JP2015026574A - プラズマ生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】創傷の治癒促進に適した水分含有大気圧非平衡プラズマを生成するプラズマ生成装置を提供する。【解決手段】プラズマ生成装置1は、プラズマが生成される空間11を形成しかつ端部12が開放された管体10と、気体を前記空間へ導入する気体導入部20と、前記空間内で前記気体から大気圧非平衡プラズマを生成するプラズマ生成器30と、液体を輸送しかつ前記空間内に前記液体を吐出するための吐出口41を有する可撓性の液送管40と、前記液送管を外から押して変形させることにより前記吐出口から前記液体を吐出させる押圧部50と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ生成装置に関し、特には、ミスト含有大気圧非平衡プラズマを生成する技術に関する。
大気圧非平衡プラズマとは、大気圧下において、電子温度は高温(数万K)であるがガス温度は低温(常温程度)であるプラズマを言う。大気圧非平衡プラズマを対象物に照射することで、対象物に熱負荷をかけずに、ラジカルの作用によって対象物の化学反応を促進できる。大気圧非平衡プラズマには、微細加工、薄膜合成、表面改質、殺菌、光源、バイオ応用、医療応用、プラズマ支援燃焼など、様々な用途がある。大気圧非平衡プラズマを生成するための装置は、これまでに多数提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
国際公開第2008/072390号 特開2008−10373号公報 特開2004−14494号公報
本発明者らは、大気圧非平衡プラズマを生体の創傷に照射することで、創傷の治癒が促進される効果に着目する。大気圧非平衡プラズマの照射によって、例えば表皮の再生といった、創傷の治癒が促進されることが経験的に分かっているが、未だ研究例が少なく、そのメカニズムについては不明な点が多々ある。
本発明者らは、生体の創傷に照射するために適した大気圧非平衡プラズマを誘電体バリア放電によって生成するプラズマ生成装置を検討している。当該プラズマ生成装置には、小型、簡易、電極が露出しないなどの長所があるが、創傷の治癒効果に関してさらに改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、より高い創傷の治癒効果が得られるプラズマ生成装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、開示されるプラズマ生成装置の1つの態様は、プラズマが生成される空間を形成しかつ端部が開放された管体と、気体を前記空間へ導入する気体導入部と、前記空間内で前記気体から大気圧非平衡プラズマを生成するプラズマ生成器と、液体を輸送しかつ前記空間内に前記液体を吐出するための吐出口を有する可撓性の液送管と、前記液送管を外から押して変形させることにより前記吐出口から前記液体を吐出させる押圧部と、を備える。
本開示に係るプラズマ生成装置の態様によれば、前記押圧部の動作に応じて前記液体の流量が制御できるので、創傷を適度な湿潤状態に保つために適した量のミストを含有した大気圧非平衡プラズマを生成できる。また、前記プラズマ生成装置によって生成される大気圧非平衡プラズマは、生体に照射しても熱ダメージを与えないので、生体の創傷に照射するために適している。本発明者らが行った実験の結果から、前記プラズマ生成装置によって生成されたミスト含有大気圧非平衡プラズマをマウスの創傷に照射することにより、創傷の治癒が促進されることが確かめられている。
第1の実施の形態に係るプラズマ生成装置の構成の一例を示す模式図である。 第1の実施の形態に係るラジカルの分光強度の一例を示すグラフである。 第1の実施の形態に係るラジカルの分光強度の一例を示すグラフである。 第1の実施の形態に係るラジカルの分光強度の一例を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る圧力に対する水滴の直径の一例を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る圧力に対する液体流量の一例を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る照射距離に対する湿潤領域の大きさの一例を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る創傷模型の一例を示す断面図である。 (a)〜(d)第2の実施の形態に係る創傷模型の状態の一例を示す写真である。 第3の実施の形態に係る創傷治療の様子を示す概念図である。 第3の実施の形態に係る創傷の治癒経過の一例を示すグラフである。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、より高い創傷の治癒効果が得られるプラズマ生成装置を検討する中で、創傷に大気圧非平衡プラズマを照射する際に、創傷を湿潤状態に保つことによって、創傷の治癒が促進されることに気付いた。すなわち、創傷の治癒を促進するために、創傷を適度な湿潤状態に保ちながら創傷に大気圧非平衡プラズマを照射することができるプラズマ生成装置が有効と考えられる。
このような知見に対し、例えば、液体試料の分析という異なる目的の液体導入プラズマトーチが周知となっている(例えば、特許文献4:特開2005−31020号公報)。特許文献4に開示される液体導入プラズマトーチは、プラズマ発生室を形成するプラズマトーチ本体と、噴霧口からプラズマ発生室内に液体を噴霧する噴霧装置とを備え、噴霧口の位置を調整可能としている。前記液体導入プラズマトーチを用いて、前記液体試料の代わりに純水や生理食塩水を噴霧することで、純水や生理食塩水のミストを含有したプラズマが生成される可能性はある。
しかしながら、前記液体導入プラズマトーチは、例えば、プラズマが生体に与える熱ダメージや、創傷を適度な湿潤状態に保つ能力及び制御性に関する検討がなされておらず、生体の創傷に照射するためのプラズマを生成するために適しているとは言い難い。
そこで、本発明者らは、創傷を適度な湿潤状態に保ちながら創傷に大気圧非平衡プラズマを照射するために適したプラズマ生成装置の構成について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
開示されるプラズマ生成装置の1つの態様は、プラズマが生成される空間を形成しかつ端部が開放された管体と、気体を前記空間へ導入する気体導入部と、前記空間内で前記気体から大気圧非平衡プラズマを生成するプラズマ生成器と、液体を輸送しかつ前記空間内に前記液体を吐出するための吐出口を有する可撓性の液送管と、前記液送管を外から押して変形させることにより前記吐出口から前記液体を吐出させる押圧部と、を備える。
本態様によれば、前記押圧部の動作に応じて前記液体の流量が制御できるので、創傷を適度な湿潤状態に保つために適した量のミストを含有した大気圧非平衡プラズマを生成できる。また、前記プラズマ生成装置によって生成される大気圧非平衡プラズマは、生体に照射しても熱ダメージを与えないので、生体の創傷に照射するために適している。本発明者らが行った実験の結果から、前記プラズマ生成装置によって生成されたミスト含有大気圧非平衡プラズマをマウスの創傷に照射することにより、創傷の治癒が促進されることが確かめられている。
また、前記押圧部は、前記液送管に接して配置されるピエゾ素子で構成されてもよい。
本態様によれば、前記ピエゾ素子の駆動に応じて前記液体の流量が制御できる。
また、前記プラズマ生成装置は、さらに、前記液体を前記液送管に圧入するポンプを備えてもよい。
本態様によれば、前記ポンプによって前記液送管内の前記液体に加えられる圧力に応じて前記液体の流量が制御できる。
また、前記管体と前記液送管とが同軸上に配置されていてもよい。
本態様によれば、前記気体と前記液体のミストとが、前記管体内で良好に混合される。
また、前記プラズマ生成器は、前記管体に配置される電極で構成され、当該電極に電圧を印加されることで生じる誘電体バリア放電によって、前記大気圧非平衡プラズマを生成してもよい。
本態様によれば、誘電体バリア放電によって前記大気圧非平衡プラズマを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係るプラズマ生成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るプラズマ生成装置の構造の一例を示す模式図である。
プラズマ生成装置1は、生体の創傷に照射されるために適した、ミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2を生成する装置であり、管体10、気体導入部20、プラズマ生成器30、液送管40、及び押圧部50から構成される。
管体10は、プラズマが生成される空間11を形成しかつ端部12が開放された部材である。管体10は、例えば、内径が2.6mmのガラス管で構成されてもよい。
気体導入部20は、気体を空間11へ導入する管路である。前記気体は、例えば、アルゴンガスであってもよい。なお、前記気体はアルゴンガスに限られる必要はなく、例えば、ヘリウムガスであってもよい。また、複数の気体をガス混合装置(図示せず)で混合することにより得られる混合ガスであってもよい。
プラズマ生成器30は、空間11内で前記気体から大気圧非平衡プラズマを生成する部材である。プラズマ生成器30は、例えば、管体10に配置される電極であってもよい。そのような電極は、電極30a、30bで構成されてもよい。電源70から電極30a、30b間に電圧が印加されることで誘電体バリア放電を生じ、当該誘電体バリア放電によって前記大気圧非平衡プラズマが生成されてもよい。
一例として、電極30a及び30bは、管体10の外面に巻き付くように各5mmの幅で互いに3.5mm離間して設けられてもよく、また、電極30bは、管体10の端部12から1mm後退して設けられてもよい。なお、プラズマ生成器30としての電極は、電極30a及び30bのような形状に限られる必要はなく、例えば、単電極であってもよい。また、高電圧電極を中心としてプラズマジェットが伸びる方向にアース電極を配置したものであってもよい。
電源70は、プラズマ生成用電圧を供給する電源であり、例えば、数kV、十数kHz程度の交流電圧を出力する電源が用いられ得る。電源70は、プラズマ生成装置1に含まれても含まれなくてもよい。
液送管40は、液体を輸送しかつ空間11内に前記液体を吐出するための吐出口41を有する可撓性の管路である。液送管40は、管体10と同軸上に配置されてもよい。吐出口41は、前記液体に圧力が加えられていない状態では前記液体の表面張力によって前記液体が流出しない微小孔である。吐出口41は、前記液体の粘性に依存して適切な口径で設けられる。
吐出口41は、液送管40の開放された先端によって構成されてもよい。前記液体は、例えば水であり、液送管40は、例えば先端の口径が30μmのガラス管で構成されてもよい。
押圧部50は、液送管40を外から押して変形させることにより吐出口41から前記液体を吐出させる部材である。押圧部50は、例えば、液送管40に接して配置されるピエゾ素子で構成され、電源80にて駆動されてもよい。
電源80は、液体の吐出駆動用電圧を供給する電源であり、例えば、数kHz、数十V程度の交流電圧を、所定の周期及びデューティ比で間欠的に出力する交流電源が用いられ得る。電源80は、プラズマ生成装置1に含まれても含まれなくてもよい。
プラズマ生成装置1は、さらに、前記液体を液送管40に圧入するポンプ60を備えてもよい。
以上のように構成されたプラズマ生成装置1により、前記液体のミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2が生成される。
次に、プラズマ生成装置1によるラジカルの生成処理について説明する。
第1の実施の形態では、プラズマ生成装置1にてミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2及びミストを含有しない大気圧非平衡プラズマ2を生成し、生成された大気圧非平衡プラズマ2を分光分析する第1の実験を行い、プラズマ生成装置1によるラジカルの生成に水が影響しないことを検証した。
第1の実験では、気体導入部20から空間11内へアルゴンガスを導入し、空間11内へ水を吐出しない場合及び水を吐出した場合について、大気圧非平衡プラズマ2を生成した。水を空間11内へ吐出させるために、ポンプ60は設けず、押圧部50としてのピエゾ素子のみを用いた。ピエゾ素子に印加する交流電圧の周波数及び振幅に応じて、水の流量を制御した。
管体10の端部12から距離d下方に対象物90の上面を配置し、生成された大気圧非平衡プラズマ2を照射した。対象物90には金属ブロックを用いた。管体10の端部12から2mm下方の観測点OP1、及び対象物90の上面から2mm上方の観測点OP2において、プラズマの発光スペクトルの測定を3セット行った。各セットでは、プラズマの発光スペクトルを、マルチチャンネル分光器により露光時間19ms/回で30回測定してアベレージングした。そして、アルゴンの発光強度(波長763nm)に対するOHの発光強度(波長309nm)の比(以下、OH/Ar強度比と言う)の、当該3セットの測定における平均値を求めた。
ここで、OH/Ar強度比は、水の吐出によってOHラジカルの生成が阻害されないことを確認するために参照する指標である。第1の実施の形態では、水を吐出したときのOH/Ar強度比が、水を吐出しないときのOH/Ar強度比以上になることで、水の吐出によってOHラジカルの生成が阻害されていないと判断する。
表1に、第1の実施の形態における実施条件を示す。
オシロスコープを用いた観測により、電極30a、30b間には、プラズマ生成用電圧が印加されると10mA程度の振幅の放電電流が流れ、さらに、数十mA程度の振幅のパルス状の放電電流がランダムなタイミングで流れることが確認されている。すなわち、プラズマ生成装置1において、電極30a、30b間に流れる電流が高々数十mA程度であり、プラズマの生成のために投入される電力が数十W程度である。
このような条件下では、電極30a、30bと対象物との間で好ましくないプラズマが生成されず、また空間11内で生成されるプラズマが熱プラズマに移行せず非平衡状態に維持される。その結果、プラズマ生成装置1によれば、対象物に熱ダメージを与える懸念がない。
図2は、距離d=5、10、15mmの場合において、水の流量(横軸)に対するOH/Ar強度比(縦軸)を表すグラフである。図2のグラフには、水を吐出しない場合、及びピエゾ素子をデューティ比100%で連続駆動することにより流量5、9、11μL/sの水を吐出した場合に、観測点OP1で測定されたOH/Ar強度比が示されている。
図3は、距離d=6、8、10、15mmの場合において、水の流量(横軸)に対するOH/Ar強度比(縦軸)を表すグラフである。図3のグラフには、水を吐出しない場合、及びピエゾ素子をデューティ比50%で間欠駆動することにより流量2.5、4.5、5.5μL/sの水を吐出した場合に、観測点OP2で測定されたOH/Ar強度比が示されている。
図4は、距離d=8mmの場合における、水の吐出駆動のデューティ比(横軸)に対するOH/Ar強度比(縦軸)を表すグラフである。図4のグラフには、ピエゾ素子を連続駆動すれば9μL/sの水の流量が得られる吐出駆動用電圧を用いて、ピエゾ素子を10、50、90%のそれぞれのデューティ比で間欠駆動することによって水を吐出した場合に、観測点OP2で測定されたOH/Ar強度比が示されている。
図2〜4のグラフから、水を吐出したときのOH/Ar強度比は、水を吐出しないときのOH/Ar強度比と比べて、大きくなる傾向が見られる。他方、水を吐出したときのOH/Ar強度比には、管体10の端部12と対象物90の上面との間の距離d、水の流量、吐出駆動のデューティ比の何れに対しても特徴的な傾向が見られない。
この結果から、プラズマ生成装置1において、水の吐出によってラジカルの生成が阻害されないことが確認された。
(第2の実施の形態)
次に、プラズマ生成装置1による対象物を湿潤に保つ処理について説明する。
第2の実施の形態では、プラズマ生成装置1にて水を吐出しながら大気圧非平衡プラズマ2を生成し、吐出される水滴の大きさ、水の流量、及び1分間の照射にて対象物が濡れた広さを測定する第2の実験を行い、対象物を湿潤に保つためのプラズマ生成装置1の能力及び制御性を検証した。
第2の実験では、ポンプ60を用いて液送管40内の水に異なる複数の圧力をかけることにより、水の流量を制御した。
図5は、液送管40内の水圧(横軸)に対する水滴の直径(縦軸)を表すグラフである。図5のグラフには、ポンプ60にて液送管40内の水に50、100、150、200、250、300kPaの圧力を加えた場合に、吐出口41から吐出される水滴の直径が示されている。水滴の直径は、吐出口41の近傍領域の水滴を撮影した写真から特定した。
図5に示されるように、液送管40内の水に100kPa以上の圧力を加えたとき、吐出口41から吐出される水滴の直径は略70μmに安定する。
図6は、液送管40内の水圧(横軸)に対する水の流量(縦軸)を表すグラフである。図6のグラフには、ポンプ60にて液送管40内の水に50、100、150、200、250、300kPaの圧力を加えながらピエゾ素子をデューティ比100%で連続駆動した場合の、水の流量が示されている。
図6に示されるように、液送管40内の水にかける50〜300kPaの圧力に応じて、水の流量が制御できる。
図7は、液送管40内の水に100、150、200kPaの圧力をかけながら生成したミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2を対象物90に1分間照射した場合において、管体10の端部12と対象物90の上面との間の距離d(横軸)に対する対象物が濡れた領域の大きさ(縦軸)を表すグラフである。対象物90にはガラス板を用いた。図7のグラフには、対象物90を距離d=10、15、20、25、30、40、50、60mmに配置した場合に、対象物90が濡れた領域と同じ面積の円の直径が示されている。対象物が濡れた領域の大きさは、プラズマ照射後の対象物90の上面を撮影した写真から特定した。
図7に示されるように、圧力が100kPaの場合には、距離dが40mm以上になると対象物90が濡れた領域が急激に広がった。これは、圧力が100kPaでは、管体10の端部12から噴出するミストが放散して、図1に示されるようなペンシル型にならなかったためである。これに対し、圧力が150、200kPaの場合には、噴出するミストがペンシル型になった。そのため、距離dの増加につれて対象物90が濡れた領域が急激に広がる傾向は見られなかった。
これらの結果から、プラズマ生成装置1は、本発明者らが創傷の典型的な大きさとして想定する直径4mmの円形領域を湿潤に保つために十分な能力を有していること、並びに、水滴の安定した直径、水の所望の流量、及び管体10の端部12から噴出するミストの好適な形状を得るための制御が可能であることが確認された。
第2の実施の形態では、さらに、ミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2を創傷の立体模型に照射する第3の実験を行い、より実際的な対象物を湿潤に保つためのプラズマ生成装置1の能力及び制御性を検証した。
図8は、第3の実験で対象物91として用いた創傷模型の断面図であり、当該創傷模型は、粘土板に直径4mm、深さ0.5mmの円形の凹部92を設けて構成されている。第3の実験では、当該創傷模型に、水を吐出しながら生成した大気圧非平衡プラズマ2を1分間照射した後、当該創傷模型を撮影した写真から濡れた領域を確認した。当該1分間に、水の吐出駆動を毎秒(つまり、1分間で60回)行う他に、水の吐出駆動を10秒ごと、5秒ごとに1回(つまり、1分間で6、12回)行うことにより、水の流量を制御した。
図9(a)〜(d)は、プラズマが照射される当該創傷模型の上面を撮影した写真である。図9(a)はプラズマ照射前、図9(b)、(c)、(d)は1分間で6、12、60回の水の吐出駆動によりミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2を照射した後の写真である。これらの写真において、黒い環状の部分が凹部92の縁であり、灰色の部分が濡れた領域である。
図9(b)、(c)、(d)に見られるように、水の吐出駆動の頻度に応じて対象物が濡れた面積、つまり、対象物を湿潤に保つ能力が異なる。図9(b)から、直径4mm、深さ0.5mmの創傷を適量の水で濡らすために、一例として、1分間のプラズマ照射中に6回の水の吐出駆動を行うことが好適であることが分かる。
第3の実験では、さらに凹部の深さが1、2mmである2種類の創傷模型のそれぞれに、1分間で6、12、60回の水の吐出駆動によりミストを含有した大気圧非平衡プラズマ2を照射した。この場合も、凹部の深さが0.5mmの模型の場合と同様に、水の吐出駆動頻度に応じて異なる面積の領域を濡らすことができた。
この結果から、プラズマ生成装置1では、水の吐出駆動の頻度によっても対象物を湿潤に保つ能力が制御できることが確認された。
(第3の実施の形態)
次に、プラズマ生成装置1による創傷の治癒促進について説明する。
第3の実施の形態では、プラズマ生成装置1にて生成した大気圧非平衡プラズマ2をマウスの創傷に照射し、当該創傷の治癒経過を観察する第4の実験を行い、プラズマ生成装置1による創傷の治癒促進効果を検証した。
図10は、第3の実施の形態に係る創傷治療の様子を示す概念図である。図10に示されるように、マウス93に意図的に創傷94を与え、プラズマ生成装置1にて生成した大気圧非平衡プラズマ2を創傷94に照射し、創傷94の治癒経過を観察する。
第4の実験では、創傷を与えた複数のマウスを用意した。そして、水を吐出しながら生成したミストを含有した大気圧非平衡プラズマを創傷に照射したマウス、水を吐出せずに生成したミストを含有しない大気圧非平衡プラズマを創傷に照射したマウス、及びプラズマを創傷に照射しないマウスについて、創傷の経過を対比した。いずれのマウスも、ハイドロコロイド材の絆創膏を定期的に貼り替えることで創傷を保護し、大気圧非平衡プラズマの照射は、絆創膏を貼り替えるときに行った。
図11は、経過日数(横軸)に対する創傷の大きさ(縦軸)を表すグラフである。図11のグラフには、ミストを含有した大気圧非平衡プラズマを創傷に照射したマウス(Water+Ar gas)、ミストを含有しない大気圧非平衡プラズマを創傷に照射したマウス(Ar gas w/o Water)、及びプラズマを創傷に照射せず、絆創膏の貼り替え処置のみを行ったマウス(Control)について、各日の創傷の大きさの初日の大きさに対する比が示されている。
図11のグラフから、ミストを含有した大気圧非平衡プラズマを創傷に照射したマウス(Water+Ar gas)では、その他の処置を行ったマウスと比べて、創傷の治癒が加速され、かつ治癒進行中に見られる創傷の一時的な拡大が抑制されていることが分かる。
この結果から、プラズマ生成装置1によって、創傷の治癒促進効果が発揮されることが確認された。
以上、本発明の態様に係るプラズマ生成装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
プラズマ生成器30は、アルゴンガスなどの気体から大気圧非平衡プラズマが生成できる生成器であれば、実施の形態で例示した電極30a、30bに限られない。また、大気圧非平衡プラズマを生成する方法も誘電体バリア放電に限られない。プラズマ生成器30には、例えば、空間11にマイクロ波を放射することによって空間11内で大気圧非平衡プラズマを生成させるマイクロ波放射器を用いてもよい。
押圧部50は、液送管40を外から押して変形させることにより吐出口41から液体を吐出させる部材であれば、実施の形態で例示したピエゾ素子に限られない。押圧部50には、例えば、磁歪素子を用いてもよい。
吐出駆動用電圧のデューティ比は、押圧部50の応答特性に応じて補正されてもよい。本発明者らが行った実験から、押圧部50としてのピエゾ素子を間欠駆動したとき、当該間欠駆動の各周期における水の吐出は、ピエゾ素子の駆動を停止しても直ちには止まらず、一定の時間継続することが分かっている。押圧部50において延長される水の吐出時間があらかじめ分かっている場合、延長される水の吐出時間に応じて吐出駆動用電圧のデューティ比を補正してもよく、また、延長される水の吐出時間が相対的に許容される誤差の範囲になるように吐出駆動用電圧のデューティ比を大きくしてもよい。
本発明は、ミスト含有大気圧非平衡プラズマを生成できるプラズマ生成装置として、医療などの各種分野への利用可能性を有している。
1 プラズマ生成装置
2 大気圧非平衡プラズマ
10 管体
11 空間
12 端部
20 気体導入部
30 プラズマ生成器
30a、30b 電極
40 液送管
41 吐出口
50 押圧部
60 ポンプ
70、80 電源
90、91 対象物
92 凹部
93 マウス
94 創傷
OP1、OP2 観測点

Claims (5)

  1. プラズマが生成される空間を形成しかつ端部が開放された管体と、
    気体を前記空間へ導入する気体導入部と、
    前記空間内で前記気体から大気圧非平衡プラズマを生成するプラズマ生成器と、
    液体を輸送しかつ前記空間内に前記液体を吐出するための吐出口を有する可撓性の液送管と、
    前記液送管を外から押して変形させることにより前記吐出口から前記液体を吐出させる押圧部と、
    を備えるプラズマ生成装置。
  2. 前記押圧部は、前記液送管に接して配置されるピエゾ素子で構成される、
    請求項1に記載のプラズマ生成装置。
  3. さらに、前記液体を前記液送管に圧入するポンプを備える、
    請求項1又は2に記載のプラズマ生成装置。
  4. 前記管体と前記液送管とが同軸上に配置されている、
    請求項1から3の何れか1項に記載のプラズマ生成装置。
  5. 前記プラズマ生成器は、前記管体に配置される電極で構成され、当該電極に電圧が印加されることで生じる誘電体バリア放電によって、前記大気圧非平衡プラズマを生成する、
    請求項1から4の何れか1項に記載のプラズマ生成装置。
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