JP2013207222A - 露光方法および露光装置並びにこれらを利用したレジストパターンの形成方法および原盤の製造方法 - Google Patents

露光方法および露光装置並びにこれらを利用したレジストパターンの形成方法および原盤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学増幅型レジストからなるレジスト膜の露光において、従来技術に比してより簡易に、PDに起因するドーズ量の低下を補正することを可能とする。
【解決手段】化学増幅型レジストからなるレジスト膜11を露光用ビームEBで露光する露光方法であって、レジスト膜11の所定の露光領域B1〜B16ごとに所定の照射ドーズ量で1回目の露光走査を実施し、1回目の露光走査を実施した経路を往路80とした場合に、照射ドーズ量を維持しながら全体として往路80および復路81が同じ回数になるように2回目以降の露光走査を実施する。
【選択図】図2

Description

本発明は、化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光用ビームで露光(または描画)する露光方法および露光装置に関するものである。また、本発明は、上記の露光方法および露光装置を利用したレジストパターンの形成方法および原盤の製造方法に関するものである。
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線へ、さらにはKrFエキシマレーザ光へというように短波長化の傾向が見られる。
そして現在では、エキシマレーザ光以外にも、電子ビーム、X線およびEUV光(極端紫外光)等の短波長ビームを用いたリソグラフィーの開発が盛んである。
上記のような短波長ビームを用いたリソグラフィープロセスに適したレジストとしては、高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが検討されている。化学増幅型レジストのポジ型の場合には、露光によって光酸発生剤から発生した酸(H)が、アルカリ可溶樹脂のアルカリ可溶基を保護している保護基に触媒として作用する。これにより、アルカリ可溶樹脂の脱保護反応が起こり、アルカリ可溶樹脂の極性がアルカリ不溶からアルカリ可溶へと変化する。一方、ネガ型の場合には、上記酸(H)が、アルカリ可溶性樹脂および架橋剤に触媒として作用する。これにより、アルカリ可溶性樹脂および架橋剤の架橋反応が起こり、アルカリ可溶樹脂の極性がアルカリ可溶からアルカリ不溶へと変化する。
しかし、従来から化学増幅型レジストについては、レジスト膜が露光されてから現像されるまでの時間(PED:Post Exposure Delay)に起因するドーズ量(またはレジスト感度)の低下、および、レジスト膜が形成されてから露光されるまでの時間(PCD:Post Coat Delay)に起因するドーズ量の低下の問題が指摘されている。これは、例えば、発生した酸の一部がレジストの酸触媒反応に寄与することなく、時間の経過に伴って失活するためと考えられている。上記のような遅延時間(PD:Post Delay。PEDおよびPCDを意味する。)に起因するドーズ量の低下は、露光した場所や時刻に依存してパターン寸法がばらつく原因となる(図24)。
そこで、PDに起因するドーズ量の低下を補正する方法が検討されている。例えば、特許文献1では、図25に示されるように、電子ビームをぼかしながら本来露光対象とするパターン領域に、補正露光用パターン領域のレジスト膜の厚さから求められた補正ドーズ量を与えることにより、ドーズ量の低下を補正する方法が開示されている。また、特許文献2では、図26に示されるように、ドーズ量が低下しやすい露光開始時刻に近い時ほど単位時間当たりのドーズ量を増やしたり露光時間を増やしたりして、付与するドーズ量を増やすことにより、ドーズ量の低下を補正する方法が開示されている。
特開2000−267259号公報 特開2008−34781号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、電子ビームをぼかしながら2回目の露光を行う必要があるため制御が難しく、さらにはレジスト膜の厚さを測定しかつ別途同じ時間をかけて再度露光する必要があるため露光工程が煩雑である。一方、特許文献2の方法では、単位時間当たりのドーズ量を増やす場合には、露光時刻(または露光場所)に応じて電子ビームの焦点位置を補正する必要があるため、装置の制御が難しいという問題がある。一方、電子ビームを当てる時間を増やす場合には、露光時刻(または露光場所)に応じて近接効果を補正する必要があるため、補正係数の算出が難しいという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、化学増幅型レジストからなるレジスト膜の露光において、従来技術に比してより簡易に、PDに起因するドーズ量の低下を補正することを可能とする露光方法および露光装置並びにこれらを利用したレジストパターンの形成方法および原盤の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る露光方法は、
化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光用ビームで露光する露光方法であって、
レジスト膜の所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で1回目の露光走査を実施し、1回目の露光走査を実施した経路を往路とした場合に、照射ドーズ量を維持しながら全体として往路および復路が同じ回数になるように2回目以降の露光走査を実施する往復露光工程を含むことを特徴とするものである。
本明細書において、「露光走査」とは、ある地点から他の地点までの所定の経路に従ってその経路上のレジスト膜に露光用ビームの照射を行うことを意味する。なお、露光走査について、1回目の露光走査における開始地点および終了地点の間の経路の片道分を1回と計数する。
「全体として往路および復路が同じ回数になるように」とは、1回目も含めて総走査回数が2k回(kは1以上の整数)であり、さらに往路分の露光走査がk回、復路分の露光走査がk回であることを意味する。以下、このような露光手法を「往復露光」とも言う。つまり、本発明は、上記のような往復露光を実施することにより、露光場所(または露光時刻)に応じたドーズ量の低下量のばらつきを低減するものである。
そして、本発明に係る露光方法において、2回目以降の露光走査を順次折り返して実施することが好ましい。
2回目以降の露光走査を「順次折り返して実施する」とは、n回目(nは2以上の整数)の露光走査において、n−1回目の露光走査の終了地点から開始地点へ向かって露光することを意味する。例えば1回目の露光走査がA地点からB地点へ向かって露光するものであった場合、2回目の露光走査ではB地点からA地点へ、3回目の露光走査ではA地点からB地点へ、4回目の露光走査ではB地点からA地点へ向かって露光する。以下、往復露光の内このような露光手法を「折り返し露光」とも言う。
また、本発明に係る露光方法において、照射ドーズ量は、レジスト膜中での反応に寄与させたい目標ドーズ量と露光走査の総走査回数とに基づいて設定されることが好ましい。
また、本発明に係る露光方法において、基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮し、照射ドーズ量として下記式1を満たす値を設定することが好ましい。
式1において、Dは照射ドーズ量を表し、Aは目標ドーズ量を表し、Nは総走査回数を表し、Pは露光工程時間内のドーズ量の低下を考慮して予め求められたドーズ量の補正係数を表す。なお、「露光工程時間」とは、往復露光工程を実施するために設定された時間を意味し、この意味で露光時間(レジスト膜の所定の露光領域に露光用ビームが連続的に当てられた時間)と区別する。また、「基準の露光工程時間」とは、目標ドーズ量そのものを照射ドーズ量として1回の露光走査のみで露光工程を実施した時に要する時間を意味する。
また、本発明に係る露光方法において、補正係数として下記式2を満たす値を設定することが好ましい。
式2において、αは露光工程時間経過時におけるPEDに起因するドーズ量の最大低下率を表し、βは露光工程時間経過時におけるPCDに起因するドーズ量の最大低下率を表す。
また、本発明に係る露光方法において、予め作成された最大低下率αおよびβと露光工程時間との関係を表したテーブルデータに基づいて、所定の露光工程時間に対応するテーブルデータ上の最大低下率αおよびβを参照することが好ましい。
また、本発明に係る露光方法において、所定の露光工程時間を、全露光領域の大きさ、露光領域の配置、総走査回数および目標ドーズ量に基づいて予測することが好ましい。
また、本発明に係る露光方法において、
上記露光走査のすべてが終了した後、実際に露光走査のすべてが終了するのに要した時間を算出して、当該時間を新たな露光工程時間として設定し、
新たな露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮して、照射ドーズ量を再計算し、
再計算された照射ドーズ量を使用して、上記化学増幅型レジストからなるレジスト膜に対し往復露光工程を実施することができる。この場合において、新たな露光工程時間の設定、照射ドーズ量の再計算並びに往復露光工程の実施を順次複数回繰り返すことができる。
本発明に係る露光装置は、
化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光用ビームで露光する露光装置であって、
露光用ビームを出射するビーム銃を有し、レジスト膜の所定の露光領域ごとに露光走査を実施する露光部と、
露光部を制御する制御部とを備え、
制御部が、所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で1回目の露光走査を実施し、1回目の露光走査を実施した経路を往路とした場合に、照射ドーズ量を維持しながら全体として往路および復路が同じ回数になるように2回目以降の露光走査を実施する往復露光工程を実施するように露光部を制御するものであることを特徴とするものである。
そして、本発明に係る露光装置において、制御部は、2回目以降の露光走査を順次折り返して実施するように制御するものであることが好ましい。
また、本発明に係る露光装置において、制御部は、レジスト膜中での反応に寄与させたい目標ドーズ量と露光走査の総走査回数とに基づいて照射ドーズ量を設定するものであることが好ましい。
また、本発明に係る露光装置において、制御部は、基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮し、照射ドーズ量として上記式1を満たす値を設定するものであることが好ましい。
また、本発明に係る露光装置において、制御部は、補正係数として上記式2を満たす値を設定するものであることが好ましい。
また、本発明に係る露光装置において、制御部は、最大低下率αおよびβと露光工程時間との関係を表したテーブルデータを有し、与えられた露光工程時間に対応するテーブルデータ上の最大低下率αおよびβを参照するものであることが好ましい。
また、本発明に係る露光装置において、制御部は、所定の露光工程時間を、全露光領域の大きさ、露光領域の配置、総走査回数および目標ドーズ量に基づいて予測するものであることが好ましい。
本発明に係るレジストパターンの形成方法は、上記に記載の露光方法により、被加工体上に形成された化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光し、その後、レジスト膜を現像することを特徴とするものである。
本発明に係る原盤の製造方法は、上記に記載の形成方法により被加工体上に形成されたレジストパターンをマスクとして、被加工体をエッチングすることを特徴とするものである。
本発明に係る露光方法および露光装置並びにこれらを利用したレジストパターンの形成方法および原盤の製造方法は、レジスト膜の所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で1回目の露光走査を実施し、1回目の露光走査を実施した経路を往路とした場合に、照射ドーズ量を維持しながら全体として往路および復路が同じ回数になるように2回目以降の露光走査を実施することを特徴とする。これにより、露光場所(または露光時刻)に応じた露光作業全体の終了時におけるドーズ量の低下量のばらつきが低減する。これは、往路の露光走査(1回目の露光走査およびこれと進行方向が同じその後の露光走査)と、復路の露光走査(1回目の露光走査と進行方向が逆のその後の露光走査)とを相補的に組み合わせることにより、ドーズ量の低下量全体が平均化されるためである。また、補正のために行う作業としては単に最初の経路を行き来するのみである。したがって、化学増幅型レジストからなるレジスト膜の露光において、従来技術に比してより簡易に、PDに起因するドーズ量の低下を補正することが可能となる。
第1の実施形態の露光装置の構成を示す概略図である。 (a)実施形態における折り返し露光の往路を示す概略図である。(b)実施形態における折り返し露光の復路を示す概略図である。 (a)他の形態における折り返し露光の往路を示す概略図である。(b)他の形態における折り返し露光の復路を示す概略図である。 (a)折り返し露光の往路における露光領域内部の経路を示す概略図である。(b)折り返し露光の復路における露光領域内部の経路を示す概略図である。 時間の経過とPEDまたはPCDに起因するドーズ量の低下との関係を示すグラフである。 時間の経過とPEDに起因するドーズ量の低下との関係を、異なるドーズ量ごとに示すグラフである。 1回の露光走査だけで露光を実施する場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられたドーズ量の露光工程時間経過時における低下量との関係を示すグラフである。 2回の露光走査からなる折り返し露光を実施する場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられたドーズ量の露光工程時間経過時における低下量との関係を示すグラフである。 図8の場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 図9の場合における、露光領域とその露光領域に往路または復路で与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 図10の場合における、折り返し露光によってそれぞれの露光領域に与えられた平均の見かけドーズ量を示すグラフである。 1回目の露光走査によって得られた見かけドーズ量および2回目の露光走査によって得られた見かけドーズ量によって、各露光領域のPDに起因するドーズ量の低下量が均一化されることを示す概略図である。 第2の実施形態の露光装置の構成を示す概略図である。 PDによる低下量を補正して図9の折り返し露光を実施する場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 図14の場合における、露光領域とその露光領域に往路または復路で与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 図15の場合における、折り返し露光によってそれぞれの露光領域に与えられた平均の見かけドーズ量を示すグラフである。 第2の実施形態における露光方法の工程を示すフロー図である。 4回の露光走査からなる折り返し露光を実施する場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 PDによる低下量を補正して図18の折り返し露光を実施する場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 図19の場合における、露光領域とその露光領域に各露光走査で与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。 露光時間によって照射ドーズ量を制御する場合において、実際の露光工程時間が想定した露光工程時間からずれることを示すグラフである。 第4の実施形態の露光装置の構成を示す概略図である。 第4の実施形態における露光方法の工程を示すフロー図である。 PDに起因して低下したドーズ量を示す概略図である。 PDによるドーズ量の低下を補正する従来の方法を示す概略図である。 PDによるドーズ量の低下を補正する従来の方法を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
「露光方法および露光装置の第1の実施形態」
まず、露光方法および露光装置の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態の露光装置の構成を示す概略図である。なお、本実施形態では、例えば露光装置が、露光用ビームとして電子ビームを出射する電子銃を有する電子ビーム露光装置(または描画装置)である場合について説明する。
本実施形態の露光方法は、図1に示される装置100を使用して、化学増幅型レジストからなるレジスト膜11が表面に形成された基板10を装置100に設置し、レジスト膜の所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で電子ビームEBを走査しながら1回目の露光走査を実施し、その後、1回目の露光走査を実施した経路を折り返して、照射ドーズ量を維持しながら上記所定の露光領域ごとに2回目の露光走査を実施するものである。すなわち、本実施形態の露光方法は、レジスト膜に対して1往復分の2回の露光走査を実施するものである。
本実施形態の露光装置100は、本発明における露光部に相当する電子ビーム描画部20と、本発明における制御部に相当する描画制御部50と、露光条件等が入力される入力部70とを備える。電子ビーム描画部20は、描画制御部50からの制御信号に従って、電子ビームEBの照射(ショット)のオンオフを切り替えたり基板10を移動させたりしながら、電子ビームEBでパターンを描画して実際にレジスト膜を露光する装置である。一方、描画制御部50は、予め指定された描画すべきパターンの配置(レイアウト)に関する設計データに従って電子ビーム描画部20を制御する装置である。
(化学増幅型レジスト)
化学増幅型レジストは特に限定されず、その成分は適宜調整される。レジスト膜の形成方法も、特に限定されない。例えばスピンコート法やレジストシートを貼り合わせる方法等の公知の方法を使用することができる。
(基板)
基板は、露光および現像を経た後、加工の対象となる部材である。例えば基板の表面に形成されたレジストパターンをマスクにしてエッチングされることにより、その表面に微細な凹凸パターンが形成される。このような凹凸パターンが形成された基板は、ナノインプリント用のモールドや磁気ディスクメディア等に利用される。基板の材料は、特に限定されず、シリコン、酸化シリコン、金属、石英および樹脂等の公知の材料を使用することができる。
(折り返し露光)
1回目の露光走査は、描画制御部50に記憶された設計データに従って、所定の経路上の所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で電子ビームEBが照射されることにより実施される。そして、2回目の露光走査は、所定の照射ドーズ量を維持しながら1回目の露光走査の経路の逆の経路に沿って上記所定の露光領域ごとに電子ビームEBが照射されることにより実施される。
所定の経路上の所定の露光領域ごとに電子ビームEBが照射されるとは具体的には以下の通りである。
図2は、折り返し露光の経路を示す概略図であり、特に図2aはレジスト膜11上の全露光領域Rを露光走査する際の往路80を、図2bはその復路81を示す。全露光領域Rは、所定の露光領域ごとに複数のブロックに分割されている。例えば本実施形態では全露光領域Rは、B1〜B16の16のブロックに分割されている。
図2aでは、1回目の露光走査の開始地点はブロックB1と設定されている。そして、露光走査は、順次ブロックB2、ブロックB3、・・・、ブロックB15およびブロックB16へと進行し、その終了地点はブロック16となる。なお、図2において、各ブロック内の数字は電子ビームが照射された順番(ショット番号)を表す。つまり図2aでは、それぞれのブロックに付されたブロック番号の昇順に露光走査が進行する。
一方、図2bでは、2回目の露光走査の開始地点は、1つ前の露光走査の終了地点、すなわちブロックB16と設定される。そして、露光走査は、順次ブロックB15、ブロックB14、・・・、ブロックB2およびブロックB1へと進行し、その終了地点はブロック1となる。つまり図2bでは、それぞれのブロックに付されたブロック番号の降順に露光走査が進行する。このように折り返し露光を行った場合、16ブロックに対してその2倍の32ショットを行うことになる。
また、経路を往復する方法は図3のような方法でもよい。図3は、折り返し露光の他の経路を示す概略図であり、特に図3aはレジスト膜11上の全露光領域Rを露光走査する際の往路82を、図3bはその復路83を示す。
図3aでは、1回目の露光走査の開始地点はブロックB1と設定されている。そして、露光走査は、順次ブロックB2、ブロックB3およびブロックB4へと進行し、その次はブロックB4に隣接するブロックB8に移行する。その後露光走査は、同様に、ブロックB8から降順にブロックB5へ進行し、これに隣接するブロックB9へ移行し、ブロックB9から昇順にブロックB12へ進行し、これに隣接するブロックB16へ移行し、ブロックB16から降順にブロックB13へ進行する。つまり、このときの露光走査の終了地点はブロック13となる。
一方、図3bでは、2回目の露光走査の開始地点は、1つ前の露光走査の終了地点、すなわちブロックB13と設定される。そして、露光走査は、順次ブロックB15からブロックB1まで、往路82と逆の経路である復路83を進行し、その終了地点はブロック1となる。この場合には、あるブロックから次のブロックへ移行する際の時間を常に短くすることができるため、露光時間の短縮の観点から好ましい。
なお、その他には、例えば図2や図3の全露光領域Rを渦巻状に折り返す露光走査も可能である。つまり、本実施形態では、経路を折り返す(復路を往路の逆の経路とする)ことが重要である。
所定の露光領域の範囲は、予め描画制御部50に記憶されている設計データによって指定される。所定の露光領域の範囲の指定は、その露光領域内において露光走査の開始地点および終了地点それぞれでのPDによるドーズ量の低下を対比した時に、設計上の観点からその差が無視できるか否かを基準にして行われる。この場合、所定の露光領域内部での経路は、PDによるドーズ量の低下に影響を与えない。つまり、「所定の露光領域ごとに」とは、所定の露光領域の内部で厳密に往路と復路が逆になっていなくとも、所定の露光領域単位で見たときに往路と復路が逆になっていれば充分であることを意味する。
例えば図4は、折り返し露光における所定の露光領域内部の経路を示す概略図である。図4aはブロックB1を露光走査する際の往路84およびブロックB2を露光走査する際の往路85、図4bは往路84に対する復路87および往路85に対する復路86を示す。図4では、ブロックB1およびブロックB2はそれぞれ、C1〜C16の16のセルに分割されている。なお、図4において、各セル内の数字はそのセルが属するブロック番号およびそのブロック内でのショット番号を表す。例えば、1−17はブロックB1における17番目のショットを表す。
図4aでは、ブロックB1内での露光走査の開始地点はセルC1と設定され、ブロックB2内での露光走査の開始地点もセルC1と設定されている。露光走査は、まずブロックB1のセルC1から開始され、その後セルC1からセルC16へと順次進行する。そして、露光走査は、その次にブロックB2のセルC1へ移行し、その後は同様にセルC1からセルC16へと順次進行する。ブロックB2のセルC16の後の露光走査も、上記と同様にブロックB3からブロックB16へ進行する。
一方、図4bでは、ブロックB2内での露光走査は、ブロックB3が終了した後、ブロックB2のセルC1から開始され、その後セルC1からセルC16へと順次進行する。そして、露光走査は、その次にブロックB1のセルC1へ移行し、その後は同様にセルC1からセルC16へと順次進行する。このように本発明では、所定の露光領域単位で見たときに往路と復路が逆になっていればよく、所定の露光領域の内部での経路は問われない。
なお、PDによるドーズ量の低下をより正確に補正する観点からは、所定の露光領域の内部での経路まで含めて経路が折り返されていることが好ましい。また、所定の露光領域の大きさおよび形状はそれぞれ異なっていてもよい。
所定の照射ドーズ量の値は、折り返し露光が行われている間ほぼ一定に維持されていれば、PDによるドーズ量の低下量のばらつきを低減することができるため、特に限定されない。しかしながら、照射ドーズ量があまりにも少ないと露光不足となり、照射ドーズ量があまりにも多いと露光過多によって所望の寸法のレジストパターンが得られなくなる場合がある。そこで、所定の照射ドーズ量の値は、レジスト膜中での反応に寄与させたい目標のドーズ量(目標ドーズ量)、および想定する露光走査の総走査回数を考慮して決定されることが好ましい。なお、レジストの塗布作業後速やかに露光作業をおこなわない場合や、露光作業全体の終了後速やかに現像を行わない場合には、塗布から現像までの経過時間も考慮して適宜目標ドーズ量を調整することが好ましい。通常は、1回の露光走査によって目標ドーズ量がレジスト膜に付与されることが前提であるが、本発明では、偶数回の露光走査によって目標ドーズ量がレジスト膜に付与される。したがって、照射ドーズ量の目安としては、目標ドーズ量を総走査回数で割った値である。つまり、目標ドーズ量が50μC/cmであり、1往復の露光走査からなる折り返し露光を実施する場合には、露光走査における照射ドーズ量は例えば25μC/cm程度と設定される。
(入力部)
入力部70は、いわゆるユーザインターフェイスであり、露光条件のうちユーザが設定すべき条件の入力が行われる部分である。ユーザが設定すべき条件は、例えば、描画対象となるレジストの材料種および/またはその特性、目標ドーズ量、並びに総走査回数等である。これらの情報は、例えば図示しない描画制御部50内の読み出し可能なメモリに記憶される。
(電子ビーム描画部)
電子ビーム描画部20は、主として電子鏡筒20aおよび描画室20bに分けられる。電子鏡筒20aは、電子ビームEBを出射する電子銃22、第1偏向器24、アパーチャ26および第2偏向器28を備え、描画室20bは、描画対象が設置されるXYステージ30を備える。
第1偏向器24およびアパーチャ26は、ブランキング手段として機能する。アパーチャ26は、中心部に電子ビームEBが通過可能な開口を備える。電子ビームEBは、第1偏向器24がオン状態のとき偏向されてアパーチャ26に遮断され(ブランキングオン)、第1偏向器24がオフ状態のときアパーチャ26の開口を通過する(ブランキングオフ)。電子ビームEBによる各ショットは、上記のブランキングのオンオフを高速に繰り返すことで形成される。
第2偏向器28は、ある1方向(X方向)およびそれに直交する方向(Y方向)に電子ビームEBを偏向して描画されるレジスト膜11上の位置を移動する。一方、XYステージ30は、X方向およびY方向に基板10を移動させて描画されるレジスト膜11上の位置を移動する。例えば本実施形態では、電子ビームEBの偏向によりセルからセルへの移動が実現され、XYステージ30の移動によりブロックからブロックへの移動が実現される(図4)。
(描画制御部)
描画制御部50は、設計データ記憶部52、照射ドーズ量算出部54、描画データ生成部56、ショットデータ生成部58、ブランキング制御部60、ビーム偏向制御部62およびステージ駆動制御部64を備える。
設計データ記憶部52は、描画すべきパターンの配置に関する設計データを記憶するものである。当該設計データは、電子ビーム描画を開始する前に、例えば図示しないパーソナルコンピュータなどにより構成される外部の設計データ作成装置から描画制御部50に送られ、設計データ記憶部52に記憶される。記憶された設計データは、描画データ生成部56の要求により、描画データ生成部56へ送出される。
照射ドーズ量算出部54は、露光工程時間内のPDによるドーズ量の低下を補正するために、入力部70によって入力された情報(特に目標ドーズ量および総走査回数)に基づいて、各露光走査における照射ドーズ量を算出するものである。本実施形態では、照射ドーズ量は(目標ドーズ量)/(総走査回数)によって算出される。算出された照射ドーズ量は、描画データ生成部に56へ送出される。
描画データ生成部56は、設計データ、目標ドーズ量、総走査回数および照射ドーズ量に基づいて描画データを生成する。例えば描画データは、折り返し露光を実施するに際し、どれだけの照射ドーズ量を使用しながらレジスト膜11上のどのような形状のブロック(露光領域)をどのような経路で露光走査するのかを示す情報を含む。生成された描画データは、ショットデータ生成部58およびステージ駆動制御部64へ送出される。
ショットデータ生成部58は、描画データに基づいてショットデータを生成する。例えばショットデータは、折り返し露光を実施するに際し、各ショットでレジスト膜11上のどのセルにどれだけの長さの電子ビームを当てるのかを示す情報を含む。生成されたショットデータは、ブランキング制御部60およびビーム偏向制御部62へ送出される。
ブランキング制御部60は、ショットデータに基づいて、電子ビームのブランキング、つまり第1偏向器24のオンオフを制御する。これにより、ショットごとに電子ビームの線分が形成される。一方、ビーム偏向制御62は、ショットデータに基づいて、電子ビームの上記各線分がレジスト膜11上の所定のセルに照射されるように、第2偏向器28を制御する。また、ステージ駆動制御部64は、描画データに基づいて、電子ビームの上記各線分がレジスト膜11上の所定のブロックに照射されるように、XYステージ30を制御する。
(作用効果)
本実施形態の露光方法および露光装置は、1回目の露光走査と2回目の露光走査とを相補的に組み合わせてドーズ量の低下量全体を平均化することにより、露光場所(または露光時刻)に応じた露光作業全体の終了時におけるドーズ量の低下量のばらつきを低減するという効果を奏する。これは以下のように説明される。
図5は、時間の経過とPEDまたはPCDに起因するドーズ量の低下との関係を示すグラフである。菱形のプロットはPEDによるドーズ量の低下を示し、四角のプロットはPCDによるドーズ量の低下を示す。このグラフから、PEDまたはPCDによるドーズ量の低下量は、照射ドーズ量が一定であれば時間経過に伴ってほぼ一定の割合で増加することが分かる。なお、ドーズ量の低下量が時間経過に伴って増加するということは、PEDの場合には先にショットされた露光領域ほど、PCDの場合には後でショットされた露光領域ほど、露光作業全体の終了時においてその低下量が多いことを表している。つまり、レジスト膜中での反応に実際に寄与することができるドーズ量(見かけドーズ量)は、ショットした順番に依存して理論的な照射ドーズ量から徐々に減少していくこととなる。
一方、図6は、時間の経過とPEDに起因するドーズ量の低下との関係を、異なるドーズ量ごとに示すグラフである。菱形のプロットは所定の照射ドーズ量を与えた場合におけるドーズ量の低下を示し、四角のプロットはその照射ドーズ量の1.5倍のドーズ量を与えた場合におけるドーズ量の低下を示す。このグラフから、PEDによるドーズ量の低下する割合は、時間が一定であれば照射ドーズ量の値に依存せずほぼ一定であることがわかる。そして、この傾向はPCDの場合についても同じである。
以上を踏まえて例えば、同じ露光工程時間内で目標ドーズ量を50μC/cmとして、例えば16のブロック(図2のB1〜B16)を露光する2つの方法を考える。1つは50μC/cmの照射ドーズ量で露光走査を1回のみ実施する方法(つまり従来の露光方法)であり、もう1つは25μC/cmの照射ドーズ量で露光走査を折り返して2回実施する方法(つまり本実施形態の折り返し露光)である。
下記表1は、所定のレジスト膜に従来の露光方法を実施した時における、ビームのショットとそのショットによって与えられたドーズ量の低下量との関係をまとめた表である。表中の「ドーズ低下量(PED)」の項目は、そのショットによって与えられたドーズ量の露光工程時間経過時における低下量のうちPEDに起因するものを示し、「ドーズ低下量(PCD)」の項目は、そのショットによって与えられたドーズ量の露光工程時間経過時における低下量のうちPCDに起因するものを示し、「ドーズ低下量(PD)」の項目は、そのショットによって与えられたドーズ量の露光工程時間経過時における低下量全体を示す。「見かけドーズ量」は照射ドーズ量(折り返し露光の場合には、露光走査ごとの照射ドーズ量の合計)からドーズ低下量(PD)を引いたものである。そして、図7は、表1のPDによる低下量をショットごとにプロットしたグラフである。つまり、図7は、照射ドーズ量として各ブロック(B1からB16まで)に50μC/cmずつ与えている条件下で、ショットの順番に依存して各ブロックからどの程度のドーズ量が露光工程時間経過時において失われているかを示している。図7に示されるように、16カ所のブロックには順番に50μC/cmのドーズ量が与えられているが、露光工程時間経過時においては、先にショットされたブロックほどPEDによる影響を受けて必ず見かけドーズ量が小さくなってしまう。
一方、下記表2は、所定のレジスト膜に折り返し露光を実施した時における、ビームのショットとそのショットによって与えられたドーズ量の低下量との関係をまとめた表である。そして、図8は、表2のPDによる低下量をショットごとにプロットしたグラフであり、図9は、表2の見かけドーズ量をショットごとにプロットしたグラフである。図8において図7と異なる点は、例えば、同じ露光工程時間内での露光作業であるが、照射ドーズ量が半分であることとの関係で最初のショットの低下量が半分になっていることと、2回露光走査を行う関係でショット間隔が半分になりショット数が2倍になっていることである。前者は、前述した「ドーズ量の低下する割合は時間が一定であれば照射ドーズ量の値に依存せずほぼ一定であること」から明らかである。また、後者も同じ露光工程時間内で往復の露光走査を実施することから明らかである。
ところで、図9はあくまでもショット番号に対して見かけドーズ量をプロットしたグラフであるから、各露光走査が各ブロックに対して与えたドーズ量を把握する上では、図9を折り返し地点(ブロックB16)で折り返したグラフ(図10)が助けとなる。図10において、菱形のプロットS1は1回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示し、四角のプロットS2は2回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示す。つまり、図10は例えば、ブロックB1は最初のショットと32番目のショットによってドーズ量が与えられ、ブロックB16は16番目のショットと17番目のショットによってドーズ量が与えられることを示す。
そして、それぞれの露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を足し合わせると、図11に示されるようにブロックごとの全体の見かけドーズ量が求められる。特に図11において、ブロックごとの全体の見かけドーズ量がほぼ一致する(ドーズ量の低下の傾向が理想的な線形である場合には完全に一致する)ことが重要である。これは、図12に示されるように、1回目の露光走査によって与えられた見かけドーズ量(図12a)と2回目の露光走査によって与えられた見かけドーズ量(図12b)とが相補的に合算されることにより、ドーズ量の低下量全体が平均化されたためである(図12c)。
以上のように、本実施形態に係る露光方法および露光装置によれば、総走査回数が偶数回となるように照射ドーズ量を維持しながら折り返し露光を実施するから、露光場所(または露光時刻)に応じた露光作業全体の終了時におけるドーズ量の低下量のばらつきが低減する。また、補正のために行う作業としては単に最初の経路を折り返すのみである。したがって、化学増幅型レジストからなるレジスト膜の露光において、従来技術に比してより簡易に、PDに起因するドーズ量の低下を補正することが可能となる。そして、その結果として、現像後のパターン寸法のばらつきも低減する。
「露光方法および露光装置の第2の実施形態」
次に露光方法および露光装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、照射ドーズ量の設定方法の点で、第1の実施形態の場合と異なる。したがって、第1の実施形態の場合と同様の構成要素についての詳細な説明は特に必要がない限り省略し、同様の構成要素には同じ符号を付すこととする。図13は、第2の実施形態の露光装置の構成を示す概略図である。
(露光装置)
本実施形態の露光装置100も、図13に示されるように、電子ビーム描画部20、描画制御部50および入力部70を備える。電子ビーム描画部20および入力部70は第1の実施形態におけるものと同一である。描画制御部50は、主に露光工程時間算出部66を有する点で、第1の実施形態の場合と異なる。
露光工程時間算出部66は、設計データ記憶部52に記憶された設計データに基づいて、その設計データに係る描画パターンを描画するために必要と思われる露光工程時間を算出するものである。これにより、後述する補正係数を試験的な折り返し露光を実施しなくても得ることができる。補正係数の算出方法については後述する。露光工程時間は、例えば全露光領域の大きさ、露光領域の配置、総走査回数および目標ドーズ量に基づいて予測することができる。特に全露光領域の大きさは当該時間の増減に直結するためである。また、露光領域の配置および総走査回数はセトリング時間(ある露光領域から次の露光領域まで露光用ビームを運ぶ時間)に影響し、目標ドーズ量は各露光領域での露光時間に影響する場合があるためである。例えば本実施形態では従来技術との比較のために、露光工程時間算出部66は、補正係数を求める際の露光工程時間として、目標ドーズ量そのものを照射ドーズ量として1回の露光走査のみで露光工程(つまり従来の露光工程)を実施した時に要する時間(つまり基準の露光工程時間)と同じ長さの時間を採用する。算出された露光工程時間は照射ドーズ量算出部54に送出される。
照射ドーズ量算出部54は、露光工程時間内のPDによるドーズ量の低下を補正するために、目標ドーズ量、総走査回数および露光工程時間に基づいて、補正された照射ドーズ量を算出するものである。照射ドーズ量の補正方法については後述する。また、照射ドーズ量算出部54は、後述するテーブルデータを記憶するメモリを備え、必要に応じて当該テーブルデータを読み出す。
(照射ドーズ量の補正)
第1の実施形態において、露光領域(ブロック)ごとの全体の見かけドーズ量がほぼ一致することを説明した。しかしながら、図11に示されるように、照射ドーズ量として単に目標ドーズ量の半分の値を設定しただけでは、露光領域ごとの全体の見かけドーズ量は目標ドーズ量に到達しない。そこで本実施形態では、基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮して、この不足するドーズ量を補填するべく、照射ドーズ量として下記式3を満たす値を設定する。
式3において、Dは照射ドーズ量を表し、Aは目標ドーズ量を表し、Nは総走査回数を表し、Pは所定の露光工程時間内のドーズ量の低下を考慮して予め求められたドーズ量の補正係数を表す。補正係数Pは、露光領域ごとの全体の見かけドーズ量が目標ドーズ量よりも小さくなること、つまり基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮して、照射ドーズ量を予め高めに補正するための係数である。
すなわち、本実施形態の露光方法は、例えば装置100を使用して、化学増幅型レジストからなるレジスト膜11が表面に形成された基板10を装置100に設置し、レジスト膜の所定の露光領域ごとに補正後の照射ドーズ量で電子ビームEBを走査しながら1回目の露光走査を実施し、その後、1回目の露光走査を実施した経路を折り返して、照射ドーズ量を維持しながら上記所定の露光領域ごとに2回目の露光走査を実施するものである。なお、本実施形態の露光工程時間は第1の実施形態のものと同じ長さである。
(補正係数)
例えば、補正係数Pは、目標ドーズ量Aと露光領域ごとの全体の見かけドーズ量の平均値(平均見かけドーズ量)Dとを用いて下記式4によって与えられる。
そして、補正係数Pは、その都度平均見かけドーズ量Dを求めずとも、下記式5によって与えられる。
式5において、αは露光工程時間経過時におけるPEDに起因するドーズ量の最大低下率を表し、βは露光工程時間経過時におけるPCDに起因するドーズ量の最大低下率を表す。
式5は以下のようにして導出される。前述したようにPEDまたはPCDによるドーズ量の低下量は時間の経過に伴ってほぼ一定の割合で増加するため、この変化の傾向を線形で近似することができる。この場合において、露光工程時間が与えられるとその時間経過時でのPEDまたはPCDによるドーズ量の最大低下量が決まる。一方、PEDまたはPCDによるドーズ量の低下する割合は、照射ドーズ量の値に依存せずほぼ一定であるため、その最大低下量を照射ドーズ量で規格化すれば、そのレジスト材料についてのPEDまたはPCDによるドーズ量の最大低下率が求められる。このとき、各露光領域での露光工程時間経過時におけるPEDによるドーズ量の平均の低下率およびPCDによるドーズ量の平均の低下率は、それぞれα/2およびβ/2となる。これは、ドーズ量変化の傾向を線形で近似しかつ経路を折り返しているためである。したがって、目標ドーズ量Aを総走査回数Nで割った値を基準の照射ドーズ量D(=A/N)とした折り返し露光において、平均見かけドーズ量Dは下記式6のように表される。そして、式6を式4へ代入することにより式5が得られる。
上記のようにレジストの材料種ごとに、PEDおよびPCDそれぞれによる最大低下率αおよびβと露光工程時間との関係(αおよびβを既に加算した総合的な低下率と露光工程時間との関係を含む)を予め求めておけば、式5に基づいて容易に補正係数Pが求められる。ドーズ量についての低下率と露光工程時間との関係は、例えばレジストの材料種ごとにテーブルデータとして管理される。
例えば、第1の実施形態の折り返し露光における補正係数Pを求める場合を考える。上記表2において、基準の露光工程時間経過時でのPEDによる最大低下率αおよびPCDによる最大低下率βは、それぞれ0.150および0.003であるから、補正係数Pは1.083である。したがって、目標ドーズ量A=50μC/cm、総走査回数N=2回および補正係数P=1.083を使用して式3から、補正された照射ドーズ量Dは27.071となる。
下記表3は、上記の補正された照射ドーズ量(=27.071μC/cm)を用いて折り返し露光を実施した場合における、ビームのショットとそのショットによって与えられたドーズ量の低下量との関係をまとめた表である。そして、図14は、表3のPDによる見かけドーズ量をショットごとにプロットしたグラフであり、図15は、ショット番号に対してプロットされた図14のグラフを露光領域に対してプロットしたグラフに変換したものである。
図15において、菱形のプロットS1は1回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示し、四角のプロットS2は2回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示す。そして、図10で説明した場合と同じように、図15におけるそれぞれの露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を足し合わせると、図16に示されるようにブロックごとの全体の見かけドーズ量が求められる。図16では、基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮して、照射ドーズ量を補正したことにより、露光領域ごとの全体の見かけドーズ量が目標ドーズ量の50μC/cmに達していることがわかる。
(露光手順)
以下具体的な露光手順を示す。本実施形態ではまず、例えば入力部70から、目標ドーズ量Aおよび総走査回数Nの情報の他に、さらにレジストの材料種等の情報も入力される(図17のSTEP1)。そして、これらの情報は描画データ生成部56へ送出される。露光工程時間算出部66は、設計データに基づいて露光工程時間を算出し、それを照射ドーズ量算出部54へ送出する。照射ドーズ量算出部54は、上記テーブルデータを参照することにより、そのレジストの材料種における上記露光工程時間経過時でのドーズ量の最大低下率αおよびβを求める(図17のSTEP2)。そして、照射ドーズ量算出部54において、求めた最大低下率αおよびβを用いて式5に基づいて補正係数Pがさらに求められ、最終的に式3に基づいて補正された照射ドーズ量が求められる(図17のSTEP3)。補正された照射ドーズ量Dの情報は、描画データ生成部56へ送出される。一方、設計データ記憶部52からは設計データが描画データ生成部56へ送出される。描画データ生成部56では、設計データや補正後の照射ドーズ量に基づいて描画データが生成される。そして、第1の実施形態と同様に描画データおよびショットデータに基づいて、ブランキング、ビームの偏向およびステージの駆動が制御されて、本実施形態の折り返し露光が実施される(図17のSTEP4)。
なお、第2の実施形態では、算出された露光工程時間とテーブルデータとに基づいて補正係数を求めたが、補正係数の求め方はこれに限定されない。例えば、試験的に目標ドーズ量の半分の値を照射ドーズ量として折り返し露光を実施することにより平均見かけドーズ量Dを得れば、補正係数Pを求めることは可能である。
「露光方法および露光装置の第3の実施形態」
次に露光方法および露光装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、総走査回数の点で、第2の実施形態の場合と異なる。したがって、第2の実施形態の場合と同様の構成要素についての詳細な説明は特に必要がない限り省略し、同様の構成要素には同じ符号を付すこととする。
本実施形態の露光方法は、図13に示される装置100を使用して、化学増幅型レジストからなるレジスト膜11が表面に形成された基板10を装置100に設置し、レジスト膜の所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で電子ビームEBを走査しながら1回目の露光走査を実施し、1回目の露光走査を実施した経路を折り返して、照射ドーズ量を維持しながら上記所定の露光領域ごとに2回目の露光走査を実施し、1回目の露光走査を実施した経路と同じ経路で、照射ドーズ量を維持しながら上記所定の露光領域ごとに3回目の露光走査を実施し、2回目の露光走査を実施した経路と同じ経路で、照射ドーズ量を維持しながら上記所定の露光領域ごとに4回目の露光走査を実施するものである。すなわち、本実施形態の露光方法は、レジスト膜に対して2往復分の4回の露光走査を実施するものである。なお、本実施形態の露光工程時間は第2の実施形態のものと同じ長さである。つまり、第2の実施形態と同様に全露光領域が16のブロックに分割されている場合には、本実施形態の場合には、全部で64ショットされることになる。
照射ドーズ量は、第2の実施形態で説明した式3および式5に基づいて補正を行う。つまり、本実施形態における露光工程時間と第2の実施形態における露光工程時間の長さは同じであるから、PEDおよびPCDそれぞれによる最大低下率αおよびβは第2の実施形態の場合と同じくそれぞれ0.150および0.003である。したがって、補正係数Pは1.083である。以上より本実施形態では、目標ドーズ量A=50μC/cm、総走査回数N=4回および補正係数P=1.083を使用して式3から、補正された照射ドーズ量Dは13.535となる。
下記図18は、所定のレジスト膜に折り返し露光を実施した時における、ビームのショットとそのショットによって与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。なお、図18では照射ドーズ量は、目標ドーズ量(50μC/cm)の4分の1(12.5μC/cm)としている。そして、図19は、補正された照射ドーズ量で折り返し露光を実施した時における、ビームのショットとそのショットによって与えられた見かけドーズ量との関係を示すグラフである。図18および図19は、図18の各プロットに上記補正係数を掛けると図19の各プロットになるという関係がある。また、図20は、ショット番号に対してプロットされた図19のグラフを露光領域に対してプロットしたグラフに変換したものである。
図20において、黒塗りの菱形のプロットS1は1回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示し、白塗りの菱形のプロットS2は2回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示し、黒塗りの四角のプロットS3は3回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示し、白塗りの四角のプロットS4は4回目の露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を示す。そして、図10で説明した場合と同じように、図20におけるそれぞれの露光走査が各ブロックに与えた見かけドーズ量を足し合わせると、ブロックごとの全体の見かけドーズ量が求められる。このブロックごとの全体の見かけドーズ量は、例えばブロックB1では11.5+12.5+12.5+13.5=50となり、ブロックB16では12+12+13+13=50となることから分かるように、すべてのブロックにおいて全体の見かけドーズ量が目標ドーズ量の50μC/cmに達することとなる。これは、露光工程時間経過時において往路の露光走査と復路の露光走査とを相補的に組み合わせることにより、ドーズ量の低下量全体が平均化されたためである。例えば本実施形態では、1回目の露光走査と4回目の露光走査が相補的に組み合わさったと考えることも可能であるし、1回目の露光走査と2回目の露光走査が相補的に組み合わさったと考えることも可能である。
「露光方法および露光装置の第4の実施形態」
次に露光方法および露光装置の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、照射ドーズ量を順次更新しながら折り返し露光を繰り返す点で、第2の実施形態の場合と異なる。したがって、第2の実施形態の場合と同様の構成要素についての詳細な説明は特に必要がない限り省略し、同様の構成要素には同じ符号を付すこととする。
第2および3の実施形態では、全体の見かけドーズ量が目標ドーズ量(50μC/cm)に達するように補正係数を考慮して、全体としての照射ドーズ量(54.14μC/cm)が目標ドーズ量を超えるように設定された。しかしながら、上記実施形態の補正方法でもドーズ量の補正としては充分な効果を得られるが、さらに補正精度を高めるためには、露光時間の増加(露光時間でドーズ量を調整する制御系に限る)およびセトリング時間の増加の問題に対処する必要がある。
例えば、露光時間でドーズ量を調整する制御系において50μC/cmのドーズ量を照射するために500μsecの露光時間が必要である場合には、55μC/cmのドーズ量を照射するためにはその1.1倍の550μsecの露光時間が必要である。このような条件の下、例えば1億(10)カ所の露光領域を露光走査する場合には、照射ドーズ量が50μC/cmであれば露光時間は50000secであるのに対して、照射ドーズ量が55μC/cmであれば露光時間は55000secとなる。つまり、照射ドーズ量が5μC/cm増加するとこれに伴って露光時間が5000sec(約83min)増加する。なお、ドーズ量を調整する方法としてもう1つ電流値を変更する方法があるが、この場合には上記のような問題は起きない。
一方、折り返し露光を実施するとその分だけ露光領域間の移動が増加する。例えば1億(10)カ所の露光領域を露光走査する場合には、1回の移動に伴うセトリング時間が500nsであるとすると、露光走査が1回増加するごとに約50secのセトリング時間が増加する。
露光時間およびセトリング時間の増加は、露光工程時間の増加をもたらす。基準の露光工程時間を想定して補正された照射ドーズ量によって折り返し露光を実施すると、実際の露光工程時間はその基準の露光工程時間を超えていることになる。例えば図21は、露光時間によって照射ドーズ量を制御する場合において、実際の露光工程時間が想定した露光工程時間からずれることを示すグラフである。図中Xは折り返し地点および終了地点における想定した露光工程時間での相対ドーズ量のプロット、Yは同じ地点における実際の露光工程時間での相対ドーズ量のプロットである。図21から、実際の露光工程時間が想定した露光工程時間よりも長いことにより、補正量が不足することが予想される。
そこで本実施形態では、折り返し露光を行った後実際に要した露光工程時間を計算し、この新たな露光工程時間を基に必要な照射ドーズ量を再計算(更新)し、この新たな照射ドーズ量による折り返し露光を実施する。なお、1回目の折り返し露光の際には、実際に要した露光工程時間を知ることはできないが、設計データからセトリング時間および露光時間の増加を踏まえ露光工程時間の増加を予測することは可能である。したがって、1回目の折り返し露光の際には、上記の予測される露光工程時間に基づいて、照射ドーズ量を補正してもよい。
すなわち、本実施形態の露光方法は、例えば装置100を使用して、化学増幅型レジストからなるレジスト膜11が表面に形成された基板10を装置100に設置し、レジスト膜の所定の露光領域ごとに補正後の照射ドーズ量で電子ビームEBを走査しながら1回目の露光走査を実施し、その後、1回目の露光走査を実施した経路を折り返して、照射ドーズ量を維持しながら上記所定の露光領域ごとに2回目の露光走査を実施し(1回目の折り返し露光)、1回目の折り返し露光が終了した後、実際に1回目の折り返し露光が終了するのに要した時間を算出して、当該時間を新たな露光工程時間として設定し、新たな露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮して照射ドーズ量を再計算し、再計算された照射ドーズ量を使用して、上記化学増幅型レジストからなるレジスト膜に対し別途折り返し露光工程を実施するものである。
「上記化学増幅型レジストからなるレジスト膜に対し別途折り返し露光工程を実施する」とは、同じ材料種からなるレジスト膜であれば、1回目の折り返し露光が実施されたレジスト膜ではない別のレジスト膜に別途折り返し露光を実施する場合、および、1回目の折り返し露光が実施されたレジスト膜のうち1回目の折り返し露光が実施された露光領域以外の場所に別途折り返し露光を実施する場合を含む意味である。
また、新たな露光工程時間の設定、照射ドーズ量の再計算並びに折り返し露光工程の実施は、順次複数回繰り返すことができる。露光工程時間の更新を多く行う程、実際の露光工程時間と想定した露光工程時間との差が小さくなり、より補正の精度を高めることができるためである。
(露光装置)
図22は、本実施形態の露光装置100の構成を示す概略図である。本実施形態の露光装置100も、電子ビーム描画部20、描画制御部50および入力部70を備え、その構成はすべて第2の実施形態のものと同様である。
露光工程時間算出部66は、折り返し露光ごとに露光工程時間を算出する。1回目の折り返し露光を実施する場合には設計データに基づいて露光工程時間を予測し、2回目以降の折り返し露光を実施する場合には1つ前の折り返し露光に要した時間を、次の折り返し露光における照射ドーズ量を補正する際の露光工程時間として設定する。露光工程時間の予測は、例えば全露光領域の大きさ、露光領域の配置、総走査回数および目標ドーズ量に基づいてすることができる。予測された露光工程時間は、基準の露光工程時間として照射ドーズ量算出部54に送出される。一方、1つ前の折り返し露光に要した時間は、例えば電子ビーム描画部20から送出される開始信号(露光を開始した旨を知らせる信号)と終了信号(露光が終了した旨を知らせる信号)とに基づいて算出される(図21)。
照射ドーズ量算出部54は、露光工程時間算出部66から露光工程時間を受信するごとに、最新の露光工程時間と上記テーブルデータとを参照しながら照射ドーズ量を再計算する。再計算された照射ドーズ量はその都度、描画データ生成部56に送出される。
その後は、描画データ生成部56、ショットデータ生成部58、ブランキング制御部60、ビーム偏向制御部62およびステージ駆動制御部64が、照射ドーズ量が再計算されるごとに前述した機能を果たす。
(露光手順)
以下、図23を用いて本実施形態の露光方法の手順を説明する。図23は、第4の実施形態における露光方法の工程を示すフロー図である。まず、予測された露光工程時間に基づいて算出された照射ドーズ量で1回目の折り返し露光が実施される(STEP1〜4)。1回目の折り返し露光が終了した後、露光工程時間算出部66が1回目の折り返し露光において実際に要した時間を算出する(STEP5)。そして、露光工程時間を更新して、最大低下率αおよびβおよび補正係数Pを更新することにより式3に基づいて照射ドーズ量を更新する(STEP6〜8)。次に、新たな照射ドーズ量を使用して2回目の折り返し露光を実施する(STEP9)。そして、露光工程時間を更新する場合にはSTEP5へ移行し必要に応じてSTEP5〜10を繰り返す。露光工程時間を更新しない場合には露光作業全体が終了する。
(設計変更)
第1から4の実施形態では、折り返し露光を実施する場合について説明したが、本発明は露光走査を折り返す場合に限定されない。つまり、1回目の露光走査を実施した経路を往路とした場合に、全体として往路および復路が同じ回数あればよく、例えば露光走査が4回である場合において往路、復路、復路および往路の順でもよいし、往路、往路、復路および復路の順でもよい。これは、全体として往路および復路が同じ回数あれば、往路および復路それぞれの露光走査によって与えられた見かけドーズ量が相補的に合算されることにより、必ずドーズ量の低下量全体が平均化されるためである。折り返し露光を採用した場合には、次の露光走査へ移行する際に、露光用ビームをその開始地点に容易に運ぶことができるという利点がある。
「レジストパターンの形成方法および原盤の製造方法の実施形態」
次に、レジストパターンの形成方法および原盤の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態のレジストパターンの形成方法は、露光方法の第1から4の実施形態で説明したいずれかの方法により、被加工体上に形成された化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光し、その後、レジスト膜を現像するものである。これにより、描画パターンに対応するレジストパターンが被加工体上に形成される。
一方本実施形態の原盤の製造方法は、露光方法の第1から4の実施形態で説明したいずれかの方法により、被加工体上に形成された化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光し、その後レジスト膜を現像して被加工体上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにしてドライエッチングを行い、レジストパターンに対応した凹凸パターンを被加工体上に形成して所定の凹凸パターンを有する原盤を得るものである。
ドライエッチングとしては、基板に凹凸パターンを形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、などが挙げられる。これらの中でも、イオンミリング法、RIEが特に好ましい。
10 基板
11 レジスト膜
20 電子ビーム描画部
20a 電子鏡筒
20b 描画室
22 電子銃
24、28 偏向器
26 アパーチャ
30 XYステージ
50 描画制御部
52 設計データ記憶部
54 照射ドーズ量算出部
56 描画データ生成部
58 ショットデータ生成部
60 ブランキング制御部
62 ビーム偏向制御部
64 ステージ駆動制御部
66 露光工程時間算出部
70 入力部
100 露光装置
B1〜16 全露光領域中のブロック
C1〜16 ブロック中のセル
EB 電子ビーム
R 全露光領域

Claims (18)

  1. 化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光用ビームで露光する露光方法であって、
    前記レジスト膜の所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で1回目の露光走査を実施し、該1回目の露光走査を実施した経路を往路とした場合に、前記照射ドーズ量を維持しながら全体として往路および復路が同じ回数になるように2回目以降の露光走査を実施する往復露光工程を含むことを特徴とする露光方法。
  2. 前記2回目以降の露光走査を順次折り返して実施することを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
  3. 前記照射ドーズ量が、前記レジスト膜中での反応に寄与させたい目標ドーズ量と前記露光走査の総走査回数とに基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
  4. 基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮し、前記照射ドーズ量として下記式1を満たす値を設定することを特徴とする請求項3に記載の露光方法。
    (式1において、Dは前記照射ドーズ量を表し、Aは前記目標ドーズ量を表し、Nは前記総走査回数を表し、Pは露光工程時間内のドーズ量の低下を考慮して予め求められたドーズ量の補正係数を表す。)
  5. 前記補正係数として下記式2を満たす値を設定することを特徴とする請求項4に記載の露光方法。
    (式2において、αは露光領域が露光されてから現像されるまでの時間に起因するドーズ量の露光工程時間経過時における最大低下率を表し、βはレジスト膜が形成されてから露光領域が露光されるまでの時間に起因するドーズ量の露光工程時間経過時における最大低下率を表す。)
  6. 予め作成された前記最大低下率αおよびβと露光工程時間との関係を表したテーブルデータに基づいて、所定の露光工程時間に対応する前記テーブルデータ上の前記最大低下率αおよびβを参照することを特徴とする請求項5に記載の露光方法。
  7. 前記所定の露光工程時間を、全露光領域の大きさ、前記露光領域の配置、前記総走査回数および前記目標ドーズ量に基づいて予測することを特徴とする請求項6に記載の露光方法。
  8. 前記露光走査のすべてが終了した後、実際に前記露光走査のすべてが終了するのに要した時間を算出して、該時間を新たな露光工程時間として設定し、
    該新たな露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮して前記照射ドーズ量を再計算し、
    再計算された前記照射ドーズ量を使用して、前記化学増幅型レジストからなるレジスト膜に対し前記往復露光工程を実施することを特徴とする請求項4から7いずれかに記載の露光方法。
  9. 前記新たな露光工程時間の設定、前記照射ドーズ量の再計算並びに前記往復露光工程の実施を順次複数回繰り返すことを特徴とする請求項8に記載の露光方法。
  10. 化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光用ビームで露光する露光装置であって、
    前記露光用ビームを出射するビーム銃を有し、前記レジスト膜の所定の露光領域ごとに露光走査を実施する露光部と、
    該露光部を制御する制御部とを備え、
    該制御部が、所定の露光領域ごとに所定の照射ドーズ量で1回目の露光走査を実施し、該1回目の露光走査を実施した経路を往路とした場合に、前記照射ドーズ量を維持しながら全体として往路および復路が同じ回数になるように2回目以降の露光走査を実施する往復露光工程を実施するように前記露光部を制御するものであることを特徴とする露光装置。
  11. 前記制御部が、前記2回目以降の露光走査を順次折り返して実施するように制御するものであることを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
  12. 前記制御部が、前記レジスト膜中での反応に寄与させたい目標ドーズ量と前記露光走査の総走査回数とに基づいて前記照射ドーズ量を設定するものであることを特徴とする請求項10または11に記載の露光装置。
  13. 前記制御部が、基準の露光工程時間内の時間の経過に伴うドーズ量の低下を考慮し、前記照射ドーズ量として下記式3を満たす値を設定するものであることを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
    (式3において、Dは前記照射ドーズ量を表し、Aは前記目標ドーズ量を表し、Nは前記総走査回数を表し、Pは露光工程時間内のドーズ量の低下を考慮して予め求められたドーズ量の補正係数を表す。)
  14. 前記制御部が、前記補正係数として下記式4を満たす値を設定するものであることを特徴とする請求項13に記載の露光装置。
    (式4において、αは露光領域が露光されてから現像されるまでの時間に起因するドーズ量の露光工程時間経過時における最大低下率を表し、βはレジスト膜が形成されてから露光領域が露光されるまでの時間に起因するドーズ量の露光工程時間経過時における最大低下率を表す。)
  15. 前記制御部が、前記最大低下率αおよびβと露光工程時間との関係を表したテーブルデータを有し、所定の露光工程時間に対応する前記テーブルデータ上の前記最大低下率αおよびβを参照するものであることを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
  16. 前記制御部が、前記所定の露光工程時間を、全露光領域の大きさ、前記露光領域配置、前記総走査回数および前記目標ドーズ量に基づいて予測するものであることを特徴とする請求項15に記載の露光装置。
  17. 請求項1から9いずれかに記載の露光方法により、被加工体上に形成された化学増幅型レジストからなるレジスト膜を露光し、その後、前記レジスト膜を現像することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
  18. 請求項17に記載の形成方法により被加工体上に形成されたレジストパターンをマスクとして、前記被加工体をエッチングすることを特徴とする原盤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020021940A (ja) * 2018-08-03 2020-02-06 シャープ株式会社 レジスト膜形成基板の製造方法及びレジスト膜形成基板の製造に係る工程管理システム

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