固設し,このスイングアーム(56)の前端部をピボット(57)を介して前記車体フレーム(1)に回動自在に連結したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
  2. 請求項1記載の車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記伝動ケース(19)が,前記電動モータ(10)を支持しつゝ前記1次減速ギヤ列(13)を収容する第1ギヤケース部(20)と,この第1ギヤケース部(20)の後部に連結されて前記プロペラシャフト(11)を収容するシャフトケース部(21)と,前記2次減速ギヤ列○を収容する第2ギヤケース部○とを備え,前記第1ギヤケース部(20)の下部に前記スイングアーム(56)の後端部を固設したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
  3. 請求項1又は2記載の車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記伝動ケース(19)の下部にアーム取り付け部(63)を形成し,このアーム取り付け部(63)に前記スイングアーム(56)の後端部を着脱可能に連結したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
  4. 請求項2記載の車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記第1ギヤケース部(20)を,前記電動モータ(10)を支持する前ケース半体(25)と,この前ケース半体(25)の後端に分離可能に接合されて前記シャフトケース部(21)の前端に連なる後ケース半体(26)とで構成し,これら前ケース半体(25)及び後ケース半体(26)の一方に前記スイングアーム(56)を一体成形したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
  5. 請求項2記載の車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記第1ギヤケース部(20)及び前記シャフトケース部(21)間を分離可能に連結し,前記第1ギヤケース部(20)に前記スイングアーム(56)を一体成形したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記スイングアーム(56)を,前記ピボット(57)に支持される左右一対のピボットボス部(66)と,これらピボットボス部(66)の後部間を一体に連結するクロスメンバ部(67)と,このクロスメンバ部(67)から後方へ突設されて前記伝動ケース(19)に固設される左右一対のアーム部(68)とで構成し,前記アーム部(68)及びクロスメンバ部(67)間に水平方向に広がって前記電動モータ(10)の下面に対向する補強リブ(74)を形成したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
  7. 請求項1記載の車両用電動パワーユニットにおいて,
    前記電動モータ(10)を,そのロータ軸(10a)の軸線(r)が,前記プロペラシャフト(11)の軸線(p)の上方にくるように配置したことを特徴とする,車両用電動パワーユニット。
JP2013027849A 2012-02-28 2013-02-15 車両用電動パワーユニット Pending JP2013209080A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013027849A JP2013209080A (ja) 2012-02-28 2013-02-15 車両用電動パワーユニット

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012042463 2012-02-28
JP2012042463 2012-02-28
JP2013027849A JP2013209080A (ja) 2012-02-28 2013-02-15 車両用電動パワーユニット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013209080A true JP2013209080A (ja) 2013-10-10

Family

ID=49527360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013027849A Pending JP2013209080A (ja) 2012-02-28 2013-02-15 車両用電動パワーユニット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013209080A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023188222A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 本田技研工業株式会社 電動鞍乗型車両

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023188222A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 本田技研工業株式会社 電動鞍乗型車両

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5356087B2 (ja) 電動車両
JP5766797B2 (ja) 電気トラクションユニットを有する電動ハブ
US7913793B2 (en) Shaft-driven motorcycle with pivotally mounted swing arm and related support structure
JP6046450B2 (ja) アルミ製ステアリングナックル
JP6125083B1 (ja) インホイールモータ駆動装置
JP6714463B2 (ja) インホイールモータ駆動装置、およびインホイールモータ駆動装置と車輪の連結構造
EP3310645B1 (en) Electric vehicle and driving system for electric vehicle
JP6823418B2 (ja) インホイールモータ駆動装置
JP2017171272A (ja) インホイールモータ駆動装置
CN205186403U (zh) 两轮车及其车架、集成底架、底架主体
JP2017165279A (ja) インホイールモータ駆動装置とサスペンション装置の連結構造
WO2018061967A1 (ja) インホイールモータ駆動装置
CN105270561A (zh) 无链自行车及其轮叉、车架
CN106523674B (zh) 具有铸铁插入件的铝差速器壳体
JP4730078B2 (ja) インホイールモータ
CN105346668A (zh) 无链自行车及其后轴组件
CN105270528A (zh) 无链自行车及其集成底架
JP2013209079A (ja) 車両用電動パワーユニット
EP2634077A1 (en) Electric power unit for vehicle
CN205186463U (zh) 圆锥齿轮-传动杆传动方式的两轮车及其后轴组件
JP4442753B2 (ja) 自動車
US20220048317A1 (en) Braking structure for in-wheel motor drive device
JP2013209080A (ja) 車両用電動パワーユニット
KR101042418B1 (ko) 전기 자동차용 휠어셈블리 장치
CN104002918A (zh) 跨骑式混合动力车辆的动力传动装置