好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
開閉操作部5を開動操作して挟持部若しくは切断部となる開閉作業部4を開動動作させてこの開閉作業部4、即ち対向する第一半体1と第二半体2との先端部間の間隔を広げ、この間隔を広げた先端部間に被挟持物若しくは被切断物となる対象物3を配置しこの対象物3に第一半体1、第二半体2夫々の先端部を当接させた状態にする(この時点ではまだ対象物3に挟持力若しくは切断力は加えられていない)。
この際、間隔調整機構15を、対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整し得る構成とした場合は、当接部7と受部6との離間間隔は開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさ(厚みや径の大小)によって変動する(具体的には、対象物3の大きさが大きいほど離間間隔は広くなる)ので、この変動した離間間隔を間隔調整機構15で調整して所望の離間間隔に設定する。
また、間隔調整機構15を、対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔が開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさが変動しても変わらず一定の離間間隔となる構成とした場合は、対象物3の大きさによって当接部7と受部6との離間間隔が変動しないので、離間間隔は予め設定した離間間隔になる。
この開閉作業部4に対象物3を配置し当接部7と受部6との離間間隔を所望の離間間隔に設定した状態、若しくは、対象物3の大きさに関わらず一定の離間間隔とした状態で、開閉操作部5即ち対向する第一半体1と第二半体2との基端部に閉じ方向となる内方に押圧する閉力を増大させながら加えてゆくと、この開閉操作部5は、第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9を動作支点として閉動してゆき、この開閉操作部5の閉動によって開閉作業部4には閉動しようとする力が作用しこれが挟持力若しくは切断力となり、この挟持力若しくは切断力は開閉操作部5に加えられる閉力の増大に伴って増大しながら対象物3を挟持若しくは切断することとなる。
また、本発明においては、対象物3を開閉作業部4で挟持した状態で開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、上記したように対象物3に対して挟持力若しくは切断力が増大しながら作用すると共に開閉操作部5が内方に撓み可動し、この開閉操作部5が撓み可動することによってこの開閉操作部5は閉動動作し、この開閉操作部5の撓み可動による閉動動作によって当接部7と受部6とが接近してゆき当接する。
この際、例えば開閉操作部5に閉力を加えてゆく操作を握持操作若しくは指先摘み操作によって行う場合は、開閉操作部5が撓み可動した際の反作用の力(復帰弾性力)をこの開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作している手や指先で感じ取ることができ、この反作用を感じ取ることで作業者は対象物3を挟持していることを容易に認識することができるので、作業者は挟持状態を見ずとも安心して作業を続けることができる。
この当接部7と受部6とが当接すると、それまで交差枢着部9の一つだった開閉操作部5の動作支点が、当接部7と受部6とが当接する当接点10も動作支点として加わり、開閉操作部5の動作支点は、交差枢着部9と当接点10との二つとなる。
この当接部7と受部6とが当接して開閉操作部5の動作支点が二つになった状態からも引き続き開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、更に開閉操作部5は内方に撓み可動することで閉動操作可能であるが、この開閉操作部5に増大させながら加えていった閉力を挟持力若しくは切断力として開閉作業部4に伝達する伝達比は、当接部7と受部6とが当接する前の閉力を挟持力若しくは切断力として開閉作業部4に伝達する伝達比に比べて減じるように変化する。
言い換えると、開閉操作部5に閉力を加えてゆくことで変位する開閉操作部5の変位量(第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との所定位置における離間間隔の変位量)に対する開閉作業部4の挟持力若しくは切断力の増大する割合が減じるように変化する。
この伝達比が減じる変化とは、当接部7と受部6とが当接すると、対象物3を挟持する挟持力若しくは対象物3を切断する切断力の増大する割合が低下する、言い換えると、挟持力若しくは切断力が当接前に比べて緩やかに増大してゆくような変化や、いくら開閉操作部5に閉力を増大させながら加えていっても、当接部7と受部6とが当接すると、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が変化せずに一定の挟持力若しくは切断力を維持するような変化や、当接部7と受部6とが当接すると、開閉操作部5に閉力を増大しながら加えてゆくほど、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が減少してゆくような変化を意味し、これらいずれの変化を伴う構成でも良い。
従って、いずれにしても当接部7が受部6に当接した状態では、開閉操作部5に加えた閉力が開閉作業部4に挟持力若しくは切断力として伝わり難くなるので、対象物3を挟持若しくは切断する際、従来の開閉作業具に比べて開閉操作部5を大きな操作量で操作することができ、よって、微妙な力加減を要する操作、言い換えると、開閉作業部4の挟持力若しくは切断力が急激に増大しないように開閉操作部5を微少な閉動量で調整しなければならない操作を、閉動量の大きな操作で操作することができるようになり微妙な力加減を要する際の操作性が向上する。
しかも、本発明は、対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整する、若しくは、対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔が一定の離間間隔となるようにする間隔調整機構15を備えたので、この間隔調整機構15を対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整し得る構成とした場合は、開閉作業部4で挟持した対象物3の大きさ(厚みや径の大小)によって変動する当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整することができるので、開閉操作部5に加えた閉力が伝わり難くなる作用が生じるまでに開閉作業部4で挟持している若しくは切断している対象物3に作用する挟持力若しくは切断力を自在に調整することができ、また、間隔調整機構15によって対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔が一定の離間間隔となるように構成した場合は、当接部7と受部6との離間間隔が開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさに関わらず一定の離間間隔となるので、開閉操作部5に加えた閉力が伝わり難くなる作用が生じるまでに開閉作業部4で挟持している若しくは切断している対象物3に作用する挟持力若しくは切断力を挟持している対象物3の大きさに関わらず一定にすることができる。
即ち、この間隔調整機構15によって開閉作業部4で対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔を所望の離間間隔に調整若しくは予め設定することで、開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4に所定値以上の挟持力や切断力が伝わらないように構成することも容易にできる構成であり、これによって、開閉操作部5に閉力を加え過ぎても、開閉作業部4で挟持若しくは切断している対象物3に所定値以上の大きな挟持力若しくは切断力が作用しないように構成することができるため、対象物3を潰してしまう、壊してしまう、キズを付けてしまう、或いは、切断したくないところを切断してしまうことを防止できる極めて優れた開閉作業具となる。
従って、本発明は、このような特性を活かして様々な用途に使用することができ、しかも、このような画期的な作用効果を発揮する構成を簡易な構成で実現することができる画期的な開閉作業具となる。
本発明の具体的な実施例について図1〜図6に基づいて説明する。
本実施例は、第一半体1と第二半体2とを途中で交差枢着して、この第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9よりも先端側の対向する第一半体1と第二半体2との先端部を挟持部とする開閉作業部4とし、交差枢着部9よりも基端側の対向する第一半体1と第二半体2とを開閉操作部5として、この開閉操作部5を閉じ方向となる内方に押圧する閉力を加えることで開閉作業部4が閉動して対象物3を挟持する挟持作業具に構成した開閉作業具において、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、この開閉操作部5に加えられた閉力が所定の閉力に達した時点でこの開閉操作部5に加えられた閉力を開閉作業部4に挟持力として伝える伝達比が減じるように変化する構成、言い換えると、開閉操作部5に加えた閉力が挟持力として開閉作業部4に伝わり難くなる構成としたものである。
具体的には、開閉操作部5に閉力を加えて開閉作業部4を閉動させ対象物3を挟持する際、対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させるに従い開閉操作部5が内方に撓み可動するように構成し、この開閉操作部5が内方に撓み可動することによって当接する当接部7と受部6とを備えると共に、対象物3を挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整し得る間隔調整機構15を備えた構成とし、この間隔調整機構15によって所望の離間間隔に調整した当接部7と受部6とが当接した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させてゆくと、この開閉操作部5は更に内方に撓み可動することによって閉動操作可能であるが、この開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4に伝達する伝達比は、当接部6と受部7との当接前の伝達比に比して減じるように構成している。
より具体的には、第一半体1及び第二半体2は、金属または合成樹脂からなる細長い帯板状部材を所定形状に形成した構成(本実施例においては金属を採用した構成、具体的にはアルミ板材若しくはステンレス板材を採用した構成)とし、また、夫々の先端部を対象物3(被挟持物)を挟持し得る形状に構成し基端部を握持操作若しくは指先摘み操作し得る形状に構成し、本実施例は、このように構成した第一半体1と第二半体2とを、夫々の先端部と基端部との境界位置で交差重合して枢着して、この第一半体1と第二半体2とを交差枢着した交差枢着部9よりも先端側を第一半体1と第二半体2との夫々の先端部が対向してなる挟持部とする開閉作業部4とし、交差枢着部9よりも基端側を第一半体1と第二半体2との夫々の基端部が対向してなる開閉操作部5とし、この開閉作業部4と開閉操作部5は交差枢着部9を支点に開閉回動自在とした構成としている。
即ち、この第一半体1と第二半体2との夫々の基端部を対向状態に配設して構成した開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5に内方へ押圧する(開閉操作部5の対向間隔が狭まるように)閉力を加えることで、第一半体1と第二半体2が前記交差枢着部9を支点に回動して開閉作業部4が閉動すると共に開閉操作部5に加えた閉力がこの開閉作業部4に挟持力として伝達されて対象物3を加えた閉力に応じた挟持力で挟持する構成としている。
また、図1に示すように、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部は、夫々、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1(第二半体2)の基端部を内方に撓み可動させる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、この撓み部11に当接部7を設けて、この当接部7を撓み部11が内方に撓み可動することによって後述する受部6に当接する構成としている。
具体的には、撓み可動因部8は、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部の交差枢着部9寄りの位置に設け、また、この第一半体1の基端部の他の部位よりも厚みを薄くして前記他の部位よりも剛性を低くして撓み部11を撓み可動し易い構成とすると共に、先端側が外方に凸となる湾曲形状、基端側が内方に凸となる湾曲形状の略S字状に形成した構成としている。
また、撓み部11は、この撓み可動因部8によって内方に撓み可動する開閉操作部5であり、本実施例においては、撓み可動因部8の一部(基端側)もこの撓み部11に含む構成としている。
即ち、第一半体1、第二半体2夫々の基端部は、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくことで撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動し、この撓み部11が内方に撓み可動することによってこの撓み部11に設けた当接部7が内方に移動し、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で受部6と当接するように構成している。
尚、本実施例では、撓み可動因部8を他の部位の厚みよりも薄くすることで撓み部11を撓み可動し易い構成としたが、本実施例と同様の作用効果を発揮する構成であれば上記に限らず適宜採用するものとし、例えば第一半体1の基端部を棒状体で構成した場合は撓み可動因部8の径を他の部位に比べて細くした構成としたり、例えば、撓み可動因部8と他の部位との材質を変えた構成(撓み可動因部8を他の部位よりも剛性の低い材質ものを採用する)としても良い。
また、この開閉操作部5を構成する第一半体1、第二半体2夫々の基端部(具体的には撓み部11)に設けた当接部7がこの開閉操作部5が撓み可動して閉動することで当接する受部6は、対向する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部との間に配設した間隔調整機構15に設けた構成としている。
具体的には、間隔調整機構15は、交差枢着部9から開閉操作部5の基端側に突設したガイド部16と、このガイド部16に沿って移動自在に設けた受部6と、この受部6の移動位置を操作する受部位置操作部19とで構成している。
より具体的には、ガイド部16は帯板状に形成すると共に先端側に交差枢着部9を係合する枢設部を設け基端側に受部位置操作部19が螺嵌する雄ネジ部17を設けた構成とし、この雄ネジ部17に螺嵌した受部位置操作部19を回動操作することで、この帯板状のガイド部16にスライド移動自在に設けた受部6がガイド部16に沿って移動する構成としている。
また、この受部6は、先細り形状、具体的には、先端側(交差枢着部9側)に行くに連れて徐々に細くなる錘状体(本実施例では、四角錘)に形成して、この受部6と当接する当接部7との離間間隔が当接する箇所によって変動するように構成している。
即ち、受部6は、当接部7が先端側と当接するほど離間間隔が広くなり基端側と当接するほど離間間隔が狭くなる形状に形成している。
よって、本実施例の間隔調整機構15は、この受部6の位置を、受部位置操作部19を操作して調整することで当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整することができる構成とし、具体的には、受部位置操作部19を回動操作して受部6をガイド部16の先端側に移動させることで当接部7は受部6の幅が広い(太い)基端側と当接することとなるので離間間隔を狭くする方向に調整でき、また、受部位置操作部19を回動操作して受部6をガイド部16の基端側に移動させることで当接部7は受部6の幅が狭い(細い)基端側と当接することとなるので離間間隔を広くする方向に調整できるように構成している。
尚、本実施例では受部6を錘状体(四角錘)に形成して離間間隔を無段階に調整できる構成としたが、例えば、受部6を段階的に先細る形状に形成した構成としても良い。
このように、本実施例の開閉操作部5は、第一半体1、第二半体2夫々の基端部の握持操作若しくは指先摘み操作によって閉力を加える力点部13に閉力を加えてゆくと、撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して開閉操作部5が内方に閉動してゆき、この開閉操作部5が内方に撓み可動して閉動してゆくことで間隔調整機構15によって所望の離間間隔となるように位置を調整した受部6に接近してゆき、この開閉操作部5に加えてゆく閉力が所定値に達した際にこの当接部7が受部6に当接するように構成している。
また、本実施例は、この当接部7と受部6とが当接する当接点10が、開閉操作部5の閉動動作時の二つ目の動作支点となるように構成した力伝達比変動機構12を具備した構成とし、当接部7が受部6に当接した状態で開閉操作部5に加えてゆく閉力を増大させてゆくと、当接部7と受部6とが当接する前の開閉操作部5の支点となる交差枢着部9に加えてこの当接点10も支点となり、開閉操作部5は二つの動作支点で動作し、この動作支点が二つになることで開閉操作部5に増大させながら加えていった閉力を挟持力として開閉作業部4に伝達する伝達比が減じるように変化する構成としている。
具体的には、本実施例においては、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、当接部7と受部6とが当接するまでは、この開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部のいずれも交差枢着部9を動作支点として閉動すると共にこの開閉操作部5に加えた閉力に応じた挟持力が開閉作業部4に作用し、当接部7と受部6とが当接した以降、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、この開閉操作部5の閉動時の動作支点が二つ目の動作支点となる当接点10に変動し、この当接点10よりも基端側(力点部13側)の開閉操作部5は閉動し、この当接点10よりも先端側(交差枢着部9側)の開閉操作部5は外方に広がろうとする力(開動しようとする力)が作用し、この当接点10よりも先端側が外方に広がろうとする(開動しようとする)作用によって、開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4に伝達する伝達比が減じるように構成している。
この伝達比が減じる変化とは、本実施例の上記構成とした場合は、当接部7と受部6とが当接すると、開閉操作部5に閉力を増大しながら加えてゆくほど、開閉作業部4の挟持力が減少してゆくような変化を意味するものであり、即ち、本実施例は、開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接し開閉操作部5の閉動操作時の支点が二つになった時点の開閉作業部4の挟持力が最大挟持力(挟持力のピーク値)となり、この当接部7と受部6とが当接した以降、更に閉力を増大させながら加えてゆくと、この閉力を増大させるに連れて開閉作業部4の挟持力が低下してゆく構成としている。
尚、本実施例は上述のように対象物3を挟持する開閉挟持具とした構成としているが、第一半体1と第二半体2の先端部を、対象物3を挟持し得る形状に構成する代わりに対象物3を切断し得る形状、即ち切断刃に構成して前記開閉作業部4を切断部とする開閉切断具とした構成としても良い。
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
図2は、開閉作業部4で対象物3を挟持していない状態を示しており、この図2の状態から開閉作業部4で対象物3を挟持した状態を示したものが図3である。このように、開閉作業部4で対象物3を挟持することにより当接部7と受部6との離間間隔が広がる。
この当接部7と受部6との離間間隔は、開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさ(厚さや径の大小)によって変動し、対象物3の大きさが大きいほど離間間隔は広くなる。
この当接部7と受部6との離間間隔が広くなるほど、当接部7と受部6とを当接状態にするためには、開閉操作部5に大きな閉力を加えなければならない。即ち、本実施例は、開閉操作部5が加えられた閉力によって内方に撓み可動することで当接部7と受部6とが当接するように構成したので、当接部7と受部6との離間間隔が広いほど、開閉操作部5をより大きく撓み可動させないと当接部7と受部6とが当接せず、この開閉操作部5をより大きく撓み可動させるには、より大きな閉力を開閉操作部5に加えなければならないこととなる。
しかし、この開閉操作部5に大きな閉力を加えることによって、対象物3を挟持している開閉作業部4により大きな挟持力が作用することとなり、例えば、潰れ易いものや破損し易いもの、或いはキズが付き易いものといったデリケートな対象物3を挟持する場合、大きな挟持力が作用することでこのデリケートな対象物3を潰したり、破損させたり、キズを付けたりしてしまう可能性があり、よって、このようなデリケートな対象物3を挟持する場合は、このデリケートな対象物3を潰したり破損させたりキズを付けたりしないような小さな挟持力で挟持する必要がある。
この点、本実施例は、当接部7と受部6との離間間隔を間隔調整機構15で広狭自在に調整できるので、対象物3を挟持したことによって広がった離間間隔を狭めて、対象物3に作用する挟持力を小さくすることができ、よって、開閉操作部5に大きな閉力を加えなくても当接部7を受部6に当接させることができる。
具体的には、図4に示すように、間隔調整機構15によって受部6の位置を移動させて、当接部7との当接位置を変えることで離間間隔を調整することができる。
より具体的には、本実施例は、受部6を先端側が細い先細り形状に形成したので、対象物3に作用する挟持力を小さくしたい場合ほど、受部位置操作部19をねじ込み操作して受部6を先端側へ移動させることで、この受部6の基端側、即ち横幅(横方向厚さ)の厚い個所が当接部7との当接位置になることによって離間間隔が狭まり、この離間間隔が狭まることで開閉操作部5の閉動操作量(撓み可動量)が少ない状態、即ち、開閉操作部5に加える閉力が小さい段階で当接させることができ、これによって、開閉作業部4の挟持力を小さくすることができることとなる。
即ち、図4のように、受部6を先端側に移動させて当接部7と、この当接部7が当接する受部6の位置との離間間隔を狭めた場合は、図5に示すように、開閉操作部5は、少ない閉動操作量で当接部7と受部6が当接することとなる。
また、図6に示すように、受部6を図5よりも基端側に移動させて当接部7と受部6との離間間隔を図5の場合よりも広げた場合は、図5の開閉操作部5の閉動操作量よりも多い操作量で当接部7と受部6とが当接することとなり、よって、開閉作業部4が対象物3を挟持する挟持力は図5の場合よりも大きくなる。
この間隔調整機構15で当接部7と受部6との離間間隔を所望の離間間隔に調整した状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、第一半体1、第二半体2の双方の基端部に設けた夫々の撓み可動因部8によって第一半体1、第二半体2夫々の撓み部11が内方に撓み可動して開閉操作部5が閉動し、この開閉操作部5の閉動に伴い、撓み部11に設けた当接部7も内方に移動して間隔調整機構15に設けた受部6に接近してゆき当接する。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、開閉操作部5を構成する第一半体1、第二半体2夫々の基端部は、当接部7と受部6とが当接した当接点10を動作支点にして、この当接点10よりも基端側(閉力を加える力点部13側)が内方に閉動し、当接点10よりも先端側が外方に開動し、この当接点10よりも先端側が外方に開動することで、開閉作業部4は交差枢着部9を動作支点として開動することとなり、この開閉作業部4が開動動作することによってこの開閉作業部4の挟持力は低下(減少)してゆくこととなる。
即ち、本実施例は、当接部7と受部6とが当接した時点が開閉作業部4の最大挟持力(ピーク値)となるので、この当接部7と受部6とが当接するための条件設定、即ち、当接部7と受部6との離間間隔を変えることで、本実施例の対象物3を挟持する最大挟持力を所望の値に設定することができ、また、このような挟持力のピーク値の設定が間隔調整機構15で受部6を移動させるだけの極めて容易な操作で簡単に設定することができる実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
従って、本実施例の開閉作業具で挟持操作によって潰したくないもの、壊したくないもの、或いは表面にキズを付けたくないものなどデリケートな構造の対象物3を挟持する際、開閉作業部4に対象物3を潰さない、壊さない、或いは表面にキズを付けない挟持力で且つ十分に対象物3を挟持することが可能な挟持力が生じる所定の閉力を加えた際に当接部7と受部6とが当接するように離間間隔を調整することで、この対象物3を開閉作業部4で潰したり、破損させたり、或いはキズを付けたりしないように開閉操作部5の閉じ操作を微妙な閉力で調整しながら慎重に操作することなく、単に対向する開閉操作部5を互いに内方の閉じ方向に押圧させる閉力を増大させながら加える操作、例えば握持操作や指先での摘まみ操作といった極めて簡易な操作をするだけで上述したようなデリケートな構造の対象物3を潰したり、破損させたり、或いは表面にキズを付けたりすることなく簡単に挟持することができるので余計な気を使う必要がなくなり作業がし易くなり、更に、従来に比してスピーディーに操作できるので作業効率も格段に向上する実用性、作業性に優れた画期的な開閉作業具となる。
本発明の具体的な実施例について図7〜図11に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、当接部7を第一半体1の基端部に設け、受部6を第二半体2の基端部に設け、この受部6を設けた第二半体2に間隔調整機構15を設けて、この間隔調整機構15によって受部6が可動して当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整し得る構成とした場合である。
具体的には、本実施例の開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部は、実施例1の第一半体1の基端部と同様の構成であり、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1の基端部を内方に撓み可動させる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、この撓み部11に当接部7を設けて、この当接部7を撓み部11が内方に撓み可動することによって後述する第二半体2の基端部に設けた受部6に当接するように構成している。
具体的には、撓み可動因部8は、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部の交差枢着部9寄りの位置に設け、また、この第一半体1の基端部の他の部位よりも厚みを薄くして前記他の部位よりも剛性を低くして撓み部11を撓み可動し易い構成とすると共に、先端側が外方に凸となる湾曲形状、基端側が内方に凸となる湾曲形状の略S字状に形成した構成としている。
また、撓み部11は、この撓み可動因部8によって内方に撓み可動する開閉操作部5であり、本実施例においては、撓み可動因部8の一部(基端側)もこの撓み部11に含む構成としている。
即ち、第一半体1の基端部は、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくことで撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動し、この撓み部11が内方に撓み可動することによってこの撓み部11に設けた当接部7が内方に移動し、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で受部6と当接するように構成している。
尚、本実施例では、撓み可動因部8を他の部位の厚みよりも薄くすることで撓み部11を撓み可動し易い構成としたが、本実施例と同様の作用効果を発揮する構成であれば上記に限らず適宜採用するものとし、例えば第一半体1の基端部を棒状体で構成した場合は撓み可動因部8の径を他の部位に比べて細くした構成としたり、例えば、撓み可動因部8と他の部位との材質を変えた構成(撓み可動因部8を他の部位よりも剛性の低い材質ものを採用する)としても良い。
また、上述した第一半体1の基端部と共に開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部は、外方に凸となる湾曲形状に形成し、先端側(交差枢着部9側)に第一半体1の基端部に設けた当接部7と当接する受部6を設けた構成としている。
この受部6は弾性変形自在な構成とし、具体的には、第一半体1の基端部の当接部7に押圧されて弾性変形し得る構成としている。
より具体的には、本実施例の受部6は、板面を受け面とする湾曲した帯板状体に形成した構成とし、この板状体に形成した受部6の基端部を固定し先端部を自由端として第二半体2の基端部に内方に向かって突出した状態に設けた構成としている。
また、この受部6は、間隔調整機構15によって可動自在に構成しており、この間隔調整機構15は、第二半体2の基端部のこの受部6よりも基端側に設けた構成としている。
具体的には、この間隔調整機構15は、受部6を設ける可動板部23と、この可動板部23を押動する押動部24とで構成し、この押動部24を押動方向に移動させて可動板部23を押動することで、この可動板部23に設けた受部6を当接部7に接近する方向に移動させて当接部7と受部6との離間間隔を調整し得る構成としている。
より具体的には、可動板部23は、円弧状に湾曲した帯板状弾性体で構成し、基端部を第二半体2の基端部に設け先端部を自由端にし、この自由端とした先端部には受部6を設ける受部固設部32を設けた構成としている。
また、押動部24は雄ネジから成り、この雄ネジから成る押動部24は第二半体2の基端部に設けた雌ネジ部26を有する押動部取付け部25に螺着し、回動螺動操作によって進退自在に設けた構成としている。
即ち、本実施例における間隔調整機構15は、雄ネジから成る押動部24を螺挿する方向に回動螺動操作してこの押動部24を前進させることで、この押動部24の先端部が可動板部23の受部固設部32に当接してこれを押圧し、この受部固設部32が押動部24に押圧されることで円弧状可動板部23が弾性変形して円弧の形状が広がり、この可動板部23の広がり変形によって受部固設部32は前方且つ稍上方へ移動し、この受部固設部32が前方且つ上方へ移動することで、この受部固設部32に設けた受部6が当接部7に接近してこの当接部7と受部6との離間間隔が狭まるように構成している。
即ち、本実施例の開閉操作部5は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で、この第二半体2の基端部に設けた間隔調整機構15で受部6を可動させて、対象物3を挟持したことによって広がった当接部7と受部6との離間間隔を所望の間隔まで狭め、この当接部7と受部6との離間間隔を所望の離間間隔に調整した状態で、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくと第一半体1の基端部の先端側に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動し、この撓み部11が内方に撓み可動することでこの撓み部11に設けた当接部7が内方に移動してゆき、この内方に移動していった当接部7は、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で第二半体2の基端部に設けた受部6と当接し、この当接部7と受部6とが当接した後も引き続き開閉操作部5に閉力を加えてゆくと、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部は共に閉動し開閉操作部5自体は閉動操作可能であり、更に受部6は当接部7に押圧されて弾性変形する構成としている。
また、本実施例では、この開閉操作部5の内方への撓み可動(具体的には、第一半体1の基端部の撓み部11の内方への撓み可動)によって当接し合う当接部7と受部6との当接点10が第一半体1の基端部の閉動時の動作支点となるように構成してこれを力伝達比変動機構12とし、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えていった際、当接部7と受部6とが当接していない状態においては、この開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部のいずれも交差枢着部9を動作支点として閉動し、当接部7と受部6とが当接した状態で更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、第二半体2の基端部は引き続き交差枢着部9を動作支点として閉動するが、第一半体1の基端部は当接部7と受部6とが当接する当接点10を動作支点として閉動する構成とし、この当接部7と受部6とが当接して第一半体1の基端部の動作支点が交差枢着部9から当接点10に変動することで、開閉操作部5に加えた閉力を挟持力として開閉作業部4に伝達する伝達比が減じるように構成している。
この伝達比が減じる変化とは、本実施例においては、開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の挟持力が増大していかないような変化を意味するものであり、即ち、開閉操作部5に閉力を加えてゆき当接部7と受部6とが当接し、第一半体1の基端部の動作支点が交差枢着部9から当接点10に変動した時点から、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても、開閉作業部4の挟持力は当接部7と受部6とが当接した時点の挟持力から変化せず、略一定の挟持力が維持される変化を意味するものである。
尚、本実施例は上述のように対象物3を挟持する開閉挟持具とした構成としているが、第一半体1と第二半体2の先端部を対象物3を挟持し得る形状に構成する代わりに、対象物3を切断し得る形状、即ち切断刃に構成して前記開閉作業部4を切断部とする開閉切断具とした構成としても良い。
上述のように構成した本実施例の作用・効果について以下に説明する。
図7は、開閉作業部4で対象物3を挟持していない状態を示しており、この図7の状態から開閉作業部4で対象物3を挟持した状態を示したものが図8である。このように、開閉作業部4で対象物3を挟持することにより当接部7と受部6との離間間隔が広がる。
この当接部7と受部6との離間間隔は、開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさ(厚さや径の大小)によって変動し、対象物3の大きさが大きいほど離間間隔は広くなる。
この当接部7と受部6との離間間隔が広くなるほど、当接部7と受部6とを当接状態にするためには、開閉操作部5に大きな閉力を加えなければならない。即ち、本実施例は、開閉操作部5が加えられた閉力によって内方に撓み可動することで当接部7と受部6とが当接するように構成したので、当接部7と受部6との離間間隔が広いほど、開閉操作部5をより大きく撓み可動させないと当接部7と受部6とが当接せず、この開閉操作部5をより大きく撓み可動させるには、より大きな閉力を開閉操作部5に加えなければならないこととなる。
しかし、この開閉操作部5に大きな閉力を加えることによって、対象物3を挟持している開閉作業部4により大きな挟持力が作用することとなり、例えば、潰れ易いものや破損し易いもの、或いはキズが付き易いものといったデリケートな対象物3を挟持する場合、大きな挟持力が作用することでこのデリケートな対象物3を潰したり、破損させたり、キズを付けたりしてしまう可能性があり、よって、このようなデリケートな対象物3を挟持する場合は、このデリケートな対象物3を潰したり破損させたりキズを付けたりしないような小さな挟持力で挟持する必要がある。
この点、本実施例は、当接部7と受部6との離間間隔を間隔調整機構15で広狭自在に調整できるので、対象物3を挟持したことによって広がった離間間隔を狭めて、対象物3に作用する挟持力を小さくすることができる。
具体的には、図9に示すように、間隔調整機構15によって受部6の位置を移動させて、当接部7との当接位置を変えることで離間間隔を調整することができる。
より具体的には、本実施例は、間隔調整機構15の雄ネジから成る押動部24を螺挿する方向に回動螺動操作してこの押動部24を前進させることで、この押動部24の先端部が受部6を設けた可動板部23の受部固設部32に当接してこれを押圧し、この受部固設部32が押動部24に押圧されることによって受部6を当接部7側に移動させて離間間隔を狭める調整を行っている。
この離間間隔が狭まることで開閉操作部5の撓み量(閉動操作量)が小さい状態、即ち、開閉操作部5に加える閉力が小さい段階で当接させることができ、これによって、開閉作業部4の挟持力を小さくすることができることとなる。
この間隔調整機構15で当接部7と受部6との離間間隔を所望の離間間隔に調整した状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図10に示すように、第一半体1の基端部に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して第一半体1の基端部が閉動し、第一半体1の基端部の閉動に伴い、撓み部11に設けた当接部7も内方に移動して第二半体2に設けた受部6に接近してゆき当接する。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、図11に示すように、開閉操作部5の一側の第一半体1の基端部が撓み可動因部8によって内方に撓み可動して閉動し、この第一半体1の基端部の閉動によって第二半体2に設けた受部6が当接部7に押圧されて弾性変形し、この受部6の弾性変形によって当接部7と受部6とが当接している当接点10が第二半体2側へ移動し、この当接点10が第二半体2側へ移動することによって開閉操作部5に加える閉力が開閉作業部4に伝達されなくなる。
よって、当接部7と受部6とが当接した以降、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の対象物3を挟持する挟持力は増大せずに略一定の挟持力を維持することとなる。
このように、本実施例は、間隔調整機構15で受部6を当接部7側に移動させて当接部7と受部6との離間間隔を広狭自在に調整することができ、この離間間隔の広狭を自在に調整することで、当接部7と受部6とが当接するまでに対象物3に作用する挟持力を自在に調整することができ、よって、強い挟持力で挟持したくないデリケートな対象物3を挟持する場合も、この間隔調整機構15で離間間隔を狭める調整を行い開閉作業部4の挟持力を抑えることで安心して挟持操作することができる実用性に優れた画期的な開閉作業具となる。
その余は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例について図12〜図17に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1において、当接部7を第一半体1の基端部に設け、受部6を第二半体2の基端部に設け、当接部7と受部6との一方を、内方に長さを有する形状に形成すると共に、開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさによって受部6が当接する位置が変動するが開閉作業部4で対象物3を挟持した状態の当接部7と受部6との離間間隔は変動しない形状に構成して間隔調整機構15を構成した場合である。
即ち、実施例1,実施例2に示す開閉作業具は、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みが厚いほど、若しくは径が大きいほど、これを挟持した際の当接部7と受部6との離間間隔は広がり、この離間間隔が広がるほど当接部7と受部6とを当接させるために大きな閉力を開閉操作部5に加えることとなり、この当接部7と受部6とが当接するまでに開閉操作部5に加えられる閉力が大きいほど、開閉作業部4に作用する挟持力も大きくなるので、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合は、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合に比べて最大挟持力、即ち当接部7と受部6とが当接した以降の一定の挟持力の値が大きくなってしまうので、この厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持することで、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合よりも広くなった離間間隔を狭めて開閉作業部4に作用する最大挟持力を減じるための間隔調整機構15を設けた構成としており、この間隔調整機構15を操作して離間間隔を所望の離間間隔に調整することで厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合でも、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合と同じ最大挟持力に設定することが可能となるが、本実施例は、この実施例1や実施例2で示したような間隔調整機構15を設けずとも、また、一々当接部7と受部6との離間間隔を調整する操作をしなくても、単に開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆき閉動操作するだけで、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合と、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合とで、最大挟持力が同等になるように構成した開閉作業具である。
具体的には、図12に示すように、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第一半体1の基端部を内方に撓み可動させる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、この撓み部11に当接部7を設けて、この当接部7を撓み部11が内方に撓み可動することによって後述する第二半体2の基端部に設けた受部6に接近し当接するように構成している。
具体的には、撓み可動因部8は、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部の交差枢着部9寄りの位置に設け、また、この第一半体1の基端部の他の部位よりも厚みを薄くして前記他の部位よりも剛性を低くして撓み部11を撓み可動し易い構成とすると共に、先端側が外方に凸となる湾曲形状、基端側が内方に凸となる湾曲形状の略S字状に形成した構成としている。
また、撓み部11は、この撓み可動因部8により内方に撓み可動する開閉操作部5の一部であり、本実施例においては、撓み可動因部8の一部(基端側)もこの撓み部11に含む構成としている。
即ち、第一半体1の基端部は、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくことで撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動し、この撓み部11が内方に撓み可動することによってこの撓み部11に設けた当接部7が内方に移動し、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で受部6と当接するように構成している。
尚、本実施例では、撓み可動因部8を他の部位の厚みよりも薄くすることで撓み部11を撓み可動し易い構成としたが、本実施例と同様の作用効果を発揮する構成であれば上記に限らず適宜採用するものとし、例えば第一半体1の基端部を棒状体で構成した場合は撓み可動因部8の径を他の部位に比べて細くした構成としたり、例えば、撓み可動因部8と他の部位との材質を変えた構成(撓み可動因部8を他の部位よりも剛性の低い材質ものを採用する)としても良い。
また、この撓み部11に設けた当接部7は、内方に長さを有する形状に形成し、具体的には、後述する第二半体2の基端部が交差枢着部9を支点として開閉動作する際にこの第二半体2の基端部に設けた受部6が前記開閉動作に伴って移動する移動軌跡に沿った形状の帯板状に形成すると共に、受部6との当接面を凹凸形状(本実施例では、鋸歯形状)に形成した構成としている。
また、開閉操作部5を構成する第二半体2の基端部は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に加える閉力を増大させた際にこの第二半体2の基端部を内方に撓み可動させる撓み可動因部8と、この撓み可動因部8により撓み可動する撓み部11とから成り、この撓み部11に受部6を設けて、この受部6を撓み部11が内方に撓み可動することによって第一半体1の基端部に設けた当接部7に接近し当接するように構成している。
具体的には、撓み可動因部8は、開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部の交差枢着部9寄りの位置に設け、また、この第一半体1の基端部の他の部位よりも厚みを薄くして前記他の部位よりも剛性を低くして撓み部11を撓み可動し易い構成とすると共に、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した構成としている。
また、撓み部11は、この撓み可動因部8によって内方に撓み可動する開閉操作部5の一部であり、本実施例においては、撓み可動因部8の一部(基端側)もこの撓み部11に含む構成としている。
即ち、第二半体2の基端部は、開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作して閉力を加えてゆくことで撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動し、この撓み部11が内方に撓み可動することによってこの撓み部11に設けた受部6が内方に移動し、開閉操作部5に加えられた閉力が所定値に達した時点で当接部7と当接するように構成している。
従って、本実施例は、開閉操作部5に閉力を加えてゆくことで第一半体1、第二半体2の夫々の撓み可動因部8によって夫々の撓み部11が内方に撓み可動し、この第一半体1、第二半体2夫々の撓み部11が内方に撓み可動することによって、当接部7と受部6とが夫々内方に移動し互いに接近して当接するように構成している。
また、この第二半体2の基端部の撓み部11に設けた受部6は、弾性変形自在に構成しており、具体的には、具体的には、内方に凸となる湾曲形状(円弧状)に形成した弾性板31と、この弾性板31の先端に設けた係止爪28とで構成し、この係止爪28の先端部が当接部7の凹凸形状に形成した当接面の凹部に嵌合して当接するように構成している。
また更に、受部6は、第二半体2の基端部が交差枢着部9を支点にして開閉動作する際に、第一半体1の基端部に設けた当接部7の当接面に沿って移動すると共に、この当接部7の当接面と受部6の先端部(具体的には、係止爪28の先端部)との離間間隔が一定の離間間隔を維持した状態で移動するように構成している。
本実施例は、このように構成した当接部7と受部6とで間隔調整機構15を構成しており、この間隔調整機構15によって開閉作業部4で挟持する対象物3の大きさが変動しても当接部7と受部6との離間間隔は変動せず一定の離間間隔を維持する構成としている。
即ち、この間隔調整機構15によって、厚みが厚い対象物3や径が大きい対象物3を挟持した場合、受部6は、帯板状に形成した当接部7の帯板先端側に位置し、また、厚みが薄い対象物3や径が小さい対象物3を挟持した場合、受部6は、帯板基端側に位置して、対象物3の厚みや径の大小によって当接部7に対する位置が変動するが、この位置が変動しても、当接部7の当接位置までの離間間隔は変動せずに一定の離間間隔を維持して、開閉作業部4に対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆきこの開閉操作部5が撓み可動因部8によって撓み可動し閉動する際、常に所定の閉力が加えられた時点で受部6と当接部7とが当接するように構成している。
このように構成した本実施例の作用を以下に説明する。
図13は、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態(対象物3には殆ど挟持力は作用していない)を示している。この開閉作業部4で対象物3を挟持している状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図14に示すように、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の夫々に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方が閉動し、この第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方の閉動に伴い、夫々の基端部に設けた当接部7と受部6とがこの閉動に伴って内方に移動して互いに接近してゆき当接する(具体的には、受部6を構成する係止爪28の先端部が、凹凸形状に形成した当接部7の当接面の凹部33と嵌合状態に当接する)。
この当接部7と受部6とが当接した状態となっても、更に開閉操作部5に閉力を増大させながら加えてゆくと、図15に示すように、開閉操作部5の一側の第一半体1の基端部が撓み可動因部8によって内方に撓み可動して閉動し、この第一半体1の基端部の閉動によって第二半体2に設けた受部6が当接部7に押圧され、この受部6が押圧されることで受部6を構成する弾性板31が弾性変形し、この弾性板31の弾性変形によって当接部7と受部6とが当接している当接点10が第二半体2側へ移動し、この当接点10が第二半体2側へ移動することによって開閉操作部5に加える閉力が開閉作業部4に伝達されなくなる。
よって、当接部7と受部6とが当接した以降、いくら開閉操作部5に閉力を加えていっても開閉作業部4の対象物3を挟持する挟持力は増大せずに略一定の挟持力を維持することとなる。
また、図16は、図13で示す対象物3よりも径の大きな対象物3を挟持した状態を示している。
この図16と図13を比較すると、当接部7の長さ方向に対する受部6の位置に差があり、径の大きな対象物3を挟持した場合を示す図16の受部6のほうが当接部7の先端側に位置しているが、受部6と当接部7との離間間隔は差が見られない。
よって、この図16の状態から開閉操作部5を握持操作若しくは指先摘み操作してこの開閉操作部5の力点部13に閉力を増大させながら加えてゆくと、図17に示すように、第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の夫々に設けた撓み可動因部8によって撓み部11が内方に撓み可動して開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方が閉動し、この第一半体1の基端部と第二半体2の基端部の双方の閉動に伴い、夫々の基端部に設けた当接部7と受部6とがこの閉動に伴って内方に移動して互いに接近してゆき当接する。
この図17と径の小さい対象物3を挟持した場合の図14を比較すると、当接部7と受部6との当接位置は変化するが、当接部7と受部6とが当接するまでに閉動する開閉操作部5の移動量(変位量)は略同じであり、即ち、開閉操作部5に加えられた閉力が同じ値で当接部7と受部6とが当接することとなり、よって、開閉作業部4に挟持されている対象物3に作用する挟持力も径の大小に関わらず同等の閉力が作用することとなる。
このように、本実施例は、開閉作業部4で挟持する対象物3の厚みや径の大きさが変動しても、当接部7と受部6とが当接するまでに加えられる閉力が一定であり、よって、対象物3の厚みや径の大きさに関わらず、常にこの対象物3に作用する最大挟持力は一定の値となる。
その余は、実施例1と同様である。
本発明の具体的な実施例について図18〜図20に基づいて説明する。
本実施例は、実施例3において、開閉作業部4で対象物3を挟持した状態で開閉操作部5に閉力を加えてゆくことによってこの開閉操作部5が内方に撓み可動した際に、この撓み可動の反作用によって開閉操作部5が開動することを防止する開閉操作部開動ロック機構34を備えた場合である。
具体的には、この開閉操作部開動ロック機構34は、ラチェット機構によって開閉操作部5を構成する第一半体1の基端部、第二半体2の基端部夫々の動作方向を一方向、具体的には、閉動方向に制限するように構成しており、より具体的には、第一半体1の基端部に第一半体側ラチェット歯部35を設け、第二半体2の基端部に第二半体側ラチェット歯部36を設け、この第一半体側ラチェット歯部35と第二半体側ラチェット歯部36とは夫々、開閉操作部5が閉動し得る移動量に応じた長さ(例えば、前記移動量と同等若しくは稍長めの長さ)を有し、開閉操作部5の閉動時の閉動動作軌跡に沿った形状に形成した構成としている。
尚、第一半体側ラチェット歯部35、第二半体側ラチェット歯部36の形状は、上述の構成に限らず、例えば、第一半体側ラチェット歯部35、第二半体側ラチェット歯部36の一方の長さを短く(ラチェット歯の数を少なく)した形状に構成しても良い。
本実施例は上述のように構成したので、開閉操作部5に加えている閉力を弱めても、開閉操作部5が撓みの反作用(復帰弾性力)によって開動せず、よって、握持操作や指先摘み操作をし続けなくても開閉操作部に一定の閉力が加えられている状態を維持することができる実用性に優れた開閉作業具となる。
その余は、実施例3と同様である。
尚、本発明は、実施例1〜4に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。