JP2013203757A - ポリエステル樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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博二 小島
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Abstract

【課題】流動性および耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物および、その製造方法を提供する。
【解決手段】リン酸アルカリ金属塩を含有するポリエステルチップと3官能以上の反応点を有する化合物0.3重量%以上10重量%以下とを溶融混練押出し、下記式(1)を満たすポリエステル樹脂組成物を得ることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。(η*1−η*2)/η*2≦0.5・・・(1)(η*1:ω=1.25rad/sec時の複素粘性率、η*2:ω=62.83rad/sec時の複素粘性率)
【選択図】なし

Description

本発明は、流動性および耐加水分解性の良好なポリエステル組成物、その製造方法に関する。
ポリエステルは機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。
しかし、ポリエステルは加水分解により機械物性が低下するため、長期にわたって使用する場合、或いは湿気のある状態で使用する場合においては、加水分解を抑制すべく様々な検討がなされてきた。特に、太陽電池用フィルムにおいては、屋外にて20年以上の耐用年数が要求されることから、高い耐加水分解性と耐久性が要求される。
特許文献1には3官能以上の共重合成分及びアルカリ金属のリン酸塩を含有するポリエステルの製造方法が記載されている。
また、特許文献2、3には3官能以上の架橋成分をコンパウンドすることで機械的強度を向上させるポリエステルの製造方法が記載されている。
WO2011/052290 特開2011−146512号公報 特開2008−31439号公報
特許文献1に開示のポリエステルの製造方法のように、溶融重合にて3官能以上の共重合成分を添加する方法では、共重合成分を多量に添加すると増粘が著しく、流動性の低下また生産性の低下を引き起こす。
特許文献2、3に開示のポリエステルの製造方法の場合には、コンパウンド中に架橋成分との反応が進行し増粘することにより、吐出安定性が低下するという問題があった。
本発明の課題は、上記した従来の技術の問題点を解決し、流動性および耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物および、その製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、上記課題を解決するため、次の特徴を有するものである。
(1)リン酸アルカリ金属塩を含有するポリエステルチップと3官能以上の反応点を有する化合物0.3重量%以上10重量%以下とを溶融混練押出し、下記式(1)を満たすポリエステル樹脂組成物を得ることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
(η*1−η*2)/η*2≦0.5 (1)
(η*1:ω=1.25rad/sec時の複素粘性率、η*2:ω=62.83rad/sec時の複素粘性率)
本発明により、生産性を損なうことなく安定的に、流動性および耐加水分解性、耐久性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることが出来る。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、リン酸アルカリ金属塩を含有したポリエステルチップに対し、3官能以上の反応点を有する化合物を溶融混練押出にて添加することで、3官能以上の反応点のうち1官能ないし2官能のみ反応させ、流動性を保ちつつ多官能成分を高濃度に含有させることができる技術である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、主としてジカルボン酸成分とジオール成分からなり、酸成分として85mol%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることが必要であり、中でも機械的特性、耐熱性、耐湿熱性の観点からテレフタル酸成分またはナフタレンジカルボン酸成分であることが好ましい。また、ジオール成分として、成形性、結晶性、耐加水分解性の点から85mol%以上がエチレングリコールであることが必要である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、3官能以上の反応点を有する化合物を0.3重量%以上10重量%以下およびリン酸アルカリ金属塩を含有していることが必要である。
3官能以上の反応点を有する化合物の含有量の下限は、0.3重量%以上である必要があり、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1.2重量%以上である。上限は、10重量%以下である必要があり、好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。含有量をこの範囲にすることで、流動性、生産性を損なうことなく、多官能成分を含有させることが出来、成型品において機械的強度の保持が可能となる。
3官能以上の反応点を有する化合物は、官能基としてカルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、イソシアネート基を有していることが好ましく、さらにカルボキシル基であることが好ましい。上記官能基を有していることで、効果的にポリエステルと反応させることが可能である。
3官能以上の反応点を有する化合物を例示するが、これに限定されない。
官能基がカルボキシル基の場合、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、2−メチルプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸やアクリル酸、メタクリル酸などのポリマーが挙げられ、それらの酸無水物も使用できる。なかでも、流動性の点から、トリメリット酸、ピロメリット酸およびその無水物が好ましい。
官能基がヒドロキシル基の場合、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、トリエタノールアミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メチルグルコキシド、ソルビトール、マンニトール、スクロースなどの多価アルコールやポリビニルアルコールなどのポリマーが挙げられる。中でも、流動性の点から、グリセリン、ペンタエリスリトールが好ましい。
官能基がエステル基の場合、上記カルボキシル基を有する化合物のエステル誘導体および、上記ヒドロキシル基を有する化合物のエステル誘導体が挙げられる。
官能基がイソシアネート基の場合、ノナントリイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカントリイソシアネートなどが挙げられる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、リン酸アルカリ金属塩含有していることが必要である。リン酸アルカリ金属塩を含有していることで、本発明のポリエステル樹脂組成物は、流動性を損なうことなく優れた耐加水分解性を発揮することが出来る。通常、3官能以上の反応点を有する化合物を溶融重合や混練にて多量に添加すると、急激な増粘が生じ、流動性の低下やゲル化が進行する。しかし、本発明においては、リン酸アルカリ金属塩を含有するチップを用い、3官能以上の反応点を有する化合物を溶融混練押出にて添加することで、リン酸アルカリ金属塩が反応を制御し、3官能以上の反応点のうち1点ないし2点の官能基がポリエステル末端と反応するため、急激な増粘や流動性の低下の懸念がない。
さらに、リン酸アルカリ金属塩を含有していることで、耐加水分解性も良好となる。リン酸アルカリ金属塩としては、特に限定しないが、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウムが挙げられる。その中でもリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムが耐加水分解性の点から好ましい。さらに、リン酸アルカリ金属塩と共にリン酸を含有していることが耐加水分解性の点から好ましい。リン酸を共に含有することで、リン酸とリン酸アルカリ金属塩との緩衝作用により、より優れた耐加水分解性が得られる。
リン酸アルカリ金属塩の含有量の下限は、耐加水分解性や3官能以上の反応点を有する化合物の反応制御の点から得られるポリエステル樹脂組成物に対する濃度として0.001重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01重量%以上である。また添加量の上限は異物抑制、耐加水分解性の点から、0.1重量%以下であることが好ましく、より好ましく0.05重量%以下、さらに好ましくは0.03重量%以下である。リン酸アルカリ金属塩をこの範囲で含有していることで、リン酸アルカリ金属塩を含有するポリエステルチップの重合反応性を損なうことなく、3官能以上の反応点を有する化合物とポリエステルとの反応を効果的に制御することが出来、さらに耐加水分解性が良好なポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の耐加水分解性は、チップの状態で湿熱処理(155℃、100%RH、4時間)を行い、処理前後でのCOOH末端基量の増加量ΔCOOHを測定することで評価する。この時、ΔCOOHがより小さい値であれば、優れた耐加水分解性を有していることになる。本発明のポリエステル樹脂組成物はこのΔCOOHが70eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは60eq/ton以下、さらに好ましくは55eq/ton以下である。本発明は、リン酸アルカリ金属塩を含有しているため、耐加水分解性を向上させることが可能となっている。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物の耐久性は、本発明のポリエステル樹脂組成物を使用した成型品にて評価を実施する。具体的には、本発明のポリエステル樹脂組成物をマスターチップとして使用し、マスターチップと同量以上のポリエステル樹脂と混合し、溶融製膜、延伸することで、2軸延伸フィルムを得る。この時、マスターチップの混合比が多いと、コストアップに繋がることから、同量以上のポリエステル樹脂と混合することが好ましく、さらに好ましくは3倍以上である。
この2軸延伸フィルムの湿熱処理(125℃、100%RH、60時間)を行い、伸度保持率を算出する。伸度保持率は、処理前後のフィルム伸度を測定し、処理前のサンプルに対する処理後サンプルの伸度を百分率で表したものである。この伸度保持率が大きい値であるほど、耐加水分解性および耐久性に優れている。本発明において、この伸度保持率が70%以上であることが好ましく、さらに好ましくは80%以上、特に85%以上が好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、下記式(1)を満たすことが必要である。
(η*1−η*2)/η*2≦0.5 (1)
式(1)で示す、η*1とはレオメーターにて動的粘弾性測定を実施した際の角速度ω=1.25rad/sec時の複素粘性率であり、η*2とは角速度ω=62.83rad/sec時の複素粘性率である。この差が0.5以下であることが本発明では必要であり、好ましくは0.45以下である。通常、架橋をするような多官能成分を添加した場合、剪断速度による複素粘弾率が大きく変化し、式(1)で示した差は大きな数値となる。この差が大きな値であるほど、バラス効果が発現しやすくなり、吐出の不安定化や成形不良などのトラブルが生じやすくなる。したがって、式(1)の差が小さいほど、吐出や成型時の溶融安定性が得られる。本発明においては、リン酸アルカリ金属塩を含有したポリエステルチップに対し、3官能以上の反応点を有する化合物を溶融混練押出することで、3官能以上の反応点のうち1点ないし2点しか反応しないため、流動性を低下させる懸念がない。
以下、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について記載する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、リン酸アルカリ金属塩を含有するポリエステルチップと3官能以上の反応点を有する化合物を0.3重量%以上10重量%以下溶融混練押出することが必要である。リン酸アルカリ金属塩を含有するポリエステルチップに対し、3官能以上の反応点を有する化合物を添加することで、リン酸アルカリ金属塩が反応を制御し、1点ないし2点のみの反応が進行、急激な増粘などによる流動性の低下が抑制出来る。
溶融混練押出にて3官能以上の反応点を有する化合物を反応させる方法としては、1軸押出機または2軸押出機にて実施することが好ましい。添加の状態は、溶媒に溶解または分散させてもよいし、粉体や液体のまま使用してもよい。添加方法としては、ポリエステルチップ投入口とは異なる投入口から添加してもよいし、ポリエステルチップと混合し添加しても構わない。
1軸押出機または2軸押出機のスクリューの長さをL、スクリュー直径をDとした時、L/Dが35以下の2軸押出機を使用することが好ましい。好ましくはL/D30以下である。下限はL/Dが20以上であり、好ましくは25以上である。上記範囲のL/Dにすることで、すばやくかつ均一に反応し、3官能以上の反応点を有する化合物とポリエステルとの反応が、1点ないし2点の反応で制御できる。
1軸押出機または2軸押出機のスクリュー回転速度は、200rpm以上350rpm以下であることが好ましく、さらに好ましくは300rpm以上350rpm以下である。上記範囲の回転速度にすることで、すばやく押し出すことができ、流動性を悪化させることなく反応を進行させることができる。さらに、短時間で押出が可能となるため、樹脂の熱劣化も抑制することができ、耐加水分解性が良好となる。
1軸押出機または2軸押出機において、溶融混練押出する際の溶融温度は、ポリエステルの流動性や熱劣化を抑制する観点から、200℃以上320℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは220℃以上300℃以下である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、溶融混練押出後、固体状態で加熱処理することで、3官能以上の反応点を有する化合物とポリエステルとの反応を進行させることが出来る。固体状態にて反応を進行させることで、流動性の悪化や、吐出乱れによる生産性の低下をすることなく、架橋を進行させることが可能である。加熱処理は、窒素などの不活性気体下もしくは大気圧以下の減圧下で実施することが樹脂の劣化を防ぐ上で好ましい。加熱処理の温度は、150℃以上230℃以下で実施することが好ましく、さらに好ましくは180℃以上230℃以下である。上記範囲で実施することで、樹脂の癒着もなく、効率的に3官能以上の反応点を有する化合物とポリエステルの反応も進行する。この加熱処理前後で、(η*1−η*2)/η*2の値が増加すること確認することで、反応が進行したことを確認できる。本発明では、加熱処理にて(η*1−η*2)/η*2が0.5以上増加することが好ましく、さらに好ましくは1.0以上である。上限は特に設けないが、成型時の流動性の観点から、増加量が10.0以下であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
なお、物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)COOH末端基量
次の文献に記載されたMauriceの方法により測定した。
M.J.Maulice, F.Huizinga “Anal. Chim. Acta” Vol.22, p−363(1960)
(2)耐加水分解性評価(ΔCOOH)
ペレット状のポリエステル樹脂組成物を155℃、100%RHで4時間加熱処理し、処理前後のCOOH末端基量の差(処理後COOH末端基量−処理前COOH末端基量)を比較した。
なお、処理装置は加熱処理装置PRESSER COOKER 306SIII((株)平山製作所製)を使用した。
(3)伸度保持率の算出
2軸延伸されたフィルムを用いて、125℃、100%RHで60時間加熱処理し、処理前後のフィルム伸度を測定する。処理前のサンプルに対する処理後のサンプルの伸度保持率を百分率で求めた。
フィルムの伸度は、ASTM−d882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて、下記条件にて測定した。
・測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
・試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
・引張速度:200mm/分
・測定環境:23℃、65%RH
(4)複素粘弾性η測定
ペレット状のポリエステル樹脂組成物を、160℃で16時間、真空乾燥機にて乾燥を行い、レオメーターにて動的粘弾性測定を下記条件にて実施した。
・プレート:パラレルプレート(20mm径)
・測定周波数:0.05Hz、0.1Hz、0.2Hz、0.5Hz、1Hz、
2Hz、5Hz、10Hz、5Hz、2Hz、1Hz、0.5Hz、
0.2Hz、0.1Hz、0.05Hzの15点
・測定装置:(株)ユービーエム製 “RHEOSOL−G3000”
・測定温度:280℃
・測定環境:窒素雰囲気下
角速度ω=1.25rad/sec時の複素粘性率をη1、角速度ω=62.83rad/sec時の複素粘性率をη2とし、式(1)にて複素粘弾率の変化率を算出した。
変化率=(η1−η2)/η2 (1)
(5)吐出安定性
溶融押出時の吐出状態を観察し、判断した。
○:問題なく吐出・カッティング可能
△:多少ストランド乱れが見られたが、カッティング可能
×:ストランドの乱れがひどく、カッティング不可
(参考例1)ポリエステルチップAの製造方法
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン4水和物0.07重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を、エステル交換反応槽に仕込み、150℃で溶融した。この溶融物を撹拌しながら、230℃まで3時間かけて昇温しながら、メタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したところで、エステル交換反応を終了とし、リン酸0.019重量部/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.026重量部/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧し、エチレングリコールを留出させた。目標トルクに到達した時点で反応を終了とし、反応系内を窒素にて常圧にし、重合装置下部から溶融ポリマーをストランド状に吐出した。吐出されたポリマーを水槽にて急冷し、カッターを用いてチップ状にし、ポリエステルチップAを得た。
ポリエステルチップA:IV=0.65、COOH末端基量=25eq/ton 。
(参考例2)ポリエステルチップBの製造方法
参考例1と同様の手法によって得られたIV=0.55、COOH末端基量=18eq/tonポリエステルチップを160℃で6時間乾燥させ、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torrで8時間の加熱処理を行い、ポリエステルチップBを得た。
ポリエステルチップB:IV=0.80、COOH末端基量=11eq/ton 。
(参考例3)ポリエステルチップCの製造方法
参考例1のリン酸二水素ナトリウム二水和物をリン酸二水素カリウムに変更した以外は、同様の方法にてポリエステルチップCを得た。
ポリエステルチップC:IV=0.65、COOH末端基量=26eq/ton 。
(参考例4)ポリエステルチップDの製造方法
参考例1にてリン酸を添加しなかった以外は、同様の方法にてポリエステルチップDを得た。
ポリエステルチップD:IV=0.65、COOH末端基量=28eq/ton 。
(参考例5)ポリエステルチップEの製造方法
参考例1のリン酸二水素ナトリウム二水和物を添加しなかった以外は、同様の方法にてポリエステルチップEを得た。
ポリエステルチップE:IV=0.65、COOH末端基量=26eq/ton 。
(実施例1)
ポリエステルチップA100重量部に対し、無水トリメリット酸1.2重量部の配合比で2軸押出機((株)テクノベル製、「KZW15型」、L/D=30)に供給し、温度280℃、回転数300rpmで溶融混練押出した。吐出したストランド状ポリマーを水中で冷却し、ペレタイザーにてカット、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物とポリエステルチップBを1:3重量比の混合し、150℃で5時間乾燥後、押出機に供給した。押出温度280℃でTダイから吐出させ、キャスティングドラム(20℃)にて急冷し、静電印加法にてシート化した。このシートを縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.6倍で延伸した後、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.6倍で延伸し、210℃で熱処理を3秒行うことで、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例1にて得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
(実施例2〜6)
溶融混練押出時の無水トリメリット酸の添加量、2軸延伸フィルム成型時のチップ混合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例2〜6にて得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
(実施例7)
ポリエステルチップBを用いて溶融混練押出した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物および2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例7にて得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
(実施例8)
ポリエステルチップCを用いて溶融混練押出した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物および2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例8にて得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
(実施例9)
ポリエステルチップDを用いて溶融混練押出した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物および2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例9にて得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性を有していたが、リン酸を併用していないため、耐加水分解性は実施例1に比べ低下する傾向であった。
(比較例1、2)
溶融混練押出時の無水トリメリット酸の添加量、2軸延伸フィルム成型時のチップ混合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
比較例1にて得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性を有していたが、無水トリメリット酸の添加量が少ないため、十分な伸度保持率が得られなかった。
比較例2にて得られたポリエステル樹脂組成物は、添加した無水トリメリット酸の量が多いため、吐出が不安定となった。なお、耐加水分解性は低下する傾向であった。
(比較例3)
ポリエステルチップEを用いて溶融混練押出した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物および2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
比較例3にて得られたポリエステル樹脂組成物は、リン酸アルカリ金属塩を含有していないため、溶融押出時に無水トリメリット酸とポリエステル末端との反応が制御できず、吐出が不安定となった。また、リン酸アルカリ金属塩を含有していないことから、十分な耐加水分解性も発現しなかった。
(実施例10〜14)
溶融混練押出時に添加する3官能以上の反応点を有する化合物、2軸延伸フィルム成型時のチップ混合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例10、11で得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
実施例12〜14で得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有していた。
(実施例15)
2軸押出機の回転数を200rpmに変更した以外は、実施例1同様の方法でポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例15で得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
(実施例16)
2軸押出機の回転数を150rpmに変更した以外は、実施例1同様の方法でポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例16で得られたポリエステル樹脂組成物は、実施例1に比べ押出時の回転数が遅いため、押出時間が長くなり、多少ストランドが乱れる傾向であったが、十分な耐加水分解性、耐久性を有していた。
(実施例17)
2軸押出機のL/Dを25に変更した以外は、実施例1同様に、ポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例17で得られたポリエステル樹脂組成物は、問題なく吐出可能な流動性、十分な耐加水分解性、耐久性を有しており、太陽電池用途等に供しても問題のないレベルであった。
(実施例18)
2軸押出機のL/Dを45に変更した以外は、実施例1と同様に、ポリエステル樹脂組成物、2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表1に示す。
実施例18で得られたポリエステル樹脂組成物は、実施例1に比べL/Dが大きいため、押出時間が長くなり、多少ストランドが乱れる傾向であったが、十分な耐加水分解性、耐久性を有していた。
(比較例4)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン4水和物0.07重量部、三酸化アンチモン0.03重量部を、エステル交換反応槽に仕込み、150℃で溶融した。この溶融物を撹拌しながら、230℃まで3時間かけて昇温しながら、メタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したところで、エステル交換反応を終了とし、無水トリメリット酸1.2重量部を添加し、5分後リン酸0.019重量部/リン酸2水素ナトリウム2水和物0.026重量部/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加、重合装置に移送した。
重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧し、エチレングリコールを留出させた。目標トルクに到達した時点で反応を終了とし、反応系内を窒素にて常圧にし、重合装置下部から溶融ポリマーをストランド状に吐出したが、ストランドの乱れが起こり、安定に吐出することができなかった。
Figure 2013203757
(実施例19)
実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物を、160℃で6時間乾燥させ、結晶化させた。その後、220℃、真空度0.3Torrで8時間の加熱処理を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。さらに、実施例1と同様に、得られたポリエステル樹脂組成物とポリエステルチップBを使用し、2軸延伸フィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表2に示す。
実施例17にて得られたポリエステル樹脂組成物は、加熱処理によって十分に架橋反応が進行しており、十分な耐加水分解性を有していた。さらに、2軸延伸フィルムとすることで、太陽電池用途等に供しても問題のない伸度保持率を有していた。
(実施例20〜23、比較例5)
使用するポリエステル樹脂組成物を変更した以外は、実施例17と同様の方法でポリエステル樹脂組成物および2軸延伸フィルムを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物の複素粘弾率および耐加水分解性、2軸延伸フィルムの伸度保持率を表2に示す。
実施例18〜21にて得られたポリエステル樹脂組成物は、加熱処理によって十分に架橋反応が進行しており、十分な耐加水分解性を有していた。さらに、2軸延伸フィルムとすることで、太陽電池用途等に供しても問題のない伸度保持率を有していた。
比較例5にて得られたポリエステル樹脂組成物は、十分な耐加水分解性を有していたが、無水トリメリット酸の含有量が少ないため、十分な伸度保持率が得られなかった。
Figure 2013203757
本発明によれば、流動性および耐加水分解性の良好なポリエステル原料を得ることが出来る。さらにこれをフィルムとすることで、磁材用途、コンデンサーなどの電気材料用途、包装用途など様々な用途に使用でき、特に長期の耐加水分解性、耐久性が要求される太陽電池用フィルムに好適に利用することが可能となる。

Claims (5)

  1. リン酸アルカリ金属塩を含有するポリエステルチップと3官能以上の反応点を有する化合物0.3重量%以上10重量%以下とを溶融混練押出し、下記式(1)を満たすポリエステル樹脂組成物を得ることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
    (η*1−η*2)/η*2≦0.5 (1)
    (η*1:ω=1.25rad/sec時の複素粘性率、η*2:ω=62.83rad/sec時の複素粘性率)
  2. 3官能以上の反応点を有する化合物が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エステル基、イソシアネート基から選択される官能基を少なくとも1つ有していることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 3官能以上の反応点を有する化合物が、3官能以上のカルボキシル基を有する化合物またはその無水物であり、添加量が1.2重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  4. 請求項1で得たポリエステル組成物を、150℃以上230℃以下の温度で加熱処理して、複素粘性率の変化率(η*1−η*2)/η*2を0.5以上増加させることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物。
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