JP2013184229A - 超高圧焼結体製切削工具 - Google Patents

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【課題】接合合金を介して接合されたcBNまたはPCD製の切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを有する切削工具において、すぐれた接合強度を有する切削工具を提供する。
【解決手段】切れ刃部およびWC基超硬製工具本体が、接合層との接合面にそれぞれCr層を有し、接合層中の5点を測定し平均した合金組成が、Cr:14〜18at%、B:20〜26at%、Si:1〜5at%、Ni:32〜40at%、残部がFeおよび不可避不純物であることによって、前記の課題を解決するものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、立方晶窒化硼素(以下、cBNと称す)焼結体や多結晶ダイヤモンド(以下、PCDと称す)焼結体などの超高圧焼結材料を刃先に有する切削工具の刃先接合強度の改善に関する。
近年、携帯電話やスマートフォン等の筐体の製造に使用される金型を加工する工具として、高生産性や高寿命を発揮し、ダイヤモンドと同等の硬度を有するPCD焼結体や、ダイヤモンドに次ぐ硬度を有するcBN焼結体を切れ刃部に使用したインサートやエンドミルといった切削工具が提供されている。
しかしながら、cBN焼結体やPCD焼結体自体は、加工が困難で高価なうえ、焼結体形状が円板状に限られ自由に工具形状が形成できないためにその用途が制約されていた。ところが、近年、難削材の使用量の増加に伴い工具加工が困難であるにも関わらずcBN焼結体やPCD焼結体の用途が高まっている。価格、加工性を克服するための方法として、安価で加工性にすぐれたWC基超硬製工具本体とcBN焼結体またはPCD焼結体を素材とする切れ刃部とをろう付けしたり、あるいは、WC基超硬製工具本体とcBN焼結体またはPCD焼結体を素材とする切れ刃部とを拡散接合で接合したりすることにより、WC基超硬製工具本体とcBN焼結体またはPCD焼結体を素材とする切れ刃部とを接合した切削工具が提供されている。
例えば、特許文献1には、cBN焼結体層と超硬合金層とが一体成形された略円柱形のチップと、チップと軸線を同じくしてチップの後端側の超硬合金層に連接する工具本体とを備え、チップの先端部分に切刃が形成されたエンドミルであって、工具本体の少なくとも先端側には取り付け軸部が形成されており、取り付け軸部の先端面の外径がチップの後端面の外径と同一径とされ、チップの後端面と取り付け軸部の先端面との間に接合部が配置され、接合部は、例えば、Ni等の金属元素がチップおよび工具本体のうち少なくとも一方へ拡散した拡散層を含む接合層とされていることによって、チップが工具本体から外れることなく寿命が長く安定しているとともに首部の長さを容易に調整して加工深さを調整できるエンドミルが開示されている。
また、特許文献2には、工具先端の刃部が実質的に超高硬度焼結体から成り、該超高硬度焼結体に一体焼結された超硬合金材の1部がシャンク孔部に差し込まれて、ろう材としてNi−Cr系ろう材、Ag−Cu−Ti系ろう材、Ag−Cu−Zn系ろう材を用いてろう付け固定されている小径エンドミルであり、該シャンク孔部内に差し込まれている超硬合金材部分の外接円直径Dhと刃部の最大直径Dcとの比Dh/Dcが2以上であることによって、超高硬度焼結体チップから成る工具先端部、特に刃部から首部にかけた部分の横方向への剛性が高く、しかも首部の取り付け強度が高い、高精度・高効率加工が可能な、すぐれた切削特性を有する小径エンドミルが開示されている。
特開2007−268647号公報 特開2004−268202号公報
ところが、前記特許文献1および特許文献2に開示されたエンドミルは、Ni系の金属を用いることで強固な接合強度が得られるとしているが、Niが拡散し過ぎると超硬シャンクおよび刃先側の超硬基材の機械特性が低下し、折損の原因になるという課題があった。
また、前記特許文献2に開示されたAg系ろう材では、Agの機械的強度が低いため十分な接合強度が得られなかった。
また、従前のろう材を用いた接合では、融点が高いため接合時にcBN焼結体やPCD焼結体を劣化させるという課題があった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、接合合金を介して接合されたcBN焼結体またはPCD焼結体を素材とする切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを有する超高圧焼結体製切削工具において、接合部からの折損が少ないすぐれた接合強度を有するとともに、接合時の熱によってcBN焼結体やPCD焼結体が劣化することがない超高圧焼結体製切削工具を提供することである。
そこで、本発明者らは、接合合金を介して接合されたcBN焼結体またはPCD焼結体(以下、単に焼結体と称す)製切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを有する超高圧焼結体製切削工具において、その接合部の接合強度改善について鋭意研究した結果、以下の知見を得た。
(1)焼結体製切れ刃部とWC基超硬製工具本体のシャンク先端とを接合するに当たり、切れ刃部を構成する焼結体は、予めWC基超硬製支持片で裏打ちしておく。そして、WC基超硬製支持片およびWC基超硬製工具本体の接合面表面に、それぞれ、あらかじめCrをコーティングした後、両者間にNi系の接合合金を挿入し、所定条件で接合する。これにより、Cr層がNi拡散のバリアとなり、過剰なNiの拡散を防止することが可能になる。さらにCrは、WC基超硬中に含まれるWと合金化することで、WC基超硬製支持片およびWC基超硬製工具本体と接合合金との間に強固な接合層を形成する。このCr―W合金は、接合完了後は連続して存在する必要はなく、部分的に存在することでも接合強度の改善に十分寄与できることを見出した。
(2)Cr層は、例えば、無水クロム酸を溶液として電解析出することで接合面表面にCr層を得ることができる。この時、Cr層が厚すぎるとNiがWC基超硬中に拡散することができなくなり、接合強度の向上に寄与するNi拡散層が形成されなくなるため、1.0μm以下とすることが望ましいことを見出した。一方、0.1μm未満になるとNiの過剰な拡散を抑制するという本来の機能が十分に発揮できなくなることも確認された。すなわち、Cr層を厚くするにつれてNiの拡散が抑えられ、Cr層を薄くするにつれてNiの拡散が増えるが、薄すぎるとNiが過剰に拡散してWC基超硬の機械的強度が低下する。したがって、Cr層の厚みを制御することが、接合強度を向上させるキーファクターであることを見出した。
(3)接合合金の含有成分について仮説と検証に基づく幾多の必見を繰り返した結果、Ni−Cr―B−Si成分からなり、Feを含む不可避不純物を含有した合金が接合強度にすぐれているということを見出した。特に、接合合金中にBおよびSiを添加することによって、融点をさげることができ、焼結体の劣化を防止できることを見出した。
(4)前記接合部の状態を観察すると、図2に示すように、接合合金として挿入したNi−Cr−B−Si系合金は溶融しているが、Niは、超硬表面に形成されたCr層によって、過剰な拡散が防止されている。なお、切れ刃部のWC基超硬製支持片および超硬製工具本体の接合面表面に深さ2μm以上15μm以下のNi拡散層を形成していることを確認した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) WC基超硬製支持片で裏打ちされたcBN焼結体またはPCD焼結体から構成された切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを接合合金を介在させて局部加熱で接合した接合部を有する切削工具において、
前記切れ刃部およびWC基超硬製工具本体が、接合合金との接合面にそれぞれCr層を有し、
前記Cr層間の接合層中の5点を測定し平均した合金組成が、Cr:14〜18at%、B:20〜26at%、Si:1〜5at%、Ni:32〜40at%、残部がFeおよび不可避不純物であることを特徴とする切削工具。
(2) 前記Cr層の平均層厚が、0.1〜1.0μmであることを特徴とする(1)に記載の切削工具。
(3) 前記接合部が、接合合金のNi成分が切れ刃部のWC基超硬製支持片内およびWC基超硬製工具本体内に拡散して形成されたNi拡散層と、前記Cr層と、前記Cr層間の接合層とからなり、該接合部の合計平均層厚が5〜50μであることを特徴とする(1)または(2)に記載の切削工具。」
を特徴とするものである。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明では、cBN焼結体またはPCD焼結体を素材とする切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを接合合金を介在させて接合し、切削工具を構成する。
この切削工具の製造法の一例は、cBN焼結体を切れ刃部の素材とする場合は、以下のとおりである。
(a)65容量%のcBNと残りTiN、TiCN、TiC、Al結合相をボールミルで24時間、アセトンを用いて湿式混合する。
(b)得られた混合粉末を乾燥後、油圧プレスにて成形圧100MPaで成形する。
(c)得られた成形体を真空中1×10−2Pa、温度1000℃、保持時間30分の条件で熱処理し、揮発成分および粉末表面への吸着成分を除去する。
(d)成形体と超硬合金基材を積層し、代表的には圧力5GPa、温度1500℃、保持時間30分の条件で超高圧高温処理し、cBN焼結体を得る。
(e)得られたcBN焼結体の上下面を研削した後、cBN焼結体円板を得る。
(f)cBN焼結体円板をワイヤー放電加工機で所定寸法に切断し、WC基超硬製支持体付き切れ刃用cBN焼結体片を得る。
(g)cBN焼結体片のWC基超硬製支持片とWC基超硬製工具本体の接合面表面にあらかじめ、Crをコーティングする。例えば、無水クロム酸を溶液として電解析出することで超硬表面にCr層を得ることができる。Cr層が厚すぎると接合合金がcBN焼結体片のWC基超硬製支持体およびWC基超硬製工具本体中に拡散することができなくなるため、1.0μm以下が好ましい。
(h)接合合金は、所定量の組成になるように秤量し、真空アーク溶解炉で溶融してボタン形状のインゴットを得る。これを熱間圧延して板状にした後、さらに冷間圧延で所定の厚み、例えば、50μmの薄板を得る。
(i)前記(g)の工程でCrがコーティングされたWC基超硬製工具本体の先端部に前記(h)の方法で得た薄板形状の接合合金、例えば、Ni−Cr−B−Si合金を設置し、さらにcBN焼結体片をWC基超硬製支持体が接合面側に来るように設置する。このcBN焼結体片のWC基超硬製支持体表面には、同じくCrがコーティングされている。この状態で圧力100MPaで加圧し、不活性ガス中にて高周波で接合部を局部加熱することにより接合が形成される。
(j)上下面および外周面を研磨して、ロングネックタイプのボールエンドミル形状を得る。
(k)さらに面取り加工でホーニングを設ける。
(l)その後、必要に応じて、例えば、TiAlNなどからなる硬質被覆層をPVDで設けることによって、耐摩耗性などを向上させることもある。
前記のようにしてできた接合面にCr層を形成したcBN焼結体を素材とする切れ刃部のWC基超硬製支持体とWC基超硬製工具本体との間の接合層の状態を目視観察すると、接合合金として挿入したNi−Cr−B−Si合金は消失しており、あたかも、WC基超硬製工具本体とcBN焼結体片とが一体化した複合材料が形成されているようにみられるが、接合層についてオージェ電子分光法(AES)を用いて、詳細にその構成成分、分布を調査したところ、WC基超硬製工具本体との接合面近傍では、WC基超硬製工具本体のWC粒子のW成分と表面にコーティングしたCrとが合金化することでWC基超硬と接合合金との間に強固な接合層を形成していること、および、接合合金成分のNiは、WC基超硬製工具本体の接合面に形成したCr層がバリアになって、WC基超硬製工具本体中に過剰に拡散することなく接合面近傍に留まっていることを確認した。一方、cBN焼結体片のWC基超硬製支持体表面近傍ではWC粒子のWと表面にコーティングしたCrとが合金化することでWC基超硬と接合合金との間に強固な接合層を形成していること、および、接合合金成分のNiは、WC基超硬製支持片の接合面に形成したCr層がバリアになって、WC基超硬製支持片中に過剰に拡散することなく接合面近傍に留まっていることを確認した(図2参照)。
なお、本発明において、接合層とは、WC基超硬製工具本体に形成したCr層とcBN焼結体片のWC基超硬製支持体表面に形成したCr層との間の層を意味している。また、接合部とは、WC基超硬製工具本体およびBN焼結体片のWC基超硬製支持体中に形成されるNi拡散層と、WC基超硬製工具本体およびBN焼結体片のWC基超硬製支持体の接合面表面に形成したCr層と、前記Cr層間に形成される接合層とから形成されるWC基超硬製工具本体とBN焼結体片との接合領域のことを意味している。
さらに、前記接合層中の5点についてオージェ電子分光法により合金組成を求めその平均値を算出し、接合特性(引張強さ、曲げ強さ、せん断強度など)との関係について鋭意研究を重ねたところ、Cr:14〜18at%、B:20〜26at%、Si:1〜5at%、Ni:32〜40at%、残部がFeおよび不可避不純物であるときに、接合部はすぐれた接合特性を有することが判明した。
前述のようにWC基超硬製工具本体上に接合合金を設置し、さらにWC基超硬製支持体を有するcBN焼結体片を設置し、圧力100MPaをかけた状態で、例えば、Arガスのような不活性ガス中にて高周波で接合部近傍を局部加熱することにより、WC基超硬製工具本体とcBN焼結体片のWC基超硬製支持体との両方にNi拡散層を有する接合部を形成することができる。
このとき接合部の形成に用いる接合合金の厚みは、厚くなりすぎると接合強度が低下するため50μm以下が望ましい。また、Ni拡散層は、強固な接合強度を得るだけでなく、接合部に発生する応力を緩和する目的があるため、厚みは、2μm以上あることが望ましい。一方、厚くなりすぎると接合部の強度が低下するため15μm以下であることが望ましい。
また、接合合金のNi成分が切れ刃部のWC基超硬製支持片内およびWC基超硬製工具本体内に拡散して形成されたNi拡散層と、Cr層と、Cr層間の接合層とからなる接合部の合計平均層厚は、50μmを超えると接合部自身に曲げ、引っ張り等の力が直接加わり接合部分の強度が低下し、折損の問題が発生する。一方、5μm未満になるとNi接合層、接合層、Cr層の厚みのそれぞれが、薄くなるため、接合強度を十分に発揮できなくなるため好ましくない。そのため、接合部の接合部の合計平均層厚は、5〜50μと定めた。
接合合金中のNiは、WC基超硬製工具本体に含まれるCoバインダ中に拡散することで一体化し、強固な接合を得る効果があるが、WC基超硬製工具本体の接合面に形成されたCr層により、過剰な拡散が抑制されるため、WC基超硬製工具本体の機械的特性の低下が防止される。BとSiは、接合合金の融点を下げる作用があるため、接合時に加える温度を下げることができ、cBN焼結体やPCD焼結体の劣化を防止することができる。さらに、Crは、WC基超硬製工具本体およびcBN焼結体またはPCD焼結体に裏打ちされたWC基超硬製支持片中のW成分と合金化することにより、WC基超硬製工具本体およびWC基超硬製支持片と接合合金との間に強固な接合層を形成する。
ここで接合層中の5点で測定した合金組成の平均値を前記のように定めた理由について説明する。
Cr:
WC、Ni両元素とも濡れ性がよく、接合部の強度を改善する効果がある。しかしながら、含有量が18at%を超えると高温強度低下の原因となる。また、14at%より少ないと十分な濡れ性が得られない。そこで、Crの含有量は、14〜18at%と定めた。
B、Si:
接合は、950℃より低い温度で行う必要がある。というのは、950℃以上になるとcBN焼結体またはPCD焼結体の特性が劣化するからである。特に、バインダとしてCo等の金属を使用した場合、劣化が顕著になるため950℃以下で行う必要がある。
ところが、NiおよびCrは、融点がそれぞれ1455℃、1903℃であり、cBN焼結体やPCD焼結体の接合には高温すぎるため、融点を下げる必要がある。BおよびSiは、NiおよびCrの両方と共晶反応するため、融点を下げることが可能になる。そこで、BおよびSiを用いて融点を下げるのだが、Bが20at%よりも少ないと十分に融点を下げることができず、26at%よりも多いと脆化の原因になる。また、Siが1at%よりも少ないと十分に融点を下げることができず、5at%よりも多いと脆化の原因になる。そこで、BおよびSiの含有量は、B:20〜26at%、Si:1〜5at%と定めた。
Fe:
Feは、安価な素材であるため接合合金の低価格化につながり、Niと同様の効果が期待できるので数at%添加しているが、AES分析では検出されなかったため、その他不可避不純物と同じく量は規定しないが、表3に示すように接合合金中に数wt%添加している。
Ni:
接合層の合金組成において、前記成分を除いた残部を占める成分であって、高温強度が高いので強固な接合強度が得られる。また、Niは、溶融時の移動度も高いため、接合部全体に亘り拡散し、WC基超硬製工具本体とcBN焼結体またはPCD焼結体とを強固に接合する。Niが32at%よりも少ないと強度の改善効果が十分に得られず、40at%より多いと融点が高くなりすぎcBN焼結体やPCD焼結体の性能が劣化する原因となる。
本発明によれば、cBN焼結材またはPCD焼結材を素材とする切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを接合合金を介在させて接合した接合部を有する切削工具において、切れ刃部およびWC基超硬製工具本体が、接合合金との接合面にCr層を有し、Cr層間の接合層中の5点を測定し平均した合金組成が、Cr:14〜18at%、B:20〜26at%、Si:1〜5at%、Ni:32〜40at%、残部がFeおよび不可避不純物であることによって、接合面のCr層がNi拡散のバリアになり、過剰なNiの拡散を防止することが可能になることから、切れ刃部とWC基超硬製工具本体との接合強度が飛躍的に向上する。
その結果、cBNやPCDチップを刃先に使用したエンドミルやドリルにおいて、接合部からの折損がない強固な接合を得ることが可能になる。また、回転工具だけでなくインサートによる高硬度鋼やAl−SiC複合材料の高負荷加工において、刃先飛びがない強固な結合を安価で得ることが可能になる。
ロングネックタイプのボールエンドミルの外観を示した斜視図である。 本発明エンドミル1の接合部全体を観察した写真である。
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも0.5〜1μmの平均粒径を有するWC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度1400℃、保持時間1時間の条件で焼結し、表1に示される4種のWC基超硬製工具本体(以下、単に超硬製工具本体と云う)A−1〜A−4を形成した。
次に、cBN焼結体の原料粉末として、いずれも0.5〜4μmの範囲内の平均粒径を有するcBN粉末、TiN粉末、TiCN粉末、TiB粉末、TiC粉末、AlN粉末、Al粉末を用意し、これら原料粉末を所定の配合組成で配合し、ボールミルで24時間アセトンを用いて湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で直径15mm×厚さ1mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形し、ついでこの圧粉体を、圧力1×10−2Paの真空雰囲気中、温度1000℃、保持時間30分の条件で焼結して、揮発成分および粉末表面への吸着成分を除去し、切れ刃片用予備焼結体を形成した。そして、この切れ刃片予備焼結体を、別途用意したCo:16質量%、WC:残りの組成を有し、直径15mm×厚さ2mmの寸法を持ったWC基超硬合金製支持片と重ね合わせた状態で、通常の超高圧焼結装置に装入し、圧力5GPaの真空雰囲気中、温度1500℃、保持時間30分の条件で超高圧高温焼結し、cBN焼結体B−1〜B−6を作製した。cBN焼結体B−1〜B−6の焼結体の組成を、焼結体断面研磨面のSEM観察結果の画像分析により求めたcBNの面積%を容量%として求めた。cBN以外の成分については、主結合相およびその他の結合相を構成している成分を確認するに止めた。その結果を表2に示す。
次に、前記cBN焼結体(以下、単に焼結体と云う)片のWC基超硬支持片と超硬合金製工具本体の接合面表面にそれぞれ、Crをコーティングする。Crのコーティングは、通常のコーティング方法を用いることができるが、本実施例においては、次に説明する電解メッキ法を用いた。すなわち、無水クロム酸を溶液として電解析出することで接合面表面にCr層を形成した。Cr層の厚さは、Niの過剰な拡散を抑制しつつ、接合部に要求される接合強度を確保するのに必要な適度な量の接合合金が焼結体および超硬合金製工具本体中に拡散することができる厚さとすることが必要である。その厚さについて、鋭意探求したところ、Cr層が厚すぎると接合合金がWC基超硬中に拡散することができなくなるため1.0μm以下とすることが望ましいことを見出した。一方、0.1μm未満になるとNiの過剰な拡散を抑制するという本来の機能が十分に発揮できなくなることも確認された。したがって、Cr層の厚さは、0.1〜1.0μmとすることが好ましい。Cr層形成面の縦断面をオージェ電子分光法(AES)による面分析で観察し、Cr層の平均層厚を求めた。その結果を表4に示した。
次に、接合合金は、表3に示される配合組成になるように原料粉末を秤量し、真空アーク溶解炉で溶融してボタン形状のインゴットとする。これを熱間圧延して板状にした後、さらに冷間圧延で50μmの薄板形状の接合合金C−1〜C―6を得た。
次に、前述の工程で接合面表面にCrがコーティングされた超硬合金製工具本体の先端部に前述の方法で得た薄板形状の接合合金を設置し、さらに前述の工程で接合面表面にCrがコーティングされたWC基超硬合金製支持片が裏打ちされた焼結体を設置する。この状態で圧力100MPaで加圧し、不活性ガス中にて高周波で接合部近傍を局部加熱することによりNi拡散層とCr層と残留している接合合金とからなる接合部が形成される。なお、接合条件によっては、接合合金がすべてWC基超硬合金製支持片および超硬合金製工具本体中に拡散して消失していても構わない。
前述のようにそして、上下面および外周面を研磨して、図1に示すようなロングネックタイプのボールエンドミル形状とし、さらに面取り加工でホーニングを設けることにより、表4に示すような本発明エンドミル1〜10を作製した。
また、比較の意味で、前記と同様の工程により、Cr層が0.1〜1.0μmの範囲から逸脱するもの、接合合金の合金組成が本発明で用いるのとは異なる接合合金C−7〜C−10を用いた比較エンドミル1〜6を作製した。
本発明エンドミル1〜10、比較エンドミル1〜6のそれぞれについて、接合部縦断面をオージェ電子分光法(AES)による面分析で観察した。その結果の一部を図2に示す。図2は、本発明エンドミル1の接合部全体を観察した写真である。明るく見えるのがNi、中央が接合合金、左側が切れ刃のWC基超硬合金製支持部、右側がWC超硬製工具本体である。Niが切れ刃の超硬合金部およびWC超硬製工具本体に拡散しているのが確認できるが、接合合金と超硬との境界部分にCrとWの合金層が形成されており、これにより、Niの過剰な拡散が阻止されていることが確認できる。このNiが拡散している領域全体が、接合部に相当する。この写真から接合部の厚みを算出すると、写真の左側、すなわち、切れ刃の超硬合金部内のNi拡散層の平均層厚が7.3μm、それに隣接するCr層の平均層厚が0.6μm、接合層の平均層厚が5.2μm、WC超硬製工具本体内のNi拡散層の平均層厚が8.8μm、それに隣接するCr層の平均層厚が0.7μmで接合部の合計平均層厚は、22.6μmとなっていた。他のサンプルについても同様に接合部の厚みを測定した。また、接合層中の5点について、オージェ電子分光法(AES)による面分析で測定した合金組成の平均値を求めた。なお、オージェ電子分光(AES)による面分析による合金測定の測定には、表4に示したような平均マトリックスル相対感度係数(AMRSF)を使用した半定量分析をおこなった。AMRSFは密度、電子の脱出深さ、背面散乱効果、弾性散乱補正などのマトリックス補正をほぼすべて含んでいるので、いくつかある相対感度係数(RSF)の中でも最も正確である。したがって、本発明では、AMRSFを用いた。その結果を表4にしめした。
つぎに、本発明エンドミル1〜10、比較エンドミル1〜6のそれぞれについて、曲げ試験を実施し、曲げ強さを測定するとともに、破断箇所を目視観察した。その結果を表4に示した。なお、曲げ試験は、JIS・R1601で規定される超硬合金の曲げ強さ試験方法に準じた3点曲げ試験によって、JISより小さいサンプル形状を用いて行った。
表4に示される結果から、本発明エンドミル1〜10は、cBN焼結材を素材とする切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを接合合金を介在させて接合した接合層を有し、切れ刃部およびWC基超硬製工具本体が、接合合金との接合面にCr層を有し、接合層の5点で測定した合金組成の平均値が、Cr:14〜18at%、B:20〜26at%、Si:1〜5at%、Ni:32〜40at%、残部がFeおよび不可避不純物であることによって、接合面のCr層がNi拡散のバリアになり、過剰なNiの拡散を防止することが可能になることから、切れ刃部とWC基超硬製工具本体との接合強度が飛躍的に向上する。その結果、2.7GPa以上の曲げ強さを示し、かつ、破断は、接合部以外の箇所(超硬合金部材)で生じていることから、すぐれた接合強度を有する複合材料であることが明らかである。
特に、接合合金との接合面に設けるCr層の平均層厚が0.1〜1.0μmである場合または接合部の合計平均層厚が5〜50μmである場合には、曲げ強度は、3.7GPa以上とさらにすぐれた接合強度を示す。
それに対して、接合層の合金組成、Cr層の平均層厚が本発明の範囲を逸脱する比較エンドミル1〜6は、曲げ強度が0.7〜1.8GPaを低い上に、いずれも接合面または接合部で破断が生じており、接合強度の点で劣っている。
なお、本実施例においては、エンドミルを例にとって具体的に説明したが、本発明は、エンドミルに限られることなく、ドリル、インサートなど切り刃部と工具本体との接合部をもつすべての切削工具に適用可能であることはいうまでもない。また、切れ刃部の素材にcBN焼結体を用いたものを例にとって具体的に説明したが、PCD焼結体であっても同様の効果が得られることを確認した。
前述のように、本発明の切削工具は、各種の鋼や鋳鉄、Al−SiC複合材料などの高負荷切削加工であっても、cBN焼結体またはPCD焼結体製切れ刃部とWC基超硬製工具本体との接合強度がすぐれていることによって、長期に亘って安定した切削性能を発揮するものであるから、切削加工装置の高性能化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (3)

  1. WC基超硬製支持片に裏打ちされたcBN焼結体またはPCD焼結体から構成される切れ刃部とWC基超硬製工具本体とを接合合金を介在させて接合した接合部を有する切削工具において、
    前記切れ刃部およびWC基超硬製工具本体が、接合合金との接合面にそれぞれCr層を有し、
    前記Cr層間の接合層中の5点を測定し平均した合金組成が、Cr:14〜18at%、B:20〜26at%、Si:1〜5at%、Ni:32〜40at%、残部がFeおよび不可避不純物であることを特徴とする切削工具。
  2. 前記Cr層の平均層厚が、0.1〜1.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記接合部が、接合合金のNi成分が切れ刃部およびWC基超硬製工具本体内に拡散して形成されたNi拡散層と、前記Cr層と、前記Cr層間の接合層とからなり、該接合部の合計平均層厚が5〜50μであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削工具。
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