JP2013190464A - 偏光板の製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光度及び透過率が高く、また、偏光度の耐久性に優れた偏光板の製造方法、偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】基材層と親水性高分子層との積層体が延伸処理され、かつ、親水性高分子層に少なくとも二色性物質が吸着された延伸積層体を有する偏光板の製造方法であって、基材層に親水性高分子層を積層して積層体を形成する積層工程と、積層体の親水性高分子層側をラビング処理するラビング処理工程と、ラビング処理工程後に、親水性高分子層を少なくとも二色性物質で染色する染色工程と、積層工程後でラビング処理工程の前、または、ラビング処理工程後で染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、積層体を延伸処理する延伸工程と、を備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板の製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置の方式としては、通称TN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等がよく知られているが、なかでもIPS(インプレーンスイッチング;In-Plane Switching)モードの液晶表示装置(以下、単に「IPS型液晶表示装置」とも称する)は、液晶層及び当該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルと、当該液晶セルの両側(視認側及びバックライト側)にそれぞれ配置された偏光板と、を備えるものである。このIPS型液晶表示装置は、現在、タブレット型表示装置やスマートフォンなどの携帯用機器に広く用いられている。
IPS型液晶表示装置では、黒表示時に液晶層に含まれる液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向するため、IPS型液晶表示装置は黒表示性能に優れるという利点がある。また、IPS型液晶表示装置では、いわゆる光学補償フィルム(視野角拡大フィルム)を用いなくともある程度の高視野角を確保できるという利点もある。一方、IPS型液晶表示装置が備える液晶セルの光学的な特性上、斜め方向から画面を見たときに光漏れが発生し、表示画像のコントラストが低下するという問題があった。
液晶表示装置では一般に、このようなコントラストの低下を防止することを目的として、位相差フィルムが使用されているが、さらなる性能向上のために、様々な光学設計に対応可能な位相差フィルムが求められるようになってきている。また、上述したような携帯用機器に搭載される位相差フィルムについては、よりいっそうの薄型化、軽量化の要求も強い。
液晶表示装置の重要な構成部材の1つに、偏光板がある。偏光板は、偏光子と当該偏光子を保護するための偏光板保護フィルムとが積層されてなる構成を有する。
近年、偏光板の薄膜化が求められてきており、偏光板保護フィルムの薄膜化だけでなく、偏光子の薄膜化も求められてきている。そこで、基材に親水性高分子を塗布し、延伸、染色することにより、偏光子も薄膜にするという提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、この方法では、基材と親水性高分子を積層した状態で、親水性高分子を配向させ、染色し、偏光能をもたせる必要があるが、そのためには積層した状態で高倍率で延伸する必要がある。しかし、積層した状態で延伸することによって、うまく延伸できなかったり、無理な延伸を行うことで、基材が収縮したり、ヘイズが発生したりする問題があった。
また、親水性高分子にラビング処理をした後、染色させることで、偏光能を持たせる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
上記特許文献3の方法では、延伸処理を行わないので、基材が収縮することは改善できたが、偏光度や透過率が不十分であったり、長期使用やパネル表示による温度上昇により、偏光度が低下するという問題があった。
特開2009−93074号公報 特開2009−98653号公報 特開2001−343524号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、偏光度及び透過率が高く、また、偏光度の耐久性に優れた偏光板の製造方法、偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、積層体の親水性高分子層側をラビング処理する前、または、ラビング処理する後、もしくはラビング処理の前後に、積層体を延伸することによって、偏光度、透過率及び偏光度の耐久性を改善することができることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基材層と親水性高分子層との積層体が延伸処理され、かつ、前記親水性高分子層に少なくとも二色性物質が吸着された延伸積層体を有する偏光板の製造方法であって、
前記基材層に前記親水性高分子層を積層して前記積層体を形成する積層工程と、
前記積層体の前記親水性高分子層側をラビング処理するラビング処理工程と、
前記ラビング処理工程後に、前記親水性高分子層を少なくとも二色性物質で染色する染色工程と、
前記積層工程後で前記ラビング処理工程の前、または、前記ラビング処理工程後で前記染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、前記積層体を延伸処理する延伸工程と、を備えることを特徴とする偏光板の製造方法。
2.前記延伸工程における前記積層体の総延伸倍率が、1.1〜3.0倍の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の偏光板の製造方法。
3.前記ニ色性物質が、二色性色素であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板の製造方法。
4.前記染色工程後、前記積層体を100〜160℃の範囲内で加熱処理を行うことを特徴とする第1項〜3項のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
5.第1項〜第4項のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法によって製造される偏光板であって、
温度60℃、相対湿度90%RH、500時間での偏光度の耐久性が−0.1〜−1.0%の範囲内であることを特徴とする偏光板。
6.第1項〜第4項のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法によって製造される偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
7.IPSモードの液晶セルを有することを特徴とする第6項に記載の液晶表示装置。
本発明の上記手段により、偏光度及び透過率が高く、また、偏光度の耐久性に優れた偏光板の製造方法、偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
積層工程後でラビング処理工程の前、または、ラビング処理工程後で染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、積層体を延伸処理するので、ラビング処理によって配向させることができ、延伸処理では高倍率で延伸する必要がない。そのため、高倍率延伸による基材の収縮やヘイズの発生といった問題も生じることがなく、偏光度及び透過率が高くなり、偏光度の耐久性に優れると考えられる。
また、延伸倍率を低くできることから、親水性高分子層を薄く形成することができ、より薄膜化を図ることができる。
さらに、染色工程後、加熱処理することによって、偏光度の耐久性をより改善することができると考えられる。
ラビング処理工程におけるラップ角度を説明するための図である。
本発明の偏光板の製造方法は、基材層と親水性高分子層との積層体が延伸処理され、かつ、前記親水性高分子層に少なくとも二色性物質が吸着された延伸積層体を有する偏光板の製造方法であって、前記基材層に前記親水性高分子層を積層して前記積層体を形成する積層工程と、前記積層体の前記親水性高分子層側をラビング処理するラビング処理工程と、前記ラビング処理工程後に、前記親水性高分子層を少なくとも二色性物質で染色する染色工程と、前記積層工程後で前記ラビング処理工程の前、または、前記ラビング処理工程後で前記染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、前記積層体を延伸処理する延伸工程と、を備えることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記延伸工程における前記積層体の総延伸倍率が1.1〜3.0倍の範囲内であることが、低倍率延伸により、偏光度及び透過率を高くすることができ、偏光度の耐久性に優れる点で好ましい。
また、前記二色性物質が、二色性色素であることが、偏光度向上の点で好ましい。
また、前記染色工程後、前記積層体を100〜160℃の範囲内で加熱処理を行うことが、偏光度の耐久性を改善させることができる点で好ましい。
本発明の偏光板は、前記偏光板の製造方法によって製造される偏光板であって、温度60℃、相対湿度90%RH、500時間での偏光度の耐久性が−0.1〜−1.0%の範囲内であることが好ましい。これにより、輝度ムラを抑えることができる。
本発明の液晶表示装置は、前記偏光板の製造方法によって製造される偏光板を有することが好ましい。これにより、輝度ムラが無く、高輝度の液晶表示装置とすることができる。
また、液晶表示装置は、IPSモードの液晶セルを有することが、本発明の偏光板をそのまま使用できる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の偏光板の製造方法は、基材層と親水性高分子層との積層体が延伸処理され、かつ、前記親水性高分子層に少なくとも二色性物質が吸着された延伸積層体を有する偏光板の製造方法であって、前記基材層に前記親水性高分子層を積層して前記積層体を形成する積層工程と、前記積層体の前記親水性高分子層側をラビング処理するラビング処理工程と、前記ラビング処理工程後に、前記親水性高分子層を少なくとも二色性物質で染色する染色工程と、前記積層工程後で前記ラビング処理工程の前、または、前記ラビング処理工程後で前記染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、前記積層体を延伸処理する延伸工程と、を備えることを特徴とする。
まず、偏光板について説明する。
[偏光板]
本発明に係る偏光板は、上述したように、親水性高分子層と基材との積層体が延伸処理されてなる延伸積層体を有するものである。当該延伸積層体の構成要素について、より詳細に説明する。
<親水性高分子層>
延伸積層体は、まず、親水性高分子層を備える。親水性高分子層は、親水性高分子を主成分として含有する層である。そして、本形態に係る偏光板において、親水性高分子層は二色性物質を吸着したものである。これにより、親水性高分子層は、本形態に係る偏光板において偏光子として機能することになる。
延伸積層体を構成する親水性高分子層は、製造時の厚さばらつき、異常光反射率等の観点から、その厚さが0.5〜20μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2〜10μmの範囲である。なお、親水性高分子層の厚さの値としては、延伸した積層体の厚さから基材フィルムのみを同条件で延伸したフィルムの厚さを引くという手法により測定した値を採用するものとする。また、厚さの測定は膜厚計などを使用して行う。
親水性高分子層を構成する親水性高分子について特に制限はないが、ポリビニルアルコール系材料が好ましく例示される。
ポリビニルアルコール系材料としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体が挙げられる。
ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられるほか、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜10000程度が好ましく、1000〜10000の範囲がより好ましい。ケン化度は80〜100モル%の範囲内のものが一般に用いられる。上記のほか、親水性高分子としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化物、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等が挙げられる。前記親水性高分子としては、ポリビニルアルコール系材料のなかでも、ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。
親水性高分子層は、上述した親水性高分子に加えて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含有してもよい。可塑剤としては、ポリオール及びその縮合物等が挙げられ、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。可塑剤等の使用量は特に制限されないが、親水性高分子層の全量100質量%に対して20質量%以下とするのが好ましい。
<基材層>
延伸積層体はまた、基材層を備える。基材層は、延伸積層体(偏光板)の作製時において、親水性高分子層を作製するための基材として機能しうる。また、基材層は、本形態に係る偏光板において、偏光子を保護するための保護層(保護フィルム)として機能する。
基材層の膜厚は20〜180μmの範囲が好ましく、30〜160μmの範囲がより好ましく、40〜120μmの範囲がさらに好ましい。膜厚が20μm以上であれば偏光板等に加工する際のハンドリング性や偏光板のカール抑制の点で好ましい。また、基材層の膜厚むらは、搬送方向及び幅方向のいずれも0〜2%の範囲であることが好ましく、0〜1.5%の範囲がさらに好ましく、0〜1%の範囲であることが特に好ましい。
基材層を構成する材料としては、ポリマーフィルムを使用することが好ましい。
≪ポリマー≫
ポリマーフィルムに使用することができるポリマーについて説明する。
ポリマーとしては、セルロースエステル(例えば、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネート、セルロースジアセテート)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリエステル(例えば、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリスルホン、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)、ポリアミド、ポリイミド、シクロオレフィンコポリマー、ポリノルボルネン、アクリル(市販のものとして、例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製))等の光学用途等に用いることができるポリマーフィルムを構成しうるポリマーを挙げることができる。
前記ポリマーは、適切な透湿度を達成するために、主鎖もしくは側鎖にヒドロキシ基、アミド、イミドまたはエステル等の親水的な構造を有することが好ましい。本発明では、共重合体を用いてもよいし、ポリマー混合物を用いてもよい。前記ポリマーとしては、セルロースエステルが特に好ましい。
ポリマーフィルムを製造する場合において、原材料となる前記ポリマーとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット化したものも用いることができる。
前記ポリマーの含水率は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。また、前記含水率は場合により0.2質量%以下であることが好ましい。前記ポリマーの含水率が好ましい範囲内にない場合には、前記ポリマーを乾燥風や加熱などにより乾燥してから使用することが好ましい。
これらのポリマーは単独で用いてもよいし、2種類以上のポリマーを併用してもよい。
前記セルロースエステルとしては、セルロースエステル化合物、及び、セルロースを原料として生物的或いは化学的に官能基を導入して得られるエステル置換セルロース骨格を有する化合物が挙られる。
なお、ポリマーフィルムの主成分としてのポリマーとしては、上述のセルロースエステルを用いることが好ましい。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、単一のポリマーからなる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからなる場合には、構成するポリマーのうち、最も質量分率の高いポリマーのことを示す。
前記セルロースエステルは、セルロースと酸とのエステルである。前記エステルを構成する酸としては、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。
セルロースエステルの中で好ましいセルロースアシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位及び6位に存在するヒドロキシ基の水素原子の全部または一部が、アシル基で置換されている。前記アシル基の例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、及び、シンナモイル基が挙げられる。前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ピバロイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も好ましい。
セルロースエステルは、セルロースと複数の酸とのエステルであってもよい。また、セルロースアシレートは、複数のアシル基で置換されていてもよい。
セルロースアシレートのセルロースのヒドロキシ基に置換されているアセチル基(炭素数2)の置換度をSAとし、セルロースのヒドロキシ基に置換されている炭素数3以上のアシル基の置換度をSBとしたとき、SA及びSBを調整することにより、本発明におけるポリマーフィルムの延伸特性の調整を行うことができる。
本発明におけるポリマーフィルムに求める延伸特性により、適宜、SA+SBを調整することとなるが、好ましくは2.30<SA+SB≦3.00、より好ましくは2.40≦SA+SB≦2.95であり、さらに好ましくは2.70≦SA+SB≦2.95であり、特に好ましくは2.78≦SA+SB≦2.94である。セルロースエステルは公知の方法により合成することができる。
例えば、セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田伸彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。
前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で150〜500が好ましく、200〜400がより好ましく、220〜350がさらに好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。前記粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
セルロースエステルの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
≪高分子量添加剤≫
本発明におけるポリマーフィルムは、高分子量添加剤を含有することが好ましい。
本発明のポリマーフィルムに用いられる高分子量添加剤は、その化合物中に繰り返し単位を有するものであり、数平均分子量が500〜100000のものが好ましい。高分子量添加剤は、溶液流延法において、溶媒の揮発速度を速めたり、残留溶媒量を低減するために用いられる。また、溶融製膜法によるフィルムにおいても、高分子量添加剤は着色や膜強度劣化を防止するために有用な素材である。さらに、本発明のフィルムに該高分子量添加剤を添加することは、機械的性質向上、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示す。
ここで、本発明における高分子量添加剤の数平均分子量は、より好ましくは数平均分子
量700以上10000未満であり、さらに好ましくは数平均分子量800〜8000で
あり、よりさらに好ましくは数平均分子量800〜5000であり、特に好ましくは数平
均分子量1000〜5000である。このような範囲とすることにより、より相溶性に優
れる。
以下、本発明に用いられる高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説
明するが、本発明で用いられる高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでない。
高分子系添加剤としては、ポリエステル系ポリマー、スチレン系ポリマーおよびアクリル系ポリマーおよびこれら等の共重合体から選択されることが好ましく、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、アクリル系ポリマーおよびスチレン系ポリマーがより好ましい。また、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマーといった、負の固有複屈折を有するポリマーを少なくとも一種含まれることが好ましい。
≪ポリエステル系ポリマー≫
本発明で用いられるポリエステル系ポリマーは、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸
と炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の混合物と、炭素数2〜12の脂肪族ジオール、
炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールおよび炭素数6〜20の芳香族ジオールから
選ばれる少なくとも1種類以上のジオールとの反応によって得られるものであり、かつ反
応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸類やモノアルコール類ま
たはフェノール類を反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特
にフリーなカルボン酸類を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効
である。本発明のポリエステル系ポリマーに使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜20
の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸残基であることが
好ましい。
本発明で好ましく用いられる炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメ
リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
また炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−
ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジ
カルボン酸等がある。
これらの中でも好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、マレイン
酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸であり、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸である。特に好まし
くは、脂肪族ジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸であり、芳香
族ジカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、である。
本発明では、前述の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸のそれぞれの少なくとも
一種類を組み合わせて用いられるが、その組み合せは特に限定されるものではなく、それ
ぞれの成分を数種類組み合わせても問題ない。
高分子量添加剤に利用されるジオールまたは芳香族環含有ジオールは、例えば、炭素数
2〜20の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールおよび炭素数6
〜20の芳香族環含有ジオールから選ばれるものである。
炭素原子2〜20の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールおよび脂環式ジオール
類を挙げることができ、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−
プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1
,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2
−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル
−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−
エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−
ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オク
タンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタ
デカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使
用される。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,
3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル
−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3
−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、特に好ましくはエタンジオ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール
、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールである。
炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレ
ンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテル
グリコールならびにこれらの組み合わせが挙げられる。その平均重合度は、特に限定され
ないが好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらには2〜5であ
り、特に好ましくは2〜4である。これらの例としては、典型的に有用な市販のポリエー
テルグリコール類としては、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluro
nics) レジンおよびニアックス(Niax)レジンが挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ジオールとしては、特に限定されないがビスフェノールA、1
,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン
、1,4−ベンゼンジメタノールが挙げられ、好ましくはビスフェノールA、1,4−ヒ
ドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールである。
本発明においては、特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止された高分子量添加
剤であることが好ましい。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、高温高湿
での経時劣化に対して有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが
要因となっている。
本発明のポリエステル添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノア
ルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが
好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イ
ソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シ
クロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコ
ール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノ
ール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オ
レイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノ
ールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
好ましく使用され得る末端封止用アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノール、ヘキサノール
、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、イソオクタノール、2−エチルヘキシ
ルアルコール、イソノニルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコールであり
、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、シクロヘキシルアル
コール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ベンジルアルコールで
ある。
また、モノカルボン酸残基で封止する場合は、モノカルボン酸残基として使用されるモ
ノカルボン酸は、炭素数1〜30の置換、無置換のモノカルボン酸が好ましい。これらは
、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族環含有カルボン酸でもよい。好ましい脂肪族モノカル
ボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、
デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族環含有モノカルボ
ン酸としては、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−tert−アミル
安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エ
チル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があ
り、これらはそれぞれ1種または2種以上を使用することができる。
かかる本発明の高分子量添加剤の合成は、常法により上記ジカルボン酸とジオールおよ
び/または末端封止用のモノカルボン酸またはモノアルコール、とのポリエステル化反応
またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリ
コール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。これ
らのポリエステル系添加剤については、村井孝一編者「添加剤 その理論と応用」(株式
会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平0
5−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2
006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号
、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもでき
る。
以下に、本発明で用いることができるポリエステル系ポリマーの具体例を記すが、本発
明で用いることができるポリエステル系ポリマーはこれらに限定されるものではない。
Figure 2013190464
Figure 2013190464
表1及び表2中、PAはフタル酸を、TPAはテレフタル酸を、IPAはイソフタル酸を、AAはアジピン酸を、SAはコハク酸を、2,6−NPAは2,6−ナフタレンジカルボン酸を、2,8−NPAは2,8−ナフタレンジカルボン酸を、1,5−NPAは1,5−ナフタレンジカルボン酸を、1,4−NPAは1,4−ナフタレンジカルボン酸を、1,8−NPAは1,8−ナフタレンジカルボン酸をそれぞれ示している。
≪ポリマー溶液≫
本発明に用いるポリマーフィルムは、例えば、上記ポリマーや各種添加剤を含有するポリマー溶液から溶液流延製膜方法や溶融製膜方法によって作製することができる。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができるポリマー溶液について説明する。
(溶媒)
本発明の溶液製膜の作製に用いられるポリマー溶液(好ましくはセルロースエステル溶液)の主溶媒としては、該ポリマーの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。前記有機溶媒の沸点は、10〜80℃の範囲であることがさらに好ましく、20〜60℃の範囲であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃の範囲である有機溶媒も前記主溶媒として好適に用いることができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコール及び炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、本発明のポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液(好ましくはセルロースエステル溶液)の主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を好適に挙げることができる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートなどが挙げられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコール及び炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノールまたはブタノールであり、最も好ましくはメタノール、ブタノールである。前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
ポリマーフィルムを構成するポリマーがヒドロキシ基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含む場合、全溶媒中に5〜30質量%の範囲、より好ましくは7〜25質量%の範囲、さらに好ましくは10〜20質量%の範囲のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。水素結合性の官能基を含むポリマーには、セルロースアシレートが含まれる。
また、上記ポリマーフィルムの作製に用いられる前記ポリマー溶液は、乾燥過程初期においてハロゲン化炭化水素とともに揮発する割合が小さく、次第に濃縮される沸点が95℃以上であり、且つ、セルロースエステルの貧溶媒である有機溶媒を1〜15質量%の範囲、より好ましくは1.5〜13質量%の範囲、さらに好ましくは2〜10質量%の範囲含有することが好ましい。また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めるのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%の範囲で含有させても良く、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲で含有させてもよく、特に0.2〜2質量%の範囲で含有させてもよい。
ポリマーフィルムの作製に用いられるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、比率の数値は、質量部を意味する。
(1)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5
(2)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/5/5/10
(3)ジクロロメタン/イソブチルアルコール=90/10
(4)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/5/5/10
(5)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/8/10/2(6)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5
(7)ジクロロメタン/ブタノール=90/10
(8)ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/ブタノール=68
/10/10/7/5
(9)ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/ペンタノール=80/2/15/3
(10)ジクロロメタン/メチルアセテート/エタノール/ブタノール=70/12/15/3
(11)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/5/5/10
(12)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/ペンタノール=50/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン/1,3−ジオキソラン/メタノール/ブタノール=70/15/5/10
(14)ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/ブタノール=75/5/10/5/5
(15)ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブチルアルコール/シクロヘキサン=60/18/3/10/7/2
(16)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/イソブチルアルコール=70/10/10/10
(17)ジクロロメタン/アセトン/エチルアセテート/ブタノール/ヘキサン=69/10/10/10/1
(18)ジクロロメタン/メチルアセテート/メタノール/イソブチルアルコール=65/15/10/10
(19)ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=85/7/3/5
(20)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=83/15/2
(21)ジクロロメタン=100
(22)アセトン/エタノール/ブタノール=80/15/5
(23)メチルアセテート/アセトン/メタノール/ブタノール=75/10/10/5(24)1,3−ジオキソラン=100
(25)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/水=85/18/1.5/0.5
(26)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/ブタノール/水=87/5/5/2.5/0.5
(27)ジクロロメタン/メタノール=92/8
(28)ジクロロメタン/メタノール=90/10
(29)ジクロロメタン/メタノール=87/13
(30)ジクロロメタン/エタノール=90/10
また、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とした場合の詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、使用することができる。これらの代表的な溶剤を下記に記載する。
(31)酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール=85/10/5/5
(32)酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/エタノール=80/10/5/5
(33)酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/エタノール=60/15/15/5/5
(34)酢酸メチル/1、3−ジオキソラン/メタノール/エタノール=70/20/5/5
(35)アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=65/20/10/5
(36)アセトン/塩化メチレン/メタノール=85/5/5
(37)1、3−ジオキソラン/塩化メチレン/メタノール/ブタノール=70/15/10/5
(溶液濃度)
調製する前記ポリマー溶液中のポリマー濃度は、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲がさらに好ましく、15〜30質量%の範囲が最も好ましい。前記ポリマー濃度は、ポリマーを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%の範囲)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、ポリマーの濃度を低下させることもできる。
(添加剤)
ポリマーフィルムの作製に用いられる前記ポリマー溶液は、各調製工程において用途に応じた各種の液体または固体の添加剤を更に含むことができる。前記添加剤の例としては、紫外線吸収剤(0.001〜1質量%)、平均粒子サイズが5〜3000nmの範囲である微粒子粉体(0.001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤(0.001〜1質量%の範囲)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、光学異方性制御剤(0.01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)が含まれる。
(ポリマー溶液の調製)
前記ポリマー溶液の調製は、例えば、特開昭58−127737号公報、同61−106628号公報、特開平2−276830号公報、同4−259511号公報、同5−163301号公報、同9−95544号公報、同10−45950号公報、同10−95854号公報、同11−71463号公報、同11−302388号公報、同11−322946号公報、同11−322947号公報、同11−323017号公報、特開2000−53784号公報、同2000−273184号公報、同2000−273239号公報に記載されている調製方法に準じて行なうことができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過してポリマー溶液を得る。
本発明においては、ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒の混
合物を冷却及び/または加熱する工程を含んでもよい。溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いて、ポリマーと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃の範囲に冷却することが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃の範囲で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃の範囲に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(a)または(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
さらに、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃の範囲に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜55℃の範囲で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜57℃の範囲に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒の混合物を加熱する場合、下記(c)または(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
≪ポリマーフィルムの製膜≫
ポリマーフィルムは、上記のポリマー溶液を用いて溶液流延製膜方法により製造することができる。溶液流延製膜方法の実施に際しては、従来の方法に従い、従来の装置を用いることができる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製することができる。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギアポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延する(流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ローラー群で搬送しながら乾燥を終了する。溶液流延製膜方法の流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜本発明にも適用することができる。
また、ポリマーフィルムは、上記のポリマー溶液を用いずに溶融流延製膜方法により製造することができる。溶融流延製膜方法は、ポリマーを加熱して溶融したものを支持体上に流延し、冷却してフィルムを形成する方法である。ポリマーの融点、もしくはポリマーと各種添加剤の混合物の融点が、これらの分解温度よりも低くかつ延伸温度よりも高い場合には、溶融流延製膜方法を採用することが可能である。溶融流延製膜方法については、特開2000−352620号公報などに記載がある。またポリマーフィルムは搬送方向もしくは幅手方向に延伸してもよい。
この乾燥終了したフィルム中の残留溶剤量は0〜2質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0〜1質量%の範囲であり、特に好ましくは0〜0.5質量%の範囲である。ポリマーフィルムの好ましい幅は0.5〜5mの範囲であり、より好ましくは0.7〜3mの範囲である。フィルムの好ましい巻長は300〜30000mの範囲であり、より好ましくは500〜10000mの範囲であり、さらに好ましくは1000〜7000mの範囲である。
次に、本発明に係る偏光板の製造方法について説明する。
[偏光板の製造方法]
本発明に係る偏光板の製造方法は、基材層に親水性高分子層を積層して積層体を形成する積層工程と、積層体の親水性高分子層側をラビング処理するラビング処理工程と、ラビング処理工程後に、親水性高分子層を少なくとも二色性物質で染色する染色工程と、積層工程後でラビング処理工程の前、または、ラビング処理工程後で染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、積層体を延伸処理する延伸工程と、を備える。
(1)積層工程
積層工程は、例えば、上述のポリマーフィルムからなる基材層に、親水性高分子を含有する水溶液を塗工した後に、乾燥することにより行う。
かかる塗工により、基材層と親水性高分子層は、下引き層(プライマー層)を介して、または、基材層と親水性高分子層が、直接、積層し、基材層と親水性高分子層が一体化した状態の積層体が得られる。
前記水溶液は、親水性高分子の粉末または親水性高分子フィルムの粉砕物、切断物等を、適宜に加熱した水(熱水)に溶解することにより調製することができる。前記水溶液の基材層上への塗工は、塗工法は、ワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のローラーコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを適宜に選択して採用できる。
基材層が下引き層を有する場合には当該下引き層に、下引き層を有しない場合には基材層に、直接、前記水溶液を塗工する。
下引き層としては、例えば、ゼラチン層が挙げられる。下引き層を設けることによって、基材層と親水性高分子層との密着性を高めることができる。
なお、乾燥温度は、通常、50〜200℃の範囲内、好ましくは80〜150℃の範囲内であり、乾燥時間は、通常、5〜30分間程度である。
また、本発明で用いる積層体は、例えば、基材層の形成材と、親水性高分子層の形成材の共押出や共流延により形成することもできる。かかる共押出や共流延により基材層と親水性高分子層が一体化した状態の積層体が得られる。
(2)ラビング処理工程
ラビング処理は、配向膜である親水性高分子層の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムまたはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得ることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、ラビング処理は、上述の紙やガーゼ等を巻きつけたラビングローラーを使用して行うことが好ましい。ラビングローラーとしては、ローラー自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングローラーを用いて行うことが好ましい。
ラビングローラーへの積層体のラップ角度α(図1参照)は、0.1〜90°の範囲が好ましいが、特開平8−160430号公報に記載されているように360°以上巻きつけることで安定なラビング処理が得られることもある。長尺な積層体をラビングする場合は、積層体が搬送装置によって一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送されることが好ましい。
なお、図1中、符号1はラビングローラー、符号2は積層体を示す。
(3)延伸処理工程
本発明において、延伸処理は、積層工程後でラビング処理工程の前、または、ラビング処理工程後で後述する染色工程の前、あるいは、積層工程後でラビング処理工程の前及びラビング処理工程後で染色工程の前に行う。
このように延伸処理を行うことによって、偏光度及び透過率が高くなり、偏光度の耐久性に優れた偏光板を得ることができる。具体的には、偏光度が99.95以上、より好ましくは99.99で、単体透過率が39〜45%、より好ましくは42%とすることができる。また、温度60℃、相対湿度90%RH、500時間での偏光度の耐久性が−0.1〜−1.0%の範囲とすることができる。
延伸処理は、通常、積層体に一軸延伸を施すことにより行う。一軸延伸は、前記積層体の長手方向に対して行う縦延伸、前記積層体の幅方向に対して行う横延伸のいずれも採用することができる。横延伸では、幅方向に延伸を行いながら、長手方向に収縮させることもできる。横延伸方式としては、例えば、テンターを介して一端を固定した固定端一軸延伸方法や、一端を固定しない自由端一軸延伸方法等があげられる。縦延伸方式としては、ローラー間延伸方法、圧縮延伸方法、テンターを用いた延伸方法等が挙げられる。延伸処理は多段で行うこともできる。また、延伸処理は、二軸延伸、斜め延伸などを施すことにより行うことができる。
また、延伸処理は、湿潤式延伸方法と乾式延伸方法のいずれも採用できるが、本発明では乾式延伸方法を用いるのが、前記積層体を延伸する際の温度範囲を広く設定することができる点で好ましい。乾式延伸方法では、通常、前記積層体を、50〜200℃程度、好ましくは80〜180℃の範囲、さらに好ましくは100〜160℃の範囲に加熱した状態で延伸処理が行われる。
延伸処理では、前記積層体の元長に対して、総延伸倍率で1.1〜3.0倍の範囲になるように行う。好ましくは1.1〜2倍、さらに好ましくは1.2〜1.5倍の範囲である。
なお、前記総延伸倍率は、ラビング処理の前後に延伸処理を行う場合に、そのラビング処理の前後の延伸を含めた累積の延伸倍率をいう。
総延伸倍率が1.1〜3.0倍の範囲とすることによって、配向が十分で、高い光学特性(偏光度)の偏光子を得ることができる。また、延伸切れも生じることなく、さらに、偏光子が薄くなりすぎて、続く工程での加工性が低下するおそれもない。
(4)染色工程
染色処理は、前記積層体の親水性高分子層に、二色性物質を吸着させることより行う。
二色性物質としては、例えば、二色性色素、ヨウ素や有機染料等が挙げられる。
<二色性色素>
二色性色素としては、サーモトロピック液晶性の二色性色素、リオトロピック液晶性の二色性色素、二色性色素含有のサーモトロピック液晶性化合物、二色性色素含有のリオトロピック液晶性化合物が挙げられる。このような液晶性化合物、及び、液晶性化合物と二色性色素の混合部は、溶液(塗布液)を、前記積層体の親水性高分子層上に塗布することによって、偏光子を形成できることから、生産性に優れている。
≪サーモトロピック液晶≫
二色性色素含有のサーモトロピック液晶性物質としては、ホモジニアス配向したサーモトロピック液晶ポリマーやホモジニアス配向した架橋性液晶ポリマーのマトリックス中に二色性色素が配向しているものを好適に用いることができる。
ホモジニアス配向したサーモトロピック液晶ポリマーや架橋性液晶ポリマー中に二色性色素が配向しているものとしては、特開平11−101964号公報、特開平11−160538号公報、特開2001―330726号公報、特開2001―133630号公報、特開2005−99065号公報、日東技報Vo135,No.1,p79(1997年発行)等に記載されているものが挙げられる。
二色性色素は、入射光に対して分子の長軸と短軸とで異なる吸光度を呈するものであり、液晶ポリマー等の一軸配向に合わせて分子の長軸が該所定の方向に整列しており、入射光に含まれる振動成分を選択的に吸収、透過して偏光に変換する。かかる高二色比を有する色素としては、染料系偏光子に好ましく用いられているアゾ系、ペリレン系、アントラキノン系の色素、あるいはこれらの混合色素が好ましく、例えば、特開昭54−76171号公報等に詳しい。
サーモトロピック液晶性の二色性色素としては、例えば、特開2001−133630に開示されているようなネマチック配向、あるいはスメクチック配向を示す重合性二色性液晶材料や、例えば特開2005−140986号公報に開示されているような相転移特性を有する二色性液晶材料を好適に用いることができる。特に、このようなサーモトロピック液晶性の二色性色素を用いた偏光子は、前記の二色性色素含有のサーモトロピック液晶性物質を含有する偏光子と比較して、高い二色比が発揮される傾向がある。
≪リオトロピック液晶≫
リオトロピック液晶性の化合物とは、水等の溶媒との共存下で濃度変化に伴って液晶相を示す物質である。二色性色素含有のリオトロピック液晶性物質の具体例としては、WO97/39380号国際公開パンフレット等に記載のものや、Optiva社より、商品名「LCポラライザー」として市販されているもの等が挙げられる。
一方、リオトロピック液晶性の二色性色素の例としては、WO94/28073号国際公開パンフレットや、WO96/16015号国際公開パンフレット等に開示されているような、式:(SOM)で表されるクロモゲンを含有する水溶性の有機色素等が挙げられる。これらの化合物は、クロモゲンがアゾ基や多環式化合物等の存在によって液晶性を有し、スルホン酸またはその塩が水溶性を付与することによって、全体としてリオトロピック液晶性を示す。その具体例としては、以下の化学式(1)〜(7)で表されるような化合物が挙げられる。
Figure 2013190464
は水素または塩素であり、Rは水素、アルキル基、ArNHまたはArCONHである。アルキル基としては炭素数が1〜4個のもの、中でもメチル基やエチル基が好ましく、アリール基(Ar)としては置換または無置換のフェニル基、中でも4位を塩素で置換したフェニル基が好ましい。またMはカチオンであり、水素イオン、LiやNa、KやCsのような第一族金属のイオン、アンモニウムイオン等が好ましい(下記の式(2)〜(6)についても同様である)。
Figure 2013190464
前記式(2)〜(4)において、nは2または3である。Aは式(a)または(b)で表される基である。(a)におけるArは置換または無置換のアリール基を表し、(b)におけるRは水素、アルキル基、ハロゲンまたはアルコキシ基を表す。前記アルキル基は炭素数が1〜4個のもの、中でもメチル基またはエチル基が好ましく、ハロゲンは臭素または塩素が好ましい。またアルコキシ基は炭素数が1または2個のもの、中でもメトキシ基が好ましく、アリール基は置換または無置換のフェニル基、中でも、無置換あるいは4位をメトキシ基、エトキシ基、塩素若しくはブチル基で、または3位をメチル基で置換したフェニル基が好ましい。
Figure 2013190464
前記の式(5)において、nは3〜5であることが好ましい。
Figure 2013190464
Figure 2013190464
上記の材料を用いて染色する方法は特に限定されないが、前記の液晶性材料を含有する塗布液を親水性高分子層上に塗布する方法を好適に用いることができる。
≪塗布液≫
塗布液は、サーモトロピック液晶性の二色性色素、二色性色素とサーモトロピック液晶性物質の混合物、リオトロピック液晶性の二色性色素、二色性色素とリオトロピック液晶性物質の混合物からなる群のいずれか、及び溶媒を含有する。
溶媒としては、前記の液晶性物質や、その二色性色素の混合物を溶解、あるいは分散す
るものを適宜に用い得るが、塗布の均一性等の観点においては、溶解性を有する溶媒を用
いることが好ましい。
好ましい溶媒の種類は、用いられる液晶性物質や二色性色素に応じて適宜選択することができるが、リオトロピック液晶性の物質は、前述のごとく水溶性を有し得ることから、リオトロピック液晶性の物質を用いる場合は、水系溶媒を用いることが好ましい。水系の溶媒を用いることは、環境への負荷が小さいことに加えて、火災等の危険性を低減し得る。さらに、水系の溶媒は基材を侵食し難いために、偏光子を形成するための基材の選択性の自由度を高めることができる。
なお、水系の溶媒とは、水、及び必要に応じて、アセトン、ジオキサン、ジオキソラン、アルコール類等の水と混和性を有する有機溶媒を主成分とするものを指し、例えば、溶媒の全質量を100質量部とした場合に、水、及び水と混和性を有する有機溶媒が50重量部以上であるものを指す。中でも、上記の観点に鑑みた場合は、水と混和性を有する溶媒は70質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがより好ましい。中でも、溶媒の全質量を100質量部とした場合に、水が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましい。
前記塗布液は、液晶性物質や二色性色素、溶媒に加えて、任意の添加剤等を含有してもよい。塗布液の固形分濃度は特に制限されず、溶媒、溶質、その他の添加剤等の種類に応じて、塗布に適切な溶液粘度を得られる範囲とすることが好ましい。このような濃度範囲は一概には言えないが、一般には1〜50質量%の範囲であり、2〜30質量%の範囲内であることが好ましく、3〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
≪塗布方法≫
前記塗布液を塗布する方法は特に限定されないが、バーコート法、グラビアコート法、リップコート法等、積層体を長手方向に移動させながら塗設する方法を好適に用いることができる。さらに、このような塗設方法であれば、積層体の長手方向にせん断を付与することができるため、前記したようなリオトロピック液晶性を有する化合物を配向させることも可能である。
塗布に際しては、必要に応じて事前に積層体にアルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等、耐溶剤処理等の表面処理を施すこともできる。
このようにして積層体の親水性高分子層上に偏光子を形成する塗布液の塗膜が形成される。かかる塗膜は、必要に応じて乾燥した後、加熱や紫外線照射等によって液晶の配向状態を固定することが好ましい。
≪浸漬方法≫
有機染料またはヨウ素を使用した染色処理としては、例えば、有機染料またはヨウ素を含有する溶液(染色溶液)に、前記積層体を浸漬することにより行う。
前記染色溶液としては、前記有機染料またはヨウ素を溶媒に溶解した溶液が使用できる。前記溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されても良い。
有機染料またはヨウ素の濃度としては、0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.02〜7質量%の範囲にあることがより好ましく、0.025〜5質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、前記二色性物質としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、さらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、前記染色溶液において、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。これらのなかでも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましく、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合(質量比)は、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
前記染色溶液への積層体の浸漬時間は、特に限定されないが、通常は、15秒〜5分間の範囲であることが好ましく、1分〜3分間の範囲であることがより好ましい。また、染色溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜40℃の範囲にあることがより好ましい。
≪有機染料≫
また、前記二色性物質として有機染料を使用する場合、例えば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、エロー3G、エローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラック、等が使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いてもよい。
上述のように、積層体に延伸処理及び二色性物質による染色処理を施すことにより得られた延伸積層体は、親水性高分子層に二色性物質が吸着されて偏光子として機能するようになる。
(5)架橋処理工程
架橋処理は、例えば、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に前記積層体を浸漬してことにより行うことができる。架橋剤としては、従来公知の物質が使用できる。例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これらは一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記架橋溶液としては、前記架橋剤を溶媒に溶解した溶液が使用できる。前記溶媒としては、例えば水が使用できるが、さらに、水と相溶性のある有機溶媒を含んでもよい。前記溶液における架橋剤の濃度は、これに限定されるものではないが、1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、2〜6質量%の範囲であることがより好ましい。
前記架橋溶液中には、偏光子の面内の均一な特性が得られる点から、ヨウ化物を添加してもよい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンがあげられ、この含有量は0.05〜15質量%の範囲、より好ましくは0.5〜8質量%の範囲である。
前記架橋溶液への前記積層体の浸漬時間は、通常、15秒〜5分間であることが好ましく、30秒〜3分間であることがより好ましい。また、架橋溶液の温度は、10〜60℃の範囲にあることが好ましく、20〜50℃の範囲にあることがより好ましい。
さらに、架橋処理も染色処理と同様に、架橋溶液を塗工または噴霧する方法を用いても行うことができる。
なお、架橋処理は、前記架橋剤を染色溶液中に配合することにより、架橋処理と前記染色処理とを同時に行っても良い。また、架橋処理をラビング後の延伸処理と同時に行ってもよい。
(6)加熱工程
加熱処理は、架橋処理工程後に、積層体を100〜160℃の範囲内で加熱処理を行う。加熱処理を行うことによって、偏光度の耐久性を高めることができる。
加熱温度を100〜160℃の範囲とすることによって、高温高湿条件下での偏光度の劣化を抑制させることができる。
本発明の偏光板には、前記処理の他に、金属イオン処理を施すことができる。金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、前記積層体を浸漬することにより行う。金属イオン処理により、種々の金属イオンを前記積層体の親水性高分子層中に含有させることができる。
金属イオンとしては、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンが好ましく用いられる。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などが挙げられる。
金属イオン含浸処理には、金属塩溶液が用いられる。金属塩溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1〜10質量%程度、好ましくは0.3〜7質量%の範囲である。また、金属塩溶液はヨウ化カリウム等のヨウ化物を含有させた水溶液を用いるのが金属イオンを含浸させやすく好ましい。金属塩溶液中のヨウ化物濃度は0.1〜10質量%程度、さらには0.2〜5質量%の範囲とするのが好ましい。
金属イオン含浸処理にあたり、金属塩溶液の温度は、通常15〜85℃程度、好ましくは25〜70℃の範囲である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。金属イオン含浸処理の段階は特に制限されず、染色溶液及び/または架橋溶液中に亜鉛塩を共存させておいて、染色処理及び/または架橋処理と同時に行ってもよい。また延伸処理と同時に行うこともできる。
前記処理が施された後には、得られた延伸積層体に、洗浄処理を施すことができる。洗浄処理は、ヨウ化カリウム等のヨウ化物溶液により行うことができる。前記ヨウ化物溶液中のヨウ化物濃度は、通常、0.5〜10質量%程度、さらには0.5〜8質量%の範囲、さらには1〜6質量%の範囲である。
ヨウ化物溶液による洗浄処理にあたり、その処理温度は、通常15〜60℃程度、好ましくは25〜40℃の範囲である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。ヨウ化物溶液による洗浄処理の段階は、乾燥処理前であれば特に制限はない。
また、洗浄処理としては、水洗浄処理を施すことができる。水洗浄処理は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水に前記延伸積層体を浸漬することにより行うことができる。水洗浄温度は、通常、5〜50℃の範囲、好ましくは10〜45℃の範囲、さらに好ましくは15〜40℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜300秒間、好ましくは20〜240秒間程度である。
前記洗浄処理の後には乾燥処理を施すことができる。乾燥処理は、任意の適切な方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用されうる。例えば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常、20〜80℃程度であり、乾燥時間は、通常、1〜10分間程度である。
本発明の偏光板(延伸積層体)は、親水性高分子層(偏光子)の片側に、基材層を有する。基材層は、偏光板の透明保護フィルムとして、そのまま用いることができる。一方、親水性高分子層における基材層のない側には、透明保護フィルムを貼り合わせることができる。また、親水性高分子層を基材層から剥離した後に、当該親水性高分子層の両側に透明保護フィルムを貼り合わせることができる。
透明保護フィルムとしては、前記基材層として例示したものと同様の材料を用いることができうる.
前述した偏光板には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤のような光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板への粘着層の付設は、適宜な方式で行われうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物または混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解または分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上に移着する方式などが挙げられる。
粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜40μmの範囲であり、耐久性、外観等の観点から、5〜30μmの範囲が好ましく、特に10〜25μmの範囲が好ましい。粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
偏光板と粘着剤層との間の密着性を向上させるために、その層間にアンカー層を設けることもできる。
上記アンカー層の形成材としては、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、分子中にアミノ基を含むポリマー類から選ばれるアンカー剤が用いられ、特に好ましくは、分子中にアミノ基を含んだポリマー類である。分子中にアミノ基を含むポリマー類は、分子中のアミノ基が粘着剤中のカルボキシ基等と反応またはイオン性相互作用などの相互作用を示すため、良好な密着性が確保される。
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、ジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などが挙げられる。
上記アンカー層には、帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止性付与のための帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリン等の導電性ポリマー系、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などがあげられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、及び帯電防止効果の加熱、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマー系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマー、もしくは水分散性導電性ポリマーが特に好ましく使用される。
帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーを用いた場合、塗工に際して有機溶剤による光学フィルム基材への変質を抑えることができる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能を持たせたものなどであってもよい。
[液晶表示装置]
本発明の偏光板は液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。
液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型、などの任意なタイプのものを用いうる。特にIPS型液晶表示装置が好ましい。
<IPS型液晶表示装>
IPS型液晶表示装置における液晶パネルの液晶層は、初期状態で基板面と平行なホモジニアス配向で、かつ基板と平行な平面で液晶層のダイレクターは電圧無印加時で電極配線方向と平行または幾分角度を有し、電圧印加時で液晶層のダイレクターの向きが電圧の印加に伴い電極配線方向と垂直な方向に移行し、液晶層のダイレクター方向が電圧無印加時のダイレクター方向に比べて45°電極配線方向に傾斜したとき、当該電圧印加時の液晶層は、まるで1/2波長板のように偏光の方位角を90°回転させ、出射側偏光板の透過軸と偏光の方位角が一致して白表示となる。
一般に、液晶層の厚さは一定であるが、横電界駆動であるため、液晶層の厚さに若干凹凸を設ける方がスイッチングに対する応答速度を上げることができるとも考えられるが、液晶層の厚さが一定でない場合であっても、その効果を最大限生かすことができるものであり、液晶層の厚さの変化に対して影響が少ない。液晶層の厚さは、2〜6μmの範囲であって、好ましくは3〜5.5μmの範囲である。本形態に係る液晶表示装置は、大型の液晶テレビに用いられるほか、タブレット型表示装置やスマートフォンなどの携帯用機器にも好ましく用いられうる。
なお、IPS型液晶セルの詳細について特に制限はなく、従来公知の他の技術的事項(例えば、特開2010−3060号公報など)を参照することで、本発明を実施してももちろんよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[偏光板1の作製]
<ポリビニルアルコール水溶液の調製>
親水性高分子からなるフィルムである(株)クラレ製のポリビニルアルコールフィルム(平均重合度2400,ケン化度99モル%、商品名:VF‐PS2400)を、1辺が5mm以下の小片に裁断し、95℃の熱水中に溶解して、濃度10質量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。
<基材層の作製>
基材層として、フィルムを準備した。
以下に示すセルロースエステルドープaを用い、溶液製膜法によりフィルムを作製した。
≪セルロースエステルドープa≫
セルロースアセテート樹脂:置換度2.85、重量平均分子量(Mw)は27.3万 100質量部
添加剤P-52 10質量部
Ti928 0.4質量部
クエン酸モノエチルエステル及びクエン酸ジエチルエステル混合物 0.02質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
≪溶液流延≫
上記のセルロースエステルドープaをミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、セルロースエステルドープを調製した。ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からローラー搬送に移行し、更に120℃から150℃で乾燥し巻き取った。このときフィルムの膜厚は40μmであった。
≪けん化処理≫
フィルムを、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(ケン化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、さらに水洗浴を30秒流水下で通して、フィルムを中性にした状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、ケン化処理したフィルムを作製した。
<積層体の作製>
基材層に上記で調製したポリビニルアルコール水溶液を塗工した後、120℃にて10分間乾燥させて、厚さ8μmのポリビニルアルコール塗膜からなる親水性高分子層を形成して、積層体を得た。
≪延伸工程≫
上記で得られた積層体を160℃にて搬送方向(MD方向)に延伸倍率1.5倍で延伸して、延伸積層体を得た。
≪ラビング処理工程≫
延伸工程後、ラビングローラー外径300mm、延伸積層体の搬送速度20m/min、ラビングローラー回転周速度650m/min、延伸積層体張力2kg/fcm基板幅、ラップ角度30°の条件でラビングを行った。
≪染色処理工程≫
ラビング処理後の延伸積層体を、張力を保持した状態で、30℃のヨウ素溶液(質量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム/水=1/10/100)に300秒間浸漬した。
≪架橋工程≫
60℃の10質量%ホウ酸溶液(質量比:ホウ酸/ヨウ化カリウム/水=12/6/100)に300秒間浸漬した。その後60℃で300秒間乾燥した。
以上の工程を経て、偏光板1を得た。
なお、得られた偏光板1における基材層(延伸後)の厚さは27μmであった。また、偏光板1における親水性高分子層(延伸後)の厚さは5μmであった。
[偏光板2〜15の作製]
下記表3に示すように、延伸工程における延伸倍率、延伸工程の順序(ラビングの前後)、ラビング処理の有無、加熱処理の有無、下引き層の有無、染色処理工程のヨウ素溶液に代えて二色性色素の塗布工程に、それぞれ変更した以外は偏光板1と同様にして作製した。なお、加熱工程、下引き層の形成、二色性物質の塗布工程については以下の通りに行った。
≪加熱工程≫
上記の架橋工程によって得た延伸積層体に、表3に記載の温度で加熱処理を行った。
≪下引き層の形成≫
基材層と親水性高分子層との間に、下引き層として、ゼラチン層を設けた。
≪二色性物質の塗布工程≫
ラビング処理後、リオトロピック液晶性の二色性色素(オプティバ社製、商品名「LCポラライザー」、固形分濃度;10質量%)をコーティングした。
なお、得られた偏光板2〜15における基材層及び親水性高分子層の延伸前と延伸後の厚さを表3に示す。
[偏光板の評価]
<偏光度、単体透過率>
偏光板の光学特性を、積分球付き分光光度計(日本分光(株)製、V7100)にて測定した。波長380nm〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を求め、以下に表す式(1)、式(2)に基づいて各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)を求めた。視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)の結果を下記表3に示す。なお、偏光板の測定は基材層側をディテクター側とし、親水性高分子層側から光が入光するように機器にセットした。
上記において、「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸を平行にしたときの透過率であり、式(1)、式(2)においては「MD」と表す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルを透過軸を直交にしたときの透過率であり、式(1)、式(2)においては「TD」と表す。
単体透過率(%)=(MD+TD)/2 ・・・・式(1)
偏光度(%)=√{(MD−TD)/(MD+TD)}×100 ・・・・式(2)
<偏光度の耐久性>
サイズ25×50mmの大きさに切断した偏光板をスライドガラスにアクリル系粘着剤を用いて貼り付け、光学特性(初期の光学特性)を測定した後、60℃/95%RHの乾燥機に入れ、500時間前記条件の乾燥機に投入した後の光学特性(試験後の光学特性)を測定した。結果を表3に示す。
偏光度の耐久性は、偏光度の変化量を意味し、以下の式で表される。
偏光度変化量=試験後偏光度−初期偏光度
<カール>
偏光板の長辺が延伸方向となるように、100mm×150mmで切り抜いてサンプルとした。当該サンプルを温度40℃、湿度92%RHの恒温恒湿槽中に24時間放置した。次いで、当該サンプルを前記槽から取り出し、金属常盤上に凸面を下にして設置し、サンプルの端部4箇所の常盤からの距離を測定した。
このとき、4箇所の平均値が25mm未満の場合を○、25以上50mm未満の場合をカールが抑制され偏光板として使用可能レベル(△)とした。一方、前記平均値が50mmを超える場合をカールが著しい偏光板として使用不可能レベル(×)とした。結果を表3に示す。
[液晶表示装置の作製]
上記で作製した偏光板のいずれかを用いて、液晶表示装置を作製した。なお、液晶表示パネルとしては従来公知のIPS型液晶表示パネルを用いた。また、偏光板は、親水性高分子層の側が液晶表示パネルと向き合うように、アクリル系粘着剤を用いて当該パネルと貼り合わせた。
[液晶表示装置の評価]
上記で作製した液晶表示装置について、輝度ムラの発生の有無・程度、及びリワーク性を評価した。なお、評価の手法及び評価基準は以下の通りである。
<輝度ムラ>
IPS型液晶表示装置を、50℃・90%RH24時間湿熱処理し、バックライト点灯2時間後の黒表示での輝度ムラ(強弱)と、画像表示した際の影響を目視で評価した。なお、輝度ムラの評価結果については、△以上であれば問題ない。結果を表3に示す。
○:輝度ムラが見えない
△:弱い輝度ムラが見えるが画像表示で気にならない
×:輝度ムラが強く、画像表示でも気になる
Figure 2013190464
表3に示した結果より、ラビング処理工程の少なくとも前後に延伸を行った偏光板1〜3、6〜13〜15は、ラビング処理を行わなかった偏光板4及び延伸を行わなかった偏光板5に比べて、偏光度、透過率、偏光度の耐久性、カール及び輝度ムラの点で優れていたことがわかる。
1 ラビングローラー
2 積層体

Claims (7)

  1. 基材層と親水性高分子層との積層体が延伸処理され、かつ、前記親水性高分子層に少なくとも二色性物質が吸着された延伸積層体を有する偏光板の製造方法であって、
    前記基材層に前記親水性高分子層を積層して前記積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体の前記親水性高分子層側をラビング処理するラビング処理工程と、
    前記ラビング処理工程後に、前記親水性高分子層を少なくとも二色性物質で染色する染色工程と、
    前記積層工程後で前記ラビング処理工程の前、または、前記ラビング処理工程後で前記染色工程の前、の少なくともいずれか一方で、前記積層体を延伸処理する延伸工程と、を備えることを特徴とする偏光板の製造方法。
  2. 前記延伸工程における前記積層体の総延伸倍率が、1.1〜3.0倍の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記ニ色性物質が、二色性色素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記染色工程後、前記積層体を100〜160℃の範囲内で加熱処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法によって製造された偏光板であって、
    温度60℃、相対湿度90%RH、500時間での偏光度の耐久性が−0.1〜−1.0%の範囲内であることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法によって製造された偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
  7. IPSモードの液晶セルを有することを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
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