JP6300375B2 - Cu−Be合金およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Cu−Be合金及びその製造方法に関する。
従来、Cu−Be合金は、高強度と高導電性を両立する実用合金として広く電子部品や機械部品に使用されている。こうしたCu−Be合金は、例えば、溶解鋳造後に、熱間や冷間での塑性加工と焼鈍処理を繰り返し、その後、溶体化処理、冷間加工、時効硬化処理をこの順番に行うことにより得られる(特許文献1,2参照)。ところで、Cu−Be合金の時効硬化処理では、粒界反応によってCu−Be化合物が粒界に不連続析出することがあり、それにより機械強度が低下することがある。そこで、機械強度の低下を抑制するために、Coを添加することが提案されている(非特許文献1〜3参照)。Coを添加することで、時効硬化処理時の粒界反応を抑制し、Cu−Be化合物が粒界に不連続析出するのを抑制することができる。また、Coを添加することで、鋳造や熱間加工、焼鈍、溶体化処理などにおける結晶粒の粗大化を防止することができる。
特公平7−13283号公報 特許第2827102号
森永、後藤、高橋;日本金属学会誌、24巻、12号(1960)777-781 三島、大久保;伸銅技術研究会誌、5巻、1号(1966)112-118 椿野、野里、三谷;日本金属学会誌、44巻、10号(1980)1122-11
しかしながら、Cu−Be合金にCoを添加したものでは、機械強度がまだ十分でなく、機械強度をさらに高めることが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、機械強度を高めることのできるCu−Be合金及びその製造方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、0.12質量%以下のCoを含有し、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下となるようなCu−Be合金を作製した。そして、このCu−Be合金を、冷間で強加工し、時効硬化処理したところ、機械強度を高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のCu−Be合金は、
Coを含有するCu−Be合金であって、
前記Coの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であり、
2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である。
また、本発明のCu−Be合金の製造方法は、
0.005質量%以上0.12質量%以下のCo及び1.60質量%以上1.95質量%以下のBeを含有するCu−Be合金原料を溶体化処理して溶体化処理材を得る溶体化処理工程を含むものである。
本発明では、機械強度を高めることのできるCu−Be合金及びその製造方法を提供することができる。この理由は以下のように推察される。従来のCu−Be合金では、粗大なCu−Co系化合物が点在することにより、このCu−Co系化合物が破断の起点となり、十分な機械強度が得られなかった。実際、従来のCoを添加したCu−Be合金の破断面を確認すると、粗大なCu−Co系化合物の存在が確認される。これに対して、本発明では、破断の起点となるような粗大なCu−Co系化合物がほとんど存在しないため、引張強さなどの機械強度の低下を抑制することができるものと推察される。
鍛造方法の一例を示す説明図。 鍛造によるワーク組織の変化の説明図。 実験例1の溶体化処理材のTEM写真。 比較例3の溶体化処理材のTEM写真。
本発明のCu−Be合金は、Coを含有するCu−Be合金である。Coの含有量は、0.005質量%以上0.12質量%以下であればよいが、0.005質量%以上0.05質量%未満としてもよい。Coの含有量が0.005質量%以上であれば、Co添加の効果、すなわち、Cu−Be化合物が粒界に不連続析出するのを抑制したり、結晶粒の粗大化を防止したりするという効果を得ることができる。また、Coの含有量が0.12質量%以下であれば、粗大なCu−Co系化合物がほとんど存在しないため、機械強度を高めることができる。Beの含有量は、特に限定されないが、1.60質量%以上1.95質量%以下であることが好ましく、1.85質量%以上1.95質量%以下であることがより好ましい。1.60質量%以上であれば、時効硬化処理による機械強度を高める効果が期待でき、1.95質量%以下であれば、粗大なCu−Co系化合物が生成しにくいからである。
このCu−Be合金は、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である。こうしたものでは、破断の起点となる可能性がある粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の存在割合が少ないため、機械強度を高めることができる。ここで、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物は、その数が5個以下であればよいが、4個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。このTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上1μm未満のCu−Co系化合物の数は、10μm×10μmの視野あたり5個以下であることが特に好ましい。また、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物は、その平均粒径が0.9μm未満であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。平均粒径が小さいほど、破断の起点となりにくいからである。なお、本発明において、粒径とは、圧延方向に沿った断面あるいは最後の鍛造方向に沿った断面を含む小片を切り出し、これを薄膜化してTEM観察により確認される粒子の長径をDL、短径をDSとしたときに、粒径(D)=(DL+DS)/2で表されるものとする。また、平均粒径とは、粒径の和を、粒径を測定したCu−Co系化合物の数で除した値をいうものとする。
このCu−Be合金は、上述したTEM画像で粒径1μm以上のCu−Co系化合物が観察されないものであることが好ましく、粒径1μm以上のCu−Co系化合物が存在しないことがより好ましい。こうしたものでは、破断の起点となることが多い粒径1μm以上のCu−Co系化合物がほとんど存在しないため、機械強度を高めることができる。
このCu−Be合金は、溶体化処理を経たまま(後述する冷間加工前)の溶体化処理材であってもよい。溶体化処理は、Cuのマトリクス中にBe(又はBe化合物)及びCo(又はCo化合物)を固溶した溶体化処理材を得る処理である。溶体化処理の方法については後述するため、ここでは具体的な説明は省略する。溶体化処理材は、そのままでは、強度が比較的低いが、後の加工や熱処理などによって強度を高め得る。この溶体化処理材は、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である。このため、後の加工の際に、Cu−Co系化合物を起点とする破断などを抑制でき、強度をより高めるための強加工などに耐え得る。
このCu−Be合金は、溶体化処理材を用い、冷間加工、及び、それに続く時効硬化処理を経て得られたものとしてもよい。こうした処理を経て得られたCu−Be合金は、高い機械強度を有する。冷間加工としては、圧延率90%以上の冷間圧延や累積歪みΣΔεが2.0以上の冷間鍛造などの冷間での強加工が挙げられる。冷間加工の方法については後述するため、ここでは詳細な説明を省略する。時効硬化処理の方法についても後述するため、ここでは詳細な説明を省略するが、250℃以上350℃以下の温度範囲で、15分以上4時間以下保持する処理であることが好ましい。なお、溶体化処理材に代えて、溶体化処理を経ていない非溶体化処理材を用いてもよいが、溶体化処理材を用いることが好ましい。溶体化処理材を用いた場合、Be原子の過飽和固溶体の状態を作ることができるため、その後の時効硬化処理でより多くのCu−Be化合物を結晶粒内に析出することができ、強度を高めるのに有利だからである。
このCu−Be合金は、例えば、引張強さを1700MPa以上などとすることができる。特に、圧延率90%以上の冷間圧延や累積歪みΣΔεが2.0以上の冷間鍛造を経て得られたものであれば、1700MPa以上とすることが容易であるし、累積歪みΣΔεが2.4以上の冷間鍛造を経て得られたものであれば、1900MPa以上とすることが容易である。また、このCu−Be合金では、破断伸びを1.5%以上などとすることができる。特に、圧延率90%以上の冷間圧延を経て得られたものであれば、破断伸びを4%以上とすることが容易であるし、累積歪みΣΔεが2.0以上の冷間鍛造を経て得られたものであれば、破断伸びを1.5%以上とすることが容易である。
本発明のCu−Be合金の製造方法は、0.005質量%以上0.12質量%以下のCo及び1.60質量%以上1.95質量%以下のBeを含有するCu−Be合金原料を溶体化処理して溶体化処理材を得る溶体化処理工程を含むものである。こうしたCu−Be合金の製造方法では、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下であるCu−Be合金を容易に製造することができる。
このCu−Be合金の製造方法は、(1)溶解鋳造工程と、(2)均質化処理工程と、(3)予加工工程と、(4)溶体化処理工程と、(5)冷間加工工程と、(6)時効硬化処理工程とを含むものとしてもよい。
(1)溶解鋳造工程
この工程では、1.60質量%以上1.95質量%以下のBeと、0.005質量%以上0.12質量%以下のCoを含み、残部をCu及び不可避的不純物とする組成の原料を、溶解鋳造し、鋳塊を作製する。こうした原料組成であれば、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下であるCu−Be合金をより容易に得ることができる。溶解方法は、特に限定されるものではなく、通常の高周波誘導溶解法、低周波誘導溶解法、アーク溶解法、電子ビーム溶解法などとしてもよいし、レビテーション溶解法などとしてもよい。このうち、高周波誘導溶解法又はレビテーション溶解法を用いることが好ましい。高周波誘導溶解法では、多くの量を一度に溶解できる。一方、レビテーション溶解法では、溶融金属を浮揚させて溶解するため、るつぼなどからの不純物の混入をより抑制することができる。溶解雰囲気は真空雰囲気又は不活性雰囲気であることが好ましい。不活性雰囲気は、合金組成に影響を与えないガス雰囲気であればよく、例えば窒素雰囲気、ヘリウム雰囲気、アルゴン雰囲気などとしてもよい。このうち、アルゴン雰囲気を用いることが好ましい。鋳造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、金型鋳造法や、低圧鋳造法などとしてもよいし、普通ダイカスト法や、スクイズキャスティング法、真空ダイカスト法などのダイカスト法としてもよい。また、連続鋳造法としてもよい。鋳造に使用する鋳型は、純銅製、銅合金製、合金鋼製などとすることができる。溶解鋳造工程では、不純物となるFe,S,Pを質量比で0.01%未満に制限し得るのが好ましい。
(2)均質化処理工程
この工程では、Cuのマトリクス中にBe(又はBe化合物)及びCo(又はCo化合物)を固溶させ、結晶粒に転位が生じていない銅合金を生成する処理を行う。具体的には、得られた鋳塊を、所定の均質化処理雰囲気下、所定の均質化処理温度域で所定の均質化処理時間に亘って加熱保持することにより、鋳造時に非平衡的に生成する偏析などの後工程に悪影響を及ぼす不均一な組織を除去して均質化する。均質化処理雰囲気は、溶解雰囲気と同様、真空雰囲気又は不活性雰囲気であることが好ましい。均質化処理温度域は、710℃以上850℃以下が好ましい。700℃以下では粒界反応が起こる可能性があり、860℃以上ではBeの量によっては融解が始まることがあるからである。均質化処理時間は、1時間以上24時間以下が好ましく、2時間以上12時間以下がより好ましい。1時間未満であるとBe溶質原子の拡散を促すのに十分ではなく、十分な拡散が完了する24時間を超えてもそれ以上の効果は期待できないからである。
(3)予加工工程
この工程では、均質化処理を経た鋳塊を、所望の大きさ、形状に加工して予加工材を得る。具体的には、例えば、冷間や熱間で圧延を行って、板材に加工してもよい。また、例えば、冷間や熱間で鍛造を行って、直方体形状のバルク材に加工してもよい。なお、得られた板材やバルク材は、表面に形成された酸化皮膜を切削などにより除去したものとしてもよい。
(4)溶体化処理工程
この工程では、予加工材を溶体化処理して、Cuのマトリクス中にBe(又はBe化合物)及びCo(又はCo化合物)を固溶した溶体化処理材を得る。具体的には、例えば、所定の溶体化処理雰囲気下、所定の溶体化処理温度域で所定の溶体化処理時間に亘って加熱保持し、その後、水冷、空冷、又は放冷によって、銅合金の表面温度が例えば20℃以下となるように冷却するものとしてもよい。溶体化処理雰囲気は、溶解雰囲気と同様、真空雰囲気又は不活性雰囲気であることが好ましい。溶体化処理温度域は、710℃以上860℃以下が好ましい。700℃以下では粒界反応が起こる可能性があり、860℃以上ではBeの量によっては融解が始まることがあるからである。このうち、790℃以上850℃以下がより好ましい。こうした高い温度域を選択することで、より高い過飽和固溶体状態をつくることができるからである。溶体化処理時間は、1分以上3時間以下が好ましく、1分以上1時間以下がより好ましい。溶体化処理時間は、予加工材の形状や大きさによって決定されるが、薄板材や棒線材の場合であっても1分に満たないとBe溶質原子を十分固溶させることができず、大きなバルク材であっても3時間を越えるとそれ以上の固溶促進は望めず、結晶粒の粗大化が顕著に起こるからである。冷却速度は、−55℃/s以上(好ましくは−200℃/s以上)とするのが好ましい。−55℃/s以上であれば冷却途中で粒界反応(Cu−Be化合物の粒界への不連続析出)やCu−Co系化合物の析出が起こる可能性を減らすことができ、−200℃/s以上であれば粒界反応をより抑制できるからである。こうして得られた溶体化処理材は、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である。
(5)冷間加工工程
この工程では、溶体化処理材を冷間で強加工して冷間加工材を得る。具体的には、例えば、冷間圧延をして圧延材に加工してもよい。また、例えば、冷間鍛造をして鍛造材に加工してもよい。冷間で強加工することにより、組織の微細化が可能であり、それによって機械強度をより高めることができる。なお、組織の微細化は、例えば、SEM−EBSDを用いたOIM(結晶方位分散分析)法によって測定した粒界の傾角が2°以上となる結晶粒を成す組織が、強変形によって1方向又は2方向に伸長してそれ以外の方向で微細化されたり、結晶粒内に新たに生成した転位セルによって微細化されたり、結晶粒内に導入されたせん断変形帯によって微細化されたり、結晶粒内に生成した変形双晶によって微細化されたりすることによって生じるものとしてもよい。
圧延材に加工する場合、例えば、板材に加工された予加工材を溶体化処理した溶体化処理材を用い、上下1対又はそれ以上のロールを用いて圧延する方法を用いることができる。圧延方法としては、具体的には、圧縮圧延やせん断圧延などが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて用いることができる。ここで、圧縮圧延とは、圧延対象に圧縮力を付与して圧縮変形を生じさせることを目的とする圧延をいう。また、せん断圧延とは、圧延対象にせん断力を付与してせん断変形を生じさせることを目的とする圧延をいう。圧縮圧延の方法としては、例えば、上下1対のロールを用いて圧延する場合、上ロールと鋳塊との接触面及び下ロールと鋳塊との接触面の摩擦係数がともに最小となるようにして圧延する方法が挙げられる。この場合、例えば、上ロールと鋳塊との間の摩擦係数が0.01以上0.05以下であり、下ロールと鋳塊との間の摩擦係数が0.01以上0.05以下であって、上ロール側と下ロール側との摩擦係数の差が0以上0.02以下であることが好ましい。また、上ロールと下ロールの回転速度は同程度であることが好ましい。こうした圧縮圧延では、均一に圧延変形させることが容易であるため、圧延精度を良好なものとすることができる。せん断圧延の方法としては、例えば、上下1対のロールを用いて圧延する場合、上ロールと鋳塊との接触面と、下ロールと鋳塊との接触面とで、摩擦状態に差を設けて圧延する方法が挙げられる。ここで、摩擦状態に差を設ける方法としては、上下一対のロールが相互に異なる速度で回転する異周速圧延法や一対のロールと鋳塊との各界面における摩擦係数を相互に異なるようにした状態で圧延する方法などが挙げられる。このとき、例えば、上ロールと鋳塊との間の摩擦係数が0.1以上0.5以下であり、下ロールと鋳塊との間の摩擦係数が0.01以上0.2以下であって、上ロール側と下ロール側との摩擦係数の差が0.15以上0.5以下であることが好ましい。ここで、摩擦係数μは、圧延ロールにかかる駆動トルクG(Nm)、ロール半径R(m)、圧下加重P(N)を用いてμ=G/RPで表すことができる。こうしたせん断圧延は、加工度の高い圧延に特に適しているため、強加工による組織の微細化が可能である。また、組織を微細化することにより、機械強度をより高めることができる。圧縮圧延及びせん断圧延において、上ロールや下ロールは目的とする摩擦状態を得られるものであればよく、材質やロール形状は特に限定されない。例えば、平坦な板を得られるようなものとしてもよいし、凹凸断面やテーパー断面などの異形断面を有する板を得られるようなものとしてもよい。圧延パス条件は、特に限定されるものではないが、例えば、複数回の圧延を繰り返して最終板厚まで圧延加工を行うものとしてもよい。こうすれば、圧延途中で破断しにくい。圧延加工をする場合、板材を、圧延率が90%以上となるように冷間で圧延することが好ましい。圧延率を大きくすると組織が微細化され、機械強度をより高めることができるからである。圧延率は、100%未満であればよいが、加工の観点から99.99%以下であることが好ましい。ここで、圧延率(%)は、{(圧延前の板厚−圧延後の板厚)×100}÷(圧延前の板厚)を計算し、得られる値である。圧延速度は特に限定されるものではないが、1m/min以上100m/min以下であることが好ましく、5m/min以上20m/min以下であることがより好ましい。5m/min以上であれば効率よく圧延加工が行えるし、20m/min以下であれば圧延途中での破断等をより抑制することができるからである。
鍛造材に加工する場合、例えば、バルク材に加工された予加工材を溶体化処理した溶体化処理材を用いて、冷却抜熱しながらバルク材の互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向から鍛造する方法を用いることができる。鍛造の順序は、バルク材の有する辺のうち、最も長い辺に対応する軸方向から順に圧力を加えるのが好ましい。具体的には、鍛造装置などによって、バルク材に対して各軸方向から圧力を加えることができる。加圧の際、バルク材の表面温度が120℃以下(より好ましくは20〜100℃の範囲内)を保つように、加圧のたびに冷却するのが好ましい。表面温度が120℃を超えると、複数の結晶粒を横断するようなせん断帯組織を生じやすくなるために割れや破壊などが生じ、加工前の形状を維持することができなくなる。加圧時の圧力は圧下量や加圧回数によって決まるが、1200MPa以下となるような圧下量や加圧回数とするのが好ましい。加圧圧力を1200MPa以下とすれば、鍛造装置の大型化を招くことがないからである。このとき、1回の加圧での圧下量(加工率(%))は、14%以上33%以下の範囲内とし、1回の加圧でバルク材に加えられる塑性歪みの量(歪み量;ε)は、0.15〜0.36の範囲内とするのが好ましい。なお、「圧下量」とは、加工変形量をもとの高さで除した割合(加工率)であり、歪み量ε=ln(1−加工率)で示される。冷却方法は、空冷、水冷、放冷などいずれの方法でもよいが、繰り返し作業の効率性と能率を考慮すると、水冷による冷却が好ましい。冷却は、加圧によりバルク材から発生する熱を冷却するためのものであり、バルク材の表面温度が120℃以下となるように行うことが好ましく、20〜100℃がより好ましく、20℃〜30℃(一年を通しての大気温度程度)が更に好ましい。こうした処理を、バルク材に加えられる塑性歪み量の累積値である累積歪みΣΔεが、所定の値に達するまで繰り返す。この累積歪みΣΔεは、2.0以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましい。機械強度をより高めることができるからである。
以下では、こうした鍛造方法の一例について、図面を用いて説明する。図1は、この鍛造方法の一例を示す説明図である。この鍛造方法では、鍛造用金型20を用いる。鍛造用金型20は、矩形状の6面体である第1形状のワーク(バルク材)から矩形状の6面体である第2形状のワークに変形させることにより該ワークに塑性歪みを加える鍛造方法に用いられるものである。この鍛造用金型20は、ワークWを上方から加圧変形させる上金型21と、直方体の空間であるワーク空間45にワークWを格納する下金型30とを備えている。この鍛造方法では、例えば鍛造用金型20のワーク空間45に矩形状の6面体(直方体)である第1形状のワークWを載置する載置工程と、載置されたワークを矩形状の6面体である第2形状に変形させることによりワークWに塑性歪みを加える加工工程と、を含み、載置工程と加工工程とを2回以上行うものとする。図1において、図1(a)が載置工程、図1(b)が加工工程、図1(c)が打出工程、図1(d)が取出工程の説明図である。この鍛造方法では、ワークWをワーク空間45に入れ、加圧変形させ、打ち出して取り出す処理を繰り返し行うのである。なお、鍛造用金型20の使用時には、ワークWの表面やワーク空間45を形成する壁部54などに潤滑剤を用いることが好ましい。即ち、ワークWと鍛造用金型20との間に潤滑剤が介在するように鍛造処理を行うものとしてもよい。潤滑剤としては、例えば、ジェル体(金属石鹸など)、粉末(MoS2、黒鉛など)、液体(鉱油など)を用いることができる。潤滑剤は、熱伝導性が高く、ワークWからの加工熱を金型へ熱伝達することを妨げないものであることが好ましい。
載置工程(図1(a))では、ワーク空間45にワークWを載置する。載置工程では、ワーク空間45のいずれかの側壁部の2面と接触した状態でワークWを載置することが好ましい。こうすれば、加工工程でワークWの位置ずれを抑制可能であるため、より効率よくワークWに塑性歪みを加えることができる。加工工程(図1(b))では、十分な押圧力をもってワークWをワーク空間45内で変形させる。加工工程では、直方体の互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向からそれぞれ鍛造する。鍛造の順序は、ワークWが有する辺のうち、最も長い辺に対応する軸方向から順に圧力を加えるのが好ましい。例えば、図2に示すように、ワークWのX軸、Y軸、Z軸の順に加工工程を実行する場合について説明する。ワークWに加えられる塑性歪みの歪み速度は、1×10-3(s-1)以上1×10+1(s-1)以下の範囲が好ましく、1×10-2(s-1)以上1×10+1(s-1)以下の範囲がより好ましい。この加工工程では、例えば、変形前の第1形状のワークWと変形後の第2形状のワークとがX,Y,Z軸の長さは異なるが第1形状と第2形状とが同じ形状になる変形をワークWに行うことが好ましい。即ち、ワークWの各辺の比は、変形前と変形後で同じ比率に保たれることが好ましい。こうすれば、各軸方向に対して均等な塑性歪みを与えることができる。打出工程(図1(c))では、スライド台座35をスライドさせ、連通空間33を形成させたのち、上型圧子22により上方から加圧してワーク空間45内のワークWを連通空間33へ打ち出す処理を行う。取出工程(図1(d))では、打ち出したワークWを連通空間33から取り出す処理を行う。例えば、スライド台座35を取り外した空間から、貫通孔34に押出棒などを挿入することにより押し出してワークWを取り出す。このとき、取り出したワークWを冷却することが好ましい。冷却方法は、空冷、水冷、放冷などいずれの方法でも構わないが、繰り返し作業の効率性と能率を考慮すると、水冷による冷却が望ましい。冷却は、加圧により銅合金から発生する熱を冷却するものであり、バルク材の表面温度が120℃以下となるように行うことが好ましく、20〜100℃がより好ましく、20℃〜30℃(一年を通しての大気温度程度)が更に好ましい。
この鍛造方法では、載置工程、加工工程、打出工程及び取出工程を所定の加圧回数まで行うものとする。ここで、「加圧回数」とは、各軸(X軸、Y軸、Z軸)方向のいずれか一方からワークWに圧力が加えられた場合を1回としてカウントアップされる回数をいうものとする。また、「所定の加圧回数」とは、銅合金に加えられる塑性歪み量の累積値(累積歪みΣΔε)が、例えば2.0以上や2.4以上となる回数をいうものとしてもよい。
こうした鍛造方法によれば、鍛造用金型20のワーク空間45でワークWを加圧変形させるため、形状安定性をより確保することができる。
(6)時効硬化処理工程
この工程では、冷間加工材を、所定の時効硬化処理雰囲気下、所定の時効硬化処理温度域で所定の時効硬化時間に亘って保持することにより、冷間加工材に含まれるBe(又は、Be化合物)を析出させて析出硬化させて、時効硬化処理材を得る。時効硬化処理雰囲気は、溶解雰囲気と同様、真空雰囲気又は不活性雰囲気であることが好ましい。時効硬化処理温度域としては、200℃以上550℃以下の範囲が好ましく、250℃以上350℃以下の範囲がより好ましい。また、時効硬化時間としては、1分以上24時間以下が好ましく、15分以上4時間以下がより好ましい。こうした時効硬化処理工程を経ることで、機械強度のより高いCu−Be合金が得られる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、Cu−Be合金の製造方法は、(1)溶解鋳造工程と、(2)均質化処理工程と、(3)予加工工程と、(4)溶体化処理工程と、(5)冷間加工工程と、(6)時効硬化処理工程と、を含むものとしたが、これらの工程を全て含むものでなくてもよい。例えば、(1)〜(3)(5)(6)の各工程は、省略してもよいし他の工程に置き換えてもよい。また、(5)の冷間加工工程では、冷間圧延及び冷間鍛造を例示したが、これに限定されず、例えば、押出や引き抜きなどによる冷間伸線などとしてもよい。
以下では、Cu−Be合金を具体的に製造した例について説明する。なお、溶体化処理材としてのCu−Be合金は、実験例1〜26の全てが実施例である。また、時効硬化処理材としてのCu−Be合金は、実験例1〜6,10〜16,19〜23が実施例であり、実験例7〜9,17〜18,24〜26は比較例である。
[Cu−Be合金の製造]
(実験例1〜6)
まず、BeとCoとが表1に示すような比率で残部がCuとなるように原料を秤量し、溶解・鋳造して鋳塊を得た。この鋳塊について、窒素ガス雰囲気下、750℃で4時間保持する均質化処理を行った。続いて、大気下、800〜750℃で、圧延率95%の熱間圧延を行い、その後大気下、室温25℃で、圧延率90%の冷間圧延を行った。さらに、800℃の塩浴中で3分保持して、その後約−400℃/sで水冷する溶体化処理を行い、実験例1〜6の溶体化処理材を得た。得られた溶体化処理材を、大気下、室温25℃で、表1に示す圧延率となるように冷間圧延し、さらに、窒素ガス雰囲気下、表1に示す温度、時間で保持する時効硬化処理を行い、時効硬化処理材を得た。
(実験例7〜9)
実験例7〜9では、実験例1と同じ溶体化処理材を用いた。そして、表1に示す圧延率となるように冷間圧延をし、表1に示す温度、時間保持して時効硬化処理を行った以外は、実験例1と同様にして時効硬化処理材を得た。なお、実験例7では冷間圧延の圧延率を小さくした。また、実験例8では亜時効、実験例9では過時効とした。
(比較例1〜3)
比較例1〜3では、原料の割合、冷間圧延での圧延率、時効硬化処理の温度及び時間を表1に示すものとした以外は、実験例1と同様に溶体化処理材及び時効硬化処理材を得た。
(実験例10〜16)
ここでは、冷間圧延に変えて、冷間鍛造を行った。具体的には、まず、BeとCoとが表2に示すような比率で残部がCuとなるように原料を秤量し、溶解・鋳造して鋳塊を得た。この鋳塊について、窒素ガス雰囲気下、750℃で4時間保持する均質化処理を行った。続いて、大気下、800〜750℃で、累積歪みΣΔε2.4の熱間鍛造を行った。さらに、窒素雰囲気下、780℃で3時間保持して、その後約−95℃/sで急冷する溶体化処理を行い、実験例10〜16の溶体化処理材を得た。得られた溶体化処理材を、大気下、室温25℃で、表2に示す累積歪みΣΔεとなるように冷間鍛造し、さらに、窒素ガス雰囲気下、表2に示す温度、時間保持する時効硬化処理を行い、時効硬化処理材を得た。
(実験例17〜18)
実験例17〜18では、実験例10と同じ溶体化処理材を用いた。表2に示す累積歪みΣΔεとなるように冷間鍛造をし、表2に示す温度、時間保持して時効硬化処理を行った以外は、実験例10と同様に時効硬化処理材を得た。なお、実験例17では亜時効、実験例18では過時効とした。
(実験例19〜23)
実験例19〜23では、実験例16と同様、冷間鍛造の累積歪みΣΔεが2.0となるように冷間鍛造を行った。具体的には、原料の割合、時効硬化処理の温度及び時間を表2に示すものとした以外は、実験例16と同様に溶体化処理材及び時効硬化処理材を得た。
(実験例24〜26)
実験例24〜26では、冷間鍛造の累積歪みΣΔεが2.0未満となるように冷間鍛造を行った。具体的には、原料の割合、冷間鍛造の累積歪み、時効硬化処理の温度及び時間を表2に示すものとした以外は、実験例10と同様に溶体化処理材及び時効硬化処理材を得た。
(比較例4〜6)
比較例4〜6では、原料の割合、冷間鍛造での累積歪みΣΔε、時効硬化処理の温度及び時間を表2に示すものとした以外は、実験例10と同様に溶体化処理材、冷間鍛造材及び時効硬化処理材を得た。
[TEM観察]
実験例1〜26及び比較例1〜6の溶体化処理材について、TEM観察を行い、Cu−Co系化合物の粒径及び個数を計測した。この結果を表1,2に示した。なお、Cu−Co系化合物の粒径(平均粒径)及び個数は、10μm×10μmの視野を5ヶ所TEM観察して算出した平均値とした。図3には、実験例1の溶体化処理材のTEM写真を示す。また、図4には、比較例3の溶体化処理材のTEM写真を示す。なお、図3(b)は、図3(a)を拡大したものである。図3,4において、析出物がCu−Co系化合物であることは、EDX分析法による元素分析で確認した。また、実験例1〜26及び比較例1〜6の時効硬化処理材についても同様にTEM観察を行い、Cu−Co系化合物の粒径及び個数を計測した。そうしたところ、Cu−Co系化合物の形状、粒径、個数は溶体化処理材と同等であった。
[機械的特性・電気的特性の確認]
UTS(引張強さ)及び伸び(破断伸び)は、JISZ2241に準じて測定した。なお、実験例1〜9及び比較例1〜3については、圧延方向、板幅方向、圧延−板幅間45°方向が引張軸に一致するように3つの試験片を作製し、各試験片の引張強さの平均値を求めた。また、実験例10〜26及び比較例4〜6については、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X−Y間45°方向、Y−Z45°方向、Z−X間45°方向が引張軸に一致するように6つの試験片を作製し、各試験片の引張強さの平均値を求めた。硬さ(マイクロビッカース硬さ)は、JISZ2244に準じて測定した。導電率は、JISH0505に準じて線材の体積抵抗ρを測定し、焼き鈍した純銅の抵抗率(1.7241μΩcm)との比を計算して導電率(%IACS)に換算した。換算には、以下の式を用いた。導電率γ(%IACS)=1.7241÷体積抵抗ρ×100。この結果を表1,2に示した。

[結果と考察]
表1,2より、Coの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であり、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である溶体化処理材を用い、圧延率90%以上の冷間圧延又は累積歪み2.0以上の冷間鍛造及び、それに続く適切な時効硬化処理を経て得られた実験例1〜6及び、実験例10〜16、19〜23の時効硬化処理材では、引張強さが1700MPa以上と大きかった。
実験例1と同じ溶体化処理材を用いたものの、圧延率が小さい実験例7、時効硬化処理が亜時効となった実験例8、時効硬化処理が過時効となった実験例9や、実験例10と同じ溶体化処理材を用いたものの、累積歪みが小さい実験例24〜26、時効硬化処理が亜時効となった実験例17、時効硬化処理が過時効となった実験例18などの時効硬化処理材では、引張強さが十分ではなかった。なお、実験例7〜9や実験例17〜18、24〜26で用いた溶体化処理材は、冷間加工や時効硬化処理を適切に行えば、強度を高め得るものである。
Coの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であるものの、Cu−Co系化合物の個数が6個以上である比較例1では、実験例1と同様の冷間圧延及び時効硬化処理を行ったにもかかわらず、引張強さが十分ではなかった。同様に、Coの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であるものの、Cu−Co系化合物の個数が6個以上である比較例4では、実験例10と同様の冷間鍛造及び時効硬化処理を行ったにもかかわらず、引張強さが十分ではなかった。このことから、Cu−Co系化合物は、5個以下である必要があることがわかった。また、Coの含有量が0.12質量%を上回る比較例2,3及び比較例5,6では、Cu−Co系化合物の粒径が1μm以上であり、その個数も6個以上となり、引張強さも非常に小さかった。以上のことから、機械強度の高いCu−Be合金を得るためには、少なくともCoの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であり、2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である必要があることがわかった。
本出願は、2012年11月2日に出願された日本国特許出願第2012−242498号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、高強度・高破壊靭性、耐久信頼性を必要とされる電子接点部品や機械構造用部品などに利用可能である。
20 鍛造用金型、21 上金型、22 上型圧子、30 下金型、33 連通空間、34 貫通孔、35 スライド台座、45 ワーク空間、54 壁部、W ワーク。

Claims (8)

  1. Coを含有するCu−Be合金であって、
    前記Coの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であり、前記Beの含有 量が1.60質量%以上1.95質量%以下であり、残部がCu及び不可避的不純物であ り、
    2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下であり、
    引張強さが1700MPa以上である、
    Cu−Be合金。
  2. Coを含有するCu−Be合金であって、
    前記Coの含有量が0.005質量%以上0.12質量%以下であり、前記Beの含有 量が1.60質量%以上1.95質量%以下であり、残部がCu及び不可避的不純物であ り、
    2万倍のTEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上のCu−Co系化合物の数が10 μm×10μmの視野あたり5個以下であり、
    破断伸びが1.5%以上である、
    Cu−Be合金。
  3. 引張強さが1700MPa以上である、請求項に記載のCu−Be合金。
  4. 前記TEM画像で、粒径1μm以上のCu−Co系化合物が観察されない、請求項1 は2に記載のCu−Be合金。
  5. 前記TEM画像で確認可能な粒径0.1μm以上1μm未満のCu−Co系化合物の数が10μm×10μmの視野あたり5個以下である、請求項に記載のCu−Be合金。
  6. 前記Coの含有量が0.005質量%以上0.05質量%未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載のCu−Be合金。
  7. 0.005質量%以上0.12質量%以下のCo及び1.60質量%以上1.95質量%以下のBeを含有し、残部がCu及び不可避的不純物であるCu−Be合金原料を、7 10℃以上860℃以下で1分以上3時間以下加熱保持し、−55℃/s以上の冷却速度 で冷却して溶体化処理材を得る溶体化処理工程と、
    前記溶体化処理材を、圧延率90%以上となるように冷間圧延をし、又は、累積歪み2 .0以上となるように冷間鍛造を行い、冷間加工材を得る冷間加工工程と、
    前記冷間加工材を、250℃以上350℃以下の温度範囲で、15分以上4時間以下保 持して時効硬化材を得る時効硬化処理工程と、
    を含むCu−Be合金の製造方法。
  8. 前記Cu−Be合金原料は、0.005質量%以上0.05質量%未満のCoを含有するものである、請求項に記載のCu−Be合金の製造方法。
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