JP2013189412A - マトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)植物の抽出物を有効成分として配合することを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤、さらにコラゲナーゼ群に属するMMP1産生抑制剤である。抽出溶媒として好ましくは、水、低級アルコール、液状多価アルコール、及びこれらの混液が用いられる。
【選択図】図1
Description
真皮は線維芽細胞などの細胞成分と、これらの細胞が産生する細胞外基質とから構成されており、細胞成分としては繊維芽細胞や、マクロファージ、肥満細胞、血管や神経の構成細胞があり、細胞外基質としてはコラーゲン線維や、エラスチン線維、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどがあることが知られている。細胞外基質のなかでも真皮乾燥重量の約70%を占めると言われるコラーゲン線維は、皮膚のハリや弾力の維持に重要な役割を担っていると同時に、その他の様々な組織においても間質成分として存在し構造を保つ上でも重要である。
コラーゲン分子はα鎖2本とβ鎖1本からなる3重螺旋構造をとっており、α鎖の構造の違いから20種類のサブタイプが存在するが、真皮に存在するコラーゲン線維の大部分はI型コラーゲンである。
これらのMMPはそのほとんどが不活性の前駆体として産生され、他のMMP等のプロテアーゼによって活性化される。例えば、MMP−1はMMP−2を、MMP−3はMMP−9を活性化する働きを有している(非特許文献1)ことから、MMP−1およびMMP−3の作用を抑制すれば、MMP−2およびMMP−9の活性化も阻害され、その結果、これらのMMPによる作用も抑制することができる。
すなわち、本発明は、シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)植物を有効成分とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤を提供するものである。
前記ヒリュウシダ属植物が、ブレクナム・ディスカラー(Blechnum discolor)であるのが好適である。
前記植物抽出物が、アルコール類又は含水アルコール類で抽出されたものであるのが好適である。
前記アルコール類抽出物及び/又は含水アルコール類抽出物から回収された水溶性画分であるのが好適である。
前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP1)であるのが好適である。
カペンセ(Blechnum capnse)、ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)、ブレクナム プロセラム(Blechnum procerum)、ブレクナム フルヴィアタイル(Blechnum fluviatile)、ブレクナム モンタナム(Blechnum montanum)、ブレクナム デュラム(Blechnum durum)、ブレクナムアマバイル(Blechnum amabile)、ブレクナム バチエニイ(Blechnum buchtienii)、ブレクナム カスタニュウム(Blechnum castaneum)、ブレクナム コレンソイ(Blechnum colensoi)、ブレクナム サイカディフォリウム(Blechnum cycadifolium)、ブレクナム ハンコッキイ(Blechnum
hancockii)、ブレクナム ハステイタム(Blechnum hastatum)、ブレクナム インディキューム(Blechnumindicum)、ブレクナム ニグラム(Blechnum nigrum)、ブレクナム ナイポニクム(Blechnum niponicum)、ブレクナム オリエンテール(Blechnum orientale)等が挙げられる。より好ましくは、ブレクナム ディスカラー(Blechnum discolor)の抽出物が好適である。
前記アルコール類濃度は、好ましくは40体積%以上、より好ましくは70体積%以上である。前記抽出温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは75℃〜95℃である。このように、水沸点に近い温度帯で有機溶媒抽出することによってマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制効果を持つ有効成分を効率良く抽出することを可能である。また、抽出期間を、0.5〜2日程度で行うことも可能である。
[製造例1:ブレクナム ディスカラー抽出物の調製]
シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)ブレクナム・ディスカラー(Blechnum discolor)の葉100gを細切し、これに80体積%含水エタノール2Lを加えて85℃で加熱して1日間抽出を行った。抽出液を濾過後濃縮し、水とエタノールを添加して、エタノール濃度を20体積%、全量を300mLに調整した後に5℃に1週間静置し生じた沈殿を取り除いた。その後、活性炭を用いて濾過を行い、溶媒を留去して乾固し、固形分であるブレクナム・ディスカラー抽出物を得た。収量は3gであった。
<UVA照射によるMMP1発現誘導>
試験には正常ヒト真皮線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibloblast;以下NHDF細胞と略す)をウシ胎児血清10%含有ダルベッコ変性イーグル培地(以下、10%FBS含有DMEM培地と略す)にて継代培養して用いた。トリプシンで回収したNHDF細胞を細胞培養用シャーレ(内径6cmφ)に20000個/cm2の濃度で播種し24時間培養した後、Hanks液2mLに置換してUVAを10J/cm2の強度で照射しMMP1産生を誘導した。照射終了後、10%FBS含有DMEM培地5mLに置換し、製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物を30体積%エタノール水溶液に溶解し25μL添加して24時間培養した。(ブレクナム・ディスカラー抽出物の最終濃度は0.03mg/mLである。)また、UVA非照射およびUVA10J/cm2照射後、製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物を含まない30体積%エタノール水溶液を25μL添加して24時間培養したものをコントロールとした。24時間培養後、Quick Gene RNA
Cultured Cell Kit(フジフィルム社製)を用いて自動核酸抽出装置にて細胞内のRNAを回収した。試験は全てN=3で実施した。
<RT−PCRによるMMP1発現量の評価>
回収したRNA各500ngにPrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ社製)2μLを加えてRNase Free水で全量を10μLとし、37℃15分間逆転写反応してcDNA溶液を得た。
このcDNA溶液をRNase Free水で80倍希釈して3μL分取し、MMP1プライマー(タカラバイオ社製、最終濃度0.2μM)およびQuantiTect SYBR Green PCR Master Mix(キアゲン社製)10μLを添加し、RNase Free水で全量を20μLに調整して、アニーリング温度62℃にてRT−PCR(サイクル数40)を行った。内部標準としてGAPDH(プライマーはタカラバイオ社製)を使用し、それぞれのGAPDHで補正したMMP1の発現比率をブレクナム・ディスカラー抽出物未添加かつUVA非照射のコントロールを1として相対的に算出し、図1に記載した。
[実施例2:洗顔料]
(製法)
A.下記成分(1)〜(5)を加熱溶解する。
B.下記成分(6)、(7)を加熱溶解し、Aに混合する。
C.下記成分(8)〜(11)を加熱溶解し、Bに混合する。
D.Cを冷却後、下記成分(12)〜(14)を加え混合し、洗顔料を得た。
(1)ラウリン酸 5.0
(2)ミリスチン酸 18.5
(3)ステアリン酸 6.0
(4)グリセリン 12.0
(5)ポリエチレングリコール1500 5.0
(6)水酸化カリウム 6.5
(7)精製水 残量
(8)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
(9)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 1.8
(10)ポリオキシエチレン(7.5E.O.)ラウリルエーテル 2.0
(11)ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
(12)ヒドロキシプロピルメチルセルロース1%水溶液 5.0
(13)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.01
(14)香料 適量
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を混合溶解する。
B.下記成分(9)〜(12)を混合溶解する。
C.AにBを加え混合し、化粧水を得た。
(1)クエン酸 0.05
(2)クエン酸ナトリウム 0.2
(3)ピロリドンカルボン酸ナトリウム(50%)水溶液 0.5
(4)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(5)グリセリン 3.0
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)精製水 残量
(8)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.0001
(9)エタノール 10.0
(10)香料 適量
(11)フェノキシエタノール 0.1
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(製法)
A.下記成分(1)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(14)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(20)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(21)を加え混合し、乳液を得た。
(1)ステアリン酸 1.0
(2)セタノール 0.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 0.5
(4)流動パラフィン 2.0
(5)スクワラン 3.0
(6)ホホバ油 3.0
(7)パルミチン酸セチル 0.2
(8)パルミチン酸レチノール 0.2
(9)酢酸トコフェロール 0.05
(10)1,2−ペンタンジオール 2.0
(11)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 0.5
(13)ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
(14)トリエタノールアミン 0.5
(15)1,3−ブチレングリコール 15.0
(16)グリセリン 3.0
(17)ポリエチレングリコール6000 0.5
(18)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.005
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1質量%水溶液 8.0
(21)香料 適量
(製法)
A.下記成分(1)〜(14)を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分(15)〜(19)を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.AにBを加え乳化し、更に下記成分(20)を加え混合する。
D.Cを冷却し、下記成分(21)、(22)を加え混合し、クリームを得た。
(1)ステアリン酸 2.5
(2)セタノール 2.5
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)ワセリン 2.0
(5)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(6)ミリスチン酸イソトリデシル 5.0
(7)流動パラフィン 8.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ミツロウ 1.0
(10)パルミチン酸セチル 2.0
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(12)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタン 1.5
(13)コエンザイムQ10 0.1
(14)1,2−ペンタンジオール 1.0
(15)トリエタノールアミン 1.2
(16)1,3−ブチレングリコール 8.0
(17)グリセリン 2.0
(18)ポリエチレングリコール20000 0.5
(19)精製水 残量
(20)カルボキシビニルポリマー1%水溶液 10.0
(21)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.05
(22)香料 適量
(製法)
A.下記成分(1)〜(8)を70℃で加熱混合した。
B.下記成分(9)〜(11)及び(13)(14)を50℃で加温混合した。
C.AにBを加えて乳化し、冷却後(12)を添加して油中水型日焼け止めクリームを得た。
(1)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン(注1) 2.0
(2)パルミチン酸オクチル 15.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(4)トリベヘン酸グリセリル 1.0
(5)微粒子酸化亜鉛 12.0
(6)微粒子酸化チタン 3.0
(7)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(注2) 7.0
(8)4−tertブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
(注3) 1.0
(9)ジプロピレングリコール 5.0
(10)エタノール 5.0
(11)フェノキシエタノール 0.2
(12)香料 適量
(13)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.0005
(14)精製水 残量
(注1)KF−6017(信越化学工業社製)
(注2)ユビナールMC80(BASF社製)
(注3)PARSOL 1789(L.C.UNITED社製)
(製法)
A.下記成分(1)〜(5)及び(15)を70℃で加熱混合し、室温まで冷却する。
B.Aに下記成分(6)〜(14)を添加混合してパック化粧料を得た。
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)グリセリン 10.0
(3)ポリオキシエチレン(10)メチルグルコール 3.0
(4)トリオクタン酸グリセリル 5.0
(5)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 1.0
(6)エタノール 20.0
(7)カオリン 2.0
(8)酸化チタン 2.0
(9)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(10)乳酸(50質量%水溶液) 0.5
(11)乳酸ナトリウム(50質量%水溶液) 0.5
(12)フェノキシエタノール 0.1
(13)香料 適量
(14)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.001
(15)精製水 残量
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を70℃で加熱混合し、この混合物に下記成分(13)〜(18)を加えて混合し70℃に保つ。
B.下記成分(8)〜(12)を70℃で加熱混合する。
C.BにAを加えて乳化し、冷却後、下記成分(19)〜(20)を添加してリキッドファンデーションを得た。
(1)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8.0
(7)メチルパラベン 0.05
(8)グリセリン 5.0
(9)トリエタノールアミン 1.0
(10)カルボキシメチルセルロース 0.2
(11)ベントナイト 0.5
(12)精製水 残量
(13)酸化チタン 6.0
(14)微粒子酸化チタン 2.0
(15)微粒子酸化亜鉛 4.0
(16)マイカ 2.0
(17)タルク 4.0
(18)着色顔料 適量
(19)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.1
(20)香料 適量
(製法)
(製造方法)
A.成分1〜3を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分4〜9を混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加え、軟膏剤を得た。
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)酢酸dl−α―トコフェロール(注3) 0.2
(4)トリエタノールアミン 2.5
(5)グリセリン 5.0
(6)グリチルリチン酸ジカリウム(注4) 0.5
(7)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 1.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 残量
(注3)エーザイ社製
(注4)和光純薬工業社製
(製法)
A.成分1〜7を均一に混合し、常法に従って錠剤を得た。
(1)乳糖 24.0
(2)結晶セルロース 20.0
(3)コーンスターチ 15.0
(4)製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.1
(5)デキストリン 残量
(6)グリセリン脂肪酸エステル 5.0
(7)二酸化ケイ素 1.0
(製法)
A.成分1〜5を均一に混合し、常法に従って清涼飲料を得た。
1.果糖ブドウ糖液糖 30.0
2.乳化剤 0.5
3.製造例1のブレクナム・ディスカラー抽出物 0.001
4.香料 適量
5.精製水 残量
Claims (5)
- シダ目シシガシラ科(Blechnaceae)ヒリュウシダ属(Blechnum)植物の抽出物を有効成分とするマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
- 前記ヒリュウシダ属植物が、ブレクナム・ディスカラー(Blechnum discolor)である請求項1記載のマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
- 前記植物抽出物が、アルコール類又は含水アルコール類で抽出されたものである請求項1又は2記載のマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
- 前記植物抽出物が、アルコール類抽出物及び/又は含水アルコール類抽出物から回収された水溶性画分である請求項3記載のマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
- 前記マトリックスメタロプロテアーゼがマトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP1)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマトリックスメタロプロテアーゼ産生抑制剤。
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JP2008024638A (ja) * | 2006-07-20 | 2008-02-07 | Asahi Breweries Ltd | マトリックスメタロプロテアーゼ−1産生阻害剤 |
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2012
- 2012-03-15 JP JP2012058224A patent/JP6046900B2/ja active Active
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