JP2013193087A - 揺動鍛造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】上型に改良を加えることで揺動軸部材が疲労破壊するまでの揺動の繰返し回数を従来の装置に比して格段に増加させることのできる揺動鍛造装置を提供する。
【解決手段】その上面に凹溝2bを備えた下型2と、その下面1aから揺動軸部材3が下型側に突設する上型1と、から構成され、凹溝2bに載置された鍛造前駆体mに対して揺動軸部材3とその周囲の上型の下面1aaが当接し、揺動軸部材3を中心に上型1が揺動して鍛造前駆体mを鍛造して鍛造品を製造する揺動鍛造装置10であり、揺動軸部材3をその軸心に沿って切断した縦断面視において、揺動軸部材3の先端形状は半径rの円弧状を呈しており、該円弧の円弧中心Oと揺動軸部材3の軸心上にある揺動中心P0との間の離間をLとした際に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たす。
【選択図】図1
【解決手段】その上面に凹溝2bを備えた下型2と、その下面1aから揺動軸部材3が下型側に突設する上型1と、から構成され、凹溝2bに載置された鍛造前駆体mに対して揺動軸部材3とその周囲の上型の下面1aaが当接し、揺動軸部材3を中心に上型1が揺動して鍛造前駆体mを鍛造して鍛造品を製造する揺動鍛造装置10であり、揺動軸部材3をその軸心に沿って切断した縦断面視において、揺動軸部材3の先端形状は半径rの円弧状を呈しており、該円弧の円弧中心Oと揺動軸部材3の軸心上にある揺動中心P0との間の離間をLとした際に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たす。
【選択図】図1
Description
本発明は回転形式の鍛造装置に属する揺動鍛造装置に関するものである。
鍛造によって材料を塑性加工し、所望形状の鍛造品を製造する方法は一般的であるが、この鍛造には、上型と下型からなる鍛造装置の一方の型をスライドさせ、この過程で材料を加圧変形させる自由鍛造や、型内に材料を押出す押出し鍛造、パンチとダイスからなる閉塞空間に材料を充填し、加圧する型鍛造のほか、下型の上面に材料を載置し、上型を材料の上で相対的に回転させたり、揺動させることによって鍛造する回転鍛造、揺動鍛造などがある。また、この鍛造においては、1000℃程度の温度雰囲気下でおこなう熱間鍛造や300〜800℃程度の範囲の温度雰囲気下でおこなう温間鍛造、常温雰囲気下でおこなう冷間鍛造など、鍛造温度にもバリエーションがあり、鍛造品の大きさや材料種、材料の変形抵抗や変形能、鍛造設備の制約や製造数量の多少など、様々な因子が勘案されて最適な鍛造法が選定されている。
上記する種々の鍛造法のうち、環状部材やその一部に凹溝を具備する部材などを鍛造する際には揺動鍛造が適用されることが多く、たとえば特許文献1,2において揺動鍛造用の金型や方法の開示がある。
この揺動鍛造では、その前段階で冷間成形や熱間成形で凹溝や貫通孔を備えた鍛造前駆体を製造しておき、次工程で鍛造装置に鍛造前駆体を収容して揺動鍛造をおこない、鍛造品を製造する方法が適用される。特に、このように凹溝や貫通孔を備えた鍛造前駆体に対して揺動鍛造をおこなうのではなくて、揺動鍛造装置にて直接孔成形をおこなおうとすると、揺動鍛造装置の中でも特に鍛造時に負荷のかかる揺動軸部材(もしくはマンドレル)が一度の揺動鍛造にて破損してしまう危険性があることから、予め製造された鍛造前駆体に対して揺動鍛造するのは効果的である。なお、このような鍛造前駆体に開設される凹溝や貫通孔に関しては、これら凹溝や貫通孔の深さが少ない場合は最終鍛造品の有する深さの凹溝等を鍛造前駆体に設けておくことができる。また、CVTシーブのような小径で深い孔を鍛造前駆体の成形段階で成形するのは困難なことから、このような場合には揺動鍛造の際に揺動軸部材に過度の負荷が作用しない程度の孔を鍛造前駆体に設けておくのがよい。
このように予め凹溝等が設けられた鍛造前駆体を揺動鍛造装置にて揺動鍛造することにより、揺動軸部材が即時に破損する危険性は解消できるものの、比較的少ない繰返し回数の揺動による疲労破壊を避けることはできない。
疲労破壊に至るまでに製造可能な鍛造品の個数が多ければよいが、実際には少ない個数の鍛造品の製造によって揺動軸部材が疲労破壊し(鍛造品の大きさや材料種などによって疲労破壊までの製造可能個数が変化することは勿論である)、そのメンテナンスや交換を比較的頻繁におこなう必要性があることが多い。
ここで、従来の揺動鍛造装置の一実施の形態を図7に示している。同図において、揺動鍛造装置Kを構成する下型K2にはその中央に凹溝Rが設けてあり、上型K1の下面はすり鉢状に形成され(図では中心に向かってテーパー状となっている)、その中心に揺動軸部材Mが上型K1の下面から突設する態様で嵌め込まれている。
ここで、揺動軸部材Mの先端形状はマンドレルの軸心に沿って切断した縦断面視(図のように見た断面視)において略矩形状(矩形断面の隅角部が若干切欠かれている)を呈している。このような断面形状の揺動軸部材Mが嵌め込まれた上型K1は、その軸心CLを通る揺動軸部材Mの先端を揺動中心として、同図における左右方向をはじめ、3次元的に揺動しながら(X方向)鍛造前駆体mを揺動鍛造する。
図示する揺動鍛造装置Kの作用を参照しながら揺動鍛造方法を概説すると、熱間成形等で予め貫通孔を具備した形状で成形された溶融金属からなる鍛造前駆体mが下型K2の凹溝R内に嵌め込まれた後、上型K1が鍛造前駆体mの上方に位置決めされ、上型K1が揺動中心P0を中心に揺動しながらフランジ上面を押圧し(押圧力q)て側方に塑性変形され(Y1方向、Y2方向に塑性変形)、さらには、鍛造前駆体mの貫通孔の内周面の上方が所望形状に塑性変形されることにより、所望形状のフランジや貫通孔を具備するシーブ等の鍛造品が製造される。なお、この揺動鍛造は温間成形や冷間成形でおこなわれる。
図7で示すように、従来の揺動鍛造装置Kでは、たとえば図示の状態において、揺動軸部材Mには図における左側面の作用点P1で塑性変形した鍛造前駆体mから押圧力Q1が作用する。一方、この際に揺動軸部材Mはその右側面の作用点P2で上型K1から支持される(支持力をQ2としている)。
この力の作用と発生断面力を図8にモデル化している。同図で示すように、図7の状態では揺動軸部材Mは支持点P2を固定端とし、この固定端から張り出した片持ち梁モデルにモデル化することができ、この片持ち梁に対して作用点P1の位置に集中荷重Q1が作用した荷重載荷モデルに置き換えることができる。
このような荷重載荷モデルにおいて、揺動軸部材Mには図示するように上に凸の曲げモーメント1が生じることになるが、このように片持ち梁に生じる曲げモーメントは、2点支持梁の中央等の位置に集中荷重が作用した際に生じる曲げモーメントに比して大きなモーメントとなるのが一般的である。
上型K1が揺動を繰返しながら鍛造品を製造するに当たり、揺動のたびに揺動軸部材Mにはこのように多大な曲げモーメント1が生じることから、既述するように、比較的少ない繰返し回数の揺動によって疲労破壊に至ってしまう。
本発明者等はこのことに着目し、上型に改良を加えることで揺動軸部材が疲労破壊するまでの揺動の繰返し回数を従来の装置に比して格段に増加させることのできる揺動鍛造装置の発案に至っている。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、上型に改良を加えることで揺動軸部材が疲労破壊するまでの揺動の繰返し回数を従来の装置に比して格段に増加させることのできる揺動鍛造装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による揺動鍛造装置は、その上面に凹溝を備えた下型と、その下面から揺動軸部材が下型側に突設する上型と、から構成され、前記凹溝に載置された鍛造前駆体に対して前記揺動軸部材とその周囲の上型の下面が当接し、該揺動軸部材を中心に上型が揺動して鍛造前駆体を鍛造して鍛造品を製造する揺動鍛造装置であって、前記揺動軸部材をその軸心に沿って切断した縦断面視において、該揺動軸部材の先端形状は半径rの円弧状を呈しており、該円弧の円弧中心と揺動軸部材の軸心上にある揺動中心との間の離間をLとした際に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たすものである。
本発明の揺動鍛造装置は、上型においてその下面から突設するようにして配設された揺動軸部材の先端形状に改良を加え、具体的には揺動軸部材をその軸心に沿って切断した縦断面視においてその先端形状を半径rの円弧状としたものである。
そして、半径rの円弧の円弧中心と揺動軸部材の軸心上にある揺動中心との間の離間をLとした際に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たすように揺動中心を設定したものである。このような構成を適用することにより、揺動軸部材が揺動の際に鍛造前駆体から集中荷重を受けた際に、揺動軸部材は図8で示すような片持ち梁となってこの集中荷重を受ける代わりに、2点支持梁となってこの梁の任意箇所に集中荷重を受ける荷重載荷態様を形成できる。そのため、揺動軸部材に生じ得る最大曲げモーメント(もしくは最大主応力)を従来の揺動鍛造装置に比して格段に低減することができ、疲労破壊までの揺動の繰返し回数を格段に増加させることができるものである。
ここで、揺動中心の設定方法としては、上型を球座に設置することで揺動中心を設定することができる(球座を構成する球の中心と一致することになる)。
また、本発明の揺動鍛造装置において、「上型」、「下型」とは、文字通り2つの型が上下に配設されている構成を意味することのほか、揺動鍛造装置が横向きで使用され、たとえば上型が右側、下型が左側に配されて使用される形態や、傾斜した態様で上下の型が使用される形態なども含むものであり、2つの型が上下の関係にあることのみを対象とするものではない。
また、上型内に揺動軸部材が配設される態様に関し、上型に比して疲労破壊等が顕著な揺動軸部材の素材を相対的に高強度のものとして揺動軸部材と上型を別体に成形して双方が組み付けられた形態のほか、揺動軸部材と上型がたとえば高強度の素材で一体成形された形態であってもよい。
さらに、上型の下面の形状形態は、上型を揺動させて鍛造される、鍛造前駆体を構成するフランジの形状等によって決定できる。たとえば、揺動軸部材の周囲の上型の下面が上に凸のすり鉢状を呈している形態、逆に揺動軸部材の周囲の上型の下面が下に凸のすり鉢状を呈している形態などが挙げられる。
0≦L/2r≦0.1なる関係式は本発明者等による解析結果に基づくものであり、このL/2rを変数としてコンピュータ内における揺動軸部材を含む上型モデルを種々作成し、それぞれのモデルにおいて揺動軸部材(を含む上型)を揺動させた際に該揺動軸部材に生じ得る最大主応力を特定した解析結果によるものである。
揺動軸部材先端の円弧中心よりも揺動中心が揺動軸部材の先端側に存在する場合(この場合はL/2rの値をマイナスとする)は、荷重載荷モデルが図8で示す片持ち梁に近づいてしまうことが特定されており、このことから、L/2r=0(すなわち、円弧中心と揺動中心が一致している)をその下限値として規定している。
一方、L/2rの値が0以上で二点支持梁モデルに基づく荷重載荷モデルとなるが、揺動中心と円弧中心が一致するケース(L/2r=0)よりも、むしろ若干円弧中心に比して揺動中心が揺動軸部材の上方位置にある場合(L/2r>0)の最大主応力が小さくなることも特定されている。
そして、L/2rを変化させた際の最大主応力に関するグラフを作成した際に、L/2r=0.1を変曲点として0.1以上では最大主応力がサチュレートすること、および、L/2r=0の際の最大主応力とL/2r=0.1の際の最大主応力が同程度の値となることより、L/2r=0.1をその上限値として規定している。
半径rの円弧状を呈する揺動軸部材の先端の形状形態に関しては、多様な形態を挙げることができる。
その一つは、揺動軸部材のうち、上型の下面から突設している箇所が、断面円弧状の曲面体からなる形態であり、他の一つは半球体からなる形態である。
また、その他の形態として、円柱体と断面円弧状の曲面体のユニット体からなる形態や、円柱体と半球体のユニット体からなる形態が挙げられる。
上記いずれの形状形態であっても、揺動軸部材の先端の断面形状が少なくとも円弧状の領域を具備することで揺動軸部材の軸心上に円弧中心を規定することができ、これと揺動中心の間の関係が上記関係式を満たすように揺動中心を設定することが可能となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の揺動鍛造装置によれば、揺動軸部材をその軸心に沿って切断した縦断面視においてその先端形状を半径rの円弧状とし、揺動軸部材の先端形状は半径rの円弧状を呈しており、該円弧の円弧中心と揺動軸部材の軸心上にある揺動中心との間の離間をLとした際に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たす構成としたことによって、揺動軸部材に生じ得る最大主応力を従来の揺動鍛造装置に比して格段に低減することができ、疲労破壊までの揺動の繰返し回数を格段に増加させることができ、揺動軸部材のメンテナンス回数や交換回数を大きく低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の揺動鍛造装置の実施の形態を説明する。
(揺動鍛造装置の実施の形態)
図1は本発明の揺動鍛造装置の実施の形態の模式図であり、揺動姿勢において揺動軸部材に荷重が作用している状況をともに示した図であり、図2は図1で示す揺動鍛造装置において揺動軸部材の先端付近を拡大した図である。
図1は本発明の揺動鍛造装置の実施の形態の模式図であり、揺動姿勢において揺動軸部材に荷重が作用している状況をともに示した図であり、図2は図1で示す揺動鍛造装置において揺動軸部材の先端付近を拡大した図である。
図示する揺動鍛造装置10は、その上面2aに凹溝2bを備えた下型2と、その下面1aから揺動軸部材3が下型2側に突設する上型1とから構成される。上型1の下面1aでは、その中心位置に嵌め込まれた揺動軸部材3に対して上に凸のテーパー面1aa(もしくはすり鉢状面)が形成されている。
ここで、上型1の中でも疲労破壊等が顕著な部材は揺動軸部材3である。そこで、図示する揺動鍛造装置10では、その構成要素である上型1に嵌め込まれる揺動軸部材3の素材を上型1の素材よりも相対的に高剛性のものとしている。なお、上型1を揺動軸部材3と同程度に高剛性の素材から成形してもよく、この場合には揺動軸部材と上型は一体成形される。
熱間成形等で予め貫通孔を具備した形状で成形された溶融金属からなる鍛造前駆体mが下型2の凹溝2bに載置され、この鍛造前駆体mに対して揺動軸部材3とその周囲の上型1の下面1のテーパー面1aaが当接した姿勢で、上型1が揺動軸部材3の軸心CLを通る揺動中心P0を中心に、同図における左右方向をはじめ、3次元的に揺動しながら(X方向)鍛造前駆体mを揺動鍛造する。上型1の揺動により、上型1のテーパー面1aaが鍛造前駆体mのフランジ上面を押圧し(押圧力q)て該フランジは側方に塑性変形され(Y1方向、Y2方向に塑性変形)、さらには、鍛造前駆体mの貫通孔の内周面の上方を所望形状の開口となるように塑性変形され、所望形状のCVTシーブ等の鍛造品が製造される。
上型1の下面1aのテーパー面1aaから下方に突設する揺動軸部材3の先端(突設部分)は、図2で示すように、長さsの円柱体3aと半径rで円弧中心Oの半球体3bのユニット体から構成されており、図示する断面視形状は、矩形と半円形のユニット形状となっている。
図示する揺動鍛造装置10においては、円弧の半径rと、円弧中心Oと揺動中心P0の離間Lの間に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たすように揺動中心が設定されている。
ここで、揺動中心の設定方法としては、上型を球座に設置することで揺動中心を設定することができる(球座を構成する球の中心と一致することになる)。
図1に戻り、上型1が揺動中心P0を中心に揺動し、図示の状態にある際には、揺動軸部材3には図における左側面の作用点P1で塑性変形した鍛造前駆体mから押圧力Q1が作用する。一方、この際に揺動軸部材3はその右側面の作用点P2で上型1から支持されることになる(支持力をQ2としている)。さらに、揺動軸部材3はその右側面の別の作用点P3において塑性変形した鍛造前駆体mから押圧力Q3を受け、これが揺動軸部材3の作用点P2とは別の支持点P3となる。
揺動軸部材3の先端の半径rの円弧の中心Oと上型1の揺動中心P0との間の離間Lと半径rの間の関係が0≦L/2r≦0.1の関係を満たすように揺動中心P0が設定されていることにより、図3で示すように、揺動軸部材3は、作用点P2,P3で支持された2点支持梁にモデル化でき、この2点支持梁の途中位置の作用点P1で集中荷重Q1が作用する荷重載荷モデルにモデル化できる。
そして、このように2点支持梁の途中位置に集中荷重が作用される荷重モデルにおいては、梁に生じる曲げモーメント2はたとえば図8で示す片持ち梁に生じる曲げモーメント1に対して格段に小さなものとなる(片持ち梁の場合、固定端から荷重作用点までの距離aに集中荷重Qが作用した際の固定端の最大モーメントはaQとなる一方、2点支持梁で支持点間距離a、その中央位置に集中荷重Qが作用した際の中央位置の最大モーメントはaQ/4となる)。
上型1が繰返して揺動される各振幅において揺動軸部材3で生じる曲げモーメント等に起因する応力が格段に小さくなることから、揺動軸部材3を含む上型1の疲労破壊までの繰返し回数(もしくは疲労耐久期間)は大きく増加(長期化)する。
図4a,bはそれぞれ、揺動軸部材の先端形状に関する他の実施の形態を示す模式図である。図4aで示す揺動軸部材3Aは、半球体3bのみが突設したものであり、図4bで示す揺動軸部材3Bは、長さsの円柱体3aと半径rで円弧中心Oの断面円弧状(中心角θが0<θ<90度)の曲面体3cのユニット体から構成されたものである。
このように下型1の下面1aのテーパー面1aaから突設する揺動軸部材3A、3Bはいずれも、揺動軸部材3と同様にそれらの突設部分が少なくともその断面視形状で半径rの円弧状の部分を有しており、このことによって、円弧の半径rと、円弧中心Oと揺動中心P0の離間Lの間に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たすように揺動中心を設定することが可能となり、揺動軸部材3に発生する最大主応力を少なくすることができる。
[L/2rの最適範囲を特定するための解析とその結果]
本発明者等は、まず、従来の揺動鍛造装置(比較例)と本発明の揺動鍛造装置(実施例)双方の疲労破壊までの繰返し回数を特定する解析をおこなった。ここで、図5は、揺動軸部材に生じる応力振幅と疲労破壊までの繰返し回数に関する座標系に疲労強度の実測ラインを示したものであり、同座標系に比較例と実施例双方の解析結果を示したものである。
本発明者等は、まず、従来の揺動鍛造装置(比較例)と本発明の揺動鍛造装置(実施例)双方の疲労破壊までの繰返し回数を特定する解析をおこなった。ここで、図5は、揺動軸部材に生じる応力振幅と疲労破壊までの繰返し回数に関する座標系に疲労強度の実測ラインを示したものであり、同座標系に比較例と実施例双方の解析結果を示したものである。
比較例では、揺動軸部材に発生する最大主応力の最大値は1000MPaであり、実測ライン(S-N曲線)を使用すると繰返し回数は5000回程度となる。
実際には、揺動軸部材の疲労破壊までに、106回程度の繰返し回数を実現できることが望ましい。
そこで、実施例の解析結果を確認すると、応力振幅は500MPaと比較例の5割程度の大きさとなり、目標の繰返し回数である106回以上の繰返し回数を実現できることが特定されている。
さらに、本発明者等は実施例の解析モデルにおいてL/2rを種々変化させ、それぞれのモデルにおける最大主応力を特定する解析をおこなった。具体的には、円弧中心よりも揺動中心が揺動軸部材の先端側にある場合のL/2rはマイナスの値とし、L/2rが-15、-10、-5、0、5、10、15の各モデルでの応力解析をおこなった。その結果を図6に示している。
同図より、揺動軸部材先端の円弧中心よりも揺動中心が揺動軸部材の先端側に存在する場合(L/2rが-15、-10、-5)は、荷重載荷モデルが図8で示す片持ち梁に近づいてしまい、そのために最大主応力は相対的に大きな値となっている。
一方、L/2rの値が0以上で二点支持梁モデルに基づく荷重載荷モデルとなるが、揺動中心と円弧中心が一致するケース(L/2r=0)よりも、むしろ若干円弧中心に比して揺動中心が揺動軸部材の上方位置にある場合(L/2r>0)の最大主応力が小さくなることが確認できる。そして、同図で示す各ケースの結果を近似した最大主応力に関するグラフより、L/2r=0.1を変曲点として0.1以上では最大主応力がサチュレートすること、および、L/2r=0の際の最大主応力とL/2r=0.1の際の最大主応力が同程度の値となることが確認できる。
これらのことより、L/2r=0をその下限値と規定し、L/2r=0.1をその上限値として規定するのが望ましいことが分かる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…上型、1a…下面、1aa…テーパー面、2…下型、2a…上面、2b…凹溝、3,3A,3B…揺動軸部材3a…半球体、3b…円柱体、3c…断面円弧状の曲面体、10…揺動鍛造装置、P0…揺動中心、O…円弧中心、m…鍛造前駆体
Claims (3)
- その上面に凹溝を備えた下型と、その下面から揺動軸部材が下型側に突設する上型と、から構成され、前記凹溝に載置された鍛造前駆体に対して前記揺動軸部材とその周囲の上型の下面が当接し、該揺動軸部材を中心に上型が揺動して鍛造前駆体を鍛造して鍛造品を製造する揺動鍛造装置であって、
前記揺動軸部材をその軸心に沿って切断した縦断面視において、該揺動軸部材の先端形状は半径rの円弧状を呈しており、該円弧の円弧中心と揺動軸部材の軸心上にある揺動中心との間の離間をLとした際に、0≦L/2r≦0.1の関係を満たす揺動鍛造装置。 - 揺動軸部材のうち、上型の下面から突設している箇所が、断面円弧状の曲面体もしくは半球体である請求項1に記載の揺動鍛造装置。
- 揺動軸部材のうち、上型の下面から突設している箇所が、円柱体と断面円弧状の曲面体のユニット体、もしくは円柱体と半球体のユニット体である請求項1に記載の揺動鍛造装置。
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Cited By (2)
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CN103736825A (zh) * | 2013-12-26 | 2014-04-23 | 柳州正菱集团有限公司 | 一种带法兰盘的半轴冲孔摆辗模具 |
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