JP2013184365A - 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013184365A
JP2013184365A JP2012050740A JP2012050740A JP2013184365A JP 2013184365 A JP2013184365 A JP 2013184365A JP 2012050740 A JP2012050740 A JP 2012050740A JP 2012050740 A JP2012050740 A JP 2012050740A JP 2013184365 A JP2013184365 A JP 2013184365A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
liquid
nozzle row
nozzle
head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012050740A
Other languages
English (en)
Inventor
Noritaka Mitsuo
徳孝 満尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2012050740A priority Critical patent/JP2013184365A/ja
Publication of JP2013184365A publication Critical patent/JP2013184365A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coating Apparatus (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

【課題】画像の画質の劣化を抑える。
【解決手段】液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッドと、複数のノズル列をキャップするキャップ部と、キャップ部が複数のノズル列をキャップした状態でヘッド内の液体を吸引する吸引処理を実行し、その後、複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理を、複数のノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一ノズル列及び第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が後者よりも前者の方が大きくなるように実行する。(1)第一ノズル列及び第二ノズル列の双方において、ノズル列の隣に、ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が位置している。(2)第一ノズル列から吐出される液体と第一ノズル列の隣接ノズル列から吐出される液体との比重差が、第二ノズル列から吐出される液体と第二ノズル列の隣接ノズル列から吐出される液体との比重差よりも大きい。
【選択図】図10A

Description

本発明は、液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法に関する。
液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッドと複数のノズル列をキャップするキャップ部とを有する液体吐出装置は、既によく知られている。かかる液体吐出装置としては、例えば、インクジェット式プリンターを挙げることができる。
特開2005−111808号公報
ところで、上記液体吐出装置においては、ヘッドのクリーニング処理として、キャップ部が前記複数のノズル列をキャップした状態でヘッド内の液体を吸引して前記複数のノズル列を通過させる吸引処理と、前記複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理とが、この順に実行される。
しかしながら、従来、当該クリーニング処理が行われた後にヘッドが液体を吐出して画像を記録した際に、当該画像の画質が劣化する場合があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、画像の画質の劣化を抑えることにある。
主たる本発明は、液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッドと、
前記複数のノズル列をキャップするキャップ部と、
前記キャップ部が前記複数のノズル列をキャップした状態で前記ヘッド内の液体を吸引して前記複数のノズル列を通過させる吸引処理を実行し、
その後、前記複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理を、前記複数のノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一ノズル列及び第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が後者よりも前者の方が大きくなるように実行するコントローラーと、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
(1)前記第一ノズル列及び前記第二ノズル列の双方において、ノズル列の隣に、該ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が位置している。
(2)前記第一ノズル列から吐出される液体と該第一ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差が、前記第二ノズル列から吐出される液体と該第二ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差よりも大きい。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
画像記録装置1の構成を示す概略図である。 画像記録装置1の構成を示すブロック図である。 ヘッド31におけるインク吐出ノズル列の配置を示した模式図である。 ブラックインク補給ユニット36のブロック図である。 切り替え処理が実行される前のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。 バルブの切り替えが行われた後のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。 クリーニングユニット43を示した模式図である。 クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の第一状態を示した模式図である。 クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の第二状態を示した模式図である。 クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の第三状態を示した模式図である。 クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の第四状態を示した模式図である。 クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の第五状態を示した模式図である。 クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の第六状態を示した模式図である。 吸引処理が実行された後のノズル面32の様子を示した模式図である。 フラッシング処理において各インク吐出ノズル列から吐出されるインク吐出量等を示した図である(その1)。 フラッシング処理において各インク吐出ノズル列から吐出されるインク吐出量等を示した図である(その2)。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッドと、
前記複数のノズル列をキャップするキャップ部と、
前記キャップ部が前記複数のノズル列をキャップした状態で前記ヘッド内の液体を吸引して前記複数のノズル列を通過させる吸引処理を実行し、
その後、前記複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理を、前記複数のノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一ノズル列及び第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が後者よりも前者の方が大きくなるように実行するコントローラーと、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
(1)前記第一ノズル列及び前記第二ノズル列の双方において、ノズル列の隣に、該ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が位置している。
(2)前記第一ノズル列から吐出される液体と該第一ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差が、前記第二ノズル列から吐出される液体と該第二ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差よりも大きい。
かかる液体吐出装置によれば、画像の画質の劣化を抑えることが可能となる。
また、前記複数のノズル列の中には、複数種類の液体が選択的に通過可能な複数液体対応ノズル列があり、
前記コントローラーは、前記複数液体対応ノズル列を通過する液体の選択が変わる毎に、前記フラッシング処理において前記ノズル列から吐出される液体の吐出量を決定する決定処理を実行することとしてもよい。
かかる場合には、より確実に画像の画質の劣化を抑えることが可能となる。
また、前記コントローラーは、
前記フラッシング処理を、前記第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が前記複数のノズル列のうちの次の(3)の条件を満たす第三ノズル列から吐出される液体の吐出量と同じとなるように実行することとしてもよい。
(3)前記第三ノズル列の隣には、該第三ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が存在しない。
かかる場合には、液体の節約を実現することが可能となる。
次に、液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッド内の液体を、キャップ部が前記複数のノズル列をキャップした状態で吸引して、前記複数のノズル列を通過させる吸引処理を実行することと、
その後、前記複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理を、前記複数のノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一ノズル列及び第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が後者よりも前者の方が大きくなるように実行することと、
を有することを特徴とするヘッドのクリーニング方法。
(1)前記第一ノズル列及び前記第二ノズル列の双方において、ノズル列の隣に、該ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が位置している。
(2)前記第一ノズル列から吐出される液体と該第一ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差が、前記第二ノズル列から吐出される液体と該第二ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差よりも大きい。
かかるヘッドのクリーニング方法によれば、画像の画質の劣化を抑えることが可能となる。
===画像記録装置1の構成例について===
液体吐出装置の一例としての画像記録装置1(本実施の形態においては、インクジェット式プリンター、特に、ラテラルスキャン型のラベル印刷機)の構成例について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、画像記録装置1の概略断面図である。図2は、画像記録装置1のブロック図である。図3は、ヘッド31におけるインク吐出ノズル列の配置を示した模式図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、画像記録装置1が画像を記録する媒体の一例として、ロール状に巻かれた用紙(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、搬送ユニット20、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路(図1において、当該搬送経路は、ロール紙巻軸18からロール紙巻き取り駆動軸92までの間の、ロール紙2が位置する部分により表されている)に沿って、給送ユニット10、プラテン29、巻き取りユニット90、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて複数種類の液体の一例としてのインクを吐出して画像記録を行うヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、キャリッジユニット40と、クリーニングユニット43と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持されるロール紙巻軸18と、ロール紙巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間に位置するステアリングユニット(舵取りユニット)20aと、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量が調整される。
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位を検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
ステアリングユニット20aは、図1に示すように、傾斜した状態で搬送経路上に位置し、回動することによりロール紙2の幅方向位置(幅方向(図1に示す前後方向)においてロール紙2が位置する位置)を変化させるためのものである。すなわち、ロール紙2が搬送経路に沿って搬送される際、中継ローラー等の軸ずれや組み付け誤差等によりロール紙2に作用する張力が変動すること等に起因して、ロール紙2の幅方向位置が変位する場合がある。そして、当該ステアリングユニット20aは、ロール紙2の当該幅方向位置を調整するためのものである。
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、画像記録領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される。
ヘッドユニット30は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位に画像を記録するためのものである。すなわち、ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インク吐出ノズルからインクを吐出して画像を形成する。本実施の形態において、このヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有している。
各々のヘッド31は、その下面(すなわち、ノズル面32)に、列方向にインク吐出ノズルが並んだインク吐出ノズル列(ノズル列に相当)を有している。本実施の形態においては、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインク種類(色)毎にそれぞれ複数のインク吐出ノズル♯1〜♯Nからなるインク吐出ノズル列を有している。各インク吐出ノズル列の各インク吐出ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各インク吐出ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
このように、ヘッド31においては、互いに異なる種類のインクを吐出するための複数のインク吐出ノズル列が並び方向(なお、並び方向とは、単方向を表すものであり、本実施の形態においては、前記搬送方向(つまり、図1において、左から右に向かう方向)が当該並び方向に相当する)に並んでいる。なお、本実施の形態においては、図3に示すように、搬送方向において、ブラックインク吐出ノズル列、マゼンタインク吐出ノズル列、イエローインク吐出ノズル列、シアンインク吐出ノズル列の順に、インク吐出ノズル列が並んでいる。
各インク吐出ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各インク吐出ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
そして、かかるヘッド31が、前記交差方向(前記列方向)において15個並べられ、このことにより、ヘッドユニット30が形成されている。そのため、ヘッドユニット30は、色毎に15×N個のインク吐出ノズルを有している。
なお、本実施の形態に係る前記複数のインク吐出ノズル列の中には、複数種類のインクが選択的に通過可能な複数インク対応インク吐出ノズル列がある。すなわち、当該複数インク対応インク吐出ノズル列は、ブラックインク吐出ノズル列であり、当該ブラックインク吐出ノズル列から、マットブラック(Mk)インク(以下、Mkインクとも呼ぶ)とフォトブラック(Pk)インク(以下、Pkインクとも呼ぶ)が選択的に吐出可能となっている。すなわち、ヘッドユニット30には、複数種類のインクが選択的に通過可能なインク吐出ノズルが15×N個設けられている。したがって、各インク吐出ノズルへインクを導くためのヘッドユニット30内のインクの流路も、MkインクとPkインクの共通の流路となっている(すなわち、この流路を、MkインクとPkインクの双方が通過可能となっている)。
インク補給ユニット35は、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給するためのものである。なお、インク補給ユニット35については、後に詳述する(MkインクとPkインクの切り換えに係る機構についても、ここで説明する)。
キャリッジユニット40は、ヘッドユニット30(ヘッド31)を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、搬送方向(左右方向)に延びるキャリッジガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、キャリッジガイドレール41に沿って搬送方向(左右方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
キャリッジ42には、ヘッドユニット30、すなわち、15個のヘッド31が設けられている。より具体的には、キャリッジ42は、4つのサブキャリッジ(第一サブキャリッジ乃至第四サブキャリッジ)に分かれており、第一サブキャリッジ乃至第三サブキャリッジには、それぞれ4個のヘッド31が、第四サブキャリッジには、3個のヘッド31が設けられている。
換言すれば、15個のヘッド31は、4つのヘッド群、すなわち、第一ヘッド乃至第四ヘッドが属する第一ヘッド群302、第五ヘッド乃至第八ヘッドが属する第二ヘッド群304、第九ヘッド乃至第十二ヘッドが属する第三ヘッド群306、第十三ヘッド乃至第十五ヘッドが属する第四ヘッド群308を構成している(図4参照)。そして、第一ヘッド群302は第一サブキャリッジに、第二ヘッド群304は第二サブキャリッジに、第三ヘッド群306は第三サブキャリッジに、第四ヘッド群308は第四サブキャリッジに、それぞれ設けられている。
そして、4つのサブキャリッジからなるキャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッドユニット30(換言すれば、4つのヘッド群、又は、15個のヘッド31)と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。
クリーニングユニット43は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。クリーニングとしては、ヘッド31内のインクを吸引する吸引処理と、ヘッド31のノズル面32をワイピングする(拭く)ワイピング処理と、ヘッド31のインク吐出ノズルからインクを吐出するフラッシング処理とが、この順に行われ、クリーニングユニット43には、これらの処理を実現するための部材が備えられている。なお、クリーニングユニット43については、後に詳述する。
プラテン29は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の画像記録領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール紙2の該部位を加熱することができる。
ヒーターユニット70は、ロール紙2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール紙2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール紙2の部位の温度が45℃となるように、該ロール紙2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール紙2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
送風ユニット80は、プラテン29上のロール紙2に風を送るためのものである。この送風ユニット80は、ファン81とファン81を回転させるモーター(不図示)とを備えている。ファン81は、回転することにより、プラテン29上のロール紙2に風を送り、ロール紙2に着弾されたインクを乾燥させるためのものである。このファン81は、図1に示すように、本体部に設けられた開閉可能なカバー(不図示)に複数設けられている。そして、この各々のファン81は、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール紙2)と対向するようになっている。
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像記録済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール紙2を巻き取るロール紙巻き取り駆動軸92と、を有している。
コントローラー60は、画像記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と画像記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
検出器群50は、画像記録装置1内の状況を監視するものであり、例えば、前述の弛み検出用センサー、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の搬送方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2の幅方向における紙端(エッジ)位置を検出する紙端位置検出センサーなどがある。
===インク補給ユニット35について===
<<<インク補給ユニット35の構成例について>>>
次に、インク補給ユニット35について、図1及び図4を用いて説明する。図4は、ブラックインク補給ユニット36のブロック図である。
インク補給ユニット35は、前述したとおり、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給(供給)するためのものである。
このインク補給ユニット35は、インクの色毎に設けられている。すなわち、イエロー色のインクを補給するためのイエローインク補給ユニット、マゼンタ色のインクを補給するためのマゼンタインク補給ユニット、シアン色のインクを補給するためのシアンインク補給ユニット、ブラック色のインクを補給するためのブラックインク補給ユニット36が設けられている。
前述したとおり、ブラック色に対応するインク吐出ノズルからは、マットブラック(Mk)インクとフォトブラック(Pk)インクが選択的に吐出可能となっている。そのため、ブラックインク補給ユニット36は、他の色のインク補給ユニットの構成とは異なる構成を有している(一方で、他の色のインク補給ユニットの構成は、共通である)。以下では、これらの複数のインク補給ユニット35のうち、主としてブラックインク補給ユニット36について説明し、他の色のインク補給ユニットについては、ブラックインク補給ユニット36との構成の相違点のみを後に説明する。
ブラックインク補給ユニット36は、図4に示すように、インクカートリッジ362と、サブタンク364と、インクの流路(通り道)となる多数のチューブと、当該チューブを開閉するための多数のバルブ(本実施の形態において、当該バルブはソレノイドバルブであるが、これに限定されるものではない)と、を有している。なお、当該インクカートリッジ362及び当該サブタンク364が設置されている場所を、図1における符号35で表している。
インクカートリッジ362は、ヘッドユニット30に供給するためのインクを収容する。このインクカートリッジ362は、画像記録装置本体に対して着脱可能に構成されている。また、インクカートリッジ362として、Mkインク用のインクカートリッジ(Mkインクカートリッジ362a)とPkインク用のインクカートリッジ(Pkインクカートリッジ362b)とが設けられている。
また、インクカートリッジ362は、図4に示すように、インクカートリッジ362とサブタンク364を繋ぐチューブ(当該チューブを、便宜上、IC−ST間チューブ370と呼ぶ)を介して、サブタンク364に接続されている。
サブタンク364は、インクカートリッジ362からヘッドユニット30へ供給されるインクを一時的に貯留するものである。このサブタンク364は、画像記録装置本体に固定されている。すなわち、サブタンク364は、インクカートリッジ362とは異なり、画像記録装置本体に対して着脱することができない構成を有している。また、サブタンク364として、Mkインク用のサブタンク(Mkサブタンク364a)とPkインク用のサブタンク(Pkサブタンク364b)とが設けられている。
また、サブタンク364が、IC−ST間チューブ370を介して、インクカートリッジ362に接続されている点については既に説明したが、当該IC−ST間チューブ370には、図4に示すように、バルブ(当該バルブを、便宜上、IC−ST間バルブ390と呼ぶ)が備えられている。さらに、サブタンク364には、サブタンク364内のインクの量が閾値未満となるとその旨を検知するサブタンクセンサー(不図示)が備えられている。
そして、コントローラー60が、サブタンクセンサーからの検知信号を受けることによりサブタンク364内のインクの量が閾値未満であることを把握すると、閉じていたIC−ST間バルブ390を開放して、インクカートリッジ362からサブタンク364へインクを流入させるようになっている。このように、サブタンク364においては、閾値以上の量のインクが常時存在するように(貯留されるように)、インクの量が制御されている。
また、サブタンク364は、図4に示すように、サブタンク364とヘッドユニット30とを繋ぐ4つの供給チューブを介して、ヘッドユニット30に接続されている。この4つの供給チューブ(第一供給チューブ372、第二供給チューブ374、第三供給チューブ376、第四供給チューブ378)は、サブタンク364からヘッドユニット30へインクを供給するための供給流路としての役割を果たす。
すなわち、画像記録(印刷)等が行われることによりインクがヘッドユニット30(ヘッド31)から吐出されて、ヘッドユニット30(ヘッド31)内のインクが消費されると、消費された当該インクを補うように、サブタンク364内のインクが第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378を通ってヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するようになっている。
また、既に説明したとおり、本実施の形態に係るヘッドユニット30は、15個のヘッド31を有し、当該15個のヘッド31は、4つのヘッド群、すなわち、第一ヘッド群302乃至第四ヘッド群308を備えているが、4つの供給チューブの各々は、図4に示すように、それぞれ4つのヘッド群の各々に接続されている。換言すれば、4つの供給チューブの各々は、当該各々に対応するヘッド群へインクを供給する。
すなわち、第一供給チューブ372は、第一ヘッド群302(第一ヘッド乃至第四ヘッド)に接続されており、第一ヘッド乃至第四ヘッドへインクを供給する。また、第二供給チューブ374は、第二ヘッド群304(第五ヘッド乃至第八ヘッド)に接続されており、第五ヘッド乃至第八ヘッドへインクを供給する。また、第三供給チューブ376は、第三ヘッド群306(第九ヘッド乃至第十二ヘッド)に接続されており、第九ヘッド乃至第十二ヘッドへインクを供給する。また、第四供給チューブ378は、第四ヘッド群308(第十三ヘッド乃至第十五ヘッド)に接続されており、第十三ヘッド乃至第十五ヘッドへインクを供給する。
なお、図1から明らかなように、インク補給ユニット35のサブタンク364とヘッドユニット30とは遠く離れた位置にある。そのため、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378の各々は、非常に長いチューブとなっており、その長さは、5〜6メートルである。そして、図4に示すように、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378を這わせるためのケーブルベア400が設けられており、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブ378は当該ケーブルベア400内に収容されている。
また、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブの各々は(以下、第一供給チューブ372を例に挙げて説明するが、他の供給チューブについても同様)、図4に示すように、Mkインクのみが流れるMkインク流路382とPkインクのみが流れるPkインク流路384とMkインクとPkインクの双方が流れる共用流路386を備えており、これらの流路は接続部388にて接続している。そして、Mkサブタンク364a内のインクは、第一供給チューブ372のMkインク流路382、接続部388、共用流路386をこの順に通って、ヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するようになっており、また、Pkサブタンク364b内のインクは、第一供給チューブ372のPkインク流路384、接続部388、共用流路386をこの順に通って、ヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するようになっている。
なお、図4に示すように、4つの供給チューブの各々には、2つのバルブ、すなわち、Mkインク流路382に設けられたMkインク流路バルブ382aとPkインク流路384に設けられたPkインク流路バルブ384aが設けられており、合計で8個のバルブが供給チューブに備えられている。そして、ヘッドユニット30のブラック色に対応するインク吐出ノズルからMkインクを吐出させる際には、コントローラー60が、Mkインク流路バルブ382aを開状態としPkインク流路バルブ384aを閉状態とすることにより、Mkインクのみをヘッドユニット30へ流入させるようになっている。一方、ヘッドユニット30のブラック色に対応するインク吐出ノズルからPkインクを吐出させる際には、コントローラー60が、Mkインク流路バルブ382aを閉状態としPkインク流路バルブ384aを開状態とすることにより、Pkインクのみをヘッドユニット30へ流入させるようになっている。
なお、本実施の形態において、ブラック色のインク以外の他の色のインク補給ユニット35については、複数種類のインクが選択的に吐出可能な構成とはなっていない。そのため、第一供給チューブ372乃至第四供給チューブの各々には、前述した共用流路386や接続部388は設けられておらず、また、インクカートリッジ362及びサブタンク364についても、それぞれ一つのみが設けられている。
<<<切り替え処理について>>>
ここでは、Mkインク、Pkインク間の切り換え処理、すなわち、Mkインクがインク吐出ノズルを通過可能な状態(換言すれば、Mkインクがインク吐出ノズルから吐出可能な状態。以下、便宜上、Mk通過可能状態と呼ぶ)とPkインクがインク吐出ノズルを通過可能な状態(換言すれば、Pkインクがインク吐出ノズルから吐出可能な状態。以下、便宜上、Pk通過可能状態と呼ぶ)の相互切り替え処理について、Mk通過可能状態からPk通過可能状態への切り替え処理を例に挙げて、図5及び図6を用いて説明する。図5は、切り替え処理が実行される前のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。図6は、バルブの切り替えが行われた後のブラックインク補給ユニット36の様子を示したブロック図である。
前述したとおり、図5には、切り替え処理が実行される前のブラックインク補給ユニット36の様子が示されている。このときには、図5に示されているように、Mkインク流路バルブ382aは開状態となっており(“O”は、「バルブ開状態」を表す)、Pkインク流路バルブ384aは閉状態となっている(“C”は、「バルブ閉状態」を表す)。つまり、ヘッドユニット30(ヘッド31)内のインクが消費された際には、Mkサブタンク364a内のインクがMkインク流路382、接続部388、共用流路386を通って、ヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するような状態となっている。
そして、かかる状態で、バルブの切り替えが、コントローラー60により行われる。すなわち、コントローラー60は、Mkインク流路バルブ382aを開状態から閉状態へ切り替え、Pkインク流路バルブ384aを閉状態から開状態へ切り替える。そして、図6に示すように、ブラックインク補給ユニット36は、ヘッドユニット30(ヘッド31)内のインクが消費された際には、Pkサブタンク364b内のインクがPkインク流路384、接続部388、共用流路386を通って、ヘッドユニット30(ヘッド31)へ流入するような状態となり、切り替え処理が完了する。
===クリーニングユニット43について===
<<<クリーニングユニット43の構成例について>>>
先ず、クリーニングユニット43の構成例について、図7を用いて説明する。図7は、クリーニングユニット43を示した模式図である。
クリーニングユニット43は、前述したとおり、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニット43は、図7に示すように、キャップ部材200と、ワイパー210と、を有している。
キャップ部材200は、図7に示すように、有底箱形状を備えており、鉛直方向(上下方向)に移動することが可能となっている(移動させる機構については、後述する)。キャップ部材200は、吸引処理が実行される際に、上方向へ移動して、ヘッド31のノズル面32に密着することにより該ノズル面32をキャップする。なお、キャップ部材200は、前記複数のインク吐出ノズル列の全て(本実施の形態においては、イエローインク吐出ノズル列、マゼンタインク吐出ノズル列、シアンインク吐出ノズル列、ブラックインク吐出ノズル列)を一括してキャップする。すなわち、キャップ部材200は、複数のインク吐出ノズル列の全てを囲んだ状態でノズル面32に密着する。
キャップ部材200には、不図示の吸引ポンプが接続されている。そして、キャップ部材200がノズル面32に密着した状態でコントローラー60の制御により吸引ポンプが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引され、目詰まりしたインク吐出ノズルが不吐出状態から回復するようになっている。換言すれば、コントローラー60は、キャップ部材200が前記複数のインク吐出ノズル列をキャップした状態でヘッド31内のインクを吸引して当該複数のインク吐出ノズル列を通過させることにより、目詰まりしたインク吐出ノズルを不吐出状態から回復させる。
ワイパー210は、ヘッド31のノズル面32をワイピングする(拭く)ためのものである。このワイパー210は、弾性片からなる部材であり、本実施の形態においては、図7に示すように、キャップ部材200よりも搬送方向において上流側(左側)に位置している。
また、ワイパー210は、鉛直方向に移動することが可能となっている(移動させる機構については、後述する)。そして、ワイピング処理が実行される際には、ワイパー210は、鉛直方向における所定位置(ワイパー210がノズル面32に接触可能な位置。以下、便宜上、ワイピング位置と呼ぶ)に位置する。そして、かかる状態で、ワイパー210がヘッド31に対して前記搬送方向に相対移動すると(本実施の形態においては、ヘッド31の方がキャリッジ42の移動に伴って搬送方向とは逆方向に移動する)、ワイパー210がノズル面32に撓み変形を伴って押し当てられた状態でワイパー210がノズル面32に摺擦し(図8C参照)、ノズル面32がワイパー210によりワイピングされることとなる。
なお、本実施の形態においては、ワイピング処理が実行される際に、ヘッド31は、必ず単方向、すなわち、前記搬送方向とは逆方向(図7において、右から左に向かう方向)に、移動し、ヘッド31が前記搬送方向に移動してワイピング処理が実行されることはない。換言すれば、ワイピング処理が実行される際に、ワイパー210はヘッド31に対して必ず搬送方向に相対移動する。
また、上記において、キャップ部材200とワイパー210が鉛直方向に移動可能となっていることを述べたが、キャップ部材200及びワイパー210は一体的に移動するようになっている。そして、かかる移動を実現するために、クリーニングユニット43には、図7に示すように、収容ケース220と昇降装置222とが設けられている。
収容ケース220は、キャップ部材200及びワイパー210を収容し、かつ、支持するためのものである。この収容ケース220は、上方に開口部を有し、有底箱形状を備えている。
そして、当該収容ケース220が、シリンダ等からなる昇降装置222の駆動により、鉛直方向に昇降され、このことにより、キャップ部材200及びワイパー210の鉛直方向における一体的な移動が実現されるようになっている。
本実施の形態においては、収容ケース220(キャップ部材200及びワイパー210)は、4つの異なる鉛直方向位置に位置するようになっている。
第一の位置は、ワイパー210がノズル面32に接触可能な前述したワイピング位置である(例えば、図8B参照)。
また、第二の位置は、キャップ部材200がノズル面32に密着して吸引処理が実行可能な位置(以下、便宜上、キャップ位置と呼ぶ)である(例えば、図8A参照)。図7に示されているようにワイパー210の最上部がキャップ部材200の最上部よりも上方に位置するため、このキャップ位置はワイピング位置よりも高い位置となっている。
また、第三の位置は、キャップ部材200及びワイパー210の双方が、ノズル面32と接触することが不可能な位置(以下、便宜上、非接触位置と呼ぶ)である(例えば、図8E参照)。この非接触位置は、当然のことながら、キャップ位置やワイピング位置よりも低い位置となっている。
また、第四の位置は、ヘッド31のインク吐出ノズルからインクを吐出するフラッシング処理が行われる位置(以下、便宜上、フラッシング位置と呼ぶ)である(例えば、図8F参照)。このフラッシング位置は、前記キャッピング位置よりも低く、前記ワイピング位置よりも高い位置となっている。
なお、具体的にどのタイミングで、収容ケース220が昇降されるかについては、後述する。
<<<クリーニングユニット43の動作例について>>>
次に、クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の動作例について、図8A乃至図8Fを用いて説明する。図8A乃至図8Fは、クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の状態を示した模式図である。なお、当該動作は、主として、コントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
コントローラー60は、先ず、キャリッジ42を制御して、ヘッド31がキャップ部材200に対向する位置にキャリッジ42を位置させると共に、昇降装置222を制御して収容ケース220(キャップ部材200)を前記キャップ位置に位置させる。このことにより、キャップ部材200がノズル面32に密着して吸引処理が実行可能な状態となる(図8A)。コントローラー60は、かかる状態で、吸引ポンプを作動させ、インクを吸引する吸引処理を実行する。
吸引処理が終了すると、コントローラー60は、昇降装置222を制御して収容ケース220をキャップ位置から前記ワイピング位置に下ろす(図8Aの黒太矢印参照)。このことにより、ワイパー210がヘッド31に接触可能な位置に下げられて、ワイピング処理が実行可能な状態となる(図8B)。
コントローラー60が、かかる状態で、キャリッジ42を制御して、キャリッジ42を前記搬送方向と逆方向へ(右から左へ)移動させる(図8Bの黒太矢印参照)と、ワイパー210は、やがてヘッド31のノズル面32に接触する(図8C参照)。そして、キャリッジ42のさらなる移動により(図8Cの黒太矢印参照)、ワイパー210がノズル面32に摺擦して当該ノズル面32をワイピングする。ワイパー210がヘッド31から離れる位置までキャリッジ42が移動すると(図8D)、ワイピング動作は終了する。
ワイピング処理が終了すると、コントローラー60は、昇降装置222を制御して収容ケース220をワイピング位置から前記非接触位置に下ろす(図8Dの黒太矢印参照)。このことにより、キャップ部材200及びワイパー210のいずれもがヘッド31に接触し得ない状態となる(図8E)。
次に、コントローラー60は、ヘッド31がキャップ部材200に対向する位置にキャリッジ42を位置させ、昇降装置222を制御して収容ケース220を非接触位置から前記フラッシング位置に上げる(図8Eの黒太矢印参照)。このことにより、複数のインク吐出ノズル列からインクを吐出するフラッシング処理が実行可能な状態となる(図8F)。コントローラー60は、かかる状態で、ヘッド31を作動させ、ヘッド31は各インク吐出ノズル列のインク吐出ノズルからインクを吐出してフラッシングを行う。
===フラッシング処理におけるインクの吐出量について===
上述したとおり、コントローラー60は、吸引処理を実行した後にフラッシング処理を実行するが、比較例に係る画像記録装置1においては、当該フラッシング処理におけるインクの吐出量は、インク吐出ノズル列(換言すれば、インク吐出ノズル)間で、一律に同じ量に設定されていた(また、当該吐出量は、インクの節約等を考慮して微量に設定されていた)。すなわち、コントローラーは、どのインク吐出ノズル列(インク吐出ノズル)から吐出されるインクの吐出量も微量かつ同じとなるように、フラッシング処理を実行していた。
これに対して、本実施の形態に係る画像記録装置1においては、後述する混色現象に起因した問題点の発生を抑制するために、インクの吐出量をインク吐出ノズル列間で異ならせることとした。すなわち、一部のインク吐出ノズル列から吐出されるインクの吐出量を、他のインク吐出ノズル列から吐出されるインクの吐出量(微量)よりも多くすることとした。
以下、かかる事項について詳しく説明するが、先ず初めに、混色現象に起因した問題点について述べる。そして、これに引き続いて、当該問題点を解決するための方策について説明し、本実施の形態に係る画像記録装置1の有効性(メリット)を明らかにする。
<<<混色現象に起因した問題点について>>>
比較例に係る画像記録装置1においては、画像に、本来記録されるべき色とは異なる色で記録された部分が存在する場合があった。そして、このような問題は、クリーニング処理が実行された後に画像が記録された際に、よく発生する傾向があった。
このことを踏まえて、本発明者等は、鋭意検討を行った結果、クリーニング処理時にインクがヘッド31内で混じり合う現象(便宜上、混色現象と呼ぶ)が発生し、印刷時に混じり合ったインクが吐出されることにより前記問題が発生することを見出した。
具体的に説明すると、クリーニング処理の吸引処理においては、キャップ部材200がノズル面32に密着した状態でヘッド31内のインクが吸引されるが、かかる際に、図9に示すように、ノズル面32のインク吐出ノズル列にインク(以下、付着インクと呼ぶ)が付着した状態となる場合がある。
そして、本発明者等は、かかる状態が一定時間維持されると、図9に示すように、互いに隣り合うインク吐出ノズル列の付着インク同士がくっ付いて合体する事象(以下、便宜上、合体事象と呼ぶ)が発生し得ることを見出した(なお、図9においては、ブラックインク吐出ノズル列とシアンインク吐出ノズル列の付着インク同士が合体しているが、これは一例であり、どの付着インク同士が合体するかはランダムである)。また、当該合体事象が生じた際に、比重が小さい方のより流動的な付着インク(比重小付着インクと呼ぶ)が、比重が大きい方の付着インク(比重大付着インク)を押しのけて比重大付着インクのインク吐出ノズルを(外から中へ)通過することにより、ヘッド31内に流入してしまう現象が発生し得ることを見出した(一方で、比重大付着インクが比重小付着インクのインク吐出ノズルを通過することによりヘッド31内に流入してしまう現象は、比重大インクの流動性の欠如により、殆ど発生しない)。さらに、比重大付着インクと比重小付着インクの比重差が大きければ大きいほど、当該現象がより一層顕著に発生し得ること(インク流入量が多くなる等)を見出した。
そして、本発明者等は、ヘッド31内(具体的には、比重大付着インクのインク吐出ノズル列の内部)でインクが混じり合った状態(つまり、混色現象)が、クリーニング処理が終了しても適切に改善せず、クリーニング処理終了後の画像記録動作において当該混じり合ったインクが吐出されてしまうことを見出した。
すなわち、吸引処理の次のワイピング処理においては、ノズル面32がワイパー210によりワイピングされ、ノズル面32に付着した付着インクがワイパー210により拭き取られるが、ヘッド31内に流入してしまった流入インクについては、ワイピング処理で除去することはできない。また、ワイピング処理の次のフラッシング処理においては、インク吐出ノズル列からインクが吐出されるが、吐出量が微量であるため、前記比重差が大きい場合には流入インクが依然としてヘッド31内に残ってしまう。そのため、クリーニング処理が実行された後の画像記録動作において、当該混じり合ったインクが吐出されて、本来記録されるべき色とは異なる色で記録された前述した部分が生じてしまう。
<<<問題点を解決するための方策について>>>
上述した問題点を解決するために、本実施の形態に係るコントローラー60は、複数のインク吐出ノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一インク吐出ノズル列及び第二インク吐出ノズル列から吐出されるインクの吐出量(以下、単に、インク吐出量とも呼ぶ)が後者(つまり、第二インク吐出ノズル)よりも前者(つまり、第一インク吐出ノズル)の方が大きくなるように、フラッシング処理を実行する。ここで、(1)の条件とは、第一インク吐出ノズル列及び第二インク吐出ノズル列の双方において、インク吐出ノズル列の隣に、該インク吐出ノズル列から吐出されるインクよりも比重が小さいインクを吐出するための隣接インク吐出ノズル列が位置していることであり、(2)の条件とは、第一インク吐出ノズル列から吐出されるインクと該第一インク吐出ノズル列の隣接インク吐出ノズル列から吐出されるインクとの比重差が、第二インク吐出ノズル列から吐出されるインクと該第二インク吐出ノズル列の隣接インク吐出ノズル列から吐出されるインクとの比重差よりも大きいことである。
図3、図10A及び図10Bを参照しつつ具体的に説明する。図10A及び図10Bは、フラッシング処理において各インク吐出ノズル列から吐出されるインク吐出量等を示した図である。なお、上述したとおり、複数種類のインクが選択的に通過可能な複数インク対応インク吐出ノズル列であるブラックインク吐出ノズル列については、MkインクとPkインクとが選択的に通過可能となっているが、画像記録装置1がMk通過可能状態にあるときとPk通過可能状態にあるときとでは、フラッシング処理において各インク吐出ノズル列から吐出されるインク吐出量が異なっている。図10Aは、画像記録装置1がMk通過可能状態にあるときの図であり、図10Bは、画像記録装置1がPk通過可能状態にあるときの図である。
先ず、画像記録装置1がMk通過可能状態にあるときのインク吐出量について具体的に説明すると、図3に示したとおり、本実施の形態においては、前記搬送方向において、ブラックインク吐出ノズル列、マゼンタインク吐出ノズル列、イエローインク吐出ノズル列、シアンインク吐出ノズル列の順に、インク吐出ノズル列が並んでいる。また、図10Aに示すように、イエローインクの比重y、マゼンタインクの比重m、シアンインクの比重c、マットブラックインクの比重mkの大小関係は、m>c>y>mkとなっている。
したがって、ブラックインク吐出ノズル列の隣には、マゼンタインク吐出ノズル列が位置しているが(図10Aの「隣接インク吐出ノズル列」参照)、比重mは比重mkよりも大きいため、ブラックインク吐出ノズル列については、比重がより小さいインクを吐出するための隣接インク吐出ノズル列は存在しない(図10Aの「比重小の隣接インク吐出ノズル列」参照)。また、イエローインク吐出ノズル列の隣には、マゼンタインク吐出ノズル列とシアンインク吐出ノズル列が位置しているが(図10Aの「隣接インク吐出ノズル列」参照)、比重mと比重cの双方とも比重yより大きいため、イエローインク吐出ノズル列については、比重がより小さいインクを吐出するための隣接インク吐出ノズル列は存在しない(図10Aの「比重小の隣接インク吐出ノズル列」参照)。そのため、ブラックインク吐出ノズル列及びイエローインク吐出ノズル列は、(1)の条件を満足せず、前述したとおり、これらのインク吐出ノズル列の内部には、インクの流動性欠如により、隣接インク吐出ノズル列のインクが殆ど流入しない。
一方、シアンインク吐出ノズル列の隣には、イエローインク吐出ノズル列が位置しているが(図10Aの「隣接インク吐出ノズル列」参照)、比重yは比重cよりも小さいため、当該イエローインク吐出ノズル列は、シアンインク吐出ノズル列から吐出されるインクよりも比重が小さいインクを吐出するための隣接インク吐出ノズル列となっている(図10Aの「比重小の隣接インク吐出ノズル列」参照)。また、マゼンタインク吐出ノズル列の隣には、ブラックインク吐出ノズル列とイエローインク吐出ノズル列が位置しているが(図10Aの「隣接インク吐出ノズル列」参照)、比重mkと比重yの双方とも比重mより小さいため、当該ブラックインク吐出ノズル列とイエローインク吐出ノズル列は、マゼンタインク吐出ノズル列から吐出されるインクよりも比重が小さいインクを吐出するための隣接インク吐出ノズル列となっている(図10Aの「比重小の隣接インク吐出ノズル列」参照)。そのため、シアンインク吐出ノズル列及びマゼンタインク吐出ノズル列は、(1)の条件を満足し、前述したとおり、これらのインク吐出ノズル列の内部には、隣接インク吐出ノズル列のより流動的なインクが流入することとなる。
そして、本実施の形態においては、マゼンタインク吐出ノズル列から吐出されるマゼンタインクと当該マゼンタインク吐出ノズル列の隣接インク吐出ノズル列であるブラックインク吐出ノズル列(ここでは、ブラックインク吐出ノズル列及びイエローインク吐出ノズル列のうち、より比重の小さいマットブラックインクが吐出されるブラックインク吐出ノズル列を隣接インク吐出ノズル列として、比重差を出している)から吐出されるマットブラックインクとの比重差(m−mk)が、シアンインク吐出ノズル列から吐出されるシアンインクと当該シアンインク吐出ノズル列の隣接インク吐出ノズル列であるイエローインク吐出ノズル列から吐出されるイエローインクとの比重差(c−y)よりも大きくなっている(図10Aの「比重差(閾値との比較)」参照)。そのため、本実施の形態において、条件(1)及び(2)を満たす第一インク吐出ノズル列及び第二インク吐出ノズル列は、それぞれ、マゼンタインク吐出ノズル列とシアンインク吐出ノズル列となっている。そして、前述したとおり、第一インク吐出ノズル列であるマゼンタインク吐出ノズル列の内部には、第二インク吐出インク吐出ノズル列であるシアンインク吐出ノズル列よりも、隣接インク吐出ノズル列のインクがより一層顕著に流入することとなる。
そして、本実施の形態においては、マゼンタインク吐出ノズル列(第一インク吐出ノズル列)から吐出されるインクのインク吐出量q2が、シアンインク吐出ノズル列(第二インク吐出ノズル列)から吐出されるインクのインク吐出量q1よりも大きくなるように、フラッシング処理を実行することとした(図10Aの「吐出量」参照)。そのため、隣接インク吐出ノズル列のインクがより一層顕著に流入するマゼンタインク吐出ノズル列(第一インク吐出ノズル列)の当該流入インクを適切にヘッド31内部から除去することができ、クリーニング処理が実行された後の画像記録動作において、当該混じり合ったインクが吐出されて、本来記録されるべき色とは異なる色で記録された前述した部分が生じてしまう問題の発生を抑制することが可能となる。そのため、画像の画質の劣化を抑えることが可能となる。
また、本実施の形態に係るコントローラー60は、シアンインク吐出ノズル列(第二インク吐出ノズル列)から吐出されるインクのインク吐出量が複数のインク吐出ノズル列のうちの次の(3)の条件を満たす第三インク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量と同じとなるように、フラッシング処理を実行する。ここで、(3)の条件とは、第三インク吐出ノズル列の隣には、該第三インク吐出ノズル列から吐出されるインクよりも比重が小さいインクを吐出するための隣接インク吐出ノズル列が存在しないことである。
すなわち、本実施の形態において(3)の条件を満たす第三インク吐出ノズル列は、前述したとおり、ブラックインク吐出ノズル列及びイエローインク吐出ノズル列であり、コントローラー60は、シアンインク吐出ノズル列(第二インク吐出ノズル列)から吐出されるインクのインク吐出量q1を、ブラックインク吐出ノズル列及びイエローインク吐出ノズル列から吐出されるインクの吐出量q1と同じになるように、フラッシング処理を実行する(図10Aの「吐出量)」参照)。そして、このようにすることにより、隣接インク吐出ノズル列のインクの流入が比較的少ないマゼンタインク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量がブラックインク吐出ノズル列やイエローインク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量相当とされ、過度のインク消費が避けられる。そのため、インクの節約を実現することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、マゼンタインク吐出ノズル列のインク吐出量をq2(>q1)とし、シアンインク吐出ノズル列のインク吐出量をq1としているが、これは比重差を閾値Thと比較することにより決定されている。すなわち、m−mk>Thなので、マゼンタインク吐出ノズル列のインク吐出量はq2とされ、c−y<Thなので、シアンインク吐出ノズル列のインク吐出量はq1とされている(図10Aの「比重差(閾値との比較)」参照)。
次に、画像記録装置1がPk通過可能状態にあるときのインク吐出量について具体的に説明する。本実施の形態において、フォトブラックインクの比重pkは他のどのインクの比重よりも大きくなっている。すなわち、図10Bに示すように、pk>m>c>yの関係が成立している。
そのため、イエローインク吐出ノズル列は、(1)の条件を満足せず(図10Bの「比重小の隣接インク吐出ノズル列」参照)、前述したとおり、これらのインク吐出ノズル列の内部には、インクの流動性欠如により、隣接インク吐出ノズル列のインクが殆ど流入しない。
一方、ブラックインク吐出ノズル列、シアンインク吐出ノズル列、及び、マゼンタインク吐出ノズル列は、(1)の条件を満足し(図10Bの「比重小の隣接インク吐出ノズル列」参照)、前述したとおり、これらのインク吐出ノズル列の内部には、隣接インク吐出ノズル列のより流動的なインクが流入することとなる。
そして、本実施の形態においては、比重差pk−mが閾値Thより大きいので(図10Bの「比重差(閾値との比較)」参照)、ブラックインク吐出ノズル列のインク吐出量をq2とし(図10Bの「吐出量」参照)、比重差m−yと比重差c−yのいずれも閾値Thより小さいので(図10Bの「比重差(閾値との比較)」参照)、マゼンタインク吐出ノズル列とシアンインク吐出ノズルのインク吐出量をq1としている(図10Bの「吐出量」参照)。すなわち、条件(1)及び(2)を満たす第一インク吐出ノズル列は、ブラックインク吐出ノズル列となっており、条件(1)及び(2)を満たす第二インク吐出ノズル列は、マゼンタインク吐出ノズル列及びシアンインク吐出ノズルとなっている。
そして、本実施の形態に係るコントローラー60は、ブラックインク吐出ノズルを通過するインクの選択が変わる毎に、フラッシング処理においてインク吐出ノズル列から吐出されるインクの吐出量を決定する決定処理を実行する。つまり、図10A及び図10Bに示されているように、コントローラー60は、Mk通過可能状態からPk通過可能状態へ変わる際に、ブラックインク吐出ノズルのインク吐出量をq1からq2へ、マゼンタインク吐出ノズルのインク吐出量をq2からq1へ、それぞれ設定変更する。また、Pk通過可能状態からMk通過可能状態へ変わる際に、ブラックインク吐出ノズルのインク吐出量をq2からq1へ、マゼンタインク吐出ノズルのインク吐出量をq1からq2へ、それぞれ設定変更する。そして、このようにすることにより、綿密にインク吐出量の制御がなされることとなり、より確実に画像の画質の劣化を抑えることが可能となる。
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主として液体吐出装置について記載されているが、ヘッドのクリーニング方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記実施の形態においては、液体吐出装置(液体噴射装置)をインクジェット式プリンターに具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
また、上記実施の形態においては、媒体としてロール紙2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、カット紙、フィルム、布であってもよい。
また、上記実施の形態においては、ヘッドユニット30が複数(15個)のヘッド31を有していることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット30が、一つのヘッド31からなることとしてもよい。
また、上記実施の形態においては、ブラックインク吐出ノズル列のみが複数種類のインクが選択的に通過可能な複数インク対応インク吐出ノズル列であることとしたが、これに限定されるものではなく、全てのインク吐出ノズル列が当該複数インク対応インク吐出ノズル列であってもよい。かかる例として、インク吐出ノズル列とインク種類との対応関係が存在しない画像記録装置1を挙げることができる。このような画像記録装置1においては、インクカートリッジを自由な位置に装着することにより、全てのインク吐出ノズル列が、全てのインクに対応することができるようになっており、このような画像記録装置1(以下、変形例に係る画像記録装置1と呼ぶ)にも本発明を適用することができる。
また、このような場合には、複数インク対応インク吐出ノズル列を通過するインクの選択が変わるときにフラッシング処理におけるインク吐出量を決定する決定処理を実行する際に、インク吐出ノズル列から吐出されるインクと隣接インク吐出ノズルから吐出されるインクとの比重差を求め、求められた比重差に基づいて、インク吐出量を決定することが有効となる。
すなわち、上記実施の形態においては、ブラックインク吐出ノズル列のみが複数インク(2種類のインク)対応インク吐出ノズル列であったため、メモリー63に図10Aと図10Bの2つのインク吐出ノズル列・吐出量対応テーブルを予め格納しておき、コントローラー60が前記決定処理を実行する際に、適用する当該インク吐出ノズル列・吐出量対応テーブルを一方から他方へ変更していた。
これに対し、変形例に係る画像記録装置1においては、場合によっては(特に、インク種類の数が4種類よりも多くなった場合等)、インク吐出ノズル列・吐出量対応テーブルの数が過多となるため、インク吐出ノズル列・吐出量対応テーブルを予め用意せず、前記決定処理を実行する毎に、前記比重差をインク吐出ノズル列毎に算出し、算出された比重差を閾値と比較してインク吐出ノズル列毎のインク吐出量を決めるようにしてもよい(なお、当然のことながら、上記実施の形態に、決定処理を実行する毎に比重差を算出する当該手法を適用してもよい)。
また、上記実施の形態においては、複数インク対応インク吐出ノズル列が設けられていたが、これに限定されるものではなく、当該複数インク対応インク吐出ノズル列が存在しなくてもよい。そして、かかる場合には、メモリー63に一つのインク吐出ノズル列・吐出量対応テーブルが予め格納され、コントローラー60は、当該インク吐出ノズル列・吐出量対応テーブルに基づいた量のインクをフラッシング処理において吐出するようにすればよい。
また、上記実施の形態において、コントローラー60は、フラッシング処理を、前記第二インク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量が前記複数のインク吐出ノズル列のうちの(3)の条件を満たす前記第三インク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量と同じとなるように実行することとしたが、これに限定されるものではなく、前記第二インク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量を前記第三インク吐出ノズル列から吐出されるインクのインク吐出量よりも大きくなるように実行することとしてもよい。例えば、図10Aにおいて、シアンインク吐出ノズル列のインク吐出量は、ブラックインク吐出ノズル列及びイエローインク吐出ノズル列のインク吐出量と同様、q1(<q2)であったが、シアンインク吐出ノズル列のインク吐出量を(q1<)q3(<q2)としてもよい。
1 画像記録装置、2 ロール紙
10 給送ユニット、18 ロール紙巻軸、19 中継ローラー
20 搬送ユニット、20a ステアリングユニット
21 中継ローラー、22 中継ローラー
23 第一搬送ローラー、23a 第一駆動ローラー、23b 第一従動ローラー
24 第二搬送ローラー、24a 第二駆動ローラー、24b 第二従動ローラー
25 反転ローラー、26 中継ローラー、27 送り出しローラー
29 プラテン
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、32 ノズル面
35 インク補給ユニット、36 ブラックインク補給ユニット
40 キャリッジユニット、41 ガイドレール、42 キャリッジ
43 クリーニングユニット
50 検出器群
60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU
63 メモリー、64 ユニット制御回路
70 ヒーターユニット、80 送風ユニット、81 ファン
90 巻き取りユニット、91 中継ローラー、92 ロール紙巻き取り駆動軸
110 ホストコンピューター
200 キャップ部材、210 ワイパー
220 収容ケース、222 昇降装置
302 第一ヘッド群、304 第二ヘッド群
306 第三ヘッド群、308 第四ヘッド群
362 インクカートリッジ
362a Mkインクカートリッジ、362b Pkインクカートリッジ
364 サブタンク
364a Mkサブタンク、364b Pkサブタンク
370 IC−ST間チューブ
372 第一供給チューブ、374 第二供給チューブ
376 第三供給チューブ、378 第四供給チューブ
382 Mkインク流路、382a Mkインク流路バルブ
384 Pkインク流路、384a Pkインク流路バルブ
386 共用流路、388 接続部
390 IC−ST間バルブ、400 ケーブルベア

Claims (4)

  1. 液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッドと、
    前記複数のノズル列をキャップするキャップ部と、
    前記キャップ部が前記複数のノズル列をキャップした状態で前記ヘッド内の液体を吸引して前記複数のノズル列を通過させる吸引処理を実行し、
    その後、前記複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理を、前記複数のノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一ノズル列及び第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が後者よりも前者の方が大きくなるように実行するコントローラーと、
    を有することを特徴とする液体吐出装置。
    (1)前記第一ノズル列及び前記第二ノズル列の双方において、ノズル列の隣に、該ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が位置している。
    (2)前記第一ノズル列から吐出される液体と該第一ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差が、前記第二ノズル列から吐出される液体と該第二ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差よりも大きい。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記複数のノズル列の中には、複数種類の液体が選択的に通過可能な複数液体対応ノズル列があり、
    前記コントローラーは、前記複数液体対応ノズル列を通過する液体の選択が変わる毎に、前記フラッシング処理において前記ノズル列から吐出される液体の吐出量を決定する決定処理を実行することを特徴とする液体吐出装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置において、
    前記コントローラーは、
    前記フラッシング処理を、前記第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が前記複数のノズル列のうちの次の(3)の条件を満たす第三ノズル列から吐出される液体の吐出量と同じとなるように実行することを特徴とする液体吐出装置。
    (3)前記第三ノズル列の隣には、該第三ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が存在しない。
  4. 液体を吐出するための複数のノズル列を有するヘッド内の液体を、キャップ部が前記複数のノズル列をキャップした状態で吸引して、前記複数のノズル列を通過させる吸引処理を実行することと、
    その後、前記複数のノズル列から液体を吐出するフラッシング処理を、前記複数のノズル列のうちの次の(1)及び(2)の条件を満たす第一ノズル列及び第二ノズル列から吐出される液体の吐出量が後者よりも前者の方が大きくなるように実行することと、
    を有することを特徴とするヘッドのクリーニング方法。
    (1)前記第一ノズル列及び前記第二ノズル列の双方において、ノズル列の隣に、該ノズル列から吐出される液体よりも比重が小さい液体を吐出するための隣接ノズル列が位置している。
    (2)前記第一ノズル列から吐出される液体と該第一ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差が、前記第二ノズル列から吐出される液体と該第二ノズル列の前記隣接ノズル列から吐出される液体との比重差よりも大きい。
JP2012050740A 2012-03-07 2012-03-07 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法 Pending JP2013184365A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012050740A JP2013184365A (ja) 2012-03-07 2012-03-07 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012050740A JP2013184365A (ja) 2012-03-07 2012-03-07 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013184365A true JP2013184365A (ja) 2013-09-19

Family

ID=49386242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012050740A Pending JP2013184365A (ja) 2012-03-07 2012-03-07 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013184365A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5796459B2 (ja) 印刷装置、及び、ホワイトインク循環方法
JP5861504B2 (ja) 液体吐出装置、液体攪拌方法、及び、液体充填方法
US9073337B2 (en) Liquid ejecting apparatus and method of circulating liquid
JP5573521B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
WO2013038661A1 (ja) 液体吐出装置及び液体移送方法
JP2017052117A (ja) 液体噴射装置及びクリーニング装置
JP2013063628A (ja) 液体吐出装置、及び、液体流動方法
JP5728900B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP5796458B2 (ja) 液体吐出装置、及び、液体循環方法
JP2013230658A (ja) 液体吐出装置、及び、熱制御方法
JP5569020B2 (ja) 液体噴射装置
JP2013184365A (ja) 液体吐出装置、及び、ヘッドのクリーニング方法
JP6028900B2 (ja) 液体吐出装置、及び、送風方法
JP6048550B2 (ja) 液体吐出装置
US9278535B2 (en) Recording head recovery mechanism, inkjet recording apparatus, and recording head recovery method
JP6011084B2 (ja) 印刷装置、及び、印刷方法
JP2013184366A (ja) 液体吐出装置、及び、ワイピング方法
JP2013215982A (ja) 液体吐出装置、及び、乾燥方法
JP5924380B2 (ja) 液体吐出装置
JP2013184363A (ja) 液体吐出装置、及び、液体攪拌方法
JP2012116132A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法
JP2012106457A (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出方法
JP5640544B2 (ja) 液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるワイピング方法
JP2012086368A (ja) ワイピング方法、ワイピング制御装置及び液体噴射装置
JP2013063627A (ja) 液体充填方法