JP2013189587A - 樹脂歯車の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レゾール型フェノール樹脂粉末2と、繊維1を主成分とする抄造シートを歯車形状に打ち抜き加工後、複数枚積層し予備成形したタブレットを、プレス機により加熱加圧処理を施す。加熱加圧処理によって、フェノール樹脂が繊維と分離し、プレス成形品の表面に流出し、または繊維間での樹脂の不均一分散が起こる問題を防止する。
【解決手段】 タブレットを加熱加圧処理する前に、レゾール型フェノール樹脂粉末2の架橋温度で予備加熱処理を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、樹脂歯車の製造方法に関するものであり、詳しくは、フェノール樹脂と繊維の抄造シートを歯車に成形する方法に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、自動車内燃機関のバランサーシャフト用樹脂歯車を製造する方法に関するものである。
以下、繊維強化フェノール樹脂、該フェノール樹脂の抄造方法、抄造シートを機械部品に加工する方法、及び樹脂歯車の順序で従来技術を説明する。
液状レゾール型フェノール樹脂を繊維補強材に含浸し、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、プリフォームマッチドダイ法、コールドプレス法、レジンインジェクション法、パック法、フィラメントワインディング法などにより成形することは、特許文献1、特開平10−7886号公報より公知である。また、繊維補強材としては、ガラスチョップドストランドマット、ガラスチョップ、ガラスクロス、ガラスロービング、コンティニュアスマット、プリフォームマット、サンフェースマットなどのガラス繊維補強材、カーボン繊維補強材、ウィスカーなどがあることは特許文献1に示されている。液状レゾール型フェノール樹脂は硬化処理の際に短時間に増粘するために、安定性が悪いという問題があるために、特許文献1は酸性ピロリン酸アリールエステルと酸性リン酸アリールエステルからなる硬化剤を使用することを提案している。
特許文献2、特開平5−156037号公報は、粉末状熱硬化性フェノール系樹脂が凝集状態で構造体中に分散すると共に、繊維材料の交絡部に凝集状態で包着している繊維とフェノール系樹脂とからなる構造体を提案している。具体的には、粉末状熱硬化性フェノール樹脂を凝集させる作用を有する非イオン性界面活性剤が存在する繊維材料と当該樹脂の分散液を金網などの有孔支持体に流し込み、その後脱液する。この結果、粉末状フェノール樹脂が繊維の交絡部に凝集するために、フェノール樹脂粉末が繊維材料の網目より小さくとも飛散・漏出することが避けられる。抄造体の加熱加圧成形法については説明されていないが、上記交絡構造をもっている構造体は、加熱加圧成形を施しても、樹脂の漏出は避けられるとの示唆が得られる。
特許文献3、特開2001−123386号公報が開示する一連の抄造シート製造工程は次のようなものである。(イ)計量・混合、(ロ)一時貯留、(ハ)放出、(ニ)貯蔵・静置、(ホ)水抜き、(へ)抄造、(ト)脱水プレス、(チ)1次加熱、(リ)2次加熱。これらの工程のうち、(イ)計量・混合工程では、水、フェノール樹脂粉末、耐熱繊維、非イオン界面活性剤などを攪拌機で混合する。次に、分散ノズルを介して混合物を一時貯水槽に噴出させ、一旦貯蔵する(工程(ロ))。貯水槽の底面にはエアシリンダーなどにより水平移動される可動板と固定板が設けられており、それぞれに形成された抜水孔が連通すると、上記の混合物は抄網が張り渡された抄造槽に放出される(工程(ハ))。工程(ニ)、(ホ)を経て含水率が約85%程度の繊維成形品が抄網とともに抄造機から取り出される(工程(へ))。その後、複数枚の繊維成型品を重ね合わせ脱水プレスにより含水率が約35%に低下するまで圧縮する(工程(ト))。積層・脱水され成型品を110℃程度で1次加熱し(工程(チ))、次に200℃程度で樹脂の硬化を行う(工程(リ))。
抄造シートから樹脂歯車を成型することは、特許文献4、特開平11−227061号公報より公知である。特許文献4は、従来法として、多層抄造シートを中間素形状に打ち抜き加工し、加熱加圧成型及び歯切り加工を順次行う方法を挙げている。この従来法は、抄造シートを1枚1枚重ね合わせる作業が面倒であると、特許文献4は評価しており、発明法としては、熱硬化性樹脂と補強繊維を主たる成分とする抄造シートをプレス打ち抜きして得られる歯形状をもった成型体の複数枚を積み重ねて歯形状をもった素形体となし、この素形体の複数枚をプレス機内の型内に積層し、加熱加圧成形することを提案する。
抄造シートからスラストワッシャを製造することが特許文献5、特開平5−78500号公報にて提案されており、これによると、フェノール樹脂粉末、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維から作製された抄造シートをフェノール樹脂の硬化が進まない温度で乾燥し、これをドーナツ状に打ち抜き、打抜き加工品を3枚重ねて加熱加圧成形している。
非特許文献1、トライボロジスト、Vol.57/No.1/2012「エンジニアリングプラスチックの歯車への適用:」第36〜41頁には、乗用車用エンジンのバランサーシャフトにPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)歯車が使用されていることが紹介されている。またガラス繊維強化フェノール樹脂が複写機プリンター定着ロールに使用されていることも紹介されている。
特開平10−7886号公報 特開平5−156037号公報 特開2001−123386号公報 特開平11−227061号公報 特開平5−78500号公報
トライボロジスト、Vol.57/No.1/2012「エンジニアリングプラスチックの歯車への適用:」第36〜41頁
特許文献3のように加圧を行わないで、単に200℃程度でフェノール樹脂と繊維の複合板状成形品を加熱し、フェノール樹脂を架橋する方法では、フェノール樹脂が成形品の表面に流出することはほとんどないが、硬化した大型の板状成形品から歯車に加工する切削工数が著しく増加する。
特許文献4において従来技術として挙げられている方法や、特許文献5の方法によって、中間素形状に打ち抜き加工された抄造シートを加熱加圧成形すると、フェノール樹脂が繊維間隙外に流出し、繊維と分離され、中間素材の表面に押し出される結果、最終製品として所望の外観が得られない。即ち、自動車内燃機関のバランサーシャフト用歯車のように強度が要求される部品では加熱加圧条件が厳しくなるために、樹脂の流出が起こる。さらに、本来ならば最終製品の内部に留まるべきフェノール樹脂が外部に押し出されるために、内部では樹脂量が不足し、かつ樹脂と繊維の結合部も粗になる結果、強度が低下する。
特許文献4の発明法では、歯形状に成型された抄造シートを加熱加圧成形しているので、この成形後の製品は歯車形状をもっており、したがって加工工数が少ない利点がある。しかしながら、加熱加圧成形の段階でフェノール樹脂が流動するために、前の段落で説明したような問題がある。
叙述のような従来技術法の利点・欠点を整理すると次のようになる。特許文献3の方法は樹脂の流出は問題を起こさないが、中間形状の素形品を利用していないために、機械加工で削り取る量が多く、加工工数が多い。特許文献4の従来法及び発明法並びに特許文献5の方法は、加熱加圧成形中にフェノール樹脂が成形品の表面に流出する。特に、高い密度・高強度の成形品を得ようとすると、プレス圧力が高くなるために、樹脂の流出が甚だしくなり、却って強度の低下などの欠点が現れた。さらに、特許文献4の発明法のように素形品をあらかじめ歯車形状に加工しても、樹脂が表面に流出して外観不良となると、所期の加工工数削減を実現することはできない。このように、従来法では、樹脂の流出を避けると同時に工数の増大を避ける方法により、樹脂歯車を製造することができなかったので、本発明は、上記問題点を解決し、以ってフェノール樹脂と強化繊維からなる抄造シートから、高強度を有する樹脂歯車を製造する方法の提供を目的とする。
本発明は、レゾール型熱硬化性フェノール樹脂粉末と繊維を水に分散して抄造させたシート状成形材料を歯車形状に加工後、複数枚を積層して予備成形したタブレットを加熱加圧成形する樹脂歯車の製造方法において、前記タブレットに前記加熱加圧成形を施す前に、前記レゾール型フェノール樹脂の架橋温度で予備加熱処理を行うことを特徴とする。以下、本発明を、配合原料、製造工程及び樹脂歯車の順序で詳しく説明する。
配合原料
本発明において、抄造シートの主要一成分であるレゾール型フェノール樹脂(以下でいう「フェノール樹脂」とはレゾール型熱硬化性フェノール樹脂を指す)は、大きさが平均で20から30μmの粉末状であって、樹脂中に含まれるメチロール基によって加熱硬化時に架橋剤が存在しなくても架橋反応が進行する熱硬化性樹脂である。この樹脂は、徐々に昇温に伴って架橋反応が進行して硬化する。その際、架橋反応は120〜130℃から急速に進行する。したがって、予備加熱処理において、例えば数10個のタブレットのロットを予備加熱し、架橋反応を部分的にかつ徐々に進行させ、これらのロットを炉から取り出し、その後タブレットを1個づつプレスにより加熱加圧処理により架橋反応を完了することができる。即ち、予備加熱終了後でプレスによる加熱加圧処理待機中にフェノール樹脂は硬化が殆ど進行しないために、量産における品質が安定している
フェノール樹脂は、モールディングパウダー、半導体封止、塗料などの各種用途のものが樹脂メーカーから販売されているが、強度、耐摩耗性、耐吸湿性などが要求されるバランサーシャフト用としては機械部品用、自動車部品用などの製品を使用することが好ましい。フェノール樹脂粉末は、水分を除く抄造シートの全重量に対して30〜65重量%であることが好ましく、より好ましくは40〜60重量%である。
本発明における他の主要成分である繊維は、フェノール樹脂を補強するものであり、好ましくは、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、アラミドパルプなどを使用することができる。繊維は単独でも良いが、強度の高いパラ系ポリアミド繊維、加工性の良いメタ系アラミド繊維、フェノール樹脂粉末の内包性に優れるアラミドパルプを混合するとよく、それらの量は、水分を除く抄造シートの全重量に対して合計で35〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは40〜60重量%である。本発明のアラミド繊維以外にカーボン繊維等の他の繊維を追加しても良い。また、他の添加材として、カーボン、セラミック、金属等の強度を補強する粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等の低摩擦粉末等を添加しても良い。
抄造シートの他の成分は水であり、フェノール樹脂粉末を前記繊維に絡ませるために若干の高分子凝集剤の添加をするが、この場合ノニオン系、カチオン系高分子凝集剤が好ましく添加され、ノニオン系、カチオン系凝集剤を同時に添加しても良い。また、フェノール樹脂粉末の水への分散性を良くするために、あらかじめフェノール樹脂粉末を親水化処理するか事前に少量の水で予備分散を行っておくことが望ましい。また、フェノール樹脂が凝集を起こさせずに得られた水系ディスパージョンタイプのフェノール樹脂を使用してもよい。他の主成分である繊維も同様に親水化処理しておくことが望ましい。
製造工程
フェノール樹脂と繊維を主成分とする抄造シートは特許文献3に記載された方法により製造することができる。即ち、工程(イ)から工程(ト)の脱水プレスを行い、脱水された、厚さが通常8〜12mmの抄造シートを得る。その後、中心孔を有し、外周形状が歯車形状の素形品を歯車形状の金型で打ち抜くことにより製造する。この素形品の打ち抜きは、1枚もしくは重ねられた多数枚の抄造シートを常温で行う。打ち抜いた抄造シートの余剰部分は、架橋反応が進行していないためリサイクル材として使用が可能である。
上述の方法により得られた素形品を複数枚、好ましくは3〜5枚重ね、歯車形状の金型内に配置し、重ね合わせた素形品がプレス機に搬送するまでに分離しない程度の密度が得られるように圧縮して予備成形品であるタブレットを得る。その後、ヒーターを内蔵した上型及び下型を備えたプレス機を用いて、70〜120MPaの圧力及び170〜200℃の温度で加熱加圧することにより、一般には厚さが11〜13mm、密度が1.315〜1.325g/cmの樹脂歯車成形品を得る。
本発明においては、タブレット成形と加熱加圧処理の中間に、フェノール樹脂が溶融し、架橋する温度でタブレットを加熱することにより、一部架橋を行う。一部架橋によって起こる現象を説明する模式図(図1及び図2)に示すように、予備加熱前のタブレットでは繊維1の網状構造の間隙にフェノール樹脂の凝集粉末2がほぼ均一に分散している(図1)。予備加熱後には図2に示すように、フェノール樹脂の架橋部3が形成される。この状態では、フェノール樹脂は溶融しているが全部は架橋していないため流動性を有しており、そして、架橋部3では樹脂が硬化しているために、加熱加圧下での硬化前のフェノール樹脂の流動は起こり難くなっている。さらに、加熱加圧処理後には、図3に示すように、フェノール樹脂4は全面的に凝固しており、繊維1の間隙に充満している。また、繊維1の間隙も縮小している。
図2に示すようにフェノール樹脂が溶融する際に、タブレットは応力緩和により厚さが約1.2〜1.5倍ほど増加するが、予備加熱処理は無加圧下で上記した厚さ増加が起こるような状況で行ってもよい。あるいは上記した厚さ増加を抑える程度の軽い圧力ならば、溶融した樹脂が素形品の表面にほとんど流出しないので、加圧下で予備加熱を行ってもよい。
本発明が特徴とする予備加熱は、樹脂と繊維を加熱する機能をもつあらゆる装置で行うことができ、熱源も電気抵抗ヒーター、温風ヒーター、被加熱品を金属板上に載せ金属板を誘導加熱方式で加熱する高周波熱など各種熱源を用いることができる。加圧予備加熱を行う場合は、加圧と加熱機能を兼備したあらゆる設備で行うことができる。無加圧加熱方式は、数個もしくは数十個のタブレットをバッチ式で加熱するか、あるいは1個の素形品を順次加熱する連続加熱で行うこともできる。このタブレットは加熱後直ちに加熱加圧処理を行っても良いが、一旦冷却してから加熱加圧処理しても良い。
レゾール型フェノール樹脂粉末は、融点が一般に50〜90℃であり、架橋温度(Tc)は一般に130℃以上で急速に進行し、昇温に伴って架橋反応も徐々に進行していく。本発明の場合の加熱加圧成形は170〜200℃である。本発明が特徴とする予備加熱加熱処理は、図2に示すような変化をもたらし、一方では加熱加圧処理中にフェノール樹脂が十分に硬化するように、即ち、十分な未硬化樹脂を残すように、加熱加圧処理よりも低温で行うことが好ましい。好ましい温度差は35〜75℃である。これらを考慮した好ましい予備加熱温度は125〜135℃である。予備加熱温度が125℃より低い場合は、フェノール樹脂粉末が網状繊維構造内に均一に分布する図1の状態に近く、次の加熱加圧段階で樹脂が流動し易い。ただし、予備加熱温度が125℃より低くても時間が長ければ良いが生産的ではない。予備加熱温度が140℃を超えると、架橋反応が著しく進行し、フェノール樹脂が均一にタブレット全体へ行き渡らなくなり、所定の密度が得られずに強度が出なくなる。
加熱加圧処理により歯車の厚さに加工された成形品は架橋温度でアニールすることにより、特性を安定させることが好ましい。その後、必要により、バリ取り、最終歯先加工などを行い、樹脂歯車を完成させる。
樹脂歯車
本発明の製造法で得られる樹脂歯車は、段落番号0017〜0018で説明した組成を有し、段落番号0021で説明した密度を有する。さらに、タブレット中に配合されたフェノール樹脂は、意外にも、タブレットの内外周面がプレス機内で表出していてもほとんどが歯車素材中に留まっていることが分かった。このため、配合されたフェノール樹脂はほぼ全量が樹脂歯車中で硬化しているので、従来の製法で得られる製品よりも、強度が高いという優れた結果が得られる。
素形品の内部で絡み合っている繊維間に分散しているフェノール樹脂粉末2(図1)が予備加熱処理により溶融し(図2、参照符号3)、繊維1に付着し、一部が架橋によりゲル化するために、フェノール樹脂の流動性が悪くなる。このために予備加熱処理に続く加熱加圧工程において、繊維と樹脂の絡み合い構造の流れが抑えられ、樹脂は該構造の内部に留まって硬化するために、外観不良を招かない。また、予備加熱処理により架橋していない残部の樹脂が前記構造の内部で流動して間隙を充満する(図3の参照符号4)ために、強度が高い歯車素材を得ることができる。さらに、レゾール型フェノール樹脂はノボラック型フェノール樹脂と比較して急激に硬化しないために、例えば、予備加熱処理でバッチ処理を行い、その後、1個づつ素形品を加熱プレスしても、樹脂の硬化状態はほぼ一定の素形品をプレスすることができる。このように、本発明は各種生産方式にも柔軟に対応することができる。
<評価実験>
フェノール樹脂(群栄化学社製品PGA−2165)55重量%、パラ系アラミドパルプ(帝人社製品トワロンパルプ1091)5重量%、パラ系アラミド繊維(帝人社製品テクノーラT320)35重量%、メタ系アラミド繊維(帝人社製品コーネックスCUT−NWB)5重量%を適量のノニオン系界面活性剤とともに水に混合し、抄造を行った後にプレスにより脱水を行い、厚さが10mmの抄造シートを作製した。4枚の抄造シートを重ね、110℃、5MPa、5分の条件で圧縮したタブレットから0.5gの試料を分取した(以下「タブレット試料」という)。この試料では繊維と樹脂は絡みあっている状態を維持している。タブレット試料の一部を、そのままの予備加熱なしで、180℃に加熱された金属板上に乗せ、2.5秒放置後プレスし、加熱加圧処理を行った。同様の処理を、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃の予備加熱を施したタブレット試料を準備した。これらをプレス成形品の外観観察と面積測定を行った結果を次表に示す。
表1に示すように、プレス成形品の上下面面積は「予備加熱あり」が「予備加熱なし」よりも小さくなっており、さらに予備加熱温度が高くなるほど小さくなっている。これは、予備加熱を経たタブレット試料では、樹脂と繊維絡合構造がプレス加熱状態で流動し難くなるためである。この傾向と「寸法測定」結果は一致しており、予備加熱を行わないと、樹脂が大きく流出する結果、プレス成形品の径がタブレット試料径より大きくなっており、また、予備加熱温度が高くなると、樹脂が流動せず、プレス成形品径がタブレット試料径も小さくなっている。また、プレス成形品からの樹脂のはみ出しは予備加熱を行うことにより少なくなり、125〜135℃の予備加熱によりほぼ消滅し、140℃では樹脂の流動性低下により、外形端部(即ちプレスの上下型が当たらない部分)には目視で流出樹脂の存在が見られなかった。さらに、予備加熱なしのプレス成形品の場合は、樹脂が流動しすぎて繊維と樹脂の分離が多く見られた。
上記評価試験の結果、予備加熱を経たタブレットから成形したプレス成形品は、予備加熱処理を経ないものよりも面積が小さくなり、フェノール樹脂(この段落では「樹脂」と略記)の分離がほとんど見られないことが分かった。したがって、樹脂歯車の製造においては、樹脂の流動しすぎにより繊維と樹脂が分離し得ること、及び樹脂の流動不足により繊維間への樹脂の充填不足が起こり得ることを考慮する必要がある。このような面を考慮して、配合量を調節すると、成形後の表面がかすれる(繊維リッチになる)、あるいは樹脂と繊維が分離してしまうという成形不良を防止し、また、高い製品歩留りを得ることができる。
<実施例>
評価試験のタブレットの予備加熱温度を128〜130℃で、70分間、加圧なしとし、引続き約80MPa、180℃、5分の条件でプレス機内で加熱加圧して、厚さが10mmの成形品を得た。即ち、厚さの減少率は25%であった。この外観を観察したところ、樹脂と繊維の分離は認められず、また成形品歯部にも樹脂が流動しており、外観上も問題は認められなかった。曲げ強度を測定したところ350MPaであった。
<比較例>
上記実施例と同じ操作を行ったが、予備加熱は行わずに、これ以外は実施例と同じ条件で加熱加圧処理を行ったところ、実施例と同様、厚さ10mm成形品が得られた。この外観を観察したところ、樹脂と繊維の分離が多く見られた。また、成形品の内部を観察すると繊維間に樹脂が均一に分散していなかった。曲げ強度を測定したところ250MPaであった。
以上説明したように、本発明は、抄造シートを用いて、フェノール樹脂と繊維を主成分とする樹脂歯車を製造する際に、樹脂のはみ出しと強度不足を防止することができるから、樹脂歯車の信頼性向上に大きく寄与する。
予備加熱前の網目状繊維とフェノール樹脂の絡み合いの状態を説明する概念図。 予備加熱後の図1と同様の図面。 加熱硬化後の樹脂歯車の内部構造を説明する概念図。
1−繊維
2−フェノール樹脂凝集粉末
3−フェノール樹脂架橋部
4−加熱加圧されたフェノール樹脂

Claims (5)

  1. レゾール型熱硬化性フェノール樹脂粉末と繊維を水に分散して抄造させたシート状成形材料を歯車形状に加工後、複数枚を積層して予備成形したタブレットを加熱加圧成形する樹脂歯車の製造方法において、前記タブレットに前記加熱加圧成形を施す前に、前記レゾール型フェノール樹脂の架橋温度で予備加熱処理を行うことを特徴とする樹脂歯車の製造方法。
  2. 予備加熱処理を加熱加圧成形よりも低温で行うことを特徴とする請求項1記載の樹脂歯車の製造方法。
  3. 予備加熱処理の温度が加熱加圧成形の温度よりも35〜75℃低温である請求項2記載の樹脂歯車の製造方法。
  4. 前記加熱加圧処理を170〜200℃及び70〜120MPaの条件で行う請求項1から3までの何れか1項記載の樹脂歯車の製造方法。
  5. 前記樹脂歯車が自動車内燃機関のバランサ−シャフト用歯車である請求項1から4までの何れか1項記載の樹脂歯車の製造方法。
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