JP2013198410A - 液中グラム染色法及び微生物検査方法 - Google Patents

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千宗 植松
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宗郎 前嶋
Yasunori Shoji
康則 庄司
Takuya Matsui
拓也 松井
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Abstract

【課題】微生物濃度が希薄な場合でも適用可能で、グラム染色を実施した後に微生物を回収して後工程で同定・薬剤感受性検査を実施できる、グラム染色法及び微生物検査法並びに装置を提供すること。
【解決手段】微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を保持する容器内で、(a)微生物の濃縮又は捕捉、(b)溶媒置換、及び(c)微生物の懸濁を繰り返し行うことによって、微生物を一連のグラム染色溶液で処理する工程、
微生物の染色状況からグラム陽性菌又はグラム陰性菌を判定する工程
を含むことを特徴とする微生物のグラム染色方法。
【効果】本発明により、微生物の形態を保持した状態でグラム染色を行うと共に、判定後の微生物回収が簡便になり、グラム染色した微生物を用いて微生物の同定・薬剤感受性検査を実施することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、検体、特に血液内に含まれる微生物を判定するためのグラム染色法、並びにグラム染色及び微生物の判定を行う微生物検査方法に関する。また本発明は、上記グラム染色法又は微生物検査方法を実施するための装置に関する。
以下に、血液を対象とした微生物検査の概要を説明する。
まず患者から採集した血液に関して血液培養検査を実施する。本来無菌である血液から迅速に微生物(細菌、真菌)などを検出することは、重篤な感染症である敗血症・菌血症において非常に重要性が高い。一方で、最終的には微生物の種を同定し、抗生剤に対する感受性を迅速に測定し、効果のある薬剤の種類及びその濃度を決定し治療方針をたてることが適正な抗菌薬治療につながる。
血液培養検査装置において血液培養し、陽性判定がなされた後に、塗抹検査を実施する。すなわち、存在した菌が球菌であるか又は桿菌であるかを顕微鏡にて観察し、さらにグラム染色液にて染色して菌がグラム陽性菌であるか又はグラム陰性菌であるかを判定する。グラム染色における染色性の違いは細胞壁の構造の違いに由来し、ペプチドグリカン層と呼ばれる層が厚く脂質が少ない細胞壁を持つ場合は紫色に染まり、ペプチドグリカン層が薄く脂質が多い細胞壁を持つ場合には紫色に染まらずに赤色に見える。この細胞壁の構造の違いは、菌を判定する上で重要な情報であり、球菌、桿菌の判定と共に微生物検査装置には不可欠のものである。
続いて培養ボトルからサンプルを培地に塗布して分離培養し、形成されたコロニーから菌懸濁液を調製し、同定・薬剤感受性検査装置の測定用デバイスに接種し、それぞれデバイス内に接種した菌を装置内で培養することによって存在する菌の同定及び薬剤感受性の評価を実施する。血液培養検査装置と同定・薬剤感受性検査装置は別々に独立したものを使用し検査を実施している。
次に、グラム染色の概要を説明する。グラム染色法には種々の変法が存在するが、概ね以下のようなものである。
まず、約24時間の血液培養で育成した菌のコロニーを白金耳などに付着させ、水又は生理食塩水に混ぜてスライドグラスに塗り広げ(塗抹)、十分に乾かす。その後、スライドグラスの端をバインダなどで保持し、塗抹面を上にしてバーナの炎の中を数回ゆっくりくぐらせて菌を固定する。または、メタノール中に1〜2分浸して乾燥させることにより菌を固定する。
次に、クリスタル紫液などの染色液をスライドグラスにたらして染色した後に水洗し、更にルゴール液などの媒染液を作用させ、水洗する。グラム陽性菌では媒染液の作用で染色液がアルコール不溶性の複合体となり、以降の工程で脱色されなくなる。その後、アルコールなどの脱色液にスライドグラスを浸し、染色のにじみが無くなったら水洗し、脱色を止める。
次に、サフラニン液などの染色液をたらして対比染色し、水洗する。この工程でグラム陰性菌が染まる。
最後に十分に乾燥させた後、顕微鏡観察をする。
以上のように、現状のグラム染色では菌を固定するために検体を乾燥固定させる工程が必須となっている。菌を一度乾燥させると、損傷させずに回収することが困難であり、後工程である同定・薬剤感受性検査に用いることができない。そのため、現在は血液培養で育成したコロニーから、同定・薬剤感受性検査に用いる菌はグラム染色用の菌とは別に確保しなければならないという課題がある。
一方、重篤な感染症である敗血症・菌血症においては、微生物の種の同定、抗生剤に対する感受性を迅速に測定することが求められており、時間がかかるコロニー育成の培養工程を省略するための研究が盛んに行われている。血液検体において血液培養の工程が必要な理由は、血液中には菌が元々存在しない無菌検体であることであり、重篤な敗血症患者でも、その菌濃度は10 CFU/mL程度であるといわれている。培養工程を実施しない低濃度の場合、あるいは、培養をしても十分な菌量が得られない場合には、上記のようにグラム染色に用いる菌と、同定・薬剤感受性検査に用いる菌を別に確保することは困難であるという課題もある。
上述のように菌を乾燥させずにグラム染色を行う方法として、特許文献1は、グラム染色の手法とは異なる、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)の水溶液に染色液を加えた判別液に菌を添加混合して判別液の退色をモニタすることでグラム陽性菌とグラム陰性菌を判定する方法を提案している。退色の違いは目視確認できるため顕微鏡観察も不要という簡便な手法である。しかしながら、上記の方法ではpH12〜13という強アルカリ性判別液に直接菌を投入するため、菌が破壊されてしまい、グラム染色後に菌を回収することができない。そもそも、水酸化ナトリウムは大腸菌を溶解して内容物を抽出するために用いられる試薬である。また、目視で退色をモニタする都合上、判別液0.33mL中の菌濃度が105〜106 CFUと高濃度である必要があるという課題もある。
特許文献2も、特許文献1同様、強アルカリ液(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を添加してグラム陰性菌を損傷させ、形態変化させることでグラム染色を行っている。この方法も、検体を乾燥させることなくグラム染色を行うことが可能であるが、菌が破壊されてしまうため、グラム染色後に菌を回収することができない。
一方、特許文献3は疎水性フィルタにグラム陽性菌を捕獲し、グラム染色と同様の着色処理を行ってフィルタの着色度から菌数を判定する方法を記載している(あるいは、着色処理後に疎水性フィルタで捕獲している)。この方法は、疎水性フィルタに菌を捕獲した後、各種試薬をすばやくフィルタに通すことで、乾燥させずに、また菌の形態を保持した状態でグラム染色を行うことが可能である。しかしながら、フィルタを用いた方法では、フィルタを構成する繊維に菌が吸着してしまうため、フィルタと菌の間の結合力が強く、グラム染色後に高効率で菌を回収することが困難である。さらに、菌の種類によって大きさが異なるため、フィルタの孔径を菌種によって適切に選択する必要がある。すなわち、孔径が大きいと目的の菌を捕捉できなくなり、孔径が小さいと溶液のフィルタリングに多大な時間を要することになる。これは、菌の種類が不明である多くの場合において大きな課題となる。なお、この方法も顕微鏡を使用しない簡便な方法のため、1mL当り104 CFU程度以上という高濃度の菌数が必要である。
特許文献4も、フィルタに液体試料を通して菌を捕捉し、染色液を添加してインキュベーションし、乾燥させることなく微生物を染色する手法である。特許文献3と同様に、菌の回収が困難であると共に、フィルタの孔径を選択する必要があるといった課題がある。
特開2004-208526号 特開2005-110629号 特開平05-308997号 特表2001-509008号
本発明の目的は、微生物濃度が希薄な場合でも適用可能で、グラム染色を実施した後に微生物を回収して後工程で同定・薬剤感受性検査を実施できる、グラム染色法及び微生物検査法並びに装置を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、微生物を含有する溶液を保持する容器中で、遠心、溶媒置換及び懸濁を繰り返す、又はB/F(bond/free)分離を利用した捕捉、溶媒置換及び懸濁を繰り返すことでグラム染色の一連の工程を実施することができ、またグラム染色後に微生物を回収して微生物の同定又は薬剤感受性のための検査を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の通りである。
[1]微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を保持する容器内で、(a)微生物の濃縮又は捕捉、(b)溶媒置換、及び(c)微生物の懸濁を繰り返し行うことによって、微生物を一連のグラム染色溶液で処理する工程、
微生物の染色状況からグラム陽性菌又はグラム陰性菌を判定する工程
を含むことを特徴とする微生物のグラム染色方法。
[2]微生物の濃縮を遠心分離により行う、[1]に記載の方法。
[3]微生物の捕捉を、容器内で微生物を特異的に捕捉する固相担体を用いて行う、[1]に記載の方法。
[4]固相担体がビーズ又はウールである、[3]に記載の方法。
[5]微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液が、血液、髄液、喀痰、尿及び糞便からなる群より選択されるものである、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液が血液である場合、血液培養又は血球除去の前処理を行う、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液の微生物濃度が100 CFU/mL以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[8]容器が、異なる内径を有する多段構造を有しており、上段側の内径が下段側の内径よりも大きいものである、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[8-2]グラム染色溶液が、染色液、媒染液、脱色液及び対比染色液を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[8-3]微生物の染色状況を目視又は顕微鏡により観察する、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の方法により微生物のグラム染色を実施した後、該微生物を用いて微生物検査を行うことを特徴とする微生物検査方法。
[9-2][1]〜[8]のいずれかに記載の方法を実施することにより微生物を含有することが疑われる検体中の微生物を検出する方法。
[10]微生物検査が、微生物の計数、微生物の形状観察、微生物の同定、及び微生物の薬剤感受性の判定からなる群より選択される少なくとも1つである、[9]に記載の方法。
[11]微生物検査が、微生物由来の核酸を分析することにより行う、[9]又は[10]に記載の方法。
[12]核酸の分析が、核酸の増幅、核酸のハイブリダイゼーション、及び核酸の配列決定からなる群より選択される少なくとも1つである、[11]に記載の方法。
[13]微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を保持するための容器と、
前記溶液中の微生物を濃縮又は捕捉する手段と、
液体を吸引及び吐出する吸引/吐出手段と、
濃縮又は捕捉手段及び吸引/吐出手段の動作を制御する制御手段と
を備え、前記制御手段は、前記容器内で、前記濃縮又は捕捉手段により前記溶液中の微生物が濃縮又は捕捉された後に、前記吸引/吐出手段を用いて溶媒置換及び微生物の懸濁を行うことを特徴とするグラム染色装置。
[14]濃縮又は捕捉手段が、微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を遠心分離する手段である、[13]に記載の装置。
[15]濃縮又は捕捉手段が、微生物を特異的に捕捉するビーズ又はウールである、[13]に記載の装置。
[16]制御手段が、さらに、前記吸引/吐出手段を用いて微生物懸濁液をスライドグラスに吐出するものである、[13]〜[15]のいずれかに記載の装置。
[17]容器が、異なる内径を有する多段構造を有しており、上段側の内径が下段側の内径よりも大きいものである、[13]〜[16]のいずれかに記載の装置。
[18]微生物の染色状況を観察するための顕微鏡をさらに備える、[13]〜[17]のいずれかに記載の装置。
[18-2]スライドグラスを顕微鏡のステージに移行させる手段をさらに備える、[18]に記載の装置。
[19][13]〜[18]のいずれかに記載の装置と、
前記装置によりグラム染色が行われた微生物を検査する手段と
を備えることを特徴とする微生物検査装置。
[20]微生物検査手段が、微生物から核酸を抽出する手段、微生物から抽出された核酸の配列を増幅する手段、微生物から抽出された核酸をプローブとハイブリダイゼーションさせる手段、及び微生物から抽出された核酸を配列決定する手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を含む、[19]に記載の装置。
本発明のグラム染色法を用いることにより、微生物の形態を保持した状態でグラム染色を行うと共に、判定後の微生物回収が簡便になり、グラム染色した微生物を用いて同定・薬剤感受性検査を実施することが可能となる。また、検体中に微量にしか存在しない微生物を検出し、グラム判定し、微生物検査を行うことができる。従って、本発明は、臨床検査、医学、薬学、微生物学などの分野において有用である。
本発明を適用したグラム染色法のワークフローを示す図である。 本発明を適用したグラム染色法の第1の実施形態を示す上面図である。 本発明を適用したグラム染色法の溶媒置換の様子を示す上面図である。 検体溶液を含有する容器を、内径の異なる多段構造にした場合の効果を示す図である。 本発明を適用したグラム染色法の第2の実施形態を示す上面図である。 本発明を適用したグラム染色及び同定・薬剤感受性検査装置の実施形態を示す上面図である。 本発明を適用したグラム染色法によって微生物を染色した例を示す図である。 本発明を適用したグラム染色法を実施した後、PCRを実施した例を示す図である。
以下、本発明を説明する。
本発明に係るグラム染色法(以下、「液中グラム染色法」ともいう)について、図1を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明を適用したグラム染色法のワークフローを示す図である。はじめに、グラム染色法を実施する検体を準備する。検体は、微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液であれば特に限定されるものではない。例えば、動物の病原菌について検査する場合には、動物由来の検体、具体的には血液、髄液、喀痰、尿、糞便などが挙げられる。また、環境汚染について検査する場合には、環境由来の検体、例えば海水、河川水、工業用水、土壌などが挙げられる。液体検体は、そのまま、又は溶媒で希釈若しくは濃縮して使用することができる。固体検体は、溶媒に懸濁するか、粉砕機などによりホモジナイズするか、あるいは溶媒と共に攪拌して得られる上清を使用してもよい。
微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液(検体溶液)の微生物濃度は、特に限定されるものではない。例えば本発明の液中グラム染色法では、1mL当たり100 CFU(コロニー形成単位)以下、好ましくは10 CFU以下の濃度でも微生物をグラム染色することができる。
例えば検体溶液として血液を選択する場合には、患者から検体(血液)を採取し、血液培養検査を実施する。血液培養の結果、陽性反応であった場合は、血液培養で育成した菌のコロニーを採取し、液体培地又は生理食塩水に懸濁する。あるいは、血液培養を行わずに、検体を直接グラム染色する場合には、微生物濃度(10 CFU/mL)に対して圧倒的に濃度の濃い血球(107〜109 個/mL)を除去する。血球を除去する方法は、当技術分野で公知であり、例えば血球の凝集試薬を用いる手法、血球を特異的に吸着させるフィルタを通過させる手法などを用いることができる。血球を特異的に吸着させるフィルタを通過させる手法では、血球(7〜8μm)が微生物(約1〜2μm)よりも大きいことを利用して、簡便に血球を除くことができる。これにより、微量にしか存在しない微生物のグラム判定及び検査をより効果的に実施することが可能となる。
以上のような前処理を実施した後又は実施しないで、検体溶液を保持する容器内で、微生物の濃縮又は捕捉を行う。使用する容器は、微生物検査において一般的に使用されている容器であれば特に限定されるものではなく、容器の材質、形状及びサイズは当業者であれば適宜選択することができる。例えば、ガラス製又はプラスチック製の反応チューブを用いることができる。本発明の一実施形態においては、容器は、異なる内径を有する多段構造を有しており、上段側の内径が下段側の内径よりも大きい容器であることが好ましい(例えば図4)。これにより、微生物を効率的に濃縮又は捕捉し、溶媒置換を行うことが可能となる。
微生物を濃縮する方法としては、検体溶液を保持する容器を遠心させて容器下面近傍に微生物を収集する手法が挙げられる。また微生物を捕捉する方法としては、検体溶液を保持する容器に、微生物を特異的に捕捉する固相担体を導入して容器下面近傍に微生物を収集する手法などを用いることができる。そのような固相担体としては、表面に微生物特異的な抗体を結合させたビーズや、表面を正電荷に帯電させた繊維(ウールなど)を用いることができる。このような方法を利用して、検体溶液を保持する容器内で、微生物を濃縮又は捕捉する。
続いて、検体溶液を保持する容器内で、溶媒置換と微生物の懸濁を行う。具体的には、微生物を容器下面近傍に濃縮又は捕捉した上で、容器の上澄み液を吸引し、その後、グラム染色溶液を容器に吐出することで溶媒の置換を行うことができ、続いて微生物を懸濁する。
ここで「グラム染色溶液」とは、グラム染色法に使用される一連の染色工程で使用される溶液を指す。グラム染色法は、当技術分野で公知であり、複数の方法が報告されている(例えば、「感染症治療の基礎 No.1 喀痰」(山口ら監修, 小栗ら著)のテーマ4<グラム染色の手技>(小栗著), 明治製菓株式会社提供, 2006年を参照されたい)。グラム染色の標準的な方法として、ハッカー(Hucker)の変法が知られており、染色液(クリスタル紫液)、媒染液(ルゴール液)、脱色液(エタノール又はアセトン・アルコール)及び対比染色液(サフラニン液又はパイフェル液)を使用する。またフェイバー法は、染色液(ビクトリアブルー液)、媒染液(ピクリン酸)、脱色液(エタノール)及び対比染色液(サフラニン液又はパイフェル液)を使用する。バーミー法(Bartholomew & Mittwer法)は、染色液(クリスタル紫水溶液)、媒染液(ヨウ素・水酸化ナトリウム水溶液)、脱色液(アセトン・アルコール)及び対比染色液(フクシン水溶液)を使用する。このようなグラム染色法及び使用する一連のグラム染色溶液は、当業者であれば容易に理解し、実施することができる。
上述した溶媒置換を、一連のグラム染色溶液を用いて繰り返し行うことによって、例えば染色液から媒染液への置換、媒染液から脱色液への置換、脱色液から対比染色液への置換と繰り返して行うことによって、検体に含まれる微生物を溶液中で乾燥させることなく、グラム染色の一連の工程を実施することができる。
最後に、微生物を濃縮又は捕捉して容器下面近傍の濃縮液を採取し、微生物の染色状況を観察する。微生物の染色状況は、例えば微生物濃縮液をスライドグラス上に塗抹して目視又は顕微鏡により観察を行う。そして微生物の染色状況から、微生物がグラム陽性菌であるか又はグラム陰性菌であるかを判定することができる。
本発明の液中グラム染色法の対象となる微生物は、上述した一般的なグラム染色法によりグラム染色することが可能な細菌であれば特に限定されるものではない。一例として、以下のような微生物が挙げられる:
Figure 2013198410
本発明の液中グラム染色法により、検体中の微生物の有無を検出したり、存在する微生物のグラム染色性及び形状を判定することが可能である。
以上の工程によってグラム染色した検体は、従来のグラム染色法と異なり、微生物を固定するための検体乾燥工程を有していないため、微生物を損傷させることなく再び回収することが可能である。微生物を特異的に捕捉する固相担体(ビーズやウール)を用いた場合も、微生物と固相担体間の結合は化学的なものであるため、従来のフィルタで微生物を捕捉する場合に比べて結合力が小さく、簡便にかつ高効率で微生物を回収することが可能である。
従って、本発明の液中グラム染色法により微生物のグラム染色を実施した後、該微生物を用いてさらに微生物検査を行うことができる。そのような微生物検査としては、微生物の計数、微生物の形状観察、微生物の同定、及び微生物の薬剤感受性の判定などが挙げられる。
上述したような微生物検査は、例えば微生物由来の核酸を分析することにより行うことができる。すなわち、本発明の液中グラム染色法において損傷させることなく回収した微生物から、核酸(ゲノムDNA、プラスミドDNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、非コードRNA(ncRNA)、マイクロRNA、それらの断片など)を抽出し、分析することができる。微生物から核酸を抽出するための方法は、抽出しようとする核酸の種類に応じて、当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。例えば、検体を5〜10分煮沸して微生物を溶解させるボイル法や、超音波の照射、微細なビーズを混入して振とうさせるといった機械的な手法を用いることができる。あるいは、例えば、Lysozymeのような細胞壁分解酵素、水酸化ナトリウムのようなアルカリ溶液、チオシアン酸グアニジン・グアニジン塩酸といったカオトロピック塩、Tween及びSDSといった界面活性剤、あるいは市販の細胞溶解用試薬を用いて、微生物に含まれる核酸、すなわちDNA及びRNAを溶出することができる。RNA(mRNAなど)を分離する場合には、上記のように溶出された核酸のうち、DNAをDNA分解酵素(DNase)により分解し、核酸としてRNAのみを含む試料が得られる。
核酸の分析は、特に限定されるものではないが、例えば核酸の増幅、核酸のハイブリダイゼーション、核酸の配列決定などの当技術分野で公知の方法を単独で又は組み合わせて使用して行うことができる。
例えば、微生物から抽出した核酸を、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)と呼ばれる手法で一部の配列を増幅することによって、微生物の同定やその薬剤感受性を検査することができる。あるいは、微生物種や薬剤感受性に特有の配列に対するプローブを、微生物から抽出した核酸にハイブリダイズさせることにより、微生物の同定やその薬剤感受性を検査することができる。さらには、微生物種や薬剤感受性に特有の配列や全長配列を配列決定することにより、微生物の同定やその薬剤感受性を検査することができる。このような手法は全て当技術分野で公知であり、当業者であれば適当な方法を実施することができる。
また本発明は、上述した方法を実施するための装置を提供する。具体的には、本発明のグラム染色装置は、
微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を保持するための容器と、
前記溶液中の微生物を濃縮又は捕捉する手段と、
液体を吸引及び吐出する吸引/吐出手段と、
濃縮又は捕捉手段及び吸引/吐出手段の動作を制御する制御手段と
を備え、前記制御手段は、前記容器内で、前記濃縮又は捕捉手段により前記溶液中の微生物が濃縮又は捕捉された後に、前記吸引/吐出手段を用いて溶媒置換及び微生物の懸濁を行うものである。
前記容器は、微生物検査の分野で一般的に使用されている容器であれば特に限定されるものではないが、異なる内径を有する多段構造を有しており、上段側の内径が下段側の内径よりも大きい容器であることが好ましい。
前記濃縮又は捕捉手段としては、微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を遠心分離する手段、あるいは微生物を特異的に捕捉する固相担体(ビーズ又はウール)を使用することができる。
前記吸引/吐出手段は、微生物検査の分野で一般的に使用されている吸引/吐出手段であれば特に限定されるものではないが、ディスポーザブルチップを備えた吸引/吐出手段、例えばシリンジなどであることが好ましい。
前記制御手段は、さらに、前記吸引/吐出手段を用いて微生物懸濁液をスライドグラスに吐出するものとすることができる。
本発明のグラム染色装置は、さらに、微生物の染色状況を観察するための顕微鏡、スライドグラスを顕微鏡のステージに移行させる手段、一連のグラム染色溶液を保持する部分、ディスポーザブルチップの取り外し手段、溶液の廃棄ボックスなどを備えていてもよい。
さらに本発明の微生物検査装置は、上述したグラム染色装置と、該装置によりグラム染色が行われた微生物を検査する手段とを備えるものである。微生物検査手段としては、行う微生物検査の種類に応じて異なるが、例えば、微生物から核酸を抽出する手段、微生物から抽出された核酸の配列を増幅する手段、微生物から抽出された核酸をプローブとハイブリダイゼーションさせる手段、及び微生物から抽出された核酸を配列決定する手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とすることができる。
上述したような装置を使用することによって、本発明の液中グラム染色法及び微生物検査方法を簡便かつ迅速に実施することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の具体例について説明する。ただし、これらの実施例は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではないことに注意すべきである。
[実施例1]
図2は、図1を用いて説明した、検体を乾燥させることなくグラム染色の一連の工程を実現する第1の実施形態を示す上面図である。
まず、患者から採取した検体(血液)を血液培養し、育成した菌のコロニーを採取して液体培地又は生理食塩水に懸濁する。血液培養を行わない場合は、採取した検体(血液)から血球を除去する。以上の前処理を施した検体(1mL程度)を試料ベッセル9に格納し、液中グラム染色装置1にセットする。また、液中グラム染色装置1には、消耗品である染色液10、媒染液11、脱色液12、対比染色液13、ディスポーザブルチップ15、スライドグラス16をセットしておく。
液中グラム染色装置1にセットされた試料ベッセル9(図3(a))は、ベッセルの蓋を開閉できる機構を有するロボットアーム3でスイング式遠心機5のベッセル保持部14へ運ばれる。グラム染色を行う全ての試料ベッセル9を移動し終えると、スイング式遠心機5は回転をはじめる。遠心を5000rpm、3分程度行うと、菌は試料ベッセル9の下面近傍に濃縮される(図3(b))。ロボットアーム3によって試料ベッセル9の蓋を開けた後、ディスポーザブルチップ15を装着したシリンジ2で試料ベッセル9の上澄み液を吸引する(図3(c))。上澄み液を液体廃棄口8に廃棄した後、ディスポーザブルチップ15はチップ取り外し機構6で取り外され、廃棄ボックス7へ廃棄される。次に、シリンジ2は新たなディスポーザブルチップ15を装着し、染色液10を吸引し、試料ベッセル9に吐出する(図3(d))。染色液10を吐出した後、シリンジ2は試料ベッセル9内で染色液10の吸引・吐出を繰り返し、菌と染色液をよく攪拌させる(図3(e))。その後、ディスポーザブルチップ15はチップ取り外し機構6で取り外され、廃棄ボックス7へ廃棄される。1〜2分放置した後、ロボットアーム3によって試料ベッセル9の蓋を閉じ、スイング式遠心機5を回転させる。遠心を5000rpm、3分程度行うと、菌は試料ベッセル9の下面近傍に濃縮される。同様の操作を繰り返し、染色液10から媒染液11、脱色液12、対比染色液13へと溶媒置換を行う。
対比染色液13に置換して遠心、放置して上澄み液を廃棄した後、シリンジ2は新しいディスポーザブルチップ15を装着し、試料ベッセル9の下面近傍に残っている濃縮液を吸引する。そして、スライドグラス搬送機構4で引き出されたスライドグラス16に濃縮液を吐出する。濃縮液を吐出されたスライドグラス16は同じスライドグラス搬送機構4で元の位置に戻される。
全ての試料ベッセルのグラム染色が終了したらスライドグラス16を取り出し、必要であればカバーグラスを乗せて顕微鏡で1000倍程度に拡大して菌の観察を行う。本実施例では、濃縮液をスライドグラスに吐出して装置外で顕微鏡観察を行っているが、装置内に顕微鏡の機構を搭載し、装置内で観察を行っても構わない。
さて、図3では試料ベッセル(検体を含有する容器)を、同一半径を有する円柱状のものとしていたが、図4に示すように、試料ベッセルを二段構造として、上段の半径r1が下段の半径r2よりも大きい構造とすることで、上澄み液43の残渣を少なく、菌の濃縮液42の割合をより大きく収集することが可能となる。すなわち、試薬の置換効率を向上することが可能となる。試料ベッセルの段構造は必ずしも二段に限るものではなく、三段、あるいはそれ以上の構造であっても構わない。
[実施例2]
図5は、検体を乾燥させることなくグラム染色の一連の工程を実現する第2の実施形態を示す上面図である。
前処理を施した検体(1mL程度)を試料ベッセル9に格納し、液中グラム染色装置1にセットする。また、液中グラム染色装置1には、消耗品である染色液10、媒染液11、脱色液12、対比染色液13、ディスポーザブルチップ15、スライドグラス16、ビーズ液17、剥離液18をセットしておく。
試料ベッセル9を、蓋を開けた状態で液中グラム染色装置1にセットする。ディスポーザブルチップ15を装着したシリンジ2で菌を特異的に吸着するビーズを含んだビーズ液17を吸引し、試料ベッセル9へ吐出する。ビーズ液17を吐出した後、シリンジ2は試料ベッセル9内で試料の吸引・吐出を繰り返し、菌とビーズ液をよく攪拌させる。その後、ディスポーザブルチップ15はチップ取り外し機構6で取り外され、廃棄ボックス7へ廃棄される。1〜2分放置すると、菌を吸着したビーズは試料ベッセル9の底面近傍に沈殿する。そこで、新たなディスポーザブルチップ15を装着したシリンジ2で試料ベッセル9の上澄み液を吸引する。上澄み液を液体廃棄口8に廃棄した後、ディスポーザブルチップ15はチップ取り外し機構6で取り外され、廃棄ボックス7へ廃棄される。次に、シリンジ2は新たなディスポーザブルチップ15を装着し、染色液10を吸引し、試料ベッセル9に吐出する。染色液10を吐出した後、シリンジ2は試料ベッセル9内で染色液10の吸引・吐出を繰り返し、菌が吸着したビーズ液と染色液をよく攪拌させる。その後、ディスポーザブルチップ15はチップ取り外し機構6で取り外され、廃棄ボックス7へ廃棄される。1〜2分放置すると、菌を吸着したビーズは試料ベッセル9の底面近傍に沈殿する。同様の操作を繰り返し、染色液10から媒染液11、脱色液12、対比染色液13へと溶媒置換を行う。
対比染色液13に置換して遠心、放置して上澄み液を廃棄した後、シリンジ2は新しいディスポーザブルチップ15を装着し、ビーズから菌を剥離する剥離液18を吸引し、試料ベッセル9の下面近傍に残っている菌を吸着したビーズに吐出する。シリンジ2は試料ベッセル9内で剥離液18の吸引・吐出を繰り返し、よく攪拌してビーズから菌を剥離させる。その後、菌を含んだ剥離液18をシリンジ2で吸引し、スライドグラス搬送機構4で引き出されたスライドグラス16に吐出する。濃縮液を吐出されたスライドグラス16は同じスライドグラス搬送機構4で元の位置に戻される。
その後、スライドグラス16を取り出し、カバーグラスを乗せて顕微鏡で1000倍程度に拡大して菌の観察を行う。本実施例では、濃縮液をスライドグラスに吐出して装置外で顕微鏡観察を行っているが、装置内に顕微鏡の機構を搭載し、装置内で観察を行っても構わない。
また、本実施例では試料ベッセル9の底面に一部の剥離液18がビーズと共に残存することになるが、扱う菌量が少ない場合は剥離液18を回収する際にフィルタを通してビーズと剥離液を分離し、確実に剥離液を回収する方法を選択してもよい。また、本実施例では菌を特異的に吸着する材料としてビーズを使用したが、吸着材はビーズに限定されるものではなく、例えばウールのようなものを使用しても構わない。
[実施例3]
図6は、本発明を適用したグラム染色及び微生物の同定・薬剤感受性検査装置の実施形態を示す上面図である。同定・薬剤感受性検査装置は、液中グラム染色装置1にPCR装置21を接続した構成となる。グラム染色から同定・感受性検査までを一度に行うため、液中グラム染色装置1内には顕微鏡19を搭載する。
スライドグラスに濃縮液を吐出するところまでは前述した通りである。顕微鏡19で濃縮液中の菌を観察し、グラム染色と球菌・桿菌判定を行う。この段階で菌の特徴を判定することができる。
次にディスポーザブルチップ27を装着したシリンジ22でスライドグラス上の濃縮液を吸引し、PCRチューブ29に吐出する。ディスポーザブルチップ27は、チップ取り外し機構25で廃棄ボックス26に廃棄される。次に、PCRチューブの蓋の開閉機構を有するロボットアーム23でPCRチューブ29をヒータ24に運搬する。その後、ヒータを加熱して菌を溶解する。加熱温度は顕微鏡観察によって判定された菌の種類によって変わるが、例えば大腸菌であれば95℃で10分程度加熱すれば十分である。
PCRチューブを冷却した後、新しいディスポーザブルチップ27を装着したシリンジ22で、核酸を増幅させるための試薬28を吸引し、PCRチューブ29に吐出する。試薬28は菌に対して行う同定検査、薬剤感受性検査の種類に応じて変更する。試薬28の吐出が終了したらPCRチューブの蓋を閉め、温度サイクルをかけてPCRを実施する。温度サイクルは使用する試薬の種類によって変わるが、概ね95℃程度への加熱と60℃程度までの冷却が30〜40回繰り返される。PCR反応では、核酸の増幅に伴ってレーザを照射した際の蛍光強度が増加する。温度サイクル毎にPCRチューブ29上からレーザ(図示せず)を照射し、蛍光強度を受光器(図示せず)で測定することにより、リアルタイムで核酸の増幅状況をモニタする。PCRの結果から、菌株の同定や薬剤感受性を判定することができる。
本実施例では、菌の溶解にヒータによる加熱(ボイル法)を用いているが、菌の溶解に用いる手段はこれに限るものではなく、例えば超音波を照射して溶解してもよいし、微細なビーズを混入して振とうさせて溶解しても構わない。
[実施例4]
図7は、図1で示した本発明を適用したグラム染色法のワークフローによって大腸菌(グラム陰性菌)及び黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)をグラム染色した結果を、従来手法でグラム染色した結果と比較して示したものである。比較例として、細菌を、スライドグラス上に固定し、染色液(クリスタル紫液)、媒染液(ルゴール液)、脱色液(アセトン・アルコール)及び対比染色液(サフラニン液)による一連の染色工程を行う従来手法を用いてグラム染色を行った。図7に示されるように、本発明を適用した場合には、比較例よりもむしろ鮮明に染色されていることが分かる。
また、図8は、図7で示したグラム染色を実施した大腸菌及び黄色ブドウ球菌から核酸を抽出してその一部配列をPCR増幅したものである。両細菌からそれぞれ抽出した核酸、増幅試薬(サイバーグリーンを含む)、及びプライマー(16SリボソームDNAを増幅するもの)を混合し、リアルタイムPCRを行った。対照のグラム染色を実施しなかった結果と比較することにより、本発明のグラム染色法によって菌を損傷させずに検体が回収され、核酸の増幅が実現できていることが分かる。図8は、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に共通の配列を増幅させたものであるが、各々の菌固有の配列部位及び薬剤感受性に関連する配列部位を増幅させれば、菌の同定、薬剤感受性検査に応用することができる。
以上のように、本発明のグラム染色法を用いることにより、グラム染色を迅速に行うことができ、またグラム染色後に菌を損傷させることなく検体を容易に回収することが可能となり、グラム染色で使用した検体を用いて同定・薬剤感受性検査を実施することが可能となる。
1…液中グラム染色装置
2…シリンジ
3…ロボットアーム
4…スライドグラス搬送機構
5…スイング式遠心機
6…チップ取り外し機構
7…廃棄ボックス
8…液体廃棄口
9…試料ベッセル
10…染色液
11…媒染液
12…脱色液
13…対比染色液
14…ベッセル保持部
15…ディスポーザブルチップ
16…スライドグラス
17…ビーズ液
18…剥離液
19…顕微鏡
21…PCR装置
22…シリンジ
23…ロボットアーム
24…ヒータ
25…チップ取り外し機構
26…廃棄ボックス
27…ディスポーザブルチップ
28…試薬
29…PCRチューブ
41…前処理を施した試料
42…菌の濃縮液
43…上澄み液
44…菌の濃縮液と染色液の混合液
r1…試料ベッセルの上段半径
r2…試料ベッセルの下段半径

Claims (20)

  1. 微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を保持する容器内で、(a)微生物の濃縮又は捕捉、(b)溶媒置換、及び(c)微生物の懸濁を繰り返し行うことによって、微生物を一連のグラム染色溶液で処理する工程、
    微生物の染色状況からグラム陽性菌又はグラム陰性菌を判定する工程
    を含むことを特徴とする微生物のグラム染色方法。
  2. 微生物の濃縮を遠心分離により行う、請求項1に記載の方法。
  3. 微生物の捕捉を、容器内で微生物を特異的に捕捉する固相担体を用いて行う、請求項1に記載の方法。
  4. 固相担体がビーズ又はウールである、請求項3に記載の方法。
  5. 微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液が、血液、髄液、喀痰、尿及び糞便からなる群より選択されるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液が血液である場合、血液培養又は血球除去の前処理を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液の微生物濃度が100 CFU/mL以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 容器が、異なる内径を有する多段構造を有しており、上段側の内径が下段側の内径よりも大きいものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により微生物のグラム染色を実施した後、該微生物を用いて微生物検査を行うことを特徴とする微生物検査方法。
  10. 微生物検査が、微生物の計数、微生物の形状観察、微生物の同定、及び微生物の薬剤感受性の判定からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
  11. 微生物検査が、微生物由来の核酸を分析することにより行う、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 核酸の分析が、核酸の増幅、核酸のハイブリダイゼーション、及び核酸の配列決定からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
  13. 微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を保持するための容器と、
    前記溶液中の微生物を濃縮又は捕捉する手段と、
    液体を吸引及び吐出する吸引/吐出手段と、
    濃縮又は捕捉手段及び吸引/吐出手段の動作を制御する制御手段と
    を備え、前記制御手段は、前記容器内で、前記濃縮又は捕捉手段により前記溶液中の微生物が濃縮又は捕捉された後に、前記吸引/吐出手段を用いて溶媒置換及び微生物の懸濁を行うことを特徴とするグラム染色装置。
  14. 濃縮又は捕捉手段が、微生物を含有する又は含有することが疑われる溶液を遠心分離する手段である、請求項13に記載の装置。
  15. 濃縮又は捕捉手段が、微生物を特異的に捕捉するビーズ又はウールである、請求項13に記載の装置。
  16. 制御手段が、さらに、前記吸引/吐出手段を用いて微生物懸濁液をスライドグラスに吐出するものである、請求項13〜15のいずれか1項に記載の装置。
  17. 容器が、異なる内径を有する多段構造を有しており、上段側の内径が下段側の内径よりも大きいものである、請求項13〜16のいずれか1項に記載の装置。
  18. 微生物の染色状況を観察するための顕微鏡をさらに備える、請求項13〜17のいずれか1項に記載の装置。
  19. 請求項13〜18のいずれか1項に記載の装置と、
    前記装置によりグラム染色が行われた微生物を検査する手段と
    を備えることを特徴とする微生物検査装置。
  20. 微生物検査手段が、微生物から核酸を抽出する手段、微生物から抽出された核酸の配列を増幅する手段、微生物から抽出された核酸をプローブとハイブリダイゼーションさせる手段、及び微生物から抽出された核酸を配列決定する手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を含む、請求項19に記載の装置。
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