JP2013198425A - オリゴヌクレオチドの製造方法 - Google Patents

オリゴヌクレオチドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オリゴヌクレオチドの自動合成機にも適用可能であり、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの製造方法を提供すること。
【解決手段】ホスホアミダイド法によるオリゴヌクレオチドの合成手順において、亜リン酸部位に結合された保護基の異なる少なくとも二系統のホスホアミダイド化合物を使用し、その一の系統のホスホアミダイド化合物として亜リン酸保護基がジオキソレノン骨格を有する置換基であるものを使用する。これにより、ホスホアミダイド法によるオリゴヌクレオチドの合成手順におけるヨウ素酸化工程で、上記一の系統のホスホアミダイド化合物由来のリン酸のみが脱保護されてホスホジエステル構造となり、他の系統のホスホアミダイド化合物由来のリン酸は脱保護を受けずにホスホトリエステル構造となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、オリゴヌクレオチドの製造方法に関し、さらに詳しくは、オリゴヌクレオチド鎖の中にホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの製造方法に関する。
今日、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)といった核酸の合成法は確立されており、短鎖の核酸であるオリゴヌクレオチドの自動合成機を用いた合成も行われている。こうして得られた合成オリゴヌクレオチドは、生命科学研究や医療診断等のために日常的に使用されている。このような合成オリゴヌクレオチドの有用な用途の一つに、核酸医薬がある。
核酸医薬とは、合成オリゴヌクレオチドより構成される薬物であり、細胞の代謝経路を阻害することで治療効果を得るものである。このような核酸医薬を説明するための一例として、アンチセンス法(非特許文献1を参照。)を説明する。アンチセンス法では、疾患の原因となるタンパク質の合成を阻害するために、このタンパク質をコードする遺伝子から転写されたmRNAを標的とする。この場合、標的となるmRNAに相補的なオリゴヌクレオチドを細胞外から導入し、当該オリゴヌクレオチドとmRNAとの間で二重鎖を形成させることでmRNAからタンパク質への翻訳過程を阻害する。
上記のような作用を発現させるためには、核酸医薬となるオリゴヌクレオチドが細胞膜を通過して細胞内に到達することが必要である。このような手段の一つとして、細胞膜透過性を有するキャリア粒子の内部にオリゴヌクレオチドを取り込ませ、当該キャリアごとオリゴヌクレオチドを細胞内に送り込む方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007−106740号公報
A.M.Belikova,V.F.Zarytova,N.I.Grinrva,Tetrahedron Lett.,1967,3557−3562
オリゴヌクレオチドを細胞内に送り込む場合、上記のように適切なキャリアを使用する方法もあるが、そのようなキャリアを使用せずにオリゴヌクレオチド自体に細胞膜透過性を付与することができれば、複雑なキャリアを設計する必要がなくなるので理想的である。この場合、核酸医薬として用いるオリゴヌクレオチドには、細胞膜透過性を付与する必要がある。しかしながら、下記式(3)で表されるように、オリゴヌクレオチドは、負電荷を持つホスホジエステル構造が連続したポリアニオン構造を有するため、疎水性を有する脂質である細胞膜を透過しない。このため、下記式(4)で表されるように、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル構造に適切な修飾を行うことで、当該ホスホジエステル構造の全てをホスホトリエステル構造に変換し、負電荷を持たないオリゴヌクレオチドとすることが考えられる。このようなオリゴヌクレオチドであれば、疎水性を有する細胞膜を透過することが可能になる。
しかしながら、核酸医薬によるタンパク質の合成過程の阻害効果は、上記のように標的となるmRNAとオリゴヌクレオチドとが結合して二重鎖を形成したあと、当該mRNAが細胞内のヌクレアーゼ(RNase H)により分解されることでより一層高まるとされている。このような観点からは、形成された二重鎖がRNase Hの良好な基質となる必要があり、そのためには核酸医薬となるオリゴヌクレオチドがなるべく天然のオリゴヌクレオチドに似た構造を備えていなければならない。そのため、核酸医薬となるオリゴヌクレオチドにおけるリン酸部位は、ホスホトリエステル構造でなく、天然と同様のホスホジエステル構造を備えるものであることが望ましい。また、医薬用途を考えた場合、核酸医薬となるオリゴヌクレオチドにはある程度の水溶性が必要となるが、全てのリン酸部位が疎水性の高いホスホトリエステル構造になると、必要な水溶性が維持できないことになる。このような観点からも、核酸医薬となるオリゴヌクレオチドにおけるリン酸部位は、天然と同様のホスホジエステル構造を備えるものであることが望ましい。
すなわち、細胞内にオリゴヌクレオチドを送り込むという観点からはホスホトリエステル構造を有するオリゴヌクレオチドが好ましいが、核酸医薬としての有効性を高めるという観点からはホスホジエステル構造を有するオリゴヌクレオチドが好ましいというパラドックスが生じることになる。
上述のパラドックスを解決するための手段の一つとして、細胞内に存在する酵素によって容易に切断されるような置換基でオリゴヌクレオチドのホスホジエステル構造を修飾することが考えられるが、そのような設計を行うことは容易なことではない。また、上述のパラドックスを解決するための別の手段として、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを併せ持つオリゴヌクレオチドを核酸医薬として用いることが考えられる。これならば、なるべく天然に近い構造を備えつつ、細胞膜を透過できる程度の疎水性を備えたオリゴヌクレオチドが得られるので、上記パラドックスを解決できる可能性が高い。しかしながら、現在の自動合成機で一般に用いられているオリゴヌクレオチドの合成プロセスでは、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを併せ持つオリゴヌクレオチドを合成することはできない。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、オリゴヌクレオチドの自動合成機にも適用可能であり、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、オリゴヌクレオチドの合成において、鎖伸長のために使用されるホスホアミダイド化合物として亜リン酸基に含まれるOH基に特定の保護基を付したものと一般の保護基を付したものとの二系統を組み合わせてオリゴヌクレオチドを合成する過程で、亜リン酸基の酸化工程で使用されるヨウ素の作用により上記特定の保護基を脱離させることができることを見出した。本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものであり、以下のものを提供する。
(1)本発明は、ホスホアミダイド化合物の亜リン酸基に含まれる2つのOH基の一方にヌクレオシドが結合されるとともに他方に第一保護基が結合され、さらに前記ヌクレオシドの5’−水酸基に第二保護基が結合されたホスホアミダイド化合物を使用するオリゴヌクレオチドの製造方法であって、固相担体にオリゴヌクレオチドを伸長させるためのリンカーを結合させた後に、当該リンカーの末端に、オリゴヌクレオチドの配列における一番目の塩基に対応し、5’−水酸基に第二保護基を有するヌクレオシドを結合させる初期伸長工程と、伸長しているヌクレオチド鎖の5’−末端の水酸基に結合した第二保護基を脱離させて、新たな伸長末端となる5’−末端の水酸基を出現させる第二保護基脱離工程と、前記第二保護基脱離工程により出現した伸長末端に、所望の塩基に対応する前記ホスホアミダイド化合物を作用させて前記所望の塩基に対応するヌクレオチド鎖を伸長させる伸長工程と、前記伸長工程により伸長されたヌクレオチドの末端に位置する亜リン酸基をヨウ素で酸化してリン酸基に変換する酸化工程と、を備え、前記第二保護基脱離工程から前記酸化工程までを繰り返し実行することによりヌクレオチド鎖が伸長され、前記ホスホアミダイド化合物には第一保護基の異なる少なくとも二系統の化合物が含まれ、その一の系統のホスホアミダイド化合物における前記第一保護基が下記一般式(1)で表されるものであることにより、当該下記一般式(1)で表される第一保護基のみが前記酸化工程にてヨウ素の作用を受けて脱離されることを特徴とする、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの製造方法である。
(上記一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基である。また、上記一般式(1)で表される基は、波線を付した単結合により、酸素原子を介して亜リン酸基のリン原子に結合される。)
(2)上記一般式(1)で表される第一保護基を有するホスホアミダイド化合物が、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
(上記一般式(2)において、R〜Rは上記一般式(1)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、Nuはヌクレオシドの3’−末端に位置する水酸基から水素原子を除いた基を表す。)
(3)上記リンカーが、塩基性化合物に曝露されるのとは異なる手段により、生成したオリゴヌクレオチドを脱離させることが好ましい。
(4)上記リンカーが、光の照射を受けることにより、生成したオリゴヌクレオチドを脱離させることが好ましい。
(5)上記ホスホアミダイド化合物には二系統の化合物が含まれ、他の系統のホスホアミダイド化合物における保護基がメチル基であることが好ましい。
本発明によれば、オリゴヌクレオチドの自動合成機にも適用可能であり、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの製造方法が提供される。
図1は、オリゴヌクレオチドの自動合成機における合成手法として一般的に使用されるホスホアミダイド法の一例を示すフロー図である。
以下、本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法についての一実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法は、アミダイド法が適用されるオリゴヌクレオチドの自動合成機にて好ましく適用され、下記式(5)に表されるようにホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドを与える。このヌクレオチドは、親水性であるホスホジエステル構造と疎水性であるホスホトリエステル構造とを併せ持つため、細胞膜透過性と溶解性とのバランスに優れる。また、このオリゴヌクレオチドは、天然のオリゴヌクレオチドと同様であるホスホジエステル構造をある程度備える。以上のことから、このヌクレオチドは、核酸医薬として好ましく使用される。なお、下記式(5)ではデオキシリボ核酸(DNA)の例を示したが、本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法はリボ核酸(RNA)にも適用可能である。また、下記式(5)では、ホスホトリエステル構造を形成させるために黒丸で表される「修飾基」を付しているが、この「修飾基」はリン酸又は亜リン酸部位に適用されるエステル保護基と同義のものであり、本発明ではこれら修飾基と保護基とを同義の用語として用いる。
本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法について説明するにあたり、まず、オリゴヌクレオチドの自動合成機における合成手法として一般的に使用されるホスホアミダイド法の一例について、図1を参照しながら概略説明する。図1は、オリゴヌクレオチドの自動合成機における合成手法として一般的に使用されるホスホアミダイド法の一例を示すフロー図である。
オリゴヌクレオチドの自動合成機において使用されるホスホアミダイド法は、固相法であり、固相である担体粒子の表面に、ホスホアミダイド化合物の縮合反応を利用してオリゴヌクレオチドを化学合成する方法である。この方法は、図1に一例を示すように、初期伸長工程(S1)、初期洗浄工程(S2)、第二保護基脱離工程(S3)、第一洗浄工程(S4)、伸長工程(S5)、第二洗浄工程(S6)、キャッピング工程(S7)、第三洗浄工程(S8)、酸化工程(S9)及び第四洗浄工程(S10)を備え、上記S3からS10までを繰り返し実行することにより、所望の長さをもつオリゴヌクレオチド鎖が担体表面に合成される。
初期伸長工程(S1)は、担体粒子の表面に設けられた活性基にオリゴヌクレオチドを伸長させるためのリンカーを結合させ、そのリンカーの末端に、オリゴヌクレオチドの配列における一番目の塩基に対応し、5’−水酸基に第二保護基を有するヌクレオシドを結合させる工程である。このような工程としては、(1)上記リンカーの先端に予めオリゴヌクレオチドの配列における一番目の塩基に対応するヌクレオシドを結合させた上で、当該リンカーを担体粒子の表面に結合させる方法と、(2)予め担体粒子の表面にリンカーを結合させた上で、オリゴヌクレオチドの配列における一番目の塩基に対応するホスホアミダイド化合物を上記リンカーに作用させて、上記リンカーの末端に一つ目のヌクレオチド鎖を伸長させる方法とが挙げられる。前者である(1)の方法によれば、リンカーと一番目のヌクレオシドとの間に亜リン酸部位が導入されないことになるし、後者である(2)の方法によれば、リンカーと一番目のヌクレオシドとの間に亜リン酸部位が導入されることになる。担体粒子としては、通常、多孔質ガラス粒子が用いられ、担体粒子の表面に設けられた活性基としては、一般にアミノ基が選択される。そして、そのような活性基を表面に有する担体粒子は市販されている。例えば、活性基としてアミノ基を有する担体粒子に末端カルボキシル基を有する化合物をリンカーとして組み合わせれば、担体粒子の表面に存在するアミノ基とリンカー末端のカルボキシル基との間でアミド結合が形成され、担体粒子の表面にリンカーが導入される。
上述の(1)の方法を採用する場合、リンカーの先端にヌクレオシドが結合されたものが市販されているので、それを用いて担体粒子にリンカー及びヌクレオシドを導入すればよい。担体粒子にリンカー及びヌクレオシドが導入された状態を示す化学式の一例を下記に示す。下記の化学式では、リンカーとしてコハク酸を用いた例を示している。なお、下記の化学式において黒丸で示したものは担体粒子である(以下、同様である)。
上述の(2)の方法を採用する場合、その化学反応式の一例を下記に示す。下記の化学反応式において、DMTrとは4,4’−ジメトキシトリチル保護基を表し、Lはリンカーである二価の基を表す(以下、同様である)。なお、各工程の一例として以下に示す化学反応式は、上述の(2)の方法をスタートとした場合に基づいている。上述の(1)の方法をスタートとした場合には、以下に示す化学反応式における、リンカーの先端に結合された亜リン酸部位を除いた形の化学反応式となる。
ホスホアミダイド化合物には、亜リン酸部位に第一保護基(Pro)が結合され、5’−水酸基には第二保護基(Pro)が結合されている。なお、上記化学反応式において、Bproとは、適切な保護基を有する核酸塩基である。一般に行われているホスホアミダイド法において第一保護基及び第二保護基は適宜選択されればよいが、第一保護基としてシアノエチル基を有し、第二保護基として4,4’−ジメトキシトリチル基を有するホスホアミダイド化合物を市販品として入手することができる。なお、本明細書において、亜リン酸又はリン酸に結合された保護基を上記のように第一保護基と呼び、5’−末端の水酸基に結合された保護基を上記のように第二保護基と呼ぶ。後述するが、本発明では、上記第一保護基として上記一般式(1)で表されるジオキソレノン骨格を有する保護基を使用することがポイントになる。
初期伸長工程(S1)を経た担体粒子は、アセトニトリル等の溶媒で洗浄される初期洗浄工程(S2)に付された後、第二保護基脱離工程(S3)に付される。
第二保護基脱離工程(S3)は、伸長しているヌクレオチド鎖の5’−末端の水酸基に付された第二保護基を脱離させる工程である。第二保護基を脱離させるには、トリクロロ酢酸等の酸性溶液を作用させればよい。この工程を経ることにより、新たな伸長末端となる5’−末端の水酸基が出現する。この工程における化学反応式の一例を下記に示す。
第二保護基脱離工程(S3)を経た担体粒子は、アセトニトリル等の溶媒で洗浄される第一洗浄工程(S4)に付された後、伸長工程(S5)に付される。
伸長工程(S5)は、第二保護基脱離工程(S3)により出現した伸長末端(すなわち5’−末端の水酸基)に、所望の塩基に対応するホスホアミダイド化合物を作用させて、ヌクレオチド鎖を伸長させる工程である。この工程では、第二保護基脱離工程(S3)において露出させた水酸基(伸長末端)とホスホアミダイド化合物との間で、テトラゾール等を触媒とした縮合反応をさせる。この工程で使用されるホスホアミダイド化合物は、初期伸長工程(S1)で使用されるホスホアミダイド化合物と同様な第一保護基(Pro)及び第二保護基(Pro)を備える。この工程における化学反応式の一例を下記に示す。
伸長工程(S5)を経た担体粒子は、アセトニトリル等の溶媒で洗浄される第二洗浄工程(S6)に付された後、キャッピング工程(S7)に付される。
キャッピング工程(S7)は、上記伸長工程(S5)で縮合反応しなかった水酸基(伸長末端)を無水酢酸等によりアセチル化して不活性化する工程である。キャッピング工程(S7)を経た担体粒子は、アセトニトリル等の溶媒で洗浄される第三洗浄工程(S8)に付された後、酸化工程(S9)に付される。
酸化工程(S9)は、亜リン酸部位を酸化してリン酸に変換する工程である。この工程を経ることにより、ホスホトリエステル構造が出現する。酸化にはヨウ素が使用される。この工程における化学反応式の一例を下記に示す。
酸化工程(S9)を経た担体粒子は、アセトニトリル等の溶媒で洗浄される第四洗浄工程(S10)に付される。その後、上記第二保護基脱離工程(S3)に戻り、オリゴヌクレオチド鎖が所望の長さになるまでS3〜S10を繰り返す。
オリゴヌクレオチド鎖が所望の長さになった後、合成されたオリゴヌクレオチドは、担体粒子の表面から脱離される。これをオリゴヌクレオチドの切り出しという。オリゴヌクレオチドの切り出しでは、濃アンモニア水等により塩基性条件とされ、リン酸エステル結合が加水分解される。その際、上記第一保護基も脱離し、ホスホトリエステル構造がホスホジエステル構造に変換される。この工程における化学反応式の一例を下記に示す。
以上が、オリゴヌクレオチドの自動合成機において通常使用されるホスホアミダイド法である。この方法によれば、最後に行われるオリゴヌクレオチドの切り出しの際の塩基性条件によってリン酸に結合していた第一保護基(Pro)が外れ、全てのホスホトリエステル構造がホストジエステル部位に変換される。こうして得られたオリゴヌクレオチドは、水系への溶解性には優れるが、疎水性である細胞膜を透過することができない。これに対して、本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法にて合成されるオリゴヌクレオチドは、上述のように、ホスホトリエステル構造とホスホジエステル構造とを併せ持つものである。以下、上記通常のホスホアミダイド法によるオリゴヌクレオチドの製造方法と、本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法との違いを中心に説明する。
本発明のオリゴヌクレオチドの製造方法でも、固相担体にリンカー及び一つ目のヌクレオシドを結合させた上で(すなわち上記S1及びS2工程を行った上で)、上記S3からS10の工程を繰り返してオリゴヌクレオチド鎖を伸長させ、オリゴヌクレオチド鎖が所望の長さとなった後にこれを固相担体から切り出す点は同じである。しかしながら、本発明は、亜リン酸部位に結合される保護基(すなわち第一保護基)として、特に、下記一般式(1)で表されるジオキソレノン骨格を有する置換基を備えたホスホアミダイド化合物を使用する点において、通常のホスホアミダイド法と大きく異なる。
(上記一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基である。また、上記一般式(1)で表される基は、波線を付した単結合により、酸素原子を介して亜リン酸基のリン原子に結合される。)
本発明者らは、オリゴヌクレオチドにおけるリン酸部位に結合させる保護基(すなわち第一保護基)として種々のものを検討する過程で、意外なことに、当該保護基としてジオキソレノン骨格を有する置換基を使用した場合、この保護基が上述の酸化工程(S9)で使用されるヨウ素の作用によって脱保護されることを見出した。通常であれば、リン酸部位に結合された第一保護基は、オリゴヌクレオチドの切り出しにおける塩基の作用により加水分解を受けて脱保護される。この場合、どのような置換基を第一保護基として使用しても一律に脱保護されてしまい、得られるオリゴヌクレオチドはホスホジエステル構造しか持たないものとなる。しかしながら、第一保護基としてジオキソレノン骨格を有する置換基を有するホスホアミダイド化合物と、第一保護基として従来と同様の置換基を有するホスホアミダイド化合物と、を含む少なくとも二系統のホスホアミダイド化合物を使用してオリゴヌクレオチドを合成することにより、上述の酸化工程(S9)にて、ジオキソレノン骨格を有する第一保護基のみが脱離される一方で、従来と同様の置換基である第一保護基は脱離されないことになる。その結果、オリゴヌクレオチドの切り出しを行う直前の状態において、当該オリゴヌクレオチド鎖は、脱保護されてホスホジエステル構造となったリン酸部位と、脱保護されずにホスホトリエステル構造のままのリン酸部位とを備えることとなる。あとは、脱保護されていない第一保護基が脱離しないように、塩基を使用せずにオリゴヌクレオチドの切り出しを行えばよいことになる。
本発明は、上記の知見によりなされたものであり、オリゴヌクレオチドを合成する際に使用されるホスホアミダイド化合物として第一保護基の異なる少なくとも二系統の化合物が使用され、その一の系統のホスホアミダイド化合物における第一保護基が上記一般式(1)で表されることにより、当該一般式(1)で表される第一保護基のみが酸化工程(S9)にてヨウ素の作用を受けて脱離されることを特徴とする。なお、本発明において、「系統」という用語は、第一保護基の異同を表すために用いられ、第二保護基が異なったり核酸塩基の種類が異なったりしたとしても、第一保護基が同じであればそれらは同じ系統のホスホアミダイド化合物として扱われる。本発明では、第一保護基として上記一般式(1)で表される置換基を有するホスホアミダイド化合物(一の系統のホスホアミダイド化合物)が必須として用いられ、これと少なくとも一つの他の系統のホスホアミダイド(他の系統のホスホアミダイド化合物)とが組み合わせられる。上記一の系統のホスホアミダイド化合物はオリゴヌクレオチドにおけるホスホジエステル構造を与え、上記他の系統のホスホアミダイド化合物はオリゴヌクレオチドにおけるホスホトリエステル構造を与える。
上記一の系統のホスホアミダイド化合物として、より具体的には下記一般式(2)の化合物を好ましく挙げることができる。
(上記一般式(2)において、R〜Rは上記一般式(1)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、Nuはヌクレオシドの3’−末端に位置する水酸基から水素原子を除いた基を表す。)
上記一般式(2)において、Nuの5’−水酸基には保護基が結合されている。この保護基は、上記第二保護基に対応するものであり、上述の第二保護基脱離工程(S3)にて酸により脱保護される。このような保護基としては、トリチル基やジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基(DMTr)等が例示される。
このようなホスホアミダイド化合物の一例として、より具体的には、下記式(2’)で表される化合物を挙げることができる。なお、下記式(2’)は、理解を助けるための一例として示されたものに過ぎず、本発明で使用されるホスホアミダイド化合物は下記式(2’)で表される化合物に限定されない。また、下記式(2’)では、上記一般式(2)においてNuで表されるヌクレオシドとしてチミジンが選択されているが、所望するヌクレオシドを適宜選択して用いることができる。また、そのヌクレオシドは、リボヌクレオシドであってもよいし、デオキシリボヌクレオシドであってもよい。
上記のホスホアミダイド化合物を合成するには、下記化学反応式に示すように、まず市販の化合物(6)を出発原料とし、N−ブロモスクシンイミド(NBS)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を作用させて4位ブロモメチル体(7)とした後でギ酸エステル体8に変換し、加水分解することでジオキソレノンアルコール(9)を得た上で、5’−水酸基が第二保護基(DMTr)で保護されたヌクレオシドにビス(ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィン及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を作用させ、次いで上記ジオキソレノンアルコール(9)を1H−テトラゾールの存在下で作用させればよい。なお、下記の化学反応式では、ヌクレオシドとしてチミジン(10)を用いた例を示しているが、他のヌクレオシドを用いた場合であっても同様の手順で合成することができる。
上記一の系統でない、他の系統のホスホアミダイド化合物としては、第一保護基として各種の置換基を有する従来公知のホスホアミダイド化合物を挙げることができる。このようなホスホアミダイド化合物は市販されており、その一例として下記のような化合物を挙げることができる。下記の例ではヌクレオシドとしてチミジンを有するものを挙げたが、ヌクレオシドは任意に選択される。これらの他の系統のホスホアミダイド化合物は、一系統又は二系統以上を組み合わせて用いることができる。
上記一の系統のホスホアミダイド化合物と、上記他の系統のホスホアミダイド化合物とを組み合わせる方法は任意である。このような方法として、上記S3からS10工程を繰り返し実行する際に、奇数回目の伸長工程(S5)にて上記一の系統のホスホアミダイド化合物を使用し、偶数回目の伸長工程(S5)にて上記他の系統のホスホアミダイド化合物を使用することを例示できるが、特に限定されない。
固相担体の表面で合成されたオリゴヌクレオチドは、親水性を有するホスホジエステル構造と疎水性を有するホスホトリエステル構造とを備えるものであるが、塩基性化合物に曝露されると上記「他の系統」のホスホアミダイド化合物を由来とする第一保護基が脱保護されて、全てのホスホトリエステル構造がホスホジエステル構造に変換される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドの合成方法では、塩基性化合物を使用するのとは異なる手段により、生成したオリゴヌクレオチドを固相担体の表面から脱離させるリンカーを使用することが好ましい。
このようなリンカーとしては、紫外光や可視光等の光の照射を受けることにより、生成したオリゴヌクレオチドを脱離させるものを好ましく例示することができる。光の照射を受けることにより、生成したオリゴヌクレオチドを脱離させるリンカーとしては、従来公知のものを適宜選択して用いることができるが、一例として、Tetrahedron Lett.,39,1998,4155−4158に記載されたものを挙げることができる。このリンカーを使用してオリゴヌクレオチドを合成した際における、オリゴヌクレオチドが固相表面から脱離される様子を下記化学反応式で示す。なお、下記化学反応式では、上記一の系統のホスホアミダイド化合物と、上記他の系統のホスホアミダイド化合物とが1:1で使用され、当該他の系統のホスホアミダイド化合物における第一保護基としてメチル基が使用された例を示す。
上記化学反応式により固相担体から切り出されたオリゴヌクレオチドは、親水性であるホスホジエステル構造と疎水性であるホスホトリエステル構造とを備えるので、良好な水溶性と細胞膜透過性とを兼ね備える。なお、上記のオリゴヌクレオチドでは、ホスホトリエステル構造を構成する第一保護基として立体的に小さなメチル基が使用されているため、天然のオリゴヌクレオチドに近い構造を備えており、核酸医薬としての一定の効果が期待できる。また、ホスホトリエステル構造を構成する第一保護基として細胞内に存在するエステラーゼ等の酵素の作用により脱離される置換基を使用すれば、細胞膜を透過して細胞内に入ったときに当該酵素の作用により天然型のオリゴヌクレオチドに変換されるので、核酸医薬としてなお一層の効果が期待できる。このような置換基としては、公知のものの中から適宜選択することが可能である。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[合成例1]4−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキソール−4−エン−2−オン(9)の合成
・4−ブロモメチル−5−メチル−1,3−ジオキソール−4−エン−2−オン(7)の合成
市販の4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−4−エン−2−オン(6)(5g、43.8mmol)を100mLの四塩化炭素に溶解させ、次いでこの溶液にN−ブロモスクシンイミド(NBS、8.59g、48.2mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、0.72g、4.38mmol)を順次加え、Ar雰囲気下、60℃で環流しながら3時間撹拌した。反応溶液を室温に戻した後、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、未精製の化合物(7)を黄色液体(10.7g、55.7mmol)として得た。
・4−ホルミロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキソール−4−エン−2−オン(8)の合成
化合物(7)(10.7g、55.7mmol)を20mLのアセトニトリルに溶解させ、ギ酸(3.57mL、94.6mmol)を加えた。反応溶液を0℃にした後、当該反応溶液にトリエチルアミン(11.6mL、83.5mmol)を滴下しながら加えた。反応溶液を室温に戻したとき結晶が析出したので、結晶が全て溶解するまでアセトニトリルを加えた。その後、3時間撹拌し、反応溶液に水及び酢酸エチルを加えて、飽和食塩水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、未精製の化合物(8)を黄色液体(5.76g、30.4mmol)として得た。
・4−ヒドロキシメチル−5−メチル−1,3−ジオキソール−4−エン−2−オン(9)の合成
化合物(8)(5.76g、30.4mmol)を52mLのメタノール:水=1:3(v/v)に溶解させた。ここに0.4mLの濃塩酸を加えて、室温で3時間撹拌した。メタノールを減圧下で留去して、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液で3回洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(9)を淡黄色液体(2.72g、20.9mmol、化合物(6)からの総収率48%)として得た。
化合物(9)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):2.15(s、3H、CH−),3.98−4.00(t,1H,J=5.8Hz,OH),4.39−4.40(d.2H,J=6.0Hz,CH
13C NMR(126MHz、CDCl)δ(ppm):9.02,52,6,77.2,137.3,153.1
[合成例2]ジオキセレノンを第一保護基として有するホスホアミダイド化合物(2’)の合成
・3’−O−{ビス(N,N,N’,N’−ジイソプロピルアミノ)ホスフィニル}−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン(11)の合成
市販の5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン(10)(1.75g、3.21mmol)を無水ピリジンで共沸脱水させ、さらに無水トルエンでピリジンを共沸除去した。次に、残渣を35mLの無水ジクロロメタンに溶解させ、次いでこの溶液に市販のN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、1.40mL、8.03mmol)及びビス(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスファン(1.37g、5.14mmol)を順次加え、Ar雰囲気下、室温で20分間撹拌した。反応終了後、綿栓濾過を行い、ジクロロメタンで分液ロートに洗い入れた。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(11)を白色泡状化合物(1.44g、1.86mmol、収率58%)として得た。
化合物(11)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):1.08−1.24(m,24H,イソプロピル基のCH),1.44(s,3H,5−CH),2.25−2.59(m,2H,2’,2’’−H),3.37−3.55(m,6H,5’,5’’−H,イソプロピル基のCH),3.77(s,6H,Ar−OCH),4.07(s,1H,4−H),4.49−4.66(m,1H,3’−H),6.48(dd,1H,J=5.75Hz,1’−H),6.82−6.84(t,4H,J=4.50Hz,Ar−H),7.21−7.68(m,9H,Ar−H),7.68(s,1H,6−H)
31P NMR(202MHz,CDCl)δ(ppm):116.5
・5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−O−{(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−エン−4−イル)メチル}−(N,N−ジイソプロピルアミノ)ホスフィニルチミジン(2’)の合成
化合物(11)(1.36g、1.76mmol)を20mLの無水ジクロロメタンに溶解させ、次いでこの溶液に上記化合物(9)の1Mジクロロメタン溶液(1.93mL、1.93mmol)及び1H−テトラゾール(83mg、0.99mmol)を順次加え、Ar雰囲気下、室温で4時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をGPC(溶媒:アセトニトリル)で精製し、化合物(2’)を白色泡状化合物(836mg、1.04mmol、収率59%)として得た。
化合物(2’)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):1.05−1.17(m,12H,イソプロピル基のCH),1.42(s,3H,5−CH),2.08(s,3H,ジオキソレノン−CH),2.26−2.59(m,2H,2’,2’’−H),3.22−3.60(m,4H,イソプロピル基のCH,5’,5’’−H),3.79(s,6H,Ar−OCH),4.13(s,2H,ジオキソレノン−CH−),4.28−4.44(m,1H,4’−H),4.59―4.64(m,1H,3’−H),6.37−6.42(m,1H,1’−H),6.82−6.85(m,4H,Ar−H),7.24−7.40(m,9H,Ar−H),7.60−7.64(q,1H,6−H)
31P NMR(202MHz,CDCl)δ(ppm):150.8
[合成例3]光切断型リンカー(15)の合成
・4−{4−[O−(4,4’−ジメトキシトリチル)]メチル−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ}酪酸エチルエステル(13)の合成
Tetrahedron,1996,52,3827−3840にて報告されている方法によりバニリンより合成した化合物(12)(618mg、2.06mmol)をピリジンで共沸脱水し、乾燥後12mLのピリジンに溶解させ、次いでこの溶液にDMTr−Cl(1.15g、3.41mmol)を加え、Ar雰囲気下、45分間撹拌した。エタノールを少量加えて反応を停止させた後、減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルに溶解させ、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(13)を黄色泡状化合物(1.12g、1.91mmol、収率88%)として得た。
化合物(13)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):1.24−1.28(m,3H,OEt−CH),2.12−2.19,2.54−2.55,3.92−4.11(t,2H,OBu−CH),3.78(s,9H,DMTr−CH,2−OMe−CH),4.66(s,2H,4−CH),6.82(m,15H,DMTr−H,3−H,6−H)
・4−{4−[O−(4,4’−ジメトキシトリチル)]メチル−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ}酪酸(14)の合成
化合物(13)(1.30g、2.16mmol)をジオキサン7.5mL、水2mL及びメタノール2mLの混合溶媒に溶解させ、次いでこの溶液にLiOH(184mg、4.31mmol)を加え、室温で7時間撹拌した後、減圧下で濃縮を行った。残渣に水20mLを加え、1M硫酸を用いてpH6.5に調整した。その後、酢酸エチルで抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、化合物(14)を赤褐色あめ状化合物として得た。
・4−{4−[O−(4,4’−ジメトキシトリチル)]メチル−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ}酪酸ペンタクロロフェニルエステル(15)の合成
化合物(14)をアセトニトリル20mLに溶解させ、次いでこの溶液にペンタクロロフェノール(688mg、2.48mmol)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(444μL、2.87mmol)及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP、23mg、0.19mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。その後、減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(15)を淡黄色泡状固体(816mg、0.96mmol、収率51%)として得た。
化合物(15)の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(500MHz、CDCl)δ(ppm):2.34−2.37,2.96−2.98,4.18−4.21(t,2H,OBu−CH),3.80(s,9H,DMTr−CH,2−O−CH),4.67(s,2H,4−CH),6.83−7.69(15H,DMTr−H,3−H,6−H)
[合成例4]光切断型リンカー及びCPG(controlled pore glass)結合体(16)の合成
CPG(−HN;40μmol/g、Glen Research社製)300mgと化合物(15)(25mg)とを混合した後にピリジンで共沸脱水し、無水DMF(ジメチルホルムアミド、2mL)及びDMAP(15mg)を加えて2日間撹拌した。吸引濾過によりCPGを濾別し、CHClで洗浄した。その後、ピリジン(3mL)、無水酢酸(500μL)及びDMAP(7mg)を加えて、1日間撹拌し、遊離のアミノ基を保護した。その後、吸引濾過し、クロロホルムで洗浄し、真空乾燥を行った。脱DMTr発色検定により、−NH;31×10−3μmol/mg(収率74%)である固相担体(16)を得た。
[脱DMTr発色検定]
固相担体(16)を11mg秤取り、DNA自動合成機用脱DMTr溶液(トリクロロ酢酸)を1mL加え、3分間静置した。綿栓濾過により濾別し、ジクロロメタン:メタノール=7:3(v/v)溶液で洗浄した。濾液を20mLメスフラスコにてメスアップした後、これを200μL量り取り、遠心濃縮機で濃縮した。残渣にHClO:MeOH=3:1(v/v)溶液を2mL加え可視紫外光吸光測定を行った。
Abs at 498nm 0.117
ε498nm of DMTr=71.7×10より、DMTr=30×10−3μmol/mg
[実施例1]ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの合成(ホスホジエステル構造:ホスホトリエステル構造=4:1)
固相担体(16)、上記ホスホアミダイド化合物(2’)及び市販品のホスホアミダイド化合物(17)を使用して、オリゴヌクレオチド自動合成機(Applied Biosystems 394 DNA/RNA Synthesizer)上にて、ホスホアミダイド法に従い固相合成法によりオリゴヌクレオチドを合成した。固相担体(16)1μmolを出発とし、Applied Biosystems社の推奨するプロトコールに若干の修正を加えたプロトコールを用いた。具体的には、酸化工程(S9)におけるヨウ素試薬を加える時間を通常9秒のところ13秒に変更し、反応時間を通常15秒のところ30秒に変更した。なお、オリゴヌクレオチドの自動合成では、初期伸長工程(S1)及び伸長工程(S5)を通算して5回行い、通算して3回目の伸長工程のみに化合物(17)を用い、残りの伸長工程では化合物(2’)を用いた。5’−末端のDMTr基を除去した状態で合成を終了させ、アルゴンガスを100秒×2回通じて固相担体を乾燥させて固相担体(18)を得た。
得られた固相担体(18)をガラスセルに取り、水:アセトニトリル=1:1(v/v)を2mL加えた。これらを撹拌しながら2時間にわたって高圧水銀灯からの光を照射した。その後、メンブレンフィルター(0.45μm)によって固相担体を取り除くことで、オリゴヌクレオチド(19)を得た。オリゴヌクレオチドの同定は、MALDI−TOF MS測定(株式会社島津製作所製AXIMA−CFR plusを使用、マトリックス;3−ヒドロキシ−2−ピコリン酸飽和水溶液:2−ピコリン酸水溶液(50mg/mL):クエン酸アンモニウム水溶液(50mg/mL)=10:1:1混合液)における1551.21(計算値:1551.25)のピークの存在により行った。
[実施例2]ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの合成(ホスホジエステル構造:ホスホトリエステル構造=3:2)
初期伸長工程(S1)及び伸長工程(S5)を通算した5回の伸長工程のうち、2回目及び4回目の伸長工程にて化合物(17)を用い、1回目、3回目及び5回目の伸長工程にて化合物(2’)を用いたこと以外は実施例1と同様の手順にて、オリゴヌクレオチド(21)を得た。オリゴヌクレオチドの同定は、MALDI−TOF MS測定における1565.32(計算値:1565.26)のピークの存在により行った。
[実施例3]ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの合成(ホスホジエステル構造:ホスホトリエステル構造=2:3)
初期伸長工程(S1)及び伸長工程(S5)を通算した5回の伸長工程のうち、2回目、3回目及び4回目の伸長工程にて化合物(17)を用い、1回目及び5回目の伸長工程にて化合物(2’)を用いたこと以外は実施例1と同様の手順にて、オリゴヌクレオチド(23)を得た。オリゴヌクレオチドの同定は、MALDI−TOF MS測定における1579.18(計算値:1579.28)のピークの存在により行った。
上記実施例1〜3に示すように、本発明によれば、ホスホジエステル構造及びホスホトリエステル構造を併せ持つオリゴヌクレオチドが得られることが理解できる。

Claims (5)

  1. ホスホアミダイド化合物の亜リン酸基に含まれる2つのOH基の一方にヌクレオシドが結合されるとともに他方に第一保護基が結合され、さらに前記ヌクレオシドの5’−水酸基に第二保護基が結合されたホスホアミダイド化合物を使用するオリゴヌクレオチドの製造方法であって、
    固相担体にオリゴヌクレオチドを伸長させるためのリンカーを結合させた後に、当該リンカーの末端に、オリゴヌクレオチドの配列における一番目の塩基に対応し、5’−水酸基に第二保護基を有するヌクレオシドを結合させる初期伸長工程と、
    伸長しているヌクレオチド鎖の5’−末端の水酸基に結合した第二保護基を脱離させて、新たな伸長末端となる5’−末端の水酸基を出現させる第二保護基脱離工程と、
    前記第二保護基脱離工程により出現した伸長末端に、所望の塩基に対応する前記ホスホアミダイド化合物を作用させて前記所望の塩基に対応するヌクレオチド鎖を伸長させる伸長工程と、
    前記伸長工程により伸長されたヌクレオチドの末端に位置する亜リン酸基をヨウ素で酸化してリン酸基に変換する酸化工程と、を備え、
    前記第二保護基脱離工程から前記酸化工程までを繰り返し実行することによりヌクレオチド鎖が伸長され、
    前記ホスホアミダイド化合物には第一保護基の異なる少なくとも二系統の化合物が含まれ、その一の系統のホスホアミダイド化合物における前記第一保護基が下記一般式(1)で表されるものであることにより、当該下記一般式(1)で表される第一保護基のみが前記酸化工程にてヨウ素の作用を受けて脱離されることを特徴とする、ホスホジエステル構造とホスホトリエステル構造とを備えたオリゴヌクレオチドの製造方法。
    (上記一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基である。また、上記一般式(1)で表される基は、波線を付した単結合により、酸素原子を介して亜リン酸基のリン原子に結合される。)
  2. 前記一般式(1)で表される第一保護基を有するホスホアミダイド化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
    (上記一般式(2)において、R〜Rは上記一般式(1)と同様であり、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基であって、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、Nuはヌクレオシドの3’−末端に位置する水酸基から水素原子を除いた基を表す。)
  3. 前記リンカーが、塩基性化合物に曝露されるのとは異なる手段により、生成したオリゴヌクレオチドを脱離させることを特徴とする請求項1又は2記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
  4. 前記リンカーが、光の照射を受けることにより、生成したオリゴヌクレオチドを脱離させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
  5. 前記ホスホアミダイド化合物には二系統の化合物が含まれ、他の系統のホスホアミダイド化合物における保護基がメチル基である請求項1〜4のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
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