JP2013193919A - エアロゾルデポジション法用無機粉末及びそれを用いた無機被膜の製造方法 - Google Patents

エアロゾルデポジション法用無機粉末及びそれを用いた無機被膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エアロゾルデポジション法に用いた際に、粉末の供給速度を向上し、かつ、粉末の供給を安定化することが可能な成膜原料粉末を提供する。
【解決手段】エアロゾルデポジション法において成膜原料として用いられる無機粉末であって、該無機粉末がセラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなり、カー(Carr)の流動性指数が0〜23である、無機粉末。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアロゾルデポジション法において成膜原料として用いられる無機粉末及びそれを用いた無機被膜の製造方法に関する。
近年、緻密なセラミックス膜を常温で形成できる手法として、エアロゾルデポジション法(以下、AD法ともいう)が注目されている。このAD法は、エアロゾル化された原料粒子が高速で基板に衝突した際、発生した応力によって粒子が塑性変形し、活性となった粒子表面と基板とのメカノケミカル反応により成膜されると考えられている。
AD法による成膜では、原料粉末のエアロゾル化が非常に重要である。この点、エアロゾル濃度が濃い状態の方がチャンバ内へ供給され易く、粉末供給量が成膜速度に影響し、粉末の安定供給が膜の緻密さに影響するものと考えられている。従って、原料粉末はエアロゾル化され易いものが適していると考えられるが、エアロゾル化し易い粉末の指標等は示されておらず、粉末の選定が困難であった。
一方、酸化亜鉛(ZnO)は安価かつ資源的に豊富な材料であり、透明で導電性を有することから、透明導電材料としての利用が期待されている。特に、酸化亜鉛は、異種元素の添加により導電性が向上することが知られている。特許文献1(特開2009−087898号公報)には、AD法を用いたアルミニウムドープ酸化亜鉛透明導電膜の製造方法が開示されている。
しかしながら、従来の無機粉末はエアロゾル化し難く、粉末の供給速度が低いという問題がある。また、粉末をAD法成膜装置のチャンバに安定的に供給することも容易なことではなかった。
特開2009−087898号公報
本発明者らは、今般、エアロゾルデポジション法に用いられる原料粉末として、流動性が低い所定の無機粉末を敢えて用いることで、粉末の供給速度が予想外にも大幅に向上するとの知見を得た。さらに、この流動性が低い無機粉末に所定の振動数で振動を加えながらエアロゾル化することにより、粉末の供給を大幅に安定化できるとの知見も得た。
したがって、本発明の目的は、エアロゾルデポジション法に用いた際に、粉末の供給速度を向上し、かつ、粉末の供給を安定化することが可能な成膜原料粉末を提供することにある。
本発明の一態様によれば、エアロゾルデポジション法において成膜原料として用いられる無機粉末であって、該無機粉末がセラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなり、カー(Carr)の流動性指数が0〜23である、無機粉末が提供される。
本発明の別の一態様によれば、エアロゾルデポジション法による無機被膜の製造方法であって、
上記の態様による無機粉末を用意する工程と、
前記無機粉末をエアロゾル化する工程と、
前記エアロゾル化した無機粉末を基板に噴射して衝突させることにより無機被膜を形成する工程と、
を含んでなる、方法が提供される。
本発明の更に別の一態様によれば、エアロゾルデポジション法に適した無機粉末を選定する方法であって、
セラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなる無機粉末の候補を用意する工程と、
前記無機粉末の候補のカー(Carr)の流動性指数を測定する工程と、
前記測定された流動性指数が0〜23である無機粉末をエアロゾルデポジション法に用いる無機粉末として選定する工程と、
を含んでなる、方法が提供される。
本発明の製造方法に用いられる成膜装置の一例を示す概略模式図である。
無機粉末
本発明による無機粉末は、AD法において成膜原料として用いられるものである。この無機粉末は、セラミックス及び/又は金属からなる複数ないし無数の無機粒子を含んでなる。セラミックス及び金属はAD法によって成膜可能な材質としてよく知られている。そして、本発明は、このような材料の無機粉末として、流動性が極めて低い又はかなり低いものを敢えてAD法に用いることを提案するものである。
すなわち、前述のとおりAD法はエアロゾル化された原料粒子が高速で基板に衝突させる工程を含むため、エアロゾルとしてAD成膜装置のチャンバに送り込まれる原料粉末は、流動性が高い方が有利なものと信じられてきた。しかしながら、本発明者らの今般の知見によれば、予想外なことに、流動性が低い所定の無機粉末を敢えて用いることで、粉末の供給速度が大幅に向上する。その上、エアロゾル化に際し、この無機粉末に10〜100Hz、より好ましくは20〜40Hzという特異的な振動数で振動を加えることで、エアロゾル化室内で原料粒子が凝集することなく攪拌及び循環され、安定的にエアロゾルを発生させることが可能となり、その結果、チャンバ内への粉末の供給を大幅に安定化させることができる。
本発明において無機粉末の低い流動性は、カー(Carr)の流動性指数が0〜23であることによって特定され、より好ましくは10〜23であり、さらに好ましくは15〜23である。カー(Carr)の流動性指数は、粉体の流動性を示す総合的な表示法としてよく知られる指標であり、市販の粉体特性評価装置を用いて、安息角、見掛密度、圧縮度、スパチュラ角、及び凝集度を測定して、得られた測定値を表1に示される公知のカー(Carr)の流動性指数表に当てはめて指数に換算し、得られた指数の合計を算出することにより決定することができる。なお、表1の欄外に注記されるように、圧縮度は付着性の強い微粉で凝集度が測定できる場合に使用される指標であり、凝集度の測定が不可能な粒状又は粒状の粉で均一度が測定できる場合には圧縮度の代わりに均一度を使用することができる。粉体特性評価装置としては、ホソカワミクロン(株)製のパウダテスタPT−Xが好ましく例示される。
上記流動性指数を満たす無機粉末は、カー(Carr)の噴流性指数が25〜47であるのが好ましく、より好ましくは30〜47である。また、本発明による無機粉末はカー(Carr)の噴流性指数の決定因子の一つとして、安息角の値と崩壊角の値の差として定義される差角が、20.0°以上であるのが好ましく、より好ましくは20.0〜40.0°である。このような範囲の指標を満たす無機粉末は、粉末の供給速度の向上及び粉末の供給の安定化をより確実に実現することができる。カー(Carr)の噴流性指数もまた粉体の噴流性を示す指標としてよく知られたものであり、市販の粉体特性評価装置を用いて、崩壊角、差角、及び分散度を測定して、得られた測定値を上述した流動性指数と共に表2に当てはめて指数に換算し、得られた指数の合計を算出することにより決定することができる。粉体特性評価装置としては、ホソカワミクロン(株)製、パウダテスタPT−Xが好ましく例示される。
Figure 2013193919
Figure 2013193919
パウダテスタを用いた各指標の測定方法の一例を以下に示すが、測定方法の詳細は公知であり、早川宗八郎編「粉体物性測定法」朝倉書店(1973)等の公知文献を参照することができる。
(安息角)
安息角は、パウダテスタに付属された篩を振動し、漏斗を通して円形テーブル上に試料が供給されたときにできる山の傾斜角より測定される。
(見掛密度)
ゆるみ見掛密度は、パウダテスタに付属された篩を振動し、シュートを通して試料を落下させ、容器(通常100cm)に受けた時の密度より測定される。固め見掛密度は、試料を受けた容器(通常100cm)を規定の回数(180回)タッピングさせ、衝撃で容器(通常100cm)に固めた時の密度より測定される。平均見掛密度(kg/m)は下記式に基づき算出される。
平均見掛密度(kg/m)=(ゆるみ見掛密度+固め見掛密度)/2
(圧縮度)
圧縮度は下記式に基づき算出される。
圧縮度(%)=(固め見掛密度−ゆるみ見掛密度)/固め見掛密度×100
(スパチュラ角)
スパチュラ角は、スパチュラ上に試料を充填した後、スパチュラを上昇(パウダテスタではバットを下降)させ、スパチュラ上に堆積する試料の斜面傾斜角により測定される。
(凝集度)
表3に示される目開き径を有する上段、中段及び下段からなる標準篩を用いて、所定時間及び強さで振動させ、篩上残量に基づいて下記式から凝集度を評価した。
凝集度[%]
=[w/w+(w/w)×3/5+(w/w)×1/5)×100
:試料投入量
:上段篩上残量
:中段篩上残量
:下段篩上残量
Figure 2013193919
(均一度)
試料の粒子径測定値が、上記篩(下段)の目開き以上の場合の評価であり、以下の式により測定される。
均一度=60%径/10%径(粒子径分布からの粒子径の累積データ)
(崩壊角)
崩壊角は、安息角を作っている山に衝撃を与え、崩壊した時の山の傾斜角より測定される。
(差角)
差角は、差角=安息角−崩壊角の式により算出される。
(分散度)
分散度は、試料を一定の高さから落下させ、下に置いたウォッチグラスに残る量から下記式に従い算出される。
分散度[%]=(試料投入量−ウォッチグラス上残量)/試料投入量×100
本発明による無機粉末は、セラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなる。セラミックス及び金属としては、エアロゾル化された原料粒子として高速で基板に衝突させた際に塑性変形して成膜可能なものであれば特に限定されず、あらゆる材質のものが使用可能であるが、セラミックスが好ましい。セラミックスとしては、金属酸化物の他、炭化物、窒化物、ホウ化物等の無機化合物であってよいが、金属酸化物が好ましい。金属酸化物の例としては、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化珪素等が挙げられるが、酸化亜鉛が安価かつ資源的に豊富な材料であり、かつ、透明で導電性を有することから好ましい。
本発明による無機粉末は、酸化亜鉛結晶からなる無機粒子で構成されるが特に好ましく、この酸化亜鉛結晶はドーパント元素及び/又は酸素欠損を含んでいてもよい。ドーパント元素及び/又は酸素欠損を含ませることで導電性等の性能を付与又は向上させることができる。もっとも、無機粉末が所定の流動性を有するかぎり、酸化亜鉛結晶はドーパント元素及び/又は酸素欠損を含んでいなくてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、酸化亜鉛結晶はドーパント元素を含む。ドーパント元素の好ましい例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタン、ケイ素、マグネシウム、コバルト、リチウム、マンガン、鉄、銅、及びこれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくはアルミニウムである。これらのドーパント元素は、結晶構造を歪み易くするだけでなく、酸化亜鉛被膜の導電性を向上することもできる。ドーパント元素は、酸化亜鉛粒子中に0.01〜1モル%の量で固溶されてなるのが好ましい。この態様による酸化亜鉛粉末は、素原料としての酸化亜鉛粉末と、ドーパント元素含有化合物の粉末とを所定の比率で混合し、得られた混合粉末を焼成し、所望により焼成後の粉末を粉砕して粒度調整することにより好ましく作製することができる。混合粉末の焼成は、大気中1100〜1500℃で1〜10時間行われるのが好ましい。また、焼成後に粉砕を行って粒度調整を行うのが好ましい。
本発明の別の好ましい態様によれば、酸化亜鉛結晶は酸素欠損を含む。酸素欠損は定量測定が困難なものであるが、フォトルミネッセンス測定における緑色発光強度によってその存在を確認することは可能である。この態様による酸化亜鉛粉末は、素原料としての酸化亜鉛粉末を低酸素雰囲気下で熱処理し、所望により熱処理後の粉末を粉砕して粒度調整することにより好ましく作製することができる。低酸素雰囲気の例としては、真空、不活性ガス、還元性ガス、及びそれらの組合せが挙げられる。不活性ガスの好ましい例としては、アルゴン、窒素等が挙げられる。還元性ガスの好ましい例としては水素ガスが挙げられる。低酸素雰囲気下での熱処理は900〜1200℃で行われるのが好ましい。
本発明の更に別の好ましい態様によれば、酸化亜鉛結晶はドーパント元素及び酸素欠損の両方を含むものであってもよい。この態様による酸化亜鉛粉末の製造は、上述したドーパント元素を含む態様による製造方法と酸素欠損を含む態様による製造方法とを適宜組み合わせることにより行うことができる。
本発明による酸化亜鉛粉末は、体積基準D50平均粒径が0.5μm以上であるのが好ましく、より好ましくは1.0〜10.0μmである。このような粒径であるとAD法における成膜速度が向上する。この体積基準D50平均粒径は、粒度分布測定装置によって測定することができる。
本発明による無機粉末は、上記好ましい態様を含め、いかなる方法により製造されたものであってもよく、使用しようとする無機粉末が所望の流動性指数及び噴流性指数等を満たしているのであれば、それをそのままAD法用原料粉末として用いればよい。また、使用しようとする無機粉末が所望の流動性指数及び噴流性指数等を満たしていない場合には、流動性や噴流性に影響を与えることが可能な何らかの化学的及び/又は物理的な処理を無機粉末に対して施すことが望ましい。そのような処理としては、例えば、酸化亜鉛粒子に添加するドーパント量を変えること、熱処理後の粒径調整のための粉砕条件(例えば時間、回転数、玉石の種類やサイズ)を調整すること、熱処理条件(例えば温度、時間及び/又は雰囲気)を変えること等の手法によって粉末特性を適宜変化させることで、所望の流動性指数や噴流性指数等を満たすように調整してもよい。
無機粉末を選定する方法
上述したカー(Carr)の流動性指数等を用いることにより、AD法に適した無機粉末を選定することができる。この無機粉末の選定方法は、セラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなる無機粉末の候補を用意する工程と、無機粉末の候補のカー(Carr)の流動性指数を測定する工程と、測定された流動性指数が0〜23である無機粉末をエアロゾルデポジション法に用いる無機粉末として選定する工程とを含むことができる。また、選定工程の前に、無機粉末の候補のカー(Carr)の噴流性指数を測定する工程を更に含み、選定される無機粉末が25〜47の噴流性指数を更に満たすようにするのが好ましい。
無機被膜の製造方法
本発明による無機粉末を用いてAD法に付することにより無機被膜を高い成膜速度で製造することができる。この製造方法は、所望の流動性指数や噴流性指数等を満たす無機粉末を用意する工程と、この無機粉末をエアロゾル化する工程と、エアロゾル化した無機粉末を基板に噴射して衝突させることにより無機被膜を形成する工程とを含んでなる。この手法自体は公知のAD法の手順に従って行うことができる。
その際、エアロゾル化する工程において、無機粉末に10〜100Hzの振動数で振動が付与されるのが好ましく、より好ましくは20〜40Hzである。このような特異的な振動数をエアロゾル化されている無機粉末に加えることで、エアロゾル化室内で原料粒子が凝集することなく攪拌及び循環され、安定的にエアロゾルを発生させることが可能となり、その結果、チャンバ内への粉末の供給を大幅に安定化することができる。
このような製造方法を行うための成膜装置の一例が図1に示される。図1に示される成膜装置20は、大気圧より低い気圧の雰囲気下で原料粉末を基板上に噴射するAD法に用いられる装置として構成されている。この成膜装置20は、原料成分を含む原料粉末のエアロゾルを生成するエアロゾル生成部22と、原料粉末を基板21に噴射して原料成分を含む膜を形成する成膜部30とを備えている。エアロゾル生成部22は、原料粉末を収容し図示しないガスボンベからのキャリアガスの供給を受けてエアロゾルを生成するエアロゾル生成室23と、生成したエアロゾルを成膜部30へ供給する原料供給管24と、エアロゾル生成室23及びその中のエアロゾルに10〜100Hzの振動数で振動が付与する加振器25とを備えている。成膜部30は、基板21にエアロゾルを噴射する成膜チャンバ32と、成膜チャンバ32の内部に配設され基板21を固定する基板ホルダ34と、基板ホルダ34をX軸−Y軸方向に移動するX−Yステージ33とを備えている。また、成膜部30は、先端にスリット37が形成されエアロゾルを基板21へ噴射する噴射ノズル36と、成膜チャンバ32を減圧する真空ポンプ38とを備えている。この成膜装置20は、成膜チャンバ32内に加熱装置や耐熱部材等を設けて原料粉末を加熱できるように構成されてもよい。例えば、原料粉末が単結晶化する温度での加熱処理を行えるように石英ガラスやセラミックス等の耐熱部材を用いてもよい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1
(1)Alドープ酸化亜鉛粉末の作製
酸化亜鉛1種粉末(正同化学工業(株)製)と、酸化アルミニウム粉末(住友化学工業(株)製、AKP−20)とをアルミニウムのモル分率が0.1mol%となるように秤量した。これらの粉末を調合し、ポットミルにおいてφ2mmのジルコニアボール及びイオン交換水を使用して24時間湿式混合した。得られたスラリーを取り出し、乾燥機において乾燥させて混合粉末を得た。得られた混合粉末を大気下において1400℃で5時間熱処理し、粒径調整として熱処理粉末をポットミルにおいてφ2mmのジルコニアボール及びイオン交換水を使用して3時間湿式粉砕した。こうして得られたスラリーを取り出し、乾燥機で乾燥して、Alドープ酸化亜鉛粉末を得た。
(2)流動性指数等の測定
得られた試料粉末に対して、粉体特性評価装置(ホソカワミクロン(株)製、パウダテスタPT−X)を用いて、流動性特性値として、安息角、見掛密度、圧縮度、スパチュラ角、及び凝集度を測定するとともに、噴流性特性値として、崩壊角、差角、及び分散度を前述した方法に準拠して測定した。粉体特性評価装置の操作は、基本的にパウダテスタPT−Xの取り扱い説明書に従い行い、得られた特性値を表1(カーの流動性指数表)及び表2(カーの噴流性指数表)に当てはめて指数に換算し、得られた指数の合計を流動性指数及び噴流性指数としてそれぞれ算出した。これらの測定結果は表4及び5に示されるとおりであった。
(3)成膜チャンバへの粉末供給量の測定
図1に示されるAD法成膜装置を用意した。この装置のエアロゾル化室23に酸化亜鉛粉末100gを入れ、真空ポンプ及びマントルヒーターを用いて300℃で1時間の真空乾燥を行い、乾燥酸化亜鉛粉末を得た。乾燥酸化亜鉛粉末の入ったエアロゾル化室23を加振器25にセットし、エアロゾル化室23を振動させながら以下の測定条件にてエアロゾル噴射を行った。
‐ノズルのサイズ:10×0.8mm
‐Nガス流速:6.0L/min
‐成膜チャンバ内圧力:120Pa
‐移動距離(1ステップ):12mm
‐ステップ数:60
‐スキャン速度:1mm/sec
‐加振器の振動数:29.0Hz
‐加振器の振動振幅:1mm
エアロゾル噴射後、エアロゾル化室より残留酸化亜鉛粉末50gを得た。エアロゾル噴射前後での重量変化から、チャンバ内への供給量は50gと算出された。また、この供給量を成膜時間(12分)で割ることにより、供給速度は4.2g/minと算出された。上記同様のエアロゾル噴射実験を計5回行ったところ、最大供給量は50g、最大供給速度は4.2g/minであり、最小供給量は46g、最小供給速度は3.8g/minであった。表に記載の供給速度はこれらの平均値4.0g/minを使用した。さらに、安定供給の目安として供給バラツキという指標を設け、下記式:
供給バラツキ[%]=(供給量最大値−供給量最小値)/(供給量最大値)×100
により算出したところ、供給バラツキは8%であった。なお、上記式において、供給量最大値及び供給量最小値は5回測定した内の最大値及び最小値である。
例2
熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕時間を7時間としたこと以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例3
アルミニウムのモル分率を1.0mol%としたこと、及び熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕時間を5時間としたこと以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例4
アルミニウムのモル分率を1.0mol%としたこと、熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕時間を3時間としたこと、及び最終の乾燥工程により得られた粉砕粉末を更に真空下にて900℃で5時間熱処理したこと以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例5
酸化亜鉛1種粉末(正同化学工業(株)製)を真空下において900℃で5時間熱処理して、ノンドープの酸化亜鉛粉末を得た。得られた粉末に対して例1と同様の評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例6(比較)
アルミニウムのモル分率を0.01mol%としたこと、及び熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕時間を5時間としたこと以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例7(比較)
熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕を行わなかったこと以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例8(比較)
熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕時間を10時間とした以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例9(比較)
アルミニウムのモル分率を1.0mol%としたこと、大気下における熱処理の温度を500℃としたこと、及び熱処理後の粒径調整のための湿式粉砕時間を5時間としたこと以外は例1と同様にして、Alドープ酸化亜鉛粉末の作製及び評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例10(比較)
酸化亜鉛1種粉末(正同化学工業(株)製)を真空下において500℃で5時間熱処理して、ノンドープの酸化亜鉛粉末を得た。得られた粉末に対して例1と同様の評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
例11(比較)
酸化アルミニウム粉末(住友化学工業(株)製、AKP−20)を大気下において700℃で5時間熱処理し、粒径調整として熱処理粉末をポットミルにおいてφ2mmのジルコニアボール及びイオン交換水を使用して3時間湿式粉砕した。こうして得られたスラリーを取り出し、乾燥機で乾燥して、アルミナ粉末を得た。得られた粉末に対して例1と同様の評価を行ったところ、表4及び5に示されるとおりの結果が得られた。
Figure 2013193919
Figure 2013193919
表4及び5に示される結果から、予想外なことに、カーの流動性指数が0〜23である例1〜5の粉末は流動性の程度が「かなり低い」又は「極めて低い」ものであるが(表4参照)、相対的に流動性が高い例6〜11の粉末と比較して、粉末の供給速度が顕著に高いことが分かる(表5参照)。そして、カーの流動性指数が0〜23である例1〜5の粉末は、25〜47であるカーの噴流性指数や20.0°以上の差角も満たしており、これらの指標は本発明の無機粉末をより好ましく特定する要件となりうることも分かる。そして、例1〜5のような、上記指数を満たす粉末に10〜100Hzの振動を加えることで、供給量の最大変動率を示す供給バラツキが10%未満にまで改善された。これは、エアロゾル化室内で原料粒子が凝集することなく攪拌及び循環され、安定的にエアロゾルを発生させることが可能となり、その結果、粉末のチャンバ内への供給が安定化されたものと考えられる。
一方、例6〜10の酸化亜鉛粉末は流動性指数等の上記要件を満たさないものであり、その結果、供給速度及び供給安定度は共にかなり劣るものであった。例11のアルミナ粉末も上記要件を満たさない結果、供給速度及び供給安定度は共にかなり劣るものであった。このことから、各種の酸化亜鉛粉末を用いて得られた上記知見は、アルミナ粉末を始めとする各種の無機粉末にも適用可能なものと考えられる。
20 成膜装置
21 基板
22 エアロゾル生成部
23 エアロゾル生成室
24 原料供給管
25 加振器
30 成膜部
32 成膜チャンバ
33 X−Yステージ
34 基板ホルダ
36 噴射ノズル
37 スリット
38 真空ポンプ

Claims (14)

  1. エアロゾルデポジション法において成膜原料として用いられる無機粉末であって、該無機粉末がセラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなり、カー(Carr)の流動性指数が0〜23である、無機粉末。
  2. カー(Carr)の流動性指数が10〜23である、請求項1に記載の無機粉末。
  3. カー(Carr)の噴流性指数が25〜47である、請求項1又は2に記載の無機粉末。
  4. カー(Carr)の噴流性指数の決定因子の一つとして、安息角の値と崩壊角の値の差として定義される差角が、20.0°以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無機粉末。
  5. 前記無機粒子がセラミックスを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機粉末。
  6. 前記セラミックスが金属酸化物を含んでなる、請求項5に記載の無機粉末。
  7. 前記セラミックスが酸化亜鉛を含んでなる、請求項5に記載の無機粉末。
  8. 前記無機粒子が、ドーパント元素及び/又は酸素欠損を含んでいてもよい酸化亜鉛結晶からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の無機粉末。
  9. エアロゾルデポジション法による無機被膜の製造方法であって、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の無機粉末を用意する工程と、
    前記無機粉末をエアロゾル化する工程と、
    前記エアロゾル化した無機粉末を基板に噴射して衝突させることにより無機被膜を形成する工程と、
    を含んでなる、方法。
  10. 前記エアロゾル化する工程において、前記無機粉末に10〜100Hzの振動数で振動が付与される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記振動数が20〜40Hzである、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の無機粉末の、エアロゾルデポジション法における成膜原料としての使用。
  13. エアロゾルデポジション法に適した無機粉末を選定する方法であって、
    セラミックス及び/又は金属からなる複数の無機粒子を含んでなる無機粉末の候補を用意する工程と、
    前記無機粉末の候補のカー(Carr)の流動性指数を測定する工程と、
    前記測定された流動性指数が0〜23である無機粉末をエアロゾルデポジション法に用いる無機粉末として選定する工程と、
    を含んでなる、方法。
  14. 前記選定工程の前に、前記無機粉末の候補のカー(Carr)の噴流性指数を測定する工程を更に含み、前記選定される無機粉末が25〜47の噴流性指数を更に満たすものである、請求項13に記載の方法。
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