JP2013185219A - 転動装置 - Google Patents

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武信 稲葉
Takeshi Saito
剛 齋藤
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Abstract

【課題】防錆性能をより長期にわたり維持できる転動装置を提供する。
【解決手段】転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、鉄より卑な金属からなる被膜がショットピーニングにより形成されているとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
【選択図】図1

Description

本発明は転動装置に関し、特に、食品製造機械、製紙機械、洗浄設備等に使用される転がり軸受のように、水や水蒸気に曝される転動装置に適用して好適なものである。
水や水蒸気に曝される環境下で使用される軸受では、耐食性付与のため、SUS440Cで代表されるマルテンサイト系ステンレス鋼やES1にて内外輪及び転動体を形成するとともに、軌道面への水や蒸気等の侵入を防ぐために、軸受内部にグリースを封入後、完全密封型の軸受シールを装着する場合が多い。また、耐食性付与のため、内外輪及び転動体の表面に無電解ニッケルメッキを施したり、亜鉛メッキ、亜鉛−鉄、亜鉛−錫合金メッキを施したり、さらに、これらのコーティング膜の耐食性向上のため、後処理として、クロム酸浸漬処理(クロメート処理)を施した事例やNi−Wメッキ被膜による高耐食化も施されている。
しかしながら、これらの耐食性付与のための手段には以下に示すような問題点があった。
(1)軸受シールを装着した場合でも、水分等の侵入を完全に防止することは不可能であり、軸受内に侵入した水分等によって軌道面等に腐食が生じる場合がある。また、軸受内部からのグリースの流出によって、潤滑機能に低下をきたす場合がある。
(2)SUS440C、SUS630等のマルテンサイト系ステンレス鋼は、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼に比べて耐食性がやや劣り、上述した環境下では、発錆による耐久性低下が見られる場合がある。また、マルテンサイト系ステンレス鋼材は、軸受鋼SUJ2材に比べて高価である。
(3)無電解ニッケルメッキで充分な耐食性を得ようとすると、厚さ20μm以上のメッキ膜が必要であり、その場合、軸受の寸法精度を確保するために、メッキ処理後に後加工を行う必要がある。逆に、寸法精度確保のために、メッキ膜の厚さを2〜3μm程度に抑えると、メッキ膜のピンホール等、母材表面を完全に被覆しない部分が生じる。この場合、軸受内に水分等が侵入すると、母材金属(鉄系)と被覆金属(ニッケル)との間にガルバニック腐食(水分の付着により局部電池が形成され、電流が流れて腐食が起こる現象)が発生し、母材の腐食を却って促進させる結果となる。また、Ni−Wメッキ被膜は高耐食性を有するが、処理コストが高くなる。一般に、メッキによる耐食性付与は従来から多用されているが、メッキ膜の密着性を確保するためにアルカリや酸による洗浄が不可欠であり、廃液処理等の問題がある。
(4)クロム酸処理を施すことによって亜鉛系メッキ膜の耐食性をかなり向上させることができるが、クロム酸処理膜(クロメート被膜)は六価クロム等の環境問題を引き起こし、世の中の風潮として敬遠される傾向にある。
このような背景から、本出願人は先に、特許文献1において、転動体表面や軌道面に、鉄よりも卑な金属からなる被膜や、鉄よりも卑な金属と鉄よりも貴な金属との合金からなる被膜、あるいは鉄よりも卑な金属からなる第一層目被膜の上に、鉄よりも貴な金属からなる第二層目被膜を、それぞれショットピーニングより形成して防錆性能を向上させた転がり軸受を提案している。転動体表面や軌道面には微細な凹凸が存在しており、ショットピーニングにより凹部を埋めるように被膜が形成されるため、密着性の高い被膜となる。
特開2009−192070号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている被膜も、摺動するのにしたがって、徐々に摩耗して転動体表面や軌道面が露出し、錆易くなるのは避けられない。そこで本発明は、防錆性能をより長期にわたり維持できる転動装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は下記の転動装置を提供する。
(1)転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、鉄より卑な金属からなる被膜がショットピーニングにより形成されているとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
(2)転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、鉄より卑な金属と鉄より貴な金属との合金または混合粉末からなる被膜がショットピーニングにより形成されているとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
(3)転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、ショットピーニングにより形成された鉄より卑な金属からなる第一層目被膜と、前記第一層目被膜上にショットピーニングにより形成された鉄より貴な金属からなる第二層目被膜とを備えるとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
(4)転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、ショットピーニングにより形成された鉄より卑な金属からなる第一層目被膜と、前記第一層目被膜上にショットピーニングにより形成された鉄より貴な金属との合金または混合粉末からなる第二層目被膜とを備えるとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
(5)カルボン酸塩系防錆剤がナフテン酸亜鉛であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の転動装置。
(6)鉄より卑な金属がAl、Zn、Bi、Mnの少なくとも1つであることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか1項に記載の転動装置。
(7)鉄より貴な金属がNi、Cr、Cu、Ti、Snの少なくとも1つであることを特徴とする上記(2)、(4)、(5)または(6)記載の転動装置。
(8)被膜全体の厚さが0.1〜8μmであることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れか1項に記載の転動装置。
(9)被膜の最表面の粗さが0.01〜0.5μmRaであることを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか1項に記載の転動装置。
上記のように、鉄より卑な金属からなる被膜は、犠牲的に腐食して防錆性を付与する。また、鉄より卑な金属と鉄より貴な金属との合金または混合粉末からなる被膜は、鉄より貴な金属が錆難い性質を持つため、防錆性能がより高まる。更には、鉄より卑な金属からなる第一層目被膜と、鉄より貴な金属からなる第二層目被膜との2層構造の被膜は、錆び難い第二層目被膜で保護されており、第二層目被膜が損傷した場合でも第一層目被膜が犠牲的に腐食して母材に錆が発生するのを防止することが可能になる。しかも、第一層目被膜が機能するのは第二層目被膜の損傷部分に限定されるため、第一層目被膜が消失するのを遅らせることができる。第二層目被膜が鉄より卑な金属と鉄より貴な金属との合金または混合粉末からなる被膜の場合も、同様の作用が得られる。そして、カルボン酸塩系防錆剤の作用により、これらの被膜の摩耗が抑制され、被膜との相乗効果により、転動装置の耐久性を大きく向上させる。
しかも、被膜はショットピーニングにより、転動体表面や軌道面の微細な凹凸を埋めるように形成されているため、被膜の密着性が高まる。また、ショットピーニング法は、メッキ法に比べて簡易であるという利点もある。
本発明の転動装置は、耐食性被膜による防錆作用と、潤滑剤に含まれるカルボン酸塩系防錆剤との相乗効果により、耐久性により優れたものとなる。
本発明の転動装置の一例を示す断面図(a)、被膜の拡大図(b)である。 試験2の結果を示すグラフである。 試験3において外輪軌道面をSEM観察して得た凹凸像及び組成像である。 外輪軌道面の白色部分(凹部)及び灰色部分(凸部)について元素分析した結果を示す図である。
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の転動装置の一例である深溝玉軸受を示す断面図である。図示される深溝玉軸受では、内輪1と外輪2とが対向して設けられ、内輪1と外輪2との間には、複数の転動体(ボール)3が転動自在に配置されるとともに、転動体3を保持する保持器4が設置されている。また、外輪2の両端部には、ゴムシール等のシール材5が装着されるとともに、軸受内部には潤滑グリース6が封入されている。なお、内輪1、外輪2及び転動体3の母材の材質としてはSUJ2材等が、保持器4の母材の材質としては冷間圧延鋼板等をそれぞれ用いることができる。
また、内輪1、外輪2、転動体3及び保持器4の母材の表面には、鉄より卑な金属からなる第一層目被膜1a〜4aがショットピーニングにてそれぞれ形成されるとともに、第一層目被膜1a〜4a上には、鉄より貴な金属からなる第二層目被膜1b〜4bがショットピーニングにてそれぞれ形成されている。これにより、ショットピーニングという簡易な方法を用いることで、鉄よりも錆びにくい第二層目被膜1b〜4bで母材を保護することが可能となり、母材に錆が発生するのを防止することが可能となるとともに、第二層目被膜1b〜4bが損傷した場合においても、第一層目被膜1a〜4aを母材よりも優先的に酸化させて、母材に錆が発生するのを防止することが可能となり、錆から母材を有効に保護することが可能となる。このため、高価なステンレス鋼を母材として使用したり、無電解ニッケルメッキを軸受鋼の表面に施したりする必要がなくなり、コストアップを抑制しつつ、防錆性及び耐食性を転がり軸受に持たせることが可能となるとともに、アルカリや酸の廃液処理等が不要となることから、環境汚染を低減することができる。
また、第一層目被膜1a〜4a上に第二層目被膜1b〜4bを形成することにより、第一層目被膜1a〜4aが腐食性環境下に曝される部分を第二層目被膜1b〜4bの損傷部分に限定することができ、第二層目被膜1b〜4bが損傷した場合においても、犠牲防食による第一層目被膜1a〜4aの酸化の進行を遅らせることが可能となることから、第一層目被膜1a〜4aが消失するのを遅らせることができ、転がり軸受の耐久性を向上させることができる。
第一層目被膜1a〜4aを形成する鉄より卑な金属としてはAl、Zn、Bi、Mnが好ましく、それぞれの単独膜、これらの合金膜、あるいは2種以上の複合膜であってもよい。また、第二層目被膜1b〜4bを形成する鉄より貴な金属としてはNi、Cr、Cu、Ti、Snが好ましく、それぞれの単独膜、これらの合金膜、あるいは2種以上の複合膜であってもよい。
また、上記では内輪1、外輪2、転動体3及び保持器4の表面に被膜を形成したが、内輪1、外輪2、転動体3及び保持器4の何れかに被膜を形成するようにしてもよい。
更には、上記では被膜を2層で構成したが、鉄より卑な金属からなる被膜(第一層目被膜に相当)のみで構成することもできる。
被膜の厚さ、即ち単層の場合は第一層目被膜1a〜4aの膜厚、2層の場合は第一層目被膜1a〜4aと第二層目被膜1b〜4bとの合計膜厚S(図1(b)参照)は、好ましくは0.1〜8μmであり、より好ましくは0.5〜6μmであり、最も好ましくは0.5〜5μmである。ショットピーニングにより0.1μm未満の膜厚に調整することは困難であり、実現できたとしても防錆性能を長期間維持するのが困難となる。また、膜厚が8μmを超えると、被膜が剥離しやすくなる。
尚、被膜の厚さを測定する方法としては、例えば、マイクロメータにて処理前後の径を測定する方法、あるいは断面を電子顕微鏡で測定する方法を用いることができる。
また、被膜の厚さを測定する方法として、以下の方法を用いるようにしてもよい。まず、被膜の保護を目的として、被膜を備えた転動体の転動面に、熱硬化性樹脂であるポリアミドイミドのピロリドン溶液を塗布し、175℃で2時間加熱して硬化させ、被膜の保護膜を形成する。この転動体を切断してエポキシ樹脂に埋め込み、転動体の切断面をバフ研磨で鏡面仕上げする。さらに、凹凸を付けるために、3%ピクラール溶液で5秒間腐食した後、スパッタによりナノオーダーのクロム膜を表面に被覆して通電性を付与する。そして、電子顕微鏡(SEM)により、切断面を5000倍の倍率で30視野観察する。電子顕微鏡による観察では、反射電子線像で膜厚が明瞭に観察できるようにするために、各視野において、横方向に被覆面が横断されるように観察し、縦方向に6分割し、被膜の厚さを5点測定し、これら5点の平均値を求め、この平均値をその視野の被膜の厚さとする。そして、30視野の被膜の厚さの平均値を求めることができる。
また、最表面となる被膜の表面粗さは0.01〜0.5μmRaであることが好ましい。ここで、最表面となる被膜とは、単層の場合は第一層目被膜1a〜4aに相当し、2層の場合は第二層目被膜1b〜4bに相当する。被膜がこのような適度の表面粗さを有することにより、凹部に水が溜まり錆難くなる。
被膜形成はショットブラスト装置を用いて行い、投射材に被膜を形成する金属の粉末を用いる。尚、鉄より卑な金属と、鉄より貴な金属との合金からなる被膜を形成する場合は、合金粉末を用いる。また、鉄より卑な金属からなる粉末と、鉄より貴な金属からなる粉末を同時に吹き付けることにより、両金属からなる複合膜となる。あるいは、鉄より卑な金属からなる粉末と、鉄より貴な金属からなる粉末とを予め混合した混合粉末を吹き付けることによっても複合膜を形成することができる。尚、金属粉末の大きさは、平均粒径10〜50μmが好ましく、噴射圧力は0.2〜0.7MPa、噴射時間は1〜20分が適当である。
また、被膜を形成する前に内輪1、外輪2、転動体3及び保持器4の母材の表面に、ディンプルを形成してもよい。尚、ディンプルの深さは0.1〜5μmが適当である。ディンプルを形成することにより、被膜との密着性が増して好ましい。
一方、潤滑グリース6は、カルボン酸塩系防錆剤を含有する。カルボン酸としては脂肪酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸、アミノ酸誘導体の各金属塩等が挙げられる。金属元素としては、コバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、バリウム、リチウム、マグネシウム、銅等が挙げられる。中でも、被膜との親和性等からナフテン酸亜鉛が好ましい。
カルボン酸塩系防錆剤の含有量は、グリース全量の0.1〜5質量%である。含有量が0.1質量%未満では、カルボン酸塩系防錆剤による被膜の摩耗を抑制する効果が不十分となる。また、含有量が5質量%を超えると、グリースが硬化して流動性が低下し、結果として防錆剤が被膜全体に行きわたらずに保護効果が失われてしまう。カルボン酸塩系防錆剤の含有量は0.5〜4質量%が好ましく、1〜3.5質量%がより好ましい。
潤滑グリース6は、カルボン酸塩系防錆剤を含有すること以外は制限がなく、基油や増ちょう剤、その他の添加剤は用途や目的等に応じて適宜選択される。
また、潤滑グリース6に代えて、カルボン酸塩系防錆剤を含有する潤滑油を用いることもできる。
上述した実施形態では、転動装置として深溝玉軸受を例にとって説明したが、転がり軸受の種類は深溝玉軸受に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受、自動調心玉軸受、針状ころ軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受、スラスト玉軸受、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受等に適用してもよい。更に、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができ、例えば、ボールベアリング、ローラベアリング、ボールねじ装置、リニアガイド装置、ボールスプライン、リニアボールベアリング等に適用してもよい。
以下に実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(試験1:防錆性能の評価)
円すいころ軸受(呼び番号HR32205)を用いて、表1に示す防錆処理を行った。表中のZnSnショットとは、外輪軌道面にZnとSnのアトマイズ粉末(平均粒30μm)の混合粉末(Zn:Sn=1:1)を、圧力0.5MPaで20分ショットブラストしてZn−Sn被膜を形成したものである。尚、Zn−Sn被膜の厚さは、0.5〜2μmであり、その表面粗さは0.03〜0.1μmRaであった。また、通常グリースは市販品であり、防錆グリースは通常グリースにナフテン酸亜鉛を全量の0.5質量%となるように添加したものである。
そして、円すいころ軸受を石油ベンジンで5分間超音波洗浄した後、グリースを5g封入して試験軸受を作製した。この試験軸受を、ASTMD1743に準拠し、アキシアル荷重1470N、速度1000min−1にて15時間ならし運転をした後、2%塩水に1分間浸漬し、引き続き温度50℃、湿度95%の恒温恒湿下に放置し、所定時間毎に分解して全てのころ/外輪接触面に1mm以上の錆が発生するまでの時間を計測した。結果を表2に示すが、Zn−Sn被膜を形成せず、通常グリースを封入した試験No.1に対する相対値で示してある。
表2に示すように、Zn−Sn被膜を形成、もしくは防錆グリースを封入することにより約13倍の防錆性能が付与されるが、Zn−Sn被膜を形成するとともに防錆グリースを封入することにより約50倍にまで防錆性能が高まることがわかる。
(試験2:ナフテン酸亜鉛の含有量の検証)
ナフテン酸亜鉛の含有量が0〜10質量%の防錆グリースを用意し、外輪軌道面にZn−Sn被膜を形成した円すいころ軸受(呼び番号HR32205)に5gずつ封入して試験1と同様の錆試験を行った。結果を図2に示すが、ナフテン酸亜鉛未添加の防錆グリースに対する相対値で示してある。
図示されるように、カルボン酸塩系防錆剤の含有量は、グリース全量の5質量%以下であれば、未添加の約3倍以上の防錆性能を示し、特に1〜3.5質量%の範囲では約4倍以上にまで向上している。尚、カルボン酸塩系防錆剤の含有量の下限は、0.1質量%で未添加の約2倍の防錆性能を示すことから、0.1質量%以上といえる。
(試験3:被膜の評価A)
外輪軌道面にZn−Sn被膜を形成した円すいころ軸受(呼び番号HR32205)に、ナフテン酸亜鉛を1質量%含有する防錆グリースを5g封入して試験軸受を作製した。そして、試験軸受をアキシアル荷重1470N、速度1000min−1にて15時間連続回転させた後、分解して外輪軌道面をSEMで分析した。
図3に凹凸像及び組成像を示すが、組成像の白色部分が凹部に相当し、灰色部分が凸部に相当する。また、図4は、組織像の白色部分(凹部)及び灰色部分(凸部)を元素分析した結果を示しているが、凹部の方にZn及びSnが多く検出されており、凸部では母材金属が多く検出されている。このことから、Zn−Sn被膜が摩耗した場合でも、凹部にZn及びSnが残存して防錆作用を維持できることがわかる。
(試験4:被膜の評価B)
試験3と同様にして試験軸受を回転させた後、外輪軌道面の元素分析を行ったところ、重量比で炭素8%、酸素5%、鉄83%及びZn4%であり、グリース中のナフテン酸亜鉛による保護膜が形成されていることを確認した。
1 内輪
1a〜4a 第一層目被膜
1b〜4b 第二層目被膜
2 外輪
3 転動体
4 保持器
5 シール材
6 潤滑グリース

Claims (9)

  1. 転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、鉄より卑な金属からなる被膜がショットピーニングにより形成されているとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
  2. 転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、鉄より卑な金属と鉄より貴な金属との合金または混合粉末からなる被膜がショットピーニングにより形成されているとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
  3. 転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、ショットピーニングにより形成された鉄より卑な金属からなる第一層目被膜と、前記第一層目被膜上にショットピーニングにより形成された鉄より貴な金属からなる第二層目被膜とを備えるとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
  4. 転がり軸受を構成する鋼製の母材からなる部品のうち少なくとも一つの部品の表面に、ショットピーニングにより形成された鉄より卑な金属からなる第一層目被膜と、前記第一層目被膜上にショットピーニングにより形成された鉄より貴な金属との合金または混合粉末からなる第二層目被膜とを備えるとともに、カルボン酸塩系防錆剤を0.1〜5質量%の割合で含有する潤滑剤が封入されていることを特徴とする転動装置。
  5. カルボン酸塩系防錆剤がナフテン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の転動装置。
  6. 鉄より卑な金属がAl、Zn、Bi、Mnの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の転動装置。
  7. 鉄より貴な金属がNi、Cr、Cu、Ti、Snの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2、4、5または6記載の転動装置。
  8. 被膜全体の厚さが0.1〜8μmであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の転動装置。
  9. 被膜の最表面の粗さが0.01〜0.5μmRaであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の転動装置。
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