JP2013191404A - サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズル - Google Patents

サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズル Download PDF

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Abstract


【課題】
従来、マイクロプラズマ源のガラス管を細くしてプラズ
マ照射領域を小さく絞ることが試みられているが、ノズル先端までの距離が長くなるため、
プラズマが、サンプルまで運ばれる間に失活し易い。また、ノズル先端から全てのガスが速い流速
とともに流しサンプルを吹き飛ばしてしまうため、サンプルとノズルは離れて配置することになるため、
サンプルの特定領域にプラズマを照射することは原理的に難しい。
【解決手段】
本発明は、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流部に持つことで、サンプ
ルとの密着が可能な、プラズマ活性種を局所的にサンプルに照射することができる
マイクロプラズマ源と組み合わされるノズルを実現したものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロプラズマ応用の、サンプル、特に細胞への局所的プラズマ
照射を可能にするマイクロプラズマ用ノズルに関するものである。
医療技術製品の数は増加している。治療薬を利用した方法では、提供物がます
ます増加する傾向にある。選択と適用を正しく行わなければならないことに加え
て、様々な医学的措置が多数取られても、それらは互いに調整されておらず、し
ばしば効果のない多剤投与となり、治癒遅延とコスト上昇の原因となる。熱殺菌、
化学殺菌、紫外線殺菌、及びガンマ線殺菌の従来方法は、これ以上採用しても問
題が多い。近年、プラズマ技術を、医療やバイオ分野に応用する試みがなされて
いる。
例えば、アルゴンプラズマ凝固(Argon Plasma Coagul
ation、APC)法はアレルギー性鼻炎の治療として、医療現場で用いられ
ている。プラズマを利用した方法は、多剤投与とならない効果的な方法として期
待されている。プラズマイオンの物理的衝突、ラジカル、励起原子のエネルギー
輸送などは生体に影響を与えると考えられており、止血、血管新生、細胞分裂な
どの様々な医療効果が得られる可能性が高い。プラズマ源には、大気圧で動作し、
微小領域の処理が可能であるマイクロプラズマが適する。大気中で活動する生物
や細胞へのプラズマ処理が可能になる。APC法は広い領域の表面処理であるが、
問題のある部位のみへのプラズマ照射を考えると、細胞1つ分の局所性、より高
度には細胞内の一部分の空間分解能を持つプラズマ照射を実現することが重要と
なる。
マイクロプラズマの医療やバイオ応用、および局所的な照射を実現する技術は、
例えば特許文献1から5、非特許文献1に開示されている。
特許文献1では、プラズマジェット方式によって人間および動物の生体組織内
の出血を止め、痴皮を形成するためのペンシル状の装置が開示されている。組織
層への微弱なプラズマジェット出力の付加ならびに生体組織内の液体要素への強
力なプラズマジェット出力の付加により乾燥、凝固、および止血効果を達成する
ものである。手術箇所の一部分に中程度または重度の出血の速度を超える速度を
もって熱的壊死を発生させる装置である。
特許文献2では、誘電体が皮膚などの生物学的材料と電極の間に配置され、電
極と皮膚の直接接触を避ける方法と装置が開示されている。生きている細胞を含
有する材料を、少ないエネルギーと、少ない事故の危険で、局部的に処理できる。
特許文献3では、電極がホロー(くぼみ)を有する非平衡大気圧プラズマを利
用し、農作物、飼料、食品、器具などを想定したサンプルの、殺虫・殺菌を行う
装置が開示されている。プラズマ照射口に関する説明はないが、プラズマ活性種
を拡散させて、ベルトコンベア処理等との組み合わせが考慮されている。
特許文献4では、キャピラリー管とRF電極を具備したプラズマガンのキャピ
ラリー管の先端部を試料ステージ上に載置されたワークに近接させ、チャンバー
に供給されるプロセスガスを、キャピラリー管の先端部から吸引を行なうととも
にRFパワーを印加し、ワーク表面近辺でマイクロプラズマが発生することを利
用し、エッチング処理領域の局所化、微細化ができる装置が開示されている。サ
ンプルをチャンバーで囲い、かつガスを大気から入れ替えることは、医療やバイ
オ分野の生物サンプルでは、生物学的負担を大きくするため適切でない。
特許文献5は、生体細胞を電気穿孔に加えて、大気圧プラズマを照射できる装
置が開示されている。インピーダンス制御された電気穿孔によって、癌細胞の膜
細孔を選択的に開口し、大気圧プラズマで発生したラジカルによって死滅させる
効果を高める。使用する治療薬を減らせるとしている。
非特許文献1では、キャピラリーと呼ばれる先端口径が数マイクロからサブマ
イクロメートルに細くしたガラス毛細管を利用し、ガラス管内でHeガス大気圧
プラズマを点灯し、500nm程度の先端穴からプラズマを照射した研究内容を
述べている。フォトレジストに対して、幅500−700nmのパターン幅を観
察したことを述べている。ガラス管を通るガスが、微細な穴から流出する際の、
ガス流速はkm/sオーダである。生体サンプルを近接して固定することが難し
い上、接近できても鋭利なガラス構造が、細胞に対して機械的にサンプルを加工
してしまう可能性もある。
「人間および動物の生体組織内の出血を停止する装置」公表番号 : 特許公表平10−504751公表日 : 1998年5月12日 出願人 : ニックバル インターナショナル アーベー 「ガス放電により発生されたプラズマにより生きている細胞を包含する生物学材料の処理」公表番号 : 特許公表2006−526442公表日 : 2006年11月24日 出願人 : ハーアーヴェーカー・ホーホシューレ・フューア・アンゲヴァンテ・ヴィッセンシャフト・ウント・クンスト 「殺虫殺菌方法及び殺虫殺菌装置」公開番号 : 特許公開2008−237047公開日 : 2008年10月9日 出願人 : 堀 勝 外2名 「顕微鏡付吸引型局所マイクロプラズマエッチング装置」公開番号 : 特許公開2010−135351公開日 : 2010年6月17日 出願人 : 株式会社三友製作所 「電気穿孔された細胞を選択的に治療するプラズマ機器」公表番号 : 特許公表2011−514814公表日 : 2011年5月12日出願人 : イーエヌペー グライフスヴァルト ライプニッツ−インスティトゥート フューア プラスマフォルシュンク ウント テヒノロギー エー.ファウ. "Production of UltrafineAtmospheric Pressure Plasma Jet with Nano-capillary", R. Kakei, A.Ogino, F. Iwata, M. Nagatsu, Thin Solid Films 518 (2010) pp. 3457-3460.
従来、マイクロプラズマ源の一部品であるガラス管を細くすることで、プラズ
マ照射領域を小さく絞ることが試みられ、研究報告されている。しかし、ガラス
管を細くする方法は引き伸ばし加工であるため、ノズル先端までの距離が数cm
以上と長くなる。プラズマ活性種の多くが、ガラス管先端の出射口を通って外部
サンプルまで運ばれる間に、ガラス管の壁に衝突して失活し易い。ノズル近辺の
出口は1つである。鋭利なガラス構造であるため、サンプルを近づけた際に、機
械的にサンプルを加工してしまう可能性もある。また、プラズマを照射する際に
は、ノズル先端から全てのガスが速い流速とともに流れ出す。サンプルを吹き飛
ばしてしまうため、サンプルとノズルは離れて配置することになる。密着させる
と、ガス圧がサンプルに加わることとなり、吹き飛ばしてしまうからである。こ
のため、プラズマは大気中で拡散して広がらざるをえない。ノズル出射口を狭め
るだけでは、技術的な解決にならない。また、ガラス管を細くしたノズルと組み
合わせる構成でも、ガス上流部にガス流出口を用意できるが、出射口までのガス
流れが変わり、プラズマ活性種を効率的に出射口に運ぶことができなくなる。以
上から、サンプルの特定領域にプラズマを照射することは原理的に難しい。
本発明によれば、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプ
ルとの密着が可能な、マイクロプラズマ源と組み合わされるノズルが得られる。
プラズマ活性種は、プラズマ源の上流側から下流側にガスと共に運ばれる。ノズ
ルのガス流路を適切に設計すれば、サンプルをガス圧でノズルから吹き飛ばすこ
となく、プラズマ活性種を局所的に照射することができる。
また本発明によれば、出射口の全体もしくは一部(たとえばシャワーヘッド形
状の個々の穴径)がサブ細胞サイズの形状を持つことにより、個別の細胞を密着
固定できるノズルが得られる。細胞サイズよりも小さな穴を、細胞が通り抜ける
のは困難であり固定される。ノズルからサンプル細胞までの距離を0に縮めるこ
とができ、ガスの拡散によるプラズマ処理領域の広がりを最小にできる。
また本発明によれば、出射口周辺にナイフもしくはニードル構造があり、密着
するサンプルの一部を機械的に加工する機能を持つノズルが得られる。例えば、
出射口の穴形状を単純な円形ではなく、鋭い突起を持つものを製作できる。細胞
が出射口に密着した場合、特に負圧により吸引力が働いた場合、細胞膜が出射口
の内側に変形する。この変形の際に、細胞膜の一部を機械的に加工することがで
きる。
また本発明によれば、流出口に負圧を加えることが可能な構造を持つノズルが
得られる。流出口に負圧を加えることができると、ノズル出射口に負圧を伝える
ことができ、サンプルをノズルに真空吸着することが可能となる。真空吸着を維
持しながら、すなわち大気圧よりも僅かに負圧を保ちながら、プラズマ処理を行
うことも出来る。また、負圧を無くしてもサンプルがそのまま固定されるように
塑性変形を加えてから、通常の大気圧プラズマ処理を行うこともできる。
また本発明によれば、流出口に陽圧を加えることが可能な構造をもつノズルが
得られる。プラズマ照射後にサンプルをノズルから取り外すことが可能となり、
サンプルを培養などの次の処理に利用できる。また、一度真空吸着した位置が所
望の場所と異なる場合、サンプルをノズルから取り外して、吸着をやり直すこと
もできる。
本発明によれば、上流側のマイクロプラズマ源の動作に支障を与えることを最
小限にして、サンプルとの機械的なインターフェイスとなるノズルを実現する。
微細で複雑な形状を、マイクロ加工技術を導入することで、従来はガラス管加工
で製作することを想定して設計されていたマイクロプラズマ源よりも、高度な機
能を加えたノズルが実現可能となる。具体的には、出射口の他にガス流出口を下
流部に製作することで、サンプルをガス圧で吹き飛ばすことなく、サンプルをノ
ズルに密着可能にでき、プラズマ照射領域のガス拡散広がりを最小にできる。出
射口よりも下流部になる構造を製作できることは、プラズマ源からサンプルまで
プラズマ活性種を運ぶ上で有利である。出射口のサイズは任意で、サブ細胞サイ
ズも可能である。ノズル出射面を平面にできることは、吸引力を分散して支える
ことになり、サンプルに加わる応力を抑えて固定する上で有利である。ノズル先
端形状に刃を組み合わせておき細胞吸着と同時に膜をカットすることも可能であ
る。ガス流出口から負圧を加えることで細胞の出射口への吸着、陽圧を加えるこ
とで処理後の細胞の取り出しが可能である。以上のように、マイクロプラズマ源
とサンプルのインターフェイスとなるノズルに、サンプルを取り扱う上で重要と
なる機能を組み込むことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図は例示で
あり、ノズルやガス流路の材料、形状、相対的な大きさ、配置などは限定される
ものではない。
図1は本発明の実施の形態による、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流
部に持ち、サンプルとの密着が可能な、マイクロプラズマ源と組み合わされるノ
ズル及び、その周辺の模式図である。1はサンプル(細胞など)である。例示で
は3層の細胞を示しているが、より大きなサンプル片であったり、サンプルに水
分供給や冷却を行う器具が右側に取り付けられたり、個々の細胞をマイクロ流路
の中に流したりすることで、サンプルの状態を自然な環境に近くすることも可能
である。2はプラズマをサンプルに照射する出射口である。出射口2の大きさが、
個別の細胞よりも小さいことで、位置の違いによる機能を得ることができる。3
はノズル本体である。4はガス流出口である。5は上流側ガラス管(マイクロプ
ラズマ源からノズルに伸びている)である。7はガスおよびプラズマ活性種の流
れである。例示のように、プラズマ活性種がサンプル側とは反対方向に吹き出す
ことで、制御していないプラズマがサンプルに届く混入を避けることができる。
マイクロプラズマ源が接続されているガラス管の先端に取り付けられるノズル
本体はシリコンウェハをマイクロ加工することで製作するため、出射口の他に一
つ以上のガス流出口を、微細に製作することができる。
シリコン表面を更に酸化すれば、形状はほぼ同じのまま、石英相当の純度の高い
ガラスでカバーすることもできる。加えて、プラズマが通り抜けてサンプルに照
射するまでの距離は数10μm以下にすることが可能で、プラズマ活性種の失活
を最小限に留めることができる。形状として、出射口から見たマイクロプラズマ
源の立体角が大きくなるよう、設計や製作上の工夫は様々に加えることができる。
ガスの多くは、出射口がある面構造に向ってきた後、ガス流出口に流れる。
ガス流出口が下流部にあるため、プラズマ活性種が出射口まで流れによって運ば
れ易い構造となっている。出射口は、加工技術が許す限り小さくすることができ
、サブ細胞サイズの穴は製作可能である。
図2は本発明の実施の形態による、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流
部に持ち、サンプルとの密着が可能な、マイクロプラズマ源と組み合わされるノ
ズルの具体例である。サンプルは図示している面の反対側にある。2はプラズマ
をサンプルに照射する出射口である。3はノズル本体である。シリコン微細加工
を応用すると、小さく複雑な構造を、プラズマ耐性の高い材料に作ることができ
る。4はガス流出口である。5は上流側ガラス管(マイクロプラズマ源からノズ
ルに伸びている)である。
(a)はノズル本体の模式図である。1辺2mmの正方形、厚さ0.2mmである。
両面研磨シリコンウェハを、マイクロ加工技術によって垂直深堀エッチングすること
で製作した。パターン形状は任意である。出射口は、30μm深さの穴である。
この短い距離のため、失活を抑えて、プラズマ活性種がサンプルに到達し易くし
ている。出射口を製作する面と、より下流部となるガス流出口を製作する面を、
シリコンウェハの表裏とすることで、ガス流出口から出たプラズマ活性種はサン
プルとは反対方向に吹き出す。
(b)はガラス管との接続状態を示す模式図である。
ガラス管は外径1.5mm、内径1.0mmのキャピラリーである。ガラス管へ
のノズルの取り付けには、耐熱性・絶縁性に優れる接着剤 Three Bond
社 3732 を利用した。ガラス管端面との隙間で形成されるガス流出口の断面
積は、サンプルと密着する出射口の断面積よりも10倍以上に設計できる。この
ため、ガス圧によりサンプルを吹き飛ばすような力が加わることを防ぐことがで
きる。
図3は本発明の実施の形態による、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流部に持
ち、サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズルで、流出口に負圧または陽圧を加えることが可
能な構造を持つノズルの具体例である。サンプルは図示している面の反対側にあ
る。2はプラズマをサンプルに照射する出射口である。3はノズル本体である。
シリコン微細加工を応用すると、小さく複雑な構造を、プラズマ耐性の高い材料
に作ることができる。5は上流側ガラス管(マイクロプラズマ源からノズルに伸
びている)である。6は下流側ガラス管(真空ポンプや圧縮空気などのラインに
接続)である。6によって、2の出射口以外のルートからプラズマ活性種がサン
プルに届く混入は完全に無くすことができる。この例の場合は、出射口2が下流
近くに製作してあるため、プラズマ源から直接伝搬してくる紫外線がサンプルに
照射し難くできる。加えて、プラズマ源から離れた位置となるため、寿命が比較
的長いプラズマ活性種が主として作用する配置となる。プラズマ源と出射口2と
の相対位置によって、効果を調整できる。なお、プラズマが消灯した状態で6に
負圧を加えると、2の出射口を通してサンプルをノズルに吸着して密着できる。
その後に、サンプル吸着を維持しながらプラズマ点灯が可能である。また、プラ
ズマ照射処理が終了したらガスラインの条件を切り替え、6に陽圧を加えること
で、出射口を通してサンプルに斥力を作用させ、サンプルをノズルから外すこと
ができる。
図3の実施の形態では、ノズルとガラス管2本を接続することで、1本をマイクロプラズマ源となるガス供給側(上流側)、
もう1本をガス流出口(下流側)として利用できる。ガス流れはノズル部でUタ
ーンする。サンプルと密着する出射口は、ガスがUターンする領域のいずれに製
作しても良い。どの場所であっても、ガス流出側に負圧または陽圧を加えると、
出射口に圧力を伝えることができる。サンプルの吸着や取り外しの機能を加える
ことができる。なお、出射口の位置は任意にデザインできる。マイクロプラズマ
源が接続されている上流ガラス管に近い位置であれば、比較的短寿命のプラズマ
活性種や紫外線照射等の効果も利用できる。下流ガラス管に近い位置であれば、
長寿命のプラズマ活性種(安定なラジカル種など)を選択的にサンプルに照射で
きる。
図4(a)は本発明の実施の形態による、出射口周辺にナイフもしくはニード
ル構造があり、密着するサンプルの一部を機械的に加工する機能を持つノズル出
射口の模式図、図4(b)は実際に製作した出射口の光学顕微鏡写真である。2
はプラズマをサンプルに照射する出射口である。2bはナイフもしくはニードル
構造である。3はノズル本体である。この例では、基本的に丸穴形状を持つが、
先鋭化したナイフ形状が円周右側から突き出ている。穴に細胞が吸引されると、
針形状に接触するまで細胞膜が変形し、カットされる。その後、吸引の度合いを
緩めた状態でプラズマ照射を行うことができる。シリコン微細加工を応用すると、
小さく複雑な構造を、プラズマ耐性の高い材料に作ることができる。
基本的には丸穴形状を持つが、先鋭化したナイフ形状が円周右側から突き出てい
る。穴に細胞が吸引すると、針形状に接触するまで細胞膜が
変形し、カットされる。その後、吸引の度合いを緩めた状態でプラズマ照射を行
うことができる。この例では穴の直径が11μmであるが、より小さな直径にす
ることは可能である。また、10μmは平均的な細胞サイズであり、より大きい
ものもある。
図5は、図1で示した本発明の実施の形態の一種である、一つ以上のガス流出口を下流
部に持ち、サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズルを利用して、サンプ
ルを日本地図状に表面処理した結果の一例である。(a)に示すように、ノズルは日本地図形状
の出射口を持つ。(b)はPDMS(polydimethylsiloxane)
樹脂膜をノズルに貼り付けて、プラズマ点灯に100MHz高周波、パワー23
〜24Wを入力し、5分間処理した結果である。日本地図形状にヒビがはいった
跡が得られた。本州と四国の間など、一部のパターンが正確に転写されていない
が、ノズルとPDMS膜の密着が不十分であったことが考えられる。なお、マイ
クロプラズマ源に利用したのは、特許公開2011−249289の、浮遊電極
を持つ誘導結合型マイクロプラズマ源である。
図6は、図1で示した本発明の実施の形態の一種である、一つ以上のガス流出口を下流
部に持ち、サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズルを利用して、サンプ
ルをシャワーヘッド状に表面処理した結果の一例である。(a)に示すように、ノズルは領域直径28
0μmのシャワーヘッド状になっており、個々の穴径は4.3〜5.0μmであ
る。平均的な細胞のサイズは10μmであるため、サブ細胞サイズである。(b)
はPDMS膜をノズルに貼り付けて、5分間プラズマ処理した結果である。5.
4〜5.6μmの跡が得られた。ノズル側の穴径よりも、わずかに大きくなって
いるのは、処理と共にガスが回り込んだためと考えられる。なお、マイクロプラ
ズマ源に利用したのは、特許公開2011−249289の、浮遊電極を持つ誘
導結合型マイクロプラズマ源である。
本発明によれば、上流側のマイクロプラズマ源の動作に支障を与えることを最
小限にして、サンプルとの機械的なインターフェイスとなるノズルを実現出きる。
微細で複雑な形状を、マイクロ加工技術を導入することで、従来はガラス管加工
で製作することを想定して設計されていたマイクロプラズマ源よりも、高度な機
能を加えたノズルが実現可能となる。具体的には、出射口の他にガス流出口を下
流部に製作することで、サンプルをガス圧で吹き飛ばすことなく、サンプルをノ
ズルに密着可能にでき、プラズマ照射領域のガス拡散広がりを最小にできる。出
射口よりも下流部になる構造を製作できることは、プラズマ源からサンプルまで
プラズマ活性種を運ぶ上で有利である。出射口のサイズは任意で、サブ細胞サイ
ズも可能である。ノズル出射面を平面にできることは、吸引力を分散して支える
ことになり、サンプルに加わる応力を抑えて固定する上で有利である。ノズル先
端形状に刃を組み合わせておき細胞吸着と同時に膜をカットすることも可能であ
る。ガス流出口から負圧を加えることで細胞の出射口への吸着、陽圧を加えるこ
とで処理後の細胞の取り出しが可能である。以上のように、マイクロプラズマ源
とサンプルのインターフェイスとなるノズルに、サンプルを取り扱う上で重要と
なる機能を組み込むことができる。
近年、プラズマ技術を、医療やバイオ分野に応用する試みがなされている。サ
ブ細胞サイズの局所的プラズマ処理が可能になると、健全な細胞には影響を与え
ることなく、処理が必要な細胞だけにプラズマ照射することにつながる。従来の
アルゴンプラズマ凝固法に代表されるプラズマ照射処理は、止血、血管新生、細
胞分裂などの様々な医療効果を、広い領域で得るものであった。より高度には例
えば、癌細胞を個別に死滅させたり、細胞膜を僅かに変質させて細胞への薬剤投
与効果を高めたりすることが期待される。低侵襲で効果的な医療処理を実現する
ものとして、応用可能性を高めることになる。
本発明の実施の形態による、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプルとの密着が可能な、マイクロプラズマ源と組み合わされるノズルの模式図である。 図1で示した本発明の実施の形態による、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプルとの密着が可能なマイクロプラズマ用ノズルの一例である。(a)はノズル本体の模式図である。(b)はガラス管との接続状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態による、出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズルであり、流出口に負圧または陽圧を加えることが可能な構造を持つノズルの模式図である。 図1で示した本発明の実施の形態の一種である、出射口周辺にナイフもしくはニードル構造があり、密着するサンプルの一部を機械的に加工する機能を持つノズル出射口の一例である。 図1で示した本発明の実施の形態の一種である、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズルを利用して、サンプルを日本地図状に表面処理した結果の一例である。 図1で示した本発明の実施の形態の一種である、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプルと密着可能なマイクロプラズマ用ノズルを利用して、サンプルをシャワーヘッド状に表面処理した結果の一例である。
1・・・サンプル(細胞など)
2・・・出射口
2b・・・出射口周辺に形成されたナイフもしくはニードル構造
3・・・ノズル
4・・・ガス流出口
5・・・上流側ガラス管(マイクロプラズマ源から伸びている)
6・・・下流側ガラス管(真空ポンプや圧縮空気などのラインに接続)
7・・・ガスおよびプラズマ活性種の流れ

Claims (5)

  1. 出射口の他、一つ以上のガス流出口を下流部に持ち、サンプルとの
    密着が可能な、マイクロプラズマ源と組み合わされるノズル。
  2. 請求項1に記載されたノズルにおいて、出射口の全体もしくは一部
    がサブ細胞サイズの形状を持つことにより、個別の細胞を密着固定できるノズル。
  3. 請求項1または2に記載されたノズルにおいて、出射口周辺にナイ
    フもしくはニードル構造があり、密着するサンプルの一部を機械的に加工する機
    能を持つノズル。
  4. 請求項1から3に記載されたノズルのいずれかにおいて、流出口に
    負圧を加えることが可能な構造を持つノズル。
  5. 請求項1から4に記載されたノズルのいずれかにおいて、流出口に
    陽圧を加えることが可能な構造を持つノズル。
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