JP2013188159A - 交差状徐放性フェロモンディスペンサー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より強い復元力を持つ交差状徐放性フェロモンディスペンサー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】両末端部が一体化された高分子細管12の少なくとも2本、高分子細棒13の少なくとも2本、又は高分子細管12の少なくとも1本及び高分子細棒13の少なくとも1本を備え、高分子細管12の少なくとも1本にフェロモン物質11を封入し、かつ/又は高分子細棒13の少なくとも1本にフェロモン物質11を練り込んだ交差状徐放性フェロモンディスペンサー10であって、高分子細管12及び高分子細棒13から選ばれる少なくとも2本が、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部17を有し、交差部17と両末端部の1つとの間、又は交差部17が2以上存在する場合には交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、害虫を防除するため、フェロモン物質を空気中に放散させる交差状徐放性フェロモンディスペンサー及びその製造方法に関する。
害虫の防除は、例えば交信攪乱による場合、対象害虫の合成性フェロモンを大気中に放散させ、雌雄間の交信を撹乱させて交尾率を下げ、次世代の誕生を抑制することにより行われる。徐放性フェロモンディスペンサーを使用するにあたっては、植物群の中に合成性フェロモンの蒸気をむらなく放散するように設置され、植物の生育に害や損傷を与えることなく、かつ長期間に亘って安定してその設置状態を保つ必要がある。
ここで、徐放性フェロモンディスペンサーの中でチューブタイプといわれているものは、高分子細管の容器が使用され、合成性フェロモンの蒸気を放散する期間が長く、放散速度も均一であるため、防除効果が他のタイプに比べ最も優れている。
従来、このような要求を満たすチューブタイプの徐放性フェロモンディスペンサーとして、特許文献1には、チューブを螺旋状に曲がるよう成形したもの、特許文献2には複数のチューブを平行に繋げてその繋ぎ目にスリットを入れ環状に開けるようにしたもの、引用文献3には、チューブに沿ってアルミニウム等の金属線を並設させたものが開示されている。
特開平08−322447号公報 特開平11−225646号公報 特開57-156403号公報
しかし、特許文献1の徐放性フェロモンディスペンサーは、長期間のうちに螺旋状の曲がりが伸びてしまい植物の枝等にかけたものが落下することがある。また、徐放性フェロモンディスペンサーを包装のために多数を並べようとしても並びが悪く嵩ばり、包装や流通のコストがかかる。
また、特許文献2の徐放性フェロモンディスペンサーは、成形時にダイを通して複数の高分子細管を連結させて押し出すので、高速で押し出すと各高分子細管の肉厚の均一性が保てなくなるため引き取り速度に制約があり生産性が低い。更に、複数のチューブ末端の融着した連結部の強度が弱いと、スリットを引き開いて環状にする際に末端の融着した連結部分が剥がれ高分子細管同士が分離してしまうことがある。また、細い枝等に設置する際には、スリットの開き具合により、環状空間の大きさを枝との密着性が高くなるよう調節してフェロモンディスペンサーを枝に通すが、風や自重の影響で長時間のうちにスリットが開いていき、枝との密着性が徐々に下がり落下しやすくなる。
一方、特許文献3の徐放性フェロモンディスペンサーは、枝等にあてがって巻きつけて使用するため、枝との密着性を強め落下を防ごうとすると、巻き数を増やす必要がありその分設置及び取り外し時に労力がかかる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、より強い復元力を持つ交差状徐放性フェロモンディスペンサー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はこれらの課題を解決するためになされたもので、従来のチューブタイプの徐放性フェロモンディスペンサーの放出性能を損なうことなく、包装や運搬に便利な形状であって、生産性が高く、復元力が強く枝等に密着し設置後も安定してその状態を保つことができる交差状徐放性フェロモンディスペンサーを提供することで上記課題を解決する。
本発明によれば、両末端部が一体化された、高分子細管の少なくとも2本、高分子細棒の少なくとも2本、又は該高分子細管の少なくとも1本及び該高分子細棒の少なくとも1本を含み、上記高分子細管の少なくとも1本にフェロモン物質を封入し、かつ/又は上記高分子細棒の少なくとも1本にフェロモン物質を練り込んだ交差状徐放性フェロモンディスペンサーであって、上記高分子細管及び上記高分子細棒から選ばれる少なくとも2本が、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部を有し、該交差部と上記両末端部の1つとの間、又は該交差部が2以上存在する場合には交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成できる交差状徐放性フェロモンディスペンサーが提供できる。
また、本発明によれば、フェロモン物質が封入された高分子細管材及びフェロモン物質が練り込まれた高分子細棒材から選ばれる少なくとも1本と、フェロモン物質が注入されていない高分子細管材及びフェロモン物質が練り込まれていない高分子細棒材から選ばれる少なくとも1本とを長手方向に互いに交差させながら加撚して、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部を有する高分子交差材を得る工程と、一定の間隔で上記高分子交差材を加熱加圧して融着により連結して連結部を形成する工程と、上記連結部を、上記連結を維持しながら上記高分子細管材又は細棒材の径方向に切断する工程とを少なくとも含む、少なくとも1つの交差部と互いに連結された2つの末端部とを有し、該交差部と該末端部の1つとの間、又は2つ以上の交差部が存在する場合には交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成できる交差状徐放性フェロモンディスペンサーの製造方法が提供できる。
本発明によれば、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの交差部と末端部の1つとの間又は交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成し、枝や幹等に通した際に、その環状の空間を閉じる方向に復元力が働くため、枝や幹に密着し、設置後に落下しにくくなる。また、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの交差部と末端部の1つとの間又は交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成する際に、強い力で引き開いても高分子細管同士、高分子細棒同士、又は高分子細管及び細棒の交差部分の反発により、末端の溶着部分に強い負荷がかからないため、高分子細管同士、高分子細棒同士、又は高分子細管及び細棒が分離しにくくなる。さらに、本発明の交差状徐放性フェロモンディスペンサーの製造方法は、高分子細管及び高分子細棒から選ばれる少なくとも2本に捻りを加えて融着するだけで製造可能なため、押し出し成形時に複数の高分子細管を平行に並べて引き取る必要がなく、引き取り速度を早くすることができるので、生産性が向上する。
交差状徐放性フェロモンディスペンサーの例を示す。 交差状徐放性フェロモンディスペンサーの例を示す。 交差状徐放性フェロモンディスペンサーの例を示す。 交差状徐放性フェロモンディスペンサーの中央部を引き開いて、環状の空間を形成した状態を示す。 交差状徐放性フェロモンディスペンサーの例を示す。 交差状徐放性フェロモンディスペンサーの復元力の測定方法を示す。 本発明の交差状徐放性フェロモンディスペンサーの高分子細管の押し出し成型状態を示す。 本発明の環状徐放性フェロモンディスペンサーの交差状態を示す。
本発明によれば、両末端部が一体化された、高分子細管(チューブ)の少なくとも2本、高分子細棒(ロッド)の少なくとも2本、又は該高分子細管の少なくとも1本及び該高分子細棒(ロッド)の少なくとも1本を備え、上記高分子細管の少なくとも1本にフェロモン物質を封入し、かつ/又は上記高分子細棒の少なくとも1本にフェロモン物質を練り込んだ交差状フェロモンディスペンサーであって、上記高分子細管及び上記高分子細棒から選ばれる少なくとも2本が、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部を有する交差状徐放性フェロモンディスペンサーを提供できる。
交差状徐放性フェロモンディスペンサーの長さとしては、好ましくは100〜2000mmであり、更に好ましくは200〜1500mmである。100mm未満では、環状の径が小さ過ぎて植物の枝等に通して設置することが容易でなくなる場合がある。2000mmより大きいと、運搬・包装等に不利になるばかりでなく、環状に拡げる大きさとしては大きすぎて人の手では扱いづらくなる場合がある。例えば、200mm、100mm、1000mm等融着する長さを変更することで、様々な長さを成形できる。
交差状徐放性フェロモンディスペンサーの末端部の融着された部分の長さは、好ましくは2〜15mm、更に好ましくは3〜10mmである。2mm未満であると、融着が不十分となり高分子細管同士、高分子細棒同士、又は高分子細管及び細棒が分離して植物の枝等に通してある交差状徐放性フェロモンディスペンサーが落ちてしまう場合がある。逆に15mmを超えると徐放性フェロモンディスペンサーが通常使用される圃場に栽培される植物を対象とするには長すぎて運搬が困難になり実用性が失われる場合がある。
融着された高分子細管同士もしくは高分子細棒同士又は融着された高分子細管と高分子細棒の直径の中心を結ぶ線と上記加圧の方向とがなす角度は、左右に隣接して上から加圧する90°よりも、上下に隣接して上から加圧する0°を含む0〜45°が融着される部分の表面積が大きくなり好ましい。本発明では、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの交差部間又は交差部と末端部の一つとの間を引き開くことにより環状の空間を形成する際に、強い力で引き開いても、高分子細管同士又は高分子細棒同士又は高分子細管と高分子細棒の交差部分の反発により末端の融着部分に強い負荷がかからないため、上記角度が90°であっても従来品の90°よりも末端部において裂ける可能性は低い。
高分子細管の径は、例えば、プラスチックの押し出し成形等の連続的な加工の条件を変えて、内径は、好ましくは0.4〜2.0mm、より好ましくは0.6〜1.6mm、壁厚は、好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.3〜0.8mmとすることができる。高分子細管の内径が0.4mmより細い細管は成形が困難である上、高分子細管内に合成フェロモンを吸引することも容易ではない場合がある。内径が2.0mmより太い細管は、多量のフェロモン液を吸収することが可能になるが、交信撹乱に必要なフェロモンの量および交差状徐放性フェロモンディスペンサーの設置密度を考慮すると過剰容量となり、フェロモン液が無駄になってしまう場合がある。高分子細管の壁厚は、プラスチック材質の選択と共に、フェロモン拡散蒸発速度に影響する可能性がある。従って、壁厚が0.2mmより薄いものは、高分子細管の成形が著しく困難な場合がある。壁厚が1.5mmより厚いものはフェロモンの拡散蒸発速度が遅くなりすぎ放散が抑制されすぎ、また細管の成形が困難な場合がある。
高分子細棒の径としては、特に限定されないが、高分子細管と高分子細棒を長手方向に交差させる場合には、交差形成の容易さを考慮すると、好ましくは高分子細管の外径と同じであり、好ましくは0.6〜3.5mmである。
高分子細管にフェロモン物質を注入する場合の高分子細管中のフェロモン物質の担持量は、最も一般的な有効長L200mmの場合で、好ましくは50〜600mg、更に好ましくは80〜500mgである。50mgより担持量が少ないと設置期間中にフェロモン液の放出量が足りなくなり、交信撹乱による害虫の防除効果が低下する場合がある。一方、600mgより担持量が多いと過剰容量となり、害虫の発生時期後もフェロモンが残存し無駄になってしまう場合がある。なお、放出量を制御するためにフェロモン物質を溶媒により希釈して用いる場合も、フェロモン物質の好ましい担持量は、上記範囲である。
高分子細棒にフェロモン液を練り込む場合の高分子細棒中のフェロモン物質の含有量は、有効長L200mmの場合で、好ましくは50〜600mg、更に好ましくは80〜500mgである。また、高分子細棒中のフェロモン物質の含有割合は、フェロモン物質を含めた高分子細棒の全体質量に対して、好ましくは2〜60質量%、更に好ましくは2〜40質量%である。2質量%未満では十分な放出速度を確保することができない場合があり、60質量%を超えると十分な放出制御ができない場合がある。
フェロモン物質は、害虫から抽出して分離した天然フェロモン物質でも良いが、コストや大量入手の容易さ等の点から合成フェロモン物質が好ましい。
高分子細管又は高分子細棒の少なくとも1本は、フェロモン物質を収納しており、すべての高分子細管又は高分子細棒がフェロモン物質を収納する態樣、フェロモン物質を収納する高分子細管又は高分子細棒とフェロモン物質を収納しない高分子細管又は高分子細棒を組み合わせる態樣が挙げられる。ここで、フェロモン物質を収納しない高分子細管や高分子細棒は、フェロモンディスペンサーの形状を保ちやすくするための補強や、設置後の落下防止の役割を果たす。
交差部は、両末端部の間に、好ましくは1〜10cmの間隔で形成されている。すなわち、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの長手方向に沿って、高分子細管及び高分子細棒から選ばれる少なくとも2本が交差して巻き付く繰り返し構造は、好ましくは1〜10cmあたりに1個の間隔で調節でき、高分子細管や高分子細棒の材質や肉厚、外径によって適切な間隔を選択できる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の柔らかい高分子材料を用いた場合は、好ましくは2〜4cmあたりに1個の交差部、高密度ポリエチレン等の硬い高分子材料を用いた場合は、好ましくは4〜10cmあたりに1個の交差部を有する。
交差部を有する高分子管細管及び高分子細棒から選ばれた少なくとも2本は、中央部が物理的に連結されていないため、引き開いて環状の空間を容易に形成できる。仮に中央部を強い力で開いても、交差部により力が分散し、融着されて連結した末端部にかかる負荷が軽減するため、融着された高分子細管同士、高分子細棒同士、又は高分子細管と高分子細棒が分離しにくい構造となっている。加圧融着されていない中央部は、両末端のいずれかと交差部の間、又は2以上の交差部が存在する場合には交差部間の1つであり、形成される環状の空間を枝や幹等に通して交差状徐放性フェロモンディスペンサーを設置できる。
交差状徐放性フェロモンディスペンサーの例を図1〜4に示す。
図1の交差状徐放性フェロモンディスペンサー10は、フェロモン物質11が封入された高分子細管12と、フェロモン物質が封入もしくは未封入の高分子細管又は高分子細棒13が互いに交差して巻きついており、その末端部15と16が融着されて互いに連結する。加圧融着されていない中央部14は、末端部15又は16と交差部17の間であり、引き開くことにより環状の空間を形成することができる。末端部15と16は、高分子細管12と高分子細管又は細棒13の直径の中心を結ぶ線と上記加圧の方向とがなす角度が、90°となるように融着されて形成されている。
図2の交差状徐放性フェロモンディスペンサー20は、フェロモン物質が封入された高分子細管22と、フェロモン物質が封入もしくは未封入の高分子細管又は細棒23とが互いに交差して巻きついており、その末端部25と26は、高分子細管22と高分子細管又は細棒23の直径の中心を結ぶ線と上記加圧の方向とがなす角度が0°となるように融着されて形成されている。
図3の交差状徐放性フェロモンディスペンサー30は、フェロモン物質が封入された高分子細管32と、フェロモン物質が封入もしくは未封入の高分子細管又は細棒33とが互いに交差して巻きついており、その末端部35と36が融着されて互いに連結する。加圧融着されていない中央部34は、末端部35と交差部37aとの間、交差部間37a〜b、37b〜c、37c〜d、交差部37dと末端部36の間であり、これらのいずれかを引き開くことにより環状の空間を形成することできる。末端部35と36は、高分子細管32と高分子細管又は細棒33の直径の中心を結ぶ線と上記加圧の方向とがなす角度が、90°となるように融着されて形成されている。
図4は、交差状徐放性フェロモンディスペンサー30の中央部の一つである交差部間37b〜cを引き開いて、環状の空間を形成した状態を示す。
図5の交差状徐放性フェロモンディスペンサー40は、フェロモン物質が封入された高分子細管42と、互いに交差して巻きついたフェロモン物質が封入もしくは未封入の高分子細管又は細棒43、44とを有しており、それらの末端部45と46とが融着されて互いに連結する。加圧融着されていない中央部44は、末端部45と交差部47aとの間、交差部間47a〜b、47b〜c、47c〜d、交差部47dと末端部46との間であり、これらのいずれかを引き開くことにより環状の空間を形成することができる。末端部45と46は、高分子細管42と高分子細管又は細棒43との直径の中心を結ぶ線と上記加圧の方向とがなす角度が90°で、高分子細管又は細棒43と44の直径の中心を結ぶ線と上記加圧の方向とがなす角度が90°となるように融着されて形成されている。
交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、両末端が封鎖されて連結され、高分子細管及び高分子細棒から選ばれる少なくとも2本が互いに交差して巻き付いており、中央部を引き開いた際に、形成された環状の空間を閉じようとする復元力が働く。設置の際には、植物の枝等に通した後、速やかに復元力により環状の空間が閉じて枝に密着するため、風や自重の影響による落下が防止できる。環状の空間を形成した際に、その環状の空間を閉じる方向に働く復元力の強さは、好ましくは最大0.3〜10kgである。
復元力は、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの中央部を引き開いた際に、中央部に働く環状の空間を閉じる方向に働く強さをいう。具体的には、交差状徐放性フェロモンディスペンサーを長手方向に沿って少なくとも1つの交差部を含んで100mmの長さになるように両端を固定し、交差部を有する2本を選び、両固定部位から50mmの中心位置でそれぞれ同一平面上180度反対方向に引き、該同一平面上で中心位置から長手方向に垂直な方向に45mmずつ開いて環状の空間を形成する。その際、その環状の空間を閉じようとする力に対抗して、交差部を有する2本の中央部に荷重をかけて環状の空間を保ったときにかかる荷重の値を復元力として測定する。
図6は、図3に示す交差状徐放性フェロモンディスペンサー30について、荷重計(ロードセル)LCを用いる復元力の測定方法を示す。
なお、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの長さが100mmを超える場合は、交差状徐放性フェロモンディスペンサー内で高分子細管同士又は高分子細管と細棒の交差間隔が均一な部分を長さ100mmだけ固定した場合の値を復元力とする。交差状徐放性フェロモンディスペンサーの長さが100mm未満の場合は、同じ交差部数を維持して100mmのサンプルを試作して復元力を測定する。100mmのサンプルの復元力の強さが、好ましくは最大0.3〜10kgであれば、100mm未満の交差状徐放性フェロモンディスペンサーの復元力の強さは、もっと大きくなると予想される。
高分子細管及び高分子細棒を形成する高分子材料は、弾性限界以下の範囲である程度の弾性があり、曲げや捩りによる変形が可能なものである。
高分子細管及び高分子細棒は、異なる種類の高分子材料から形成されていても良いが、末端部の融着を確実にする点からは、同じ種類の高分子材料から形成されることが好ましい。
高分子細管及び高分子細棒に用いる高分子材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリブチレン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、メチルペンテン樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、ポリフッ化ビニリデン及びケイ素樹脂の熱可塑性プラスチックが挙げられる。また、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸及びマレイン酸の中から選ばれる少なくとも一種類のジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールの中から選ばれる少なくとも一種類のポリオールとの縮重合体または乳酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸およびヒドロキシカプリン酸の中から選ばれる少なくとも一種類の縮合重合体、またはポリカプロラクトンの脂肪族ポリエステル系の熱可塑性プラスチックを使用することもできる。
ここで、柔らかい高分子材料は、成形した高分子細管を長さ10cmに切り取り、その中央部を折り曲げて、荷重をかけ、押さえつけて高分子細管の両端同士を密着させる際、必要な荷重が1kg以下であるものをいい、硬い高分子材料は、同様の測定方法において必要な荷重が1kgを超えるものをいう。具体的には、柔らかい高分子材料としては、例えば低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-アクリル酸エステル系共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、硬い高分子材料としては、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、酢酸セルロース等が挙げられる。なお、高分子材料の硬さについては、重合条件や高分子細管及び高分子細棒の内外径により変わり得る。
これらの高分子材料に、加工性を改良するため滑剤、可塑剤、安定剤、顔料、充填剤を添加してもよい。
フェロモン物質は、25℃で液状のフェロモン物質、フェロモン液を含有する担持体の他、固体状フェロモン物質も含まれる。
本発明で用いるフェロモン物質の具体例としては、例えばピンクボールワーム(ワタアカミムシ)の性フェロモン物質であるZ,Z−7,11−ヘキサデカジエニルアセテート及びZ,E−7,11−ヘキサデカジエニルアセテート、オリエンタルフルーツモス(ナシヒメシンクイ)の性フェロモン物質であるZ−8−ドデセニルアセテート、ピーチツイッグボーラー(モモキバガ)の性フェロモン物質であるE−5−デセニルアセテート、グレープベリーモス(ホソヒメハマキ)の性フェロモン物質であるZ−9−ドデセニルアセテート、ヨーロピアングレープヴァインモス(ブドウホソハマキ)の性フェロモン物質であるE,Z−7,9−ドデカジエニルアセテート、ライトブラウンアップルモス(リンゴウスチャイロハマキ)の性フェロモン物質であるE−11−テトラデセニルアセテート、コドリングモス(コドリンガ)の性フェロモン物質であるE,E−8,10−ドデカジエノール、リーフローラー(ハマキガ)の性フェロモン物質であるZ−11−テトラデセニルアセテート、ピーチツリーボーラー(コスカシバ)の性フェロモン物質であるZ,Z−3,13−オクタデカジエニルアセテート及びE,Z−3,13−オクタデセニルアセテート、アメリカンボールワーム(オオタバコガ)の性フェロモン物質であるZ−11−ヘキサデセナール、オリエンタルタバコバッドワーム(タバコガ)の性フェロモン物質であるZ−9−ヘキサデセナール、ソイビーンポッドボーラー(マメシンクイガ)の性フェロモン物質であるE,E−8,10−ドデカジエニルアセテート、ダイアモンドバックモス(コナガ)の性フェロモン物質であるZ−11−ヘキサデセニルアセテート及びZ−11−ヘキサデセナール、キャベッジアーミーワーム(ヨトウガ)の性フェロモン物質であるZ−11−ヘキサデセニルアセテート、Z−11−ヘキサデセノール及びn−ヘキサデシルアセテート、ビートアーミーワーム(シロイチモジヨトウ)の性フェロモン物質であるZ、E−9,12−テトラデカジエニルアセテート及びZ−9−テトラデセノール、コモンカットワーム(ハスモンヨトウ)の性フェロモン物質であるZ,E−9,11−テトラデカジエニルアセテート及びZ,E−9,12−テトラデカジエニルアセテート、フォールアーミーアームの性フェロモン物質であるZ−9−テトラデセニルアセテート、トマトピンワームの性フェロモン物質であるE−4−トリデセニルアセテート、ライスステムボーラー(ニカメイガ)の性フェロモン物質であるZ−11−ヘキサデセナール及びZ−13−オクタデセナール、コーヒーリーフマイナーの性フェロモン物質である5,9−ジメチルペンタデカン及び5,9−ジメチルヘキサデカン、ピーチリーフマイナー(モモハモグリガ)の性フェロモン物質である14−メチル−1−オクタデセン、ピーチフルーツモス(モモシンクイガ)の性フェロモン物質であるZ−7−イコセン−11−オン、ジプシーモス(マイマイガ)の性フェロモン物質である7,8−エポキシ−2−メチルオクタデカン、パインプロセッショナリーモスの性フェロモン物質であるZ−13−ヘキサデセン−11−イニルアセテート、ケブカアカチャコガネの性フェロモン物質である2−ブタノール、イエローウィッシュエロンゲイトチェイファー(ナガチャコガネ)の性フェロモン物質であるZ−7,15−ヘキサデカジエン−4−オリド、シュガーケインワイヤーワーム(オキナワカンシャクシコメツキ)の性フェロモン物質であるn−ドデシルアセテート、シュガーケインワイヤーワーム(サキシマカンシャクシコメツキ)の性フェロモン物質であるE−9,11−ドデカジエニルブチレート及びE−9,11−ドデカジエニルヘキサネート、カプレアスチェイファー(ドウガネブイブイ)の性フェロモン物質である(R)−Z−5−(オクト−1−エニル)−オキサシクロペンタン−2−オン、ライスリーフバグ(アカヒゲヒソミドリカスミカメ)の性フェロモン物質であるヘキシルヘキサノエート、E−2−ヘキセニルヘキサノエート及びオクチルブチレート、ソルガムプラントバグ(アカスジカスミカメ)の性フェロモン物質であるヘキシルブチレート、E−2−ヘキセニルブチレート及びE−4−オキソ−2−ヘキセナール、ホワイトピーチスケール(クワシロカイガラムシ)の性フェロモン物質である6R−Z−3,9−ジメチル−6−イソプロペニル−3,9−デカジエニルプロピオネート及び6R−Z−3,9−ジメチル−6−イソプロペニル−3,9−デカジエノール、バインミリーバグ(ブドウコナカイガラムシ)の性フェロモン物質であるS−5−メチル−2−(1−プロペン−2−イル)−4−ヘキセニル3−メチル−2−ブテノエート、ハウスフライ(イエバエ)の性フェロモン物質であるZ−9−トリコセン、ジャーマンコックローチ(チャバネゴキブリ)の性フェロモン物質であるジェンティシルキノンイソバレレート、オリーブフライの性フェロモン物質であるオレアン等が挙げられる。
その他、本発明で用いられるフェロモン物質は、スピロアセタール、脂肪族直鎖状アルデヒド、飽和又は二重結合を一つ又は二つ以上有する脂肪族直鎖状アセテート、脂肪族直鎖状アルコール、脂肪族直鎖状ケトン、脂肪族炭化水素、カルボン酸等が挙げられる。
スピロアセタールの具体例としては、1,6−ジオキサスピロ[4.5]デカン、2−エチル−1,6−ジオキサスピロ[4.4]ノナン、3−ヒドロキシ−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4−ヒドロキシ−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、7−メチル−1,6−ジオキサスピロ[4.5]デカン、2−メチル−1,6−ジオキサスピロ[4.5]デカン、1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,7−ジメチル−1,6−ジオキサスピロ[4.4]ノナン、2,4,8−トリメチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−メチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,7−ジオキサスピロ[5.6]ドデカン、2,8−ジメチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,8−トリメチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−エチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−メチル−1,7−ジオキサスピロ[5.6]ドデカン、2−エチル−7−メチル−1,6−ジオキサスピロ[5.6]デカン、7−エチル−2−メチル−1,6−ジオキサスピロ[5.6]デカン、2,7−ジエチル−1,6−ジオキサスピロ[4.4]ノナン、2,7−ジメチル−1,6−ジオキサスピロ[4.6]ウンデカン、2−メチル−7−プロピル−1,6−ジオキサスピロ[4.4]ノナン、3−ヒドロキシ−2,8−ジメチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−プロピル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−エチル−8−メチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、8−エチル−2−メチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,7−ジエチル−1,6−ジオキサスピロ[4.5]デカン、2,7−ジプロピル−1,6−ジオキサスピロ[4.4]ノナン、7−ブチル−2−メチル−1,6−ジオキサスピロ[4.5]デカン、8−メチル−2−プロピル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−プロピル−8−メチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
脂肪族直鎖状アルデヒドは、好ましくは炭素数10〜18を有する。炭素数10〜18の脂肪族直鎖状アルデヒドとしては、具体的には、Z−5−デセナール、10−ウンデセナール、n−ドデカナール、Z−9−ドデセナール、E5Z10−ドデカジエナール、E8E10−ドデカジエナール、n−テトラデカナール、Z7−テトラデセナ−ル、Z9−テトラデセナール、Z11−テトラデセナール、Z9E11−テトラデカジエナール、Z9Z11−テトラデカジエナール、Z9E12−テトラデカジエナール、Z9E11,13−テトラデカトリエノール、Z10−ぺンタデセナール、E9Z11−ぺンタデカジエナール、n−ヘキサデカナール、Z7−ヘキサデセナール、E6Z11−ヘキサデカジエナール、E4Z6−ヘキサデカジエナール、E4E6Z11−ヘキサデカトリエナール、E10E12E14−ヘキサデカトリエナール、n−オクタデカナール、Z9−オクタデセナール、E14−オクタデセナール、E2Z13−オクタデカジエナ−ル、Z3Z13−オクタデカジエナール、Z9Z12−オクタデカジエナ−ル、Z9Z12Z15−オクタデカトリエナール等が挙げられる。
飽和又は二重結合を一つ又は二つ以上有する脂肪族直鎖状アセテートは、好ましくは炭素数12〜20を有する。
飽和又は二重結合を一つ有する炭素数12〜20の脂肪族直鎖状アセテートとしては、具体的には、例えばデシルアセテート、Z3−デセニルアセテート、Z4−デセニルアセテート、ウンデシルアセテート、Z7−ウンデセニルアセテート、Z8−ウンデセニルアセテート、E9−ウンデセニルアセテート、ドデシルアセテート、E7−ドデセニルアセテート、Z7−ドデセニルアセテート、E8−ドデセニルアセテート、E9−ドデセニルアセテート、11−ドデセニルアセテート、10−メチルドデセニルアセテート、トリデシルアセテート、Z4−トリデセニルアセテート、E6−トリデセニルアセテート、E8−トリデセニルアセテート、Z8−トリデセニルアセテート、テトラデシルアセテート、Z7−テトラデセニルアセテート、E8−テトラデセニルアセテート、Z8−テトラデセニルアセテート、E9−テトラデセニルアセテート、Z9−テトラデセニルアセテート、E10−テトラデセニルアセテート、Z10−テトラデセニルアセテート、E12−テトラデセニルアセテート、Z12−テトラデセニルアセテート、12−メチルテトラデセニルアセテート、ペンタデシルアセテート、Z8−ペンタデセニルアセテート、E9−ペンタデセニルアセテート、ヘキサデシルアセテート、Z3−ヘキサデセニルアセテート、Z5−ヘキサデセニルアセテート、E6−ヘキサデセニルアセテート、Z7−ヘキサデセニルアセテート、Z9−ヘキサデセニルアセテート、Z10−ヘキサデセニルアセテート、Z12−ヘキサデセニルアセテート、ヘプタデシルアセテート、Z11−ヘプタデセニルアセテート、オクタデシルアセテート、E2−オクタデセニルアセテート、Z11−オクタデセニルアセテート、E13−オクタデセニルアセテート等が挙げられる。
二重結合を二つ以上有する炭素数12〜20の脂肪族直鎖状アセテートとしては、具体的には、例えば共役ジエン及び/又は1,4−ペンタジエン系のアセテート化合物が好ましい。具体的には、Z3E5−デカジエニルアセテート、Z3E5−ドデカジエニルアセテート、E3Z5−ドデカジエニルアセテート、Z5E7−ドデカジエニルアセテート、E5Z7−ドデカジエニルアセテート、Z9Z9−ドデカジエニルアセテート、Z8Z10−ドデカジエニルアセテート、9,11−ドデカジエニルアセテート、E4Z7−トリデカジエニルアセテート、11−メチル−Z9,12−トリデカジニルアセテート、E3E5−テトラデカジエニルアセテート、E8E10−テトラデカジエニルアセテート、Z10Z12−テトラデカジエニルアセテート、Z10E12−テトラデカジエニルアセテート、E10Z12−テトラデカジエニルアセテート、E10E12−テトラデカジエニルアセテート、E11,13−テトラデカジエニルアセテート、Z8Z10−ぺンタデカジエニルアセテート、Z8E10−ぺンタデカジエニルアセテート、Z8Z10−ヘキサデカジエニルアセテート、Z10E12−ヘキサデカジエニルアセテート、Z11Z13−ヘキサデカジエニルアセテート、Z11E13−ヘキサデカジエニルアセテート、E11Z13−ヘキサデカジエニルアセテート及びZ11E14−ヘキサデカジエニルアセテート等が例示される。
脂肪族直鎖状アルコールは、好ましくは炭素数7〜20を有する。炭素数7〜20の脂肪族直鎖状アルコールとしては、具体的には、例えば飽和脂肪族直鎖状アルコール又は二重結合を一つ又は二つ以上有する脂肪族直鎖状アルコールが好ましい。具体的には、n−ヘプタノール、Z4−ヘプテノール、Z6−ノネノール、Z6,8−ノナジエノール、E6,8−ノナジエノール、n−デカノール、Z5−デセノール、E5−デセノール、n−ウンデカノール、ウンデセノール、11−クロロ−E8E10−ウンデカジエノール、n−ドデカノール、Z5−ドデセノール、Z7−ドデセノール、E7−ドデセノール、Z8−ドデセノール、E8−ドデセノール、Z9−ドデセノール、E9−ドデセノール、E10−ドデセノール、11−ドデセノール、Z5E7−ドデカジエノール、E5Z7−ドデカジエノール、E5E7−ドデカジエノール、Z7Z9−ドデカジエノール、Z7E9−ドデカジエノール、E7Z9−ドデカジエノール、8,9−ジフロロ−E8E10−ドデカジエノール、10,11−ジフロ−E8E10一ドデカジエノール、8,9,10,11−テトラフルオロ−E8E10−ドデカジエノール、Z9,11−ドデカジエノール、E9,11−ドデカジエノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、Z5−テトラデセノール、E5−テトラデセノール、Z7−テトラデセノール、Z8−テトラデセノール、Z11−テトラデセノール、E11−テトラデセノール、Z9Z11−テトラデカジエノール、Z9E11−テトラデカジエノール、Z9Z12−テトラデカジエノール、Z9E12−テトラデカジエノール、Z10Z12−テトラデカジエノール、E10E12−テトラデカジエノール、n−ぺンタデカノール、6,10,14−トリメチル−2−ぺンタデカノール、n−ヘキサデカノール、Z9−ヘキサデセノール、Z11−ヘキサデセノール、E11−ヘキサデセノール、Z7Z11−ヘキサデカジエノール、Z7E11−ヘキサデカジエノール、E10Z12−ヘキサデカジエノール、E10E12−ヘキサデカジエノール、Z11Z13−ヘキサデカジエノール、Z11E13−ヘキサデカジエノール、E11Z13−ヘキサデカジエノール、E11Z13−ヘキサデカジエノール、Z13−ヘキサデセン−11−エン−オール、E4Z6Z10−ヘキサデカトリエノール、E4E6Z10−ヘキサデカトリエノール、n−オクタデカノール、Z13−オクタデセノール、E2Z13−オクタデカジエノール、Z3Z13−オクタデカジエノール、E3Z13−オクタデカジエノール及びn−エイコサノール等が挙げられる。
脂肪族直鎖状ケトンは、好ましくは炭素数10〜20を有する。炭素数10〜20の脂肪族直鎖状ケトンとしては、具体的には、例えばヘプタデカン−2−オン、Z12−ノナデセン−9−オン、Z6Z9−ノナデカジエン−3−オン、Z7−ノナデセン−11−オン、Z7−エイコセン−11−オン、Z6−ヘネイコセン−11−オン、Z6−ヘネイコセン−9−オン、Z6E8−ヘネイコサジエン−11−オン、Z6E9−ヘネイコサジエン−11−オン、Z6Z9−ヘネイコサジエン−11−オン、Z7−トリコセン−11−オン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素は、好ましくは炭素数10〜20を有する。炭素数10〜20の脂肪族炭化水素としては、具体的には、例えば1E11−ペンタデカジエン、1Z11−ペンタデカジエン、5,9−ジメチルペンタデカン、2−メチルヘキサデカン、3,13−ジメチルヘキサデカン、5,9−ジメチルヘキサデカン、n−ヘプタデカン、2−メチルヘプタデカン、2,5−ジメチルヘプタデカン、5−メチルヘプタデカン、5,11−ジメチルヘプタデカン、7−メチルヘプタデカン、7,11−ジメチルヘプタデカン、Z3Z6Z9−ヘプタデカトリエン、Z6Z9−ヘプタデカジエン、Z7−オクタデセン、10,14−ジメチル−1−オクタデセン、5,9−ジチルオクタデカン、2−メチルオクタデカン、14−メチルオクタデカン、Z3Z6Z9−オクタデカトリエン、n−ノナデカン、2−メチルノナデカン、9−メチルノナデカン、Z3Z6Z9Z11−ノナデカテトラエン、1E3Z6Z9−ノナデカテトラエン、Z3Z6Z9−ノナデカトリエン、Z6Z9−ノナデカジエン、Z9−ノナデセン、n−エイコサン、Z9−エイコセン、Z3Z6−エイコサジエン、Z3Z6Z9−エイコサトリエン、1Z3Z6Z9−エイコサテトラエン、1Z3Z6Z9−ヘネイコサテトラエン、n−ヘネイコサン、Z3Z6−ヘネイコサジエン、Z6Z9−ヘネイコサジエン、Z6Z9,20−ヘネイコサトリエン、Z3Z6Z9−ヘネイコサトリエン、Z6−13−メチルヘネイコセン、Z9−ヘネイコセン、n−ドコサエン、Z3Z6Z9−ドコサトリエン、Z6Z9−ドコサジエン、n−トリコセン、Z3Z6Z9−トリコサトリエン、Z6Z9−トリコサジエン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、Z3Z6Z9−ペンタコサトリエン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、n−ノナコサン等が挙げられる。
カルボン酸は、カルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは炭素数10〜20を有する。炭素数10〜20のカルボン酸として、具体的には、例えば炭素骨格中に複数のメチル基を有するものや、二重結合を有するもの等が挙げられる。具体的には、3,5−ジメチルドデカン酸、Z−5−ウンデセン酸、E−5−ウンデセン酸、(E,Z)−3,5−テトラデカジエン酸等が挙げられる。
次に、本発明の交差状徐放性ディスペンサーの製造方法について説明する。
まず、フェロモン物質が封入された高分子細管材又はフェロモン物質が練り込まれた高分子細棒材を用意する。高分子細管材は、高分子材料を管状に押し出し成形するとともにフェロモン物質を注入して該フェロモン物質を封入することにより得られる。例えば、図7に示すように、フェロモン液Aを充填した無限長の高分子細管を連続的に押し出し成形する。フィーダ83内の溶融させた高分子材料Bをダイ84から管状に押し出して高分子細管材85を成形し、その際該ダイのマンドレル81に設けられた有芯孔82を通して該高分子細管材85内に合成性フェロモン液を連続的に注入して充填し、リールに巻き取る。また、高分子細棒材は高分子材料にフェロモン液又はフェロモン液を含有する不活性物質等の担持体を混ぜ撹拌し、棒状に押し出し成形することにより得られる。例えば、溶融させた高分子材料にフェロモン液又はフェロモン液を含有する担持体を分散させ、ダイから棒状に押し出して高分子細棒材を成形し、リールに巻き取る。
上記担持体としては、使用する高分子材料の融点以上の温度において、フェロモンにより溶液もしくは懸濁液を生ずるような性質を持つ高分子材料又は無機質系もしくは有機質系充填剤であればどのようなものも特に限定されることなく用いることができる。
担持体に用いる高分子材料としては、例えばポリ−ε−カプロラクトン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられる。
担持体に用いる充填剤としては、無機質系又は有機質系のものであればどのような物でも良く特に限定されるものではないが、鉄粉等の金属粉、ケイ酸、ケイ酸塩、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏、スレート粉末、マイカ、カオリン、クレー、タルク、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、セメント等の無機質充填剤や、リンター、木粉等の有機質充填剤を例示することができる。これら充填剤は、種類や粒子の大きさ、形状によりフェロモンの保持能力が異なるため、吸油量が好ましくは15ml以上のもの、更に好ましくは30ml以上のものを用いる。吸油量が大きい程フェロモンの保持能力は大きく、フェロモンの混合分散が容易になるためである。なお、吸油量とは、JIS K5105−1965に規定される試験法に基づくもので、充填剤100gに対し練り合せうる油の量である。
このような担持体は、フェロモン物質と担持体の合計量を100質量%とすると、好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは5〜40重量%の範囲内で使用することができる。2質量%未満ではフェロモンを保持するのに不十分な場合があり、50質量%を超えるとフェロモンの放出制御ができなくなり長期間に渡る放出を確保できない場合がある。これら担持体は、それぞれ単独で用いても良いが、複数のものを混合して用いても良い。さらに、製造を容易にするために、高分子材料系のものと充填剤系のものを混合して用いることがより望ましい。
次に、フェロモン物質が封入された高分子細管材及びフェロモン物質が練り込まれた高分子細棒材から選ばれる少なくとも1本と、フェロモン物質が封入されていない高分子細管及び上記フェロモン物資が練り込まれていない高分子細棒材から選ばれる少なくとも1本とを長手方向に互いに交差させながら加撚して、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部を有する高分子交差材を得る。
この交差させながら加撚する工程は、好ましくは、交差部を設けようとする少なくとも2本の高分子細管材及び/又は高分子細管材を、回転体の回転軸方向に沿って形成された異なる貫通孔に通しながら回転して高分子交差材を得ることを含む。
例えば、図8に示すように、図7で得られた高分子細管材85が巻き取られた複数のリール86、87から、各々の高分子細管材を互いに交差させながら加撚する。複数の高分子細管材を、回転体88の回転軸に平行な複数の貫通孔89、90を通過させ、回転体を回転させながらその先で1本にまとめて巻き取ることで、複数の高分子細管材が互いに交差して巻き付き1つに撚り合わされた高分子交差材が得られる。
回転体は、好ましくは、回転軸に垂直な回転面を有し、回転軸方向に沿って貫通孔を備えるものであり、好ましくは厚さ方向に貫通孔を備える平板であり、円板や円盤が含まれる。貫通孔は、回転軸に平行で回転面に垂直なものが好ましいが、回転体を出た高分子細管材や高分子細棒材が収束しやすいように回転軸に対して傾きを有していてもよい。
その後、一定の間隔で高分子交差材を加熱加圧して融着により連結して連結部を形成した後、該連結を維持できるように該連結部を径方向に切断して、少なくとも1つの交差部と互いに連結された2つの末端部とを有し、該交差部と該末端部の1つとの間、又は2つ以上の交差部が存在する場合には交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成できる、交差状徐放性フェロモンディスペンサーが得られる。
例えば、図8で巻き取られた高分子交差材は、適当な長さに切断され、末端部は加熱プレス機により、所望の長さに合わせて融着される。あるいは、図8で巻き取られた高分子交差材は、所望の長さ、すなわち交差状徐放性フェロモンディスペンサーの有効長Lに合わせて加熱加圧融着され、形成された加熱加圧融着部分の中央をカッターで切断されてもよい。
交差状徐放性フェロモンディスペンサーに複数の高分子細管又は高分子細棒を用いる場合、個々の高分子細管又は高分子細棒を別個に押し出し成形し、後に互いに交差させ巻きつけて寄り合わせるため、複数の高分子細管又は高分子細棒を長手方向に平行に連結して押し出し成形するのに比べて各高分子細管の形状及び肉厚の制御が簡単にでき、引き取り速度を速くしても高分子細管又は高分子細棒の径の調節が可能であり生産性が高い。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例1
高密度ポリエチレンにエチレン−酢酸ビニル共重合体を4質量%混合し、200℃、引き取り速度250m/分で押し出し成形し、内径1.30mm、壁厚0.60mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を作製した。この細管材にコドリンガの合成性フェロモン液として8,10−ドデカジエン−1−オール、1−ドデカノール、テトラデカノールを質量比100:50:10の割合で吸入した。
この細管材をリールに巻き取り、その後細管が巻き取られたリールを2個並べ、それぞれから細管材を約0.5m/秒の速度で引き取り、回転面に対して垂直方向に2つの穴を持ち、1秒間に12.5回転する回転円板内の、それぞれ別の穴を通過させて互いに交差させ、その先でリールに巻き取った。このようにして4cm間隔で互いに交差し巻き付いた2本の細管材を、その後204mmのピッチ間隔で長さ5mmの金型により約130℃で加熱プレスして融着し、その融着部分を切断して交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、有効長L=200mmで、全長204mmであり、2本の細管が5回転分互いに交差して巻き付いている。封入されている合成性フェロモン液の量は、細管2本で交差状徐放性フェロモンディスペンサー1本当たり約420mgであった。
なお、この交差状徐放性フェロモンディスペンサーの細管のうち2本を、融着された末端部から約100mmの位置でそれぞれ180度反対方向に引き、長尺方向から垂直に80〜100mmずつ開いて環状空間を形成し、一方の細管を荷重計にかけ、他方の細管を引き環状空間を維持した際に荷重計にかかる最大荷重からその復元力を測定したところ、2.20kgであった(表1参照)。
次に、得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーを100本用意し、高さ1.0mで地面と平行の向きに設置した外径2cmのプラスチック棒に25本ずつ設置し、屋内において25〜30℃の環境下で0、1、2、3ヶ月間おいた後、図の方向から扇風機で風速2.5m/秒の風を24時間あてて、交差状徐放性フェロモンディスペンサーの落下率を調べた。その結果を表2に示す。
また、得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーを、25℃、風速0.3m/秒に保った恒温槽内に20本設置し、1ヶ月毎にその重量変化を測定することにより、合成性フェロモン液の放出挙動について調べた。その結果を表1に示す。
実施例2
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を各々回転円板内に通して互いに交差させる際の回転速度を調整することにより、5cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例1と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が4回転分交差して巻き付いており、その復元力が2.00kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例3
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を各々回転円板内に通して互いに交差させる際の回転速度を調整することにより、10cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例1と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が2回転分交差して巻き付いており、その復元力が0.70kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例4
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を各々回転円板内に通して互いに交差させる際の回転速度を調整することにより、2cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例1と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が10回転分交差して巻き付いており、その復元力が5.00kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例5
合成性フェロモン液入りの2本の高密度ポリエチレン細管を、190℃、引き取り速度250m/分で押し出し成形し、内径1.30mm、壁厚0.60mmの高密度ポリエチレン細管材を作製した。この細管をリールに巻き取り、実施例1と同様の方法で細管同士が4cm間隔で互いに交差して巻きついた交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンフェロモンディスペンサーは、1本当たり合成性フェロモン液の量は約420mgであり、細管同士が5回転分交差して巻き付いており、その復元力が2.50kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例6
合成性フェロモン液入りの2本の高密度ポリエチレン細管材を、5cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例5と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が4回転分交差して巻き付いており、その復元力が2.20kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例7
合成性フェロモン液入りの2本の高密度ポリエチレン細管材を、10cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例5と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が2回転分交差して巻き付いており、その復元力が1.20kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例8
押し出し成形時に内径1.40mm、壁厚0.50mmになるようエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を作製し、このエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管にナシヒメシンクイの合成性フェロモン液として、酢酸(Z)−8−ドデセニル、(E)−8−ドデセン−1−オールアセタート、(Z)−8−ドデセン−1−オールを質量比93:6:1の割合で吸入した以外は、実施例1と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。封入されている合成性フェロモン液の量は、細管2本で交差状徐放性フェロモンディスペンサー1本当たり約500mgであり、細管同士が5回転分交差して巻き付いており、その復元力が1.80kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例9
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を5cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例8と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が4回転分交差して巻き付いており、その復元力が1.50kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例10
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を10cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外、は実施例8と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が2回転分交差して巻き付いており、その復元力が0.30kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例11
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を2cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例8と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が10回転分交差して巻き付いており、その復元力が3.00kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例2と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表1に示す。
実施例12
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を3cm間隔で互いに交差させて巻きつけ、その後1004mmのピッチ間隔で長さ5mmの金型により約130℃で加熱プレスして融着し、その融着部分を切断した以外は、実施例1と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、有効長がL=1000mmで、全長1004mmであり、2本の細管が34回転分互いに交差して巻き付いている。封入されている合成性フェロモン液の量は、細管2本で交差状徐放性フェロモンディスペンサー1本当たり約2100mgであることを除き、実施例1の交差状徐放性フェロモンディスペンサーと同一である。また、交差状徐放性フェロモンディスペンサー内で高分子細管同士の交差間隔が均一な部分を長さ100mmだけ固定した場合の値を復元力は、2.70kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例13
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を5cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例12と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が20回転分交差して巻き付いており、その復元力が1.90kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例14
合成性フェロモン液入りの2本のエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材を10cm間隔で互いに交差させて巻きつけた以外は、実施例12と同様の方法で交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細管同士が10回転分交差して巻き付いており、その復元力が0.60kgであった(表1参照)。
この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
実施例15
酢酸ビニル含有量20質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を80質量部と、コドリンガの合成性フェロモン液として8,10−ドデカジエン−1−オール、1−ドデカノール、1−テトラデカノールを質量比100:50:10の割合で有する混合液20質量部を、120℃で溶融し、透明な溶液となるまで混合し、その樹脂溶液を180℃、引き取り速度100 m/分で押し出し成形して、外径2.00mmの高分子細棒材を作成した。
この細棒材をリールに巻き取り、このリール1個と実施例1と同様の方法で作成した細管材を巻き取ったリール1個とを並べ、それぞれの細棒材及び細管材を約0.5m/秒の速度で引き取り、回転面に対して垂直方向に2つの穴を持ち、1秒間に12.5回転する回転円板内の、それぞれ別の穴を通過させて互いに交差させ、その先でリールに巻き取った。このようにして4cm間隔で互いに交差し巻き付いた細棒材及び細管材を、その後204mmのピッチ間隔で長さ5mmの金型により約130℃で加熱プレスして融着し、その融着部分を切断して交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、有効長L=200mmで、全長204mmであり、含有する合成性フェロモン液の量は、細棒及び細管の2本の合計で交差状徐放性フェロモンディスペンサー1本当たり約420mgであった。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、細棒と細管が5回転分互いに交差して巻き付いており、その復元力が1.30kgであった(表1参照)。この交差状徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
比較例1
高密度ポリエチレンにエチレン−酢酸ビニル共重合体を4質量%混合し、200℃、引き取り速度250m/分で押し出し成形等により、内径1.30mm、壁厚0.60mmのエチレン-酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管2本が平行に繋がっておりその繋ぎ目にスリットを入れ環状に開けるようにした徐放性フェロモンディスペンサーを得た。封入されている合成性フェロモン液の量は、細管2本で交差状徐放性フェロモンディスペンサー1本当たり約420mgである(表1参照)。
この徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
比較例2
高密度ポリエチレンにエチレン−酢酸ビニル共重合体を重量比で4質量%混合し、200℃、引き取り速度30m/分で内径1.30mm、壁厚0.60mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体含有高密度ポリエチレン細管材1本を連続的に押し出し成形した後に螺旋状に巻き取り、その後204mmのピッチ間隔で長さ5mmの金型で加熱プレスして融着し、その融着部分を切断して交差状徐放性フェロモンディスペンサーを得た。
得られた交差状徐放性フェロモンディスペンサーは、有効長L=400mmで、全長408mmであり、螺旋形状の円周の内側直径35mm、円周長に対する全長、すなわち巻数は3.71であった。また、封入されている合成性フェロモン液の量は、交差状徐放性フェロモンディスペンサー1本当たり約420mgである(表1参照)。
この徐放性フェロモンディスペンサーについて、実施例1と同様に落下率と放出挙動を調べた。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、比較例1及び2の交差状徐放性フェロモンディスペンサーは風により数本が落下してしまっており、設置後も時間が経つほど落下しやすくなるという結果であった。一方、実施例1〜14の交差状徐放性フェロモンディスペンサーのうち、細管同士の交差間隔の広い実施例3、11及び14の交差状徐放性フェロモンディスペンサーは設置後の落下がみられたものの、交差間隔の狭い実施例1、2、4〜9、11及び12の各交差状徐放性フェロモンディスペンサーに関しては3ヶ月後も安定して設置した状態を保ったままであった。
また、充填した合成性フェロモン液の種類や高分子細管の材質・肉厚及び内径が同様の交差状徐放性フェロモンディスペンサー同士の間では、高分子細管同士の交差回数が異なる場合も放出挙動に大きな差はなかった。
Figure 2013188159
Figure 2013188159
10、20、30、40 交差状徐放性フェロモンディスペンサー
11 フェロモン物質
12、22、32、42 高分子細管
13、23、33、43、44 高分子細管又は高分子細棒
15、16、25、26、35、36、45、46 末端部
17、27、37a〜d、47a〜d 交差部
LC 荷重計
81 マンドレル
82 有芯孔
83 フィーダ
84 ダイ
85 高分子細管材
86、87 リール
88 回転体
89、90 貫通孔
A フェロモン液
B 高分子材料

Claims (5)

  1. 両末端部が一体化された高分子細管の少なくとも2本、高分子細棒の少なくとも2本、又は該高分子細管の少なくとも1本及び該高分子細棒の少なくとも1本を備え、
    上記高分子細管の少なくとも1本にフェロモン物質を封入し、かつ/又は上記高分子細棒の少なくとも1本にフェロモン物質を練り込んだ交差状徐放性フェロモンディスペンサーであって、
    上記高分子細管及び上記高分子細棒から選ばれる少なくとも2本が、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部を有し、該交差部と上記両末端部の1つとの間、又は該交差部が2以上存在する場合には交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成できる交差状徐放性フェロモンディスペンサー。
  2. 上記交差部が、上記両末端部の間に、1〜10cmの間隔で形成されている請求項1に記載の交差状徐放性フェロモンディスペンサー。
  3. 上記環状の空間を形成した際に、その環状の空間を閉じる方向に働く復元力の強さが、最大0.3〜10kgである請求項1又は請求項2に記載の交差状徐放性フェロモンディスペンサー。
  4. フェロモン物質が封入された高分子細管材及びフェロモン物質が練り込まれた高分子細棒材から選ばれる少なくとも1本と、フェロモン物質が注入されていない高分子細管材及びフェロモン物質が練り込まれていない高分子細棒材から選ばれる少なくとも1本とを長手方向に互いに交差させながら加撚して、長手方向に互いに巻きついて交差する少なくとも1つの交差部を有する高分子交差材を得る工程と、
    一定の間隔で上記高分子交差材を加熱加圧して融着により連結して連結部を形成する工程と、
    上記連結部を、上記連結を維持しながら上記高分子細管材又は細棒材の径方向に切断する工程と
    を少なくとも含む、少なくとも1つの交差部と互いに連結された2つの末端部とを有し、該交差部と該末端部の1つとの間、又は2つ以上の交差部が存在する場合には交差部間を引き開くことにより環状の空間を形成できる交差状徐放性フェロモンディスペンサーの製造方法。
  5. 上記交差させながら加撚する工程が、上記交差部を設けようとする少なくとも2本の上記高分子細管材及び/又は高分子細棒材を、回転体の回転軸方向に沿って形成された異なる貫通孔に通しながら回転して上記高分子交差材を得ることを含む請求項4に記載の交差状徐放性フェロモンディスペンサーの製造方法。
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