JP2013204676A - 変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両への搭載性を向上させるとともに高い変速比を得られる変速装置を提供することを目的とする。
【解決手段】変速装置3のプラネタリ機構60は、変速機構10の出力軸13,14とギヤ対41,62を介して連結された中間軸61と、中間軸61に固定されたサンギヤ63と、サンギヤ63と噛合する遊星ギヤ64aの中間軸61回りの回転を規制するように当該遊星ギヤ64aを支持するキャリア64と、内周面に遊星ギヤ64aと噛合するリングギヤ651aが形成されるとともに、外周面に差動機構70のデフリングギヤ71と噛合する最終減速ギヤ652aが形成される環状部材65とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】変速装置3のプラネタリ機構60は、変速機構10の出力軸13,14とギヤ対41,62を介して連結された中間軸61と、中間軸61に固定されたサンギヤ63と、サンギヤ63と噛合する遊星ギヤ64aの中間軸61回りの回転を規制するように当該遊星ギヤ64aを支持するキャリア64と、内周面に遊星ギヤ64aと噛合するリングギヤ651aが形成されるとともに、外周面に差動機構70のデフリングギヤ71と噛合する最終減速ギヤ652aが形成される環状部材65とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、変速機構および差動機構を備えた変速装置に関する。
変速装置は、車両に搭載されたエンジンなどの原動機が出力する回転駆動力を変速する装置として用いられている。車両の変速装置として、複数の歯車対により変速を行う変速機構と、一対の車軸に車両状態などに応じて回転駆動力を配分する差動機構と、を備えるいわゆるトランスアクスルがある(特許文献1,2参照)。このトランスアクスルは、動力伝達装置を一体化し軸方向幅を縮めることができることから、特にエンジンの搭載位置と駆動輪が比較的近接して配置されるFF車などに多く採用されている。
ところで、車両にはエンジンルームを小型化し車室内を広くする要請があるため、変速装置には搭載位置や体格に制約があり小型化が求められている。しかし、このような変速装置において必要とされる変速比を得るためには、変速機構における歯車対や差動機構におけるデフリングギヤを大径化する場合がある。そうすると、変速装置の搭載性の低下や他部材の形状変更などが必要となるおそれがある。また、特許文献2のように、複数のクラッチを備えるデュアルクラッチ式の変速装置の場合には、軸方向に長くなる傾向にあり、特に他部材との干渉を避けるために搭載位置などが制約される。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、車両への搭載性を向上させるとともに高い変速比を得られる変速装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る変速装置は、車両の原動機の回転駆動力を変速する変速機構と、前記車両における一対の車軸に回転駆動力を配分する差動機構と、前記変速機構から入力した回転駆動力を変速して前記差動機構に伝達するプラネタリ機構と、を備え、前記プラネタリ機構は、前記変速機構の出力軸と平行に且つ径方向に離間して配置され、前記変速機構の前記出力軸とギヤ対を介して連結された中間軸と、前記中間軸に固定されたサンギヤと、前記サンギヤと噛合する遊星ギヤの前記中間軸回りの回転を規制するように当該遊星ギヤを支持するキャリアと、内周面に前記遊星ギヤと噛合するリングギヤが形成されるとともに、外周面に前記差動機構のデフリングギヤと噛合する最終減速ギヤが形成される環状部材と、を有する。
請求項2に係る変速装置によると、前記最終減速ギヤは、前記環状部材において前記リングギヤと異なる軸方向位置に形成されるとともに、前記リングギヤよりもピッチ円直径が小径に形成される。
請求項3に係る変速装置によると、前記変速機構は、同心に配置された第一入力軸および第二入力軸と、前記原動機の回転駆動力を前記第一入力軸に伝達する第一クラッチと回転駆動力を前記第二入力軸に伝達する第二クラッチとを有するデュアルクラッチと、を有する。
請求項4に係る変速装置によると、前記変速機構において最も高い減速比である変速段を構成する駆動ギヤは、前記第一入力軸および前記第二入力軸のうち外周側に位置する入力軸に設けられる。
請求項5に係る変速装置によると、前記環状部材の前記最終減速ギヤは、前記変速機構の前記出力軸と前記中間軸を連結する前記ギヤ対よりも前記車両の左右方向中央側に位置するように形成される。
請求項6に係る変速装置によると、前記環状部材は、前記遊星ギヤおよび前記キャリアの外周側に配置され且つ前記リングギヤが形成される大径部と、前記最終減速ギヤが形成される小径部と、前記大径部と前記小径部を連結する連結部と、により構成され、前記プラネタリ機構は、前記キャリアの軸方向端面に設けられ前記環状部材における前記連結部を相対回転可能に支持するスラスト軸受を有する。
請求項1に係る発明によると、変速機構と差動機構の間に介在するプラネタリ機構によって、さらに変速することが可能となり、高い変速比を得ることができる。また、このプラネタリ機構は、変速機構によって変速された回転駆動力をサンギヤから入力し、リングギヤが形成された環状部材から差動機構へと出力する。このとき、プラネタリ機構の遊星ギヤがキャリアにより中間軸に対する回転(公転)を規制されているため、このような構成においては中間軸と環状部材の回転方向が反転することになる。そのため、最終減速ギヤによって回転するデフリングギヤは、従来のように変速機構と差動機構の間にプラネタリ機構を有さない構成と同様の回転方向で回転することになる。つまり、本発明によると、従来の変速装置と同方向に回転駆動力を出力するとともに、さらに高い変速比を得ることが可能となる。
そのため、従来のように変速機構における歯車対や差動機構におけるデフリングギヤを大径化することなく、所望される変速比を得られる。これに対して、変速装置全体として所定の変速比に設定する場合には、従来と比較してデフリングギヤなどを小径化することができる。従って、変速装置の体格を小型化することができるので、車両への搭載性を向上させることができる。また、これに伴い変速装置のハウジングも小型化するため、内部の潤滑性を向上できるので、結果としてハウジング内に収容する潤滑油の油量を低減することができる。
請求項2に係る発明によると、最終減速ギヤとプラネタリ機構のリングギヤは、環状部材において異なる軸方向位置にそれぞれ形成される。つまり、リングギヤが遊星ギヤと噛合する軸方向位置と、最終減速ギヤが差動機構のデフリングギヤと噛合する軸方向位置が異なるようにしている。そして、最終減速ギヤのピッチ円直径をリングギヤのピッチ円直径よりも小径にすることで、最終減速ギヤによりさらに減速することができる。よって、変速装置全体として、さらに高い変速比を得ることが可能となる。
請求項3に係る発明によると、変速機構はデュアルクラッチ式としている。このように複数のクラッチを備える構成においては、変速装置が軸方向に長くなりデフリングギヤが配置される位置も車両の左右方向外側になる傾向にある。そうすると、例えば車両の左右方向外側に向かって外寸が大きくなるサスペンションメンバのような他部材との干渉が問題となる場合がある。そのため、特にデュアルクラッチ式の変速機構においては、本発明によりデフリングギヤの小径化を図ることにより車両への搭載性を向上させることが有用である。
請求項4に係る発明によると、変速機構において最も高い減速比である変速段を構成する駆動ギヤ(原動機に連結される入力軸に設けられるギヤ)は、複数の入力軸のうち外周側に位置する入力軸に設けられるものとしている。ここで、変速機構において最も高い減速比である変速段は一般に第1速段であり、この第1速段を構成する駆動ギヤは他の変速段の駆動ギヤと比較して小径に形成される。そして、変速機構全体として高い変速比を得るためには、この第1速段の駆動ギヤをより小径に設定する必要がある。そのため、デュアルクラッチ式の変速機構においては、第一入力軸と第二入力軸が同心に配置されることから外周側に位置する入力軸の方が必然的に大径となり、内周側に位置する入力軸に第1速段の駆動ギヤが設けられるのが一般的である。さらに、第1速段では高い回転駆動力を出力するため、入出力軸を支承する軸受になるべく近接する位置に設けることが好適である。これらを勘案すると、第1速段は、その構成上、ハウジングの最奥部に配置されることになる。これに加えて、変速機構の製造上の事情(ハウジングの抜き勾配など)により、デュアルクラッチ式の変速機構では、変速比を高くするために変速装置の体格が大型化するとともに、従動ギヤにて潤滑油の掻き上げを行うにあたり、最も大径のギヤ、つまり第1速段の従動ギヤで掻き上げをさせるためにもハウジング内に収容する潤滑油の油量も増量する必要があった。
これに対して、プラネタリ機構を備える変速装置ではデュアルクラッチ式の変速機構に要される変速比を低減することができるので、従来と比較して、第1速段の駆動ギヤを大径に設定することができる。これにより、同心に配置された第一入力軸および第二入力軸のうち外周側に位置する入力軸に第1速段の駆動ギヤを設けることが可能となる。これにより、第1速段を構成するギヤ対を、ハウジングの最奥部とは反対側(軸方向におけるデュアルクラッチおよび原動機に近接する側)に設けることが可能となる。よって、高い回転駆動力が伝達される第1速段を構成するギヤ対をより確実に支持することができるので、変速機構の動作をより安定化させることができる。さらに、変速機構の製造上の事情などとの関係から、変速機構のハウジングを小型化することができる。従って、装置全体として小型化できるとともに、潤滑性を向上させて収容する潤滑油の油量を低減できる。
請求項5に係る発明によると、プラネタリ機構に回転駆動力を入力するギヤ対に対して、最終減速ギヤが車両の左右方向中央側に位置するように形成されるものとしている。差動機構を備える変速装置では、一対の車軸に回転駆動力が配分されて駆動輪を回転することになる。そのため、一対の車軸は、差動機構にそれぞれ連結される位置から各駆動輪までの距離に基づく軸長に設定され、この軸長に応じた荷重に耐え得る剛性を有するようにそれぞれ設計される。しかし、車両の重量バランスや繰安性などの観点からは、パワートレーンにおける車軸は、それぞれの剛性が等しい方が好適である。そのため、変速装置における差動機構は、なるべく車両の軸方向中央側に配置されることが望ましい。そこで、本発明のように、最終減速ギヤを車両の左右方向中央側に配置することで、一対の車軸の軸長がより等しい状態に近付けることが可能となる。これにより、車両の重量バランスや繰安性を向上させることができる。
請求項6に係る発明において、プラネタリ機構は、キャリアと環状部材の連結部との間にスラスト軸受を設ける構成としている。これにより、プラネタリ機構の環状部材が好適に支持され、リングギヤと遊星ギヤの噛合、および最終減速ギヤと差動機構におけるデフリングギヤの噛合を好適にし、プラネタリ機構の動作をより安定化させることができる。
<第一実施形態>
本発明に係る変速装置を具体化した実施形態について図1〜図4を参照しつつ説明する。車両1は、図1に示すように、車体前部において、エンジン2と、変速装置3と、左右のドライブシャフト4L,4Rと、左右の駆動輪5L,5Rと、サスペンションメンバ6を備えるFF(Front-engine Front-drive)車である。エンジン2は、車両1の駆動源として搭載された原動機である。また、エンジン2は、図示しないECU(Engine Control Unit)により作動を制御される。このECUは、種々の車両情報に基づいて、スロットル開度や燃料噴射量を調整し、エンジン2の回転数を制御している。
本発明に係る変速装置を具体化した実施形態について図1〜図4を参照しつつ説明する。車両1は、図1に示すように、車体前部において、エンジン2と、変速装置3と、左右のドライブシャフト4L,4Rと、左右の駆動輪5L,5Rと、サスペンションメンバ6を備えるFF(Front-engine Front-drive)車である。エンジン2は、車両1の駆動源として搭載された原動機である。また、エンジン2は、図示しないECU(Engine Control Unit)により作動を制御される。このECUは、種々の車両情報に基づいて、スロットル開度や燃料噴射量を調整し、エンジン2の回転数を制御している。
変速装置3は、車両1に搭載されたエンジン2が出力する回転駆動力を変速する装置として用いられている。変速装置3は、駆動ギヤおよび従動ギヤの組み合わせからなる複数の歯車対により変速を行う変速機構10と、一対の車軸(ドライブシャフト4L,4R)に車両状態などに応じて回転駆動力を配分する差動機構70と、を備えるいわゆるトランスアクスルである。また、本実施形態において、変速装置3は、変速機構10から入力した回転駆動力を変速して差動機構70に伝達するプラネタリ機構60をさらに備えている。変速装置3の詳細については後述する。
左右のドライブシャフト4L,4Rは、差動機構70により配分された回転駆動力を左右の駆動輪5L,5Rに伝達する車両1における一対の車軸である。サスペンションメンバ6は、サスペンションを構成するアーム部材の一方側端部を車両1のボディに固定するためのサブフレームである。このサスペンションメンバ6は、左右の駆動輪5L,5Rに対して設けられるサスペンションを支持するため、強度を要する車両1の左右方向外側に向かって外寸が大きくなる傾向にある。また、サスペンションメンバ6は、車両1の車体前部においてエンジン2や変速装置3との干渉を避けるように、その外形が設定されるものである。
(変速装置3の構成)
次に、本実施形態における変速装置3の構成について説明する。変速装置3は、図2に示すように、変速機構10と、プラネタリ機構60と、差動機構70とを備える。変速機構10は、ハウジングHcに回転可能に支持された第一入力軸11、第二入力軸12、第一出力軸13、第二出力軸14と、エンジン2の回転駆動力を第一入力軸11および第二入力軸12に伝達するデュアルクラッチ15と、各入出力軸に回転可能に支持され前進または後進の変速段を構成する複数の変速段の駆動ギヤ21〜26と、変速段の従動ギヤ31〜36と、各変速段を選択的に成立させる第一シフト機構51〜第四シフト機構54を備える。上記のハウジングHcは、本体をカップ状に形成され、蓋部により軸方向一端側(図1の右側)の開口部を覆蓋して構成されている。このハウジングHcは、複数の軸受けにより各軸を支承するとともに、上記の複数のギヤおよび各シフト機構51〜54に含まれる摺動部に供給する潤滑油を収容している。
次に、本実施形態における変速装置3の構成について説明する。変速装置3は、図2に示すように、変速機構10と、プラネタリ機構60と、差動機構70とを備える。変速機構10は、ハウジングHcに回転可能に支持された第一入力軸11、第二入力軸12、第一出力軸13、第二出力軸14と、エンジン2の回転駆動力を第一入力軸11および第二入力軸12に伝達するデュアルクラッチ15と、各入出力軸に回転可能に支持され前進または後進の変速段を構成する複数の変速段の駆動ギヤ21〜26と、変速段の従動ギヤ31〜36と、各変速段を選択的に成立させる第一シフト機構51〜第四シフト機構54を備える。上記のハウジングHcは、本体をカップ状に形成され、蓋部により軸方向一端側(図1の右側)の開口部を覆蓋して構成されている。このハウジングHcは、複数の軸受けにより各軸を支承するとともに、上記の複数のギヤおよび各シフト機構51〜54に含まれる摺動部に供給する潤滑油を収容している。
第一入力軸11は、軸受によりハウジングHcに対して回転可能に支承されている。また、第一入力軸11の外周面には、軸受けを支持する部位と複数の外歯スプラインが形成されている。第一入力軸11には、二速駆動ギヤ22および大径の四速駆動ギヤ24(六速駆動ギヤ26)が形成されている。四速駆動ギヤ24は、四速従動ギヤ34および六速従動ギヤ36と噛合し、第4速段および第6速段の変速段を構成する駆動側のギヤとして共通化されたギヤである。また、第一入力軸11は、デュアルクラッチ15の第一クラッチ15aに連結される連結軸部が形成されている。このように、第一入力軸11には、複数の偶数変速段を構成する各駆動ギヤ22,24,26が固定して設けられている。
第二入力軸12は、中空軸状に形成され、第一入力軸11の一部の外周に複数の軸受を介して回転可能に支承され、且つ、軸受によりハウジングHcのクラッチハウジングに対して回転可能に支承されている。この第二入力軸12は、第一入力軸11に対して同心に相対回転可能に配置されている。また、第二入力軸12の外周面には、第一入力軸11と同様に、軸受けを支持する部位と複数の外歯歯車が形成されている。そして、第二入力軸12には、一速駆動ギヤ21、三速駆動ギヤ23および大径の五速駆動ギヤ25が直接形成、もしくは第二入力軸12の外周面に形成された外歯スプラインに嵌合により圧入されて形成されている。三速駆動ギヤ23と五速駆動ギヤ25は、四速駆動ギヤ24または六速駆動ギヤ26と同様に、駆動側のギヤとして共通化されることもある。また、第二入力軸12は、デュアルクラッチ15の第二クラッチ15bに連結される連結軸部が形成されている。このように、第二入力軸12には、複数の奇数変速段を構成する各駆動ギヤ21,23,25が固定して設けられている。
第一出力軸13は、ハウジングHcの内部において第一入力軸11に平行に配置され、軸受によりハウジングHcに対して回転可能に支承されている。また、第一出力軸13の外周面には、カウンタ駆動ギヤ41と複数の外歯スプラインが形成されている。第一出力軸13の外歯スプラインには、後述する第一シフト機構51および第二シフト機構52の各ハブ51a,52aがスプライン嵌合により圧入されている。カウンタ駆動ギヤ41は、プラネタリ機構60のカウンタ従動ギヤ62に噛合している。さらに、第一出力軸13は、一速従動ギヤ31、三速従動ギヤ33、四速従動ギヤ34、および後進ギヤ43を遊転可能に支持する支持部が形成されている。後進ギヤ43は、第一出力軸13に形成された後進ギヤの支持部に遊転可能に設けられている。また、本実施形態において、後進ギヤ43は、二速従動ギヤ32に一体的に形成された小径ギヤ32aに常に噛合し回転連結されている。
第二出力軸14は、ハウジングHcの内部において第一入力軸11に平行に配置され、軸受によりハウジングHcに対して回転可能に支承されている。また、第二出力軸14の外周面には、第一出力軸13と同様に、カウンタ駆動ギヤ42と複数の外歯スプラインが形成されている。第二出力軸14の外歯スプラインには、後述する第三シフト機構53および第四シフト機構54の各ハブ53a,54aおよびパーキング機構(図示しない)のパーキングギヤ44がスプライン嵌合により圧入されている。パーキング機構は、車両1が停車状態となった場合に、パーキングギヤ44の回転を規制することにより、駆動輪に連結される軸の回転を防止することで、車両1の停車状態を保持する機構である。また、カウンタ駆動ギヤ42は、プラネタリ機構60のカウンタ従動ギヤ62に噛合している。さらに、第二出力軸14は、二速従動ギヤ32、五速従動ギヤ35、および六速従動ギヤ36を遊転可能に支持する支持部が形成されている。
デュアルクラッチ15は、エンジン2の回転駆動力を第一入力軸11に伝達する第一クラッチ15aと、エンジン2の回転駆動力を第二入力軸12に伝達する第二クラッチ15bを有するクラッチ機構である。このデュアルクラッチ15は、ハウジングHcのクラッチハウジングに収容され、第一入力軸11および第二入力軸12に対して同心に設けられている。第一クラッチ15aは第一入力軸11の連結軸部に連結され、第二クラッチ15bは第二入力軸12の連結軸部に連結されている。そして、デュアルクラッチ15は、ECUから入力される制御指令に基づいて、図示しないアクチュエータを動作させる。アクチュエータは、その動作量に応じて第一クラッチ15aおよび第二クラッチ15bの係合力を調整可能となっている。このような構成からなるデュアルクラッチ15は、ECUの制御によって、第一クラッチ15aおよび第二クラッチ15bの係合状態を切り換える。
第一シフト機構51〜第四シフト機構54は、車両1のECUによって制御され、シフト操作に応じた変速段を成立させる機構である。本実施形態における変速機構10は、図1に示すように、4箇所に各シフト機構51〜54をそれぞれ配置している。第一シフト機構51〜第四シフト機構54は、変速ギヤのうち第一出力軸13または第二出力軸14に連結する従動ギヤの対象が異なる。第一シフト機構51は、第4速段を構成する四速従動ギヤ34と後進ギヤ43を連結の対象としている。第二シフト機構52は、第1速段を構成する一速従動ギヤ31および第3速段を構成する三速従動ギヤ33を連結の対象としている。第三シフト機構53は、第2速段を構成する二速従動ギヤ32および第6速段を構成する六速従動ギヤ36を連結の対象としている。第四シフト機構54は、第5速段を構成する五速従動ギヤ35のみを連結の対象としている。
また、第一シフト機構51は、ハブ51aと、スリーブ51bを備える。ハブ51aは、内歯スプラインおよび外歯スプラインが形成された中空円盤状をなしている。ハブ51aは、第一出力軸13の外歯スプラインにスプライン嵌合により圧入され、第一出力軸13と一体的に回転する部材である。スリーブ51bは、ハブ51aに対して軸方向に移動可能となるようにハブ51aの外歯スプラインに噛合している。このスリーブ51bは、第一出力軸13の軸方向にスライドして四速従動ギヤ34または後進ギヤ43のピースギヤ部に噛合可能となっている。スリーブ51bが各ギヤのピースギヤ部に噛合すると、各ギヤは第一出力軸13に相対回転不能に接続され、一体的に回転可能となる。また、スリーブ51bは、軸方向にスライドした際に、図示しないシンクロリングを連結の対象とするギヤに付勢し、ギヤの回転数を第一出力軸13の回転数に同期させてから各ギヤと第一出力軸13を連結することを可能としている。
その他の第二シフト機構52〜第四シフト機構54も同様に、ハブ52a〜54aおよびスリーブ52b〜54bを備え、第一シフト機構51とは対象とする従動ギヤが異なるのみで、構成については実質的に同様であるため詳細な説明を省略する。このように、第一シフト機構51および第三シフト機構53は、第一入力軸11に伝達された回転駆動力を変速して偶数変速段を成立させている。同様に、第二シフト機構52および第四シフト機構54は、第二入力軸12に伝達された回転駆動力を変速して奇数変速段を成立させている。このような構成により、デュアルクラッチ式の変速機構10は、車両1のECUによりデュアルクラッチ15を制御し、偶数変速段および奇数変速段の2系統に分かれた変速機構に回転駆動力を離脱係合している。
プラネタリ機構60は、変速機構10から回転駆動力を入力し、この回転駆動力をさらに減速して差動機構70に伝達する遊星歯車機構である。このプラネタリ機構60は、図3に示すように、中間軸61と、カウンタ従動ギヤ62、サンギヤ63と、キャリア64と、環状部材65と、スラスト軸受66,67と、ボール軸受68,69を備える。中間軸61は、ハウジングHcの内部において変速機構10の第一出力軸13と平行に且つ径方向に離間して配置され、外周に複数の軸受を介して回転可能に支承されている。
この中間軸61と一体構造で、もしくは外周面に形成された外歯スプラインとの圧入嵌合によって、カウンタ従動ギヤ62およびサンギヤ63が形成されている。カウンタ従動ギヤ62は、変速機構10のカウンタ駆動ギヤ41,42と噛合している。これにより、中間軸61は、カウンタ駆動ギヤ41およびカウンタ従動ギヤ62により構成されるギヤ対を介して、変速機構10の第一出力軸13と連結されている。同様に、中間軸61は、カウンタ駆動ギヤ42およびカウンタ従動ギヤ62により構成されるギヤ対を介して、変速機構10の第二出力軸14と連結されている。
サンギヤ63は、上述したように、中間軸61に固定された外歯歯車であって、プラネタリ機構60の径方向中央部に位置している。キャリア64は、サンギヤ63と噛合する複数の遊星ギヤ64aを支持するとともに、軸方向の端部がハウジングHcに固定されている。これにより、遊星ギヤ64aは、中間軸61回りの回転(公転)を規制されることから、サンギヤ63が回転すると配置された初期位置を維持した状態で自転することになる。また、キャリア64は、軸方向の端面64bにスラスト軸受66、内周側にボール軸受68,69が設けられている。これにより、キャリア64は、スラスト軸受66およびボール軸受69を介して環状部材65を相対回転可能に支持するとともに、ボール軸受68を介して中間軸61を相対回転可能に支持している。
環状部材65は、全体として環状に形成された部材であって、大径部651と、小径部652と、連結部653と、鍔部654を有する。大径部651は、円筒状からなり、遊星ギヤ64aおよびキャリア64の外周側に配置され、且つ内周面に複数の遊星ギヤ64aと噛合するリングギヤ651aが形成される。このリングギヤ651aは、サンギヤ63が固定された中間軸61と同軸に配置された内歯歯車であり、キャリア64が支持する全ての遊星ギヤ64aと噛合している。
小径部652は、円筒状からなり、ボール軸受69を介して内周面をキャリア64に支持され、且つ外周面に最終減速ギヤ652aが形成される。最終減速ギヤ652aは、差動機構70のデフリングギヤ71と噛合し、プラネタリ機構60において減速した回転駆動力を出力するギヤである。連結部653は、大径部651と小径部652を連結する円盤状の部材であり、キャリア64の軸方向の端面64bに設けられたスラスト軸受66を介してキャリア64に相対回転可能に支持されている。鍔部654は、小径部652の軸方向端部に連結された円盤状の部材であり、ハウジングHcに設けられたスラスト軸受67を介して相対回転可能に支持されている。
ここで本実施形態では、この最終減速ギヤ652aは、図3に示すように、環状部材65においてリングギヤ651aと異なる軸方向位置に形成されている。さらに、最終減速ギヤ652aのピッチ円直径Dfは、リングギヤ651aのピッチ円直径Drよりも小径に形成されている。また、環状部材65の最終減速ギヤ652aは、変速機構10の第一出力軸13と中間軸61を連結するギヤ対(カウンタ駆動ギヤ41およびカウンタ従動ギヤ62)、および第二出力軸14と中間軸61を連結するギヤ対(カウンタ駆動ギヤ42およびカウンタ従動ギヤ62)よりも車両1の左右方向中央側に位置するように形成されている。つまり、最終減速ギヤ652aと上記のギヤ対41,62(またはギヤ対42,62)は、異なる軸方向位置に配置されるが、このとき差動機構70と連結される最終減速ギヤ652aを車両1の左右方向中央側としている。
差動機構70は、車両1の走行状態において、左右の駆動輪5L,5Rの回転数差を吸収するために、当該駆動輪5L,5Rに連結されるドライブシャフト4L,4Rに回転駆動力を配分する機構である。この差動機構70は、プラネタリ機構60の中間軸61と平行に且つ径方向に離間した中心軸回りに回転可能に支持されているデフリングギヤ71から回転駆動力を入力する。このデフリングギヤ71は、プラネタリ機構60の最終減速ギヤ652aに噛合することで、プラネタリ機構60を介して変速機構10の第一出力軸13および第二出力軸14に常時回転連結している。差動機構70におけるその他の構成については通常の差動装置を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
(変速装置3の動作)
続いて、車両1の走行状態における変速装置3の動作について説明する。車両1の走行状態では、車両1のECUにより所定の変速段が成立している状態にあり、ここでは第4速段が成立しているものと仮定する。そうすると、エンジン2の回転駆動力は、デュアルクラッチ15の第一クラッチ15aから第一入力軸11に入力され、第4速段を構成する四速駆動ギヤ24および四速従動ギヤ34により減速されて第一出力軸13に伝達される。さらに、第一出力軸13の回転駆動力は、ギヤ対を構成するカウンタ駆動ギヤ41およびカウンタ従動ギヤ62の歯数差に基づく変速比で減速されてプラネタリ機構60の中間軸61に伝達される。このとき、回転駆動力がギヤ対41,62を介して伝達されることから、変速機構10の第一出力軸13の回転方向に対して、プラネタリ機構60の中間軸61の回転方向が反転している。これは、他の変速段が成立している場合にも同様である。
続いて、車両1の走行状態における変速装置3の動作について説明する。車両1の走行状態では、車両1のECUにより所定の変速段が成立している状態にあり、ここでは第4速段が成立しているものと仮定する。そうすると、エンジン2の回転駆動力は、デュアルクラッチ15の第一クラッチ15aから第一入力軸11に入力され、第4速段を構成する四速駆動ギヤ24および四速従動ギヤ34により減速されて第一出力軸13に伝達される。さらに、第一出力軸13の回転駆動力は、ギヤ対を構成するカウンタ駆動ギヤ41およびカウンタ従動ギヤ62の歯数差に基づく変速比で減速されてプラネタリ機構60の中間軸61に伝達される。このとき、回転駆動力がギヤ対41,62を介して伝達されることから、変速機構10の第一出力軸13の回転方向に対して、プラネタリ機構60の中間軸61の回転方向が反転している。これは、他の変速段が成立している場合にも同様である。
次に、中間軸61の回転駆動力は、図3の矢印により示されるように、サンギヤ63からキャリア64の遊星ギヤ64aを介して環状部材65のリングギヤ651aに伝達される。このとき、各ギヤ63,64a,651aの歯数差に基づく変速比で減速される。例えば、サンギヤ63と遊星ギヤ64aの歯数が同数であり、遊星ギヤ64aとリングギヤ651aの歯数差の分だけ減速されることになる。また、サンギヤ63と遊星ギヤ64aの回転方向は反転しており、遊星ギヤ64aが自転する回転方向とリングギヤ651aの回転方向は正転の関係となっている。つまり、中間軸61の回転方向に対して、環状部材65の回転方向が反転していることになる。
そして、環状部材65の回転駆動力は、大径部651から連結部653を介して小径部652に伝達され、小径部652の最終減速ギヤ652aから差動機構70のデフリングギヤ71に伝達される。このとき、最終減速ギヤ652aとデフリングギヤ71の歯数差に基づく変速比で減速される。その後、差動機構70により回転駆動力がドライブシャフト4L,4Rに配分されて駆動輪5L,5Rにそれぞれ伝達される。また、最終減速ギヤ652aとデフリングギヤ71の回転方向は反転していることから、環状部材65の回転方向に対してデフリングギヤ71の回転方向が反転していることになる。
ここで、上記のような変速装置3の動作においては、ギヤ対41,62(またはギヤ対42,62)による回転駆動力の入力、プラネタリ機構60の各ギヤ63,64a,651aによる回転駆動力の伝達、最終減速ギヤ652aとデフリングギヤ71による回転駆動力の出力によってそれぞれ減速し、全体として高い変速比を得られるようにしている。また、中間軸61および環状部材65は、ハウジングHcおよびキャリア64によりスラスト軸受66,67またはボール軸受68,69を介して支持され、安定的に動作可能な位置を保持されている。
また、各部材の回転方向については以下のような関係となっている。ここで、時計回りをCW(Clockwise)、反時計回りをCCW(Counter Clockwise)と示し、変速機構10の第一出力軸13が時計回りCWと仮定する。そうすると、第一出力軸13がCW、中間軸61がCCW、遊星ギヤ64aの自転がCW、リングギヤ651aがCW、環状部材65および最終減速ギヤ652aがCW、差動機構70のデフリングギヤ71がCCWとなる。これに対して、例えば従来のように、変速機構と差動機構の間にプラネタリ機構を有さない構成、即ち変速機構の出力軸にデフリングギヤと噛合する最終減速ギヤを設けた構成の場合には、出力軸がCWであればデフリングギヤ71がCCWとなる。つまり、本実施形態の差動機構70のデフリングギヤ71は、従来の変速装置と同方向に回転駆動力を出力している。
(第一実施形態の効果)
上述したデュアルクラッチ式の変速装置3によると、変速機構10と差動機構70の間に介在するプラネタリ機構60によって、さらに変速することが可能となり、高い変速比を得ることができる。また、変速装置3の動作における各部材の回転方向は上記のような関係となっており、プラネタリ機構を有さない従来の変速装置と同方向に回転駆動力を出力することが可能となっている。そのため、従来のように変速機構における歯車対や差動機構におけるデフリングギヤを大径化することなく、所望される変速比を得られる。これに対して、変速装置3全体として所定の変速比に設定する場合には、従来と比較してデフリングギヤ71などを小径化することができる。従って、変速装置3の体格を小型化することができるので、車両への搭載性を向上させることができる。また、これに伴い変速装置3のハウジングHcも小型化するため、内部の潤滑性を向上できるので、結果としてハウジングHc内に収容する潤滑油の油量を低減することができる。
上述したデュアルクラッチ式の変速装置3によると、変速機構10と差動機構70の間に介在するプラネタリ機構60によって、さらに変速することが可能となり、高い変速比を得ることができる。また、変速装置3の動作における各部材の回転方向は上記のような関係となっており、プラネタリ機構を有さない従来の変速装置と同方向に回転駆動力を出力することが可能となっている。そのため、従来のように変速機構における歯車対や差動機構におけるデフリングギヤを大径化することなく、所望される変速比を得られる。これに対して、変速装置3全体として所定の変速比に設定する場合には、従来と比較してデフリングギヤ71などを小径化することができる。従って、変速装置3の体格を小型化することができるので、車両への搭載性を向上させることができる。また、これに伴い変速装置3のハウジングHcも小型化するため、内部の潤滑性を向上できるので、結果としてハウジングHc内に収容する潤滑油の油量を低減することができる。
また、最終減速ギヤ652aとリングギヤ651aは、環状部材65において異なる軸方向位置にそれぞれ形成されるものとした。つまり、リングギヤ651aが遊星ギヤ64aと噛合する軸方向位置と、最終減速ギヤ652aが差動機構70のデフリングギヤ71と噛合する軸方向位置が異なる構成としている。そして、最終減速ギヤ652aのピッチ円直径Dfをリングギヤ651aのピッチ円直径Drよりも小径にすることで、最終減速ギヤ652aによりさらに減速することができる。よって、変速装置3は、全体としてさらに高い変速比を得ることが可能となる。
本実施形態において、変速機構10はデュアルクラッチ式としている。このように複数のクラッチを備える構成においては、変速装置が軸方向に長くなり最終減速ギヤが車両の左右方向外側に配置されることになる。そのため、デフリングギヤが配置される位置も車両の左右方向外側になる傾向にある。そうすると、例えば車両外側に向かって外寸が大きくなるサスペンションメンバ6のような他部材との干渉が問題となる場合がある。そのため、特にデュアルクラッチ式の変速機構10においては、本発明によりデフリングギヤ71の小径化を図ることにより車両への搭載性を向上させることが有用である。
また、変速機構10において最も高い減速比である変速段、即ち第1速段を構成する一速駆動ギヤは、第一入力軸11および第二入力軸12のうち外周側に位置する第二入力軸12に設けられるものとした。ここで、デュアルクラッチ式の変速機構10において最も高い減速比である変速段は一般に第1速段であり、この第1速段を構成する一速駆動ギヤ21は他の変速段の駆動ギヤ22〜26と比較して小径に形成される。そして、変速機構全体として高い変速比を得るためには、この一速駆動ギヤ21をより小径に設定する必要がある。そのため、一般的には、デュアルクラッチ式の変速機構においては、複数の入力軸が同心に配置されることから外周側に位置する入力軸(本実施形態では第二入力軸12)の方が必然的に大径となり、内周側に位置する入力軸に第1速段の駆動ギヤが設けられる。さらに、第1速段は発進ギヤとして使用されるため出力軸には高い回転駆動力が伝達される。そのため、第1速段を構成するギヤ対(本実施形態では一速駆動ギヤ21および一速従動ギヤ31)は、変速機構のハウジング内において入出力軸を支持する軸受に近接する軸方向の何れかの端部側に配置されることが好適である。
このような事情により、従来のデュアルクラッチ式の変速機構では、第1速段の駆動ギヤは、内周側の入力軸であって変速機構の軸方向端部側に配置され、デュアルクラッチおよびエンジンから最も離間することになる。そうすると、第1速段を構成する一速従動ギヤ(出力軸に設けられるギヤ)は、変速比の構成上、他の従動ギヤよりも大径に形成されるため、変速機構のハウジングもこれに伴い大型化する必要がある。さらに、変速機構におけるハウジングの本体は、製造上、第1速段を構成するギヤ対の外径を基準として軸方向に抜き勾配を設けられるため、さらに全体が大型化することになる。結果として、デュアルクラッチ式変速機構では、変速比を高くするために、変速装置の体格が大型化するとともに、ハウジング内に収容する潤滑油の油量も増量する必要があった。
これに対して、プラネタリ機構60を備える変速装置3ではデュアルクラッチ式の変速機構10に要される変速比を低減することができるので、従来と比較して、一速駆動ギヤ21を大径に設定することができる。これにより、同心に配置された第一入力軸11および第二入力軸12のうち外周側に位置する第二入力軸12に一速駆動ギヤ21を設けることが可能となる。これにより、第1速段を構成するギヤ対を、軸方向におけるデュアルクラッチ15およびエンジン2に近接する側に設けることが可能となる。よって、高い回転駆動力が伝達される第1速段を構成するギヤ対21,31をより確実に支持することができるので、変速機構10の動作をより安定化させることができる。
さらに、ハウジングHcは、図4に示すように、第1速段を構成するギヤ対21,31の外径を基準として軸方向に抜き勾配を設けたとしても、従来のハウジングHtよりも小型化することができる。図4において、従来のハウジングHtは、同径の一速従動ギヤ31が第一出力軸13の他端部(本実施形態における後進ギヤ43が設けられている軸方向位置)に設けられたものと仮定して抜き勾配を設定されたものとしている。また、ハウジングHcに収容される潤滑油の油量は、例えば変速装置3の作動時において一速従動ギヤ31がハウジングHcの底部に滞留する潤滑油を掻き上げるものとした場合には、この一速従動ギヤ31の下部が油面よりも下側となるように調整される。これと、上述したハウジングHcに係る抜き勾配などの製造上の事情によると、図4に示すように、油面Lに達する油量としては本実施形態のハウジングHcの方が従来のハウジングHtよりも少ない。従って、装置全体として小型化できるとともに、潤滑性を向上させて収容する潤滑油の油量を低減できる。
また、プラネタリ機構60に回転駆動力を入力するギヤ対41,62(またはギヤ対42,62)に対して、最終減速ギヤ652aが車両1の左右方向中央側に位置するように形成されるものとした。差動機構70を備える変速装置3では、一対の車軸(ドライブシャフト4L,4R)に回転駆動力が配分されて駆動輪5L,5Rを回転することになる。そのため、一対のドライブシャフト4L,4Rは、差動機構70にそれぞれ連結される位置から各駆動輪5L,5Rまでの距離に基づく軸長に設定され、この軸長に応じた荷重に耐え得る剛性を有するようにそれぞれ設計される。しかし、車両の重量バランスや繰安性などの観点からは、パワートレーンにおける車軸は、それぞれの剛性が等しい方が好適である。そのため、変速装置3における差動機構70は、なるべく車両の軸方向中央側に配置されることが望ましい。そこで、本発明のように、最終減速ギヤ652aを車両の左右方向中央側に配置することで、一対のドライブシャフト4L,4Rの軸長がより等しい状態に近付けることが可能となる。これにより、車両1の重量バランスや繰安性を向上させることができる。
さらに、プラネタリ機構60は、キャリア64と環状部材65の連結部との間にスラスト軸受66を設ける構成とした。これにより、プラネタリ機構60の環状部材65がスラスト軸受66を介してハウジングHtに固定されるキャリア64により好適に支持され、リングギヤ651aと遊星ギヤ64aの噛合、および最終減速ギヤ652aと差動機構70におけるデフリングギヤ71の噛合を好適にし、プラネタリ機構60の動作をより安定化させることができる。
<第二実施形態>
第二実施形態について図5を参照しつつ説明する。ここで、本実施形態における変速装置103は、第一実施形態に対して、変速機構110およびプラネタリ機構160の構成が相違する。その他の構成については第一実施形態と実質的に同様であるため詳細な説明を省略する。以下に、相違点について説明する。
第二実施形態について図5を参照しつつ説明する。ここで、本実施形態における変速装置103は、第一実施形態に対して、変速機構110およびプラネタリ機構160の構成が相違する。その他の構成については第一実施形態と実質的に同様であるため詳細な説明を省略する。以下に、相違点について説明する。
本実施形態の変速機構110は、第一実施形態の変速機構10がデュアルクラッチ式であったのに対して、図5に示すように、一対の入出力軸11,13を有する通常のトランスミッションとしている。クラッチ106は、エンジン2の回転駆動力を入力軸11に伝達または遮断するクラッチ機構である。その他の構成については、第一実施形態の変速機構10の同符号で示される構成と同様である。
ここで、第一実施形態のプラネタリ機構60の最終減速ギヤ652aは、環状部材65においてリングギヤ651aと異なる軸方向位置に形成されるものとした。これに対して、本実施形態のプラネタリ機構160の最終減速ギヤ652aは、図5に示すように、環状部材65においてリングギヤ651aと同じ軸方向位置に形成されるように、即ちリングギヤ651aの外周側に形成されるようにしている。その他の構成については、第一実施形態のプラネタリ機構60の同符号で示される構成と同様である。
(第二実施形態の効果)
上述した変速装置103によると、変速機構110は、一対の入出力軸11,13を有する通常のトランスミッションであるものとした。このような構成においては、デュアルクラッチ式のように第1速段の駆動ギヤ21を内周側に位置する小径の入力軸11に配置しなければならないといった制約はないが、第一実施形態と同様に、従来と比較してデフリングギヤ71などを小径化させることによりハウジングHcを小型化できる。これにより、ハウジングHc内に収容する潤滑油の油量を低減することが可能である。
上述した変速装置103によると、変速機構110は、一対の入出力軸11,13を有する通常のトランスミッションであるものとした。このような構成においては、デュアルクラッチ式のように第1速段の駆動ギヤ21を内周側に位置する小径の入力軸11に配置しなければならないといった制約はないが、第一実施形態と同様に、従来と比較してデフリングギヤ71などを小径化させることによりハウジングHcを小型化できる。これにより、ハウジングHc内に収容する潤滑油の油量を低減することが可能である。
また、プラネタリ機構160は、最終減速ギヤ652aをリングギヤ651aと同じ軸方向位置に形成されるものとした。これにより、プラネタリ機構160の軸方向幅を低減し、機構全体として部品点数の少ない簡略な構成とすることができる。但し、高い変速比を得つつ車軸の軸長を均等化するという観点からは、第一実施形態において例示した態様が好適である。
<その他>
第一、第二実施形態では、変速機構10,110として、デュアルクラッチ式および通常のトランスミッションを例示して説明した。その他に、デュアルクラッチ15を有さないが複数の出力軸を備えるトランスミッションなど種々の変速機構に本発明を適用することができる。このような場合にも同様の効果を奏する。
第一、第二実施形態では、変速機構10,110として、デュアルクラッチ式および通常のトランスミッションを例示して説明した。その他に、デュアルクラッチ15を有さないが複数の出力軸を備えるトランスミッションなど種々の変速機構に本発明を適用することができる。このような場合にも同様の効果を奏する。
1:車両、 2:エンジン(原動機)、 3,103:変速装置
4L,4R:ドライブシャフト、 5L,5R:駆動輪、 6:サスペンションメンバ
10,110:変速機構
11:第一入力軸、 12:第二入力軸、 13:第一出力軸、 14:第二出力軸
15:デュアルクラッチ、 15a:第一クラッチ、 15b:第二クラッチ
116:クラッチ
21〜26:変速段の駆動ギヤ
31〜36:変速段の従動ギヤ、 32a:小径ギヤ
41,42:カウンタ駆動ギヤ、 43:後進ギヤ、 44:パーキングギヤ
51〜54:第一シフト機構〜第四シフト機構
51a〜54a:ハブ、 51b〜54b:スリーブ
60,160:プラネタリ機構
61:中間軸、 62:カウンタ従動ギヤ、 63:サンギヤ
64:キャリア、 64a:遊星ギヤ、 64b:端面
65:環状部材
651:大径部、 651a:リングギヤ
652:小径部、 652a:最終減速ギヤ
653:連結部、 654:鍔部
66,67:スラスト軸受、 68,69:ボール軸受
70:差動機構、 71:デフリングギヤ
Hc,Ht:ハウジング
4L,4R:ドライブシャフト、 5L,5R:駆動輪、 6:サスペンションメンバ
10,110:変速機構
11:第一入力軸、 12:第二入力軸、 13:第一出力軸、 14:第二出力軸
15:デュアルクラッチ、 15a:第一クラッチ、 15b:第二クラッチ
116:クラッチ
21〜26:変速段の駆動ギヤ
31〜36:変速段の従動ギヤ、 32a:小径ギヤ
41,42:カウンタ駆動ギヤ、 43:後進ギヤ、 44:パーキングギヤ
51〜54:第一シフト機構〜第四シフト機構
51a〜54a:ハブ、 51b〜54b:スリーブ
60,160:プラネタリ機構
61:中間軸、 62:カウンタ従動ギヤ、 63:サンギヤ
64:キャリア、 64a:遊星ギヤ、 64b:端面
65:環状部材
651:大径部、 651a:リングギヤ
652:小径部、 652a:最終減速ギヤ
653:連結部、 654:鍔部
66,67:スラスト軸受、 68,69:ボール軸受
70:差動機構、 71:デフリングギヤ
Hc,Ht:ハウジング
Claims (6)
- 車両の原動機の回転駆動力を変速する変速機構と、
前記車両における一対の車軸に回転駆動力を配分する差動機構と、
前記変速機構から入力した回転駆動力を変速して前記差動機構に伝達するプラネタリ機構と、を備え、
前記プラネタリ機構は、
前記変速機構の出力軸と平行に且つ径方向に離間して配置され、前記変速機構の前記出力軸とギヤ対を介して連結された中間軸と、
前記中間軸に固定されたサンギヤと、
前記サンギヤと噛合する遊星ギヤの前記中間軸回りの回転を規制するように当該遊星ギヤを支持するキャリアと、
内周面に前記遊星ギヤと噛合するリングギヤが形成されるとともに、外周面に前記差動機構のデフリングギヤと噛合する最終減速ギヤが形成される環状部材と、を有する変速装置。 - 請求項1の変速装置において、
前記最終減速ギヤは、前記環状部材において前記リングギヤと異なる軸方向位置に形成されるとともに、前記リングギヤよりもピッチ円直径が小径に形成される。 - 請求項1または2の変速装置において、
前記変速機構は、
同心に配置された第一入力軸および第二入力軸と、
前記原動機の回転駆動力を前記第一入力軸に伝達する第一クラッチと回転駆動力を前記第二入力軸に伝達する第二クラッチとを有するデュアルクラッチと、を有する。 - 請求項3の変速装置において、
前記変速機構において最も高い減速比である変速段を構成する駆動ギヤは、前記第一入力軸および前記第二入力軸のうち外周側に位置する入力軸に設けられる。 - 請求項1〜4の何れか一項の変速装置において、
前記環状部材の前記最終減速ギヤは、前記変速機構の前記出力軸と前記中間軸を連結する前記ギヤ対よりも前記車両の左右方向中央側に位置するように形成される。 - 請求項2の変速装置において、
前記環状部材は、前記遊星ギヤおよび前記キャリアの外周側に配置され且つ前記リングギヤが形成される大径部と、前記最終減速ギヤが形成される小径部と、前記大径部と前記小径部を連結する連結部と、により構成され、
前記プラネタリ機構は、前記キャリアの軸方向端面に設けられ前記環状部材における前記連結部を相対回転可能に支持するスラスト軸受を有する。
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-
2012
- 2012-03-28 JP JP2012073740A patent/JP2013204676A/ja active Pending
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