JP2013203906A - インク組成物、画像形成方法及び印画物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を高分子化合物の全質量に対して8質量%〜25質量%と、一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)と、を含み、未中和状態の溶解度パラメーターが20.7〜23.0MPa1/2である高分子化合物及び(b)水を含有するインク組成物。
【選択図】なし
Description
電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ必要とされる画像部のみにインクを吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安いという利点を有し、さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
近年、インク組成物により樹脂製の記録媒体上に形成されたインク画像が、大面積の広告や屋外広告などの用途に供されることが多くなってきた。特に屋外広告の場合には、高い耐水性を要求される。また、大面積の印画物や多数枚の印画物を連続して形成する場合、印刷装置の汚れを有機溶剤で除去する工程が必要となるが、清掃に使用する有機溶剤が飛散して形成されたインク画像に付着した場合、耐溶剤性が低い画像であると、溶剤が付着したところが溶解除去され、白ヌケなどの画像故障ができるため、耐水性、耐溶剤性を高いレベルで良質する画像を形成しうるインク組成物が求められている。
また、特許文献2には、特定のマレイミド構造を有する活性エネルギー線重合性物質を含むインク組成物が記載されている。
また、特許文献2においては、耐溶剤性に関しては何ら検討がなされておらず、耐溶剤性については改良の余地がある。
従って、耐ブロッキング性、耐水性及び耐溶剤性のいずれもが良好な画像を形成する水性インク組成物が切望されているが、未だ提供されていないのが現状である。
また、本発明は、耐水性及び耐溶剤性の双方に優れ、且つ高温ブロッキング性をも改善された画像を形成できる画像記録方法、及び、耐水性及び耐溶剤性の双方に優れ、且つ高温ブロッキング性を改善した画像を有する印画物を提供することを課題とする。
<1>(a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を高分子化合物の全質量に対して8質量%〜25質量%と、下記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)と、を含み、未中和状態の溶解度パラメーターが20.7〜23.0MPa1/2である高分子化合物及び(b)水を含有するインク組成物。
<3> 前記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位である<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<6> 前記親水性基を有する繰り返し単位(a−2)が、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有する繰り返し単位(a−2)である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<7> 前記親水性基を有する繰り返し単位(a−2)が、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有する繰り返し単位(a−2)である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<8> 更に、(c)水溶性有機溶剤を含有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<9> 更に、(d)着色剤を含有する<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<10> インクジェット記録用である<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、
を含む画像形成方法。
<12> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
記録媒体上に付与されたインク組成物に含まれる(b)水及び(c)水溶性有機溶剤の少なくとも一部を乾燥して除去するインク乾燥工程と、
記録媒体上に付与され、乾燥されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、
を含む画像形成方法。
<13> 画像記録媒体上に、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のインク組成物により形成されたか、或いは、<11>又は<12>に記載の画像形成方法によって記録された画像を有する印画物。
また、本発明は、耐水性及び耐溶剤性の双方に優れ、且つ高温ブロッキング性をも改善した画像を形成できる画像記録方法、及び、耐水性及び耐溶剤性の双方に優れ、且つ高温ブロッキング性をも改善した画像を有する印画物を提供することができる。
なお、本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、本発明のインク組成物において固形分量とは、25℃においてインク組成物中に含まれる成分のうち、溶剤を除く全ての成分の総質量に意味する。本明細書における固形分は、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明のインク組成物は、(a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を高分子化合物の全質量に対して8質量%〜25質量%と、下記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)と、を含み、未中和状態の溶解度パラメーターが20.7〜23.0MPa1/2である高分子化合物及び(b)水を含有するインク組成物である。
ここで、本発明において、画像の耐水性及び耐溶剤性とは、形成された画像の水及び溶剤に対する耐久性を意味する。
また、画像の高温ブロッキング性とは、記録媒体上に画像が形成された印画物を、30℃〜50℃という室温より高い温度雰囲気下で、重ねて保管した場合において、隣接する印画物に対する所望とされない画像の貼付や転写が抑制されていることを意味する。
なお、一般的に、熱可塑性樹脂は高温で保存された場合にはブロッキングしやすくなるという問題点がある。しかしながら、本発明のインク組成物は、上記の各成分を含有するため、本発明のインク組成物を用いて形成された画像は、高温ブロッキング性が改善されたものである。
即ち、(a)高分子化合物は、前記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、特定量の親水性基を有する繰り返し単位(a−2)とを含有することにより、(a)高分子化合物自体の極性が高くなり、且つ親水性が向上し水系溶媒に対する親和性が高くなり、画像の耐水性及び耐溶剤性を改善できたと考えられる。
また、上記2種類の繰り返し単位に加え、前記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)を含有させたことにより、分岐鎖を有する嵩高い基が主鎖に導入され、ガラス転移温度(Tg)が高まる。これにより、高温状態でも印画面の軟化が抑制され高温ブロッキング性を改善することができたものと考えられる。
さらに、高分子化合物の極性を特定の範囲に制御することにより、顔料や顔料分散剤に対する相互作用を抑制しているために、インクの保存安定性も改善することができたものと考えられる。
本発明のインク組成物は、(a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を高分子化合物の全質量に対して8質量%〜25質量%と、下記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)と、を含み、未中和状態の溶解度パラメーターが20.7〜23.0MPa1/2である高分子化合物(以下、単に「(a)高分子化合物」と称することもある。)を含む。
以下、(a)高分子化合物に含まれる各繰り返し単位及び(a)高分子化合物の物性について詳細に説明する。
(a)高分子化合物は、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を含む。
これらを考慮した一般式(1)で表される繰り返し単位(a−1)の含有量は、(a)高分子化合物の全質量に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがさらに好ましく、30質量%〜65質量%であることが特に好ましい。
(a)高分子化合物には、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
また、一般式(1)で表される部分構造(a−1)は、高分子反応を用いた方法により導入することもできる。そのような方法としては、例えば、1級アミノ基を有するプレポリマーに、対応する無水物を反応して得る方法や、プレポリマー中の官能基と反応し結合を形成する官能基と一般式(1)で表される部分構造とを有する化合物を、プレポリマーと反応させる方法などが挙げられる。
本発明における(a)高分子化合物は、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を特定量含む。
前記親水性基としては、(a)高分子化合物の親水性を高める機能を有する基であれば特に限定されず、ノニオン性親水性基であってもよいし、イオン性親水性基(例えば、アニオン性親水性基又はカチオン性親水性基)であってもよい。
Ryが、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基である場合、これらの基は、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよい。また、Ryで表されるアルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基は、その構造中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、又はウレタン結合が存在していてもよい。
一般式(5)において、Ryは単結合であることが好ましい。
(a)高分子化合物には、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(a)高分子化合物は、下記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)を含む。嵩高い基が主鎖に導入されることにより、インク組成物のガラス転移温度(Tg)が高まり、インク組成物自体の拡散性を適度な範囲に制御することが可能となり、高温ブロッキング性を改善することができる。
アルキル基としては炭素数1〜7の直鎖のアルキル基が好ましく、剛直性を低下させる観点より、炭素数1〜4の直鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜2の直鎖のアルキル基がさらに好ましい。
また、アルキル基としては炭素数3〜7の環状のアルキル基も好ましい。嵩高く剛直性が高い観点より、環状のアルキル基としては炭素数6〜7の環状のアルキル基がより好ましい。また、ビシクロ等の橋架構造であってもよい。
また、アルキル基はアルキル鎖中にカルボニル基を有していても良い。
また、一般式(2)中、Yは、直鎖及び環状のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも2種以上を組み合わせたn+1価の置換基であってもよい。
(a)高分子化合物には、一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明にかかる(a)高分子化合物は、(a)一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)と、一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)とを含んでいればよく、必要に応じて、低極性成分である疎水性基を有する繰り返し単位(a−4)を含んでいてもよい。
これにより、後述するSP値の調整がより容易になる。
即ち、アルキルアクリレートの場合には、炭素数4〜19のアルキル基を有するエステルであり、炭素数4〜13のアルキル基を有するエステルが好ましい。アルキルメタクリレートの場合には、炭素数4〜18のアルキル基を有するエステルであり、炭素数4〜10のアルキル基を有するエステルが好ましい。
アルキル基は、直鎖でも、分岐鎖を有するものであって、環状であってもよい。また、ベンジル基やフェノキシエチル基などのアラルキルエステルであっても良い。
疎水性基を有する繰り返し単位(a−4)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ボロニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレンやα−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン類、クロロエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類などが挙げられなどが挙げられ、なかでも、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。また、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
疎水性基を有する繰り返し単位(a−4)は、共重合体の極性を低下させる観点から、(a)高分子化合物の全質量中、0〜72質量%の範囲が好ましく、0〜45質量%含むことがより好ましく、0〜35質量%含むことが最も好ましい。
(a)高分子化合物中の、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)、及び一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)の好ましい比率としては、質量基準で、前記(a−1):前記(a−2):前記(a−3)が、20質量%〜75質量%:8質量%〜25質量%:5質量%〜70質量%の範囲が好ましく、25質量%〜70質量%:10質量%〜23質量%:7質量%〜65質量%がより好ましく、30質量%〜65質量%:10質量%〜20量%:15質量%〜60質量%が最も好ましい。ただし、前記比率は前記(a−1)、前記(a−2)及び前記(a−3)の和が100質量%になるように選ばれる。
(a)高分子化合物中の前記(a−1)、前記(a−2)、前記(a−3)及び前記(a−4)の好ましい比率としては、(a−1):(a−2):(a−3):(a−4)が、質量基準で、20質量%〜75質量%:8質量%〜25質量%:5質量%〜70質量%:1質量%〜67質量%の範囲が好ましく、25質量%〜70質量%:10質量%〜23質量%:7質量%〜63質量%:2質量%〜58質量%がより好ましく、30質量%〜65質量%:10質量%〜20質量%:8質量%〜55質量%:5質量%〜52質量%が最も好ましい。ただし、前記比率は前記(a−1)、前記(a−2)、前記(a−3)及び前記(a−4)の和が100質量%になるように選ばれる。
本発明に係る(a)高分子化合物は、SP値が20.7〜23.0MPa1/2である。耐溶剤性と耐水性を高いレベルで発現する観点より、SP値は、21.2〜22.8MPa1/2がより好ましく、21.5〜22.5MPa1/2が特に好ましい。
本発明においてSP値とは、沖津法(接着38巻6号6頁(1994年)高分子刊行会)によって算出される溶解性パラメータであり、分子構造中のユニット毎にモル引力定数、モル体積を与え得られる、沖津により提唱された推算値を示す。
なお、ポリマーのSP値を算出する際には、(メタ)アクリル酸におけるカルボン酸は未中和の状態で計算を行うものとする。
下記モノマー1(24.41)、下記モノマー2(23.22)、下記モノマー3(22.75)、メタクリル酸(24.02)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.89)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(32.87)メチルメタクリレート(19.5)、n−ブチルメタクリレート(18.33)、イソブチルメタクリレート(17.76)、tert−ブチルメタクリレート(17.97)、2−エチルヘキシルメタクリレート(17.30)、ステアリルメタクリレート(17.08)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.89)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(21.29)、シクロヘキシルメタクリレート(18.79)、ベンジルメタクリレート(20.21)、2−フェノキシエチルメタクリレート(20.23)、イソボロニルメタクリレート(18.09)
(a)高分子化合物が一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を有しない非架橋性の重合体を用いた場合は極性の調整による耐水性と耐溶剤性の両立は困難である。しかし、本発明のインク組成物は、(a)高分子化合物中に、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)を含むため、架橋効果と極性による不溶化効果を共に奏し得る。そのため、耐水性と耐溶剤性との双方の効果を両立することができる。
なお前記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、カラムオーブンの設定温度を40℃として測定した。分子量の算出には標準ポリスチレンを用いた。
MAA:メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製)
MAA−Na:メタクリル酸ナトリウム塩(和光純薬工業株式会社製)
iBMA:イソブチルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
IBOMA:イソボロニルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
tBMA:tert−ブチルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
BMA:n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
C18MA:オクタデシルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
PEMA:フェノキシエチルメタクリレート(NKエステルPHE−1G、新中村化学株式会社製)
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)
本発明のインク組成物は水を含有する。
(b)水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水などを用いることが好ましい。
本発明のインク組成物における水の含有量は、10質量%〜97質量%であることが好ましく、30質量%〜95質量%であることが好ましく、50質量%〜85質量%であることがより好ましい。
本発明のインク組成物には、必須成分である(a)高分子化合物、(b)水に加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、公知の添加剤を併用することができる。以下、インク組成物に使用しうる添加剤について説明する。
本発明のインク組成物は、主たる溶剤して水を含有するが、目的に応じて、溶剤中に、さらに、水溶性有機溶剤を併用してもよい。
ここで水溶性有機溶剤とは、25℃の水に対する溶解度が10質量%以上である有機溶剤をいう。
・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンウレア等)、
・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、
・スルホン類(例えば、スルホラン等)、
・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等)
複素環類としては、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンウレア等が好ましく、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
特に沸点の高い溶剤は好ましく用いることができ、常圧での沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
本発明のインク組成物は、着色剤を含有してもよく、着色剤を含有することにより着色インク組成物となる。
着色剤としては、染料及び顔料が挙げられ、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐久性の観点からは、顔料であることが好ましい。
着色剤として用いられる顔料としては、一般に用いられる有機顔料、無機顔料、さらには、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。通常、市販されている顔料はいずれも使用でき、さらに、市販の顔料分散体や表面処理剤などで予め処理された顔料、例えば、顔料を分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5の如きΒ−ナフトール顔料、C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントオレンジ61等の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等の如きピラゾロン顔料、が挙げられる。
茶色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。
白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。白色顔料に使用される無機粒子は単体でも良いし、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であっても良い。これらの中でも、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)が好ましい。
また、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下がより好ましい。顔料の粒径は、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件の設定などにより調整することができる。また、本発明のインク組成物を、白色のインク組成物として調製する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、充分な隠蔽性を与える観点から、0.05μm〜1.0μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.1μm〜0.4μm程度である。白色の顔料分散物とする場合についても、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下であることが好ましい。
着色剤として顔料を用いる場合には、顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加することができる。
好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
また、本発明にはポリアルキルシロキサンを有するシリコーン系界面活性剤や、フッ化アルキル基を有するフッ素系界面活性剤も好ましく用いることができる。
本発明においては、公知の増感色素を併用することができ、増感色素を併用することが好ましい。溶解性としては蒸留水に対して室温において、0.5質量%以上溶解するものが好ましく、1質量%以上溶解するものがより好ましく。3質量%以上溶解するものが特に好ましい。また、増感度色素としては、非水溶性の重合開始剤を分散した光重合開始剤も用いることができる。
本発明に係るインク組成物の調製方法としては、特に制限はなく、各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により撹拌、混合し、分散させることにより調製することができる。各成分の添加順序については任意である。好ましくは、アゾ顔料、高分子分散剤及び有機溶剤をプレミックスした後に分散処理し、得られた分散物を樹脂と有機溶剤とともに混合する。この場合、添加時や添加後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な撹拌機にて均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて混合してもよい。また、分散粒子をより微細化するために、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて混合してもよい。また、顔料や高分子分散剤の種類によっては、顔料分散前のプレミックス時に樹脂を添加するようにしてもよい。
本発明の画像形成方法は、前記インク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含むことを特徴とする。これらの工程を行うことで、記録媒体上に定着したインク組成物による画像が形成される。
以下、本発明の画像形成方法における、インク付与工程について説明する。
本発明におけるインク付与工程は、前記インク組成物を記録媒体上に付与する工程であれば限定されない。
インク供給系としては、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド等が挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi(dot per inch)、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
中でも、本発明のインク組成物は密着性に優れるため、記録媒体として非吸収性記録媒体に対して好適に使用することができ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等のプラスチック基材が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂基材がより好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂シート又はフィルムがさらに好ましい。
以下、本発明の画像形成方法における、照射工程について説明する。
本発明における照射工程は、前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程であれば限定されない。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているに開示されている照射条件及び照射方法を本発明においても同様に適用することができる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって行われ、駆動を伴わない別光源によって行われる方式が好ましい。活性エネルギー線の照射は、インク着弾、加熱乾燥後、一定時間(例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.01秒間〜60秒間)をおいて行われることになる。
本発明の画像形成方法は、インク付与工程後であって照射工程前に、更にインク乾燥工程(「加熱乾燥工程」とも称する。)を有することが好ましい。
加熱乾燥工程において、記録媒体上に吐出されたインク組成物は、加熱手段により、(b)水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発されることにより定着されることが好ましい。
加熱手段としては、(b)水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。なお、乾燥/加熱時間は、用いるインク組成物の組成・印刷速度を加味して適宜設定することができる。
本発明の印画物は、本発明のインク組成物を形成された画像、或いは、本発明の画像形成方法によって記録された画像を有することを特徴とする。本発明の印画物は、記録された画像の耐水性及び耐溶剤性の双方に優れ、且つ高温ブロッキング性に優れた印画物となる。
〔インク組成物の調製〕
(a)高分子化合物、(b)水、(c)水溶性有機溶剤、(d)顔料分散物及び界面活性剤を、下記表2に示す組成になるように、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて、500回転/分にて混合撹拌し、粗インク組成物をそれぞれ調製した。
得られた各粗インク組成物は、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成品である実施例1〜実施例15及び比較例1〜比較例3のインク組成物を得た。
なお、高分子化合物である、化合物A−1〜A−7、A−17及び化合物B−1〜B−3は、特開昭52−988号公報に記載の事項に準拠して合成を行った。
合成した各高分子化合物は、大量のヘキサン中に再沈殿後、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液で溶解して用いた。
本実施例及び比較例にかかるインク組成物1〜18の組成を表2に示す。
(c)水溶性有機溶剤として、2−ピロリドン(和光純薬工業株式会社製)、MPD(2−メチル−1,3−プロパンジオール、東京化成工業株式会社製)を、界面活性剤として、ZONYL FSN(フッ素系界面活性剤 Aldrich社製)を用いた。
(d)顔料分散物は、M分散物としてマゼンタ色の顔料分散物 Projet Magenta APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)、C分散物としてシアン色の顔料分散物 Projet Cyan APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)、K分散としてブラック色の顔料分散物 Projet Black APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)、Y分散物としてイエロー色の顔料分散物 Projet Yellow APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント株式会社製)をそれぞれ用いた。
また、作製したインク組成物の粘度は室温で4mPa・s〜10mPa・sの範囲であった。
得られたインク組成物1〜18を、RK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 KハンドコーターのNo.2バーを用いて、8cm四方の塩化ビニルシート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)に12μmの厚みで塗布した。
さらに、60℃で3分間水分を乾燥した後、低圧水銀灯で1000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光し、塩化ビニルシート上に硬化膜(ベタ画像)を有する印画物を得た。
得られた印画物を用いて、以下の評価を行った。評価結果は表3に示す。
得られた印画物における硬化膜を有する側の表面を、イオン交換水を含浸した綿棒にてこすり、以下の評価基準で評価した。評価結果は表3に示す。なお、A及びBが実用上問題の無いレベルである。
−評価基準−
A:50回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。
B:10〜49回のこすりで、画像の濃度が低下した。
C:0〜9回のこすりで、画像の濃度が著しく低下した。
得られた印画物における硬化膜を有する側の表面を、イソプロピルアルコールを含浸した綿棒にてこすり、以下の評価基準で評価した。評価結果は表3に示す。なお、A及びBが実用上問題の無いレベルである。
−評価基準−
A:50回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。
B:10〜49回のこすりで、画像の濃度が低下した。
C:0〜9回のこすりで、画像の濃度が著しく低下した。
<にじみ性評価>
インクジェット記録装置として、市販のインクジェットプリンタ(富士フイルムダイマティックス社製、DMP−2831)を用意した。得られた各インク組成物を上記インクジェットプリンタに装填し、40度で加熱したポリ塩化ビニル製基材(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)に2ドット幅の細線を5cmの長さで記録した。吐出停止後、得られた細線のにじみを目視評価した。
実施例に記載の顔料分散物を含有するインク組成物1〜14を用いた場合には、いずれもにじみがほとんどなく、細線が直線な状態で良好であった。
上記にじみ性評価に適用したインクジェット記録方法を用い、5cm×5cmの、乾燥後の画像部の平均膜厚が1.2μmのベタ画像を描画した。得られた2枚の印刷物を塗膜面が合うように重ね、さらに1kg/cm2の圧力で40℃で1時間加圧した。その後、2枚の塗膜面を剥がした場合の状態を観察した。評価結果は表3に示す。
−評価基準−
A:塗膜にはがれがなく、剥がす際に音が生じない。
B:塗膜にはがれがないが、剥がす際に音が生じる。
C:塗膜にはがれはないが、塗膜に若干の転写が見られる。
D:塗膜にはがれが生じる。
<インク安定性>
インク組成物を60℃で1週間保存した後、各組成物中の顔料の分散状態を目視で評価すると共に、各組成物の粘度を測定して保存前の粘度との変化の割合を測定し、下記の基準でランク分けした。評価結果は表3に示す。
−評価基準−
A:沈殿物の発生がなく、粘度の増加が10%未満で安定性が高いレベル。
B:沈殿物の発生がなく、粘度の増加は10%以上20%未満で吐出性に問題ないレベル
C:沈殿物の発生なはいが、粘度の増加が20%以上であり吐出性が低下し、実用上問題になるレベル
Claims (13)
- (a)下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)と、親水性基を有する繰り返し単位(a−2)を高分子化合物の全質量に対して8質量%〜25質量%と、下記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−3)と、を含み、未中和状態の溶解度パラメーターが20.7〜23.0MPa1/2である高分子化合物及び(b)水を含有するインク組成物。
(一般式(1)中、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Ra及びRbの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Ra及びRbは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、高分子化合物における主鎖又は側鎖との結合部位を示す。)
(一般式(2)中、Yはn+1価の置換基を表し、nは2〜5の整数を表す。) - 前記一般式(2)のYが直鎖又は環状のアルキル基からn個の水素原子を除いてなるn+1価の置換基である請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−1)が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位である請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
(一般式(3)中、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Ra及びRbの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Ra及びRbは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。Rcは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**又は−CONRd−**を表し、Rdは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Xは2価の有機基を表す。) - 前記一般式(2)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a−2)が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位である請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
(一般式(4)中、Rc’は、水素原子又はメチル基を表す。Z’は、前記一般式(3)におけるZと同様であり、Y’及びn’はそれぞれ前記一般式(2)におけるY及びnと同様である。) - 前記(a)高分子化合物の重量平均分子量が5,000〜150,000である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記親水性基を有する繰り返し単位(a−2)が、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有する繰り返し単位(a−2)である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記親水性基を有する繰り返し単位(a−2)が、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも一種の親水性基を有する繰り返し単位(a−2)である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 更に、(c)水溶性有機溶剤を含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 更に、(d)着色剤を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、
を含む画像形成方法。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
記録媒体上に付与されたインク組成物に含まれる(b)水及び(c)水溶性有機溶剤の少なくとも一部を乾燥して除去するインク乾燥工程と、
記録媒体上に付与され、乾燥されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、
を含む画像形成方法。 - 画像記録媒体上に、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインク組成物により形成されたか、或いは、請求項11又は請求項12に記載の画像形成方法によって記録された画像を有する印画物。
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