JP2013198437A - 移植用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、移植の際に移植片を損傷することなく、移植部位に迅速に定着させることが可能な移植用シート、該移植用シートの製造方法、および該移植用シートを移植するためのデバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】
生体組織と接着する移植用シートであって、シート状移植片および該シート状移植片の外周に連接する接着部材を含み、該接着部材は細胞を実質的に含まず、1または2以上の物理化学的エネルギーを加えることにより生体組織への接着性が付与される、前記移植用シートにより、上記課題が解決された。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シート状移植片の移植の際に、移植片の質を劣化させることなく、簡便かつ効率的に移植することが可能な移植用シート、該移植用シートの製造方法、および該移植用シートを移植するためのデバイスに関する。
近年の心臓病に対する治療の革新的進歩にかかわらず、重症心不全に対する治療体系は未だ確立されていない。心不全の治療法としては、βブロッカーやACE阻害剤による内科治療が行われるが、これらの治療が奏功しないほど重症化した心不全には、補助人工心臓や心臓移植などの置換型治療、つまり外科治療が行われる。
このような外科治療の対象となる重症心不全には、進行した弁膜症や高度の心筋虚血に起因するもの、急性心筋梗塞やその合併症、急性心筋炎、虚血性心筋症(ICM)、拡張型心筋症(DCM)などによる慢性心不全やその急性憎悪など、多種多様の原因がある。
これらの原因と重症度に応じて弁形成術や置換術、冠動脈バイパス術、左室形成術、機械的補助循環などが適用される。
この中で、ICMやDCMによる高度の左室機能低下から心不全を来たしたものについては、心臓移植や人工心臓による置換型治療のみが有効な治療法とされてきた。しかしながら、これら重症心不全患者に対する置換型治療は、慢性的なドナー不足、継続的な免疫抑制の必要性、合併症の発症など解決すべき問題が多く、すべての重症心不全に対する普遍的な治療法とは言い難い。
その一方、最近、重症心不全治療の解決策として新しい再生医療の展開が不可欠と考えられている。
重症心筋梗塞等においては、心筋細胞が機能不全に陥り、さらに線維芽細胞の増殖、間質の線維化が進行し心不全を呈するようになる。心不全の進行に伴い、心筋細胞は傷害されてアポトーシスに陥るが、心筋細胞は殆ど細胞分裂をおこさないため、心筋細胞数は減少し心機能の低下もさらに進む。
このような重症心不全患者に対する心機能回復には細胞移植法が有用とされ、既に自己骨格筋芽細胞による臨床応用が開始されている。
近年、その一例として、組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いることによって、成体の心筋以外の部分に由来する細胞を含む心臓に適用可能な三次元に構成された細胞培養物と、その製造方法が提供された(特許文献1)。このようにして製造された細胞培養物を移植する際には、移植した細胞培養物を移植部位に確実に固定するために、例えばフィブリンゲルをスプレーするためのなどの器具が知られている(特許文献2)。
一方、生体組織に補綴器具を装着させたり、生体組織同士を接着させたりするために、コラーゲンを用いる方法が知られている。例えば特許文献3には、生体組織と接着させる、コラーゲンを有する医療器具や、生体組織と該医療器具または別の生体組織とを接着させるための医療器具などが開示されており、接着させるために熱エネルギーなどを加えることで、かかる生体組織と器具等を接着することが可能であることが開示されている。
特表2007−528755号公報 特開2010−082026号公報 特開平11−221221号公報
本発明の目的は、移植の際に移植片を損傷することなく、移植部位に迅速に定着させることが可能な移植用シート、該移植用シートの製造方法、および該移植用シートを移植するためのデバイスを提供することにある。
本発明者は、シート状細胞培養物などを移植することで組織再生を促す再生医療を研究する中で、特に心臓などの動きが激しい部位にシート状細胞培養物を移植する場合、移植片を速やかに定着させなければ移植片が移植部位から剥がれ落ちてしまい、施術の効果が得られないという新たな課題に直面した。本発明者はかかる課題を解決するため研究を進め、熱エネルギーを加えることでゾル状態からゲル状態に遷移するような物質を用いて、移植部位に適用したシート状細胞培養物の上からゲル状態の物質でコートした後ゾル化させることで、シート状細胞培養物の移植部位への定着性を上げることができることを見出した。
しかしながらかかる方法では移植片にも熱エネルギーが加わってしまうため、シート状細胞培養物中の細胞に過度な負荷が加わって細胞が死んでしまい、結果としてシート状細胞培養物の質を低下させてしまうというさらなる問題に直面した。そこで本発明者はさらに研究を進め、シート状細胞培養物に連接する接着部位を設けることで細胞への負荷を軽減させることができることを見出し、鋭意研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下に関する。
[1]生体組織と接着する移植用シートであって、シート状移植片および該シート状移植片の外周に連接する接着部材を含み、該接着部材は細胞を実質的に含まず、1または2以上の物理化学的エネルギーを加えることにより生体組織への接着性が付与される、前記移植用シート。
[2]シート状移植片が、細胞を含有するシート状構造物である、[1]の移植用シート。
[3]シート状移植片が、シート状細胞培養物である、[1]または[2]の移植用シート。
[4]物理化学的エネルギーが、熱、圧力および振動からなる群から選択されるものである、[1]〜[3]の移植用シート。
[5]さらに補強部材を含む、[1]〜[4]の移植用シート。
[6]シート状移植片の周囲に接着用ゲルを供与することを含む、生体組織と接着する移植用シートの製造方法。
[7]接着部材のみに、全体的かつ同時に物理化学的エネルギーを加える機構を有する、[1]〜[5]の移植用シートを生体組織に移植するためのデバイス。
本発明によれば、移植の際にシート状移植片を迅速に移植部位に定着させることができるため、移植後の移植片の剥落による施術失敗のリスクを大幅に低減でき、しかもシート状移植片の質を損なうことがない。特に速やかに、かつ移植片の質を損なうことなく十分に接着させることが可能であるため、移植部位が複雑な形状をしていたり、蠕動、拍動など活発に動いている部位に移植したりする場合に、特に効果を発揮する。したがって、施術そのものの負担が大きく、移植部位が複雑な形状をしている上に拍動している、心臓への移植の際に最も大きな効果を発揮する。
図1は、本発明の移植用シートの一例と、該移植用シートを移植するためのデバイスの一例を表す模式図である。この例において、前記移植用シートは、接着部材がシート状移植片の外周に連接されており、かかる接着部材を移植部位に接着させるため、環状のエネルギー伝達部を有するエネルギー供与部を移植用デバイスとして用いている。
本発明は、生体組織と接着する移植用シートであって、シート状移植片および該シート状移植片の外周に連接する接着部材を含み、該接着部材は細胞を実質的に含まず、1または2以上の物理化学的エネルギーを加えることにより生体組織への接着性が付与される、前記移植用シートに関する。
本発明において、「移植用シート」とは、移植に用いるシート形状をしたものを意味し、シート状の移植片のみならず、移植片を補強する部材、移植片を接着させるための部材、物理化学的エネルギーを供与するための部材など、移植用シートとしての治療効果を損なうものでない限り、いかなる部材をも含み得る。
本発明において、移植用シートを構成する部材のうち、生体内に移植されて組織再生の核となる部材を特に「シート状移植片」と称する。シート状移植片は、典型的には細胞を含有するシート状構造物であり、これに限定するものではないが、例えばシート状細胞培養物、シート状細胞懸濁ゲル、などが挙げられる。
本発明において、「接着部材」とは、移植用シートを構成する部材であって、シート状移植片を移植部位に接着させるための部材をいう。接着部材は、物理化学的エネルギーを加えられると性質が変化するような物質を含み、典型的にはゲル状組成物である。これに限定するものではないが、例えば熱を加えられてゲルからゾルへと変化するゼラチン等のゲル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、それらの共重合体等のガラス転移する生分解性ポリマー、物理化学的エネルギーで架橋部が破壊されるコラーゲンゲル、フィブリンゲルなどが挙げられる。
本発明において、「実質的に含まない」とは、構成成分として意図的に含まないことを意味し、典型的には検出可能な程度には含まないことをいう。部材を構成する際に不純物として混入してしまう程度にしか含まないことも本発明の「実質的に含まない」に包含される。したがって、本発明の接着部材は、細胞を含まないものを意図し、そのように理解されてよいが、接着部材を構築する際に不純物として細胞が混入してしまう程度は許容されることも意図されている。
本発明において、「物理化学的エネルギー」とは、物性を変化させ得るエネルギーを意味し、これに限定するものではないが、例えば熱エネルギー、力学的エネルギー、超音波エネルギー、電気的エネルギー、光エネルギー、化学反応によるエネルギー、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギーなどが挙げられる。供与の簡便さから、好ましくは熱エネルギー、力学的エネルギー、光エネルギー、超音波エネルギーなどであり、典型的には熱、圧力、振動、レーザー光、超音波などが挙げられる。
本発明の1つの側面において、本発明は移植用シートを提供する。本発明の移植用シートは、シート状移植片の外周に接着部材が連接された構成を含んでいる。そして、接着部材はシート状移植片より大きい平面的な広がりを有する。シート状移植片の外側にシート状移植片を含まず接着部材だけからなる部分を有する。そのため、接着部材だけからなる部分を移植部位と接着させることにより、接着部材によりシート状移植片を押さえつけることでシート状移植片の移植部位からの剥落を防ぐことが可能である。接着部材は、シート状移植片と分離不可能に形成されていてもよいし、一体として成型されてもよい。接着部材には、接着部材に物理化学的エネルギーを供与するための部材を含んでよい。このような部材は接着部材だけからなる部分に存在する。かかる部材としては、典型的には例えば電熱線などの熱エネルギーを供与する部材、振動子などの超音波エネルギーを供与する部材が挙げられる。これらの供与部材は、接着部材上にあってもよいし、接着部材に包埋されていてもよい。
移植用シートは、他にシート状移植片を補強するための部材を含んでもよい。シート状移植片を補強するための部材としては、これに限定するものではないが、例えばメッシュシート、親水性シート、疎水性シート、フィルム、不織布などの支持体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の高分子フィルム、例えばコラーゲン、フィブリンゲル、ゼラチンなどゲル層などが挙げられる。好ましくは、補強部材を構成する成分は、生体適合性のものである。補強部材がゲル層である場合、接着部材とは異なるゲルを用いてもよいが、簡便性の観点から、好ましくは接着部材に用いているゲルと同一のゲルを用いて成型され、より好ましくは補強部材が接着部材と一体として成型される。
本発明の移植用シートは、接着部材に物理化学的エネルギーを加えることにより接着部材が変性し、それにより生体組織との接着性が付与される。例えば接着部材がコラーゲンゲルを含む場合、熱や圧力、振動を加えることにより、コラーゲン線維束の架橋部がこれらのエネルギーにより破壊されることによりほぐれ、生体組織中に存在するコラーゲン線維束と再架橋を形成することにより、生体組織と接着する。このような接着部材は生体組織と接着するため、体内に配置したままにすることができる。
本発明の接着部材はシート状移植片の外周に連接されており、細胞が実質的に含まれないため、接着のために熱などの物理化学的エネルギーを供与してもシート状移植片中の細胞にダメージを与えることがない。したがってシート状移植片の質の低下を招来しない。また、シート状移植片へのダメージを考慮して接着処理する必要がないため、簡便かつ迅速に接着処理を行うことができる。
本発明の好ましい一態様において、シート状移植片が細胞を含有するシート状構造物である。上述の通り、「細胞を含有するシート状構造物」には、シート状細胞培養物、シート状細胞懸濁ゲルなどが含まれる。
本発明において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいい、典型的には1の細胞層からなるものであるが、2以上の細胞層から構成されるものも含む。細胞同士は、直接および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、好ましくは生体に由来しないスキャフォルドを含まない。
本発明において、「シート状細胞懸濁ゲル」とは、ゲルの中に細胞が包埋された三次元構造を有し、細胞間隙がゲルで充填されることにより、細胞同士が三次元的に分散包埋された構造体であって、シート状の形状を有するものを意味する。かかるシート状細胞懸濁ゲルを構成するゲルには、本発明の接着部材に用いることができるゲルを同様に用いることができる。また、接着部材に懸濁した細胞が混入しない限り、接着部材と一体としてシート状細胞懸濁ゲルを成型してもよい。
細胞は、細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどが含まれる。また、シート状細胞培養物を形成し得る任意の細胞を用いることができ、かかる細胞の例としては、これに限定するものではないが、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞)、心筋細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、滑膜細胞、胚性幹細胞、上皮細胞、内皮細胞、iPS細胞由来の細胞などが含まれる。これらのうち、本発明においては、単層の細胞培養物を形成するもの、例えば、筋芽細胞などが好ましい。また、シート状細胞培養物の形成に用いる細胞は1種類のみであってもよいが、2種類以上の細胞を用いることもできる。本発明の好ましい態様において、細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の比率(純度)は、細胞培養物製造終了時において、65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
本発明のシート状移植片として、効果が十分確認されていること、製造や使用の技術がある程度確立していることなどの観点から、好ましくはシート状細胞培養物である。
本発明の接着部材は、生体毒性を有さず、物理化学的エネルギーによって変性して生体接着性を発揮する物質であればいかなるものでも含み得る。物理化学的エネルギーによって変性して生体接着性を発揮する物質としては、典型的には液体状態とゲル状態とに可逆的に変化するゲルである。かかるゲルとしては、これに限定するものではないが、例えば熱を加えられてゲルからゾルへと変化するゼラチン等のゲル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、それらの共重合体等のガラス転移する生分解性ポリマー、物理化学的エネルギーで架橋部が破壊されるコラーゲンゲル、フィブリンゲルなどが挙げられる。中でも生体組織に多く存在するなどの観点から、好ましくはコラーゲンゲルである。
本発明に用いられる物理化学的エネルギーとしては、接着部材に含まれる物質を変性し得るものであれば何でもよいが、典型的には形態を変化させるエネルギーである。固体またはゲル状の物質を形態変化させるためのエネルギーとしては分子の結晶構造を緩め得るエネルギーであれば何でもよいが、典型的には熱エネルギー、光エネルギー、電気的エネルギー、超音波エネルギー、力学的エネルギーなどである。さらに供与の簡便性などの観点から、より好ましくは熱エネルギー、力学的エネルギーなどである。中でも熱、圧力、振動などが簡便で好ましい。
上述の通り、本発明の移植用シートは補強部材を含んでよい。補強部材は、典型的には支持体、ゲル層、高分子フィルムなどである。支持体や高分子フィルムとしては、当該技術分野において通常用いられているものを用いることができ、これに限定するものではないが、上記接着部材において用いることができる支持体や高分子フィルムと同様のものが用いられ得る。補強部材がゲル層の場合、生体適合性のゲルであれば何でもよく、好ましくは上記接着部材において用いることができるゲルと同様のゲルを用いることができる。補強部材は好ましくは移植部位への接触面とは逆側の面に存在する。
本発明の別の側面において、本発明は移植用シートの製造方法を提供する。本発明の移植用シートの製造方法は、シート状移植片の周囲に接着用ゲルを供与する工程を含む。かかる工程により、シート状移植片の外周に連接した、細胞を実質的に含まない接触部材を形成することができる。このとき供与するゲルの量を調節することで、例えば補強部材としてのゲル層を一体として形成することも可能である。接着用ゲルとしては、上記本発明の移植用シートの接着部材として用いることができるゲルと同じゲルを用いることができる。
また、本発明の製造方法は、さらに他の部材を供与する工程を含んでもよい。これに限定するものではないが、例えば補強部材として支持体を供与する工程、熱供与部材として電熱線を接着部材に包埋する工程、などを含み得る。
本発明の別の一態様において、上記移植用シートを移植するためのデバイスを提供する。本態様において、「移植用シートを移植するためのデバイス」とは、本発明の移植用シートが有する接着部材に、物理化学的エネルギーを供与することができるデバイスを意味する。したがって例えば電気メスやレーザーなど、狭い領域にピンポイントにエネルギーを供与することができるデバイスを含み得る。しかしながら、本発明の移植用シートは、シート状移植片の外周に接着部分を有するため、好ましくは接着部材のみに、全体的かつ同時に物理化学的エネルギーを加えることができるデバイスである。
本発明の接着部材は、シート状移植片の外周に連接するように形成されているため、シート状移植片の外周を取り囲むように形成されている。したがって、シート状移植片の外側であって接着部材の領域内を、例えば環状にシート状移植片を取り囲むようにエネルギーを供与することで、簡便に生体組織と接着させることが可能である。したがって、本態様において、「接着部材のみに、全体的かつ同時に物理化学的エネルギーを加える」とは、前記のようにシート状移植片を取り囲むように、同時に接着部材にエネルギーを供与することを意味する。このようなデバイスを用いて本発明の移植用シートを移植することにより、さらに簡便かつ迅速に本発明の移植用シートを移植することが可能となる。
以下に本発明の具体的な態様を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
実施例1:シート状コラーゲンゲルの作成
ハンクス平衡塩(Life Technologies Japan Ltd.)1mlに、1MのHepes(pH7.4)を0.1mL、1MのNaHCO水溶液を0.1mL、蒸留水を0.8mL、を氷水浴中で加え、最後にAteloCell(商標)酸性溶液I-PC(0.5%)を加えた。この調製液をシャーレに適量入れて風乾し、シート状コラーゲンゲルを回収した。
実施例2:熱によるコラーゲンゲルの接着
温度制御された加熱プレート上で、実施例1で得たシート状コラーゲンゲルをウシ摘出心臓表面と重ね合わせ、接着させた。結果は、60〜140℃において、数秒〜数十秒で接着させることができることが確認された。
実施例3:超音波メスによるコラーゲンゲルの接着
超音波メス(ソノペット、ミワテック社製)を使用して、実施例1で得たシート状コラーゲンゲルをウシ摘出心臓表面にのせたシート状細胞培養物(比較例1)の上に重ね合わせ、接着させた。その結果、100〜120度で数十秒〜数分でシート状細胞培養物と共にシート状コラーゲンゲルをウシ摘出心臓表面に接着させることができることが確認された。
参考例1:シート状細胞培養物の作製
20%ヒト血清を含有するDMEM/F12培地(Invitrogen製)を、3.5cm UpCell(登録商標)dish温度応答性培養皿(セルシード社製)に0.8mL添加し、37℃、5%CO濃度の条件で培養を行った。7時間後にピペッティングにより除去し、20%ヒト血清含有DMEM/F12培地1.66mLに懸濁した9.3×10個のヒト骨格筋芽細胞を播種した。播種後、37℃、5%CO濃度の条件で24時間の培養を行い、培養皿から剥離することにより、シート状細胞培養物(直径約10mm、厚さ400〜470μm)を作製した。
本発明によれば、シート状移植片を、その治療効果を損なうことなく移植することが可能である。また、移植部位の形状が複雑であったり、蠕動、拍動などによって動きが激しい部位であったりしても、迅速かつ簡便に移植することが可能であり、特に心臓などの部位への移植において高い効果を発揮する。
1 エネルギー伝達部
2 接着部材
3 エネルギー供与部
4 シート状移植片
5 移植部位

Claims (7)

  1. 生体組織と接着する移植用シートであって、シート状移植片および該シート状移植片の外周に連接する接着部材を含み、該接着部材は細胞を実質的に含まず、1または2以上の物理化学的エネルギーを加えることにより生体組織への接着性が付与される、前記移植用シート。
  2. シート状移植片が、細胞を含有するシート状構造物である、請求項1に記載の移植用シート。
  3. シート状移植片が、シート状細胞培養物である、請求項1または2に記載の移植用シート。
  4. 物理化学的エネルギーが、熱、圧力および振動からなる群から選択されるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の移植用シート。
  5. さらに補強部材を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の移植用シート。
  6. シート状移植片の周囲に接着用ゲルを供与することを含む、生体組織と接着する移植用シートの製造方法。
  7. 接着部材のみに、全体的かつ同時に物理化学的エネルギーを加える機構を有する、請求項1〜5に記載の移植用シートを生体組織に移植するためのデバイス。
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