JP2013208608A - 膜モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】膜モジュール内に高い圧力が付加された場合にも筒状体と蓋体との間のシール性を維持する。
【解決手段】膜モジュール1は、中空糸膜Aが収容される両端が開口した筒状体10と、筒状体10の開口部の外周に嵌め込まれ当該開口を閉鎖する蓋体11とを有している。筒状体10の開口部の端面10aと蓋体11の第2の内面51と間には、断面U字状のシールリング80が設けられている。シールリング80のU字開口は、筒状体10の中心軸P側に向けられている。シールリング80の外周面90のU字開口側の端には、角部91が形成されている。シールリング80のU字開口の内面92は、互いに対向する平坦面93を有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、膜モジュールに関する。
例えば、血液浄化療法、血漿交換療法などの医療分野、水の浄化や水質の調整などの水処理分野、血漿分画製剤やバイオ医薬品などの製造工程におけるウィルス除去などの濾過処理には、内部に分離膜を内蔵した膜モジュールが用いられている。
この種の膜モジュールには、例えば中空糸膜が収容される筒状体と、筒状体の開口部の外周に嵌め込まれ当該開口を閉鎖する蓋体を有しているものがある。筒状体と蓋体には、液体の流入出を行うためのノズルがそれぞれ設けられている。また、筒状体の端面と蓋体の内面の間には、液体の漏れを防止するためのシール部材が設けられている(特許文献1参照)。なお、この特許文献1に記載されているUリングは、そのU字の開口面が外側に向けられているものである。
そして、上記膜モジュールを用いた処理時には、液体をノズルから膜モジュール内に流入させ、中空糸膜を通過させ、他のノズルから排出している。
特開平2−59026号公報
ところで、上記濾過処理などの処理時には、膜モジュール内の液体圧力が上昇し、膜モジュールの内面に大きな圧力が付加される。このとき、膜モジュールの蓋体が外側に撓んで変形する。特に、大型の膜モジュールの場合には、内部の受圧面積が大きいため大きな力がかかり、膜モジュールの蓋体の変形の程度が大きい。また、膜モジュールの筒状体及び蓋体が合成樹脂からなる場合、加圧により形状が変形しやすい。
膜モジュールの蓋体部分に大きな力がかかると、蓋体が外側に撓んで変形して浮き上がる。このとき、シール部材と膜モジュールの筒状体の端面或いは蓋体の内面との間に隙間ができ、筒状体と蓋体との間のシール性が低下する。特に大型のモジュールの場合、蓋体の撓み量が大きく、筒状体と蓋体の間のシール性が著しく低下する。また、膜モジュールの筒状体及び蓋体が合成樹脂からなる場合、筒状体および蓋体の形状が相互に変形し、シール部材と筒状体の端面或いは蓋体の内面との間に隙間ができやすく、シール性が低下しやすい。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、膜モジュール内に高い圧力が付加された場合にも、筒状体と蓋体との間のシール性を維持することをその目的とする。
上記目的を達成する本発明は、膜が収容される一方もしくは両端が開口した筒状体と、前記筒状体の開口部の外周に嵌め込まれ前記開口を閉鎖する蓋体とを有する、膜モジュールであって、前記筒状体の開口部の端面と前記蓋体の内面との間に、断面U字状のシールリングが設けられ、前記シールリングのU字開口が前記筒状体の中心軸側に向けられているものである。
本発明によれば、シールリングのU字開口が筒状体の中心軸側に向けられているので、膜モジュール内の圧力が上がった場合、シールリングのU字開口側に圧力がかかり、シールリングのU字開口が開く方向に変形する。したがって、シールリングは、収容された空間の変形に合わせて形状を変化させることで、筒状体の開口部の端面、及び、蓋体の内面との接触を維持できる。このとき、シールリングのU字開口が筒状体の中心軸側に向けられている形状によって、加圧によって受けている力を利用して密着性をより強固にできる。この結果、膜モジュール内に大きな圧力がかかっても、シールリングと筒状体の端面及び蓋体の内面との接触を維持でき、筒状体と蓋体との間の高いシール性を維持できる。
前記蓋体の内面と前記筒状体の端面に接する前記シールリングの外周面におけるU字開口側の端には、角部が形成されていてもよい。
また、前記シールリングのU字開口の内面は、互いに対向する平坦面を有していてもよい。
前記シールリングは、無荷重時において、前記筒状体の端面と前記蓋体の内面の距離の1.5倍以上の高さを有していてもよい。
前記シールリングのつぶし率が10%〜33%であってもよい。
以上の膜モジュールは、前記シールリングが100mm以上の内径を有するものであってもよい。また、以上の膜モジュールは、前記筒状体と前記蓋体の少なくとも一方が合成樹脂からなるものであってもよい。
本発明によれば、膜モジュール内に高い圧力が付加された場合にも、筒状体と蓋体との間のシール性を維持することができるので、膜モジュールの信頼性を向上できる。
膜モジュールの構成の概略を示す断面図である。 シールリング周辺部分の拡大図である。 シールリングの断面図である。 蓋体がヘッダーと固定用ナットを有する場合の膜モジュールの断面図である。 外周面に角部があるシールリングの断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる膜モジュール1の構成の概略を示す縦断面の説明図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
膜モジュール1は、例えば図1に示すように中空糸膜Aを軸方向に向けて収容する円筒状体10と、筒状体10の開口部の外周に嵌め込まれ当該開口を閉鎖する蓋体11を有している。
中空糸膜Aの両端部は、筒状体10の両端部の内周面にポッティング剤Bによって固定されている。
蓋体11の中心部には、筒状体10の中空糸膜Aの一次側(膜の内側)に通じる第1のノズル20が設けられている。また、筒状体10の側壁には、中空糸膜Aの二次側(膜の外側)に通じる2つの第2のノズル21が設けられている。例えば第2のノズル21は、筒状体10の両端部の近傍にそれぞれ一つずつ設けられている。
筒状体10の両端部の外周面には、後述の蓋体11の螺子部60と螺合する螺旋状の螺子部40が設けられている。
蓋体11の内面は、例えば筒状体10の端部の外周面に対向して接する第1の内面50と、筒状体10の開口部の端面10aに対向する第2の内面51と、筒状体10の端面10aから離れて第1のノズル20の内周面に接続される第3の内面52を、蓋体11の開口側から第1のノズル20側に向けてこの順で備えている。
第1の内面50には、筒状体10の螺子部40と螺合する螺子部60が形成されている。蓋体11の螺子部60と筒状体10の螺子部40を螺合することにより、蓋体11を筒状体10に回転させて嵌め込み固定できる。第2の内面51は、例えば図2に示すように筒状体10の端面10aに接触する接触部70を外側に有し、その内側に後述のシールリング80を収容する、環状で断面が凹状のシール収容部71を有している。
第3の内面52は、図1に示すように第1のノズル20と中空糸膜Aの一次側を連通させる内部空間Cを形成している。
図2に示すように蓋体11の第2の内面51のシール収容部71には、弾性を有する断面U字状のシールリング80が設けられている。シールリング80は、U字開口が筒状体10の中心軸P側に向けられている。
シールリング80の外周面90のU字開口側の端には角部91が形成されている。また、シールリング80のU字開口の内面92には、互いに対向し鋭角に交わる2つの平坦面93が形成されている。シールリング80のU字開口と反対側の外周面90は、Oリングと同様に円弧状に形成されている。
シールリング80は、図3に示すように無荷重時において、筒状体10の端面10aと蓋体11の第2の内面51との距離D(図2に示す)の1.5倍以上の高さHを有している。また、シール収容部71に収容された時のシールリング80のつぶし率は、10%〜33%になっている。ここでつぶし率とは、シールリング80がつぶされた長さ(H−D)をシールリング80の高さHで除した百分率(%)である。
膜モジュール1は、シールリング80が100mm以上の内径を有するものであり、大型の膜モジュールである。
以上のように構成された膜モジュール1を用いて、濾過処理を行う際には、例えば濾過処理用回路の濾過液供給管に第1のノズル20が接続され、濾過液排出管に第2のノズル21が接続される。そして、濾過原液が、第1のノズル20から膜モジュール1内に供給され、中空糸膜Aを通過し濾過されて、第2のノズル21から排出される。
本実施の形態によれば、シールリング80のU字開口が筒状体10の中心軸P側に向けられているので、膜モジュール1内に濾過原液が供給され膜モジュール1内の圧力が上がった場合に、図2に示したように内部空間C側からシールリング80のU字開口側に向けて圧力がかかる。この圧力が大きい場合には、シールリング80のU字開口が開く方向に変形する。これにより、膜モジュール1内に大きな圧力がかかって蓋体11が外側に変形して浮き上がり筒状体10の端面10aと蓋体11の第2の内面51と距離が広がっても、シールリング80と、筒状体10の端面10a及び蓋体11の第2の内面51との接触が維持される。この結果、筒状体10と蓋体11との間の高いシール性を維持できる。
また、上記実施の形態では、シールリング80の外周面90のU字開口側の端には、角部91が形成されているので、シールリング80と筒状体10の端面10a及び蓋体11の第2の内面51との間に内部空間Cの濾過液が流れ込み難く隙間ができにくい。それゆえ内部空間Cの濾過液がシーリング80の外側に漏れるのを効果的に防止できる。
また、シールリング80のU字開口の内面92は、互いに対向する平坦面93を有しているので、内部空間C側からかかる圧力をU字開口が開く方向の圧力に効果的に変えて、シーリング80のU字開口を押し広げることができる。これにより、筒状体10と蓋体11の間のシール性がさらに向上する。
シールリング80は、無荷重時において、筒状体10の端面10aと蓋体11の第2の内面51の距離Dの1.5倍以上の高さHを有している。この結果、蓋体11が内圧により浮き上がっても、シールリング80が伸びるので、シールリング80と、筒状体10の端面10a或いは蓋体11の第2の内面52との間に隙間ができず、高いシール性を確保できる。
シールリング80のつぶし率は10%〜33%であるので、シールリング80と筒状体10の端面10a及び蓋体11の第2の内面51とが強く密着し、濾過液の漏れをより一層抑制できる。なお、シールリング80の断面が円形で、一般的なOリングのつぶし率は10%〜25%である。
シールリング80は、100mm以上の内径を有しており、膜モジュール1は、大型の膜モジュールである。大型の膜モジュールは、処理時の膜モジュール1の受圧面積が大きく、濾過処理時に内圧がかかった場合には、大きな力が内部にかかるため、蓋体11の変形量、浮き上り量も大きくなる。このため、大型の膜モジュールでは、特にシール部材と筒状体の端面或いは蓋体の内面との隙間ができやすく、シール性が低下しやすい。本実施の形態によれば、かかる大型の膜モジュール1であっても、筒状体10と蓋体11との間の高いシール性を確保できる。
膜モジュールの筒状体10及び蓋体11は合成樹脂からなる。合成樹脂からなる部材は大きな圧力がかかった際に変形しやすく、部材間の隙間ができやすく、シール性は低下しやすい。本実施の形態によれば、合成樹脂からなる膜モジュールの筒状体10及び蓋体11を有する膜モジュールであっても、筒状体10と蓋体11との間の高いシール性を確保できる。
膜モジュールに、無菌性が要求される場合は、組み立て後に高温高圧の蒸気で滅菌処理が行われてから出荷される場合がある。この場合、筒状体にシール部材を挟んで蓋体を嵌め込み、その時点でシール性が確保されていても、高温に曝されることにより、シール部材の圧縮永久ひずみが大きくなり、筒状体や蓋体に対する押圧力が低下する。この結果、筒状体と蓋体との間のシール性が低下してしまう。本実施の形態によれば、圧力付加時にシールリング80のU字開口が押し広がるので、高温に曝されてシール部材の圧縮永久ひずみが大きくなっていても、高いシール性を維持できる。
なお、滅菌処理後のリーク試験を行ったところ、筒状体10と蓋体11のシールリングにOリングを用いた場合は、膜モジュールのサンプル16本中8本に漏れが生じた。更に本発明と同様な断面U字状のシールリングで、そのU字開口を中心軸P側とは反対の外側に向けたシールリングを用いた場合には、筒状体10の端面10aと蓋体11の接触部70に生じた隙間に、シールリングが外側に押されてその角部91の一方が落ち込み、膜モジュールのサンプル16本中6本に漏れが生じた。本発明のようにU字開口を中心軸P側に向けたシールリング80を用いた場合には、膜モジュールのサンプル40本の全てで漏れがなかった。なお、リーク試験は、まず図1に示す膜モジュール内全体を水で満たし、一方のノズル20と二つのノズル21を密栓し、残りのノズル20から0.5MPaの水で加圧することにより、筒状体10と蓋体11が螺合した螺子部から水漏れを確認することにより行った。
以上の実施の形態では、蓋体11が一つの部材により一体的に構成されていたが、複数の部材により構成して、内圧による歪みや浮き上がりを分散させてもよい。例えば図4に示すように蓋体11が、筒状体10の開口部に取り付けられ当該開口を閉鎖するヘッダー100と、ヘッダー100の外周を囲み、ヘッダー100を筒状体10に固定する略円筒状の固定用ナット101を備えていてもよい。かかる場合、ヘッダー100は、中央に第1のノズル20を備えている。ヘッダー100の内面52には、シール収容部71が設けられ、ヘッダー100の内面52と筒状体10の端面10aとの間にシールリング80が設けられる。固定用ナット101の内面には、筒状体10の螺子部40と螺合する螺子部60が形成されている。かかる場合、固定用ナット101によりヘッダー100の歪みや浮き上がりが抑制され、筒状体10と蓋体11の間のシール性がさらに向上する。
上記実施の形態で記載したシールリング80は、U字開口と反対側の外周面90が円弧状であったが、図5のようにU字開口と反対側の外周面90が角部110を有し、当該角部110は直角であってもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以上の実施の形態における膜モジュール1の膜は中空糸膜Aであったが、本発明の適用が可能な分離膜としては、この他、平膜型、スパイラル型、プリーツ型、管状型などが使用できる。また、以上の実施の形態における膜モジュール1は、特にその用途を限定していないが、本発明は、例えば、血液浄化療法、血漿交換療法などの医療分野、水の浄化や水質の調整などの水処理分野、血漿分画製剤やバイオ医薬品などの製造工程におけるウィルス除去などの濾過処理などを行う膜モジュールにも適用してもよい。
本発明は、膜モジュール内に高い圧力が付加された場合にも筒状体と蓋体との間のシール性を維持する際に有用である。
1 膜モジュール
10 筒状体
10a 端面
11 蓋体
51 第2の内面
80 シールリング
A 中空糸膜
P 中心軸

Claims (7)

  1. 膜が収容される一方もしくは両端が開口した筒状体と、前記筒状体の開口部の外周に嵌め込まれ前記開口を閉鎖する蓋体とを有する、膜モジュールであって、
    前記筒状体の開口部の端面と前記蓋体の内面との間に、断面U字状のシールリングが設けられ、
    前記シールリングのU字開口が前記筒状体の中心軸側に向けられている、膜モジュール。
  2. 前記蓋体の内面と前記筒状体の端面に接する前記シールリングの外周面におけるU字開口側の端には、角部が形成されている、請求項1に記載の膜モジュール。
  3. 前記シールリングのU字開口の内面は、互いに対向する平坦面を有する、請求項1又は2に記載の膜モジュール。
  4. 前記シールリングは、無荷重時において、前記筒状体の端面と前記蓋体の内面の距離の1.5倍以上の高さを有している、請求項1〜3のいずれかに記載の膜モジュール。
  5. 前記シールリングのつぶし率が10%〜33%である、請求項1〜4のいずれかに記載の膜モジュール。
  6. 前記シールリングは、100mm以上の内径を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の膜モジュール。
  7. 前記筒状体と前記蓋体の少なくとも一方が合成樹脂からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の膜モジュール。
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