JP2013181858A - 放射能汚染物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染土壌が載置されている現地で随時、比較的容易に処理出来る放射能汚染物の処理方法を提供する。
【解決手段】放射能汚染物が発生している現地において、有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝1を用意し、当該耐熱セラミック坩堝1の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝1の開口に上蓋3をし、当該耐熱セラミック坩堝1の開口縁と前記上蓋3の接触面に釉薬2を塗布し、これを移動型炉5に入れ、当該移動型炉5内で昇温して当該耐熱セラミック坩堝1を完全密封して前記放射能汚染物のガラス固化を行う。
【選択図】図2
【解決手段】放射能汚染物が発生している現地において、有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝1を用意し、当該耐熱セラミック坩堝1の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝1の開口に上蓋3をし、当該耐熱セラミック坩堝1の開口縁と前記上蓋3の接触面に釉薬2を塗布し、これを移動型炉5に入れ、当該移動型炉5内で昇温して当該耐熱セラミック坩堝1を完全密封して前記放射能汚染物のガラス固化を行う。
【選択図】図2
Description
この発明は、放射能による汚染物、特に、汚染土壌等の処理方法に関するものである。
従来、原子力発電所等から排出される通常の放射性による汚染物(放射性廃棄物)としては、高レベルのものから低レベルのものまで様々なものが有り、その処理方法も分けられている。例えば、高レベル放射能汚染物は地層処分、低レベル放射能汚染物は放射能レベルによって高いものは余裕深度処分、比較的低いものは浅地中ピット処分、極めて低いものは浅地中トレンチ処分等が行われている。
この様な中、低レベルの放射能による汚染土壌の処理について関心が高まっている。例えば、昨年の東日本大震災による福島県の福島第一原子力発電所事故のように、放射能により汚染された土壌が発生した場合などは、処理自体にも時間がかかり、また、費用的にも多額の費用がかかってしまう。
この様な汚染土壌を処理する方法として、特許文献1のものが有る。これは、汚染土壌、セメント、水及び硼珪酸系ガラス玉等を混入した充填材料を作成し、これをコンクリート製品から成る中空の外装容器の内部に充填して硬化させ、溶出しないようにして、護岸ブロックとして設置すると言うものである。
実用新案登録第3171956号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載されたものでは、汚染土壌を前記ブロックの製造工場まで運ばなければならず、費用と時間、さらに、手間がかかる。出来得るなら、もっと効率よく、時間、費用及び手間がかからない方法があれば、それは望まれるものである。
この発明は、この様な状況を鑑みて行われたもので、汚染土壌が載置又は放置されている現地で随時、比較的容易に処理出来る放射能汚染物の処理方法を提供して前記課題を解決するものである。
請求項1の発明は、放射能汚染物が発生している現地において、有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝を用意し、当該耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝の開口に上蓋をし、当該耐熱セラミック坩堝の開口縁と前記上蓋の接触面に釉薬を塗布し、これを移動型炉に入れ、当該移動型炉内で昇温して当該耐熱セラミック坩堝を完全密封して前記放射能汚染物のガラス固化を行う放射能汚染物の処理方法とした。
請求項2の発明は、放射能汚染物が発生している現地において、有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝を用意し、当該耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝の開口に、上面に貫通口を設けた上蓋を被せ、当該耐熱セラミック坩堝を移動型炉の中に入れて昇温し、当該昇温中に発生するガスの排出処理を行い、その後、当該耐熱セラミック坩堝の開口縁と前記上蓋の接触面及び当該上蓋の貫通口に釉薬を塗布し、再度前記移動型炉で昇温して当該耐熱セラミック坩堝を完全密封する放射能汚染物の処理方法とした。
請求項3の発明は、前記耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物を入れる前に、当該耐熱セラミックの内外側面全面に前記釉薬を塗布する前記請求項1又は2に記載の放射能汚染物の処理方法とした。
請求項1の発明によれば、放射能汚染物が発生している現地において、移動型炉を用い、略円筒形状の耐熱セラミック坩堝及び釉薬を使用して、放射能汚染物のガラス固化を行うので、放射能汚染物を処理場まで運ぶ必要が無く、そのままその場所で処理出来、放射能汚染物の拡散を速やかに確実に防ぐことが出来る。また、放射能汚染物を処理場まで運ぶための運搬費用が不要で、運搬時間も不要なので、安価に放射能汚染物を処理することが出来る。さらに、高価な加熱炉等を使用しないので、この点からも安価に放射能汚染物の処理が出来る。また、この様に処理した耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物を密封したため、当該坩堝から放射線が放出されず、安全となる。従って、これを適宜地中に埋設すれば良い。
請求項2の発明によれば、耐熱セラミック坩堝を移動型炉の中に入れて昇温し、当該昇温中に発生するガスの排出処理を行うので、処理中に大量の排出ガスを発生させる場合であっても、不都合無く処理出来、放射能汚染物の処理方法として、信頼性が高いものである。
請求項3の発明によれば、耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物を入れる前に、当該耐熱セラミックの内外側面全面に前記釉薬を塗布することとしたので、耐熱セラミック坩堝は完全に無貫入の状態となり、長期保存の場合でも、この耐熱セラミック坩堝から、又は耐熱セラミック坩堝に対して水の滲入滲出を防ぐことが出来、より完全に放射能汚染物の漏洩を防ぐことが出来、放射能汚染物の処理方法として信頼性の高いものである。
放射能汚染物が発生している現地において、有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝を用意し、当該耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝の開口に上蓋をし、当該耐熱セラミック坩堝の開口縁と前記上蓋の接触面に釉薬を塗布し、これを移動型炉に入れ、当該移動型炉内で昇温して当該耐熱セラミック坩堝を完全密封して前記放射能汚染物のガラス固化を行う。
これにより、放射能汚染物を現地で処理出来、当該放射能汚染物の拡散を速やかに確実に防ぐことが出来る。また、放射能汚染物を処理場まで運ぶための運搬費用が不要で、運搬時間も不要なので、安価に放射能汚染物を処理することが出来る。また、耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物を密封したため、当該坩堝から放射線が放出されず、安全となる。
以下、この発明の実施例の放射能汚染物の処理方法を図に基づいて説明する。この発明の実施例の放射能汚染物の処理方法は、およそ、この放射能汚染物を収納、処理する耐熱セラミック坩堝1、この耐熱セラミック坩堝の密封性を上げるために塗布する釉薬2、及び前記耐熱セラミック坩堝を中に入れて昇温する移動型炉5を使用して行われる。
まず、最初に、耐熱セラミック坩堝1を説明する。この耐熱セラミック坩堝1は、図3に示す様に、有底で上面が開口した円筒形状体4と、図4に示す、この円筒形状体4に被せる上蓋3から成る。前記円筒形状体4は、外径700mm、高さ900mm、内径600mm、内径高さ800mm、容量は220リットル(2リットルのペットボトル110本分)である。また、上蓋3は、前記円筒形状体4と同一の材質から成り、この上蓋3の上面中央には、内側につながった貫通口3aが設けられている。
この耐熱セラミック坩堝1は、被処理物に応じて、アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、ジルコニア、希土類、耐火材料等、また、その他の材質のものを適宜選択して組み合わせて構成される。この耐熱セラミック坩堝1は、1250℃までの範囲であれば、坩堝自体の収縮は無く、また、熱変化による割れやひび割れ等は無い。例えば、急激な昇温、急冷時でも前記温度範囲内であれば坩堝の収縮は起こらない。通常は時間をかけゆっくりと所定温度まで昇温、冷却するのが通例であるが、この耐熱セラミック坩堝1は一気に昇温し、移動型炉5内に外気を導入し即効で冷却しても何ら変化はない。従って作業時間の大幅な短縮が出来る。
また、釉薬2としては、用途に応じて、粘土や灰などを水に懸濁させたものを用いる。
また、移動型炉5としては、図2に示す様に、トラック(図示省略)などによって運搬されるものであって、この移動型炉5には、電熱ヒータやガス等による加熱装置、また、前記耐熱セラミック坩堝1を昇温した際、被処理物から発生するガスを通して無害化して外部に排出するセラミック活性炭を備えたバグフィルター、冷却装置、消臭装置及びブロア等が備えられている(図示省略)。この移動型炉5の一例として、ここでは1000mm×1000mm×5000mmの大きさのものを使用する。
次に、この実施例の放射能汚染物の処理方法を説明する。図1では、この発明の実施例の放射能汚染物の処理方法に加えて、地中への埋設も示したチャートを示す。放射能汚染物が発生した現地へ、多数の耐熱セラミック坩堝1を搭載した移動型炉5をトラック等で現地に搬入し(ステップ1)、耐熱セラミック坩堝1の中に、発生した放射能汚染物、例えば、汚染土壌や汚染した焼却灰をガラス粉と一緒に投入して撹拌混合する。この耐熱セラミック坩堝1の内外側面全面には、予め、前記釉薬2が塗布されている。
この後、図4に示す様に、前記耐熱セラミック坩堝1の円筒形状体4の上面の開口に上蓋3をする。この様な放射能汚染物とガラス粉を撹拌混合したものを収納した耐熱セラミック坩堝1を、図2及び図5に示す様に、5個用意して並べ、前記移動型炉5の中に入れて(図1のステップ2)、およそ6時間加熱し、炉内温度を1200℃程度にまで上げて第1回目の昇温を行う。
この間、移動型炉5の加熱又は昇温により、放射能汚染物から発生したガスが、前記耐熱セラミック坩堝1の上蓋の貫通口3aを通じてガス炉5内に排出される。これらのガスに対しては、前記バグフィルターによって除塵され、消臭装置及び冷却装置を通って無害化されて大気中に放出される。また、前記バグフィルターで使用し、塵が吸着した汚染セラミック活性炭は、別途、前記耐熱セラミック坩堝1にてガラス固化されて処理される。
この後、前記移動型炉5の前扉を開け、炉内温度を400℃〜500℃まで2時間程度で急冷する。その後、当該耐熱セラミック坩堝1の円筒形状体4の上部開口縁と上蓋3の接触面及び当該上蓋3の貫通口3aに前記釉薬2を塗布し、上蓋3をして、再度前記移動型炉5内に運び入れ、1200℃まで加熱して第2回目の昇温を約4時間行う(図1のステップ3)。なお、前記貫通口3aへの釉薬2の塗布は貫通口3aを塞ぐものである。これにより前記釉薬2を溶融してこの耐熱セラミック坩堝1の円筒形状体4と上蓋3とを一体化して完全密封する(図1のステップ4)。この様にしてガラス固化を現地で行う。
この実施例の処理前と処理後の放射線量を測定した。測定場所は、福島県川俣町山木屋地区であって、測定対象は当該地区の汚染土であった。放射線量測定機は、ロシア製のSOEKSを使用した。処理前の前記汚染土そのものの放射線量は、29.15マイクロシーベルトであったが、処理後に耐熱セラミック坩堝内の被処理物上で測定したところ10.34マイクロシーベルトであり、処理前のおよそ1/3であった。また、この被処理物を収納した耐熱セラミック坩堝の上面に測定器を載置して測定したところ放射線量は、3.29マイクロシーベルトであり、処理前のおよそ1/10であった。
この後、図6に示す様に、処理した放射能汚染物を人工構造物に収納し、放射能レベルに応じた処分を行う。例えば、低レベル放射能汚染物の場合、前記処理された耐熱セラミック坩堝1をピット6に入れて浅地中に埋設する(図1のステップ5)。
この様な移動型炉5で1バッジ5本のガラス固化処理を行うことが出来る。1バッジを処理するのに12時間かかるとして、1日2バッジの処理が可能となる。移動型炉5は昇温が目的であるので、内部に耐熱煉瓦等を設けることは不要であり、耐熱ウール等で充分効果を奏することが出来、安価な処理が可能である。また、移動型炉5は分割式とし、放射能汚染が確認された移動型ガス炉は粉砕して小片とし、残った耐熱セラミック坩堝1内にガラス粉と共に入れて別途、ガラス固化処理を行う。
この耐熱セラミック坩堝1の内外側面全面には、予め、前記釉薬2が塗布されているので、この耐熱セラミック坩堝1は完全に無貫入の状態となり、長期保存の場合でも、この耐熱セラミック坩堝1から、又は耐熱セラミック坩堝1に対して水の滲入滲出は無い。
この様に、この実施例の処理方法によれば、放射能汚染物を処理場まで運ぶ必要が無く、そのままその場所で処理出来、放射能汚染物の拡散を速やかかつ確実に防ぐことが出来る。すなわち、放射能汚染物を処理場まで運ぶための運搬費用が不要なので安価に処理することが出来、また、運搬時間も不要なので効率的に処理することが出来る。
これらのことから、放射能汚染物をかなり効率的に処理することが出来る。また、高周波誘導加熱炉などを使用せず、実施例のように電気ヒータやガス炉から成る移動型炉5及び耐熱セラミック坩堝1を使用するものなので安価に処理出来る。この様なことから、処理量として膨大なものがあっても、結果的に処理費の低減にもつながるものである。
前記実施例では、耐熱セラミック坩堝1を一旦昇温処理して当該昇温処理により発生したガスを上蓋3の貫通口3aから排出して処理を行い、その後急冷し、さらに、耐熱セラミック坩堝1の円筒形状体4の上部開口縁と上蓋3の接触面及び当該上蓋3の貫通口3aに前記釉薬2を塗布し、再度、前記移動型炉5内に運び入れ、加熱して昇温し、この耐熱セラミック坩堝1の円筒形状体4と上蓋3とを一体化して完全密封しているが、被処理物によっては、最初の昇温の際、前記上蓋3を被せないで昇温しても良い。ただ、この場合も2回目の昇温の際は上蓋3を被せ、前記実施例の様に釉薬2を塗布して行う。
また、被処理物によっては、ガスの排出処理を省略して、最初から釉薬2を耐熱セラミック坩堝1の円筒形状体4の上部開口縁と上蓋3の接触面に前記釉薬2を塗布して1回の昇温で完全密封するようにしても良い。
また、放射能汚染物の処理に際して、耐熱セラミック坩堝1の内外側面全面に予め釉薬を塗布しているが、被処理物によっては、耐熱セラミック坩堝1の内外側面全面に釉薬を塗布する必要は無い。
また、耐熱セラミック坩堝1を昇温する温度、時間、1日の処理量などを具体的に記載しているが、これらの数値は、被処理物によって最適なもの又は最適な処理量を選択すればよい。また、移動型炉5としては電気ヒータやガス炉と記載しているが、本願発明の目的を達成出来るだけの火力が得られるものであるならば他の加熱炉でも良い。
1 耐熱セラミック坩堝 2 釉薬
3 上蓋 3a 貫通口
4 円筒形状体 5 移動型炉
6 ピット
3 上蓋 3a 貫通口
4 円筒形状体 5 移動型炉
6 ピット
Claims (3)
- 放射能汚染物が発生している現地において、
有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝を用意し、当該耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝の開口に上蓋をし、
当該耐熱セラミック坩堝の開口縁と前記上蓋の接触面に釉薬を塗布し、これを移動型炉に入れ、当該移動型炉内で昇温して当該耐熱セラミック坩堝を完全密封して前記放射能汚染物のガラス固化を行うことを特徴とする、放射能汚染物の処理方法。 - 放射能汚染物が発生している現地において、
有底で上面が開口した略円筒形状の耐熱セラミック坩堝を用意し、当該耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物及びガラス材を入れ、当該耐熱セラミック坩堝の開口に、上面に貫通口を設けた上蓋を被せ、
当該耐熱セラミック坩堝を移動型炉の中に入れて昇温し、当該昇温中に発生するガスの排出処理を行い、
その後、当該耐熱セラミック坩堝の開口縁と前記上蓋の接触面及び当該上蓋の貫通口に釉薬を塗布し、再度前記移動型炉で昇温して当該耐熱セラミック坩堝を完全密封することを特徴とする、放射能汚染物の処理方法。 - 前記耐熱セラミック坩堝の中に放射能汚染物を入れる前に、当該耐熱セラミック坩堝の内外側面全面に前記釉薬を塗布することを特徴とする前記請求項1又は2に記載の放射能汚染物の処理方法。
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