JP2011222404A - プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置ならびにプラズマ処理された処理対象物 - Google Patents

プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置ならびにプラズマ処理された処理対象物 Download PDF

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Abstract


【課題】 少なくとも一部に通気性を有する処理対象物の当該通気性部分の内部にまでプラズマ処理を施すことができるとともに、コストを削減することができ、さらには、あらゆる処理対象物に対して様々なプラズマ処理を簡便に行うことが可能なプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置ならびにプラズマ処理された処理対象物を提供すること。
【解決手段】 少なくともその一部が通気性を有する処理対象物1の内部にプラズマを透過させることにより所定のプラズマ処理を施すためのプラズマ処理装置2であって、プラズマを生成するプラズマ生成手段3と、前記プラズマを前記処理対象物1の内部に透過させるプラズマ透過手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は処理対象物にプラズマを照射して、所定の処理を施すためのプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置ならびにプラズマ処理された処理対象物に関する。
従来より、処理対象物の表面にプラズマを照射することにより、例えば、コーティング処理、親水化処理、撥水化処理、殺菌処理などの様々な処理(以下、プラズマ処理という。)が行われている。
また、このようなプラズマ処理を行うための装置として、例えば、プラズマ生成部において生成したラジカル(殺菌因子)を処理対象物が収容された処理室内に導入し、殺菌処理するための装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特開平10−99415号公報 特開2006−296848号公報
「低周波大気圧マイクロプラズマジェット」、北野勝久、浜口智志、応用物理学会誌、77(4)、(2008)、P383-389 「大気圧プラズマを点けてみよう:4.1 LFプラズマジェット」北野勝久、プラズマ・核融合学会誌、84(1)、19-21、(2008)、P19-21
しかしながら、前記特許文献1に開示された発明は、コンプレッサなどによりチャンバー内を加圧してチャンバー内にラジカルを保持することで、また、特許文献2に開示された発明は、ファンによって処理室内にダウンフローを作ることで、処理対象物がラジカルに曝されるようにしているものの、いずれも積極的にはラジカルに曝されていないため、処理対象物の厚さ方向全体まで充分な滅菌処理が施されていないという問題がある。
また、従来においては、例えば、金属やプラスチックなどの通気性を有さないものを処理対象物とし、その処理対象物の表面にのみプラズマを照射してプラズマ処理を施すのが一般的であった。しかし、昨今においては、例えば、布、繊維、スポンジ素材、多孔質素材、中空糸膜などから形成されたものなど、通気性を有する処理対象物に対してもプラズマ処理を行う要望が高まってきている。
さらに、近年、放電損傷および熱損傷を与えることなく照射することが可能なプラズマ、いわゆるダメージフリープラズマが知られている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。具体的には、非特許文献1においては、いわゆるダメージフリープラズマの特性について、388頁、図10に、LF(Low Frequency)プラズマジェットの指への照射状態を示す写真が示されるとともに、「成分の大半を占める中性ガスの温度は低いために指に当てても熱くない.」と記載されている。また、非特許文献2においては、いわゆるダメージフリープラズマの特性について、21頁、図3に、LFプラズマジェットによって形成されているガス流交差型プラズマジェットの指への照射状態を示す写真が示されるとともに、20頁38乃至39行に「図3に示すように火傷をせずに指で触れる程度である.」と記載されている。非特許文献1および非特許文献2において、LFプラズマジェットとは、10kHz程度の低周波電源を用いて形成される放電のことを意味する。このようにこれまでいわゆるダメージフリープラズマとは、指に当てても熱くなく指で触れる程度のプラズマとしてとらえられている。ここで、発明者等が開発したダメージフリープラズマについて具体的に定義すると、例えば、照射する対象が人体の場合には、人体が感知することができる電流値(0.5mA)未満であって、人体が熱的に耐え得る温度(150℃)未満のものをいう。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、少なくとも一部に通気性を有する処理対象物の当該通気性部分の内部にまでプラズマ処理を施すことができるとともに、コストを削減することができ、さらには、あらゆる処理対象物に対して様々なプラズマ処理を簡便に行うことが可能なプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置ならびにプラズマ処理された処理対象物を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のプラズマ処理方法は、少なくともその一部が通気性を有する処理対象物の内部にプラズマを透過させることにより所定のプラズマ処理を施すことを特徴とする。本発明によれば、処理対象物の通気性部分の内部にプラズマを透過させることにより、処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
本発明の請求項2に記載のプラズマ処理方法は、請求項1に記載のプラズマ処理方法において前記プラズマはダメージフリープラズマであることを特徴とする。本発明によれば、放電損傷および熱損傷を与えないダメージフリープラズマを用いることで、例えば、生体や低融点材料などのあらゆる処理対象物にダメージを与えることなく、コーティング処理、親水化処理、撥水化処理、殺菌処理等のプラズマ処理を施すことができる。
本発明の請求項3に記載の処理対象物は、請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理方法により所定のプラズマ処理が施されたことを特徴とする。本発明によれば、通気性部分の内部にプラズマ処理が施された処理対象物を得ることができる。
本発明の請求項4に記載のプラズマ処理装置は、少なくともその一部が通気性を有する処理対象物の内部にプラズマを透過させることにより所定のプラズマ処理を施すためのプラズマ処理装置であって、プラズマを生成するプラズマ生成手段と、前記プラズマを前記処理対象物の内部に透過させるプラズマ透過手段とを備えることを特徴とする。本発明によれば、プラズマ透過手段によって処理対象物の通気性部分の内部にプラズマを透過させることにより、処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項5に記載のプラズマ処理装置は、請求項4に記載のプラズマ処理装置において、前記プラズマ透過手段は、上下流間の圧力差によって前記プラズマを前記処理対象物の内部に透過させるように形成されていることを特徴とする。本発明によれば、プラズマ透過手段によって処理対象物の通気性部分の上下流間に圧力差を形成させて当該通気性部分の内部にプラズマを透過させることができ、確実に処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項6に記載のプラズマ処理装置は、請求項5に記載のプラズマ処理装置において、前記処理対象物を収容可能とされるとともに前記プラズマ生成手段により生成されたプラズマにより前記処理対象物にプラズマ処理を施す処理室と、前記プラズマ生成手段により生成されたプラズマを上下流間の圧力差によって処理室内に導入する導入手段および前記処理室内の気体を上下流間の圧力差によって排出する排出手段の少なくとも一方を備え、前記プラズマ透過手段は前記導入手段および前記排出手段の少なくとも1つからなることを特徴とする。本発明によれば、前記導入手段により処理室内にプラズマを上下流間の圧力差によって導入することにより処理室内に形成される気流および前記排出手段により処理室内の気体を上下流間の圧力差によって排出することにより処理室内に形成される気流の少なくとも1つによって、処理対象物の通気性部分の内部に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させることにより、処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項7に記載のプラズマ処理装置は、請求項6に記載のプラズマ処理装置において、前記処理室の外周壁には、前記導入手段によりプラズマを導入するための導入口および前記排出手段により処理室内の気体を排出するための排出口の少なくとも1つが形成されていることを特徴とする。本発明によれば、導入口を介して処理室内にプラズマを導入したり、排出口を介して処理室内の気体を排出することにより、確実に処理室内に気流が形成されるため、確実に処理対象物の通気性部分の内部に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させて、処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項8に記載のプラズマ処理装置は、請求項7に記載のプラズマ処理装置において、前記導入口はスリット状であり、前記処理対象物を前記導入口の長手方向と直交する方向に移動させつつ、プラズマ処理を施すことが可能とされていることを特徴とする。本発明によれば、連続的かつ確実に処理対象物の全体にプラズマ処理を施すことが可能となる。
また、本発明の請求項9に記載のプラズマ処理装置は、請求項7または請求項8に記載のプラズマ処理装置において、前記導入口および前記排出口は、前記処理室の外周壁において前記処理対象物の互いに対向する少なくとも一対の外周面の近傍の位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする。ここで、処理対象物が球形など外周面が湾曲形状である場合や、複雑形状である場合には、外周面に接する面であって互いに対向する一対の面を任意に選択するものとする。本発明によれば、処理室内において導入口側から排出口側へ向かう気流を形成し、この気流によって処理対象物の通気性部分の内部に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させることができるため、確実に処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項10に記載のプラズマ処理装置は、請求項5に記載のプラズマ処理装置において、前記処理対象物を収容可能とされた処理室と、前記処理室内において前記処理対象物を介して対向配置された少なくとも一対の電極、および前記少なくとも一対の電極間に電圧を印加する電源からなり、処理室内にプラズマを発生可能とされたプラズマ生成手段と、前記処理室内にプラズマ生成用ガスを供給する供給手段単独若しくは前記供給手段および前記処理室内の気体を排出する排出手段の組合せの少なくとも一方を備え、前記プラズマ透過手段は、前記供給手段単独若しくは前記供給手段および前記排出手段の組合せからなることを特徴とする。本発明によれば、処理室内において処理対象物の周囲にプラズマを生成させ、前記供給手段単独若しくは前記供給手段および前記排出手段の組合せにより処理室内に形成される気流によって、プラズマを処理対象物の通気性部分の内部に形成される上下流間の圧力差に沿って透過させることにより、確実に処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項11に記載のプラズマ処理装置は、請求項10に記載のプラズマ処理装置において、前記処理室の外周壁には、前記供給手段によりプラズマ生成用ガスを供給するため供給口および前記排出手段により処理室内の気体を排出するための排出口の少なくとも1つが形成されていることを特徴とする。本発明によれば、供給口を介して処理室内にプラズマ生成用ガスを供給したり、排出口を介して処理室内の気体を排出することにより、確実に処理室内に気流が形成されるため、確実に処理対象物の通気性部分の内部に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させて、処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項12に記載のプラズマ処理装置は、請求項11に記載のプラズマ処理装置において、前記供給口および前記排出口は、前記処理室の外周壁において前記処理対象物の互いに対向する少なくとも一対の外周面の近傍の位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする。本発明によれば、処理室内において供給口側から排出口側へ向かう気流を形成し、この気流によって処理対象物の通気性部分の内部に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させることができるため、確実に処理対象物の厚さ方向全体にプラズマ処理を施すことができる。
また、本発明の請求項13に記載のプラズマ処理装置は、請求項6乃至請求項12のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、前記排出手段により排出された気体に含まれるプラズマ生成用ガスを前記プラズマ生成手段へ返還する返還手段を備えることを特徴とする。本発明によれば、プラズマ生成手段へ返還されたプラズマ生成用ガスはプラズマの生成に再利用されるため、プラズマ生成用ガスの消費量を削減し、コストの削減を図ることができる。
また、本発明の請求項14に記載のプラズマ処理装置は、請求項4乃至請求項13のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置において、前記プラズマはダメージフリープラズマであることを特徴とする。本発明によれば、放電損傷および熱損傷を与えないダメージフリープラズマを用いることで、例えば、生体や低融点材料などのあらゆる処理対象物にダメージを与えることなく、コーティング処理、親水化処理、撥水化処理、殺菌処理等のプラズマ処理を施すことができる。
以上説明したように、本発明のプラズマ処理装置によれば、少なくとも一部に通気性を有する処理対象物の当該通気性部分の内部にまでプラズマ処理を施すことができる。また、プラズマ生成用ガスを再利用することができるため、プラズマ生成用ガスの消費量を削減し、コストの大幅な削減を図ることができる。また、本発明のプラズマ処理装置を用いることにより、様々なプラズマ処理を簡便に行うことができるなどの顕著な効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面図 第2実施形態に係るプラズマ処理装置を示す正面断面図 (a)(b)は、他の実施形態に係るプラズマ処理装置の要部を示す正面断面図
以下、本発明の実施形態を図1から図3により説明する。図1および図2は、それぞれ第1実施形態および第2実施形態に係るプラズマ処理装置を示す正面断面図である。また、図3(a)(b)は、他の実施形態に係るプラズマ処理装置の要部を示す正面断面図である。
本発明のプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置は、例えば、コーティング処理、親水化処理、撥水化処理、殺菌処理などのプラズマ処理に用いることができる。処理対象物としては、例えば、少なくともその一部が布、繊維、スポンジ素材、多孔質素材、中空糸膜などの通気性を有する素材によって形成されたものを用いることができ、形状については、シート状、平板形状、直方体形状、球形状など様々な形状のものを用いることができる。また、通気性を有する素材からなる包装容器に包装されたものであってもよい。さらに、後述するように、プラズマ生成部3aにダメージフリープラズマを生成可能なプラズマ源を用いることで、一般的なプラズマ照射によって放電損傷や熱損傷を受けるような生体や低融点材料からなるものも処理対象物とすることができる。
まず、本発明の第1実施形態について図1により説明する。以下では、厚さが数cmのシート状であって、低融点の布素材からなる処理対象物1に前駆物質であるテトラメトキシシランの溶液を塗布した後、後述する処理室4内に収容し、さらにプラズマを導入して照射することにより、処理対象物1に酸化ケイ素を形成するコーティング処理を施す場合について説明する。
図1に示すように、本実施形態のプラズマ処理装置2は、前記処理対象物1を収容可能とされた処理室4と、所定の圧力下(たとえば、大気圧から大気圧未満の圧力下)でプラズマを生成するプラズマ生成手段3と、前記プラズマ生成手段3により生成されたプラズマを処理室4内に圧力差によって導入する導入手段と、処理室4内の気体を圧力差によって排出する排出手段と、前記プラズマを処理対象物1の内部に形成される上下流間の圧力差によって透過させるプラズマ透過手段と、前記排出手段により排出された気体に含まれるプラズマ生成用ガスをプラズマ生成手段3へ返還する返還手段とを備えている。
前記処理室4は外観形状の厚さが数cmの中空直方体状であり、その内部には前記処理対象物4が入るだけの間隙部5、具体的には厚さが数cmの直方体状の間隙部5が形成されている。前記間隙部5の内壁面には、例えば、処理対象物1を載置するために、矩形の枠部材からなる保持部(不図示)が外縁部を以て取り付けられている。また、処理室4の側壁部には開閉自在な収容口(不図示)が形成されており、この収容口を開放して処理対象物1を前記保持部の上に水平に載置することで、処理室4内に収容することが可能となっている。
また、処理室4においては、内部に収容した処理対象物1の通気性部分に圧力差を形成できるようにするとともに、処理室4内の圧力をプラズマ形成に必要な条件とされる圧力値(たとえば、大気圧から大気圧未満の圧力)を設定可能とされている。具体的には、後述するポンプ6の吸引力、入口側の導入用バルブ7および出口側の排出用バルブ8の開放量を調整することにより行われる。
なお、処理室4の縦横および高さは数mmから数mに亘って変更することができる。また、処理室4の外観形状、間隙部5の形状や寸法は、処理対象物1の形状や寸法などに応じて適宜変更することができる。
処理室4の外周壁には、後述するプラズマ生成部3aからプラズマを導入するための導入口9および処理室4内の気体を吸引して排出するための排出口10が形成されている。本実施形態においては前記導入口9および排出口10はスリット状であり、処理室4の外周壁において処理対象物1の上面および下面の近傍、すなわち処理室4の外周壁の上面および下面の中央部にそれぞれ形成されている。
また、処理室4の上方および下方には、それぞれヒータ11が配置されている。これにより、処理室4内の気体をコーティング処理の化学反応に適当な温度に調節することが可能となっている。
なお、導入口9および排出口10は、処理対象物1の対向する一対の外周面の近傍に形成されていればよく、例えば、処理対象物1の右側面および左側面の近傍、すなわち、処理室4の外周壁の右側面および左側面に形成されていてもよい。また、導入口9および排出口10は、必ずしも一方向において対応する位置に形成されていなくてもよい。さらに、導入口9および排出口10は一対に限らず、複数対設けられていてもよく、またそれぞれの数は一致していなくてもよい。
前記プラズマ生成手段3は、プラズマ生成用ガスよりプラズマを生成するプラズマ生成部3aと、プラズマ生成部3aにプラズマ生成用ガスを供給するガス供給部3bとからなる。プラズマ生成部3aとガス供給部3bはガス配管などを介して連結されており、ガス供給部3bに設けられたバルブ(不図示)を開放することで、プラズマ生成部3aにプラズマ生成用ガスを供給することが可能となっている。
本実施形態においては、プラズマ生成部3aはプラズマ生成用ガスを用いて大気圧から大気圧未満の圧力下においてダメージフリープラズマを生成可能なプラズマ源であればどのような構造であってもよい。プラズマ生成用ガスとしては、例えば、HeガスとO2ガスの混合ガスが用いられ、ガス供給部3bにおいて、ボンベ(不図示)から供給された各ガスを混合して生成されるようになっている。なお、HeとO2の混合比は変更可能であり、プラズマ生成用ガスの種類も適宜変更可能である。
処理室4の導入口9には導入用ガス配管13の一端部が取り付けられており、この導入用ガス配管13を介して処理室4とプラズマ生成部3aとが連結されている。また、導入用ガス配管13には導入用バルブ7が設けられており、この導入用バルブ7を開放することにより、プラズマ生成部3aにおいて生成されたプラズマを処理室4内へ導入することが可能となっている。また、導入用バルブ7の開放量を調整することで、導入用ガス配管13を介して処理室4内へ導入される気体の流量並びにプラズマ生成部3aと処理室4との圧力差を調節することが可能となっている。なお、導入用バルブ7は前記導入手段を構成している。
一方、処理室4の排出口10には円筒状の排出用ガス配管14の一端部が取り付けられている。この排出用ガス配管14には排出用バルブ8およびポンプ6が設けられており、排出用バルブ8を開放し、ポンプ6を作動することにより、処理室4内の気体を吸引して排出することが可能となっている。また、排出用バルブ8の開放量を調整することで、排出用ガス配管14を介して排出される気体の流量並びに処理室4と排出用ガス配管14との圧力差を調節することが可能となっている。なお、これらの排出用ガス配管14、排出用バルブ8およびポンプ6は前記排出手段を構成している。また、本実施形態においては、前記導入手段および前記排出手段が前記プラズマ透過手段を構成している。
前記排出用ガス配管14の他端部はガス供給部3bと接続されており、処理室4から排出口10を介して排出された気体は、再び、プラズマ生成部3aに返還されるようになっている。ここで、処理室4から吸引された気体中には、一度、ガス供給部3bからプラズマ生成部3aに供給され、プラズマ生成部3aにおいてプラズマ化されずにそのまま処理室4内に導入されたプラズマ生成用ガスが含まれているため、このプラズマ生成用ガスが再び、ガス供給部3bへ返還されることになる。なお、これらの排出用ガス配管14およびポンプ6は前記返還手段を構成している。
なお、処理室4から排出された気体を排出用ガス配管14を介して直接、プラズマ生成部3aに返還する代わりに、吸引された気体中に含まれるプラズマ生成用ガス以外の不要な気体を排気手段によって除去した後、プラズマ生成用ガスのみを排出用ガス配管14を介して、ガス供給部3bへ返還するようにしてもよい。また、排出用ガス配管14にプラズマ生成用ガスを捕集する捕集手段を設けてもよい。
次に、本実施形態のプラズマ処理方法について、図1のプラズマ処理装置2を用いて前記処理対象物1に前述したコーティング処理を施す場合の動作および作用に基づいて説明する。
まず、前記収容口を開放して処理室4内の前記保持部に、前駆物質であるテトラメトキシシランが塗布された処理対象物1を載置して、処理室4内に収容する。
次に、ガス供給部3bの前記バルブを開放して、プラズマ生成部3aにプラズマ生成用ガスを供給し、プラズマを生成させる。そして、導入用バルブ7および排出用バルブ8を開放して、ポンプ6を作動させることで、プラズマ生成部3a側の圧力が高く排出用ガス配管14側の圧力が低い圧力差を形成して処理室4内にプラズマを導入する。このとき、処理室4内において、例えば、処理対象物1の端部を手で引っ張り、スリット状の導入口9の長手方向と直交する方向(図1における矢印Aの方向)に間欠的若しくは連続的に移動させる。
また、必要に応じて、ポンプ6の吸引力、導入用バルブ7あるいは排出用バルブ8の開放量を調整することによって、処理室4内の気圧をプラズマ形成に必要な条件とされる圧力値(たとえば、ダメージフリープラズマの場合には大気圧から大気圧未満の圧力)に調整する。例えば、処理室4内の気圧を上げる場合には、導入口9から導入される気体の流量が排出口10から排出される気体の流量よりも大きくなるように、ポンプ6の吸引力、導入用バルブ7あるいは排出用バルブ8の開放量を調整する。逆に、処理室4内の気圧を上げる場合には、導入口9から導入される気体の流量が排出口10から排出される気体の流量よりも小さくなるように、ポンプ6の吸引力、導入用バルブ7あるいは排出用バルブ8の開放量を調整する。このようにして、ダメージフリープラズマの場合には大気圧から大気圧未満の圧力にかけてそれぞれの気圧に依存して生成する処理室4内のプラズマ状態を制御する。
このように、処理室4内にプラズマが導入され、処理対象物1に照射されると、プラズマ中に含まれる酸素ラジカルと、前駆物質であるテトラメトキシシラン(Si−(O−CH3)4)とが反応し、処理対象物1の表面に付着物質である酸化ケイ素が形成される。具体的には、処理対象物1の表面において、(Si−(O−CH3)4)(前駆物質)+O・→SiO2(付着物質)+CO2+H2Oの反応が生じ、酸化ケイ素が形成される。
このとき、本実施形態においては、前記導入手段および前記排出手段によって処理室4内に導入口9側の圧力が高く排出口10側の圧力が低い圧力差を形成して導入口9側から排出口10側へ向かう気流を形成することにより、処理対象物1の厚さ方向に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させて、処理対象物1の通気性部分の内部にまで酸化ケイ素のコーティング処理を施すことができる。さらに、プラズマ処理対象物1をスリット状の導入口9の長手方向と直交する方向(図1における矢印Aの方向)に移動させつつ、導入口9から導入されたプラズマを処理対象物1に照射させてコーティング処理を施すことにより、導入口9の長さに亘って連続的かつ確実に処理対象物1の全体にコーティング処理を施すことができる。処理対象物1が長尺の場合には、処理室4の側壁部分に貫通孔(不図示)を開設して処理対象物1を処理室4を貫通させながら移動させるとよい。
また、本実施形態においては、プラズマ生成部3aにダメージフリープラズマを生成することができるプラズマ源を用いているため、低融点の布素材からなる処理対象物1に熱損傷を与えることなく、コーティング処理を施すことができる。
さらに、本実施形態においては、処理室4から排出される気体に含まれるプラズマ生成用ガスは排出用ガス配管14を介してガス供給部3bに返還された後、再び、ガス供給部3bからプラズマ生成部3aへ供給されてプラズマの生成に再利用される。これにより、プラズマ生成用ガスの消費量を削減し、コストの大幅な削減を図ることができる。
なお、例えば、上記実施形態において、導入用ガス配管13および排出用ガス配管14の両方にプラズマ生成部3aおよびポンプ6を設けてもよい。これにより、導入口9側および排出口10側の両方から、プラズマの導入と処理室4内の気体の排出とを交互に行うことで、処理室4内におけるコーティング処理のオンオフを制御するようにしてもよい。
また、プラズマ生成部3aにおいて生成するプラズマはダメージフリープラズマには限定されず、処理対象物1に施すプラズマ処理の内容に応じて公知のプラズマより選択して適用するとよい。この場合、本発明の構成各部、特に処理室4を利用するプラズマを形成するための条件、例えば温度を零度以下〜200℃以上、圧力を真空〜数十気圧などを満たすように形成するとよい。
また、処理対象物1の通気性部分に上下流間の圧力差を形成するためのプラズマ透過手段としては、上記実施形態のようにプラズマ生成手段3により生成されたプラズマを処理室4内に圧力差によって導入する導入手段(7)および処理室4内の気体を圧力差によって排出する排出手段(6、8、14)の双方を設けてもよく、また、いずれか一方を設けてもよい。また、導入手段としては、プラズマ生成部3a内の圧力が処理室4内の圧力より高く十分な圧力差を形成できる場合には、導入用バルブ7を省く(同バルブ7の開度を変更しない場合を含む)こともできる。
また、前駆物質としては、例えば、金属有機化合物、金属塩など様々な物質を用いることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図2により説明する。以下では、厚さが数cmのシート状であって不織布からなる処理対象物1にプラズマを照射して殺菌処理を施す場合について説明する。
本実施形態に係るプラズマ処理装置2は、前記処理対象物1を収容可能とされた処理室4と、前記処理室4内において処理対象物1を介して対向配置された一対の板電極15および一対の板電極15間に電圧を印加する電源16からなり、所定の圧力下(たとえば、大気圧から大気圧未満の圧力下)で処理室4内にプラズマを発生可能とされたプラズマ生成手段3と、処理室4内に圧力差によってプラズマ生成用ガスを供給する供給手段と、処理室4内の気体を圧力差によって排出する排出手段と、前記プラズマを処理対象物1の内部に形成される上下流間の圧力差によって透過させるプラズマ透過手段と、前記排出手段により排出された気体に含まれるプラズマ生成用ガスをプラズマ生成手段3へ返還する返還手段とを備えている。
前記処理室4は外観形状の高さが数cmの中空直方体状であり、その内部には前記処理対象物1が入るだけの間隙部5、具体的には厚さが数cmの直方体状の間隙部5が形成されている。また、処理室4の外周壁の上面および下面は一対の板電極15によって形成されている。なお、処理室4の縦横および高さは数mmから数mに亘って変更することができる。また、処理室4の外観形状、間隙部5の形状や寸法は、処理対象物1の形状や寸法などに応じて適宜変更することができる。
前記間隙部5の内壁面には、例えば、処理対象物1を載置するために、矩形の枠部材からなる保持部(不図示)が外縁部を以て取り付けられている。また、処理室4の側壁部には開閉自在な収容口(不図示)が形成されており、この収容口を開放して処理対象物1を前記保持部の上に水平に載置することで、処理室4内において処理対象物1を一対の板電極15の中間位置に収容することが可能となっている。電源16としては直流、交流、高周波、マイクロ波など様々な形態のものを使用することができる。
なお、処理室4には少なくとも一対の板電極15が配設されていればよく、必ずしも処理室4の一部を構成している必要はない。例えば、鉛直方向に離間して水平に配置された複数対の板電極が処理室4の内部に配設されていてもよい。
また、処理室4の外周壁には、後述するプラズマ供給部からプラズマ生成用ガスを供給するための円形の供給口17および処理室4内の気体を吸引して排出するための円形の排出口10が形成されている。本実施形態においては、供給口17および排出口10の形成位置は、図2における処理対象物1の上面および下面の近傍、すなわち処理室4の外周壁の上面および下面の中央に形成されている。また、供給口17および排出口10は鉛直方向において互いに対応する位置に形成されている。
なお、供給口17および排出口10は、処理対象物1の対向する一対の外周面の近傍に形成されていればよく、例えば、処理対象物1の右側面および左側面の近傍、すなわち、処理室4の外周壁の右側面および左側面に形成されていてもよい。また、供給口17および排出口10は、必ずしも一方向において対応する位置に形成されていなくてもよい。さらに、供給口17および排出口10は一対に限らず、複数対設けられていてもよく、またそれぞれの数は一致していなくてもよい。
また、処理室4においては、内部に収容した処理対象物1の通気性部分に圧力差を形成できるようにするとともに、処理室4内の圧力をプラズマ形成に必要な条件とされる圧力値(たとえば、大気圧から大気圧未満の圧力)を設定可能とされている。具体的には、後述するポンプ6の吸引力、入口側の供給用バルブ19および出口側の排出用バルブ8の開放量を調整することにより行われる。
処理室4の供給口17には供給用ガス配管18の一端部が取り付けられており、この供給用ガス配管18を介して処理室4とガス供給部12とが連結されている。供給用ガス配管18には供給用バルブ19が設けられており、この供給用バルブ19を開放することにより、ガス供給部12から処理室4内へプラズマ生成用ガスを導入可能となっている。
本実施形態においては、プラズマ生成用ガスとして、HeガスとO2ガスの混合ガスが用いられ、ガス供給部12において、ボンベ(不図示)から供給された各ガスを混合して生成されるようになっている。なお、HeとO2の混合比は変更可能であり、プラズマ生成用ガスの種類も適宜変更可能である。また、供給用バルブ19の開放量を調整することで、供給用ガス配管18を介して処理室4内へ導入される気体の流量並びにガス供給部12と処理室4との圧力差を調整することが可能となっている。なお、これらの供給用ガス配管18および供給用バルブ19は前記供給手段を構成している。
一方、処理室4の排出口10には排出用ガス配管14の一端部が取り付けられている。この排出用ガス配管14には排出用バルブ8およびポンプ6が設けられており、排出用バルブ8を開放し、ポンプ6を作動することにより、処理室4内の気体を吸引して排出することが可能となっている。また、排出用バルブ8の開放量を調整することで、排出用ガス配管14を介して排出される気体の流量並びに処理室4と排出用ガス配管14との圧力差を調整することが可能となっている。なお、これらの排出用ガス配管14、排出用バルブ8およびポンプ6は前記排出手段を構成している。また、本実施形態においては、前記供給手段および前記排出手段が前記プラズマ透過手段を構成している。
ここで、本実施形態においては、供給口17および供給用ガス配管18の断面積は、排出口10および排出用ガス配管14の断面積よりも小さく形成されている。これにより、供給口17を介して処理室4内へ導入される気体の流速を、排出口10を介して処理室4から吸引される気体の流速よりも大きくし、供給口17側から排出口10側へ一方向に気体が流れるようにすることで、空気などの外部の気体が処理室4内に混入するのを防止することができる。
また、排出用ガス配管14の他端部はガス供給部12と接続されており、処理室4から排出口10を介して吸引された気体は、再び、ガス供給部12に返還されるようになっている。ここで、処理室4から吸引された気体中には、一度、ガス供給部12から処理室4内に供給され、後述するように一対の板電極15に挟まれた空間においてプラズマ化されなかったプラズマ生成用ガスなどが含まれており、このプラズマ生成用ガスが再び、ガス供給部12へ返還されることになる。なお、これらの排出用ガス配管14およびポンプ6は前記返還手段を構成している。
なお、処理室4から吸引された気体を排出用ガス配管14を介して直接、ガス供給部12に返還する代わりに、吸引された気体中に含まれるプラズマ生成用ガス以外の不要な気体を排気手段によって除去した後、プラズマ生成用ガスのみを排出用ガス配管14を介して、ガス供給部12へ返還するようにしてもよい。また、排出用ガス配管14にプラズマ生成用ガスを捕集する捕集手段を設けてもよい。
次に、本実施形態のプラズマ処理方法について、図2のプラズマ処理装置2を用いて前記処理対象物1に殺菌処理を施す場合の動作および作用に基づいて説明する。
まず、前記収容口を介して処理室4内の前記保持部に処理対象物1を載置して、処理室4内に収容する。次に、ガス供給部12の前記バルブおよび供給用バルブ19を開放して、処理室4内にプラズマ生成用ガスを供給する。その後、排出用バルブ8を開放するとともに、ポンプ6を作動させる。これによりガス供給部12側の圧力が高く排出用ガス配管14側の圧力が低い圧力差が形成される。その後、電源16をオン状態にして一対の板電極15の間に電圧を印加する。これにより、処理室4内において一対の板電極15に挟まれた空間にプラズマが生成される。
このとき、ポンプ6の吸引力、供給用バルブ19の開放量あるいは排出用バルブ8の開放量を調整することによって、処理室4内の気圧をプラズマ形成に必要な条件とされる圧力値(たとえば、ダメージフリープラズマの場合には大気圧から大気圧未満の圧力)に調整する。例えば、処理室4内の気圧を上げる場合には、供給口17から導入される気体の流量が排出口10から吸引される気体の流量よりも大きくなるように、ポンプ6の吸引するスピード、供給用バルブ19の開放量、あるいは排出用バルブ8の開放量を調整する。逆に、処理室4内の気圧を上げる場合には、導入口9から導入される気体の流量が排出口10から吸引される気体の流量よりも小さくなるように、ポンプ6の吸引力、導入用バルブ7あるいは排出用バルブ8の開放量を調整する。このようにして、ダメージフリープラズマの場合には大気圧から大気圧未満の圧力にかけてそれぞれの気圧に依存して生成する処理室4内のプラズマ状態を制御する。
本実施形態によれば、前記供給手段および前記排出手段によって処理室4内に供給口17側の圧力が高く排出口10側の圧力が低い圧力差を形成して供給口17側から排出口10側へ向かう気流を形成することにより、処理対象物1の厚さ方向に形成される上下流間の圧力差に沿ってプラズマを透過させて、プラズマ生成用ガスから発生するオゾンガスの殺菌作用によって、処理対象物1の通気性部分の内部にまで殺菌処理を施すことができる。
また、本実施形態においては、処理室4から排出される気体に含まれるプラズマ生成用ガスは排出用ガス配管14を介してガス供給部12に返還された後、再び、ガス供給部12から処理室4内に供給されてプラズマの生成に再利用される。これにより、プラズマ生成用ガスの消費量を削減し、コストの大幅な削減を図ることができる。また、本実施形態は、パンなどの食品や布団などの日用品を殺菌処理する場合にも応用することができる。
なお、上記実施形態のように、中空直方体状の処理室4の側壁部に前記収容口を設ける代わりに、処理室4の外壁面の上面を開き蓋として形成し、この開き蓋の一辺を蝶番などによって、処理室4の本体に開閉自在に取り付けてもよい。そして、処理対象物1を処理室4内に収容し、開き蓋を閉じた後に処理室4内に満たされている空気を利用して、プラズマを生成するように構成してもよい。
また、処理室4内において生成するプラズマはダメージフリープラズマには限定されず、処理対象物1に施すプラズマ処理の内容に応じて公知のプラズマより選択して適用するとよい。この場合、本発明の構成各部、特に処理室4を利用するプラズマを形成するための条件、例えば温度を零度以下〜200℃以上、圧力を真空〜数十気圧などを満たすように形成するとよい。
また、処理対象物1の通気性部分に上下流間の圧力差を形成するためのプラズマ透過手段としては、上記実施形態のようにガス供給部12からプラズマ生成用ガスを処理室4内に圧力差によって導入する導入手段(18、19)および処理室4内の気体を圧力差によって排出する排出手段(6、8、14)の双方を設けてもよく、また、導入手段(18、19)単独を設けてもよい。また、導入手段としては、ガス供給部12内の圧力が処理室4内の圧力より高く十分な圧力差を形成できる場合には、供給用バルブ19を省く(同バルブ19の開度を変更しない場合を含む)こともできる。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、図3(a)に示す他の実施形態のように、第2実施形態の処理室4の外周壁に複数の供給口17および排出口10を形成し、一部の供給口17には一般的にプラズマ化しやすい気体を導入し、その他の供給口17には一般的にプラズマ化しにくい気体を導入してもよい。具体的には、図3(a)において、右端から3つ目までの3個の供給口17には一般的にプラズマ化しやすいAr、O2、N2をそれぞれ導入し、左端の供給口17には一般的にプラズマ化しにくく、反応性の高いCF4を導入し、処理室4内において主にAr、O2、N2をプラズマ化させ、CF4を処理対象物1との化学反応に供するようにしてもよい。また、このように、処理室4に複数の供給口17および排出口10を設ける場合、一部の供給用ガス配管18に排気用のポンプを設け、排出口10側から供給口17側へ気体を逆流させてもよい。
また、図3(b)に示す他の実施形態のように、図3(b)における処理室4の外周壁の上面に導入口9および排出口10の両方を形成してもよい。
さらに、上記実施形態のプラズマ処理装置2を様々な化学反応を伴う処理を行うための装置、いわゆるリアクターとして用いてもよい。この場合、上記実施形態において、さらに、処理室4の外周壁に所定のプラズマ処理に要する原料を導入するための原料導入口およびこのプラズマ処理により生成した生成物や副生成物を排出するための排出口を少なくとも1つ形成してもよい。また、前記原料導入口から導入される原料としては、粉体などの固体、液体、気体のいずれであってもよい。
また、例えば、白金、ロジウムなどの触媒を担持したものを処理室4内に収容しておき、前記原料導入口からNOxガスなどの汚染ガスを導入し、さらに、プラズマを照射することにより、触媒反応によって生成した浄化ガスを排気口を介して処理室4内から外部に排出させることも可能である。以上のようなプラズマ処理装置を用いることにより、様々なプラズマ処理を簡便に行うことができる。
1 処理対象物
2 プラズマ処理装置
3 プラズマ生成部
4 処理室
9 導入口
10 排出口

Claims (14)

  1. 少なくともその一部が通気性を有する処理対象物の内部にプラズマを透過させることにより所定のプラズマ処理を施すことを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 前記プラズマはダメージフリープラズマであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理方法により所定のプラズマ処理が施されたことを特徴とする処理対象物。
  4. 少なくともその一部が通気性を有する処理対象物の内部にプラズマを透過させることにより所定のプラズマ処理を施すためのプラズマ処理装置であって、
    プラズマを生成するプラズマ生成手段と、前記プラズマを前記処理対象物の内部に透過させるプラズマ透過手段とを備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
  5. 前記プラズマ透過手段は、上下流間の圧力差によって前記プラズマを前記処理対象物の内部に透過させるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記処理対象物を収容可能とされるとともに前記プラズマ生成手段により生成されたプラズマにより前記処理対象物にプラズマ処理を施す処理室と、前記プラズマ生成手段により生成されたプラズマを上下流間の圧力差によって処理室内に導入する導入手段および前記処理室内の気体を上下流間の圧力差によって排出する排出手段の少なくとも一方を備え、
    前記プラズマ透過手段は前記導入手段および前記排出手段の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記処理室の外周壁には、前記導入手段によりプラズマを導入するための導入口および前記排出手段により処理室内の気体を排出するための排出口の少なくとも1つが形成されていることを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記導入口はスリット状であり、前記処理対象物を前記導入口の長手方向と直交する方向に移動させつつ、プラズマ処理を施すことが可能とされていることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記導入口および前記排出口は、前記処理室の外周壁において前記処理対象物の互いに対向する少なくとも一対の外周面の近傍の位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記処理対象物を収容可能とされた処理室と、前記処理室内において前記処理対象物を介して対向配置された少なくとも一対の電極、および前記少なくとも一対の電極間に電圧を印加する電源からなり、処理室内にプラズマを発生可能とされたプラズマ生成手段と、前記処理室内にプラズマ生成用ガスを上下流間の圧力差によって供給する供給手段単独若しくは前記供給手段および前記処理室内の気体を上下流間の圧力差によって排出する排出手段の組合せの少なくとも一方を備え、
    前記プラズマ透過手段は、前記供給手段単独若しくは前記供給手段および前記排出手段の組合せからなることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記処理室の外周壁には、前記供給手段によりプラズマ生成用ガスを供給するため供給口および前記排出手段により処理室内の気体を排出するための排出口の少なくとも1つが形成されていることを特徴とする請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記供給口および前記排出口は、前記処理室の外周壁において前記処理対象物の互いに対向する少なくとも一対の外周面の近傍の位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ処理装置。
  13. 前記排出手段により排出された気体に含まれるプラズマ生成用ガスを前記プラズマ生成手段へ返還する返還手段を備えることを特徴とする請求項6乃至請求項12のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  14. 前記プラズマはダメージフリープラズマであることを特徴とする請求項4乃至請求項13のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
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