[第1実施形態:生体測定装置]
以下、本発明の第1実施形態に係る生体測定装置を、体組成計100に適用した場合を例にして、図面を参照しつつ詳しく説明する。
体組成計100の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係る生体測定装置及び生体測定システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、体組成計100は、判定手段としての制御部101と、操作部102と、表示部103と、測定手段としての測定部104と、記憶部105と、演算手段としての演算部106と、入力手段としての通信部107と、電源部108と、計時部109と、を備える。即ち、第1実施形態に係る生体測定装置である体組成計100は、利用者の体重(生体データ)を測定可能な測定手段と、測定手段が測定した体重に関する後述の比率を演算する演算手段と、その比率に基づいて、体重の変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する判定手段と、を有する。
制御部101は、操作部102、表示部103、測定部104、記憶部105、演算部106、通信部107、電源部108、及び、計時部109と電気的に接続されており、各部材の動作を制御している。
操作部102は、データ入力手段として機能する。第1操作部102の形状・設置位置・個数・操作方法は特に限定されるものではなく、ボタン式、タッチセンサ式、ダイヤル式など適宜採択可能である。利用者は、操作部102を用いて体組成計100の各種設定、情報の入力等を行うことができるようになっている。
表示部103は、制御部101から送られてくるデータを表示するデータ表示手段である。表示部103は、例えば、利用者の生体データや設定事項の表示、操作の案内表示の他、後述の各種判定の結果、停滞期に入ったか否か、リバウンドの可能性に関する報知、停滞期の残り日数、などを表示する。表示部103の表示内容は、記憶部105に記憶されており、制御部101は、記憶部105に予め記憶されたプログラムに従い、生体測定装置100の利用状況に応じて、記憶部105からデータを読み出して、表示部103に表示させるようになっている。表示部103は、一例として、LCD(Liquid Crystal Display)などの液晶を用いたものを採用すればよいが、特にこれに限定されるものではない。
記憶部105は、揮発性メモリや不揮発性メモリ(いずれも図示せず。)などによって構成される記憶手段である。揮発性メモリは、制御部101による処理等のための各種データを一時的に記憶できるようになっている。また、演算部106の演算処理時の記憶領域としても機能する。不揮発性メモリは、長期保存すべきデータの記憶に利用される。例えば、停滞判定基準(特に後述の式(3)に用いる停滞期判別値k)、リバウンド判定基準(特に後述の式(4)に用いる値X)、停滞期の期間T、及び日内変動値から定まる値Yに関する各データベース、過去に測定した体重(生体データ)、各種の閾値、利用者により入力された生体データ(例えば年齢、性別、身長、活動量計200で測定した消費エネルギーの値など)、及び各種プログラムの記憶などに用いることができる。
演算部106は、制御部101による制御のもとで種々の演算処理を行うことが可能な演算手段である。演算部106は、測定部104で取得されたデータや記憶部105に記憶されているデータやプログラムに基づいて、利用者の体重、生体インピーダンス、体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、BMI、肥満度、細胞内液量、細胞外液量などを演算することができる。さらに、演算部106は、記憶部105に記憶された利用者の過去の体重に基づいて、第1期間及び第2期間(後述)それぞれにおける体重の平均値WAVR1、WAVR2の演算、平均値WAVR2に対するWAVR1の比率の演算、第1期間における体重の最大値Wmax及び最小値Wminの差の演算、停滞期の残り日数の演算、停滞期終了の予報のための演算、生体データの値が減少傾向を示し始めた日から生体データの変化が停滞傾向を開始した日までの日数、生体データの値が減少傾向を示し始めた日の生体データと生体データの変化が停滞傾向を開始した日の生体データとの変化量、等の演算を行う。
演算部106は、本発明において、測定手段が測定した生体データのうち、第1期間における生体データ及び第2期間における生体データに基づいて、第2期間における生体データの平均値WAVR2に対する、第1期間における生体データの平均値WAVR1の比率を演算する演算手段、として構成される。
電源部108は、電池(バッテリー)などの電力供給源によって構成される電力供給手段であり、体組成計100の各構成部材には、制御部101を介して電力が供給されるようになっている。
計時部109は、種々の期間(時間)の経過を計時する機能を有する。なお、本実施形態では、計時部109は独立の構成要素としているが、計時回路として制御部101に一体化された構成とし、制御部101自身が計時機能を有するようにしてもよい。
通信部107は、他の機器、例えば図1における活動量計200や端末機300との間で、情報の送受信が可能となっている。通信部107は、有線や無線(例えば、赤外線通信、Wi−Fi(wireless fidelity:登録商標)等)で通信可能な構成としてもよいし、USBメモリ等の別の記憶媒体を介して、送受信を可能とするコネクタとして構成してもよい。通信部107は、本発明において、判定を実行する日において消費した利用者の消費エネルギーの値を入力可能な入力手段、として構成される。なお、前記した操作部102を操作することによって、判定を実行する日において消費した利用者の消費エネルギーの値を入力してもよいため、操作部102を入力手段として構成してもよいことは言うまでもない。
測定部104は、利用者の体重を測定するためのロードセル141と、利用者の生体インピーダンス測定するための、通電電極143、145と、測定電極144、146と、電流発生回路148と、電圧測定回路149と、を備える。
ロードセル141は、荷重に応じて変形する金属部材の起歪体と、起歪体に貼られる歪みゲージと、によって構成されている。利用者が体組成計100上に乗ると、利用者の荷重によってロードセル141の起歪体が撓んで歪みゲージが伸縮し、歪みゲージはその伸縮に応じて抵抗値(出力値)が変化する。制御部101は、演算部106による演算により、このような歪みゲージの抵抗変化に基づく荷重信号出力の変化から利用者の体重を演算して求めることができるようになっている。このロードセル141を用いた体重の測定に関する構成は、一般の体重計と同様の構成を用いればよい。
4枚の電極143、144、145、146は、一例として、利用者が体組成計100に乗ったときに、左右の足裏に対して接触可能な位置に設けて足用の電極として構成すればよい。これにより、利用者が体組成計100に乗ったとき、一方の足裏に、通電電極143及び測定電極144が接触し、他方の足裏に、通電電極145及び測定電極146が接触する。なお、利用者が手で把持するハンドル部材に別の4つの電極を設けて、計8枚の電極による生体インピーダンスを測定可能な構成としてもよい。通電電極143、145は、電流発生回路148に接続されており、通電電極143に接触する利用者の一方の足から利用者の体内を通り、通電電極145に接触する利用者の他方の足に至るまでの経路(又はこの逆向きの経路)で、生体インピーダンス測定用の電流を供給するための電極である。また、測定電極144、146は、電圧測定回路149に接続されており、前記電流が供給されているときの、測定電極144が接触する利用者の一方の足と、測定電極146が接触する利用者の他方の足との間の電圧を取得・測定するための電極である。
制御部101は、このような電流及び電圧の各値に基づいて、利用者の生体インピーダンスを測定することができるようになっている。即ち、生体インピーダンス測定部146は、通電電極143、145に接続されて高周波の微弱な定電流を供給する電流発生回路148と、測定電極144、146に接続されて電位差を測定するための電圧測定回路149と、を有する。これにより、電流発生回路148から供給される交流電流は、通電電極143、145aを介して利用者の体内に供給され、測定電極144、146を介して電圧測定回路149で電圧が測定されるようになっている。このように測定した電圧値及び供給した電流値に基づいて、制御部101は、演算部106による演算により、利用者の生体インピーダンスを求めることができるようになっている。この生体インピーダンスの測定に関する構成は、一般の体脂肪計や体組成計と同様の構成を用いればよい。
制御部101は、このようにして求めた体重や生体インピーダンス、更には記憶部105に記憶されている利用者の年齢、性別、身長などのデータに基づいて、演算部106による演算により、体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、BMI、肥満度、細胞内液量、細胞外液量などを求めることができるようになっている。ロードセル141と制御部101と演算部106とは、本発明において、利用者の体重に関する生体データを測定可能な測定手段として構成され、また、ロードセル141と、通電電極143、145と、測定電極144、146と、電流発生回路148と、電圧測定回路149と、制御部101と、演算部106とは、利用者の体脂肪率に関する生体データを測定可能な測定手段として構成されるものであり、少なくともいずれかの測定手段を備えるものであればよい。
制御部101は、本発明において、生体データの変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する判定手段、生体データがリバウンドしやすい状態か否かを判定する判定手段、停滞期の残り期間を判定する判定手段、停滞期の終了を判定する判定手段、として構成される。
ここで、本発明において停滞期とは、生体データの変化が停滞傾向を示す時期をいう。より具体的には、一定期間(例えば1週間)毎の生体データ(体重又は体脂肪率)の変化量が減少し、その変化量が所定の判別値で定める範囲内にある(即ち、停滞判定基準を充足する)時期をいう。
停滞期は、摂取エネルギーと代謝量とが互いに釣り合っている状態、又は、釣り合いを取ろうとしている状態であり、以下のサイクルによって到達するものと考えられる。減量のために、食事制限を行ってエネルギー摂取量を減少させると、「エネルギー摂取量<代謝量」の状態となるので、しばらくは体重が減少する時期が続く(図5の区間D1、D2参照)。しかし、これによって筋肉量も減少するため代謝量が徐々に減少する。その結果、次第に代謝量がエネルギー摂取量に追いつき、摂取エネルギー量と代謝量とのバランスがとれた状態、即ち、停滞期に到達する(図5の期間T1、T2参照)。この状態から更に減量を行うためには、更なる食事制限を行って摂取エネルギー量を制限したり、運動により消費エネルギーを増やし筋肉量を増やしたりするなど、「エネルギー摂取量<代謝量」の状態を実現しなければならない。
従って、停滞期にある利用者は、自分が停滞期にあるということがわからないまま減量対策を継続すると、減量対策の実施に対する効果が現れないことから、モチベーションが低下しやすい。そのため、本発明に係る生体測定装置である体組成計100は、生体データの変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する判定手段を備え、停滞期にあるのか否かを判定し、利用者に報知可能とするものである。また、停滞期にある場合に、この停滞期がいつ終了するのかもわからないままに減量対策を継続することもモチベーション低下の要因の一つであることから、本発明に係る生体測定装置である体組成計100は、停滞期の残り期間を判定する判定手段や、停滞期の終了を判定する判定手段を備えている。一方で、急激な減量がなされてしまうと、リバウンドする可能性が増加する。そのため、本発明に係る生体測定装置である体組成計100は、生体データがリバウンドしやすい状態か否かを判定する判定手段を備えるようにした。
さらに、制御部101は、本発明において、通信部107や操作部120(入力手段)から入力された、判定を実行する日において消費した利用者の消費エネルギーが、前回入力された消費エネルギーよりも大きい場合には、停滞傾向を開始した日から判定当日までの経過日数を、停滞期の残り期間から差し引いた期間、を停滞期の残り期間と判定する判定手段、として構成される。消費エネルギーが、前回よりも大きい場合には、多くの運動が実行されている、又は、その運動により筋肉量が増加していると見ることができるため、それに応じて停滞期の終了時期は早まるものと推定できる。そこで、消費エネルギーの変化をも加味して、停滞期の残り期間を判定し、利用者に報知可能とするものである。
なお、利用者が消費する消費エネルギーを測定可能な活動量計200について、簡単に説明する。図1に示すように、活動量計200は、制御部201と、操作部202と、表示部203と、測定部としての加速度センサ204と、記憶部205と、演算部206と、通信部207と、電源部208と、を備える。
制御部201は、各構成部材と電気的に接続されており、それぞれの動作を制御する。操作部202は、スイッチやボタンで構成され、利用者は、活動量計200の各種設定、情報の入力等を行うことができるようになっている。表示部203は、例えば液晶ディスプレイであって、測定結果その他の情報を表示することができるようになっている。加速度センサ204は、活動量計200が動かされることによって生ずる加速度値を継続的に検出し、制御部201に対して出力する測定部である。記憶部205は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ(いずれも図示せず。)によって構成される記憶手段である。記憶部205は、活動量計200の制御プログラム、設定事項、1日ごとの消費エネルギーなどの測定結果等を保存できるようになっている。演算部206は、制御部201による制御のもとで種々の演算処理を行うことが可能な演算手段である。演算部206は、主として、加速度センサ204により取得された加速度値に基づいて、利用者の運動や生活動作を含む体動による消費エネルギーを演算することができるようになっている。通信部207は、他の機器、例えば図1における体組成計100や端末機300との間で、情報の送受信が可能となっている。通信部207は、有線や無線(例えば、赤外線通信、Wi−Fi(登録商標)等)で通信可能な構成としてもよいし、USBコネクタとして構成してもよい。電源部208は、電池(バッテリー)などによって構成される電力供給手段であり、活動量計200の各構成部材に、制御部201を介して電力を供給する。
活動量計200は、利用者の着衣等に取り付けられることにより、利用者の体動に応じた加速度値を検知し、その加速度値に応じて消費エネルギーを算出し記録することができるようになっている。従って、利用者が、1日の活動し始めから就寝前まで、活動量計200を着用しておくことにより、1日の消費エネルギーを取得することができる。なお、消費エネルギーは、利用者の基礎代謝量及び運動による消費エネルギーとの和である総消費エネルギーでもよいし、利用者の基礎代謝量、又は、利用者の運動による消費エネルギー、のいずれか一方であってもよい。このようにして算出された消費エネルギーは、活動量計200の通信部207から、体組成計200の通信部107へ入力することができるようになっている。或いは、表示部203に表示されている測定結果を、利用者自身が、操作部103を操作して体組成計200へ入力してもよい。利用者の体動に応じた加速度値から消費エネルギーを算出する活動量計200は、一般的に用いられている活動量計を採用すればよいため、詳細な説明は省略する。
以下、第1実施形態に係る生体測定装置である体組成計100の処理について説明する。本発明に係る生体測定装置は、利用者の生体データの変化の状況(主として体重の減量状態)に応じた測定モードとして、「通常モード」及び「停滞期モード」を有する。通常モードにおいて、生体データの変化が停滞していると判別された場合は、測定モードを切り替え、通常モードから停滞期モードに切り替わる。また、通常モードにおいては、さらに、利用者の生体データの変化が急激であると判定されたときにリバウンドの可能性を警告する機能を有する。また、停滞期モードにおいては、停滞期の残り期間を判定することができるものである。より具体的には、体組成計100は、通常モードで測定を開始し、図2に示す処理により停滞期にあるか否かを判定する。この処理により停滞期にあると判定された場合には、図4に示す停滞期モードに移り、停滞期の残り期間の判定や停滞期を脱したか否かの判定を行う。一方、通常モードでは、図3に示す処理により、リバウンドしやすい状態か否かを判定する。以下に、図2乃至図4の各処理について説明する。
[通常モード処理]
図2は、通常モードにおける処理を示すフローチャートである。
利用者が、操作部102による測定開始の操作をしたり、体組成計100に乗ったことを検知したりすると、通常モードで測定が開始される。利用者が体組成計100に乗ると、制御部101は、測定部104のロードセル141からの出力信号に基づいて、利用者の今日の体重Wdayを測定するとともに、記憶部105に日付とともに記憶させる(ステップS101)。なお、測定部104は、体重Wdayの測定とともに、利用者の生体インピーダンスを測定し、さらに体脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、BMI、肥満度、細胞内液量、細胞外液量などをも求めて、記憶部105に記憶させる。
制御部101は、記憶部105に、第1期間及び第2期間分の体重のデータが蓄積されているかを判断する(ステップS102)。ここで、第1期間としては、停滞期にあるか否かの判定を実行する日を含む直近の所定日数として設定し、第2期間としては、第1期間よりも前の所定日数を設定する。所定日数としては、任意の日数を設定することができるが、一例として7日間とし、判定の実行日当日から数えて7日前までを第1期間、同様に、8日前から14日前までを第2期間、と設定する場合に基づいて以下説明する。即ち、当日(直前のステップS101において)測定した体重Wday1、昨日測定した体重Wday2、以下同様にして、当日から数えて7日前に測定した体重Wday7までが第1期間の体重(Wday1〜Wday7)となり、当日から数えて8日前に測定した体重WDAY8から14日前に測定した体重WDAY14までが第2期間の体重(Wday8〜Wday14)となる。なお、減量の状況や利用者の希望等に従って、所定日数として所望の日数をカスタマイズして、処理を行っても良い。
記憶部105に、第1期間の体重(Wday1〜Wday7)及び第2期間の体重(Wday8〜Wday14)が記録されていなければ(ステップS102でNo)、ステップS101へ戻り、体重の測定・記憶が繰り返される。一方、記憶部105に、第1期間の体重(Wday1〜Wday7)及び第2期間の体重(Wday8〜Wday14)が記録された場合(ステップS102でYes)、演算部106は、次式(1)により、第1期間の体重(Wday1〜Wday7)の平均値を演算する(ステップS103)。
WAVR1=(Wday1+Wday2+Wday3+Wday4+Wday5+Wday6+Wday7)/7 (1)
制御部101は、演算された平均値WAVR1を、記憶部105に保存する。
同様にして、演算部106は、次式(2)により、第2期間の体重(Wday8〜Wday14)の平均値を演算する(ステップS104)。
WAVR2=(Wday8+Wday9+Wday10+Wday11+Wday12+Wday13+Wday14)/7 (2)
制御部101は、演算された平均値WAVR2を、記憶部105に保存する。
次に、制御部101は、平均値WAVR2に対する平均値WAVR1の比率(WAVR1/WAVR2)が、次式(3)に示す停滞判定基準を充足するか否かに応じて、体重(生体データ)の変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する(ステップS105)。
(1−k)<(WAVR1/WAVR2)<(1+k) (3)
ここで、停滞期判別値kは、利用者の年齢及び/又は性別に対応した所定の数値である。即ち、記憶部105には、利用者の年齢及び/又は性別を入力することにより停滞期判別値kが一義的に決定されるテーブル化されたデータベースを有している。制御部101は、初期設定時に予め入力されている利用者の年齢及び/又は性別を、前記データベースに適用し、この利用者の年齢及び/又は性別に対応した停滞期判別値kを決定して、このように決定された停滞期判別値kを、式(3)に示す停滞判定基準に適用する。なお、停滞期判別値kが一義的に定まるテーブル化されたデータベースは、年齢及び/又は性別ごとに不特定多数の被験者から十分な量のサンプルデータを収集した統計データに基づいて、工場出荷時等に設定しておく。また、停滞期判別値kは、利用者の年齢及び/又は性別に加えて、身長及び/又は体重の違いにも対応して定まるように、前記データベースを作成すると精度が向上し好適である。
例えば、この利用者の年齢及び/又は性別に対応した停滞期判定値kがk=0.1であれば、前記比率WAVR1/WAVR2が、体重の増減が±10%の範囲内であるか否か、が停滞判定基準となることを意味する。
制御部101は、前記比率WAVR1/WAVR2が停滞判定基準を充足すると判定した場合(ステップS105でYes)、体重(生体データ)の変化が停滞傾向を示す停滞期にあると判定し、停滞期にあることを表示部103に表示させるとともに(ステップS106)、測定モードを「停滞期モード」(図4参照)へ移行する。
一方、制御部101は、前記比率WAVR1/WAVR2が停滞判定基準を充足しないと判定した場合(ステップS105でNo)、制御部101は、後述のリバウンド判定処理(図3参照)を実行後、通常モードを継続する。即ち、次の日の測定時には、ステップS101に戻り、上記と同様の測定モード(通常モード)を実行する。
[リバウンド判定処理]
次に、リバウンド判定の処理について、図3を参照しつつ説明する。図3は、通常モードにおけるリバウンド判定処理を示すフローチャートである。リバウンド判定の処理は、通常モード中に実行される判定される(図2のステップS105参照)。体重(生体データ)を減量した後に、その体重が増加に転じて元の体重に戻ってしまう、いわゆるリバウンドの可能性を検知することにより、利用者に警告し、未然にリバウンドの危険性のある、減量対策を防ぐための機能である。
制御部101は、比率WAVR1/WAVR2が停滞判定基準を充足しないと判定した場合(図2のステップS105でNo)、リバウンド判定処理を開始し、第1期間の体重Wday1〜Wday7を読み出す(ステップS201)。続いて、演算部106は、第1期間の体重Wday1〜Wday7を互いに比較して、最大値Wmax及び最小値Wminを抽出する(ステップS202)。演算部106は、ステップS103と同様に、第1期間の体重の平均値WAVRを演算する(ステップS203)。演算された最大値Wmax、最小値Wmin、及び平均値WAVRは、それぞれ記憶部105に保存される。なお、ステップS202において、改めて平均値WAVRを演算することに代えて、既にステップS103で演算した平均値WAVR1を記憶部105から読み出して、以後の処理において平均値WAVRとして用いてもよい。
次に、演算部106は、抽出した最大値Wmax(kg)と最小値Wmin(kg)との差、次式(4)に示すリバウンド判定基準を充足するか否かに応じて、体重(生体データ)がリバウンドしやすい状態か否かを判定する(ステップS204)。
Wmax−Wmin≧WAVR*X (4)
ここで、Xは、利用者の年齢及び/又は性別に対応した所定の数値(単位:%)である。即ち、記憶部105には、利用者の年齢及び/又は性別を入力することによりXが一義的に決定されるテーブル化されたデータベースを有している。制御部101は、初期設定時に予め入力されている利用者の年齢及び/又は性別を、前記データベースに適用し、この利用者の年齢及び/又は性別に対応したXを決定して、このように決定されたXを、式(4)に示すリバウンド判定基準に適用する。なお、Xが一義的に定まるテーブル化されたデータベースは、どの程度、急激に体重を減量するとリバウンドする人が多いのか、という観点で、年齢及び/又は性別ごとに不特定多数の被験者から十分な量のサンプルデータを収集した統計データに基づいて、工場出荷時等に設定しておく。
上式(4)により利用者の体重の第1期間の変動幅を確認し、変動幅が大きい場合、即ち、(Wmax−Wmin)がリバウンド判定基準((WAVR*X)以上か否か)を充足すると判定した場合(ステップS204でYes)は、リバウンドの発生が予測されるものとして、制御部101は、表示部103にリバウンドの発生を警告する警告メッセージを表示させる(ステップS205)。なお、表示部103における警告メッセージを表示する報知に限定されるものではない。この他にも、例えば、報知手段としてのスピーカー(図示せず)を用いて、警告メッセージを音声により発する報知を実行してもよい。
一方、変動幅が小さい場合、即ち、(Wmax−Wmin)がリバウンド判定基準((WAVR*X)以上か否か)を充足しないと判定した場合(ステップS204でNo)は、リバウンドの発生の可能性は低いものとして、制御部101は、表示部103に警告メッセージを表示させることなく、通常モードを継続するためにステップS101へ戻る。
例えば、X=5%と設定されており、64kg(Wmax)から60kg(Wmin)まで1週間内で体重を減量し、1週間の体重の平均値が62kgであった場合、式(4)の左辺は、Wmax−Wmin=4kg、右辺は、WAVR×X=3.1kgとなり、1週間の変動幅の方が大きいので、リバウンドの危険性があるものとして、S205において警告メッセージが表示されることとなる。
[停滞期モード]
続いて、停滞期測定モードについて、図4を参照しつつ説明する。図4は、停滞期モードにおける処理を示すフローチャートである。
図2の停滞期判定処理により停滞期であることを検知した場合(図2のステップS106)、制御部101は、記憶部105に保存されたm日前の体重Wm(kg)、及び、m+1日前の体重Wm+1(kg)を参照する(ステップS301)。ここで、mは正の整数であって初期値は0である。
制御部101は、体重(生体データ)の変化が停滞傾向を開始した日(図5のポイントP2参照)を検出するために、m日前の体重Wmと、m+1日前の体重Wm+1と、の差の絶対値(|Wm+1−Wm|)が、閾値pよりも大きいか否かを判定する(ステップS302)。即ち、1日でp(kg)以上の体重変化があった日を、当日から1日ずつ過去の体重データを遡って検出する。
ここで、閾値pは、利用者の年齢及び/又は性別に対応した所定の数値である。即ち、記憶部105には、利用者の年齢及び/又は性別を入力することにより閾値pが一義的に決定されるテーブル化されたデータベースを有している。制御部101は、初期設定時に予め入力されている利用者の年齢及び/又は性別を、前記データベースに適用し、この利用者の年齢及び/又は性別に対応した閾値pを決定して、このように決定された閾値pを用いて、ステップS302の判断を行う。なお、閾値pが一義的に定まるテーブル化されたデータベースは、年齢及び/又は性別ごとに不特定多数の被験者から十分な量のサンプルデータを収集した統計データに基づいて、工場出荷時等に設定しておく。
前記差の絶対値(|Wm+1−Wm|)が、閾値p以下である場合(ステップS302でNo)は、制御部101は、mをm+1に置き換えて(ステップS303)、さらに、1日ずつ遡った体重を参照して(ステップS302)、同様の判定(ステップS302)を行う。
前記差の絶対値(|Wm+1−Wm|)が、閾値pよりも大きい場合(ステップS302でYes)は、制御部101は、m日前を、体重(生体データ)の変化が停滞傾向を開始した日(停滞期開始日)として特定する(ステップS304)。
次に、制御部101は、記憶部105に保存されたn日前の体重Wn(kg)、及び、n+1日前の体重データWn+1(kg)を参照する(ステップS305)。ここで、nの初期値は、これまでのステップにより最後にインクリメントされたmの値である。
制御部101は、体重(生体データ)の値が減少傾向を示し始めた日(図5のポイントP1参照)を検出するために、n日前の体重データWnと、n+1日前の体重データWn+1と、が「Wn+1≧Wn」の関係を充足するかを判定する(ステップS306)。
「Wn+1≧Wn」の関係を充足する場合(ステップS302でYes)は、制御部101は、nをn+1に置き換えて(ステップS307)、さらに、1日ずつ遡った体重を参照して(ステップS305)、同様の判定(ステップS306)を行う。
「Wn+1≧Wn」の関係を充足しない場合(ステップS302でNo)は、制御部101は、n日前を、体重(生体データ)の値が減少傾向を示し始めた日(減少開始日)として特定する(ステップS308)。
次に、制御部101は、体重(生体データ)の値が減少傾向を示し始めた日(ポイントP1)から体重の変化が停滞傾向を開始した日(ポイントP2)までの日数(n−m)(日)、及び、体重の値が減少傾向を示し始めた日の体重(W(n−m))と体重の変化が停滞傾向を開始した日の体重(Wm)との変化量(ΔW)(kg)、に基づいて、停滞期の残り期間を判定する。
本実施形態においては、まず、制御部101は、前記日数(n−m)と前記変化量(ΔW)との傾きa(図5参照)を、次式(5)によって演算する(ステップS309)。
a=ΔW/(n−m) (5)
次に、制御部101は、ステップS309で演算された、体重減少時における体重推移の傾きaに基づいて、この傾きaに対応する停滞期の期間Tを決定する(ステップS310)。
ここで、図5を参照して、体重推移の傾きa及び停滞期期間T1及びT2について説明する。図5は、減量中の利用者の体重の推移の例を示すグラフであり、横軸は経過日数(単位:日)、縦軸は体重(単位:kg)である。図5において、実線L1は、実際の測定値を結んだ実測データ線、実線L2は、最小二乗法等によって、実線L1を平滑化した線である。図5に示すように、区間D1の体重減少区間の後は停滞期期間T1に入っており、また、区間D2の体重減少区間の後に停滞期期間T2に入っている。ここで、区間D1においては、日数n1及び体重の変化量ΔW1を上式(5)に適用すると、体重推移の傾きa1は、ΔW1/n1となる。また、区間D2においては、日数n2及び体重の変化量ΔW2を上式(5)に適用すると、体重推移の傾きa2は、ΔW2/n2となる。停滞期期間Tの長さは、直前の体重減少区間における体重推移の傾きaと比例関係が認められる。
そこで、ステップS310における、停滞期の期間Tの決定は、より具体的には、記憶部105に、体重推移の傾きaと、停滞期の期間Tとを関連付けたテーブル化されたデータベースを設けておき、制御部101は、前記ステップS309で演算された傾きaを、前記データベースに適用することにより、停滞期の期間Tが決定されるようになっている。なお、停滞期の期間Tに関する前記データベースは、不特定多数の被験者から十分な量のサンプルデータを収集した統計データに基づいて、工場出荷時等に設定しておく。
停滞期の期間Tは、直前の体重減少区間における体重推移の傾きaとの比例関係に加えて、その他の項目、例えば性別、年齢、体脂肪率との関係も考慮して決定されるようなデータベースを用いると、より好ましい。性別との関係では、女性の方が停滞期の期間は長くなりやすい傾向があり、また、年齢との関係では、年齢が高いほど期間が長くなりやすく、さらに、体脂肪率との関係では、体脂肪率が高いほど停滞期の期間が長くなりやすいからである。
ここで、制御部101(判定手段)は、入力手段である通信部107や操作部102から入力された消費エネルギーが、前回入力された消費エネルギーよりも大きい場合には、停滞傾向を開始した日から判定当日までの経過日数を、停滞期の残り期間から差し引いた期間、を停滞期の残り期間と判定する構成としてもよい。より具体的には、図4のステップS311乃至ステップS320のように処理を実行するようにする。
制御部101は、活動量計200で測定された、利用者の当日の消費エネルギーJ(kcal)のデータが入力されたか否かを確認する(ステップS311)。消費エネルギーJ(kcal)のデータが入力された場合(ステップS311でYes)、過去に入力された消費エネルギーのデータのうち、直近の消費エネルギーJpast1のデータが記憶部105にあるか否かを確認し(ステップS312)、消費エネルギーJpast1のデータがあれば(ステップS312でYes)、その消費エネルギーJpast1のデータが入力された日から、所定期間(例えば7日間)が経過しているか否かを判定する(ステップS313)。前回の入力時から相当期間が経過している場合には、停滞期の予測に信頼性が低下するためである。所定期間が経過していなければ(ステップS313でNo)、当日の消費エネルギーJと、前回入力された消費エネルギーエネルギーJpast1とが次式(6)の関係を充足するか否かを判定する(ステップS314)。
J>Jpast1×(1−Y) (6)
ここで、Yは、日内変動値から定める数値(%)である。利用者が一日の中で、測定するタイミング、例えば食事前と後などで、基礎代謝の測定結果に差が生じてしまうため、その差を補正するための値である。
当日の消費エネルギーJと、前回入力された消費エネルギーエネルギーJpast1とが、式(6)の関係を充足する場合は(ステップS314でYes)、制御部101は、消費エネルギーが十分増加しており、減量のための代謝量が多く、停滞期の終了が近いと推定できるため、次式(7)により、停滞期の期間Tから停滞期中の経過日数tを差し引いて、停滞期の残り日数Texpを演算する(ステップS315)。
T−t=Texp (7)
ここで、tは停滞期中の経過日数である。
制御部101は、停滞期の期間の予測として、前記演算された停滞期の残り日数Texpを、表示部103に表示させる(ステップS316)。表示部103は、Texpに付加して、メッセージ、イラスト、及び/又は、グラフなどを表示するようにしてもよい。例えば「あと約Texp日で停滞期を抜けます」と表示する。なお、この他にも、例えば、報知手段としてのスピーカー(図示せず)を用いて、メッセージを音声により発して報知を実行してもよい。
一方、当日の消費エネルギーJと、前回入力された消費エネルギーエネルギーJpastとが、式(6)の関係を充足しない場合は(ステップS314でNo)、制御部101は、消費エネルギーが増加していないことから、代謝量が少なく、停滞期の終了は未だである推定できるため、ステップS310で決定した停滞期の期間Tを、停滞期の残り日数Texpと決定し(ステップS317)、停滞期の期間の予測として、この停滞期の残り日数Texpを、表示部103に表示させる(ステップS316)。
また、消費エネルギーJpast1のデータがない場合(ステップS312でNo)、及び、消費エネルギーJpast1のデータが入力された日から、所定期間が経過している場合(ステップS313でYes)についても、ステップS310で決定した停滞期の期間Tを、停滞期の残り日数Texpと決定し(ステップS317)、停滞期の期間の予測として、この停滞期の残り日数Texpを、表示部103に表示させる(ステップS316)。
当日の消費エネルギーJのデータの入力がなかった場合(ステップS311でNo)、過去に入力された消費エネルギーのデータのうち、直近の消費エネルギーJpast1のデータ、及び、その次に新しい消費エネルギーJpast2のデータ、が記憶部105にあるか否かを確認し(ステップS318)、消費エネルギーJpast1及び消費エネルギーJpast2のデータがあれば(ステップS318でYes)、その消費エネルギーJpast1及び消費エネルギーJpast2のデータが入力された日から、所定期間(例えば7日間)が経過しているか否かを判定する(ステップS319)。所定期間が経過していなければ(ステップS319でNo)、消費エネルギーJpast1と消費エネルギーJpast2とが次式(8)の関係を充足するか否かを判定する(ステップS320)。
Jpast1>Jpast2×(1−Y) (8)
ここで、Yは、前記式(6)と同様、日内変動値から定める数値(%)である。
消費エネルギーJpast1と消費エネルギーJpast2とが、式(8)の関係を充足する場合は(ステップS320でYes)、制御部101は、前記式(7)により、停滞期の期間Tから停滞期中の経過日数tを差し引いて、停滞期の残り日数Texpを演算する(ステップS315)。
一方、消費エネルギーJpast1と消費エネルギーJpast2とが、式(8)の関係を充足しない場合は(ステップS320でNo)、制御部101は、ステップS310で決定した停滞期の期間Tを、停滞期の残り日数Texpと決定する(ステップS317)。消費エネルギーJpast1及び消費エネルギーJpast2のデータがない場合(ステップS318でNo)や、消費エネルギーJpast1及び消費エネルギーJpast2のデータが入力された日から、所定期間が経過している場合(ステップS319でYes)についても、ステップS310で決定した停滞期の期間Tを、停滞期の残り日数Texpと決定する(ステップS317)。
制御部101は、平均値WAVR2に対する平均値WAVR1の比率(WAVR1/WAVR2)が、次式(9)又は次式(10)に示す非停滞判定基準を充足することを、i日間連続して(所定回数連続して)検出したか否かに応じて、停滞期が終了したか否かを判定する(ステップS321)。平均値WAVR2に対する平均値WAVR1の比率(WAVR1/WAVR2)は、図2のステップS103及びステップS104で演算・記憶されているデータを記憶部105から読み出してもよいし、演算部106により演算させてもよい。
(WAVR1/WAVR2)<(1−k) (9)
又は
(1+k)<(WAVR1/WAVR2) (10)
ここで、kは、前述の式(3)に用いた停滞期判別値kと同様である。また、iは2以上の整数であり、例えば7と設定する。これにより、i日連続(即ち、i回連続)して、上記式(9)又は(10)を充足した否かを判別できるため、現時点においても停滞期にあるか否かを判断することが可能となる。
制御部101は、非停滞判定基準を充足することを、i日間連続して検出していないと判定した場合は(ステップS321でNo)、まだ停滞期の状態にあると判定し、停滞期モードを継続する。即ち、次の日の測定時は、利用者の体重Wdayを引き続き停滞期モードで測定及び保存(ステップS322)し、ステップS301から、上記と同様の処理を実行する。
一方、制御部101は、非停滞判定基準を充足することを、i日間連続して検出した場合は(ステップS321でYes)、停滞期は終了したと判定し、停滞期モードから通常モードに移行する。
[変形例1]
なお、上述した第1実施形態では、生体データとして利用者の体重を採用し、これに基づいて、体重の変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かの判定を実行する構成について説明した。従って、上述した第1実施形態のように必ずしも体組成計100として構成しなくてもよく、即ち、通電電極143、145、通電電極144、146、電流発生回路148、電圧測定回路149を有しない、体重計に適用することも可能である。
[変形例2]
上述した第1実施形態では、生体データとして利用者の体重を採用し、これに基づいて、体重の変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かの判定を実行する構成について説明したが、体重に代えて、又は体重に加えて、利用者の体脂肪率を生体データとして採用し、これに基づいて、体脂肪率の変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かの判定を実行する構成としてもよい。
[変形例3]
上述した第1実施形態では、利用者の体重の第2期間の平均値WAVR2に対する、第1期間の平均値WAVR1の比率(WAVR1/WAVR2)を演算し、この比率が、利用者の年齢及び/又は性別に対応した停滞判定基準を充足するか否かに応じて、生体データの変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、利用者の体重の第1期間の平均値WAVR1と第2期間の平均値WAVR2との差分(WAVR1−WAVR2)を演算し、この差分が、利用者の年齢及び/又は性別に対応した停滞判定基準を充足するか否かに応じて、生体データの変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する構成としてもよい。
この場合、図2のステップS105において、制御部101は、差分(WAVR1−WAVR2)が、次式(11)に示す停滞判定基準を充足するか否かに応じて、体重(生体データ)の変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定すればよい。
(1−k’)<(WAVR1−WAVR2)<(1+k’) (11)
ここで、停滞期判別値k’は、利用者の年齢及び/又は性別に対応した所定の数値であり、前述の式(3)における停滞期判別値kと同様にして決定されるようにすればよい。
同様に、図4のステップS321において、制御部101は、差分(WAVR1−WAVR2)が、次式(12)又は次式(13)に示す非停滞判定基準を充足することを、i日間連続して(所定回数連続して)検出したか否かに応じて、停滞期が終了したか否かを判定すればよい
(WAVR1−WAVR2)<(1−k’) (12)
又は
(1+k’)<(WAVR1−WAVR2) (13)
ここで、k’は、前述の式(11)に用いた停滞期判別値k’と同様である。
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)停滞期にあるか否かを判断する機能、及び、停滞期の残り期間の予測機能が備わっているため、利用者の減量に対するモチベーションを維持することができる。さらに、従来より的確な運動の計画を立てることができる。
例えば、同じ条件(例えば、強度、時間、回数、距離)で運動を行っていると、体が慣れてしまうため次第に体脂肪燃焼効率が低下してしまう。また、リバウンド防止のためには、停滞期中も運動を継続する必要がある。運動条件に変化をつけることにより、使われていない筋肉を使ったり、慣れてしまった条件よりも厳しい条件で筋肉を使うことができ、これによって代謝を活発化させて体脂肪燃焼を促すことができる。従って、停滞期の残り期間の予測結果を鑑みて、運動の計画を適切に変更することによって、より運動効果のある計画を立て、効率的な減量対策を採ることが可能となる。
(2)リバウンドリスクを知らせる機能が備わっているため、適切な運動計画を立てることができ、これによりリバウンドを防止しつつ停滞期を乗り切り、減量の成功率を高めることができる。
(3)体重又は体脂肪率の、第1期間と第2期間における変化を観察することにより、停滞期の検知や停滞期の期間の予測ができるため、複雑な処理が不要であり、処理を簡易化できる。
[第2実施形態:生体測定システム]
以下、図1を参照して、本発明に係る第2実施形態である生体測定システムについて説明する。
図1に示すように、生体測定システム10は、体組成計100と、体組成計100の通信部107を介して相互に通信可能に接続された端末機300と、を備える。生体測定システム10に用いる体組成計100は、上述の第1実施形態における体組成計100と概略同じ構成を有するため、その詳細な説明は省略する。
前記した第1実施形態における体組成計100には、測定手段、比率WAVR1/WAVR2を演算する演算手段、生体データの変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する判定手段、及び、利用者の消費エネルギーの値を入力可能な入力手段、の総てを備えるように構成した例を説明した。これに対して、第2実施形態における生体測定システム10に用いる体組成計100は主として測定手段として機能し、前記演算手段、判定手段、及び入力手段は、端末機300に備えられるものである。
第2実施形態における端末機300について、簡単に説明する。図1に示すように、端末機300は、制御部301と、操作部302と、表示部303と、記憶部305と、演算部306と、通信部307と、電源部308と、を備える。端末機300は、汎用のパーソナルコンピュータを用いることができ、特に、移動先で被測定者Pが使用することを考慮して、持ち運び可能なノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等の携帯端末機を用いてもよい。
制御部301は、各構成部材と電気的に接続されており、それぞれの動作を制御する。操作部302は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等で構成される入力手段であり、利用者は、生体測定システム10に関する各種設定、情報の入力等を行うことができるようになっている。表示部303は、例えば液晶ディスプレイであって、測定結果その他の情報を表示することができるようになっている。記憶部305は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ(いずれも図示せず。)によって構成される記憶手段であり、例えば、停滞判定基準(特に前述の式(3)に用いる停滞期判別値k)、リバウンド判定基準(特に前述の式(4)に用いる値X)、停滞期の期間T、及び日内変動値から定まる値Yに関する各データベース、過去に測定した体重(生体データ)、各種の閾値、利用者により入力された生体データ(例えば年齢、性別、身長、活動量計200で測定した消費エネルギーの値など)、及び各種プログラムの記憶などに用いることができる。演算部306は、制御部301による制御のもとで種々の演算処理を行うことが可能な演算手段である。通信部307は、他の機器、例えば図1における体組成計100や活動量計200との間で、情報の送受信が可能となっている。通信部307は、有線や無線(例えば、赤外線通信、Wi−Fi(登録商標)等)で通信可能な構成としてもよいし、USBメモリ等の別の記憶媒体を介して、送受信を可能とするコネクタとして構成してもよい。電源部308は、電池(バッテリー)などによって構成される電力供給手段であり、端末機300の各構成部材に、制御部301を介して電力を供給する。
第2実施形態における生体測定システム10においては、体組成計100のロードセル141と制御部101と演算部106とは、利用者の体重に関する生体データを測定可能な測定手段として構成され、また、ロードセル141と、通電電極143、145と、測定電極144、146と、電流発生回路148と、電圧測定回路149と、制御部101と、演算部106とは、利用者の体脂肪率に関する生体データを測定可能な測定手段として構成されるものであり、少なくともいずれかの測定手段を備えるものであればよい。
第2実施形態における生体測定システム10においては、端末機300の制御部301は、生体データの変化が停滞傾向を示す停滞期にあるか否かを判定する判定手段、生体データがリバウンドしやすい状態か否かを判定する判定手段、停滞期の残り期間を判定する判定手段、停滞期の終了を判定する判定手段、として構成される。また、端末機300の制御部301は、通信部307又は操作部303(入力手段)から入力された、判定を実行する日において消費した利用者の消費エネルギーが、前回入力された消費エネルギーよりも大きい場合には、停滞傾向を開始した日から判定当日までの経過日数を、停滞期の残り期間から差し引いた期間、を停滞期の残り期間と判定する判定手段、として構成される。
従って、体組成計100で測定された利用者の生体データ(体重又は体脂肪率)や、活動量計200で測定された利用者の消費エネルギーのデータを、端末機300に入力することにより、端末機300において、図2乃至図4に示す処理と同様の処理を実行することができる。即ち、端末機300において、停滞期にあるか否かを判断する機能、リバウンドリスクを知らせる機能、及び、停滞期の残り期間の予測機能、を実行することができるようになっている。
第2実施形態による生体測定システム10によっても、第1実施形態による体組成計100と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態による生体測定システム10によれば、利用者は、端末機300に対して上記処理に必要なプログラム(アプリケーション)をインストールすれば、体組成計100は既存の一般的な体組成計(又は体重計)をそのまま利用することができ、簡便に生体測定システム10を構成することができる。
なお、第2実施形態による生体測定システム10においても、第1実施形態の変形例1乃至変形例3と同様の変形例を適用してもよいことは言うまでもない。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的又は本発明の思想の範囲内において改良又は変更が可能である。