JP2013185685A - クランクシャフト及びそのフィレットr部二段加工方法 - Google Patents

クランクシャフト及びそのフィレットr部二段加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィレットR部を面粗度の大きい加工面とこれよりも面粗度の小さい加工面とで形成したクランクシャフトにおいて応力の分散を図ってクランクシャフトの製造コスト増大や重量増大などを招くことなく疲労強度を向上することを目的とする。
【解決手段】応力が集中するフィレットR部13,14において面粗度の小さい仕上加工面Gf側の領域を応力集中部位とすることにより、クランクシャフトの疲労強度を向上できる。しかも仕上加工面Gfの形状によって応力集中を実現していることからクランクシャフトの製造コスト増大や重量増大などを招くことはない。クランクシャフトの疲労強度を向上できる仕上加工面Gfの形状は簡易な計算式:−K1・R+K2・W+Dを用いて容易に決定できるので、面粗度の小さい研削面形状を効率的に形成することができ、疲労強度を高くできるクランクシャフトの生産性が向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は、フィレットR部を面粗度の大きい加工面とこれよりも面粗度の小さい加工面とで形成したクランクシャフト及びそのフィレットR部二段加工方法に関する。
内燃機関の高トルク化、高出力化に伴い、クランクシャフトのフィレットR部について、その疲労強度を向上できる構成や、生産性向上や軽量化しても疲労強度を低下させないようにできる構成が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
特許文献1では、クランクアームの表部に突出部を形成してフィレットR部を連続する2個の曲線部R1,R2としている。このことで円柱部のみ研削することが可能となり、疲労強度などの従来品質は維持しながらピン部形成時の生産性を向上させることができるとするものである。
特許文献2では、クランクウェブの幅とクランクピンの径とクランクジャーナルの径との関係を特定の関係に設定することにより、フィレットR部の応力低減効果を適切に維持するものである。
特許文献3では、フィレットR部の位置を基準としてクランクシャフトの形状を調整することによって、ピン及びジャーナルに隣接して形成された肩部を削っても、焼入れの際に肩部が溶融することなくマルテンサイト層の深さが均一化できるようにしている。このことによりクランクシャフトの軽量化が達成できるとするものである。
特許文献4では、クランクピン部およびジャーナル部のフィレットR部の曲げ疲労限強度を800MPa以上とするなどの設定により、曲げ疲労強度を改善したとするものである。
特開2006−207739号公報(第3〜5頁、図1) 特開平11−153125号公報(第2−4頁、図1) 特開2010−144804号公報(第5頁、図2) 特開2005−325443号公報(第10−11頁、図1)
特許文献1のごとくフィレットR部を二段とし、このことで仕上加工である研削領域を小さくすることで生産性を上げようとする場合、通常、フィレットR部に存在する最弱部位は自ずと領域の大きい切削加工領域になる可能性が高い。
実際に特許文献1では「フィレットR部を連続する2個の曲線部R1,R2とすることで、クランクシャフトの疲労強度の最弱部位を従来技術と同様にフィレットR部とすることができる。」との記載があるごとく、フィレットR部内での最弱部位の位置調節はなされておらず、表面積が大きい突出部の表面側に最弱部位が存在する可能性が高い。
このように面粗度の大きい切削加工領域が最弱部位となることで、切削加工領域に応力集中が生じることになる。切削加工領域では面粗度が大きいために、応力は特に小さい領域に集中しやすく、このことによりクランクシャフトの疲労強度が低下するおそれが生じる。
このような疲労強度低下を防止するためには、材質的に高強度のものを採用したり、全体に大径化したりする必要性が生じることから、製造コスト、内燃機関の燃費の問題などの種々の不利益を生じるおそれがある。
特許文献2〜4では、このような二段の加工については何ら言及されていないので、二段加工には対応することはできない。
本発明は、フィレットR部を面粗度の大きい加工面とこれよりも面粗度の小さい加工面とで形成したクランクシャフトにおいて応力の分散を図って、クランクシャフトの製造コスト増大や重量増大などを招くことなく、疲労強度を向上することを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載のクランクシャフトでは、アーム部とジャーナル部又はピン部との間のフィレット部に形成したフィレットR部を、面粗度の大きい加工面とこれよりも面粗度の小さい加工面とで形成したクランクシャフトであって、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方に応力が集中する加工面形状としたことを特徴とする。
このように本発明ではフィレットR部における面粗度の違いを考慮し、面粗度の小さい加工面に応力が集中するように、加工面形状を設定している。
面粗度の小さい加工面に応力が集中しても、面粗度が大きい加工面に比較して応力の集中の程度は低くなり分散される。このため面粗度の大きい加工面に応力を集中するよりも、面粗度の小さい加工面に応力を集中した方が応力が分散されてフィレットR部全体においてその疲労強度が向上する。このことでクランクシャフトの疲労強度が向上する。
このように面粗度の異なる加工面で形成したクランクシャフトのフィレットR部において面粗度の小さい加工面の方に応力を集中する構成とすることでクランクシャフトの疲労強度を向上できることから、クランクシャフトの製造コスト増大や重量増大などを招くことなく、疲労強度を向上することができる。
請求項2に記載のクランクシャフトでは、請求項1に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方が最弱部位となる加工面形状とすることで、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方に応力が集中するようにしたことを特徴とする。
このように面粗度の大きい加工面よりも面粗度の小さい加工面の方を最弱部位とする形状に面加工することにより、応力集中部位を面粗度の小さい加工面側に設定することができる。
請求項3に記載のクランクシャフトでは、請求項2に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方の疲労強度余裕率を小さくする加工面形状とすることにより、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方を最弱部位にしたことを特徴とする。
加工面に実際に生じる応力振幅と加工面の疲労強度との比である疲労強度余裕率について、その値が低い加工面側に応力が集中する。このことから、面粗度の小さい加工面の方の疲労強度余裕率を、面粗度の大きい加工面よりも小さくする加工面形状とすることにより、面粗度の大きい加工面よりも面粗度の小さい加工面の方を最弱部位にすることができる。
請求項4に記載のクランクシャフトでは、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の大きい加工面は切削加工により形成されたものであり、前記面粗度の小さい加工面は研削加工又は研磨加工により形成されたものであることを特徴とする。
このように切削加工と研削加工又は研磨加工とにより面粗度を区別した加工面が形成でき、研削加工又は研磨加工による加工面の形状のみで面粗度の小さい加工面側を応力集中側としている。このことによりクランクシャフトの製造コスト増大や重量増大などを招くことなく、クランクシャフトの疲労強度を容易に向上することができる。
請求項5に記載のクランクシャフトでは、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクランクシャフトにおいて、面粗度の大きい加工面をアーム部側に、面粗度の小さい加工面をジャーナル部側又はピン部側にして、前記フィレットR部を二段で形成したことを特徴とする。
このことによりジャーナル部又はピン部の円筒面の仕上加工の一部として、面粗度の小さい加工面をジャーナル部側又はピン部側に形成することが可能であり、製造効率が向上する。
請求項6に記載のクランクシャフトでは、請求項5に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の小さい加工面形状は、加工面の曲率半径R及びそのクランクシャフト軸方向の幅Wの設定により決定されたものであることを特徴とする。
このように曲率半径Rと幅Wとにより、応力集中部位を面粗度の小さい加工面側に設定することができる加工面形状を容易に実現することができる。
請求項7に記載のクランクシャフトでは、請求項6に記載のクランクシャフトにおいて、係数K1,K2、補正量D、加工面の曲率半径R及びそのクランクシャフト軸方向の幅Wに基づく式:−K1・R+K2・W+Dの値が正となる形状に前記面粗度の小さい加工面の曲率半径R及びその幅Wが形成されたことにより、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方に応力が集中する加工面形状としたことを特徴とする。
このような簡易な計算式を用いることにより、面粗度の小さい加工面形状を応力集中部位にできる形状を容易に決定できる。
請求項8に記載のクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法では、アーム部とジャーナル部又はピン部との間のフィレット部に形成するフィレットR部を、加工面の面粗度が大きい粗加工とこれよりも加工面の面粗度が小さい仕上加工との二段加工するクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法であって、前記粗加工により面粗度が大きい加工面を形成した後に、この加工面のジャーナル部側又はピン部側の部分に対して、前記仕上加工により最弱部位となる形状に加工面を形成することを特徴とする。
このようにクランクシャフトのフィレットR部を、面粗度の異なる加工面により二段で形成する際に、粗加工の後に行われる仕上加工による加工面形状を最弱部位となる形状に形成する。このことにより、クランクシャフトの製造工程において、特にジャーナル表面やピン表面の仕上加工に付随した処理にて応力を分散する加工を実行できる。このため製造コスト増大や重量増大などを招くことなく疲労強度が向上したクランクシャフトを容易に製造することができる。
請求項9に記載のクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法では、請求項8に記載のクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法において、前記仕上加工は、係数K1,K2、補正量D、仕上加工による加工面の曲率半径R及びそのクランクシャフト軸方向の幅Wに基づく式:−K1・R+K2・W+Dの値が正となる形状に、加工面の曲率半径R及びその幅Wを形成するものであることを特徴とする。
このような簡易な計算式を用いることにより、仕上加工の加工面形状を容易に決定でき、最弱部位となる形状を効率的に形成することができる。
実施の形態1のクランクシャフトの正面図。 (A),(B)実施の形態1のクランクシャフトのフィレットR部の形成説明図。 面粗度Raと疲労強度σwとの関係を示すグラフ。 (A),(B)実施の形態2のクランクシャフトのフィレットR部の形成説明図。
[実施の形態1]
〈実施の形態1の構成〉図1は上述した発明が適用された内燃機関のクランクシャフト2を表している。内燃機関は4気筒のガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジンである。クランクシャフト2は、鍛造などによる一体成形品であって、クランクシャフト2の中心軸方向に配列されたジャーナル部4、これらのジャーナル部4に接続されたアーム部6とカウンターウエイト部7、及びアーム部6間に配置されたピン部8を備えている。
ジャーナル部4とアーム部6との間にはフィレット部10が設けられ、ピン部8とアーム部6との間にもフィレット部12が設けられている。
ジャーナル部4側のフィレット部10には、ジャーナル部4との間に断面円弧状隅部としてのフィレットR部13が形成され、ピン部8側のフィレット部12には、ピン部8との間に断面円弧状隅部としてのフィレットR部14が形成されている。このことによりジャーナル部4とフィレット部10との間、及びピン部8とフィレット部12との間は滑らかに接続されている。
フィレットR部13.14の構成を、図2の(B)に示す。フィレットR部13,14は、それぞれ2種類の面加工により二段に形成されている。すなわちフィレット部10,12側(アーム部6側)には切削加工による粗加工面Cf1が形成され、ジャーナル部4又はピン部8側には研削加工による仕上加工面Gfが形成されている。この仕上加工面Gfは粗加工面Cf1よりも面粗度が小さい。
ここで各フィレットR部13,14において、粗加工面Cf1と仕上加工面Gfとは、粗加工面Cf1の疲労強度余裕率Crと仕上加工面Gfの疲労強度余裕率Grとが、式1の関係を満足するように、加工面形状が設定されている。
[式1] Cr−Gr>0
すなわち面粗度の大きい加工面(粗加工面Cf1)の領域よりも面粗度の小さい加工面(仕上加工面Gf)の領域の方を、疲労強度余裕率が小さい部位となるように加工面形状を設定している。このように粗加工面Cf1よりも仕上加工面Gfの方に最弱部位を設定することで、フィレットR部13,14において仕上加工面Gf側を応力集中部位に設定している。
このような疲労強度余裕率関係は、図2の(A)に示すごとく仕上加工面Gfを形成する前の一定形状の粗加工面Cfに対して、次の式2にて表される値Eが正(E>0)となるように仕上加工面Gfの曲率半径R(mm)とそのクランクシャフト軸方向での幅W(mm)とを設定することにより実現できることを見いだした。K1,K2は係数、Dは補正量である。
[式2] E=−K1・R+K2・W+D
尚、係数K1,K2、及び補正量Dは、ジャーナル部4側のフィレット部10におけるフィレットR部13と、ピン部8側のフィレット部12におけるフィレットR部14とでは異なる。したがってジャーナル部4側のフィレットR部13では式3のごとく表し、ピン部8側のフィレットR部14では式4のごとく表すことができる。
[式3] Ej=−Kj1・Rj+Kj2・Wj+Dj
[式4] Ep=−Kp1・Rp+Kp2・Wp+Dp
すなわち、ジャーナル部4側のフィレットR部13では、前記式3にて表される値Ejが正(Ej>0)となるように前記式3に用いられる仕上加工面Gfの曲率半径Rj(mm)とそのクランクシャフト軸方向での幅Wj(mm)とを設定する。このことによりジャーナル部4側のフィレットR部13では、粗加工面Cf1よりも仕上加工面Gfの方が最弱部位側となり、このことにより仕上加工面Gfを応力集中部位として設定できる。
同様に、ピン部8側のフィレットR部14では、前記式4にて表される値Epが正(Ep>0)となるように前記式4に用いられる仕上加工面Gfの曲率半径Rp(mm)とクランクシャフト軸方向での幅Wp(mm)とを設定する。このことによりピン部8側のフィレットR部14では、粗加工面Cf1よりも仕上加工面Gfの方が最弱部位側となり、このことにより仕上加工面Gfを応力集中部位として設定できる。
これらの式3及び式4の右辺における係数Kj1,Kj2,Kp1,Kp2及び補正量Dj,Dpは、クランクシャフト2の設計上の要素により値が決定される。これらの係数Kj1,Kj2,Kp1,Kp2及び補正量Dj,Dpは、クランクシャフト2に対する疲労強度実験やシミュレーション計算などにより、各フィレットR部13,14における仕上加工面Gfの領域が最弱部位となる形状を求め、この形状に基づいて決定されている。
尚、本実施の形態では最弱部位を表す物理量として疲労強度余裕率を用いており、前記式2〜4は最弱部位を判定するために、粗加工面Cf1と仕上加工面Gfとの疲労強度余裕率の大小関係を表すものである。このため仕上加工面Gfが最弱部位であれば、粗加工面Cf1の疲労強度余裕率が仕上加工面Gfの疲労強度余裕率よりも大きくなり、E(Ej,Ep)>0となる。粗加工面Cf1が最弱部位であれば、粗加工面Cf1の疲労強度余裕率が仕上加工面Gfの疲労強度余裕率よりも小さくなり、E(Ej,Ep)<0となる。
応力集中部位は、最弱部位、すなわち疲労強度余裕率が小さい側に生じるので、E(Ej,Ep)>0となる仕上加工面Gfの曲率半径Rj,Rp及びその幅Wj.Wpを形成しておくことにより、仕上加工面Gf側に応力集中部位を設定できる。
〈フィレットR部二段加工方法〉フィレットR部13,14に対する二段加工方法は、鍛造などにより製造されたクランクシャフト2に対して、ジャーナル部4とアーム部6との間のフィレット部10、及びピン部8とアーム部6との間のフィレット部12の各表面に対して粗加工として切削加工を実行する。このことよりフィレットR部13,14の全体に図2の(A)に示すごとく粗加工面Cfを形成する。
次にこの粗加工面Cfに対して、そのジャーナル部4側あるいはピン部8側に、砥石を用いた研削加工を実行することにより、図2の(B)に示したごとく仕上加工面Gfを一段加える形で形成する仕上加工を実行する。
ジャーナル部4側では前記式3の値EjがEj>0となるように、曲率半径Rjとそのクランクシャフト軸方向での幅Wjとを設定して仕上加工を実行し、仕上加工面Gfを形成する。このことでジャーナル部4側でのフィレットR部13に対する二段加工が完了し、粗加工面Cf1と仕上加工面Gfとが形成される。
ピン部8側では前記式4の値EpがEp>0となるように、曲率半径Rpとそのクランクシャフト軸方向での幅Wpとを設定して仕上加工を実行し、仕上加工面Gfを形成する。このことでピン部8側でのフィレットR部14に対する二段加工が完了し、粗加工面Cf1と仕上加工面Gfとが形成される。
尚、いずれのフィレットR部13,14の仕上加工面Gfにおいても、曲率半径Rj,Rpと幅Wj,Wpとはいずれか一方のみ調節してEj,Ep>0となるようにしても良いし、両方を調節してEj,Ep>0となるようにしても良い。
このことによりフィレットR部13,14を、面粗度の大きい加工面である粗加工面Cf1とこれよりも面粗度の小さい加工面である仕上加工面Gfとの二段で形成でき、しかも応力集中部位が仕上加工面Gf側に存在するクランクシャフト2が製造できる。
〈実施の形態1の作用〉ここで表面硬度を一定としてフィレットR部13,14の応力集中部位での面粗度と疲労強度との関係は図3に示すごとくの関係にある。すなわち面粗度Ra(μm)が小さいほど、疲労強度σw(MPa)が大きくなることを示している。これは面粗度Raが小さくなると、大きい場合よりも、応力集中部位での応力集中程度が緩和されて応力が分散されるためである。
したがって面粗度Raの大きい値Lである粗加工面Cfを研削して、面粗度Raの小さい値Hの仕上加工面Gfを形成し、しかもその仕上加工面Gfの領域に応力集中部位を設定すると、その応力が仕上加工面Gfで分散されてフィレットR部13,14の疲労強度は高くなり、クランクシャフト2全体の疲労強度の向上につながる。
もし前記式3,4の値Ej,EpがEj,Ep>0となるような形状を採用せずに、仕上加工面Gfを形成した後も粗加工面Cf1側の領域が応力集中部位となっている場合には、フィレットR部13,14は疲労強度は低いままであり、クランクシャフト2全体の疲労強度の向上にはつながらない。
しかし、本実施の形態では、Ej,Ep>0となる仕上加工面Gfを形成することにより、仕上加工面Gfの領域に応力集中部位を設定することで、仕上加工面Gfで応力が分散され、その結果、フィレットR部13,14の疲労強度は高くなって、クランクシャフト2の疲労強度が向上する。
〈実施の形態1の効果〉
(1)上述したごとくクランクシャフト2にて応力が集中するフィレットR部13,14において、仕上加工面Gf側の領域を応力集中部位とすることにより、クランクシャフト2の疲労強度を向上できる。しかも仕上加工面Gfの形状によって実現していることから、クランクシャフト2の製造コスト増大や重量増大などを招くことはない。
(2)クランクシャフト2の疲労強度を向上できる仕上加工面Gfの形状を、前記式2〜4のような簡易な計算式を用いて容易に決定できることを見いだしたことにより、研削面形状を効率的に形成することができ、疲労強度を高くできるクランクシャフト2の生産性が向上する。
[実施の形態2]
〈実施の形態2の構成〉前記実施の形態1では図2に示したごとくフィレットR部13,14は、フィレット部10,12側の表面及びジャーナル部4又はピン部8側の表面よりも窪んだ湾曲形状に形成されていた。これとは異なり、本実施の形態では図4に示すごとく、フィレットR部113,114は、フィレット部110,112側の表面とジャーナル部104又はピン部108側の表面とは接線状に接続している。
この場合、フィレットR部113,114における仕上加工面Gfの幅Wj,Wpは図示するごとくであり、この幅Wj,Wpと曲率半径Rj,Rpとの一方又は両方を調節して、前記式3,4から求められる値Ej,EpがEj>0,Ep>0となるように仕上加工面Gfを形成する。
ただしフィレットR部113,114が窪んでいないことに適合させた疲労強度実験やシミュレーション計算などにより、前記式3,4における係数Kj1,Kj2,Kp1,Kp2及び補正量Dj,Dpの値が設定されている。
〈実施の形態2の作用〉このことにより前記実施の形態1にて述べたごとく、仕上加工面Gfの領域に応力集中部位を設定でき、このことにより応力が仕上加工面Gfにて分散される。
〈実施の形態2の効果〉(1)図4に示す形状のフィレットR部113,114であっても、前記実施の形態1と同様な効果を生じる。
[その他の実施の形態]
・前記各実施の形態において、仕上加工面Gfは研削加工により形成されていたが、研磨加工により形成しても良い。
2…クランクシャフト、4…ジャーナル部、6…アーム部、7…カウンターウエイト部、8…ピン部、10,12…フィレット部、13,14…フィレットR部、104…ジャーナル部、108…ピン部、110,112…フィレット部、113,114…フィレットR部、Cf,Cf1…粗加工面、Gf…仕上加工面、R,Rj,Rp…曲率半径、W,Wj,Wp…幅。

Claims (9)

  1. アーム部とジャーナル部又はピン部との間のフィレット部に形成したフィレットR部を、面粗度の大きい加工面とこれよりも面粗度の小さい加工面とで形成したクランクシャフトであって、
    前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方に応力が集中する加工面形状としたことを特徴とするクランクシャフト。
  2. 請求項1に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方が最弱部位となる加工面形状とすることで、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方に応力が集中するようにしたことを特徴とするクランクシャフト。
  3. 請求項2に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方の疲労強度余裕率を小さくする加工面形状とすることにより、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方を最弱部位にしたことを特徴とするクランクシャフト。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の大きい加工面は切削加工により形成されたものであり、前記面粗度の小さい加工面は研削加工又は研磨加工により形成されたものであることを特徴とするクランクシャフト。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のクランクシャフトにおいて、面粗度の大きい加工面をアーム部側に、面粗度の小さい加工面をジャーナル部側又はピン部側にして、前記フィレットR部を二段で形成したことを特徴とするクランクシャフト。
  6. 請求項5に記載のクランクシャフトにおいて、前記面粗度の小さい加工面形状は、加工面の曲率半径R及びそのクランクシャフト軸方向の幅Wの設定により決定されたものであることを特徴とするクランクシャフト。
  7. 請求項6に記載のクランクシャフトにおいて、係数K1,K2、補正量D、加工面の曲率半径R及びそのクランクシャフト軸方向の幅Wに基づく式:−K1・R+K2・W+Dの値が正となる形状に前記面粗度の小さい加工面の曲率半径R及びその幅Wが形成されたことにより、前記面粗度の大きい加工面よりも前記面粗度の小さい加工面の方に応力が集中する加工面形状としたことを特徴とするクランクシャフト。
  8. アーム部とジャーナル部又はピン部との間のフィレット部に形成するフィレットR部を、加工面の面粗度が大きい粗加工とこれよりも加工面の面粗度が小さい仕上加工との二段加工するクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法であって、
    前記粗加工により面粗度が大きい加工面を形成した後に、この加工面のジャーナル部側又はピン部側の部分に対して、前記仕上加工により最弱部位となる形状に加工面を形成することを特徴とするクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法。
  9. 請求項8に記載のクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法において、前記仕上加工は、係数K1,K2、補正量D、仕上加工による加工面の曲率半径R及びそのクランクシャフト軸方向の幅Wに基づく式:−K1・R+K2・W+Dの値が正となる形状に、加工面の曲率半径R及びその幅Wを形成するものであることを特徴とするクランクシャフトのフィレットR部二段加工方法。
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