JP2013188157A - 微細藻類濃度決定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】微細藻類の溶液を撮影し(S1)、撮影された前記微細藻類の溶液の画像から色に関する情報を抽出し(S2)、前記画像から抽出された前記色に関する情報と、色に関する情報と前記微細藻類の濃度との関係とに基づいて、前記微細藻類の濃度を決定する(S3)。
【選択図】 図1
Description
二酸化炭素を削減する手段として、植物の光合成を利用する方法がある。植物の中でも、特に微細藻類は、陸生植物と比較して高い増殖力を有するため、有望な二酸化炭素の削減手段として注目されている。
一般的に、微細藻類の増殖量を評価するには、微細藻類が分散した液体(以下、「微細藻類の溶液」ということがある。)のうち、微細藻類を含む一定量の溶液をサンプリングし、その中に含まれる微細藻類を遠心分離機あるいはろ過等で分離して乾燥させ、その重量を測ることによって行われる。
また、より簡易な方法として、サンプリングされた微細藻類の溶液の吸光度を測定する方法もある(特許文献1)。吸光度は、溶液の透明度を反映する物理量であるため、ある波長における吸光度と乾燥重量の相関を予め求めておくことによって、測定した吸光度の値から乾燥重量を求めることが可能となる。
また、増殖速度を求めるためには、一定時間ごとに乾燥重量を測りその差をとるのが一般的であるが、上述したサンプリングを行って分離・乾燥または吸光度測定を実行するといった作業を繰り返し行うことは、作業者にとって大きな負担となる。
より具体的には、本発明に係る微細藻類濃度決定方法は、微細藻類の溶液を撮影するステップと、撮影された前記微細藻類の溶液の画像から色に関する情報を抽出するステップと、前記画像から抽出された前記色に関する情報と、色に関する情報と前記微細藻類の濃度との関係とに基づいて、前記微細藻類の濃度を決定するステップとを有することを特徴とする。
なお、「藻類」とは、一般に、光合成を行う生物のうち、陸上植物(コケ植物、シダ植物、種子植物)を除いたものの総称であり、このうち拡大鏡を使わなければ見えないような小さな藻類を「微細藻類」と呼ぶ。本明細書においては、「微細藻類」は、水等の培地に分散可能な大きさを有する藻類を指すものとする。いわゆる植物プランクトンは微細藻類の一例である。また、微細藻類が培地中に分散したものを「微細藻類の溶液」と呼ぶ。
本発明の第1の実施の形態に係る微細藻類濃度決定方法は、図1に示すように、大きく分けて、(1)微細藻類の溶液を撮影する撮影ステップS1と、(2)撮影された画像から色に関する情報を抽出する色情報抽出ステップS2と、(3)微細藻類の溶液の画像から抽出された色に関する情報から微細藻類の濃度を決定する決定ステップS3とからなる。
撮影ステップS1は、ガラス等の容器内で培養されている微細藻類の溶液(サンプル)を、容器のままデジタルカメラ等の撮像機器によって撮影するステップである。
サンプルを収容する容器は、例えば、フラスコのように、ガラス等の透明な材料からできた容器が望ましい。
微細藻類の溶液を撮影する際には、撮影環境の影響を少なくするために照明器具の配置を毎回同じにすることが望ましい。撮影環境が変わってしまうような場合は、後述するように、撮影時にサンプルの横に色見本(例えば,白,黄,赤の3種)を置いておき,一緒に撮影することにより後で補正するようにしてもよい。
色情報抽出ステップS2は、撮影ステップS1において撮影した画像の色に関する情報(色情報)を抽出するステップである。
画像の色情報としては、様々な色空間を構成するパラメータの値を用いることができる。色空間を構成するパラメータとしては、例えば、RGB(またはRGBカラーモデル)の「赤(R:Red)」、「緑(G:Green)」、「青(B:Blue)」や、HSVモデル(HSBモデルとも呼ばれる。)の「色相(Hue)」、「彩度(Saturation・Chroma)」、「明度(Brightness・Lightness・Value)」、HLSモデルの「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「輝度(Lightness/Luminance または Intensity)」などが挙げられる。
RGB等の色情報は、例えばフォトショップ(登録商標)などの画像処理用ソフトウエアを使えば得ることができる。
まず、モニタ上で、撮影された画像のうち微細藻類の溶液が写っている所定の領域(微細藻類の溶液が写っている部分の一部または全部)を指定し、この指定された領域内の画素ごとに、R,G,Bそれぞれの色成分の階調(例えば0から255の256段階)を取得する(S2−1)。次に、その領域内の画素の、R,G,Bそれぞれの階調のヒストグラムを取得する(S2−2)。そして、R,G,Bそれぞれの色成分の階調の平均値を画像の色情報として計算する。
本実施の形態においては、平均値を求めて後述する微細藻類の濃度の決定に用いるものとする。しかしながら、平均値に限らず、中央値や最大値等を色情報として用いてもよいことは言うまでもない。
決定ステップS3は、色情報抽出ステップS2において抽出した画像の色に関する情報(色情報)から容器内で培養されているサンプルの濃度を決定するステップである。
この決定ステップS3に先だち、色情報と微細藻類の濃度との関係を後述する方法によって予め求めておく。
色情報抽出ステップS2において抽出された色情報を上述した色情報と微細藻類の濃度との関係に当てはめることによって、容器に入った微細藻類のサンプルの濃度を決定することができる。
色情報と微細藻類の濃度との関係は、概念的には、色空間から濃度への写像である。具体的に色情報と微細藻類の濃度との関係を取得する手法としては、例えば、濃度が既知の微細藻類の溶液(サンプル)の入った容器を複数用意し、それらの容器を撮影した画像の所定領域(微細藻類の溶液が写っている部分の一部または全部)の色情報、例えば、R、G、Bの階調の平均値等を求め、その値と微細藻類の濃度を関連付けることが考えられる。このような関係は、例えば、検量線や対照表といった形式で表現することができる。
また、所定の体積のサンプルの乾燥重量を、濃度とともに、または濃度に代えて、色情報と関係づけておくことによって、画像の色情報から所定の容積の容器に収容された微細藻類の乾燥重量を決定することもできる。
図3によれば、Rの平均値およびGの平均値は、ともに従来法の測定値をよく追従していることがわかる。さらに、高濃度領域では、先に飽和してしまうR値(図3(a))よりG値(図3(b))の方が有効であることがわかる。なお、B値については、低い濃度で飽和してしまうので、Bの階調と濃度との相関については割愛するが、極低濃度領域で変化が見られる。このことからRGBの各成分ごとに得意な濃度領域があり、RGBにより濃度を評価できることがわかる。
以上のように、本実施の形態においては、微細藻類の溶液の画像から微細藻類の濃度を決定することができるが、藻類の種類がわかれば、藻類濃度(重量濃度(g/L))を決定した後は、重量濃度から細胞濃度(個/L)を求めることができる。さらには、一定量のサンプルに含まれる微細藻類の乾燥重量や、予めわかっている細胞濃度と二酸化炭素固定量の比例関係に基づいて二酸化炭素吸収量を算出することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係る微細藻類濃度決定方法は、微細藻類の溶液を撮影する際の撮影環境の影響を除去するために、微細藻類の溶液(サンプル)の入った容器とともに色見本を一緒に撮影するとともに、画像から得られる色見本の色情報に基づいて微細藻類の色情報を補正するステップを含むものである。
撮影ステップ(S10)では、色見本として、例えば、白(R,G,B=255,255,255)、黄(R,G,B=255,255,0)、赤(R,G,B=255,0,0)を含む色見本をサンプルの近傍、例えば、サンプルの横に置いて、これらを一緒に撮影する。
次に、画像処理プログラムを使って、撮影された画像データから色見本の領域およびサンプルの領域の色情報、例えば、各領域のR,G,Bの各成分についてヒストグラムを作成し、各成分の平均値を算出する。
サンプルの色情報は、色見本の色情報に基づいて次のような演算を実行することによって補正することができる。
赤の色見本から得られた色情報(RGB値)を3行1列の行列(Rr Gr Br)tと表す。同様に黄および白の色見本から得られた色情報(RGB値)をそれぞれ(Ry Gy By)t、および(Rw Gw Bw)tと表す。これらは、元々、赤(1 0 0)t,黄(1 1 0)t,白(1 1 1)tの色見本のもともとの値(ただし、各値は、最大階調数で規格化されている。)が、撮影環境の影響によって変換されたものである。
したがって、画像から得られた色見本の色情報から定義された変換行列Tの逆行列T-1を求め、この変換行列の逆行列を画像のサンプル領域から得られた色情報(RGB値)に掛け合わせることによって、サンプルの色情報を補正することができる。
決定ステップS30では、補正ステップS21において補正されたサンプルの色情報を、予め求めておいた色情報と微細藻類の濃度との関係に当てはめることによって、容器に入ったサンプルの濃度を決定する。
次に本発明の第3の実施の形態に係る微細藻類濃度決定装置について図5を参照して説明する。
本実施の形態に係る微細藻類濃度決定装置は、カメラによって撮影した培地中の微細藻類の画像からその濃度や乾燥重量を出力する装置である。この装置は、CPU(中央処理装置)や記憶装置とからなるコンピュータ・ハードウェア装置と、各種ハードウェア装置を制御するコンピュータ・プログラムとによって構成される。
本実施の形態に係る微細藻類濃度決定装置は、カメラ10と接続可能なインターフェース部20と、装置の動作を制御する制御部21と、キーボードやマウス、モニタ等から構成される入出力部30と接続されるインターフェース部22と、コンピュータを微細藻類濃度決定装置として動作させるコンピュータ・プログラムを記憶したプログラム記憶部23と、カメラ10によって撮影され、インターフェース部20を介して取り込まれた画像を記憶する画像記憶部24と、後述する色情報抽出部21aによって抽出された画像の色情報を記憶する色情報記憶部25と、色情報と微細藻類の濃度との関係とを記憶した関係記憶部26と、これらの構成要素間におけるデータおよび制御情報の通り道となるバス27とを備えている。
上述した微細藻類濃度決定装置を用いて、次のようにして濃度を決定することができる。
まず、カメラ10によって、微細藻類を培養している容器(例えば、三角フラスコ)を撮影する。このカメラ10は、各画素について、色空間を構成するパラメータの値(例えば、RGBそれぞれの輝度信号)を画像データとして出力する装置である。
このようなカメラ10は、微細藻類濃度決定装置に内蔵され、インターフェース部20と常時接続されていてもよいし、市販のデジタルカメラのように、微細藻類濃度決定装置と別体であってもよい。
カメラ10によって撮影された画像のデータは、インターフェース部20を介して、画像記憶部24に転送される。
なお、色見本の領域も指定されたときは、色情報抽出部24aは、第2の実施の形態において説明した手法にしたがって、すなわち、画像から得られた色情報を、変換行列Tの逆行列を用いて補正する処理を行う。
このようにして抽出された色情報は、色情報記憶部25に記憶される。
なお、微細藻類の濃度としては、重量濃度(g/L)もしくは細胞濃度(個/L)、またはこれらの両方を出力するようにしてもよい。また、培養されるサンプルの体積が一定であれば、乾燥重量を決定して出力するようにしてもよい。
Claims (4)
- 微細藻類の溶液を撮影するステップと、
撮影された前記微細藻類の溶液の画像から前記微細藻類の溶液の色に関する情報を抽出するステップと、
前記画像から抽出された前記微細藻類の溶液の前記色に関する情報と、色に関する情報と前記微細藻類の濃度との関係とに基づいて、前記微細藻類の濃度を決定するステップと
を有する微細藻類濃度決定方法。 - 請求項1に記載の微細藻類濃度決定方法において、
前記微細藻類の溶液を撮影するステップは、
色見本とともに前記微細藻類の溶液を撮影し、
前記色に関する情報を抽出するステップは、
画像に含まれる前記色見本の色に関する情報に基づいて前記微細藻類の溶液の前記色に関する情報を補正するステップと、
補正された前記微細藻類の溶液の前記色に関する情報と前記関係とに基づいて、前記微細藻類の濃度を決定するステップと
を含むことを特徴とする微細藻類濃度決定方法。 - 請求項1または2に記載の微細藻類濃度決定方法において、
前記色に関する情報は、色空間を構成するパラメータの値であり、
前記微細藻類の濃度を決定するステップは、
前記色空間を構成するパラメータの値と前記微細藻類の濃度とを関係づける検量線に基づいて前記微細藻類の濃度を決定する
ことを特徴とする微細藻類濃度決定方法。 - 微細藻類の溶液の画像から色に関する情報を抽出する色情報抽出部と、
色に関する情報と前記微細藻類の濃度との関係とを記憶した記憶部と、
前記色情報抽出部によって抽出された色情報と前記記憶部に記憶された前記関係とにづいて前記微細藻類の濃度を決定する決定部と
を有する微細藻類濃度決定装置。
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