JP2013199982A - ガスの充填・回収システム - Google Patents

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慎一郎 有馬
Masaru Miyazaki
勝 宮崎
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Abstract

【課題】液化ガスの液相、気相、気液混合状態の相変化に関係なく移送でき、バルブの切替で液化ガスの充填・回収が容易にでき、併せてバルク貯槽内の気相ガスを完全に回収するシステムを提供する。
【解決手段】バルクローリー車のタンク1内の液化ガスを、ガス流路を通じてバルク貯槽2内に充填し、又はバルク貯槽2内の液化ガスおよび気相ガスを、ガス流路を通じてタンク1内に回収するガスの充填・回収システムであって、ガス流路上には、液化ガスの液相気相にかかわらず安全に移送可能なピストンポンプ4と、液化ガスおよび気相ガスの流路を切り替える四方切替弁5とを有し、四方切替弁5を切り替えることで、ガスの充填とガスの回収とを切り替える。また、不活性ガスの供給手段と冷却手段とを有し、該不活性ガスは該バルク貯槽内に充填され、バルク貯槽内の該気相ガスは、該冷却手段に移送され冷却されて液化ガスに相変化され、該タンク内に回収される。
【選択図】図1

Description

本発明は、バルクローリー車のタンクから、一般家庭等に備え付けられたバルク貯槽への液化ガスの充填およびバルク貯槽よりタンク内への液化ガスの回収を、単一のピストンポンプで安全迅速に行うガスの充填・回収システムに関する。
近年、一般家庭や工場等へのガスの供給形態として、従来のボンベより容量の大きい設置型のバルク貯槽を一般家庭や工場に備え、そこへバルクローリー車によって液化ガスを運んで、バルク貯槽内に液化ガスを直接供給する形態が普及している。このバルク貯槽へのバルクローリー車からの液化ガスの充填に用いられるポンプはターボ式のポンプであるため、ポンプの構造上液体のみの移送であり、気相ガスの移送には別途ガスコンプレッサを搭載して行う必要がある。
例えば特許文献1においては、バルクローリー車とバルク貯槽との間で、ターボ式液送ポンプによって液化ガスを充填し、ガスコンプレッサでガスを回収し、高速にバルク貯槽へ液化ガスを充填する技術が開示されている。
しかしながら、一般的なバルクローリー車や特許文献1に記載の技術では、液化ガスが液相の場合のターボ式ポンプでの移送は問題無く行えるが、気相の液化ガスがターボ式ポンプ内に侵入するとキャビテーションを起こしてポンプが破損するため、安全装置によりタンク内の85%までしか移送出来なかった。つまり、タンク内の15%はバルクローリー車で搬送されるもののタンクからは完全に排出されていなかった。また、ガスコンプレッサでのガスの回収では、保安上の問題からガス回収容器内に大きな負圧が取れないため気相ガスの回収が制限されたものとなっており、タンク内のガスを完全に回収することができなかった。さらに、気相ガスをタンク内に加圧して液相ガスを移送することは、夏場の気温・タンク内圧力が上昇する場合にはタンクの設計圧力上の限界付近のため、急速に移送することは不可能であった。
特許第3947423号公報
本発明は、以上のような従来の問題に鑑み、バルクローリー車のタンクとバルク貯槽間のガスの充填・回収を、ガスの気液相変化に関わらず単一のピストンポンプを用いることで、安全かつ迅速にタンク内の液残量がほとんどゼロになるまで行えるガスの充填・回収システムを提供することを目的とする。
さらに本発明は、タンク及びバルク貯槽内の気相ガスを残留させることなく、不活性ガスに置換し、完全に充填・回収するシステムを提供することを更なる目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、バルクローリー車のタンク内の液化ガスを、ガス流路を通じてバルク貯槽へ送り出し、該バルク貯槽内に液化ガスを充填し、又は該バルク貯槽内の液化ガスおよび気相ガスを、該ガス流路を通じて該タンク内に回収するガスの充填・回収システムであって、該ガス流路上には、該バルクローリー車のエンジンのPTOの出力により駆動するピストンポンプと、前記液化ガスおよび気相ガスの流路を切り替える四方切替弁とを有し、該四方切替弁を切り替えることで、ガスの充填とガスの回収とを切り替えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のガスの充填・回収システムにおいて、該ピストンポンプは、該ピストンポンプが移送するガスが気液混合状態又は気相ガスのみとなっても駆動され、該バルクローリータンク又は該バルク貯槽内の液化ガスを完全に排出することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のガスの充填・回収システムにおいて、不活性ガスの供給手段と冷却手段とを有し、該不活性ガスは該バルク貯槽内に充填され、バルク貯槽内の該気相ガスは、該冷却手段に移送され冷却されて液化ガスに相変化され、該タンク内に回収されることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、バルクローリー車のタンク内の液化ガスを、ガス流路を通じてバルク貯槽へ送り出し、該バルク貯槽内に液化ガスを充填し、又は該バルク貯槽内の液化ガスおよび気相ガスを、該ガス流路を通じて該タンク内に回収するガスの充填・回収システムであって、該ガス流路上には、該バルクローリー車のエンジンのPTOの出力により駆動するピストンポンプと、前記液化ガスおよび気相ガスの流路を切り替える四方切替弁とを有し、該四方切替弁を切り替えることで、ガスの充填とガスの回収とを切り替えることを特徴とするため、エンジンのPTOの出力をピストンポンプに伝達することにより気液混合状態又は気相ガスのみになっても連続して安全に移送することができ、タンクとバルク貯槽間の液化ガスの充填・回収が高速でできる。さらに、バルクローリー車のタンク又はバルク貯槽内の液化ガスを残すことなく安全に迅速に直接移送でき、タンクの有効容量を最大限に使用できる。また、ピストンポンプと四方切替弁を組み合わせ、四方切替弁を切り替えることにより、ガスの流路を調整し、液化ガス移送ポンプ、気相ガス移送用ガスコンプレッサ、気相ガス吸引用真空ポンプとしての多様な運転を容易に切り替えて使用できる。
請求項2に係る発明により、ピストンポンプは、液化ガスの移送中に液相ガスが無くなって気相ガスの移送に変化してもポンプが損傷を受けること無く、連続的に液化ガスの移送が可能であり、液化ガスの完全な排出が可能になる。また、ピストンポンプが油圧駆動の場合には、ピストンポンプ出口圧力が異常上昇した場合に駆動油圧の上限以上になるとリリーフバルブが働いてガスが安全にストップし、事故の発生を確実に防止できる。
請求項3に係る発明により、不活性ガスの供給手段と、冷却手段とを有し、該不活性ガスは、該バルク貯槽内に充填され、前記バルク貯槽内の該気相ガスは該冷却手段に移送され冷却されて液化ガスに相変化され、該タンク内に回収されることを特徴とするため、バルク貯槽内の気相ガスを完全に安全に回収することが可能となる。
本発明の、バルクローリー車のタンクとバルク貯槽間のガス・液の充填・回収システムの全体構成図および、本発明の第一の実施例の、タンクからバルク貯槽へのガスの充填フローを示す。 本発明の第二の実施例の、バルク貯槽からタンクへのガスの回収フローを示す。 本発明の第三の実施例の、不活性ガスを用いてバルク貯槽からガスを回収するフローを示す。 LPGの気液境界線図を示す。
以下、本発明について好適例を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明によるバルク貯槽への液化ガスの充填、及びタンク内へのガス回収システムの全体構成図である。本発明のガス充填・回収システムは、図1(第一実施例)に示すように、バルクローリー車(破線枠内)のタンク1内の液化ガスを、ガス流路を通じてバルク貯槽2へ充填し、又は図2(第二実施例)に示すように、バルク貯槽2内の液化ガスおよび気相ガスを、ガス流路を通じてタンク1内に回収するガスの充填・回収システムであって、ガス流路上には、バルクローリー車のエンジン3のPTO出力により駆動するピストンポンプ4と、液化ガスおよび気相ガスの流路を切り替える四方切替弁5とを有し、四方切替弁5を操作することで、ガスの充填と回収とを切り替えることを特徴とする。
PTOとは、Power Take-Offの略称で、バルクローリー車などの車両における駆動用のエンジン動力を作業機の駆動のために取り出す機構のことを意味する。図1において、バルクローリー車のエンジン3のPTO出力により駆動される油圧ポンプ6は、作動油を油圧シリンダ7に供給する。制御装置8により油圧シリンダ7に供給される作動油の供給方向が切り替わり、油圧シリンダ7のピストンは往復運動を行う。油圧シリンダ7の軸は、ピストンポンプ4の軸と連結されており、油圧シリンダ7に連動して、ピストンポンプ4が動作する。
本発明におけるバルク貯槽は、従来の可搬式ボンベより大容量のガスを充填することが可能な据え置き型の容器であり、一般家庭や工場等に据え付けられ、バルクローリーによって液化ガスを充填される。バルク貯槽の設置方法としては地上型や地下型、その形状にも縦型や横型等種々のものが存在するが本発明においては特にこれらは限定されない。
本発明に用いるピストンポンプ4は、ピストンのストローク運動によって液体や気体をピストンポンプの入口側から出口側へと移送するものである。このピストンポンプは、低速で動作する容積型のポンプであるため、気液混合運転によっても誤作動や故障等の損傷を受けることがない。そのため、ガスが気液混合状態又は気相ガスのみとなっても駆動され、バルクローリータンク又はバルク貯槽内の液化ガスを完全に排出することができる。本発明においては、このピストンポンプを用いることにより、液化ガスおよび気相ガスを同時に移送する気液混合運転が可能になり、設備の小型化と効率的なガス移送が可能になった。
特許文献1や従来技術において用いられていたターボ式液相ポンプは、回転する羽根車の遠心力と羽根形状の揚力によって揚程を発生する遠心ポンプで、気相が侵入するとキャビテーションを起こし、全く移送出来なくなるだけでなく、羽根が短期間に損傷するおそれがあるので、液相ガスしか移送できない。
そして、ガスコンプレッサはクランク機構により往復運動するピストンとバルブからなる容積型ポンプで、作動回転数が400〜800回転と高速で、液相の液化ガスが侵入すると圧縮熱によって爆発的に気化して損傷するおそれがあるので、気相ガスでしか使用できない、という問題があったが、上述の通り、本発明においては、気液混合状態で運転可能なピストンポンプを用いることによって、この問題を解決したものである。
本発明は、このピストンポンプ4の動作によって、ガス流路を介してタンク1とバルク貯槽2間でガスを充填・回収する。ガス流路については、バルクローリー車に備えられた液化ガスホース10でバルクローリー車とバルク貯槽を接続する。
このガス流路上にはガスの流路を切り替えるための四方切替弁5が配置され、手動または遠隔制御等によってその弁の開きが切り替えられ、この切り替えによりガスの流れる向きが変わり、ガスの充填と回収を切り替えることができる。
また、本発明のガスの充填・回収システムは、バルク貯槽内2に不活性ガスをパージするための、不活性ガスボンベ12を備えた不活性ガスの供給手段を有する。この不活性ガスの供給手段は、予めバルクローリー車に搭載していても、別途用意してもよい。不活性ガスの流路であるパージラインについては、ガス流路同様、各装置のバルブ間を均圧ガスホース11等で接続して確保する。
また、タンク1には、既存のバルクローリー車のタンク同様、安全弁や圧力計などが備えられており、ガス流路上には、流れているガスの状態をモニタするための圧力計や流量計が備えられている。これらの従来から必要な安全設備装置はそのまま使用できる。
本発明の第一実施例に係る、タンク1からバルク貯槽2内にガスを充填する方法を説明する。まずタンク1、バルク貯槽2を、液化ガスホース10と均圧ホース11で接続する。
次に、エンジン3のPTOの出力により、油圧ポンプ6を駆動し、油圧シリンダ7を動作させ、ピストンポンプ4を駆動する。なお、本実施例においてはピストンポンプを油圧式のものとして説明するが、PTOの出力をクランク・カム方式の機構を介して、回転運動を往復運動に変換し、直接、ピストンポンプを動作させるよう構成することも可能である。
本実施例においては、四方切替弁5を図1のように充填側に切り替えると、タンク1内の液化ガスは四方切替弁5を通りピストンポンプ4で昇圧され、流量計9を通過しバルク貯槽2内に充填される。
図2は、本発明の第二実施例に係る、ガス回収システムのフロー図であり、バルク貯槽2よりバルクローリー車のタンク1への液化ガスおよび気相ガスの回収のフローをあらわしている。
四方切替弁5を図2のように回収側に切り替えると、バルク貯槽2内の液化ガス及び気相ガスは、流量計9、四方切替弁5を通ってピストンポンプ4で昇圧され、タンク1へ回収される。
図3は、本発明の第三実施例のシステムフロー図であり、システムは不活性ガスを送り出す不活性ガスボンベ12を含む不活性ガスの供給手段と、冷却手段であるクーラー13を有し、該気相ガスはクーラー13内で液化ガスに相変化され、タンク1内に回収されることを特徴とする。
なお、冷却ライン8に流す冷媒温度としては、不活性ガスが窒素、液化ガスがLPGとすると、図4の線図にあるように 13〜15kg/cmの圧力では30℃程度で気相ガスが液化し窒素と分離できる。
以上、本発明について実施例を用いて詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例に限られることなく、本発明の趣旨の逸脱しない範囲で適宜設計変更であることはいうまでもない。
以上説明したように、本発明によれば、バルクローリー車のタンクとバルク貯槽間のガスの充填・回収を、ガスの相変化に関わらず単一のピストンポンプを用いて安全に行うことができるガスの充填・回収システムを提供することが可能になり、バルクローリータンクの容積を100%有効に利用できる。さらに本発明によれば、バルク貯槽内に、気相ガスを残留させることなく完全に回収するシステムを提供することが可能になる。
1 バルクローリー車タンク
2 バルク貯槽
3 エンジンのPTO出力
4 ピストンポンプ
5 四方切替弁
6 油圧ポンプ
7 油圧シリンダ
8 制御装置
9 流量計
10 液化ガスホース
11 均圧ガスホース
12 不活性ガスボンベ
13 クーラー

Claims (3)

  1. バルクローリー車のタンク内の液化ガスを、ガス流路を通じてバルク貯槽に充填し、又は該バルク貯槽内の液化ガスおよび気相ガスを、該ガス流路を通じて該タンク内に回収するガスの充填・回収システムであって、
    該ガス流路上には、該バルクローリー車のエンジンのPTOの出力により駆動するピストンポンプと、
    前記液化ガスおよび気相ガスの流路を切り替える四方切替弁とを有し、
    該四方切替弁を切り替えることで、ガスの充填とガスの回収とを切り替えることを特徴とするガスの充填・回収システム。
  2. 請求項1に記載のガスの充填・回収システムにおいて、該ピストンポンプは、該ピストンポンプが移送するガスが気液混合状態又は気相ガスのみとなっても駆動され、該バルクローリータンク又は該バルク貯槽内の液化ガスを完全に排出することを特徴とするガスの充填・回収システム。
  3. 請求項1又は2に記載のガスの充填・回収システムにおいて、不活性ガスの供給手段と冷却手段とを有し、
    該不活性ガスは該バルク貯槽内に充填され、
    該気相ガスは該冷却手段に移送されて液化ガスに相変化され、該タンク内に回収されることを特徴とするガスの充填・回収システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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