JP2013186932A - 不揮発性半導体記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】データ誤読み出しを抑制しつつ、書き込み時間の短縮化を図る。
【解決手段】制御回路は、第2ページの書き込みにおいて、第1ページの書き込みによって生じる第1の閾値電圧分布の書き込みに用いたベリファイ読出し電圧よりも第1の値だけ大きい電圧を用いて第1の閾値電圧分布の第1読み出しを行う。そして、その第1読み出しによる読み出しデータに従って、第2ページの書き込みにおけるベリファイ読出し動作に用いるベリファイ読出し電圧の値を変化させる。
【選択図】図1

Description

この明細書に記載の実施の形態は、不揮発性半導体記憶装置に関する。
従来から、半導体メモリとして電荷蓄積層に電荷を蓄積するタイプのメモリセルを用いたフラッシュメモリが多く利用されている。これは、不揮発性である他、1ビット当たりのコストが低く、集積度が高いためである。この中でも、NAND型のフラッシュメモリは、複数のメモリセルを選択トランジスタの間に直列に接続することにより、メモリセル間のコンタクトを少なくすることができるため特に集積度を高くすることができる。また、メモリセル1個当たりに2ビット以上のデータを記憶する多値記憶方式の製品も現れてきている。この場合、さらに、大容量化、低コスト化、省スペース化を図ることができる。
NAND型フラッシュメモリのデータ書き込み動作(プログラム動作)においては、目標とする閾値電圧が得られたか否かを確認するためのベリファイ読み出し動作を行う場合がある。ベリファイ読み出し動作の結果、所望の閾値電圧(ベリファイ読出し電圧)に達しないセルの数が所定の数よりも多い場合には、書き込み電圧を上昇させて(ステップアップ動作という)、以後同様の書き込み動作、ベリファイ読み出し動作が所望の閾値電圧が得られるまで繰り返される。
このようなNAND型フラッシュメモリにおいて、書き込み動作及び消去動作が繰り返されると、次第にメモリセルのゲート絶縁膜の劣化が進行し、データ保持特性が低下する場合がある。データ保持特性の低下は、誤読み出しの発生の確率を増加させる原因となる。また、NAND型フラッシュメモリにおいては、書き込み時間の短縮も求められている。
特開2007−70501号公報
本発明は、データ誤読み出しを抑制しつつ、書き込み時間の短縮化を図った不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
以下に説明する実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、複数の不揮発性メモリセルを直列接続してなるメモリストリングとその両端に接続された第1及び第2の選択ゲートトランジスタとを備えたNANDセルユニットの集合により構成されるブロックを複数個配列して構成されるメモリセルアレイを備える。ワード線は、第1の方向に並ぶメモリセルの制御ゲートを共通接続する。ビット線は、NANDセルユニットの第1の端部に接続され、ソース線は、NANDセルユニットの第2の端部に接続される。センスアンプ回路は、ビット線の電位又は電流を検知してメモリセルに保持されるデータを判定する。制御回路は、選択ワード線にプログラム電圧を印加することにより選択ワード線に沿ったメモリセルに対する書き込み動作を実行した後、メモリセルに対するデータ書き込みが完了したか否かを確認するベリファイ読み出し動作を実行する。そして、ベリファイ読み出し動作の結果に従って所定のステップアップ電圧の分だけプログラム電圧を上昇させるステップアップ動作を実行し書き込み動作を再度行う。
制御回路は、第2ページの書き込みにおいて、第1ページの書き込みによって生じる第1の閾値電圧分布の書き込みに用いたベリファイ読出し電圧よりも第1の値だけ大きい電圧を用いて第1の閾値電圧分布の第1読み出しを行い、その第1読み出しによる読み出しデータに従って、第2ページの書き込みにおけるベリファイ読出し動作に用いるベリファイ読出し電圧の値を変化させる。
第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の概略構成を示している。 図1のセンスアンプ回路2の構成例を示す回路図である。 図1のビットスキャン回路4の構成例を示す回路図である。 1メモリセルあたり2ビットのデータを記憶する場合の書き込み動作の手順を示す概念図である。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明するフローチャートである。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明するフローチャートである。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明するフローチャートである。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明するグラフである。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明するフローチャートである。 第2の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 第3の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の書き込み動作を説明する概念図である。 変形例を示す。 変形例を示す。
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態によるNAND型フラッシュメモリ21の概略構成を示している。図1に示すように、このNAND型フラッシュメモリ21は、メモリセルアレイ1と、センスアンプ回路2と、ロウデコーダ3と、ビットスキャン回路4と、入出力バッファ5と、制御回路6と、ROMフューズ7と、電圧発生回路8から構成されている。制御回路6は、メモリセルアレイ1に対する制御部を構成するものである。
メモリセルアレイ1は、NANDセルユニット10がマトリクス配列されて構成されている。一つのNANDセルユニット10は、複数個直列に接続されたメモリセルMC(MC0、MC1、…、MC31)からなるメモリストリングと、その両端に接続される選択ゲートトランジスタS1、S2により構成されている。
1つのメモリセルMCは、例えば、図1に示すように、ウエル101の表面に形成されたドレイン102aとソース102bとの間に形成されたゲート絶縁膜103(トンネル絶縁膜)、ゲート絶縁膜103上に形成された電荷蓄積層としてのフローティングゲート電極104(または、トラップ準位を有する絶縁膜、または、これらを含んだ積層膜)、 及びそのフローティングゲート電極104上に絶縁膜105を介して形成されたコントロールゲート電極106を備えたものとすることができる。コントロールゲートは、ワード線の1つに接続される。選択ゲートトランジスタS1のソースは共通ソース線CELSRCに接続され、選択ゲートトランジスタS2のドレインはビット線BLに接続されている。
NANDセルユニット10内の複数(例えば32個)メモリセルMCの制御ゲートはそれぞれ異なるワード線WL(WL0、WL1、…、WL31)に接続されている。選択ゲートトランジスタS1、S2のゲートはワード線WLと並行する選択ゲート線SG1、SG2にそれぞれ接続されている。1ワード線を共有する複数のメモリセルの集合は、1メモリセルに格納されるビット数に応じて、1ページ又は複数ページを構成する。ワード線WLと選択ゲート線SG1、SG2を共有する複数のNANDセルユニット10の集合は、データ消去の単位となるブロックBLKを構成する。
図1に示すように、メモリセルアレイ1には、ビット線BL方向に複数のブロックBLK(BLK0、BLK1、…、BLKn)が構成される。これらの複数ブロックを含むメモリセルアレイ1は、シリコン基板の一つのセルウェル(CPWELL)内に形成されている。
メモリセルアレイ1のビット線BLには、センスアンプ回路2が接続されている。センスアンプ回路2は、ビット線BLの電位又は電流を検知してメモリセルに保持されるデータを判定する。センスアンプ回路2は、書き込みデータを保持するためのページバッファ、複数のセンスアンプSA、及びカラム選択ゲートを有する。
ロウデコーダ(ワード線ドライバを含む)3は、ワード線WL及び選択ゲート線SG1、SG2を選択して駆動する。
ビットスキャン回路4は、書き込み動作後のベリファイ読み出し動作の結果、センスアンプ回路2のページバッファに保持されている読み出しデータに基づいて、ベリファイパスビット数(書き込み動作が完了した(PASS)、換言すれば所定の閾値電圧分布に達したと判定されるメモリセルの数)をカウントし、そのカウント数が所定数以上になったか否かを判定する。
制御回路6は、このビットスキャン回路4の判定結果に従って、1つのワード線WLに沿ったメモリセルへの書き込みの完了を判定する。1本のワード線WLに沿った全てのメモリセルに書き込みが完了するまで書き込み動作を繰り返す方式を採る代りに、書き込み失敗のメモリセルの数が所定数以下となった場合に、書き込みが完了したものとみなして書き込み動作を終了する方式(擬似パス方式)が採用されてもよい。
また、制御回路6は、ビットスキャン回路4の判定結果に従って、後述するように、ベリファイ読出し電圧の値を変更する。
[センスアンプ回路3の構成]
次に、センスアンプ回路2の構成例について、図2を参照して説明する。図2のセンスアンプ回路2は、一例として、1つのメモリセル当りに2ビットのデータを記憶させる方式(2ビット/セル)を実行するのに適合した構成となっている。図2に示すように、センスアンプ回路2は、センスアンプ2a及びデータレジスタ2bを有している。
データレジスタ2bは、センスアンプ2aにより読み出されたデータについての論理演算を実行する演算回路22及び演算回路22から出力されたデータを一時的に保持する3つのデータラッチDL0、DL1、DLXにより構成される。なお、これらのデータラッチを総称して「データラッチDL」と表現する場合がある。データラッチDL0、DL1はそれぞれスイッチSW0を介してデータレジスタ3b内のローカルバスLBUSに接続されてデータの入出力が実行される。
また、データレジスタ2bには、データレジスタ2bとデータバスBUSとを接続するスイッチSW1、ローカルバスLBUSとデータラッチDLXを接続するスイッチSW2、及びセンスアンプ2aと演算回路22とを接続するスイッチSW3が備えられている。スイッチSW1とスイッチSW2は、一方が閉じているときは他方が開くように相補的に動作が制御される。スイッチSWXは、スイッチSW1又はSW2のいずれかと同時に閉じて、データラッチDLXをローカルバスLBUS又はデータバスBUSのいずれかに接続する。これらのスイッチSWにはトランジスタを用いることができる。
演算回路22は、センスアンプ2aが検出した(読み出した)データとデータラッチDLが保持するデータとの論理演算、及び複数のデータラッチDLが保持するデータの論理演算を行い、その演算結果をデータラッチDLに転送する機能を有する。また、データラッチDLXはスイッチSW2をオフ、スイッチSW1をオンにすることでデータバスBUSを通してデータを外部とやりとりすることができる。
本実施の形態のデータレジスタ2bは、読み出したデータをデータラッチDLXに保持し、スイッチSW2をオフ、スイッチSW1をオンにして、データラッチDLXに保持されたデータを外部に出力することができる。そして、これと同時にセンスアンプ2a及びデータラッチDL0〜DL1を用いて、後述する読み出し動作を実行することができる。
図3は、このビットスキャン回路4の回路構成の一例を示している。
ビットスキャン回路4は、センス電流パス87と、リファレンス定電流パス88と、インバータ90と、出力ノード92とを備えている。1ページ分のセンスアンプ回路2は、ベリファイ読み出し動作の読出し結果であるパス/フェイルデータを保持する。ここでは、ベリファイ読み出し結果が”パス(PASS)”のときに“H”レベルが保持され、”フェイル(FAIL)”のときに“L”レベルが保持されるものとする。
このような構成のビットスキャン回路4は、センス電流パス87を流れる電流Isumと、リファレンス定電流パス88を流れるリファレンス電流Irefとの間の差動電流を、インバータ90の出力ノード92から検出するという動作を行っている。リファレンス定電流パス88内のMOSトランジスタのゲート端子に供給される信号B0、B1は、ベリファイパスビット数と比較すべき基準値に応じて設定される信号である。
図1に戻って説明を続ける。データ入出力バッファ5は、センスアンプ回路2、ビットスキャン回路4と外部入出力端子との間でデータ授受を行う他、コマンドデータやアドレスデータを受け取る。
制御回路6は、外部装置HM(ホストやメモリコントローラ)から書き込みイネーブル信号WEn、読み出しイネーブル信号REn、アドレスラッチイネーブル信号ALE、コマンドラッチイネーブル信号CLE等の外部制御信号を受けて、メモリ動作の全般の制御を行う。
具体的に、制御回路6は、コマンドインタフェースやアドレスラッチ回路、転送回路を含み、供給されたデータが書き込みデータであるかアドレスデータであるかを判定する。この判定結果に応じて、書き込みデータはセンスアンプ回路2に転送され、アドレスデータはロウデコーダ3やセンスアンプ回路2に転送される。また制御回路6は、外部制御信号に基づいて、読み出し、書き込み・消去のシーケンス制御、印加電圧の制御等を行う。電圧発生回路8は、昇圧回路11と、パルス発生回路12とを備えている。
図4は、この実施の形態でのNANDセル型フラッシュメモリにおいて4値データ記憶方式(2ビット/セル)を実行する場合のデータ書き込み方法の一例を示している。4値データは、例えば電圧レベルとして最も低いレベルにある負の閾値電圧分布(消去分布)Eと、これより大なる電圧レベルにある閾値電圧分布A,B,Cにより規定される。
この4値データを書くために、まず選択ブロックの全メモリセルは、データ消去動作が実行されることにより、最も低い負の閾値電圧分布Eに設定される。このデータ消去動作は、メモリセルアレイ1が形成されたウエルに正の消去電圧Veraをウエルドライバ(図示せず)から与え、全部または一部のワード線をVeraよりも低い電圧とし、全部または一部のメモリセルMCの浮游ゲートの電子を放出させることにより行う。
次に、閾値電圧分布Eのセルの一部を中間分布LMまで書き込む下位ページ書き込み(Lower Page Program)を行う。書き込もうとする下位ページデータが”1”の場合には、そのメモリセルは負の閾値電圧分布Eのまま据え置かれる。一方、書き込もうとする下位ページデータが”0”の場合には、そのメモリセルには中間分布LMを与えるための書き込み動作が行われる。その際、ベリファイ読出し電圧を電圧VLMに設定して(電圧VLMを、選択メモリセルMの制御ゲート−ソース間に印加する)、書き込み動作を行う度に中間分布LMへの書き込みの完了を確認するためのベリファイ読み出し動作を行う。
その後、閾値電圧分布EからAへ上昇させるとともに、中間分布LMから閾値電圧分布B又はCへと閾値電圧を上昇させる上位ページ書き込み(Upper Page Program)を行う。書き込む上位ページのデータが”1”の場合には、下位ページのデータにより、上位ページの書き込み後の閾値電圧分布が異なる。下位ページデータが“1”データのメモリセルに対して上位ページデータが“1”データの場合は、閾値電圧分布Eのまま据え置かれる。また、下位ページデータが“1”データのメモリセルに対して上位ページデータが“0”データの場合は、閾値電圧分布Aを与えるための書き込み動作が行われる。一方、下位ページデータが“0”データのメモリセルに対して上位ページデータが“0”データの場合は、閾値電圧分布Bを与えるための書き込み動作が行われる。また、下位ページデータが“0”のメモリセルに対して上位ページデータが“1”データの場合は、閾値電圧分布Cを与えるための書き込み動作が行われる。
この際、ベリファイ読み出し動作は、ベリファイ読出し電圧として電圧VVA、VVB又はVVCを用いて行う。なお、書き込み動作完了後のデータ読み出し動作においては、選択メモリセルMの制御ゲート−ソース間に印加する読み出し電圧を、各閾値電圧分布E〜Cの上限と下限の間の電圧である読み出し電圧VA、VB、VCに設定する一方、非選択メモリセルには、チャネルを導通させるのに十分な高さの読み出しパス電圧Vreadを印加する。読出しパス電圧Vreadは、最も高電圧の閾値電圧分布Cの上限よりも所定のマージンだけ大きい電圧値を有する電圧である。読出しパス電圧Vreadを与えられたメモリセルは、その保持データの如何に拘わらず導通状態に切り替わる。
以上のデータ書き込みは、次のような電圧を各部に与えることにより行われる。書き込み対象の選択メモリセルに接続される選択ワード線には、プログラム電圧Vpgm(例えば18V程度か、それ以上)が与えられる。また、非選択メモリセルに接続される非選択ワード線には書き込みパス電圧Vpass(例えば10V程度)が与えられる。ビット線BLには、書き込みたいデータの種類に応じて、接地電圧Vss(閾値電圧を上昇させるデータ“0”書き込みの場合)または電源電圧Vdd(閾値電圧を上昇させないデータ”1”書き込みの場合)が与えられる。
即ち、データ“0”書き込みの場合、ビット線BLに与えた接地電圧VssがNANDセルユニットのチャネルまで転送され、プログラム電圧VPGMが与えられたときにチャネルから電荷蓄積層に電荷が注入される。一方、“1”書き込み(書き込み禁止)の場合、例えば、NANDセルチャネルは電源電圧Vddまで充電されてフローティングになり、プログラム電圧Vpgmが与えられたときセルチャネルは容量結合によりブーストされて、電荷注入が起こらない。データ書き込みには、図5に示すように、プログラム電圧を書き込みサイクル(書き込み動作とベリファイ読み出し動作)毎に所定のステップアップ電圧ΔVpgmだけ高くするステップアップ書き込み方式を利用する。
下位ページ書き込み(中間分布LMの書き込み)において、その中間分布LMの閾値電圧の下限を所定の電圧(ベリファイ読出し電圧VLM)以上にするため、書き込み状態の確認(ベリファイ読み出し動作)を行う。即ち、選択メモリセルの制御ゲート(選択ワード線)とソースとの間にベリファイ読出し電圧VLMを与えたベリファイ読み出し動作を行う。このベリファイ読出し動作により中間分布LMに入るように閾値電圧を上昇させるべき選択メモリセルが導通すれば書き込み失敗(フェイル)であり、導通しなければ場合書き込み成功(パス)という判定がなされる。その後の書き込み動作においては、書き込み成功したメモリセルのビット線には電源電圧Vddを与えて書き込みを禁止し、書き込み失敗したメモリセルのビット線には接地電圧Vssを与えてデータ“0”書き込みを行う。
同様に、上位ページ書き込み時は、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCによりそれぞれ閾値電圧分布A、B、Cのベリファイ読み出し動作を行うことになる。
ところで、書き込み動作及び消去回数の実行回数が増加すると、メモリセルのゲート絶縁膜が劣化し、これによりメモリセルのデータ保持特性が低下する場合がある。この現象は、メモリセルの微細化の進展により一層深刻になっている。データ保持特性の低下に対応するためには、読出し電圧VA、VB、VCと、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCとの間の差(VVA−VA、VVB−VB、VVC−Vc)を大きく設定することが有効である。しかし、この場合、読出し電圧とベリファイ読出し電圧との差を小さくした場合に比べ、書き込み動作の速度は低下し、NAND型フラッシュメモリのパフォーマンスが低下する。
そこで、本実施の形態では、上位ページ書き込みの際に、下位ページ書き込みにより書き込みされた、中間分布LMの分布幅を判定する。そして、その判定の結果に基づいて、引き続いて行われる上位ページ書き込みにおいて用いられるベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの大きさを変更する制御を行う。具体的には、中間分布LMの分布幅が広いほど、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの大きさを大きくする。中間分布LMの幅の大きさが大きい場合、それはメモリセルのゲート絶縁膜の劣化が進行し、データ保持特性が低下していることを意味している。すなわち、ゲート絶縁膜に欠陥が生じると、それがトラップになることで、FNトンネル電流による電子の注入が生じやすくなり、これによりオーバープログラムの現象が起こる。一方で、ゲート絶縁膜に欠陥が生じると、一旦フローティングゲートにトラップされた電荷がチャネル側に逃げ、これにより閾値電圧が低下する場合もある。すなわち、閾値電圧分布は、その上限側及び下限側の両方において広がり、その分布幅の増加を生じさせる。このため、中間分布LMの分布幅も大きくなる。
そこで、中間分布LMの幅が大きいほど、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの大きさを大きくすることにより、データ保持特性が劣化して閾値電圧が低下したメモリセルにおいて誤読み出しが発生する虞を少なくすることができる。
逆に、中間分布LMの幅が小さい場合には、逆にベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを小さくして、読出し電圧VA,VB、VCとの間の差を小さくし、これにより書き込み速度を向上させることができる。このような制御を行うことにより、データ保持特性の劣化への対応と、書き込み速度の向上との両立を図ることができる。
中間分布LMの分布幅の判定は、例えば図6A及び図6Bに図示するようにして実行される。中間分布LMの下位ページ書き込み動作後、図6Aに示すように、上位ページ書き込みにおいて、始めに、ベリファイ読出し電圧VLMよりも所定電圧(例えば1.5V)大きい読み出し電圧VLMuを用いて読み出し動作を行う。中間分布LMの分布幅が狭ければ、図6Aに示すように、中間分布LMの大半はこの読み出し電圧VLMuよりも低電圧側に分布する。従って、メモリセルの殆どは、この読み出し電圧VLMuによる読み出し動作を行った場合データ”1”を出力し、データ”0”を出力するメモリセルの数は少なくなる。
一方、中間分布LMの分布幅が広い場合には、図6Bに示すように、中間分布LMの一部が、この読み出し電圧VLMuよりも高電圧側に分布する。この状況で読み出し電圧VLMuによる読み出し動作を行った場合、データ”0”を出力するメモリセルの個数は、図6Aに比べ多くなる。すなわち、読み出し電圧VLMuを用いた読み出し動作を行った場合にデータ”0”を出力するメモリセルの個数を比較することにより、中間分布LMの分布幅を判定することができる。なお、データ”0”を出力するメモリセルの個数は、ビットスキャン回路4を用いて計数することができる。なお、読み出し電圧VLMuは固定としても良いし、可変としてもよい。読出し電圧VLMuを可変にすることにより、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを切り替える基準を変更することができる。
次に、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリによる書き込み動作の概略を、図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、書き込み対象のブロックの消去動作を行った後(S1)、下位ページ(LM)書き込みを行う。その結果、データ“0”を書き込むメモリセルの閾値分布が上昇し、中間分布LMが形成される(S2)。その後、上位ページ書き込みを行う(S3)。ここで、書き込み動作の最初に、上述の読み出し電圧VLMuを用いて読み出し動作を行い、閾値電圧分布LMを与えられたメモリセルのうち、データ”0”が読み出されるメモリセルの数を、ビットスキャン回路4にて計数する。この計数結果に従って、例えば、制御回路6が中間分布LMの分布幅を判定する(S3−1)。そして、この判定結果に従い、例えば、制御回路6がベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの大きさを決定する(S3−2)。その後、決定されたベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを用いて、上位ページ書き込みを実行する(S3−3)。
図8は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリによる書き込み動作を実行した場合の作用を説明したものである。例えばメモリ出荷直後で書き込み動作/消去動作の実行回数が少なく、そのため中間分布LMの分布幅が狭い場合には、図8の上部に示すように、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCは小さい値VVA1、VVB1、VVC1に設定される。
一方、書き込み動作/消去動作の実行回数が増加し、メモリセルのゲート絶縁膜の劣化により中間分布LMの分布幅が大きくなると、図8の下部に示すように、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCは前述の値VVA1、VVB1、VVC1よりもそれぞれ調整値dA、dB、dCだけ大きい値VVA2、VVB2、VVC2に設定される。本実施の形態では、読出し電圧VA、VB、VCが書き込み動作/消去動作の実行回数に拘わらず固定とされるものとする。この場合、読出し電圧VA、VB、VCとベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCとの間の差は、メモリセルのゲート絶縁膜が劣化するに従い(中間分布LMが大きくなるに従い)大きく設定される。したがって、データ保持特性の低下に起因する誤読み出しを抑制することができる。ここで、前述の調整値dA、dB、dCは、dC>dB>dAの関係に調整されている。閾値電圧分布Cを有するメモリセルは、閾値電圧が高い分だけ多くの電荷を電荷蓄積膜(フローティングゲート等)に保持しており、その分他の閾値電圧に比べ閾値電圧の変動が生じやすい。このような場合には、dA、dB、dCに関し上記の大小関係が設定されることが好適である。また、ベリファイ読出し電圧の切り替わりの閾値は、1つでもよいし、複数であってもよい。複数の切り替えを行う手法としては、いくつか考えられる。一つの例としては、図6Aおよび図6Bに示すように中間分布LMの分布幅読み出しに用いるVLMuをVLMu1、VLMu2のように複数設けてより正確に中間分布LMの幅を判定する手法である。また、もう一つの例としては、ビットスキャン回路4での計数値の閾値を複数設ける手法が考えられる。閾値が1つの場合には、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの値は、2通りに設定される。
なお、この例では、説明の単純化のため、本実施の形態では、読出し電圧VA、VB、VCが書き込み動作/消去動作の実行回数に拘わらず固定であるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。読出し電圧VA、VB、VCが何らかのファクターに基づいて変動するものも本発明の範囲に含まれ得る。その場合にも、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCが中間分布LMの分布幅が大きくなるほど大きく設定され、その結果、読出し電圧VA、VB、VCとベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCとの間の差が、メモリセルのゲート絶縁膜が劣化するに従い(中間分布LMが大きくなるに従い)大きく設定されればよい。
図9、図10A、及び図10Bを参照して、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリによる書き込み動作のより具体的な手順を説明する。図9は、下位ページ書き込み(図7のステップS2)の具体的手順を示したフローチャートであり、図10Aは、中間分布LMの分布幅の判定及び上位ページ書き込み(図7のステップS3(S3−1〜3−3))の具体的手順を示したフローチャートである。図10Bは、中間分布LMの分布幅の判定及び上位ページ書き込みの際に選択ワード線に印加される電圧を示す。
まず、図9を参照して下位ページ書き込みの具体的手順を説明する。まず、外部装置HM(ホストまたはメモリコントローラ)からコマンド(書き込みコマンド)、アドレス、及び書き込みデータが入出力バッファ5を介してNAND型フラッシュメモリ21に入力される。書き込みデータは、センスアンプ回路2のデータレジスタ2b(データラッチDLX)にセットされる。アドレスは、制御回路6内のアドレスバッファ(図示せず)に保持される。
外部装置HM(ホストまたはメモリコントローラ)から書き込み開始コマンドが入力され、下位ページの書き込みが開始される(Start)。データラッチDLXにセットされた書き込みデータは、データラッチDL1に転送され、このデータラッチDL1の保持データに基づき、対応するビット線BLの電圧設定が行われる(電源電圧Vdd又は接地電圧Vss)(S10)。次に、書き込み動作に必要な電圧の設定が行われる(S11)。また、ロウデコーダ3では、アドレスデータに基づき選択メモリセルにはプログラム電圧Vpgmを与え、非選択メモリセルには書き込みパス電圧Vpassが与えられる(S11)。プログラム電圧Vpgm、書き込みパス電圧Vpassは、電圧発生回路8を動作させることで発生される。なお、プログラム電圧Vpgmは、1回目の書き込み動作では例えば初期値Vpgm0に設定される。後述するベリファイ読出し動作により書き込みが完了しない(失敗)と判定された場合には、ステップアップ動作によりステップアップ値ΔVpgmだけ高い電圧にプログラム電圧が設定される(Vpgm=Vpgm0+ΔVpgm)。同様に、書き込みパス電圧Vpassをステップアップ動作の対象としてもよい。
また、選択ゲート線SG2には電源電圧Vddが与えられ、選択ゲート線SG1には接地電圧Vssが与えられる。ソース線CELSRCには接地電圧Vssが与えられる。ビット線BLには、書き込みたいデータに応じて電源電圧Vdd又は接地電圧Vssが与えられる。閾値を変動させたいメモリセルにおいては、ドレイン側選択トランジスタS2が導通し、これによりメモリセルのチャネルには接地電圧Vssが供給される。一方、閾値電圧の変動を禁止したいメモリセルにおいては、ドレイン側トランジスタS2がカットオフされ、このためメモリセルのチャネルはブースト状態となり、これにより書き込みが禁止される。
このようにして、ワード線WL、ビット線BL、ソース線SL、及び選択ゲート線SG1、SG2に必要な電圧が印加され、書き込み動作が実行される(S12)。
次に、選択ワード線WLに沿った全てのメモリセル(又は所定数以上のメモリセル)において書き込みが完了したか(PASSしたか否か)を検証するベリファイ読出し動作が行われる(S13)。ここでのベリファイ読出し動作では、図4に示すベリファイ読出し電圧VLMを用いて、中間分布LMの下限値がベリファイ読出し電圧VLM以上となったか否かが判定される。判定の結果、書き込みが完了していないと判定される場合には(S14のNo)、ステップS15に移行し、プログラム電圧Vpgmを、ステップアップ値ΔVpgmだけ増加させるステップアップ動作が実行され、再度プログラム動作(S12)に戻る。
一方、上記ベリファイ読出し動作により中間分布LMの下限がベリファイ読出し電圧VLM以上となり、これにより選択ワード線に沿った全てのメモリセル(又は所定数以上のメモリセル)の下位ページデータの書き込みが完了したと判定される場合には(S14のYes)、S16に移行する。S16では、書き込み動作に用いた各電圧を元の値に戻すためのリカバリ動作が実行される。以上により、下位ページ書き込みの動作が終了する。
次に、図10A及び図10Bを参照して上位ページ書き込みの具体的手順を説明する。まず、下位ページ書き込みの場合と同様に、外部装置HM(ホストまたはメモリコントローラ)からコマンド(書き込みコマンド)、アドレス、及び書き込みデータが入出力バッファ5を介してNAND型フラッシュメモリ21に入力される。
外部装置HM(ホストまたはメモリコントローラ)から書き込み開始コマンドが入力され、上位ページの書き込みが開始する(Start)。データラッチDLXにセットされた書き込みデータは、データラッチDL1に転送される(S21)。続いて、図6A及び図6Bに示す読出し電圧VLMuを用いた読出し動作を行って、上述のように中間分布LMの分布幅をビットスキャン回路4の出力に基づいて判定する(S22、図10B参照)。続いて、書き込み済みの下位ページデータの読出し動作が実行される(S23)。具体的には、図10Bに示すように、選択ワード線WLに、閾値電圧分布Eと中間分布LMとの間の読み出し電圧VLが印加され、非選択ワード線WLには読出しパス電圧Vreadが印加されて、読出し動作が実行される。これにより、選択メモリセルに保持された下位ページデータが読み出される。読み出された下位ページデータはデータレジスタ3bのデータラッチDLXに保持される。上位ページデータ書込みにおいては、この読み出された下位ページデータと、書き込もうとする上位ページデータとの組み合わせにより、閾値電圧分布E、A、B、Cのいずれを与えるべきかが判定される。
そして、書き込み動作に必要な電圧が設定され(S24)、書き込み動作が開始される(S25)。すなわち、プログラム電圧Vpgm、書き込みパス電圧Vpassの初期値が設定される。また、ビット線BLには、書き込みデータに応じて電源電圧Vdd又は接地電圧Vssが設定される。また、選択ゲート線SG2には電源電圧Vddが設定され、選択ゲート線SG1には接地電位Vssが設定される。
書き込み動作が終了すると、続いてベリファイ読出し動作に移行する(S26〜S28)。すなわち、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを用いた3つのベリファイ読出し動作が順次実行される。ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCは、ステップS22での読出し動作に基づくビットスキャン回路4の計数結果に従って決定される。
このベリファイ読出し動作により、選択ワード線に接続された全てのメモリセルの書き込み動作が完了(PASS)した場合には(S29のY)、リカバリ動作(S31)を行って上位ページ書き込み動作が終了する。そうでない場合(S29のN)、プログラム電圧Vpgmのステップアップ動作(S30)を行って、再び書き込み動作(S25)が実行される。
なお、この実施の形態において、図11に示すような書き込み手順を採用することも可能である。一般的に、NANDセル型フラッシュメモリでは、1つのNANDセルユニット中において、共通ソース線CELSRCに近い側のメモリセルMC0から順に書き込みを行い、一番遠いメモリセルM31は最後に書き込まれる。
このとき、隣接メモリセルの干渉効果の影響を抑制するため、図11に示すように、1つのメモリセルMCiへの下位ページ書き込みの終了後、続けて同一のメモリセルMCiに対する上位ページ書き込みを実行せず、代わりに隣接するメモリセルMCi+1への下位ページ書き込みを実行することができる。その後、メモリセルMCiに戻って上位ページ書き込みを実行する。このような書き込み手順を実行することにより、閾値電圧分布の変動を最小限に抑えることができる。
具体的な書き込み手順を図11、及び図12のフローチャートを参照しつつ説明する。対象ブロックに対しデータ消去動作行った後(図12のS31)、最も共通ソース線CELSRCに近いワード線WL0に沿った複数のメモリセルMC0に対し下位ページ書き込みを実行する(S32)。続いて、隣接するワード線WL1に沿った複数のメモリセルMC1に下位ページ書き込みを行った後(S33)、ワード線WL0に戻って、上位ページ書き込みを行う。このワード線WL0に、上述の読み出し電圧VLMuを印加した読み出し動作を実行して中間分布LMの分布幅を判定し(S34−1)、この判定結果に従ってベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを決定する(S34−2)。この決定されたベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCに従った上位ページ書き込み動作を、ワード線WL0に沿った複数のメモリセルMC0に書き込みを実行する(S34−3)。
次のステップでは、ワード線WL0からビット線BLの方向に2つ離れたワード線WL2に対し下位ページ書き込みを行う(S35)。
続いて、ワード線WL1に戻って、上位ページ書き込みを行う。このワード線WL1に、読み出し電圧VLMuを印加した読み出し動作を実行して中間分布LMの分布幅を判定し(S36−1)、この判定結果に従ってベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを決定する(S36−2)。この決定されたベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCに従った上位ページ書き込み動作を、ワード線WL1に沿った複数のメモリセルMC1に書き込みを実行する(S36−3)。以下、S35〜S36(S36−1〜S36−3)の手順を、メモリセルMC31の上位ページ書き込みが完了するまで繰り返す。
また、隣接するワード線WL1の下位ページ書き込み(S33)を行った後、上位ページ書き込みを実行する前に、中間分布LMの分布幅をチェック(S34−1)することにより、ワード線WL1の下位ページ書き込みによるシフト量が反映された後の中間分布LMの分布幅をチェックすることが出来る。その結果、閾値電圧分布A、B、Cの分布幅の広がりをさらに抑えることができる。
[効果]
以上説明したように、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置では、中間分布LMの分布幅の判定結果に基づき、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの大きさを変動させることにより、メモリセルのデータ保持特性の劣化に伴う誤読み出しを抑制しつつ、書き込み速度の向上も図ることができる。
また、選択ワード線毎に中間分布LMの分布幅の判定するため、メモリセルのデータ保持特性の劣化を正確に判断することができる。また、下位ページ書き込み後ではなく、上位ページ書き込みのS3の最初に中間分布LMの分布幅を判定することにより、中間分布LMの分布幅を正確に判定することができる。図11を参照して説明すると、例えばワード線WL1の下位ページ書き込み完了直後に中間分布LMの分布幅を判定すると、その後のワード線WL0への上位ページ書き込み、及びワード線WL2への下位ページ書き込みにより、ワード線WL1の中間分布LMの分布幅が変動する虞がある。すなわち、その変動の程度は、ワード線WL0に接続されるメモリセルの上位ページ書き込みのデータ、及びワード線WL2に接続されるメモリセルの下位ページ書き込みのデータによって異なる。その結果、中間分布LMの分布幅に基づく正確且つ適切なベリファイ読出し電圧の制御が困難になる。
一方、本実施の形態では、各ワード線WLへの上位ページ書き込みの最初(図11のS34−1,S36−1)に中間分布LMの分布幅を判定する。これにより、隣接するワード線WLの書き込みによる閾値変動の影響を受けることなく、中間分布LMの分布幅に基づく判定を行うことができる。その結果、中間分布LMの分布幅に基づく正確且つ適切なベリファイ読出し電圧の制御が可能になる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態のNAND型フラッシュメモリを、図13を参照して説明する。NAND型フラッシュメモリ21の概略構造は、第1の実施の形態と略同様であるので、詳細な説明は省略する。動作も略同一であるが、図13に示すように、上昇幅dA、dB、dCがほぼ等しい値に設定されている(dA=dB=dC)。閾値電圧分布A,B,Cの閾値変動に有意な差がない場合には、このような上昇幅の設定が好適である。また、管理するパラメータを減らすことができ、NAND型フラッシュメモリ21の動作を簡略化することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態のNAND型フラッシュメモリを、図14を参照して説明する。NAND型フラッシュメモリ21の概略構造は、第1の実施の形態と略同様であるので、詳細な説明は省略する。ただし、書き込み動作時における動作が第1の実施の形態と異なっている。
図14は、この第3の実施の形態による書き込み動作の手順を示すフローチャートである。第1の実施の形態(図7)との違いは、ステップS4において、中間分布LMの分布幅に基づいてベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCを変動させるだけでなく、ステップアップ動作におけるステップアップ幅ΔVpgmの大きさも変動させる点にある。
中間分布LMの分布幅が大きい場合には、それだけメモリセルのゲート絶縁膜の劣化が進行していることを意味する。この場合に大きなステップアップ幅ΔVpgmを設定することは、閾値電圧分布E,A,B,Cの分布幅の増大を招き、誤読み出しの発生確率を高める結果となる。したがって、中間分布LMの分布幅が大きい場合には、ステップアップ幅ΔVpgmを小さく設定することが好適である。本実施の形態によれば、この実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[その他]
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上記の実施の形態において、ベリファイ読出し電圧VVA、VVB、VVCの変動に合わせて、読出しパス電圧Vreadの電圧値も変更してもよい。
また、上記の実施の形態では、2ビット/セルの記憶方式が採用される場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば3ビット/セル記憶方式が採用される場合にも適用可能である。図15は、この実施の形態でのNANDセル型フラッシュメモリにおいて8値データ記憶方式を実行する場合のデータ書き込み方法の一例を示している。8値データは、例えば電圧レベルとして最も低いレベルにある負の閾値電圧分布(消去分布)eRと、これより大なる電圧レベルにある閾値電圧分布A〜Gにより規定される。
この8値データを書くために、まず選択ブロックの全メモリセルは、最も低い負の閾値電圧分布eRに設定される。次に、ベリファイ読出し電圧VLMを用いて分布幅の広い中間閾値電圧分布LMを得るプログラム動作を行う(LM書き込み(1st Stage Program))。その後、中間閾値電圧分布LMから、ベリファイ読出し電圧VVA’,VVB’,VVC’・・・VVG’を用いて中間閾値電圧分布A’,B’,C’・・・G’を得るプログラム動作(Foggy書き込み(2nd State Program)を実行する。
その後、Foggy書き込みにより得られた閾値電圧分布eR、A’、B’、C’・・・、G’から更に書き込み動作を実行し、最終的な閾値電圧分布eR、A〜Gを得るためのFine書き込み動作(3rd Stage Program)を行う。そして、このFine書き込み動作を行う前に、Foggy書き込み直後の中間閾値電圧分布A’,B’,C’・・・G’のいずれかの分布幅を、前述の実施の形態で中間分布LMの分布幅を判定したのと同様の方法により判定する。その判定結果に基づいて決定されたベリファイ読出し電圧VVA〜VVGを、上位ページデータ書き込みにおいて利用することができる。
また、所謂クイックパスライト方式を用いた書き込み方式を用いる場合にも、本発明を適用することができる。クイックパスライト方式とは、図16に示すように、ベリファイ読出し電圧VAV、VBV、VVCを用いたベリファイ読出し動作(第2のベリファイ読出し動作)及び書き込み動作を実行する前に、これよりも僅かに低いベリファイ読出し電圧VVA’、VVB’、VVC’を用いたベリファイ読み出し動作(第1のベリファイ読出し動作)及び書き込み動作が実行される方式である。この場合、第1のベリファイ読出し動作により得られた閾値電圧分布A’、B’、C’の分布幅を測定し、その測定結果に従い、ベリファイ読出し電圧VAV、VBV、VVCの値を変更することができる。その結果、メモリセルのデータ保持特性の劣化に伴う誤読み出しを抑制しつつ、書き込み速度の向上も図ることができる。なお、しきい値電圧分布の内最も高いしきい値電圧分布Cにおいては、クイックパスライト方式を用いない場合がある。閾値電圧分布幅を狭くする必要性が小さいためである。
1・・・メモリセルアレイ、 2・・・センスアンプ回路、 3・・・ロウデコーダ、 4・・・ビットスキャン回路、 5・・・入出力バッファ、 6・・・制御回路、 7・・・ROMフューズ、 8・・・電圧発生回路8、 11・・・昇圧回路、 12・・・パルス発生回路。

Claims (5)

  1. 第1ページおよび第2ページの書き込みによって多値データを記憶する複数のメモリセルを直列接続してなるメモリストリングを有するメモリセルアレイと、
    第1の方向に並ぶ前記メモリセルの制御ゲートを共通接続するワード線と、
    前記メモリストリングの第1の端部に接続されるビット線と、
    前記メモリストリングの第2の端部に接続されるソース線と、
    前記ビット線の電位又は電流を検知して前記メモリセルに保持されるデータを判定するセンスアンプ回路と、
    選択ワード線にプログラム電圧を印加することにより前記選択ワード線に沿ったメモリセルに対する書き込み動作を実行した後、前記メモリセルに対するデータ書き込みが完了したか否かを確認するベリファイ読み出し動作を実行し、前記ベリファイ読み出し動作の結果に従って所定のステップアップ電圧の分だけ前記プログラム電圧を上昇させるステップアップ動作を実行し前記書き込み動作を再度行う制御回路と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記第2ページの書き込みにおいて、前記第1ページの書き込みによって生じる第1の閾値電圧分布の書き込みに用いたベリファイ読出し電圧よりも第1の値だけ大きい電圧を用いて前記第1の閾値電圧分布の第1読み出しを行い、その第1読み出しによる読み出しデータに従って、前記第2ページの書き込みにおける前記ベリファイ読出し動作に用いるベリファイ読出し電圧の値を変化させることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
  2. 前記制御回路は、前記第1読み出しによる読み出しデータに従って、前記第2ページ書き込みに用いる前記ステップアップ電圧の大きさを変更する
    ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
  3. 前記第1読み出しにより同時に読み出された前記複数のメモリセルのうち第1のデータが読み出された前記メモリセルの数を判定する第1の判定を行うビットスキャン回路を備え、
    前記制御回路は、前記第1の判定の結果に従って前記ベリファイ読出し電圧の大きさを変更する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
  4. 前記第1読み出しにより同時に読み出された前記複数のメモリセルのうち第1のデータが読み出された前記メモリセルの数を判定する第1の判定を行うビットスキャン回路を備え、
    前記制御回路は、前記第1の判定の結果に従って前記ステップアップ電圧の大きさを変更する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
  5. 前記メモリセルは、複数の閾値電圧分布を与えられて複数ビットのデータを保持可能に構成され、
    前記制御回路は、複数のベリファイ読出し電圧を設定するとともに、複数の前記ベリファイ読出し電圧の電圧値が大きいほど、その調整幅が大きい
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置。
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