JP2013203959A - 化学反応装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと二酸化炭素とを反応させて二官能の5員環カーボナートを生成するための反応および前記二官能の5員環カーボナートと分子内に2つの1級アミノ基を有するジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを生成するための反応の一方または両方を行う第1の反応器11と、前記第1の反応器11において得られた二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を分離する第1の分離槽12と、前記第1の分離槽12において分離された二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を乾燥させる第1の乾燥器13と、を備える構成を有する。
【選択図】図2
Description
第1段階の反応は、ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと二酸化炭素とを反応させて二官能の5員環カーボナートを得るものである。
本発明の化学反応装置に用いられるビスフェノール類のジグリシジルエーテルは、例えば、下記式(I)で表される。
ビスフェノール類のジグリシジルエーテルは、一般に、酸触媒の存在下、ビスフェノールとエピクロロヒドリンとを反応させてクロロヒドリンエーテル化合物を得た後に、当該クロロヒドリンエーテル化合物と当量以上のアルカリ剤(例えば水酸化カルシウムなど)を用いて閉環反応させることにより製造される。
二官能の5員環カーボナートは、一般に、アルカリ触媒下、ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと二酸化炭素とを加熱しながら反応させることにより製造される。反応溶媒は、特に限定はなく、例えば、N−メチルピリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルスルホキシド(DMSO)である。反応は無溶媒でも進行するので、溶媒は用いなくても構わない。反応温度は、特に限定はなく、例えば40〜150℃である。反応は、常圧下であっても加圧下であっても構わない。
また、カーボナートが液状で得られる場合、例えば、反応終了後、反応溶液の数十倍量の水の中に、反応溶液を加えた後、さらに抽出溶媒(例えば、酢酸エチルなど)を加え、カーボナートを含む有機層として分離する。
第2段階の反応は、第1段階で得られた二官能の5員環カーボナートとジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを得るものである。
本発明の化学反応装置に用いられる分子内に2個の一級アミノ基を有するジアミン類は、具体的には、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;例えば、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(慣用名:イソホロンジアミン)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジアミンなどの脂環族ジアミン;例えば、4,4´−ジフェニルメタンジアミンなどの芳香族ジアミン;例えば、1,3−または1,4−キシリレンジアミンもしくはその混合物などの芳香脂肪族ジアミン;例えば、ヒドラジン(水和物を含む。)などのジドラジン類などのジアミン;などが挙げられる。
ポリヒドロキシウレタンは、一般に、得られた二官能の5員環カーボナートとジアミン類とを加熱しながら反応させることにより製造される。反応溶媒は、特に限定はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびジメチルスルホキシド(DMSO)である。反応温度は、特に限定はなく、例えば50〜150℃である。
[1]ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと二酸化炭素とを反応させて二官能の5員環カーボナートを生成するための反応および前記二官能の5員環カーボナートと分子内に2つの1級アミノ基を有するジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを生成するための反応の一方または両方を行う第1の反応器1と、
[2]前記第1の反応器1において得られた二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を分離する第1の分離槽2と、
[3]前記第1の分離槽2において分離された二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を乾燥させる第1の乾燥器3と、
を備える構成を有する。
第1の分離槽2は、上記第1の反応器1において得られた二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を分離するものである。さらに、第1の分離槽2は、固液分離と液液分離の両方を行うことができる。
第1の反応器1に、ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと溶媒と触媒を入れる。次に、二酸化炭素を加え、加熱して反応させる。反応終了後、反応溶液を冷却させる。
次に、溶媒として例えば水を張った第1の分離槽2に、反応溶液を移し、カーボナートを分離する。
例えば水などの溶媒を張った第1の分離槽2に、反応溶液を移し、撹拌した後、十分な時間放置する。次いで、第1の分離槽2の上部より、液体上部の空間に気体(例えば窒素など)を入れることにより加圧して、槽下部102にある液排出口111から液体を排出する。その際、溶媒の中に存在した浮遊物は、沈殿物としてろ布108上に回収される。次いで、クランプ103を操作して、槽下部102を分離する。次いで、沈殿物が貯まったろ布108を金網109から分離し、槽下部102の外部へ取り出し、沈殿物としてカーボナートを回収する。
例えば水などの溶媒を張った第1の分離槽2に、反応溶液を移し、撹拌する。次いで、抽出溶媒として例えば酢酸エチルを加え、撹拌した後、水層とカーボナートを含む有機層(酢酸エチル層)が十分分離するまで放置する。次いで、液排出口111から下層たる水層を回収する。次いで、上層たる有機層をカーボナートとして回収する。この場合、通常、加圧することはないし、槽下部102を分離することもない。
次に、第1の乾燥器3に、上記で得られた沈殿物または有機層を入れ、乾燥させることにより、カーボナートを得る。
次に、第1の反応器1に、上記で得られたカーボナートと溶媒を入れる。次に、ジアミン類を加え、加熱して反応させる。反応終了後、反応溶液を冷却させる。
次に、例えばメタノールなどの溶媒を張った第1の分離槽2に、反応溶液を移し、撹拌する。その後、撹拌を止め、十分な時間放置する。次いで、第1の分離槽2の上部より、液体上部の空間に気体(例えば窒素など)を入れることにより加圧して、槽下部102にある液排出口111から液体を排出する。その際、溶媒の中に存在した浮遊物は、沈殿物としてろ布108上に回収される。次いで、クランプ103を操作して、槽下部102を分離する。次いで、沈殿物が貯まったろ布108を金網109から分離し、槽下部102の外部へ取り出し、沈殿物としてポリヒドロキシウレタンを回収する。
次に、第1の乾燥器3に、上記で得られた沈殿物を入れ、乾燥させることにより、ポリヒドロキシウレタンを得る。
[1']前記第1の反応器11は、前記二官能の5員環カーボナートを生成するための反応にのみ用いられ、
[2']前記第1の分離槽12は、前記第1の反応器11において生成された二官能の5員環カーボナートの分離にのみ用いられ、
[3']前記第1の乾燥器13は、前記第1の分離槽12で分離された二官能の5員環カーボナートの乾燥にのみ用いられ、
[4]前記第1の乾燥器13で乾燥された二官能の5員環カーボナートとジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを生成するための反応を行う第2の反応器14と、
[5]前記第2の反応器14において生成されたポリヒドロキシウレタンを分離する第2の分離槽15と、
[6]前記第2の分離槽15において分離されたポリヒドロキシウレタンを乾燥させる第2の乾燥器16と、
を備える構成を有する。
第1段階の反応に関し、第2の実施の形態に係る装置20に係る第1の反応器11、第1の分離槽12および第1の乾燥器13の動作は、上記で説明した、第1の実施の形態に係る装置10に係る第1の反応器1、第1の分離槽2および第1の乾燥器3の動作と、それぞれ同じである。
実施例1は、中間体であるカーボナートが沈殿物または浮遊物として得られる場合である。原料として、純度の高いビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用した。
以下の反応工程は、第1の反応器1または11で行った。
容量5Lの反応器に、触媒としてアルカリと溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)を入れ、約25℃で撹拌した。次に、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを加え、約25℃で撹拌した。次に、二酸化炭素をバブリング充填し、加圧した。その後、約100℃で48時間撹拌した。撹拌後、反応器を開放することにより未反応の二酸化炭素を排出して、25℃になるまで、撹拌冷却した。
以下の分離工程は、第1の分離槽2または12で行った。
当該分離槽は、円柱状であり、ろ過部として、ステンレス製の金網の上に、ろ過孔径20μmのろ布108を載せた金属ろ過膜を使用した。
予め反応溶液の約20倍量の水を張った容量70Lの分離槽に、反応溶液を移し、約25℃で撹拌した。その後、撹拌を止め、約25℃で十分な時間放置した。次いで、第1の分離槽2の上部より、液体上部の空間に、窒素を入れることにより加圧して、槽下部102にある液排出口111から溶媒を排出した。その際、溶媒の中に存在した浮遊物は、沈殿物としてろ布上に回収された。次いで、クランプ103を操作して、槽下部102を分離した。次いで、ろ布108を槽下部102から外して、沈殿物を得た。
以下の乾燥工程は、第1の乾燥器3または13で行った。
得られた沈殿物を、真空乾燥器に移して、乾燥させ、白色粉末のカーボナートを得た。
以下の合成工程は、第1の反応器1または第2の反応器14で行った。
容量5Lの反応器に、得られた白色粉末のカーボナートと、溶媒としてDMSOまたはDMFを入れ、約25℃で撹拌した。次に、ヘキサメチレンジアミンを加え、約80℃で24時間撹拌した。撹拌後、反応器を開放し、約25℃になるまで、撹拌冷却した。
以下の分離工程は、第1の分離槽2または第2の分離槽15で行った。
予め反応溶液の約20倍量のメタノールを張った容量70Lの分離槽に、反応溶液を移し、撹拌した。その後、撹拌を止め、十分な時間放置した。次いで、第1の分離槽2の上部より、液体上部の空間に、窒素を入れることにより加圧して、槽下部102にある液排出口111から液体を排出した。その際、溶媒の中に存在した浮遊物は、沈殿物としてろ布108上に回収された。次いで、クランプ103を操作して、槽下部102を分離した。次いで、沈殿物が貯まったろ布108を金網109から分離し、槽下部102の外部へ取り出し、沈殿物を得た。
以下の乾燥工程は、第1の乾燥器3または第2の乾燥器16で行った。
得られた沈殿物を、真空乾燥器に移して、加熱しながら減圧することにより乾燥させ、あめ状液体のポリヒドロキシウレタンを得た。
実施例2は、中間体であるカーボナートが液状として得られる場合である。原料として、純度の低いビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用した。
以下の分離工程は、第1の分離槽2または12で行った。
予め反応溶液の約20倍量の水を張った容量70Lの第1の分離槽2に、反応溶液を移し、約25℃で撹拌した。次いで、抽出溶媒として酢酸エチルを加え、撹拌した後、水層と有機層(酢酸エチル層)を分離するまで、約25℃で放置した。次いで、液排出口111から下層たる水層を回収した。次いで、上層たる有機層を得た。
以下の乾燥工程は、第1の乾燥器3または13で行った。
得られた有機層を、真空乾燥器に移して、加熱しながら減圧することにより乾燥させ、液状のカーボナートを得た。必要に応じて、有機層を真空乾燥器に移す前に、減圧下で加熱して、液濃縮を行った。
2、12 第1の分離槽
3、13 第1の乾燥器
10、20 化学反応装置
14 第2の反応器
15 第2の分離槽
16 第2の乾燥器
100 分離槽
101 槽上部
102 槽下部
103 クランプ
104 Oリング
105 底部
106 側壁
107 ろ過部
108 ろ布
109 金網
110 受け板
111 液排出口
A 底部と側壁とろ過部で仕切られた空間
Claims (3)
- ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと二酸化炭素とを反応させて二官能の5員環カーボナートを得て、次いで前記二官能の5員環カーボナートと分子内に2つの1級アミノ基を有するジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを得るための化学反応装置であって、
ビスフェノール類のジグリシジルエーテルと二酸化炭素とを反応させて二官能の5員環カーボナートを生成するための反応および前記二官能の5員環カーボナートと分子内に2つの1級アミノ基を有するジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを生成するための反応の一方または両方を行う第1の反応器と、
前記第1の反応器において得られた二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を分離する第1の分離槽と、
前記第1の分離槽において分離された二官能の5員環カーボナートおよびポリヒドロキシウレタンの一方または両方を乾燥させる第1の乾燥器と、
を備える化学反応装置。 - 前記第1の反応器は、前記二官能の5員環カーボナートを生成するための反応にのみ用いられ、
前記第1の分離槽は、前記第1の反応器において生成された二官能の5員環カーボナートの分離にのみ用いられ、
前記第1の乾燥器は、前記第1の分離槽で分離された二官能の5員環カーボナートの乾燥にのみ用いられ、
前記第1の乾燥器で乾燥された二官能の5員環カーボナートとジアミン類とを反応させてポリヒドロキシウレタンを得るための反応を行う第2の反応器と、
前記第2の反応器において生成されたポリヒドロキシウレタンを分離する第2の分離槽と、
前記第2の分離槽において分離されたポリヒドロキシウレタンを乾燥させる第2の乾燥器と、
を備える請求項1に記載の化学反応装置。 - 第1の分離槽の槽下部、または第1の分離槽と第2の分離槽の両方の槽下部は、槽上部と着脱可能に構成された、底部と側壁とを有する箱型形状であり、
前記槽下部は、内部にろ過部を有し、
前記ろ過部は、底部と側壁とで空間を形成するように配置されている、請求項1または2に記載の化学反応装置。
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