JP2013198698A - マグネシウム合金製インプラントとその加工方法 - Google Patents

マグネシウム合金製インプラントとその加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造欠陥の発生を抑制し、材料強度を向上させる。
【解決手段】マグネシウム合金を押出し加工することにより、塑性変形したマグネシウム合金成形材料を得る押出し工程S1と、該押出し工程S1により得られたマグネシウム合金成形材料を押出し方向に対して70°〜110°の角度で切断する切断工程S2と、該切断工程S2により得られた塊状マグネシウム合金材料に対して押出し方向に直交する方向の圧縮力を加える圧縮工程S3とを含むマグネシウム合金製インプラントの加工方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネシウム合金製インプラントとその加工方法に関するものである。
マグネシウム・マグネシウム合金は、他の金属と比較して軽量・高強度であり、携帯型の電子機器や自動車部品などで実用化が始まっている。また、マグネシウムは生体内で分解する特徴があるため、吸収性ステントや吸収性骨接合材としての応用研究が進んでいる(例えば、特許文献1参照。)。
従来、押し出し成形されたマグネシウム合金材料の押し出し方向に対して平行な方向に荷重を加えて塑性加工することにより塑性加工性を向上するマグネシウム合金材料の加工方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2009−178293公報 特許第4150219号公報
しかしながら、マグネシウム合金の押し出し方向には、マグネシウム合金の結晶のa軸が配されるため、これに平行な方向に圧縮力を作用させると、少ない力で塑性加工でき、塑性加工性が向上する反面、圧縮力は金属結晶のc軸に直交する方向に作用する。一般に、c軸に直交する方向に圧縮力が作用すると、結晶構造に構造欠陥が発生してしまうという不都合がある。特にマグネシウム合金を生体分解性材料として用いる場合、厚さ方向の荷重に対する強度が弱くなり、材料破損が生じる可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、構造欠陥の発生を抑制したマグネシウム合金製インプラントとその加工方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、マグネシウム合金を押出し加工することにより、塑性変形したマグネシウム合金成形材料を得る押出し工程と、該押出し工程により得られたマグネシウム合金成形材料を押出し方向に対して70°〜110°の角度で切断する切断工程と、該切断工程により得られた塊状マグネシウム合金材料に対して前記押出し方向に直交する方向の圧縮力を加える圧縮工程とを含むマグネシウム合金製インプラントの加工方法を提供する。
本態様によれば、押出し工程において、マグネシウム合金を押出し加工することにより、マグネシウムの金属結晶のc軸が押出し方向に対して略90°の方向に配向された状態に組成変形したマグネシウム合金成形材料が得られる。そして、切断工程においてマグネシウム合金成形材料を押出し方向に対して70°〜110°の角度で切断することにより、塊状マグネシウム合金材料が得られる。この後に、圧縮行程において、塊状マグネシウム合金材料に対して押出し方向に直交する方向の圧縮力を加えることにより、塑性加工品が製造される。
この場合において、圧縮力は主にc軸の方向に加えられるため、マグネシウム合金の金属結晶におけるすべり面に対して直交する方向に圧縮力が作用し、c軸に直交する方向に圧縮力を加える場合と比較すると加工性は低下するが、構造欠陥の少ない塑性加工品を製造することができる。すなわち、強度の高い塑性加工品を製造することができる。
上記態様においては、前記圧縮工程に先立って、または前記圧縮工程において、前記塊状マグネシウム合金材料を加熱する加熱工程を含んでいてもよい。
このようにすることで、非底面すべりを発生させて加工性を向上することができる。
また、上記態様においては、前記加熱工程が、300℃より大きく、さらに好ましくは350℃以上、マグネシウム合金の融点以下の温度で前記塊状マグネシウム合金材料を加熱してもよい。
このようにすることで、医療用マグネシウム合金で代表的な希土類を含む合金、より具体的にはWE43に対しても割れを発生させることなく塑性加工することができる。
また、上記態様においては、前記圧縮工程が、45%以上の圧下率で前記塊状マグネシウム合金材料を圧縮してもよい。
このようにすることで、マグネシウム合金の材料粒径を微細化させ均質にすることができる。すなわち、塊状マグネシウム合金材料に圧縮力を加えていくと、45%程度の圧下率において、再結晶粒径がほぼ平衡に達するので、材料粒径を均質にして耐食性を向上することができる。ここで、圧下率は、
圧下率=(圧縮前の厚さ−圧縮後の厚さ)/圧縮前の厚さ×100(%)
により算出することができる。
また、上記態様においては、前記圧縮工程が、前記塊状マグネシウム合金材料との間に潤滑剤を塗布した状態の金型によって圧縮力を加えてもよい。
このようにすることで、金型から塊状マグネシウム合金材料に加えられる圧力を潤滑剤によって分散させ、均一変形に近づけることができる。
また、上記態様においては、前記圧縮工程が、前記金型との前記塊状マグネシウム合金材料との間への潤滑剤の塗布と、圧縮力の印加とを少なくとも2回繰り返すことが好ましい。
このようにすることで、塑性加工に伴い金属新生面が発生しても、該金属新生面が金型に直接接触して凝着あるいは焼き付きを生じないように、潤滑剤によって保護することができる。その結果、不良品の発生や、金型の損傷の発生を防止することができる。
また、上記態様においては、前記圧縮工程の後に、圧縮されたマグネシウム合金材料から製品を切り出すせん断工程を含み、該せん断工程が、1.5mm/sec以下の圧下速度で行われてもよい。
このようにすることで、圧縮工程によって圧縮されたマグネシウム合金材料が、せん断工程にかけられることによって塑性加工製品が製造される。せん断工程は、例えば、プレス装置による打ち抜き加工である。この場合に、せん断加工に伴い、切断面には比較的滑らかなせん断部分(せん断面)と瞬間的に分離し荒れた面を呈する破断部分(破断面)が発生するが、せん断工程を1.5mm/sec以下の圧下速度で行うことにより、切断面における破断部分を50%以下に抑え、応力集中の原因となる破断領域を少なくして、高い強度の塑性加工製品を製造することができる。
また、本発明の他の態様は、主たる荷重方向に金属結晶のc軸が配向されているマグネシウム合金製インプラントを提供する。
上述したように、c軸に平行な圧縮力に対する変形は、c軸に直交する圧縮力に対する変形よりも変形し難いので、主たる荷重方向にc軸を配向することによって、強度を向上することができる。
上記態様においては、厚さ方向に対する金属結晶の(0001)面の垂線のズレ角の平均値が、25°以下であってもよい。
このようにすることで、マグネシウム合金の金属結晶のc軸をほぼ厚さ方向に配向させ、構造欠陥が少なく、厚さ方向の荷重に対する強度を向上することができる。
また、上記態様においては、表面に沿う方向に対する金属結晶の(0001)面の垂線のズレ角の平均値が、80°以上であり、かつ、ズレ角の最大値の16〜84%となるズレ角の累計分布の幅が50°以下であってもよい。
このようにすることによっても、マグネシウム合金の金属結晶のc軸をほぼ厚さ方向に配向させ、構造欠陥が少なく、厚さ方向の荷重に対する強度を向上することができる。
また、上記態様においては、打ち抜き加工により製造されてもよい。
この場合に、打ち抜き加工により形成された厚さ方向に沿う面におけるせん断面の割合が厚さに対して50%以上であることが好ましい。
このようにすることで、応力集中の原因となる破断部分を少なくして強度の高いマグネシウム合金製インプラントを提供することができる。
本発明によれば、構造欠陥の発生を抑制し、材料強度を向上させたマグネシウム合金製インプラントを製造できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るマグネシウム合金製インプラントの加工方法を示すフローチャートである。 図1の加工方法における切断工程を説明する図である。 図1の加工方法における圧縮工程を説明する図である。 図3の圧縮工程において金属結晶に作用する圧縮力の方向を説明する図である。 (a)本発明の実施例1であって、図3の圧縮工程により加工されたA材の金属結晶の(0001)面の法線の板厚方向に対するズレ角のヒストグラム、(b)比較例としてB材のズレ角のヒストグラムをそれぞれ示す図である。 (a)A材の金属結晶の(0001)面の法線の製品表面に沿う方向に対するズレ角のヒストグラム、(b)比較例としてB材のズレ角のヒストグラムをそれぞれ示す図である。 本発明の実施例2であって、図3の圧縮工程における加工条件が、加熱温度375℃、圧下速度0.05mmの場合の真ひずみ率と負荷との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2であって、図3の圧縮工程における加工条件が、加熱温度375℃、圧下速度5mmの場合の真ひずみ率と負荷との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2であって、図3の圧縮工程における加工条件が、加熱温度450℃、圧下速度0.05mmの場合の真ひずみ率と負荷との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2であって、図3の圧縮工程における加工条件が、加熱温度450℃、圧下速度5mmの場合の真ひずみ率と負荷との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2であって、図3の圧縮工程における加工条件が、加熱温度350℃、圧下速度1mmの場合の真ひずみ率と負荷との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2であって、図3の圧縮工程における加工条件が、加熱温度350℃、圧下速度0.01mmの場合の真ひずみ率と負荷との関係を示すグラフである。 図1の加工方法の打ち抜き工程において、厚さ方向に形成された切断面における破断面部分の比率と、圧下速度との関係を示す図である。 (a)圧下速度0.24mm/s、(b)圧下速度1.44mm/s、(c)圧下速度1.92mm/sの場合をそれぞれ示す切断面の顕微鏡写真である。
本発明の一実施形態に係るマグネシウム合金材料の加工方法および該加工方法により製造されるマグネシウム合金製インプラントについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る加工方法は、図1に示されるように、マグネシウム合金材料を押出し加工して塑性変形したマグネシウム合金材料を得る押出し工程(ステップS1)と、押し出されたマグネシウム合金材料を切断する切断工程(ステップS2)と、切断された塊状マグネシウム合金材料に圧縮力を加える圧縮工程(ステップS3)と、該圧縮工程において圧縮されたマグネシウム合金材料から製品を打ち抜く打ち抜き工程(ステップS4)とを備えている。
押出し工程S1は、ダイを用いてマグネシウム合金材料を所定の横断面形状を有する棒状の押出し材1に塑性変形させる工程である。押出し条件によって、金属結晶の配向性に変化が起こり、金属結晶の(0001)面が押出し方向に対して略平行となるように配向される。
切断工程S2は、図2に示されるように、押出し工程S1において製造された押出し材1をその長手方向に略直交する方向、70°〜110°に切断して、長手方向に分割された塊状マグネシウム合金材料2を取得する工程である。
実際には、極点図測定等によって、押出し材1の(0001)面の配向性を測定し、(0001)面が顕著に配向されている面に対して直交する角度で切断して塊状マグネシウム合金材料2を得ることが好ましい。
圧縮工程S3は、図3に示されるように、切断工程S2において得られた塊状マグネシウム合金材料2に対して、押出し工程S1における押出し方向に直交する方向に、圧下用の金型から圧縮力Fを加えて板状に圧延する工程である。これにより、塊状マグネシウム合金材料2を構成するマグネシウム合金の金属結晶に対しては、図4に示されるように、(0001)面に直交するc軸に略平行に圧縮力Fが加えられるようになっている。
圧縮工程S3においては、塊状マグネシウム合金材料2を加熱した状態で圧縮力Fを加えるようになっている。加熱する際の温度は、非底面すべりを発生する100℃以上の温度が好ましく、特に、医療用のマグネシウム合金材料であるWE43を使用する場合には、300℃より高く、更には350℃以上であることが好ましい。
また、圧縮工程S3は、金型と塊状マグネシウム合金材料2との間に潤滑剤を塗布して行われる。潤滑剤としては固体潤滑剤、流体潤滑剤などを採用できる。
そして、圧縮工程S3は、潤滑剤を塗布する工程と、金型によって塊状マグネシウム合金材料2を圧下する工程とを複数回繰り返して行うようになっている。
さらに、圧縮工程S3においては、45%以上の圧下率で前記塊状マグネシウム合金材料2が圧縮されるようになっている。
ここで、圧下率は、下式により表される。
圧下率=(圧縮前の厚さ−圧縮後の厚さ)/圧縮前の厚さ×100(%)
打ち抜き工程S4は、圧縮工程S3によって得られた板状のマグネシウム合金材料を打ち抜き型によって打ち抜く工程である。この打ち抜き工程S4においては、マグネシウム合金材料に対する金型の圧下速度を1.5mm/sec以下に抑えることが好ましい。
このように構成された本実施形態に係るマグネシウム合金材料の加工方法の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る加工方法によりマグネシウム合金材料を塑性加工するには、まず、マグネシウム合金素材を押出し工程S1によって押出し加工することにより、棒状の押出し材1を得る。
この押出し工程S1においては、マグネシウム合金材料の金属結晶の配向性に変化が起こり、金属結晶の(0001)面が押出し方向に対して略平行となるように配向される。このようにして得られた押出し材1に対して、切断工程S2が行われる。切断工程S2においては、押出し材1が、その押出し方向に直交する切断面により切断され、複数の塊状マグネシウム合金材料2が得られる。すなわち、切断面は、金属結晶の(0001)面に直交する方向に配される。
次いで、各塊状マグネシウム合金材料2に対して圧縮工程S3が行われる。圧縮工程S3においては、100℃以上に加熱された状態の塊状マグネシウム合金材料2に対して押出し方向に直交する方向に圧縮力Fが加えられる。圧縮力Fは、塊状マグネシウム合金材料2内において、最も加工度の大きくなる直径の位置で、略一方向に配向されている金属結晶のc軸に略平行な方向に圧縮力が加えられる。
圧縮工程S3における、この圧縮力Fの方向は金属結晶のすべり面に直交する方向であり、すべり面に平行に圧縮力Fを加える場合と比較して塑性加工の容易性は低下するが、金属結晶の構造欠陥が発生し難いという利点がある。すなわち、圧縮後のマグネシウム合金材料に発生する構造欠陥が抑制されるので、機械的強度を向上することができるという利点がある。
この場合において、100℃以上に加熱した状態の塊状マグネシウム合金材料2に対して圧縮力Fを加えるので、加熱しない場合と比較して、非底面すべりの発生による加工性の向上が図られる。
また、圧縮工程S3においては、金型と塊状マグネシウム合金材料2との間に潤滑剤が塗布された状態で圧縮力Fが加えられるので、潤滑剤の作用によって、圧縮力Fが塊状マグネシウム合金材料2と金型との接触面全面に分散され、塊状マグネシウム合金材料2の全体にわたってより均一な圧縮力Fを加えることができる。
圧縮工程S3において圧縮力Fが加えられると、マグネシウム合金材料が微細化して粒径が小さくなる。医療応用を想定した場合、材料粒径の均質性と材料の耐食性に関係があることが知られており、材料の耐食性をもたせる場合には、材料粒径を均質にすることが望ましい。一般的に、材料に圧縮負荷をかけると、まず弾性変形が生じ、圧縮負荷が塑性域に入ると微細化を伴いながら塑性変形が生じる。更に圧縮負荷を加えると結晶粒径が平衡状態に達し、材料粒径が均質となる。
つまり、材料粒径が均質となる状態まで圧縮負荷を加えることが望ましい。具体的には、圧下率が45%以上となるように圧縮し、マグネシウム合金材料を微細化させ均質な粒径にする。塊状マグネシウム合金材料2に圧縮力Fを加えていくと、45%程度の圧下率において、再結晶粒径がほぼ平衡に達するので、材料粒径を均質にすることができる。そして、特に、製造された製品がマグネシウム合金製インプラントのような医療用途に使用される製品である場合には、粒径の均質化が図られることによって、耐食性を向上することができるという利点がある。
そして、圧縮工程S3において得られた板状のマグネシウム合金材料に対して、打ち抜き工程S4が行われる。打ち抜き工程S4は、製品形状を決定するために、プレス加工機によって不要な部分を打ち抜いて除去する工程である。
打ち抜き型を板状のマグネシウム合金材料の板厚方向に押しつけて、せん断により打ち抜くので、厚さ方向に切断面が形成されるが、金型の圧下速度を1.5mm/sec以下に抑えることにより、切断面におけるせん断面部分を破断面部分に対して大きくすることができる。その結果、破断面部分を少なくして応力集中の原因を低減し、製品、特にマグネシウム合金製インプラントの強度を向上することができるという利点がある。
このように本実施形態に係るマグネシウム合金材料の加工方法によれば、圧縮後の構造欠陥を抑制させ、強度の高い塑性加工品を製造することができるという利点がある。
次に、本発明の実施例について以下に説明する。
(実施例1)
実施例1は、塊状マグネシウム合金材料2に対する圧縮力Fの印加方向と、圧縮後の板状のマグネシウム合金材料の表面における金属結晶の配向性との関係を示す。
図5(a)に、本実施形態に係る加工方法と同様に、押出し工程S1における押出し方向に対して垂直な方向に圧縮力Fを加えた場合(A材)、図5(b)に、押出し方向に対して平行な方向に圧縮力Fを加えた場合(B材)の板状のマグネシウム合金材料の表面における金属結晶の配向性を示す。
これらの図5(a)、(b)は、横軸に、圧縮後の金属結晶の(0001)面の法線の板厚方向に対するズレ角、縦軸に頻度を表したヒストグラムである。
これらの図5(a)、(b)から、各圧縮方法で圧縮した場合のズレ角の平均値および集積幅を算出すると、表1の通りとなる。
Figure 2013198698
ズレ角の集積幅は、図5(a)、(b)の累計分布曲線において、ズレ角の最大値の16%〜84%となる範囲のズレ角の幅をいうものとする。
表1に示した通り、A材のズレ角の平均値は16.8°であるのに対し、B材のズレ角の平均値は26.0°であり、B材においては圧縮力Fの作用によって結晶の配向性が大きく変化したことが分かる。したがって、ズレ角の平均値が25°以下の材料を用いた製品であれば、押出し方向に対して垂直な方向に圧縮力Fを加えたものであり、構造欠陥が少なく、強度を向上することができる。
また、表1に示した通り、A材のズレ角の集積幅は17.6°であるのに対し、B材のズレ角の平均値は25.2°であり、これによっても、B材においては圧縮力Fの作用によって結晶の配向性が大きく変化したことが分かる。したがって、ズレ角の集積幅が25°以下の材料を用いた製品であれば、押出し方向に対して垂直な方向に圧縮力Fを加えたものであり、構造欠陥が少なく、強度を向上することができる。
図6(a)、(b)に、それぞれA材、B材の金属結晶の(0001)面の法線の、製品の表面に沿う方向に対するズレ角と頻度との関係を示すヒストグラムを示す。
これらの図6(a)、(b)から、各圧縮方法で圧縮した場合のズレ角の平均値および集積幅を算出すると、表2の通りとなる。
Figure 2013198698
表2によれば、A材とB材とでは、ズレ角の平均値は、いずれも81°程度で同等であるが、集積幅において大きな差があることがわかる。A材の場合には17.0°であるのに対し、B材の場合には53°である。したがって、製品の表面において、表面に沿う方向に対する金属結晶の(0001)面の法線のズレ角の平均値が、80°以上であり、かつ、ズレ角の集積幅が50°以下である場合に、本実施形態における加工方法により製造されたものであることがわかる。
(実施例2)
実施例2は、医療応用に適した塊状マグネシウム合金材料2(WE43)に対して圧縮力Fを加える際の圧縮条件を変化させて行われたものである。
試料としては、直径8mm長さ12mmの塊状マグネシウム合金材料2を使用し、圧縮工程S3における加熱温度を300℃、375℃、450℃と変化させ、圧縮時の圧下速度を5mm/sec、0.5mm/sec、0.05mm/secと変化させた結果を表3に、さらに、加熱温度を350℃、400℃、450℃と変化させ、圧縮時の圧下速度を1mm/sec、0.1mm/sec、0.01mm/secと変化させた結果を表4に示す。
Figure 2013198698
Figure 2013198698
表3および表4より、圧縮時の塊状マグネシウム合金材料2の加熱温度は300℃より高く、より好ましくは350℃以上であることが好ましい。
また、図7に加熱温度375℃、圧下速度0.05mmの場合、図8に加熱温度375℃、圧下速度5mm/secの場合、図9に加熱温度450℃、圧下速度0.05mm/secの場合、図10に加熱温度450℃、圧下速度5mm/secの場合、図11に加熱温度350℃、圧下速度1mm/secの場合、図12に加熱温度350℃、圧下速度0.01mm/secの場合の、真ひずみ率εと負荷σとの関係をそれぞれ示す。
ここで、圧下率は、
圧下率=(圧縮前の厚さ−圧縮後の厚さ)/圧縮前の厚さ×100(%)
と表すことができる。
これらの図7〜図12によれば、塊状マグネシウム合金材料2に圧縮力Fを加えていくと、真ひずみ率εが0.6程度で再結晶粒径がほぼ平衡に達することがわかる。ここから圧化率を計算すると、圧下率は45%程度となることがわかる。45%程度の圧下率において、再結晶粒径がほぼ平衡に達するので、圧下率45%以上で圧縮することにより、材料粒径を均質にして耐食性を向上することができることがわかる。本実施例ではWE43で検討をしているが、WE43以外のマグネシウム合金でもよい。
(実施例3)
厚さ1mmの板状のマグネシウム合金材料(WE43)2を350℃に加熱した状態で、圧下速度を変化させてせん断力を加えた場合について、図13および図14を参照して説明する。
図13は、打ち抜き工程S4において、厚さ方向に形成された切断面における破断面部分の比率(破断面率)と、圧下速度との関係を示している。また、図14は、圧下速度を変化させたときの、切断面の顕微鏡写真であり、(a)圧下速度0.24mm/sec、(b)圧下速度1.44mm/sec、(c)圧下速度1.92mm/secの場合をそれぞれ示している。これらの図によれば、圧下速度が大きくなればなるほど、破断面率が大きくなることが示され、破断面率と圧下速度とは略比例関係にあることがわかった。
そこで、この図13に従い、圧下速度を1.5mm/sec以下にすることにより、板厚方向の切断面における破断面部分を50%以下に抑えることができる。その結果、破断面部分を少なくして応力集中の原因を低減し、製品の強度を向上することができるという利点がある。本実施例ではWE43で検討をしているが、WE43以外のマグネシウム合金でもよい。
F 圧縮力
1 押出し材(マグネシウム合金成形材料)
2 塊状マグネシウム合金材料
S1 押出し工程
S2 切断工程
S3 圧縮工程
S4 打ち抜き工程(せん断工程)

Claims (13)

  1. マグネシウム合金を押出し加工することにより、塑性変形したマグネシウム合金成形材料を得る押出し工程と、
    該押出し工程により得られたマグネシウム合金成形材料を押出し方向に対して70°〜110°の角度で切断する切断工程と、
    該切断工程により得られた塊状マグネシウム合金材料に対して前記押出し方向に直交する方向の圧縮力を加える圧縮工程とを含むマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  2. 前記圧縮工程に先立って、または前記圧縮工程において、前記塊状マグネシウム合金材料を加熱する加熱工程を含む請求項1に記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  3. 前記加熱工程が、300℃より高く、マグネシウム合金の融点以下の温度で前記塊状マグネシウム合金材料を加熱する請求項2に記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  4. 前記加熱工程が、350℃以上、マグネシウム合金の融点以下の温度で前記塊状マグネシウム合金材料を加熱する請求項2に記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  5. 前記圧縮工程が、45%以上の圧下率で前記塊状マグネシウム合金材料を圧縮する請求項2または請求項3に記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  6. 前記圧縮工程が、前記塊状マグネシウム合金材料との間に潤滑剤を塗布した状態の金型によって圧縮力を加える請求項1から請求項4のいずれかに記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  7. 前記圧縮工程が、前記金型との前記塊状マグネシウム合金材料との間への潤滑剤の塗布と、圧縮力の印加とを少なくとも2回繰り返す請求項5に記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  8. 前記圧縮工程の後に、圧縮されたマグネシウム合金材料から製品を切り出すせん断工程を含み、
    該せん断工程が、1.5mm/sec以下の圧下速度で行われる請求項1から請求項7のいずれかに記載のマグネシウム合金製インプラントの加工方法。
  9. 主たる荷重方向に金属結晶のc軸が配向されているマグネシウム合金製インプラント。
  10. 厚さ方向に対する金属結晶の(0001)面の法線のズレ角の平均値が、25°以下である請求項9に記載のマグネシウム合金製インプラント。
  11. 表面に沿う方向に対する金属結晶の(0001)面の法線のズレ角の平均値が、80°以上であり、かつ、ズレ角の最大値の16〜84%となるズレ角の累計分布の幅が50°以下である請求項9に記載のマグネシウム合金製インプラント。
  12. 打ち抜き加工により製造された請求項9から請求項11のいずれかに記載のマグネシウム合金製インプラント。
  13. 打ち抜き加工により形成された厚さ方向に沿う切断面におけるせん断部分の割合が厚さに対して50%以上である請求項11に記載のマグネシウム合金製インプラント。
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