JP2013203612A - 超電導バルク体の被膜形成剤、超電導バルク体用被膜、並びに被膜を有する超電導バルク体および超電導バルク磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性が十分に高くて、局所的な被膜形成能に優れており、なおかつ、薄膜であっても十分な機能を発揮できてコスト低減を図れるような超電導バルク体用被膜を提供すること。
【解決手段】シリコーン樹脂とそのシリコーン樹脂中に分散した無機微粒子を含むことを特徴とする被膜(1)を、超電導バルク体(2)の表面に形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導バルク体を保護するための被膜とその形成に関するものである。具体的には、超電導バルク体の被膜形成剤と、その被膜形成剤を用いて形成される被膜と、その被膜により保護された超電導バルク体および超電導バルク磁石に関するものである。
永久磁石よりも、はるかに高い磁場を発生する超電導磁石が開発され、医療用磁気断層撮影装置(MRI)や磁気浮上列車などに応用されている。超電導磁石としては、超電導線をコイル状に巻いた電磁石型の超電導コイル磁石が一般的であるが、近年、高温超電導体であるRE−Ba−Cu−O系バルク体(REは、Y,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群より選択される1種類または2種類以上の元素を表す。)に磁場を捕捉させて、磁石として機能させる超電導バルク磁石の開発も進んでいる。超電導バルク磁石は、超電導コイル磁石よりもはるかにコンパクトであり、比較的小さな空間に大きな磁場を発生する用途に適している。また、本質的に永久電流モードで運転されるため、いったん励磁すれば、冷却している限り磁場を発生し続けるというメリットもある。このため、超電導バルク磁石は、ドラッグデリバリーシステム、水質浄化システム、ミキサー・ポンプ、エネルギー貯蔵など、多くの分野での使用が期待されている。
しかしながら、超電導バルク磁石は水に弱いため、大気中の水分により特性が劣化しやすいという問題がある。これは表面の化学反応等による腐食劣化だけでなく、バルク磁石に存在するクラック等の隙間に入り込んだ水分が、冷却による凝固で体積膨張してバルク磁石を風化させる物理的な劣化にもよるものである。このような劣化を防ぐために、超電導バルク磁石の表面の一部または全部を樹脂で被覆しておくことが提案されている。
例えば、特許文献1には、超電導バルク体の全表面に樹脂を含浸させることにより、長期にわたる性能維持を図ることが記載されている。また、特許文献2には、そのような樹脂含浸層と、さらに線熱膨張係数の小さなフィラーを分散した樹脂層で超電導バルク体全体を被覆することが記載されている。また、特許文献3には、樹脂含浸された布の密着被覆層で超電導バルク体全体を被覆することが記載されている。これらの特許文献には、エポキシ樹脂を用いた例が記載されており、特にエポキシ樹脂とガラス繊維の複合体(GFRP)が優れた効果を示すことが記載されている。
特開2000−178025号公報 特開2000−256082号公報 特開2001−010879号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載される組成物を用いて超電導バルク体に被膜を形成しても、満足の行く耐候性が得られず、時間の経過とともに機能が劣化してしまうことが判明した。また、超電導バルク体の一部分だけに局所的な被覆を行いたいときには不向きであり、実用上の難点があることも判明した。さらに、樹脂と混合するガラス繊維は高価であることから、実社会で利用促進を図るには価格面で難があるという問題もある。
本発明らは、これらの従来技術が抱える課題を解決するために、耐候性が十分に高くて、局所的な被膜形成能に優れており、なおかつ、薄膜であっても十分な機能を発揮できてコスト低減を図れるような超電導バルク体用の被膜を提供することを目的として検討を重ねた。
上記の従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、本発明者らは、従来技術文献には記載されていないシリコーン樹脂と無機粒子を含む被膜を形成すれば、比較的膜厚が薄くても超電導バルク体に十分な耐候性を付与することが可能であることを見出した。また、この被膜は局所的な形成にも適しており、様々な形状に対する形成性が極めて高いことも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて開発されたものであり、特に以下の課題解決手段を含むものである。
[1] シリコーン樹脂と無機粒子と硬化剤を含むことを特徴とする、超電導バルク体の被膜形成剤。
[2] 前記無機粒子が酸化物粒子であることを特徴とする、[1]に記載の被膜形成剤。
[3] 前記無機粒子が酸化マグネシウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化カルシウム粒子からなる群より選択される1以上の無機粒子であることを特徴とする、[1]に記載の被膜形成剤。
[4] 前記シリコーン樹脂100質量部に対して前記無機粒子を20〜500質量部含有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の被膜形成剤。
[5] シリコーン樹脂とそのシリコーン樹脂中に分散した無機微粒子を含むことを特徴とする、超電導バルク体用の被膜。
[6] 前記無機粒子が酸化物であることを特徴とする、[5]に記載の被膜。
[7] 前記無機粒子が酸化マグネシウム、酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムからなる群より選択される1以上の無機粒子であることを特徴とする、[5]に記載の被膜。
[8] 前記シリコーン樹脂100質量部に対して前記無機粒子を20〜500質量部含有することを特徴とする、[5]〜[7]のいずれか1項に記載の被膜。
[9] 厚みが12mm以下であることを特徴とする、[5]〜[7]のいずれか1項に記載の被膜。
[10] [5]〜[9]のいずれか1項に記載の被膜を有することを特徴とする、被膜を有する超電導バルク体。
[11] 超電導バルク体の一部の表面が前記被膜で覆われていることを特徴とする、[10]に記載の超電導バルク体。
[12] 超電導バルク体の全表面が前記被膜で覆われていることを特徴とする、[10]に記載の超電導バルク体。
[13] [10]〜[12]のいずれか1項に記載の超電導バルク体に磁場を捕捉させたことを特徴とする、超電導バルク磁石。
本発明の被膜は、超電導バルク体に形成することによって、超電導バルク体の耐候性を十分に高めることができる。また、薄膜であっても十分な機能を発揮できるため、安価に形成することができる。本発明の被膜形成剤を用いれば、そのような特徴を有する被膜を容易に形成することができる。また、様々な形状に対して良好な被膜形成能を発揮する。さらに、本発明の被膜を形成した超電導バルク体や超電導バルク磁石は、その機能を長期間にわたって維持することができ、安定で信頼性が高いという特徴を有する。
本発明の被膜を形成した状態を示す概略断面図である。 本発明の被膜を形成した状態を示す概略断面図である。 本発明の被膜を形成した状態を示す概略断面図である。 本発明の被膜を形成した状態を示す概略断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[超電導バルク体の被膜形成剤]
本発明の超電導バルク体の被膜形成剤は、シリコーン樹脂とそのシリコーン樹脂中に分散した無機粒子を含有することを特徴とするものである。ここでいう被膜形成剤は、超電導バルク体に被膜を形成するために用いる組成物であり、被膜形成前の混合物を意味する。
本発明の被膜形成剤の構成材料であるシリコーン樹脂は、珪素原子と酸素原子が交互に結合してなる構造により主鎖や主たる骨格が形成されている樹脂である。珪素原子には、少なくとも有機基が結合しており、有機基としてはアルキル基やアリール基を挙げることができる。アルキル基は、炭素数1〜12であるものが好ましく、炭素数1〜6であるものがより好ましく、炭素数1〜3であるものがさらに好ましい。アルキル基は置換されていてもよいが、通常は無置換であることが好ましい。アリール基は炭素数6〜14であるものが好ましく、6〜10であるものがより好ましい。アリール基も置換されていてもよいが、通常は無置換であることが好ましい。有機基の具体例として、メチル基、エチル基、フェニル基を例示することができる。また、シリコーン樹脂は、アクリル変性シリコーン樹脂のように変性したものであってもよい。
本発明で用いるシリコーン樹脂の有機基と珪素原子のモル比や分子量(粘度)は特に制限されない。また、市販品を用いることもできる。例えば、セメダイン社製スーパーXや、シリコーンシーラントなどを用いることが可能である。
本発明で用いる無機粒子は、被膜形成をしようとしている超電導バルク体の線膨張係数よりも低い線膨張係数を有する材料の中から選択することが好ましい。具体的には、線膨張係数が15×10-6/K以下であるものが好ましく、10×10-6/K以下であるものがより好ましい。材質としては、酸化物粒子やNi基合金粒子を採用することが好ましい。酸化物粒子としては、酸化マグネシウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化カルシウム粒子からなる群より選択される酸化物粒子を採用することが好ましい。Ni基合金粒子は、Ni含有率により線膨張係数が変化する。Ni基合金粒子を用いる場合のNi含有率は、例えば30%以上にしてもよいし、40%以上にしてもよく、また80%以下にしてもよいし、70%以下にしてもよい。無機粒子は、1種類のみを単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。無機粒子の粒径は、均一に分散しうる程度の粒径であれば特に制限されず、粒径分布を持っているものであってもよい。例えば、粒径が
50μm以下のものを使用することができ、また、300μm以下のものを使用してもよい。
シリコーン樹脂と無機粒子の配合比率は、被膜形成をしようとしている超電導バルク体の線膨張係数になるべく近い線膨張係数となる被膜を形成できるように調整することが特に好ましい。シリコーン樹脂は線膨張係数が大きく、無機粒子は線熱膨張係数が小さい。また通常は、超電導バルク体の線膨張係数はこれらの中間にある。したがって、本発明に使用するシリコーン樹脂と無機粒子の配合比率を適宜変えて線膨張係数を測定することにより、できるだけ超電導バルク体の線膨張係数に近くなる配合比率を見出して採用することが好ましい。本発明では、被膜形成をしようとしている超電導バルク体の線膨張係数と、形成する被膜の線膨張係数との差が5×10-6/K以下であるものが好ましく、3×10-6/K以下であるものがより好ましく、1×10-6/K以下であるものがさらに好ましい。
本発明の被膜形成剤に含まれているシリコーン樹脂と無機粒子の配合比率は、シリコーン樹脂100質量部に対して無機微粒子が25質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、75質量部以上であることがさらにより好ましく、100質量部以上であることが特に好ましい。また、シリコーン樹脂100質量部に対して無機微粒子が500質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましく、250質量部以下であることがさらにより好ましく、200質量部以下であることが特に好ましい。
本発明の被膜形成剤には、シリコーン樹脂と無機粒子の他に種々の添加剤が含まれていてもよい。例えば、無機粒子の分散性を改善するために分散剤を添加してもよい。また、シリコーン樹脂の硬化剤を通常用いられているものの中から適宜選択して添加することができる。また、被膜の意匠性を上げるために、着色剤や顔料を添加したりすることも可能である。さらに、その他の被膜形成時に通常用いられる添加剤を適宜選択して添加することが可能である。
本発明の被膜形成剤を用いて超電導バルク体に被膜を形成する方法は特に制限されない。例えば、被膜形成剤を入れた容器の中に超電導バルク体を浸漬する方法を好ましい方法として挙げることができる。また、超電導バルク体の表面に被膜形成剤をコーティングしてもよい。
[被膜]
このようにして形成される本発明の被膜は、比較的薄くても超電導バルク体に耐候性を付与することができる点で優れている。被膜の厚みは特に制限されないが、例えば100μm以下にまで薄くしても効果を発揮することができ、さらには50μm以下や、20μm以下にまで薄くすることも可能である。
本発明の被膜は、薄くても効果を発揮することから、コスト上も極めて有利である。また、使用材料も、比較的安価なシリコーン樹脂と酸化アルミニウム粒子などの無機粒子を採用することができるため、原料費も抑えることができる。さらに、本発明の被膜は様々な形状を有する超電導バルク体の表面に容易に形成することが可能であるため、製造コストも抑えることができる。例えば、超電導バルク体の表面に形成された凹凸や孔、あるいは他の部材との接合部分に生じる微細な構造の歪みや荒れなどに対しても円滑に被膜形成することができる。また、超電導バルク体には、形状記憶合金からなる締付具や金属製の円環などを設置することができるが、これらの異種部材表面や異種部材と超電導バルク体との接合部分においても円滑に被膜形成することができる。
また、本発明の被膜は、超電導バルク体の全表面を覆うように形成してもよいし、その一部だけを覆うように形成してもよい。また、超電導バルク体が異種部材と接合している場合は、それらに跨って被膜を形成してもよいし、個別に形成してもよい。それらは、超電導バルク体の使用目的や使用態様に応じて適宜決定することができる。
本発明の被膜を形成した具体的態様を、図1〜3を参照しながら説明する。図1は、超電導バルク体の全表面を覆うように本発明の被膜を形成した状態を示す断面図である。図2と図3は、金属製の円環(リング)で締結した超電導バルク体に対して被膜を形成した状態を示す断面図である。図2のように金属製の円環に乗り上げないように被膜を形成することも、図3のように金属製の円環の上部まで伸長するように被膜を形成することも、本発明によれば容易に行うことができる。図2の態様の場合は、金属製の円環の上部と被膜表面のレベルと水平にすることも容易であり、外観上もきれいな製品に仕上げることが可能である。また、図3の態様の場合は、超電導バルク体だけでなく金属製の円環に対しても本発明の被膜は良好な密着性を示す。
本発明の被膜は、多重積層被膜であっても構わない。すなわち、本発明の被膜を二重や三重にして形成してもよい。その際、本発明の被膜と本発明の被膜の間には別の層を挿入しても構わない。これによって、一段と保護機能を強化したり、耐候性を上げたりすることができる。
[被膜を有する超電導バルク体]
本発明の被膜を形成した超電導バルク体は、耐候性が高いという特徴を有する。このため、長期にわたって安定した性能を発揮することができる。
本発明の被膜を形成する超電導バルク体の種類は特に制限されない。例えば、典型的な高温超電導体であるRE−Ba−Cu−O系バルク体(REは、Y,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群より選択される1種類または2種類以上の元素を表す。)に対して、本発明の被膜を好ましく形成することができる。また、このような典型的な超電導バルク体として、種々の改良を加えたものに対しても、本発明の被膜を好ましく形成することができる。
例えば、RE−Ba−Cu−O系円柱状結晶片を含む超電導バルク体であって、その上面と下面が下記の式(1)および式(2)を満たすことを特徴とする、磁場捕捉能が高い超電導バルク体に対して、好ましく本発明の被膜を形成することができる。
式(1): 0.93 ≦ X ≦ 1.07
(上式においてXは、超電導相の組成式RExBa2Cu3y(yは6.8〜7.0)におけるX値を表す。)
式(2): θc ≦ 6°
(上式において、θcは上面または下面で観測される結晶の主軸のうちc軸に最も近いものとc軸とのなす角度を表し、前記領域に結晶の主軸が観測されない場合は式(2)を満たさないものとする。)
このような超電導バルク体は、下記の工程1によるか、あるいは下記の工程1と工程2により製造することが可能である。
<工程1>
種結晶溶融法で合成した円柱状合成結晶の上部と下部を除去して円柱状合成結晶中央部を取得するか、さらに当該円柱状合成結晶中央部を中心軸に垂直な方向に切断して円柱状合成結晶切断片を取得する工程。
<工程2>
前記工程1で取得した前記円柱状合成結晶中央部および前記円柱状合成結晶切断片のいずれか2以上を中心軸方向に積み重ねて積重体を形成する工程。
[超電導バルク磁石]
本発明の超電導バルク体を用いることによって、超電導バルク磁石を作製することができる。超電導バルク体に磁場を捕捉させるには、まず超電導バルク体に磁場を加え、液体窒素などで冷却する。その後、超電導バルク体が十分冷えた後に、外部の磁場を取り除いて超電導バルク体に磁場を捕捉する。超電導バルク体から超電導バルク磁石を作製する方法の詳細については、既知の方法を適宜選択して用いることができ、具体的には後述の実施例を参考にすることができる。
本発明の超電導バルク磁石は、様々な用途に効果的に応用されうる。例えば、磁気誘導型のドラッグデリバリーシステム、NRI、NMRなどの診断・医療分野に応用することが可能であり、マグネトロンスパッタ装置などのエレクトロニクス分野にも応用することが可能である。さらに、水質浄化などを目的とした磁気分離装置などの環境分野にも応用することが可能であり、超電導モータ、発電機、フライホイールシステムなどの電気分野にも応用することが可能である。その他にも、幅広い技術分野での応用が期待される。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
シリコーン樹脂としてセメダイン社製スーパーXを10gと、無機粒子として平均粒径が17μmである酸化アルミニウムを20gを20℃で混合することにより、被膜形成剤を調製した。
一方、超電導バルク体として、材料としてY−Ba−Cu−Oから構成されており、サイズが40mmであるものを、加熱することによって作製した。
作製した超電導バルク体を被膜形成剤で塗布することによって、図1に示すように超電導バルク剤の全表面に厚みが約200μmの被膜を形成した。
被膜を形成した超電導バルク体を水に浸漬して、その前後で磁気特性を確認したところ、前後で有意差は認められなかった。
また、被膜を形成した超電導バルク体を1年間日光に当て、その前後で磁気特性を確認したところ、前後で有意差は認められなかった。従来の方法にしたがってエポキシ樹脂で被覆した超電導バルク体は1ヶ月経過後には表面にクラックが入った。
被膜を形成した超電導バルク体を液体窒素中に浸漬して室温に戻す作業を100回繰り返し、その前後で磁気特性を確認したところ、前後で有意差は認められなかった。従来の方法にしたがってエポキシ樹脂で被覆した超電導バルク体は1回行った時点で表面にクラックが入った。
(実施例2)
鉄系形状記憶合金製のリングで締結した超電導バルク体を用いて、図2に示すように被膜を形成したこと以外は、実施例1と同じ手順で被膜の形成を行い、試験を行った。
実施例2の超電導バルク体についても、実施例1と同様にすべての試験で優れた結果が得られた。
(実施例3)
ステンレス製のリングで締結した超電導バルク体を用いて、図3に示すように被膜を形成したこと以外は、実施例1と同じ手順で被膜の形成を行い、試験を行った。
実施例3の超電導バルク体についても、実施例1と同様にすべての試験で優れた結果が得られた。
(実施例4)
鉄系形状記憶合金製のリングで締結した超電導バルク体を用いて、図4に示すように全体を覆う被膜を形成したこと以外は、実施例1と同じ手順で被膜の形成を行い、試験を行った。
実施例4の超電導バルク体についても、実施例1と同様にすべての試験で優れた結果が得られた。
本発明によれば、超電導バルク体の表面に極めて簡便な方法で安価に被膜を形成して、超電導バルク体の耐候性を高めることができる。これまで超電導バルク体の経時劣化が実用化のネックになっていたことから、本発明は超電導バルク体の利用促進を図り、産業の発展に大きく寄与する可能性がある。その応用分野は、診断・医療分野、エレクトロニクス分野、環境分野、電気分野など多岐にわたる。よって、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 被膜
2 超電導バルク体
3 金属製の円環

Claims (13)

  1. シリコーン樹脂と無機粒子と硬化剤を含むことを特徴とする、超電導バルク体の被膜形成剤。
  2. 前記無機粒子が酸化物粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の被膜形成剤。
  3. 前記無機粒子が酸化マグネシウム粒子、酸化アルミニウム粒子および酸化カルシウム粒子からなる群より選択される1以上の無機粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の被膜形成剤。
  4. 前記シリコーン樹脂100質量部に対して前記無機粒子を20〜500質量部含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被膜形成剤。
  5. シリコーン樹脂とそのシリコーン樹脂中に分散した無機微粒子を含むことを特徴とする、超電導バルク体用の被膜。
  6. 前記無機粒子が酸化物であることを特徴とする、請求項5に記載の被膜。
  7. 前記無機粒子が酸化マグネシウム、酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムからなる群より選択される1以上の無機粒子であることを特徴とする、請求項5に記載の被膜。
  8. 前記シリコーン樹脂100質量部に対して前記無機粒子を20〜500質量部含有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の被膜。
  9. 厚みが12mm以下であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の被膜。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の被膜を有することを特徴とする、被膜を有する超電導バルク体。
  11. 超電導バルク体の一部の表面が前記被膜で覆われていることを特徴とする、請求項10に記載の超電導バルク体。
  12. 超電導バルク体の全表面が前記被膜で覆われていることを特徴とする、請求項10に記載の超電導バルク体。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の超電導バルク体に磁場を捕捉させたことを特徴とする、超電導バルク磁石。
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