JP2010246473A - 微細藻類の培養方法および微細藻類用培養装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】成長履歴に応じ、微細藻類を効率的に培養できる方法および微細藻類用の培養装置を提供する。
【解決手段】培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御しながら微細藻類の培養を行う方法、ならびに、微細藻類を培養するための培養器と、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構を備える、微細藻類用の培養装置。
【選択図】図1
【解決手段】培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御しながら微細藻類の培養を行う方法、ならびに、微細藻類を培養するための培養器と、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構を備える、微細藻類用の培養装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、微細藻類による二酸化炭素の固定ならびに微細藻類の光合成を利用した水素エネルギー発生技術を達成するための、微細藻類の培養方法および微細藻類用の培養装置に関する。
化石燃料の大量消費に伴って増大している地球温暖化ガスのうち、二酸化炭素(CO2)の排出抑制に関する新技術、太陽光発電や水素電池などの化石燃料代替エネルギー利用技術、地中への二酸化炭素貯蔵技術や植物の光合成能力を用いた二酸化炭素固定化技術が盛んに研究開発されている。
この中で、光合成微生物であるクラミドモナス属のような微細藻類を用いた水素発生技術は、二酸化炭素を成長のエネルギーとして利用しつつ、クリーンエネルギーとして期待の高い水素エネルギーを生成できることから、盛んに行われている。中でもクラミドモナス属を用いた水素発生技術は、培地中の組成における硫黄成分を除去することで、電子伝達系を制御し、意図的に水素を取り出すことができるというものである。
この水素発生技術にも応用できる、基本的な藻類の培養においても、フォトバイオリアクターとして数多くの研究開発が行われている。たとえば、特開平5−284959号公報(特許文献1)には、微細藻類が生息する培養液中に二酸化炭素を供給し、光を照射して微細藻類の培養装置において、培養液中の微細藻濃度を測定する微細藻濃度計と、光の照射量を測定する照射量計と、培養液の液深を測定する液深計とを具備することを特徴とする微細藻類の培養装置、およびそれを用いた培養方法が開示されている。特許文献1に開示された微細藻類の培養装置は、微細藻類をタイミングよく回収しようとする技術において、光の照射量と培養液の液深をモニタしながら、微細藻類の濃度計から、その成長をモニタするものである。
しかしながら、クラミドモナス属の培養においては、その微細藻類がどのような成長履歴を有するのかによって環境適応能力が大きく異なり、実際は導入される二酸化炭素濃度によって、極端な成長障害が起こることが明らかになった。このため、特許文献1に開示されたような、光の照射量と培養液の液深をモニタしながら微細藻類の濃度計から、その成長をモニタする従来の培養装置では、クラミドモナス属を培養した場合、クラミドモナス属の効率的な培養は望めなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、成長履歴に応じ、微細藻類を効率的に培養できる方法および微細藻類用の培養装置を提供することである。
本発明の微細藻類の培養方法は、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御しながら微細藻類の培養を行うことを特徴とする。
本発明の培養方法においては、培養器内が最適な二酸化炭素濃度となるように培養器内に導入する二酸化炭素を大気で希釈しながら、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御することが好ましい。
本発明の培養方法は、二酸化炭素濃度をモニタリングし、そのモニタリング結果に応じて培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御することが、好ましい。
本発明の培養方法においては、二酸化炭素濃度および光照射強度をモニタリングすることで、培養器内の微細藻類の成長速度をモニタリングすることが、好ましい。
本発明はまた、微細藻類を培養するための培養器と、培養器内に光を照射するための光源と、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構を備える微細藻類用の培養装置についても提供する。
本発明の培養装置は、培養器内に導入する二酸化炭素を大気で希釈し得る機構を備えることが好ましい。
本発明の培養装置はまた、二酸化炭素濃度をモニタリングする手段を備え、二酸化炭素濃度のモニタリング結果に応じて培養器内に導入する二酸化炭素濃度を経時的に制御し得るように構成されていることが、好ましい。
また本発明の培養装置は、光源の光照射強度をモニタリングする手段をさらに備え、二酸化炭素濃度および光照射強度のモニタリング結果から培養器内の微細藻類の成長速度をモニタリングし得るように構成されていることが、好ましい。
本発明の培養装置はさらに、培養器内の微細藻類の成長速度のモニタリングに利用するために、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構を備え、当該機構が、試料を多段式に希釈して、それぞれの蛍光強度を測定するように構成されていることが、好ましい。
また本発明の培養装置は、培養器内の微細藻類の成長速度のモニタリングに利用するために、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構を備え、当該機構が、標準試料でキャリブレーションを行うように構成されていることが、好ましい。
本発明によれば、従来の技術では成し得なかった、効果的な微細藻類の成長をモニタできる培養技術が提供され、クラミドモナス属における水素発生能力の向上や、ボツリオコッカス属におけるバイオディーゼルの取得、その他の微細藻類を用いたアスタキサンチンのような有効資源の回収、クロレラのような機能性食品としての回収へ応用される。
<微細藻類の培養方法>
本発明の微細藻類の培養方法は、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御しながら微細藻類の培養を行うことを特徴とする。本発明によれば、培養器内の二酸化炭素濃度を、微細藻類の正確な成長速度に応じて経時的に制御することで、たとえばクラミドモナス属のように成長履歴によって環境適応能力が大きく異なるような微細藻類を培養する場合でも、極端な成長障害を引き起こすことなく効率的な培養が可能となる。
本発明の微細藻類の培養方法は、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御しながら微細藻類の培養を行うことを特徴とする。本発明によれば、培養器内の二酸化炭素濃度を、微細藻類の正確な成長速度に応じて経時的に制御することで、たとえばクラミドモナス属のように成長履歴によって環境適応能力が大きく異なるような微細藻類を培養する場合でも、極端な成長障害を引き起こすことなく効率的な培養が可能となる。
本発明において培養の対象とする「微細藻類」とは、数ミクロンから数十ミクロンの大きさの植物プランクトンを指し、具体的には、クラミドモナス、ボツリオコッカス、クロレラ、スピルナ、クリペトモナス、ヘマトコッカスなどが挙げられる。本発明は、微細藻類であれば特に制限なく適用することができるが、上述した中でも光合成により独立的に栄養素を得ることができることから、クラミドモナス属、ボツリオコッカス属などに特に好適に適用することができる。このような微細藻類は、ATCC(American Type Culture Collection)などの各種保存機関から入手できる公知のものも利用することが可能であり、また、たとえば、紫外線照射や各種変異剤による処理などの公知の変異処理を施した変異株も培養の対象に包含される。
本発明の培養方法においては、培養器内が最適な二酸化炭素濃度となるように二酸化炭素を希釈することで二酸化炭素濃度を調整し、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御することが好ましい。この場合、二酸化炭素は、工場排気をそのまま利用する場合には、10〜95%の濃度となっているので、大気で希釈されることが好ましい。
また本発明の培養方法においては、二酸化炭素濃度をモニタリングし、そのモニタリング結果に応じて培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御することが好ましい。この場合、たとえば、培養器内に二酸化炭素を連続的に導入するための流路に二酸化炭素濃度計を設け、この二酸化炭素濃度計によって測定された二酸化炭素濃度に応じて、パーソナルコンピュータなどの制御手段によって、培養器内に導入する二酸化炭素の濃度を制御(好適には、上述したように大気で希釈して二酸化炭素を調整)することが好ましい。
本発明の培養方法においては、さらに、二酸化炭素濃度および光照射強度をモニタリングすることで、培養器内の微細藻類の成長速度をモニタリングすることが好ましい。微細藻類の培養では、通常、微細藻類の成長に作用する波長を有する光を照射するが、上述した二酸化炭素濃度の他にこの光照射強度をライトメーターで測定し、その測定結果を上述した制御手段において二酸化炭素濃度とともにモニタリングすることで、培養器内での微細藻類の成長速度をモニタリングし、個々の微細藻類ごとに最適な培養条件を提供することが可能となる。
本発明の培養方法に適用される培地は、微細藻類の培養に通常用いられる培地であれば特に制限されるものではなく、たとえばC培地、Sugar-Granick、Sueoka high-salt medium、Eversole、Kuhl、Bold、Gorman-Levine Tris-accetate-phosphateなどの培地が挙げられる。中でも、今回の発明者らによる実験結果からTris-accetate-phosphateを基本とした培地が好ましい。また、本発明の培養方法における二酸化炭素濃度および光照射強度以外の培養条件については特に制限されるものではなく、微細藻類の培養に通常適用される条件であればよいが、好適な例として、二酸化炭素濃度100〜0.01%、光照射条件としては10〜4000μmol/m2/sというような培養条件が例示される。
<微細藻類用培養装置>
本発明はまた、上述した微細藻類の培養方法を好適に行い得る微細藻類用の培養装置についても提供する。ここで、図1は、本発明の好ましい一例の微細藻類用の培養装置1を模式的に示す図である。なお、図面中における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表すものではない。本発明の培養装置1は、微細藻類を培養するための培養器2と、培養器2内に光を照射するための光源3と、培養器2内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構とを基本的に備える。
本発明はまた、上述した微細藻類の培養方法を好適に行い得る微細藻類用の培養装置についても提供する。ここで、図1は、本発明の好ましい一例の微細藻類用の培養装置1を模式的に示す図である。なお、図面中における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表すものではない。本発明の培養装置1は、微細藻類を培養するための培養器2と、培養器2内に光を照射するための光源3と、培養器2内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構とを基本的に備える。
本発明の培養装置における培養器2としては、培養の対象となる微細藻類を収容し得る内部空間を有し、光源3からの光を透過し得るものであれば特に制限されない。たとえば、ガラス製、石英製、プラスチック製など、従来公知の適宜の材料で形成された培養器1を好適に用いることができる。
本発明の培養装置における光源3としては、基本的に微細藻類の成長に作用する波長を有する光を照射可能なものであれば特に制限はない。微細藻類の成長に作用する波長を有する光としては、たとえば660nmの波長の光単独、もしくはこの660nmの波長の光に470nmの波長の光を混合した光などが挙げられる。光源3としては、たとえば蛍光灯などの管球タイプ、LED、LE、白色光を分光したものなどを特に制限なく好適に使用することができる。中でも、サイズ、コスト、消費電力の面から鑑みて、LEDが光源3として特に好適に用いられ得る。光源3から照射される光の光照射強度は、たとえばライトメーター(LI−250A、LI−COR Bioscience社製)などを用いることで数値化してモニタリングすることができる。
図1に示す例の培養装置は、培養器2内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構として、二酸化炭素を供給するための流路4の中途に設けられた、二酸化炭素をモニタリングする手段(二酸化炭素濃度計5)と、培養器内に導入する二酸化炭素を大気で希釈し得る機構(希釈器6)と、二酸化炭素濃度計5で測定された二酸化炭素濃度に応じて、培養器2内の二酸化炭素濃度が最適の状態となるように、二酸化炭素を大気で希釈し得るように希釈器6を制御し得るように構成された制御手段7とを備える例が示されている。このように本発明の培養装置は、培養器内に導入する二酸化炭素を大気で希釈し得る機構と、二酸化炭素濃度をモニタリングする手段を備え、二酸化炭素濃度のモニタリング結果に応じて培養器内に導入する二酸化炭素濃度を経時的に制御し得るように構成されていることが、好ましい。
本発明の培養装置に用いられる二酸化炭素濃度計5としては、特に制限されるものではなく、たとえば非分散型の赤外分光型センサなどの従来公知の適宜の二酸化炭素濃度計を用いることができる。
また本発明の培養装置に用いられる希釈器6としては、制御手段7により、二酸化炭素と大気との混合比率を制御可能なものであれば特に制限されず、従来公知の適宜の希釈器を用いることができる。図1に示す例では、二酸化炭素を供給するための流路4と、大気を供給するための流路8とが希釈器6に連通し、さらに、希釈器6で大気と混合されることによって濃度を調整された二酸化炭素が、流路9を介して培養器2内に導入されるように構成されている。
また、本発明の培養装置に用いられる制御手段7は、中央演算装置(CPU)を備えるパーソナルコンピュータなどで実現できる。
培養器2内に二酸化炭素を供給手段(図示せず)および流路4,8,9は、当分野において通常用いられている適宜の手段を用いることができ、特に制限されない。また、図1に示す例では、二酸化炭素を供給するための流路4と大気を供給するための流路8にはそれぞれ流量計10,11が設けられており、二酸化炭素、大気の流速を制御し得るように構成されている。流量計10,11は、特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の流量計を用いることができる。なお、前記流速は、通常、10ml/分〜5000ml/分の範囲内(後述する実施例では500ml/分)となるように調整され得る。
本発明の培養装置は、光源の光照射強度をモニタリングする手段をさらに備え、二酸化炭素濃度および光照射強度のモニタリング結果から培養器内の微細藻類の成長速度をモニタリングし得るように構成されていることが、さらに好ましい。光源3の光照射強度をモニタリングする手段(図示せず)としては、たとえば上述したライトメーター(LI−250A、LI−COR Bioscience社製)が好適な例として挙げられる。
ここで、図2は、本発明の培養装置において培養器2内の二酸化炭素濃度を経時的に制御するための手順の一例を簡略化して示すフローチャートである。上述した二酸化炭素濃度計6により測定された二酸化炭素濃度、ならびに、上述したライトメーターにより測定され、数値化された光源3の光照射強度は、それぞれ制御手段7において、培養器2内の微細藻類の成長速度のモニタリングに用いられる。そして、その結果に応じて、二酸化炭素濃度および光照射強度がそれぞれフィードバック制御される。このようにすることで、二酸化炭素濃度、光強度をモニタした後、微細藻類の成長を経時変化で追跡して、最適な二酸化炭素濃度および光照射強度となるように制御することが可能となる。
本発明の培養装置はまた、培養器内の微細藻類の成長速度のモニタリングに利用するために、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構をさらに備えることが、好ましい。図1に示す例では、このような機構として、藻類サンプリング機構12および藻類濃度計13とを備える。
藻類サンプリング機構12は、培養器2内で培養する微細藻類の一部を試料としてサンプリングするための機構であり、たとえばチュービングポンプでサンプリングしても構わないが、簡単な構成としてサイフォン式のサンプリング機構を用いても構わない。サンプリングする試料の量としては、後述する微細藻類のクロロフィルの蛍光強度が測定できる程度の量であればよく特に制限されないが、好ましくは10μL〜5000μLの範囲内である(後述する実施例では400μL)。
藻類濃度計13は、上述した藻類サンプリング機構12でサンプリングされた試料が導入され、試料中のクロロフィルの蛍光強度を測定するためのものであり、たとえば、キュベット式のクロロフィルメーターを好適に用いることができる。藻類濃度計13においては、励起光として460±20nmの波長のLEDを用い、665nm以上の蛍光をフォトディテクターで検出する。
上述したようなクロロフィルメーターは、微細藻類のモニタリングに向いているが、微細藻類濃度が高くなると、すぐ蛍光強度がオーバーフローを起こしてしまう。そのため、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構は、試料を多段式に希釈して、それぞれの蛍光強度を測定するように構成されていることが好ましい。図1には、蛍光強度がオーバーフローした段階で、その溶液の一定量を隣のキュベットへ移して、純水などで希釈してモニタリングできる多段式の藻類濃度計13を用いた場合を模式的に示している。
また本発明の培養装置では、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構が、標準試料でキャリブレーションを行うように構成されていることが好ましい。図1に示す例の藻類濃度計13は、固体の蛍光体試料の内部標準を備え、蛍光強度の測定前に必ずキャリブレーションが行えるように構成されている。このように構成されていることで、相対比較ではあるが、蛍光強度を基に異なる日時で取得されたデータを比較できるというような利点がある。
また図3は、本発明の好ましい他の例の微細藻類用の培養装置21を模式的に示す図である。なお、図3に示す例の培養装置21は、一部を除いては図1に示した例の培養装置1と同様の構成を備えるものであり、同様の構成を有する部分については同一の参照符を付して説明を省略する。たとえば微細藻類としてクラミドモナス属などを培養する場合、本発明の培養装置は、水素を発生するバイオリアクターとして好適に利用できる。その場合、水素を一度発生させた後、再度水素を発生させるためには、培地の入れ替えが必要となる。そこで、図3に示す例のように、新鮮培地をリザーブしておく容器22を別途設けることで、上述した藻類サンプリング機構12を利用して培地の一部入れ替えを行うことが可能となる。この機構により、微細藻類の培養速度が低下してきた時点をモニタリングすることで、培地の入れ替えプログラムを動作させれば、連続的に水素が発生できるようにすることが可能となる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
図1で説明した培養装置を用いて、実際にクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を基本とした培養実験を行なった。図4は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/sの条件で、SG+Ac培地(CH3COONa・3H2O、Na Citrate・2H2O、FeCl3・6H2O、CaCl2・2H2O、MgSO4・7H2O、NH4NO3、K2HPO4、KH2PO4、SG trace elementとしてZnSO4・7H2O、H3BO3、MnCl2・4H2O、CoCl2・6H2O、CuSO4・5H2O、Na2MoO4・2H2O)中で培養した。図4中、○で示された培養器には540−570ppmの二酸化炭素を含む空気を吹き込み、△で示された培養器には100%の二酸化炭素を導入した。導入流速はいずれも500mL/分とした。光合成光量子密度1000μmol/m2/sという光照射条件ではクラミドモナス属の成長に影響が出るような強度であるが、導入二酸化炭素濃度が低ければ、このような影響は出なかった。二酸化炭素の濃度は10%まで確認し、10%では成長が著しく落ちる、「bleach」と呼ばれるクロロフィルの色が透明化する状況が生じることを確認した。つまり、クラミドモナス属の成長により留意する必要があるのは二酸化炭素濃度ということであった。
図1で説明した培養装置を用いて、実際にクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を基本とした培養実験を行なった。図4は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/sの条件で、SG+Ac培地(CH3COONa・3H2O、Na Citrate・2H2O、FeCl3・6H2O、CaCl2・2H2O、MgSO4・7H2O、NH4NO3、K2HPO4、KH2PO4、SG trace elementとしてZnSO4・7H2O、H3BO3、MnCl2・4H2O、CoCl2・6H2O、CuSO4・5H2O、Na2MoO4・2H2O)中で培養した。図4中、○で示された培養器には540−570ppmの二酸化炭素を含む空気を吹き込み、△で示された培養器には100%の二酸化炭素を導入した。導入流速はいずれも500mL/分とした。光合成光量子密度1000μmol/m2/sという光照射条件ではクラミドモナス属の成長に影響が出るような強度であるが、導入二酸化炭素濃度が低ければ、このような影響は出なかった。二酸化炭素の濃度は10%まで確認し、10%では成長が著しく落ちる、「bleach」と呼ばれるクロロフィルの色が透明化する状況が生じることを確認した。つまり、クラミドモナス属の成長により留意する必要があるのは二酸化炭素濃度ということであった。
<実施例2>
図5は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例2では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図5中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図5中、△)の条件下で、SG+Ac培地中に、540−570ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示している。変異株Aでは、光合成光量子密度1000μmol/m2/sという光照射条件ではクラミドモナス属の成長に影響が出るような強度の方が、極一般的な照射強度である200μmol/m2/sより成長速度が速いことがわかる。つまり、その株がどのような培養条件で成長しているのかによって、照射強度、二酸化炭素濃度をコントロールする必要があり、より具体的には微細藻類の成長速度をモニタリングすることでのみ達成される。
図5は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例2では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図5中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図5中、△)の条件下で、SG+Ac培地中に、540−570ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示している。変異株Aでは、光合成光量子密度1000μmol/m2/sという光照射条件ではクラミドモナス属の成長に影響が出るような強度の方が、極一般的な照射強度である200μmol/m2/sより成長速度が速いことがわかる。つまり、その株がどのような培養条件で成長しているのかによって、照射強度、二酸化炭素濃度をコントロールする必要があり、より具体的には微細藻類の成長速度をモニタリングすることでのみ達成される。
<実施例3>
図6は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を弱光(波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Bを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例3では、上記変異株Bに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図6中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図6中、△)の条件下で、SG+Ac培地中に、100%の二酸化炭素を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。変異株Bでは、二酸化炭素濃度が著しく高い場合、光合成光量子密度1000μmol/m2/sという光照射条件のほうが、クラミドモナス属の成長速度が低下することがわかる。つまり、二酸化炭素濃度が高い場合、照射強度を落とす必要があることが分かる。
図6は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を弱光(波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Bを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例3では、上記変異株Bに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図6中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図6中、△)の条件下で、SG+Ac培地中に、100%の二酸化炭素を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。変異株Bでは、二酸化炭素濃度が著しく高い場合、光合成光量子密度1000μmol/m2/sという光照射条件のほうが、クラミドモナス属の成長速度が低下することがわかる。つまり、二酸化炭素濃度が高い場合、照射強度を落とす必要があることが分かる。
<実施例4>
図7は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を弱光(波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Bを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例4では、上記変異株Bに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図7中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図7中、△)の条件下で、SG+Ac培地中に、10%の二酸化炭素を500mL/分で導入した後、1860分後に、希釈器を用いて達成された、540−570ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。この結果より、培養当初は条件1の弱光のほうが僅かに成長速度が速かったものが、条件2の強光条件での培養量が多くなった時点で、二酸化炭素濃度を低下させることで、これまでに無い成長速度で微細藻類が成長することが明らかとなった。この条件は無限に続くものではなく、1.5日程度経過すると、逆に成長速度が低下していた。つまり、光照射強度、二酸化炭素濃度、微細藻類濃度をモニタすることで、これまでには確認されなかった速度での培養方法が存在することが明らかとなった。
図7は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を弱光(波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Bを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例4では、上記変異株Bに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図7中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図7中、△)の条件下で、SG+Ac培地中に、10%の二酸化炭素を500mL/分で導入した後、1860分後に、希釈器を用いて達成された、540−570ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。この結果より、培養当初は条件1の弱光のほうが僅かに成長速度が速かったものが、条件2の強光条件での培養量が多くなった時点で、二酸化炭素濃度を低下させることで、これまでに無い成長速度で微細藻類が成長することが明らかとなった。この条件は無限に続くものではなく、1.5日程度経過すると、逆に成長速度が低下していた。つまり、光照射強度、二酸化炭素濃度、微細藻類濃度をモニタすることで、これまでには確認されなかった速度での培養方法が存在することが明らかとなった。
<実施例5>
図8は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例5では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図8中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図8中、△)の条件下で、FeSO4除去を行ったTAP(Tris Acetate Phosphate)培地で550ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。ここでTAP培地とは、NH4Cl:0.4g、CaCl2・2H2O:0.051g、MgSO4・7H2O:0.1g、K2HPO4:0.119g、KH2PO4:0.063g、Tris base:2.42g、酢酸:1.0ml、Hutner trace elemenとしてNa2−EDTA:5g、ZnSO4・7H2O:2.2g、H3BO3:1.14g、MnCl2・4H2O:0.5g、FeSO4・7H2O:0.5g、CoCl2・6H2O:0.16g、CuSO4・5H2O:0.16g、(NH4)6Mo7O24・4H2O、KOH:1.6g)の組成からなる培地である。また、縦軸の微細藻類の増加量は、微細藻類の細胞数と対応した単位倍地中に存在する微細藻類の重量である。具体的にはクロロフィルの蛍光強度に対する細胞数を顕微鏡下で測定し、さらにその溶液濃度の試料を遠心分離にかけ、菌体の乾燥重量を測定することで、蛍光強度から単位重量を換算することが可能となる。図8より明らかなとおり、強光(1000μmol/m2/s;条件2:図8中、△)で培養したものの方が、培養時間一日を過ぎた頃から指数関数的に増殖が進むことが分かる。一方、弱光(200μmol/m2/s;条件1:図8中、○)で培養したものは、半日弱遅れて強光で培養したものと同程度の成長となった。
図8は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例5では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度200μmol/m2/s(条件1:図8中、○)と1000μmol/m2/s(条件2:図8中、△)の条件下で、FeSO4除去を行ったTAP(Tris Acetate Phosphate)培地で550ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。ここでTAP培地とは、NH4Cl:0.4g、CaCl2・2H2O:0.051g、MgSO4・7H2O:0.1g、K2HPO4:0.119g、KH2PO4:0.063g、Tris base:2.42g、酢酸:1.0ml、Hutner trace elemenとしてNa2−EDTA:5g、ZnSO4・7H2O:2.2g、H3BO3:1.14g、MnCl2・4H2O:0.5g、FeSO4・7H2O:0.5g、CoCl2・6H2O:0.16g、CuSO4・5H2O:0.16g、(NH4)6Mo7O24・4H2O、KOH:1.6g)の組成からなる培地である。また、縦軸の微細藻類の増加量は、微細藻類の細胞数と対応した単位倍地中に存在する微細藻類の重量である。具体的にはクロロフィルの蛍光強度に対する細胞数を顕微鏡下で測定し、さらにその溶液濃度の試料を遠心分離にかけ、菌体の乾燥重量を測定することで、蛍光強度から単位重量を換算することが可能となる。図8より明らかなとおり、強光(1000μmol/m2/s;条件2:図8中、△)で培養したものの方が、培養時間一日を過ぎた頃から指数関数的に増殖が進むことが分かる。一方、弱光(200μmol/m2/s;条件1:図8中、○)で培養したものは、半日弱遅れて強光で培養したものと同程度の成長となった。
<実施例6>
図9は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例6では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/sで、FeSO4除去を行ったTAP培地(条件1:図9中、○)とSG+Ac培地(条件2:図9中、△)の条件下で、550ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。図9より明らかなとおり、TAP培地(条件1:図9中、○)で培養したものの方が、SG+Ac培地(条件2:図9中、△)で培養したものより遥かに成長速度が速いことが分かった。つまりこの培養条件(菌株、光照射強度、導入CO2濃度、培養時間)ではFeSO4除去を行ったTAP培地を用いることが、より高速な培養を行う上での律速条件となることが分かった。ここで、FeSO4除去を行ったTAP培地で培養した微細藻類が産生した水素濃度を測定した。溶存水素濃度は、光ベルコム社の溶存水素濃度計HMD−10を用いた。当然ながら、微細藻類が増殖するにつれて、発生水素量は増加することがわかった。その発生量はピーク時で0.5mg/Lであった。つまり本発明により、従来には無かった高速・高効率な水素の発生が可能となるバイオリアクターを提供できることが証明された。また、再度水素の発生を行うためには培地の入れ替えが必要となることも分かった。そこで、図3に示したような新鮮培地をリザーブしておく容器を別途設けることで、5の藻類サンプリング機構を流用して培地の一部入れ替えを行うことが可能となる。この機構により、微細藻類の培養速度が低下してきた時点をモニタリングすることで、培地の入れ替えプログラムを動作させ、連続的に水素が発生できるようにすることが可能となった。
図9は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例6では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/sで、FeSO4除去を行ったTAP培地(条件1:図9中、○)とSG+Ac培地(条件2:図9中、△)の条件下で、550ppmの二酸化炭素を含む空気を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。図9より明らかなとおり、TAP培地(条件1:図9中、○)で培養したものの方が、SG+Ac培地(条件2:図9中、△)で培養したものより遥かに成長速度が速いことが分かった。つまりこの培養条件(菌株、光照射強度、導入CO2濃度、培養時間)ではFeSO4除去を行ったTAP培地を用いることが、より高速な培養を行う上での律速条件となることが分かった。ここで、FeSO4除去を行ったTAP培地で培養した微細藻類が産生した水素濃度を測定した。溶存水素濃度は、光ベルコム社の溶存水素濃度計HMD−10を用いた。当然ながら、微細藻類が増殖するにつれて、発生水素量は増加することがわかった。その発生量はピーク時で0.5mg/Lであった。つまり本発明により、従来には無かった高速・高効率な水素の発生が可能となるバイオリアクターを提供できることが証明された。また、再度水素の発生を行うためには培地の入れ替えが必要となることも分かった。そこで、図3に示したような新鮮培地をリザーブしておく容器を別途設けることで、5の藻類サンプリング機構を流用して培地の一部入れ替えを行うことが可能となる。この機構により、微細藻類の培養速度が低下してきた時点をモニタリングすることで、培地の入れ替えプログラムを動作させ、連続的に水素が発生できるようにすることが可能となった。
<実施例7>
図10は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例7では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/sで、FeSO4除去を行ったTAP培地の条件下で、50%の二酸化炭素(条件1:図10中、○)と20%二酸化炭素(条件2:図10中、△)を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。図10より明らかなとおり、何れも目立った培養量の増加は確認されなかった。つまり、上述したとおり、二酸化炭素濃度が微細藻類の培養に与える影響は著しく大きいことが分かった。
図10は、野生株のクラミドモナス(NIES−2235株 Chlamydomonas reinhardtii)を強光(波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/s)、二酸化炭素濃度550ppmの条件で1.5日間培養した変異株Aを用いた場合の二酸化炭素濃度障害の結果を示すグラフであり、縦軸は細胞数(cells/mL)、横軸は培養時間(分)を示す。実施例7では、上記変異株Aに対し、光照射条件として、波長660nmのLED、光合成光量子密度1000μmol/m2/sで、FeSO4除去を行ったTAP培地の条件下で、50%の二酸化炭素(条件1:図10中、○)と20%二酸化炭素(条件2:図10中、△)を500mL/分で導入した場合の成長の様子を示す。図10より明らかなとおり、何れも目立った培養量の増加は確認されなかった。つまり、上述したとおり、二酸化炭素濃度が微細藻類の培養に与える影響は著しく大きいことが分かった。
本発明により、従来には無かった高性能の微細藻類の培養方法および培養装置が提供され、より効果的な、微細藻類を用いた水素製造、バイオディーゼル、有用資源、機能性食品等が二酸化炭素の固定化の副生物として得られることとなった。
1,21 微細藻類用の培養装置、2 培養器、3 光源、4 流路、5 二酸化炭素濃度計、6 希釈器、7 制御手段、8 流路、9 流路、10 流量計、11 流量計、12 藻類サンプリング機構、13 藻類濃度計、22 容器。
Claims (10)
- 培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御しながら微細藻類の培養を行う方法。
- 培養器内が最適な二酸化炭素濃度となるように培養器内に導入する二酸化炭素を大気で希釈しながら、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御する、請求項1に記載の培養方法。
- 二酸化炭素濃度をモニタリングし、そのモニタリング結果に応じて培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御する、請求項1または2に記載の培養方法。
- 二酸化炭素濃度および光照射強度をモニタリングすることで、培養器内の微細藻類の成長速度をモニタリングする、請求項1〜3のいずれかに記載の培養方法。
- 微細藻類を培養するための培養器と、培養器内に光を照射するための光源と、培養器内の二酸化炭素濃度を経時的に制御し得る機構とを備える、微細藻類用の培養装置。
- 培養器内に導入する二酸化炭素を大気で希釈し得る機構を備える、請求項5に記載の培養装置。
- 二酸化炭素濃度をモニタリングする手段を備え、二酸化炭素濃度のモニタリング結果に応じて培養器内に導入する二酸化炭素濃度を経時的に制御し得るように構成されている、請求項5または6に記載の培養装置。
- 光源の光照射強度をモニタリングする手段をさらに備え、二酸化炭素濃度および光照射強度のモニタリング結果から培養器内の微細藻類の成長速度をモニタリングし得るように構成されている、請求項5〜7のいずれかに記載の培養装置。
- 培養器内の微細藻類の成長速度のモニタリングに利用するために、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構を備え、
当該機構が、試料を多段式に希釈して、それぞれの蛍光強度を測定するように構成されている、請求項5〜8のいずれかに記載の培養装置。 - 培養器内の微細藻類の成長速度のモニタリングに利用するために、培養器内からサンプリングされた試料中における微細藻類のクロロフィルの蛍光強度を測定する機構を備え、
当該機構が、標準試料でキャリブレーションを行うように構成されている、請求項5〜9のいずれかに記載の培養装置。
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-
2009
- 2009-04-16 JP JP2009099892A patent/JP2010246473A/ja not_active Withdrawn
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