JP2013198889A - 中空糸膜用支持体及び中空糸膜の製造方法並びに中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
しかしながら例えば特許文献3に記載された方法などで、当該紐状物を支持体として得られた中空糸膜の検査を行う場合、検査液中に支持体製造時に用いた
【解決手段】 紡糸油剤が付着したマルチフィラメントにさらにアフターオイルを付着させた後、中空の紐状体に加工する工程を含む中空糸膜用支持体の製造方法であって、前記アフターオイルの付着量が、前記紡糸油剤の付着量に対して25質量%以上150質量%
以下である中空糸膜用支持体の製造方法により、支持体を提供する。
【選択図】図1
Description
(1)中空状の紐状物への加工
(2)前記紐状物表面への製膜原液の塗布
(3)製膜原液の凝固、洗浄及び乾燥
本発明の中空糸膜用支持体は、マルチフィラメントを中空状とした紐状体であり、この中空状紐の外表面に製膜原液を塗布、凝固するなどして多孔質層を形成することによりことにより中空糸膜を製造するためのものである。
合成繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリエステル系繊維;ポリアクリロニトリル等のアクリル系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維;ポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニリデン系繊維;ポリ塩化ビニル系繊維:ポリウレタン系繊維;フェノール樹脂系繊維;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系繊維;ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維等が挙げられる。
半合成繊維としては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセルロース誘導体系繊維:プロミックスと呼称される蛋白質系繊維等が挙げられる。
再生繊維としては、ビスコース法、銅−アンモニア法、有機溶剤法等により得られるセルロース系再生繊維(レイヨン、キュプラ、ポリノジック等)が挙げられる。天然繊維としては、亜麻、黄麻等が挙げられる。
図2は、支持体製造装置の一例を示す概略構成図である。支持体製造装置20は、ボビン22と、ボビン22から引き出された糸16を丸編する丸編機24と、丸編機24によって編成された中空状編紐12を一定の張力で引っ張る紐供給装置26と、中空状編紐12を熱処理する加熱ダイス28と、熱処理された中空状編紐12を引き取る引取り装置30と、中空状編紐12を支持体10としてボビンに巻き取る巻き取り機32とを具備する。なお、図3に示す如く、中空状編紐12を一定の張力で引っ張る紐供給装置の代わりにダンサーロール27を用いて一定の荷重(張力)を付与しても良い。
次に、中空膜多孔質膜層11の材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、耐薬品性及び耐熱性を併せ持つ点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
(1)支持体10の外周面に製膜原液を塗布する工程、
(2)支持体10に塗布された製膜原液を凝固させて、第1の多孔質膜層を形成し、中空糸膜前駆体を得る工程、
(3)中空糸膜前駆体の外周面に製膜原液を塗布する工程、
(4)中空糸膜前駆体に塗布された製膜原液を凝固させて、第2の多孔質膜層を形成し、中空糸膜1を得る工程
(5)中空糸膜1を洗浄、乾燥する工程、
(6)中空糸膜1を巻き取る工程。
上述の方法では、多孔質膜層11は2層からなることになるが、本発明では単層であってもよく、3層以上の複合多孔質膜層であってもよい。また2層以上の多孔質膜層を形成する場合多重環状ノズルを用いると1工程で複数の層を形成できるのでよりこのましい。
中空糸膜は通常中空糸膜モジュールに加工されて用いられる。膜モジュールは、本体、被処理物(液体又は気体)の入口並びに出口、及び、中空糸膜を有する。具体的には、膜モジュール本体に入口と出口が設けられ、本体の内部に中空糸膜が設けられている。入口と出口は、本体の両端部に設けられていてもよく(直線状両端口型)、また、入口と出口のいずれか一方が、大きく開口していてもよい(直線状片側開口型)。中空糸膜は、本体を、入口を有する第1室と、出口を有する第2室とに分割するように本体内部に連結されている。連結は、中空糸膜の端部を本体内壁に接着あるいは封着するか、中空糸膜の端部を本体内壁に脱着可能に接続しているものを含む。従って、本発明の膜モジュールは、入口から導入された液体及び気体が、本体に入り、中空糸膜を常に通過して、出口から排出される構造を有している。
なお、本発明の膜モジュールの入口、出口及び本体は、ステンレス、鋼などの金属、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂から作られていてもよい。
通常、膜モジュールは、上述したように本体、入口、出口及び中空糸膜を有し、中空糸膜は、本体を、入口を有する第1室と、出口を有する第2室とに分割するように本体内部に連結されている。しかし、本体、入口、出口及び中空糸膜等の各部材自体や、中空糸膜と本体内部との連結部分に欠陥(例えば、穴、亀裂、不完全な連結、中空糸膜の目詰まりなど)が存在すると、良好な膜モジュールとして機能しなくなる。従って、これらの欠陥を検査することが必要となる。
膜モジュールの検査方法は、具体的には、
(1)中空糸膜モジュールを、検査液に浸漬する工程、
(2)検査用気体を前記入口から導入し、前記疎水性中空糸膜を通して前記出口から排出する工程;及び
(3)中空糸膜モジュールから排出される気泡を観察する工程、
から構成される。
このとき、仮に中空糸膜に損傷や大きな孔があいていたりすると、期待値よりもきわめて低い圧力において空気が透過し始め、膜に欠陥があることを検知することができる。空気の透過は泡の発生として目視等で用意に確認することが、検査液が油剤の溶出混合により白濁することによりその確認が著しく困難になる。
(中空糸膜用支持体の紡糸油剤、アフターオイル付着量の評価)
メタノールでアフターオイル付着前の糸を洗浄し洗浄後の糸の重量減少から糸に対する紡糸油剤付着量比(A)、同様にメタノールでアフターオイル付着後の洗浄し洗浄後の糸の重量減少から糸に対する総油剤付着量比(B)を求め、(B)−(A)から糸に対するアフターオイル付着量比を算出した。
日信化学社製オルフィンEXP.4036の0.3%水溶液又はBASD社製プルロニックRPE1740の0.2%水溶液を作成し検査液とした。この検査液に中空状編紐を検査液に対し5質量%浸漬し3時間静置した後に中空状編紐を取り出し、残液について日立ハイテク株式会社製分光光度計U−3400で700nmの吸光度(C)を測定した。同様に中空状編紐を、浸漬していない検査液の吸光度(D)を測定し(C)−(D)の値を白濁度の指標とした。
製紐開始直後及び最終で2mをはさみで切り出し、目視にて毛羽の発生数を確認した。
図2に示す支持体製造装置20を用いて、中空状編紐12からなる支持体10を製造した。
マルチフィラメントとしては、紡糸油剤の付着量が0.4%のポリエステル繊維(繊度:84dtex、フィラメント数:36)を用いた。ボビン22に対し、該ポリエステル繊維を5kg巻きつけたものを5セット準備した。
丸編機24としては、卓上型紐編機(圓井繊維機械社製、メリヤス針数:12本、針サイズ:16ゲージ、スピンドルの円周直径:8mm)を用いた。紐供給装置26および引取り装置30としては、ネルソンロールを用いた。加熱ダイス28としては、加熱手段を有するステンレス製のダイス(内径D:5mm、内径d:2.2mm、長さ:300mm)を用いた。
得られた支持体10の外径は約2.5mmであり、内径は約1.3mmであった。支持体10を構成する中空状編紐12のループ17の数は、1周あたり12個、編目18の最大開口幅は約0.05mmであった。支持体10の長さは12000mであった。製紐中糸切れは発生しなかった。また毛羽の発生数も0であった。また白濁度は表1に示す通り0.006とほぼ透明であった。
アフターオイルとして、松本油脂社製「NAE2061」を用いた以外は実施例1と同様に中空状編紐支持体を製造した。製紐中糸切れは発生せず、また毛羽の発生数も0であった。また白濁度も、表1に示す通り0.020とほぼ透明であった。
検査液として、BASF社製「プルロニックRPE1740」の0.2%水溶液を用いた以外は、実施例1又は2と同様に白濁度を評価した。白濁度は表1に示す通り、いずれの実施例においても白濁度は0.002とほぼ透明であった。
アフターオイルを用いなかった以外は、実施例1と同様に中空状編紐支持体を製造した。製紐中糸切れは発生しなかったが、毛羽の発生が見られた。また白濁度は表1に示す通り0.003とほぼ透明であった。
アフターオイルとして、油剤Aの付着量が糸に対し0.2質量%となるように油剤を付着させた(紡糸油剤に対するアフターオイルの付着量比50質量%)以外は、実施例1と同様に中空状編紐を作成した。白濁度は表1に示す通り0.005とほぼ透明であったが、毛羽の発生が見られた。
付着量を糸に対し2質量%となるように油剤を付着させた(紡糸油剤に対するアフターオイルの付着量比500質量%)以外は実施例1と同様に中空状編紐を作成した。
製紐中に糸切れは発生せず、また毛羽の発生数も0であったが、白濁度は表1に示す通り0.420とアフターオイルの付着量に対して白濁の度合いが顕著であった。
付着量を糸に対し2質量%となるように油剤を付着させた(紡糸油剤に対するアフターオイルの付着量比500質量%)以外は実施例3と同様に中空状編紐を作成した。白濁度は表1に示す通り0.402と白濁の度合いが顕著であった。
(中空糸膜の製造)
実施例1に示される中空糸膜用支持体を用いて、図3に示す中空糸膜製造装置40により、中空糸膜1を製造した。
第1紡糸原液として、ポリフッ化ビニリデン(アルケマジャパン製、商品名「カイナー301F」)19質量%及びポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名「K-79」)10質量%を、N,N−ジメチルアセトアミド71質量%に撹拌溶解させて調製した。
また、第2紡糸原液としてポリフッ化ビニリデン(アルケマジャパン製、商品名「カイナー301F」)22質量%及びポリビニルピロリドン(日本触媒社製、商品名「K-79」)9質量%を、N,N−ジメチルアセトアミド69質量%に撹拌溶解させて調製した。 次いで、第二製膜原液を直径が5.24mmφである30℃に保温した三重環状ノズルの外側ラインに、第一製膜原液を内側ラインに供給すると共に、支持体10を前記ノズルの中央部に通過させて、前記支持体に2種類の製膜原液を塗布・積層した後、40mmのエアギャップ内を通過させ、N,N-ジメチルアセトアミド8質量%及び水92質量%から成る75℃に保温した凝固浴中を通過させて凝固させた。
得られた中空糸膜を98℃の熱水中で洗浄して、残存するN,N−ジメチルアセトアミドおよびポリビニルピロリドンの一部を除去した後、下記(ア)〜(エ)の各工程を3回繰り返し、残存するポリビニルピロリドンを除去したのち、90℃で乾燥した。
(ア)中空糸膜を10質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬する工程、
(イ)中空糸膜を90℃のスチーム槽中で加熱する工程、
(ウ)中空糸膜を90℃の熱水中で洗浄する工程、
(エ)中空糸膜を室温の水中に浸漬して洗浄する工程。
まず、ポリエステルを縦糸とし、上記中空糸膜を3本引きそろえたものを緯糸として、幅1000mmで編み長さ2000mmで編地5枚を編成し、中空糸膜編地積層体を得た。次に、先に準備した中空糸膜積層体を集水管の開口部に、割中子に当たるまで挿入し、開口部から中空糸膜編地積層体の根本付近にポリウレタン樹脂を注入し固化させた。
以上のようにして、中空糸膜の開口部を集水管内に持つ中空糸膜モジュールを得た。この中空糸膜モジュールの有効膜面積は25m2であった。
実施例2に示した中空糸膜用支持体を用いた以外は実施例5と同様に中空糸膜モジュールを作成した。検査後の検査液の白濁度は表2に示す通り0.004とほぼ透明であった。
比較例2に示した中空糸膜用支持体を用いた以外は実施例5と同様に中空糸膜モジュールを作成した。検査後の検査液の白濁度は表2に示す通り1.400と白濁が顕著でであった。
10,12 中空状支持体(紐状物)
11 多孔質膜層
16 マルチフィラメント
22 ボビン
24 編機
26 紐供給装置
28 金型
30 引取装置
42 ノズル(多重環状ノズル)
44 原液供給装置
46 凝固浴槽
48 ガイドロール
Claims (5)
- 紡糸油剤が付着したマルチフィラメントに、さらにアフターオイルを付着させた後、中空の紐状体に加工する工程を含む中空糸膜用支持体の製造方法であって、前記アフターオイルの付着量が、前記紡糸油剤の付着量に対して75質量%以上150質量%以下である
中空糸膜用支持体の製造方法。 - 前記中空紐状体に加工する工程が編機を用いた丸編である、請求項1に記載の中空糸膜用支持体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により製造された中空糸膜用支持体の表面に熱可塑性樹脂からなる多孔質膜層を形成する工程を含む中空糸膜の製造方法。
- 熱可塑性樹脂からなる多孔質膜層を形成する工程が、多重環状ノズルを用いて中心より中空糸膜用支持体を通過させその側面に多孔質膜層を塗布させるものである請求項3に記載の中空糸膜の製造方法。
- 請求項1〜4いずれか一項に記載の製造方法により得られる中空糸膜を、複数本引きそろえ、それらの引きそろえた少なくとも一方の端部付近をモジュール本体に接続した中空糸膜モジュール。
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