以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る湯水混合栓10の斜視図である。図2は、湯水混合栓10の上部の正面図である。図3は、湯水混合栓10の上部の側面図である。湯水混合栓10は、本体12、ハンドル14、吐出部16、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22を有する。本体12の一部は、外カバー13で覆われている。吐出部16は、ヘッド24を有する。ヘッド24では、シャワー吐出と通常吐出との切り替えが可能である。湯水混合栓10は、例えば、キッチン、洗面台等で使用される。
ハンドル14の上下動により、吐出量が調節される(図3の矢印M参照)。本実施形態では、ハンドル14を上側に動かすほど、吐出量が増加する。逆に、ハンドル14を下側に動かすほど吐出量が増加してもよい。また、ハンドル14の旋回により、湯と水との混合割合が変化する。ハンドル14の旋回により、吐水温度の調節が可能である。
図4は、レバー組立体40の斜視図である。湯水混合栓10は、その内部に、レバー組立体40を有する。レバー組立体40は、外カバー13の内部に配置されている。ハンドル14は、ネジ30によって、レバー46に固定されている。レバー組立体40は、単独で取り扱い可能である。湯水混合栓10において、レバー組立体40は交換可能である。
図5は、レバー組立体40の分解斜視図である。図6は、レバー組立体40の平面図である。図7は、図6のA−A線に沿った断面図である。図8は、図6のB−B線に沿った断面図である。図9は、図6のC−C線に沿った断面図である。
図5等が示すように、レバー組立体40は、ハウジング42、回動体44、操作部45、レバー46、レバー軸48、左右クリック用弾性部材50、左右クリック用球体52、軸保持体54、前後クリック用球体56、前後クリック用弾性部材58、可動弁体60、中間弁体61、固定弁体62、スイッチ部材63、パッキン64、パッキン65、Oリング66及びベース体68を有する。操作部45は回動体44に設けられている。回動体44と操作部45とは一体成形されている。また、回動体44と操作部45とは別体であってもよい。操作部45は、回動体44の回転に伴って移動する。球体52及び/又は球体56は、クリック機構における当接部材の例である。当接部材は球体に限定されない。円滑なレバー操作及びクリック感の感触の観点から、当接部材は球体が好ましい。
弾性部材50と球体52とにより、左右クリック用の出退機構が構成されている。球体56と弾性部材58とにより、前後クリック用の出退機構が構成されている。
ベース体68は、湯導入口70、水導入口72及び吐出口74を有する。ベース体68の下部には、これら湯導入口70、水導入口72及び吐出口74のそれぞれに対応した開口が設けられており、これらの開口のそれぞれに、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22が接続されている。
固定弁体62は、ベース体68の上側に固定される。ベース体68には、固定弁体62を固定するための係合凸部76と、ハウジング42を固定するための係合凸部77とが設けられている。固定弁体62には、係合凸部76と係合する係合凹部78が設けられている。
固定弁体62は、湯用弁孔80、水用弁孔82及び混合水用弁孔84を有する。湯用弁孔80は、ベース体68の湯導入口70に接続されている。パッキン64により、この接続の水密状態が保持されている。水用弁孔82は、ベース体68の水導入口72に接続されている。パッキン64により、この接続の水密状態が保持されている。混合水用弁孔84は、ベース体68の吐出口74に接続されている。パッキン65により、この接続の水密状態が保持されている。更に、固定弁体62は、軸孔85を有する。
中間弁体61、固定弁体62及びスイッチ部材63の詳細については、後述される。
可動弁体60は、上側部材86と、下側部材88とを有する。上側部材86は、下側部材88に固定されている。この固定は、凸部90と凹部92との係合によって達成されている。本実施形態では、上側部材86と下側部材88とが互いに別部材である。別部材とすることで、上側部材86と下側部材88とのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法が選択されうる。可動弁体60は全体として一体成形されていてもよい。
図5では示されていないが、下側部材88の下面には、流路形成凹部94が設けられている(図7、図8及び図9参照)。なお、下側部材88の上面には、レバー46の下端95との干渉を避けるための凹部96が設けられている(図5参照)。
レバー46の前後回動の全範囲において、レバー46の下端と可動弁体60(上側部材86)とが接触しないように、凹部96の深さが設定されている。これは、レバー46の前後回動操作を円滑としている。
レバー46の左右回動の円滑性により、左右クリック感(後述)の感受性が高まる。例えば、微小な左右クリック感が認識されやすくなる。よって、左右クリック感の設定の自由度が向上しうる。レバー46の前後回動の円滑性により、前後クリック感(後述)の感受性が高まる。例えば、微小な前後クリック感が認識されやすくなる。よって、前後クリック感の設定の自由度が向上しうる。
なお、図9では、レバー軸48及び弾性部材50の記載が省略されている。
上側部材86の上面には、レバー46の下端95と係合するレバー係合凹部98が設けられている。レバー46の下端95は、このレバー係合凹部98に挿入されている。レバー46の動きに連動して、可動弁体60が中間弁体61の上を摺動する。
なお、レバー46とレバー係合凹部98との係合は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。例えば、レバー46とレバー係合凹部98との間に他の部材が介在していてもよい。
上側部材86の上面には、回動体44の裏面と係合しうる係合凸部99が設けられている。この係合凸部99の上面に、弾性部材配置部101が設けられている。この弾性部材配置部101は、前後クリック用弾性部材58と略同一形状の凹部である。この弾性部材配置部101に、弾性部材58(板バネ)が収容されている。
レバー46は、軸孔100を有する。この軸孔100に、レバー軸48が挿通されている。レバー軸48はパイプ状であり、中空部を有する。このレバー軸48の内部に、弾性部材50が挿通されている。弾性部材50はコイルバネである。レバー軸48の長手方向長さと、弾性部材50の長手方向長さL1(後述)とは、略同一である。レバー軸48の両端のそれぞれに、左右クリック用球体52が配置されている。レバー軸48の中空部の開口部に、球体52が配置されている。同時に、弾性部材50の両端のそれぞれに、球体52が配置されている。なお、弾性部材50の長手方向長さL1は、レバー組立体が組み立てされた状態での弾性部材50の両端部間の長手方向長さである。弾性部材50の自然長は、長さL1よりも長い。
回動体44は、基部102と上部104とを有する。上部104は、レバー挿入孔106と、軸孔108とを有する。基部102は、球体用貫通孔110を有する。この貫通孔110は長孔である。基部102は、可動弁体60(の上側部材86)に、スライド可能に取り付けられている。
上部104は、軸保持体54をスライド挿入するための挿入部112と、スライド溝113とを有する。挿入部112は、上部104の側面の、対向する2箇所の位置に設けられている。
レバー46がレバー挿入孔106に挿入されると、このレバー46の軸孔100と、回動体44の軸孔108とが同軸で配置される。これら軸孔100及び軸孔108に、レバー軸48が挿入される。更にこのレバー軸の内部に、弾性部材50が挿入される。レバー軸48の挿入により、レバー46が、回動可能な状態で、回動体44に固定される。レバー挿入孔106の寸法は、レバー46の回動(前後回動)を許容しうるように設定されている。なお本願では、レバー軸48を回転軸とするレバー46の回動が、「前後回動」とも称される。
ハウジング42は、小径円筒部120と、大径円筒部122と、連結部124とを有する。連結部124は、ハウジング42の半径方向に延在している。小径円筒部120は、上方開口126を有する。大径円筒部122は、下方開口128を有する。
大径円筒部122は、係合孔130を有する。この係合孔130が、ベース体68の係合凸部77と係合している。この係合により、ハウジング42は、ベース体68に固定されている。
回動体44の上部104は、小径円筒部120に回転可能な状態で保持されている。この回転では、上部104の外周面105と、小径円筒部120の内周面121の少なくとも一部とが摺動する。なお、軸保持体54が挿入部112に嵌められると、この軸保持体54の外面は、上部104の円周面部と略同一の円周面を形成する。よって軸保持体54は、回動体44の回転を阻害しない。
大径円筒部122は、回動体44の基部102、操作部45、可動弁体60、中間弁体61、固定弁体62及びスイッチ部材63を収容している。
図10(a)から(h)は、軸保持体54を示す。図10(a)は、上面図である。図10(b)は、内側から見た平面図である。図10(c)は、側面図である。図10(d)は、外側から見た平面図である。図10(e)は、底面図である。図10(f)は、図10(d)のf−f線に沿った断面図である。図10(g)は、図10(d)のg−g線に沿った断面図である。図10(h)は斜視図である。
軸保持体54は、レバー軸保持部134、球保持部136、レール138、球突出用開口140、及び切り欠き142を有する。レール138がスライド溝113に挿入されることで、軸保持体54が回動体44の挿入部112に取り付けられる。軸保持体54が挿入部112に取り付けられた状態が、取付状態とも称される。この取付状態において、レバー軸保持部134は、レバー軸48の端部を保持する。この取付状態において、球保持部136は、球体52を保持する。球体52は、凸部170(後述)との係合の有無に関わらず、弾性部材50によって常に付勢されている。球体52は、弾性部材50によって外側に押圧されている。球体52は、弾性部材50によって球保持部136に押しつけられている。図10(f)及び図10(g)が示すように、球体52の一部は、開口140から突出している。この突出が、左右クリック感の発現を可能とする。開口140の直径は、球体52よりも小さくされる。また、開口140の直径は、左右クリック感の発現が可能となるような球体52の突出量を考慮して、設定される。
軸保持体54は用いられなくても良い。軸保持体54に相当する部分が、回動体44の一部であってもよい。また、軸保持体54が1つであってもよい。すなわち、2つの軸保持体54のうちの一方に相当する部分が、回動体44の一部であってもよい。ただし、軸保持体54を設けることで、回動体44へのレバー46の組み付けが容易となる。この組み付けは、次の工程を含む。
(工程a):弾性部材50が挿入されたレバー軸48を軸孔100及び軸孔108に挿入する。又は、レバー軸48を軸孔100及び軸孔108に挿入し、このレバー軸48に弾性部材50を挿入する。
(工程b):上記工程aの後、レバー軸48(弾性部材50)の両端のそれぞれに球体52を配置する。
(工程c):上記工程bの後、2つの軸保持体54を挿入部112のそれぞれに挿入する。
上記工程bにおいては、例えばグリースを用いて、2つの球体52を、弾性部材50の両端に仮止めする。その後は、上記工程cがなされればよい。この組み付けでは、上記工程bが示すように、弾性部材50の両端に直接球体52を配置することができる。 軸保持体54が用いられることで、組立の容易性が達成されている。
前述したように、軸保持体54は切り欠き142を有する。この切り欠き142により、上記工程cにおける球体52の脱落が抑制される。すなわち、工程bにおける球体52の配置が、工程cにおいて維持されやすい。よって、組立の容易性が更に向上する。
図11は、ハウジング42を下から見た底面図である。よって、この図11には、連結部124の下面125が図示されている。連結部124の下面125は、クリック発現部146と、クリック無発現部148とを有する。更に、下面125は、第1ストッパー150と第2ストッパー152とを有する。
回動体44の基部102は、連結部124の下面125に当接している。回動体44が回転すると、基部102が下面125を摺動する。第1ストッパー150及び第2ストッパー152は、回動体44の回転範囲を規制している。
図12は、図11のF12−F12線に沿った断面図である。図12は、クリック機構発現部146の断面図である。なお図12は、通常の使用状態(図5)とは上下が逆である。すなわち図12では、連結部124の下面125が上側とされている。
クリック機構発現部146は、複数の溝154を有する。クリック機構発現部146は、複数の突条156を有する。これらの溝154及び突条156は、円周に沿って延在している。溝154は、クリック感を発現させるための凹部の一例である。突条156は、クリック感を発現させるための凸部の一例である。
図13は、前後クリック用球体56が存在している位置におけるレバー組立体40の断面図である。 前後クリック用弾性部材58は、板バネである。この弾性部材58は、上側部材86の弾性部材配置部101に配置されている。その弾性部材58の中央部の上側に、球体56が載せられている。球体56は、突条156との係合により、下側に変位しうる。この変位が生じた場合、球体56は、弾性部材58によって上側に付勢される。弾性部材配置部101は、この弾性部材58の中央部が下方に弾性変形することを許容するスペース160を有する。
図14(a)は、可動弁体60の下側部材88の平面図である。図14(a)は下側部材88を上方から見た図である。図14(b)は、下側部材88の底面図である。図14(b)は下側部材88を下方から見た図である。図14(c)は、図14(b)のc−c線に沿った断面図である。図14(d)は、図14(b)のd−d線に沿った断面図である。
流路形成凹部94は、下面開口線94Lを有する。下面開口線94Lは、平滑面PL2における流路形成凹部94の開口形状である。図14(b)において、下面開口線94Lで囲まれた領域Zが破線ハッチングで示されている。
図15(a)は、上側部材86の平面図である。図15(b)は、上側部材86に弾性部材58が載置された状態の平面図である。図15(c)は、上側部材86に弾性部材58及び前後クリック用球体56が載置された状態の平面図である。図15(a)が示すように、弾性部材配置部101は、前述したスペース160と、弾性部材載置面162と、球保持部164とを有する。弾性部材載置面162は、弾性部材58の両端部を下方から支持する。載置面162の周囲には段差があるので、弾性部材58の位置ズレは生じない。球体56は、弾性部材58に載せられつつ、球保持部164によって保持されている。この球保持部164により、球体56の位置ズレは生じない。図13が示すように、回動体44が載せられた状態において、球体56は、回動体44の貫通孔110から、上方に突出している。すなわち、球体56の一部は、回動体44の上面よりも突出した上方突出部である。この上方突出部が連結部124の下面125に当接する。この下面125は、この上方突出部と当接しうる当接面である。この上方に突出した球体56がクリック機構発現部146上を移動することでクリック機構が発現する。上側部材86は、長孔状等の多数の凹部166を有する。これら凹部166は、可動弁体60の軽量化に寄与する。
図16(a)及び(b)は、レバー46の前後回動に伴う上側部材86(可動弁体60)の動きを示す図である。この図では、可動弁体60よりも下側の部材(中間弁体61、固定弁体62、スイッチ部材63等)の記載が省略されている。
図16(a)及び(b)が示すように、レバー46の下端部(ハッチング部分)とレバー係合凹部98との間には、隙間Gpが設けられている。
図16(a)及び(b)において両矢印D2で示されるのは、上側から見た平面視におけるレバー46の前後回動方向である。一方、可動弁体60(上側部材86)の移動方向は直線方向D1である。本実施形態では、方向D1と方向D2とが相違している。すなわち湯水混合栓10では、前後方向D2が直線方向D1に対して平行ではない。図16(a)及び(b)において両矢印θxで示されるのは、直線方向D1と前後方向D2との成す角度である。角度θxの設定により、吐水仕様の自由度が向上する。
上記隙間Gpは、可動弁体60が直線方向D1に沿って移動することを許容する。隙間Gpの存在により、直線方向D1と前後方向D2とが相違するにも関わらず、レバー46の下端部が可動弁体60の移動を阻害しない。
図16(a)に示されるように、吐出量が最大の状態においては、隙間Gpは、湯水混合栓10の使用者側から見てレバー46の右側に位置し、この場合、レバー46の左側には、隙間Gpは実質的に存在しない。 一方、図16(b)に示されるように、止水状態においては、隙間Gpは、湯水混合栓10の使用者側から見てレバー46の左側に位置し、この場合、レバー46の右側には、隙間Gpは実質的に存在しない。これらの構成により、隙間Gpの寸法が最小限とされている。なお、図示しないが、最大吐水と止水との中間状態においては、隙間Gpは、湯水混合栓10の使用者側から見て、レバー46の右側と左側とに存在する。図16(a)において符号G1で示されるのは、レバー46の右側の隙間距離である。図16(b)において符号G2で示されるのは、レバー46の左側の隙間距離である。[G1+G2]は、レバー46の上下方向の位置に関わらず、一定である。
[レバーの前後回動に伴う各部の動き]
前述したように、吐出量の調節では、ハンドル14が上下に動かされる(図3の矢印M参照)。このハンドル14の動きにより、レバー46の前後回動が生じる。この前後回動に連動して、レバー46の下端95が回動する。この下端95とレバー係合凹部98との係合により、可動弁体60が動かされる。可動弁体60は、固定弁体62の上を直線に沿って摺動する。この摺動の間、上面61eと平滑面PL2との面接触は維持される。同時に可動弁体60は、回動体44に対しても摺動する。
レバー46の前後回動によっては、中間弁体61のポジション切替(後述)は起こらない。
可動弁体60の移動方向は、回動体44によって規制されている。この規制は、移動方向規制機構によって達成されている。この規制により、レバーの前後回動によっては湯水の混合割合が変化しない。本実施形態では、複数の移動方向規制機構が採用されている。移動方向規制機構は、回動体44と可動弁体60(上側部材86)との係合である。
この移動方向規制機構には、回動体44が関与している。図5及び図22(後述)が示すように、回動体44(の基部102)の裏面には、スライド溝Gvが設けられている。このスライド溝Gvの中央に、貫通孔110が設けられている。このスライド溝Gvに、係合凸部99が嵌められている。
第1の移動方向規制機構は、上側部材86の係合凸部99と、回動体44のスライド溝Gvとの係合である。より詳細には、係合凸部99の側面174(図15(a)から(c)参照)が、スライド溝Gvの側面Gv2(図13参照)と摺動する。このスライドの方向は、係合凸部99の側面174に沿った直線方向D1(図16参照)である。係合凸部99は、弾性部材配置部101、弾性部材載置面162、球保持部164等を有しつつ、移動方向の規制にも寄与している。また、上方に突出した係合凸部99の上に弾性部材58及び球体56が載置されることで、弾性部材58及び球体56の位置が高くなる。よって、球体56を基部102の上面よりも上側に突出させるのが容易とされている。このように係合凸部99は、移動方向の規制及び前後クリック機構の発現に寄与している。
貫通孔110は、上記スライド溝Gvの底面Gv1に設けられている(図22参照)。すなわちスライド溝Gvの形成された部分は、そのスライド溝Gvの深さの分だけ薄くされており、この薄肉部分に貫通孔110が設けられている。よって、貫通孔110の上下方向長さが短くされており、上記上側突出部の形成が容易とされている。
第2の移動方向規制機構は、上側部材86の側面180(図16(a)、図16(b)及び図5参照)と、回動体44の基部102に設けられた下方凸部182との係合である。この下方凸部182は、図16(a)及び図16(b)においてハッチングで示されている。この下方凸部182は、側面183を有している(図16(a)及び図16(b)参照)。この側面183が、上側部材86の側面180と摺動する。この係合による移動方向も、前述した直線方向D1である。側面180と、前述した側面174とは、平行である。
このように、同一の移動方向D1に対して複数の移動方向規制機構が設けられることで、移動方向がより確実に制御されている。
なお、前述したように貫通孔110は長孔であるが、この長孔の長手方向は、直線方向D1である。貫通孔110の幅及び深さは一定である。この貫通孔110内において、球体56は方向D1(貫通孔110の長手方向)に沿って動く。この動きによって球体56の位置が変化しても、球体56の突出高さは変わらない。なお、長孔の長手方向において、貫通孔110の幅及び/又は高さを変化させることもできる。この場合、球体56の位置の変化によって、球体56の突出高さが変動しうる。この突出高さの変動により、レバー前後位置による前後クリック感の相違が達成されうる。
図17は、レバー軸48の中心軸線に沿ったレバー組立体40の断面図である。小径円筒部120の内周面121には、球体摺動面168が設けられている。この球体摺動面168は、球体52と当接しうる当接面である。球体摺動面168が設けられている周方向範囲は、レバー46の旋回可能範囲に対応している。この球体摺動面168には、クリック発現用の凸部170が設けられている。左右クリック用球体52は、弾性部材50によって、常に、球体摺動面168に押しつけられている。
[レバーの左右回動に伴う各部の動き]
前述したように、温度の調節では、ハンドル14が旋回される。このハンドル14の旋回により、レバー46も旋回(左右回動)する。レバー46の下端95とレバー係合凹部98との係合により、可動弁体60が回転する。可動弁体60は、固定弁体62及び中間弁体61に対して回転する。この回転中において、上面61eと平滑面PL2との面接触は維持される。この回転により、吐水の温度が調節される。このように、湯水混合栓10は、レバー46の左右回動によって吐水温度を調節しうる温度調節機構を有している。
レバー旋回の角度範囲は制約されている。前述したように、連結部124の下面125には、第1ストッパー150及び第2ストッパー152が設けられている(図11参照)。一方、回動体44の基部102は、半径方向外側に突出する外側延在部109を有する(図5及び図22参照)。この外側延在部109には、前述した貫通孔110が設けられている。レバー旋回に伴い、この外側延在部109は、第1ストッパー150から第2ストッパー152までの範囲で円周方向に移動する。すなわち、外側延在部109は、周位置Rx1からRy1までの範囲で円周方向に移動する(図11参照)。この移動において、この外側延在部109の周方向中心位置の移動範囲は、周位置Rx2からRy2までである。この周位置Rx2からRy2までの角度範囲Rfが、レバー46の旋回角度範囲である。角度範囲Rfは、前後クリック用球体56の移動範囲でもある。
このように、外側延在部109とストッパー150、152との係合が、第1の旋回範囲規制機構である。更に、第2の旋回範囲規制機構が設けられている。回動体44の基部102には、第2外側延在部(図示されず)が設けられている。この第2外側延在部は、周位置Rx3からRy3までの範囲で円周方向に移動する(図11参照)。これら2つの旋回範囲規制機構は連動している。外側延在部109が第1ストッパー150に当接しているとき、第2外側延在部は第2ストッパー152に当接している。外側延在部109が第2ストッパー152に当接しているとき、第2外側延在部は第1ストッパー150に当接している。2つの旋回範囲規制機構により、レバー46を限界まで旋回したときの衝撃力が分散し、耐久性が向上する。例えば、第1ストッパー150及び第2ストッパー152の位置により、旋回範囲は自由に設定されうる。
このレバーの左右回動により、ポジション切替が起こる。このポジション切替の詳細については、後述される。
以上のような構造のレバー組立体40は、左右クリック機構と、前後クリック機構とを有する。左右クリック機構とは、レバー46の旋回に伴うクリック感を発現する機構である。前後クリック機構とは、レバー46の前後回動に伴うクリック感を発現する機構である。
[左右回動操作でのクリック感(左右クリック感)]
左右回動操作でのクリック感は、左右クリック機構によって生じる。本願では、このクリック感が、単に左右クリック感とも称される。図17から19が示すように、この左右クリック感は、左右クリック用球体52と凸部170との係合又は係合解除によって生じる。図18は、図17と同様の断面図であり、球体52が凸部170と係合している状態を示す。図19は、図17と同様の断面図であり、球体52と凸部170との係合が解除された状態を示す。レバー46の旋回により、図17の状態から、図18の係合状態に移行し、更に図19の係合解除状態に移行する。図18に示される係合状態によって弾性部材50が圧縮されるとともに、旋回時の抵抗力が増加する。この抵抗力の増加に起因する感覚も、左右クリック感の一例である。また、係合解除の瞬間に、振動が発生する。この振動は、典型的な左右クリック感を生じさせる。また、この係合解除の瞬間に、音が発生する。この音に起因する感覚も、左右クリック感の一例である。
[前後回動操作でのクリック感(前後クリック感)]
前後回動操作でのクリック感は、前後クリック機構によって生じる。本願では、このクリック感が、単に前後クリック感とも称される。図13は、球体56と溝154とが係合した状態を示す。この前後クリック感は、球体56と溝154との係合又は係合解除によって生じる。また、この前後クリック感は、球体56と突条156との係合又は係合解除によって生じる。レバー46の前後回動により、球体56はクリック機構発現部146上を半径方向に移動する。この移動により、球体56と第1の溝154との係合が解除され、更に移動すると、球体56と第2の溝154とが係合する。これらの係合により、振動が生じうる。この振動が前後クリック感を生じさせる。これらの係合により、レバー前後回動時の抵抗力が変化する。この抵抗力の変化に起因する感覚も、前後クリック感の一例である。また、この係合の瞬間に、音が発生する。この音に起因する感覚も、前後クリック感の一例である。また、球体56と突条156との係合により、レバー前後回動時の抵抗力が増加する。この抵抗力の増加に起因する感覚も、前後クリック感の一例である。
図20は、ハンドル14の旋回(左右回動)の一例について説明するための平面図である。なお本実施形態では、この図20の仕様は採用されておらず、図21の仕様が採用されている。
ハンドル14は、左限界MLから右限界MRまで旋回可能である。ハンドル14の旋回可能範囲RFは、前述した図11の角度範囲Rfに対応している。範囲RFの角度θfは、範囲Rfの角度θfに等しい。図20が示すように、この旋回可能範囲RFの中心周位置C1において、ハンドル14は正面を向く。この中心周位置C1は、図11の中心周位置c1に対応している。図20が示すように、ハンドル14の旋回範囲は、正面位置S1に対して左右対称である。
図20が示すように、角度範囲RT1は、使用者から見て、中心周位置C1よりも右側である。この角度範囲RT1は、図11の角度範囲Rt1に対応している。範囲RT1の角度θ1は、範囲Rt1の角度θ1に等しい。よって角度範囲RT1は、クリック無発現部148の配置によって自在に設定される。ハンドル14の周位置が角度範囲RT1にあるとき、湯が混合されない。すなわち、ハンドル14の周位置が角度範囲RT1にあるとき、水の割合が100%である。範囲RT1は、水吐出位置である。本実施形態では、ハンドル14が正面よりも右側にあるとき、湯が混合されない。
ハンドル14の周位置が中心周位置C1にあるときも、湯が混合されない。すなわち、すなわち、ハンドル14の周位置が中心周位置C1(正面位置S1)にあるとき、水の割合が100%である。位置C1(位置S1)は、水吐出位置である。
図20が示すように、角度範囲RT2は、使用者から見て、中心周位置C1よりも左側である。この角度範囲RT2は、図11の角度範囲Rt2に対応している。範囲RT2の角度θ2は、範囲Rt2の角度θ2に等しい。よって角度範囲RT2は、クリック機構発現部146の配置によって自在に設定される。ハンドル14の周位置が角度範囲RT2にあるとき、湯と水とが混合されるか、又は、水が無混合(湯が100%)である。すなわち、ハンドル14の周位置が角度範囲RT2にあるとき、水の割合が0%以上100%未満である。範囲RT2は、湯水混合吐出位置及び湯吐出位置である。
この図20の実施形態では、ハンドル14の旋回可能範囲RFが正面位置S1に対して左右対称とされたが、左右非対称とされてもよい。例えば、角度範囲RT2の角度θ2が60度とされ、角度範囲RT1の角度θ1が40度とされてもよい。
角度範囲RT2が小さすぎると、湯水混合比率を調節できるハンドル14の角度範囲が狭くなりすぎて、湯水混合比率の変化が急激になりすぎる。この観点から、範囲RT2の角度θ2は、40度以上が好ましく、50度以上がより好ましく、55度以上が特に好ましい。角度範囲RT2が大きすぎると、湯水混合比率を調節できるハンドル14の角度範囲が広くなりすぎて、操作性が低下する。この観点から、範囲RT2の角度θ2は、100度以下が好ましく、90度以下がより好ましく、70度以下が特に好ましい。
角度範囲RT1の角度θ1は0度とすることもできる。しかし、通常の湯水混合栓では、角度θ1が0度とはされていないため、θ1を0度とすると、使用者がハンドル14を中心周位置C1よりも右側に過度に操作してしまうことがある。この過度な操作の繰り返しは、湯水混合栓に過度な負担を与え、湯水混合栓の耐久性に悪影響を与える場合がある。この観点から、範囲RT1の角度θ1は、10度以上が好ましく、20度以上がより好ましく、30度以上が特に好ましい。角度θ1が過大である場合、水の割合が100%である範囲が広くなりすぎて、操作性が低下する。この観点から、範囲RT1の角度θ1は、70度以下が好ましく、60度以下がより好ましく、50度以下が特に好ましい。
角度範囲RT1と角度範囲RT2との角度比(θ1/θ2)が小さすぎると、角度θ1が小さくなりすぎたり、角度θ2が大きくなりすぎたりして、前述の問題が生じやすくなる。この観点から、角度比(θ1/θ2)は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.6以上が特に好ましい。また、角度比(θ1/θ2)が大きすぎると、角度θ1が大きくなりすぎたり、角度θ2が小さくなりすぎたりして、前述の問題が生じやすくなる。この観点から、角度比(θ1/θ2)は、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下が特に好ましい。
図20の実施形態では、角度範囲RT1が、使用者から見て中心周位置C1よりも右側とされており、中心周位置C1よりも右側で水の割合が100%とされている。更に、角度範囲RT2が、使用者から見て中心周位置C1よりも左側とされており、中心周位置C1よりも左側で水の割合が0%以上100%未満とされている。これらの構成が逆にされてもよい。すなわち、角度範囲RT1が、使用者から見て中心周位置C1よりも左側とされており、中心周位置C1よりも左側で水の割合が100%とされ、且つ、角度範囲RT2が、使用者から見て中心周位置C1よりも右側とされており、中心周位置C1よりも右側で水の割合が0%以上100%未満とすることもできる。この場合でも、角度θ1、角度θ2及び/又は角度比(θ1/θ2)に関する前述の数値規定の全てが適用されうる。ただし、後述するように、レバー周位置と湯の混合割合との関係は多様に設定することができ、それぞれの設定に見合った効果が奏されうる。
ハンドル14の周位置は、レバー46の周位置(レバー左右位置)と同じである。角度範囲RT1は、湯が混合されないレバー左右位置である。角度範囲RT2は、湯が混合されるレバー左右位置である。「湯が混合される」とは、湯が100%である場合を含む。
図11が示すように、角度範囲Rt2の全域に、クリック機構発現部146が設けられている。よって、レバー左右位置が角度範囲RT2にあるとき、前後クリック機構が働く。一方、角度範囲Rt1の全域には、クリック機構発現部146が設けられていない。角度範囲Rt1の全域は、クリック無発現部148である。よって、レバー左右位置が角度範囲RT1にあるとき、前後クリック機構は働かない。
従って、本実施形態では、湯が混合されないレバー左右位置では、前後回動操作において前後クリック感が発現しない。また、湯が混合されるレバー左右位置において、前後回動操作で前後クリック感が発現する。よって、前後回動操作を行えば、前後クリック感の有無によって、湯が混合されているか否かが判別される。ただし、前後クリック感の設定は多様であり、それぞれの設定に見合った効果が奏されうる。
湯が混合されているか否かの判別は、レバー旋回に伴う左右クリック感によっても達成されうる。レバー46の旋回動作において、水のみが吐出するレバー左右位置と、湯が混合されるレバー左右位置との境界位置K1(図20参照)において、左右クリック感が発現するのが好ましい。この境界位置K1は、本願において、湯混合境界位置とも称される。この左右クリック感により、湯が混合されているか否かが判別される。例えば図20の実施形態において、角度範囲RT1と角度範囲RT2との境界において、左右クリック感が発現するのが好ましい。前述した前後クリック感と、この左右クリック感とにより、湯が混合されているか否かの判別がより一層確実になされうる。前後クリック感と左右クリック感との組み合わせの設定は多様であり、それぞれの設定に見合った効果が奏されうる。
図21は、第二実施形態に係る湯水混合栓を示す。以下で説明される点を除き、この図21の実施形態は、図20の実施形態と同じである。前述の通り、RT1は湯が混合されない角度範囲を示し、RT2は湯と水とが混合されるか、又は、水が無混合(湯が100%)の角度範囲を示す。本実施形態では、角度範囲RT1と角度範囲RT2との境界位置K1が、正面位置S1よりも左側に位置している。よって、レバー左右位置が正面位置S1からずれている場合でも、水のみが吐出されうる。このため、意図しない湯の混合が抑制され、省エネルギーに寄与しうる。図21において両矢印θkで示されるのは、正面位置S1と境界位置K1との間の角度である。省エネルギーの観点から、角度θkは、2度以上が好ましく、5度以上がより好ましく、6度以上が更に好ましい。角度範囲RT2が過度に狭くなると、吐水温度が調節しにくい場合がある。この観点から、角度θkは、20度以下が好ましく、15度以下がより好ましく、12度以下が更に好ましい。ただし、用途によって、あらゆる角度θkが可能である。
境界位置K1の周位置(角度θk)は、例えば、前述した角度θxによって調整される。もちろん、角度θkは、各弁孔(中間弁体61の孔等)及び流路形成凹部の位置、形状等によって調整されてもよい。
湯が混合される機会を減少させ、省エネルギーを達成する観点からは、図20の実施形態よりも、図21の実施形態のほうが好ましい。
図22は、切替機構に関与する部材を示す分解斜視図である。図22には、回動体44、操作部45、スイッチ部材63、中間弁体61及び固定弁体62が示されている。
図23(a)から(d)は、組み立て状態における中間弁体61、固定弁体62及びスイッチ部材63を示す。これら図23(a)から(d)には、操作部45の端部(下端部)も図示されている。図23(a)は、ハンドル14が左限界MLにあるときの平面図であり、図23(b)は、ハンドル14が左限界MLにあるときの斜視図である。図23(c)は、ハンドル14が右限界MRにあるときの平面図であり、図23(d)は、ハンドル14が右限界MRにあるときの斜視図である。
中間弁体61は、略円盤状の部材である。中間弁体61は、プレート状である。中間弁体61の厚みは一定である。中間弁体61は、湯流入孔61a、水流入孔61b及び吐出孔61cを有する。更に中間弁体61は、係合部61dを有する。この係合部61dは、凹部である。係合部61dは、スイッチ部材63に係合している。湯流入孔61a、水流入孔61b及び吐出孔61cは、貫通孔である。係合部61dを除き、中間弁体61の外周面は円周面である。中間弁体61の回転は、この円周面の中心軸周りの回転である。
固定弁体62の上面には凹部Rcが形成されている。この凹部Rcの形状は、中間弁体61に対応している。凹部Rcの深さは、中間弁体61の厚みに対応している。この凹部Rcに中間弁体61が嵌め込まれている。中間弁体61は、凹部Rcに、回転可能に収容されている。
凹部Rcは、内周面fc1を有する。内周面fc1は円周面である。一方、中間弁体61は、側面sf1を有する。側面sf1は円周面である。凹部Rc内で中間弁体61が回転するとき、側面sf1と内周面fc1とが摺動する。
凹部Rcの底部に、前述した湯用弁孔80、水用弁孔82及び混合水用弁孔84が設けられている。これら孔80、82及び84が設けられた部分を除き、凹部Rcは底面Rc1を有している。この底面Rc1は平面である。
スイッチ部材63は、基部63aと、第一延在部63bと、第二延在部63cとを有する。更にスイッチ部材63は軸63dを有する。この軸63dは円柱状である。この軸63dは、固定弁体62の軸孔85に挿入されている。スイッチ部材63は、軸63dを回転軸として回転しうる。図5には、スイッチ部材63の回転の中心軸線ax1が示されている。この中心軸線ax1は、軸63dの中心線と一致している。
第一延在部63b及び第二延在部63cは、例えば、板バネ状の部材である。また、第一延在部63b及び第二延在部63cは、操作部45との当接により中間弁体61のポジション切替を可能とする程度の剛性を備えている。
中間弁体61の上面61eは平面である。この上面61eは、下側部材88(可動弁体60)の下面PL2(図5及び図14参照)と面接触している。この下面PL2は平面である。この面接触により水密性が達成されている。
中間弁体61が凹部Rcに収容された状態において、上面61eは、固定弁体62の最上面62eと面一である。
中間弁体61の下面61fは平面である。この下面61fは、凹部Rcの底面Rc1と面接触している。この面接触により水密性が達成されている。
操作部45は、回動体44に設けられている。操作部45は、基部102に設けられている。基部102は、回動体44から、固定弁体62の方向に延びている。操作部45は棒状である。操作部45の下端部は、スイッチ部材63に当接しうる位置にまで至っている。操作部45は、スイッチ部材63を操作(回転)させうる。
[湯水の流れ]
湯は、湯導入部(湯導入管18及び湯導入口70)を経由して、湯用弁孔80に至る。水は、水導入部(水導入管20及び水導入口72)を経由して、水用弁孔82に至る。
湯用弁孔80に到達した湯は、湯流入孔61aに流入する。湯流入孔61aと流路形成凹部94との間に重なり領域XZが存在していれば、湯は、湯流入孔61aから流路形成凹部94に流入する。可動弁体60の摺動により、領域XZの面積は変化する。領域XZが存在しない場合、湯は流路形成凹部94に流入しない。領域XZが存在しない場合とは、可動弁体60(下側部材88)の下面を構成する平滑面PL2によって湯流入孔61aが完全に塞がれていることを意味する。領域XZの詳細については、後述される。
水用弁孔82に到達した水は、水流入孔61bに流入する。水流入孔61bと流路形成凹部94との間に重なり領域YZが存在していれば、水は、水流入孔61bから流路形成凹部94に流入する。可動弁体60の摺動により、領域YZの面積は変化する。領域YZが存在しない場合、水は流路形成凹部94に流入しない。領域YZが存在しない場合とは、可動弁体60(下側部材88)の下面を構成する平滑面PL2によって水流入孔61bが完全に塞がれていることを意味する。領域YZの詳細については、後述される。
流路形成凹部94に到達した湯及び/又は水は、吐出孔61c、混合水用弁孔84、吐出口74及び吐出管22を経由して、吐出部16に至る。
中間弁体61のポジション切替によって、中間弁体61の各孔と固定弁体62の各孔との相対位置は変化する。しかし、中間弁体61のポジションに関わらず、湯流入孔61aは湯用弁孔80に連通しており、水用弁孔82に連通することはない。また、中間弁体61のポジションに関わらず、水流入孔61bは水用弁孔82に連通しており、湯用弁孔80と連通することはない。結局、湯と水との混合割合は、中間弁体61の各孔と流路形成凹部94との相対的な位置関係によって決まる。また、吐出量も、中間弁体61の各孔と流路形成凹部94との相対的な位置関係によって決まる。
湯と水との混合割合は、上記領域XZと上記領域YZとの面積比r1に依存する。ハンドル14の旋回によって、レバー46を介して可動弁体60が回転する。この可動弁体60の回転によって、面積比r1が変化する。この変化によって、水温が調節される。
吐出量は、上記領域XZと上記領域YZとの面積合計Saに依存する。ハンドル14の上下動によって、レバー46が前後回動し、可動弁体60が直線方向D1方向に移動する。この可動弁体60の移動によって、面積合計Saが変化する。この変化によって、吐出量が調節される。このように、湯水混合栓10は、レバー46の前後回動によって吐出量を調節しうる吐出量調節機構を有する。
面積合計Saがゼロである場合、吐出がストップする。面積合計Saがゼロである場合とは、平滑面PL2によって湯流入孔61a及び水流入孔61bが完全に塞がれていることを意味する。
領域XZが存在し且つ領域YZが存在しない場合、レバーの上下回動位置に関わらず、水は混合されない。すなわちこの場合、湯が100%である。本実施形態では、レバー左右位置が左限界MLである場合、湯が100%である。
領域YZが存在し且つ領域XZが存在しない場合、レバーの上下回動位置に関わらず、湯は混合されない。すなわちこの場合、水が100%である。よって、給湯器は作動せず、省エネルギーが達成される。
本実施形態では、直線方向D1を前後方向D2と相違させることで、領域XZ(湯を流入させる領域)の発生を制御している。このため、弁孔形状の制約を少なくしつつ、レバー左右位置が中心周位置C1の近傍にあるときの湯の混合を効果的に阻止しうる。よって、弁孔形状の設計自由度が向上する。この設計自由度の向上により、湯水混合比率とレバー旋回操作との関係の設定において、自由度が向上する。また、吐出量とレバー前後回動操作との関係の設定において、自由度が向上する。
レバー左右位置が中心周位置C1である場合において湯の混合を防ぎ、且つ各弁孔の設計自由度を高める観点から、上記角度θx(図16参照)は、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上が特に好ましい。レバー46の前後回動操作を円滑とする観点からは、角度θxは、45度以下が好ましく、40度以下がより好ましく、35度以下が特に好ましい。本実施形態では、角度θxは30度である。
なお、下面開口線94Lには、凸状部m1が設けられている(図14参照)。この凸状部m1は、止水状態から吐出状態に移行する際に、湯又は水の流路形成凹部94への急激な流入を緩和しうる。よって、これらの凸状部m1は、ウォーターハンマーの抑制に寄与する。
[切替機構]
本実施形態の切替機構には、中間弁体61、固定弁体62、スイッチ部材63及び操作部45が関与する。
レバー46の左右回動に伴い、中間弁体61は、2つのポジションを採りうる。本願では、この2つのポジションが、水側ポジション及び湯側ポジションと称される。図23(a)及び図23(b)では、中間弁体61は、水側ポジションにある。図23(c)及び図23(d)では、中間弁体61は、湯側ポジションにある。中間弁体61が自転することにより、水側ポジションと湯側ポジションとの相互移行が実現される。水側ポジションと湯側ポジションとの相互移行は、角度θmの自転により達成される(図23(a)及び図23(c)参照)。この角度θmは、固定弁体62に対する相対回転角度である。
中間弁体61のポジション変更は、スイッチ部材63によって達成される。スイッチ部材63は、2つのポジションを採りうる。この2つのポジションが、第一ポジション及び第二ポジションと称される。図23(a)及び図23(b)では、スイッチ部材63は、第一ポジションにある。図23(c)及び図23(d)では、スイッチ部材63は、第二ポジションにある。スイッチ部材63が回動することにより、第一ポジションと第二ポジションとの相互移行が実現される。スイッチ部材63によって水側ポジションの中間弁体61が湯吐水側に回転すると、中間弁体61は湯側ポジションへと移行する。第一ポジションと第二ポジションとの相互移行は、角度θwの自転により達成される(図23(a)及び図23(c)参照)。
スイッチ部材63のポジション変更は、操作部45によって達成される。図23(a)及び(b)が示すように、操作部45が第一延在部63bに当接しているとき、スイッチ部材63は第一ポジションにある。図23(c)及び(d)が示すように、操作部45が第二延在部63cに当接しているとき、スイッチ部材63は第二ポジションにある。ハウジング42の内部には、スイッチ部材63のポジション変更を許容する空間が存在する。この空間は、固定弁体62の周縁部の形状によって創出されている。また、係合部61dの形状は、スイッチ部材63のポジション変更を許容する。
第一延在部63bにおける当接位置に関わらず、操作部45が第一延在部63bに当接していれば、スイッチ部材63は第一ポジションとなる。第二延在部63cにおける当接位置に関わらず、操作部45が第二延在部63cに当接していれば、スイッチ部材63は第二ポジションとなる。
なお、図23(a)及び(b)には図示されていないが、スイッチ部材63が第一ポジションにあるとき、第二延在部63cの端部は、大径円筒部122の内面に当接している。また、図23(c)及び(d)には図示されていないが、スイッチ部材63が第二ポジションにあるとき、第一延在部63bの端部は、大径円筒部122の内面に当接している。
操作部45は、レバー46の左右回動に伴って移動する。この操作部45は、ハウジング42(の大径円筒部122)の内面に沿って移動する。操作部45は、レバー46の左右回動を阻害しない。ハウジング42の内部には、操作部45の移動を許容する空間が存在する。この空間は、可動弁体60とハウジング42(の大径円筒部122)の内面との間に設けられている(図7参照)。
以下において、回転方向を説明するために、「時計回り」及び「反時計回り」との用語を用いるが、これらの用語は、上側(ハンドル14側)からみた平面視における回転方向を意味しており、図20、図21、図23(a)、図23(c)、図24及び図25における回転方向を意味している。
ポジション切替は、スイッチ部材63の回転が中間弁体61に伝達されることによって達成される。この回転の伝達は、基部63aと係合部61dとの係合に起因する。第一ポジション(図23(a))から第二ポジション(図23(c))への移行において、基部63aは、反時計回りに回転する。この基部63aの回転角度はθwである。このスイッチ部材63の回転に連動して、中間弁体61は、時計回りに回転(自転)する。この中間弁体61の回転角度はθmである。
ハンドル14(レバー46)を右限界MRから左限界MLにまで時計回り方向(左方向)に回転させると、操作部45は、第二延在部63cに当接する位置(図23(c))から、第一延在部63bに当接する位置(図23(a))へと移動する。この移動に伴い、基部63aは時計回りに回転し、中間弁体61は反時計回りに回転する。もちろん、ハンドル14を逆回転させると、全ての回転が逆となる。すなわち、回転方向の関係は次の通りである。
[回転連動パターン1]:レバー46が時計回りに回転すると、スイッチ部材63が時計回りに回転し、中間弁体61が反時計回りに回転する。
[回転連動パターン2:]レバー46が反時計回りに回転すると、スイッチ部材63が反時計回りに回転し、中間弁体61が時計回りに回転する。
このように、中間弁体61の回転方向は、レバー46の回転方向とは逆方向である。
また、中間弁体61とスイッチ部材63とのポジション同士の関係は次の通りである。
[ポジション関係1]:スイッチ部材63が第一ポジションにあるとき、中間弁体61は水側ポジションにある(図23(a))。
[ポジション関係2]:スイッチ部材63が第二ポジションにあるとき、中間弁体61は湯側ポジションにある(図23(c))。
このように、レバー46の左右回動により、中間弁体61のポジションが切り替わる。このポジション切替は、操作部45が基部63aに当接している間に完了する。
中間弁体61が反時計周りに回転した結果、水側ポジションでは、湯流入孔61aと流路形成凹部94との重なり面積(上記領域XZ)が増加しやすい。よって水側ポジションでは、湯の混合割合が高くなりやすい。逆に、中間弁体61が時計周りに回転した結果、湯側ポジションでは、水流入孔61bと流路形成凹部94との重なり面積(上記領域YZ)が増加しやすい。よって湯側ポジションでは、水の混合割合が高くなりやすい。
本実施形態では、中間弁体61のポジションとして、水側ポジション及び湯側ポジションの他に、遷移ポジションが存在する。水側ポジションと湯側ポジションとの相互移行の間に遷移ポジションが生じる。操作部45が基部63aに当接しているときに、中間弁体61は遷移ポジションをとる。なお、遷移ポジションは、無くても良い。
本実施形態では、スイッチ部材63のポジションとして、第一ポジション及び第二ポジションの他に、遷移ポジションが存在する。第一ポジションと第二ポジションとの相互移行の間に遷移ポジションが生じる。操作部45が基部63aに当接しているときに、スイッチ部材63は遷移ポジションをとる。なお、遷移ポジションは、無くても良い。
したがって、本実施形態におけるポジション関係は、より詳細には、次の通りである。
[ポジション関係1]:スイッチ部材63が第一ポジションにあるとき、中間弁体61は水側ポジションにある(図23(a))。
[ポジション関係2]:スイッチ部材63が第二ポジションにあるとき、中間弁体61は湯側ポジションにある(図23(c))。
[ポジション関係3]:スイッチ部材63が遷移ポジションにあるとき、中間弁体61は遷移ポジションにある(図示省略)。
中間弁体61の遷移ポジションは、高速切替ポジションを含む。図21が示すように、レバー左右位置として、第一切替位置WLと第二切替位置WRとが存在する。第一切替位置WL及び第二切替位置WRは、湯混合境界位置K1と左遷移境界位置KLとの間に位置する。第一切替位置WLは第二切替位置WRよりも左側(高温側)に位置する。上記高速切替ポジションとは、レバー左右位置が第一切替位置WLから第二切替位置WRまでの間にあるときの中間弁体61のポジションである。第一切替位置WLと第二切替位置WRとの成す角度θs2(図21参照)は、後述の角度θLよりも小さい。
本実施形態では、ポジション切替は素早い。具体的には、第一切替位置WLと第二切替位置WRとの間のレバー左右回動では、レバーの角速度ω1と比較して、中間弁体61の角速度ω2は大きい。即ち、高速切替ポジションでは、レバーの角速度ω1よりも、中間弁体61の角速度ω2の方が大きい。よって、ポジション切替に基づく湯水混合比率の調整が効果的に達成されうる。なお、上記角速度ω1は、第一切替位置WLと第二切替位置WRとの間の平均角速度を意味し、上記角速度ω2は、上記高速切替ポジションにおける平均角速度を意味する。なお、本願では、角速度ω1及びω2は絶対値とする。
図23(a)及び図23(c)が示すように、基部63aは、操作部45と当接する当接面63fを有している。この当接面63fの形状は、中央が凹んでいる。この当接面63fの形状は、中央側に向かって徐々に凹んでいる。この当接面63fの形状は、上記角速度ω2の向上に寄与している。
図24及び図25は、様々な局面における各弁孔の位置関係を示す図である。図24及び図25では、可動弁体60(平滑面PL2)の下面線が破線で示されており、この破線には下面開口線94Lが含まれている。図24及び図25では、中間弁体61の上面線が一点鎖線で示されており、この一点鎖線には、湯流入孔61aの上面開口線AL及び水流入孔61bの上面開口線BLが含まれている。図24及び図25では、操作部45の断面がハッチングで示されている。図24及び図25では、スイッチ部材63が実線で示されている。紙面のスペースの関係で、図24及び図25では、符号が適宜省略されている。
なお、図24及び図25では、固定弁体62が実線で示されているが、行St及び行Mxでは、固定弁体62の弁孔を示す線は省略されている。行Dpでは、固定弁体62の弁孔を示す線が記載されている。なお行Dpでは、中間弁体61で隠される線も含め、固定弁体62の弁孔を示す線が実線で記載されている。ただし、固定弁体62の弁孔を示す線のうち、中間弁体61の上面線と重なる部分は、一点鎖線とされている。
図24及び図25では、各局面を示す図のそれぞれがマトリクス表(行列表)に配置されている。このマトリクス表においては、各局面を示す符号が付されている。例えば、行がStであり列がMLである局面St1は、最も左側且つ最も上側に示されている。
図24において、列MLの図は、レバー46の左右位置が左限界MLにある状態を示す。列KLの図は、レバー46の左右位置が、左遷移境界位置KL(図21参照)にある状態を示す。列KRの図は、レバー46の左右位置が、右遷移境界位置KR(図21参照)にある状態を示す。列MRの図は、レバー46の左右位置が右限界MRにある状態を示す。
図25は、位置KLと位置KRとの間の詳細を示している。図25において、列WLの図は、レバー46の左右位置が第一切替位置WLにある状態を示す。列WRの図は、レバー46の左右位置が第二切替位置WRにある状態を示す。列K1の図は、レバー46の左右位置が湯混合境界位置K1にある状態を示す。
図24及び図25において、行Stの図は、止水状態を示している。行Mxの図は、最大吐出状態を示している。行Dpの図は、中間弁体61と固定弁体62との重なり状態を示している。
上述した左遷移境界位置KLとは、中間弁体61が遷移ポジションに移行するレバー境界位置のうちの左側を意味する(図22参照)。また右遷移境界位置KRとは、中間弁体61が遷移ポジションに移行するレバー境界位置のうちの右側を意味する(図22参照)。
図24が示すように、レバー左右位置が左限界MLと左遷移境界位置KLとの間にあるとき、スイッチ部材63は第一ポジションにある。レバー左右位置が左限界MLと左遷移境界位置KLとの間にあるとき、中間弁体61は水側ポジションにある。
図24が示すように、レバー左右位置が左遷移境界位置KLから右遷移境界位置KRまでにあるとき、スイッチ部材63は遷移ポジション(図示省略)にある。レバー左右位置が左遷移境界位置KLから右遷移境界位置KRまでにあるとき、中間弁体61は遷移ポジション(図示省略)にある。
図24が示すように、レバー左右位置が右限界MRと右遷移境界位置KRとの間にあるとき、スイッチ部材63は第二ポジションにある。レバー左右位置が右限界MRと右遷移境界位置KRとの間にあるとき、中間弁体61は湯側ポジションにある。
レバー左右位置が第一切替位置WL、第二切替位置WR及び湯混合境界位置K1にあるとき、スイッチ部材63は遷移ポジションにある(図25参照)。上述したように、レバー左右位置が第一切替位置WLから第二切替位置WRまでの間にあるとき、中間弁体61が高速切替ポジションをとる。
図24が示すように、止水状態においてレバー46を左限界MLから右限界MRにまで左右回動させると、局面St1、局面St2、局面St3、局面St4の順序で局面が移行する。もちろん、レバー46を逆回転させれば、逆の順序で局面が移行する。
図25が示すように、止水状態においてレバー46を第一切替位置WLから湯混合境界位置K1にまで左右回動させると、局面Sta、局面Stb、局面Stcの順序で局面が移行する。もちろん、レバー46を逆回転させれば、逆の順序で局面が移行する。
図24が示すように、最大吐出状態においてレバー46を左限界MLから右限界MRにまで左右回動させると、局面Mx1、局面Mx2、局面Mx3、局面Mx4の順序で局面が移行する。もちろん、レバー46を逆回転させれば、逆の順序で局面が移行する。
図25が示すように、最大吐出状態においてレバー46を第一切替位置WLから湯混合境界位置K1にまで左右回動させると、局面Mxa、局面Mxb、局面Mxcの順序で局面が移行する。もちろん、レバー46を逆回転させれば、逆の順序で局面が移行する。
局面Mx1において、上記領域XZがハッチングで示されている。局面Mx1では、上記領域YZは生じない。局面Mx1では、湯のみ(湯100%)が吐出される。
局面Mx2において、上記領域XZ及び上記領域YZがハッチングで示されている。局面Mx2では、湯と水とが混合されて吐出される。
局面Mx3において、上記領域YZがハッチングで示されている。局面Mx3では、上記領域XZは生じない。局面Mx3では、水のみ(水100%)が吐出される。
局面Mx4において、上記領域YZがハッチングで示されている。局面Mx4では、上記領域XZは生じない。局面Mx4では、水のみ(水100%)が吐出される。
局面Mxaにおいて、上記領域XZ及び上記領域YZがハッチングで示されている。局面Mxaでは、湯と水とが混合されて吐出される。
局面Mxbにおいて、上記領域XZ及び上記領域YZがハッチングで示されている。局面Mxbでは、湯と水とが混合されて吐出される。ただし、湯の混合割合は非常に少ない。
局面Mxcにおいては、上記領域XZが消失し、上記領域YZのみとなる。局面Mxcでは、水のみ(水100%)が吐出される。
左遷移境界位置KLから右遷移境界位置KRまでの遷移ポジションにおいて、中間弁体61の回転方向は、レバーの左右回動方向とは逆である。よって、少ない左右回動操作で、大きな左右回動操作をしたのと同様の効果(以下、レバー回動促進効果ともいう)が生じる。また、特に第一切替位置WLから第二切替位置WRまでの高速切替ポジションにより、より迅速なポジション切替が達成される。
局面Dp1からDp4が示すように、中間弁体61のポジションに関わらず、湯流入孔61aは湯用弁孔80に連通しており、水用弁孔82に連通することはない。また、中間弁体61のポジションに関わらず、水流入孔61bは水用弁孔82に連通しており、湯用弁孔80と連通することはない。上述の通り、湯と水との混合割合は、中間弁体61の各孔と流路形成凹部94との相対的な位置関係によって決まる。また、吐出量も、中間弁体61の各孔と流路形成凹部94との相対的な位置関係によって決まる。
本実施形態では、図21及び図24の実施形態が採用されている。レバー左右位置が左限界MLのときに湯100%の吐出がなされ、レバー左右位置が左限界MLと境界K1との間にあるとき湯と水とが混合され、レバー左右位置が境界K1から右限界MRまでにあるとき水100%の吐出がなされる。湯混合境界位置K1は、左遷移境界位置KLから右遷移境界位置KRまでの間に位置する。
[遷移ポジションにおける温度変化促進効果]
本実施形態では、レバー46が湯混合境界位置K1にあるとき、中間弁体61が遷移ポジションにある。従って、レバー46が湯混合境界位置K1近傍を回転しているときに、湯水混合比率の変化を促進させることができる。すなわち、レバー46を湯水混合の位置から水のみの位置へと左右回動させるとき、水のみの吐出への移行が加速される。また、レバー46を水のみの位置から湯水混合の位置へと左右回動させるとき、湯の混合比率の上昇を加速することができる。また一般に、湯流入孔61aに供給される湯の供給圧は、水流入孔61bに供給される水の供給圧よりも低い。これは、主として、湯が給湯装置を経由して湯水混合栓10に到達することに起因する。よって、水のみの吐出から湯水混合へと移行するとき、湯が水の勢いに負けてしまい、湯の混合割合がなかなか高くならない。すなわち、レバー46を湯側に回動させても、吐水温度が円滑に上昇しにくい。本実施形態では、水のみの吐出から湯水混合へと移行するとき、中間弁体61が水側ポジションへと移行するため、上記領域XZが効率的に拡がり、領域YZに対する領域XZの比率が迅速に上昇しうる。よって、吐水温度を円滑に上昇させることができる。このように本実施形態では、遷移ポジションにおける温度変化促進効果が達成されうる。
レバーの左右回転方向と中間弁体61の回転方向とが逆であるため、上述のレバー回動促進効果が生じうる。上記温度変化促進効果は、このレバー回動促進効果の一例である。このレバー回動促進効果により、例えば、レバー操作を円滑に行うことが困難な人(高齢者、障害者等)にとって、使いやすい湯水混合栓が実現されうる。
本実施形態において、上記操作部45が第一延在部63bに当接しているときのレバー46の左右範囲が、第一左右方向範囲R1とされる。また、上記操作部45が第二延在部63cに当接しているときのレバー46の左右範囲が、第二左右方向範囲R2とされる。第一左右方向範囲R1及び第二左右方向範囲R2が図21に示されている。
操作部45が第一延在部63bに当接しており、この当接により、上記第一左右方向範囲R1の全体において、スイッチ部材63の上記第一ポジションが維持されている。よって、上記第一左右方向範囲R1の全体において、中間弁体61の水側ポジションが維持されている。水側ポジションでは、湯の混合比率が高くなりやすい。
操作部45が第二延在部63cに当接しており、この当接により、上記第二左右方向範囲R2の全体において、スイッチ部材63の上記第二ポジションが維持されている。よって、上記第二左右方向範囲R2の全体において、中間弁体61の湯側ポジションが維持されている。湯側ポジションでは、水の混合比率が高くなりやすい。湯側ポジションでは、水のみの吐出が達成されやすい。
このように、第一延在部63b及び第二延在部63cにより、中間弁体61のポジションが制御されている。なお、本実施形態では、あらゆるレバー左右方向位置において、操作部45がスイッチ部材63のいずれかの位置に当接している。よってレバー左右方向の回動範囲の全体において、中間弁体61のポジションが制御されている。
図21において両矢印θRで示されているのは、湯混合境界位置K1と右遷移境界位置KRとの成す角度である。図21において両矢印θLで示されているのは、湯混合境界位置K1と左遷移境界位置KLとの成す角度である。図21において両矢印θs2で示されているのは、第二切替位置WRと第一切替位置WLとの成す角度である。
遷移ポジションにおける温度変化促進効果を高める観点から、角度θRは、1度以上が好ましく、3度以上がより好ましく、5度以上が更に好ましい。角度θsを過大としない観点から、角度θRは、12度以下が好ましく、11度以下がより好ましく、10度以下が更に好ましい。上記実施形態では、上記角度θRが約6度とされた。
ポジション切替時における衝撃を緩和する観点から、角度θs2は、1度以上が好ましく、2度以上がより好ましく、3度以上が更に好ましい。ポジション切替時における温度変化促進効果を高める観点から、角度θs2は、10度以下が好ましく、8度以下がより好ましく、5度以下が更に好ましい。上記実施形態では、上記角度θs2が約4度とされた。
ポジション切替の迅速性の観点から、上記角度θs2は、上記角度θm(図23(a)及び(c)参照)よりも小さいのが好ましい。
遷移ポジションにおける温度変化促進効果を高める観点から、角度θLは、1度以上が好ましく、3度以上がより好ましく、5度以上が更に好ましい。角度θsを過大としない観点から、角度θLは、20度以下が好ましく、18度以下がより好ましく、16度以下が更に好ましい。上記実施形態では、上記角度θLが約14度とされた。
中間弁体61の、レバー46の左右回動方向に対する逆回転は、中間弁体61の、可動弁体60の回転方向に対する逆回転を意味する。この逆回転により、中間弁体61と可動弁体60との相対回転速度が高まる。この相対回転速度の向上は、レバー46を早く回転させるのと同様の効果がある。また、上記逆回転により、レバー46の左右回動角度よりも、中間弁体61と可動弁体60との相対回転角度が大きくなる。従って、限られたレバー46の左右回動範囲を有効に活用することができ、温度調節の自由度を高めることができる。そして、切替機構に係る様々な仕様を変更することにより、多様な温度調節が可能となる。変更可能な上記仕様を例示すると次の通りである。
(a)ポジション切替における中間弁体61の回転角度θm
(b)中間弁体61の遷移ポジションの有無
(c)上記2つの角速度の比(ω1/ω2)
(d)左遷移境界位置KLと右遷移境界位置KRとの間のレバー左右回転角度θs(図21参照)
(e)湯混合境界位置K1と左遷移境界位置KLとの位置関係
(f)湯混合境界位置K1と右遷移境界位置KRとの位置関係
(g)中心周位置C1と左遷移境界位置KLとの位置関係
(h)中心周位置C1と右遷移境界位置KRとの位置関係
これらの仕様変更は、例えば、スイッチ部材63の位置、基部63aの長さ(回転半径)、係合部61dの形状等によって達成されうる。
ポジション切替の効果を高める観点から、上記角度θmは、3度(degree)以上が好ましく、5度以上がより好ましく、8度以上が更に好ましい。湯流入孔61aへの水の流入、又は、水流入孔61bへの湯の流入を防止する観点から、上記角度θmは、20度以下が好ましく、15度以下がより好ましく、13度以下が更に好ましい。ただし、温度調節の多様性の観点からは、湯流入孔61aへの水の流入の有無、及び/又は、水流入孔61bへの湯の流入の有無が切替可能となるように、角度θmが設定されてもよい。本実施形態では、角度θmは、10度とされた。
なお、上記実施形態では、右遷移境界位置KRが中心周位置C1と一致している(図21参照)。
湯が混合されているか否かは、吐水の温度のみからは判別しにくいことがある。例えば、湯の混合割合が少ない場合、水が100%の場合と比較して、温度がそれほど高くならない。よってこの場合、吐水の温度のみからは湯の混合に気がつかないことがある。また、湯の混合割合が高い場合であっても、給湯器等からの加熱装置で加温された湯が蛇口に至るまでの間、吐水の温度が上がらない場合がある。この場合も、吐水の温度のみからは湯の混合に気がつかないことがある。また、ハンドル14の周位置によっても、湯が混合されているか否かが正確に判別できない場合がある。このような場合、使用者の意図に反して、湯が混合されることがある。すなわち使用者は湯が混合されていない(水が100%の)吐水を使用しているつもりであるにも関わらず、実際には湯が混合されていることがある。この場合、エネルギーが無駄となる。省エネルギーの観点から、好ましい実施形態の一例は、次の仕様a、仕様b、仕様c及び仕様dから選択される1又は2以上を有する。
[仕様a]:湯混合境界位置K1が中心周位置C1又はそれよりも湯側(図21における左側)に位置する。
[仕様b]:湯混合境界位置K1が左遷移境界位置KLから右遷移境界位置KRまでの間に位置する。
[仕様c]:左遷移境界位置KLから右遷移境界位置KRまでの間に左右クリック感が生じる。
[仕様d]:左遷移境界位置KL及び/又は右遷移境界位置KRにおいて左右クリック感が生じる。
本実施形態では、ハウジング42の下面(連結部124の下面125)の仕様を変えることによって、クリック感が生じる角度範囲は自由に設計されうる。例えば、クリック機構発現部146の位置を変えることによって、前後クリック感が発現するレバー左右位置を自在に変更することができる(図11参照)。
更に、例えば、クリック機構発現部146は、例えば、角度範囲Rf2にも設けることができる(図11参照)。よって、クリック機構発現部146は、本実施形態の如く角度範囲Rfのみに設けても良いし、角度範囲Rf及び角度範囲Rf2の両方に設けても良いし、角度範囲Rf2のみに設けることもできる。したがって、前後クリック感及び左右クリック感の設計自由度は高い。
ハウジング42の下面の面積は、比較的広い。よって、凹部及び/又は凸部の設計自由度が高い。ハウジング42に凹部及び/又は凸部を設けることにより、クリック感の設計自由度が高められている。
このクリック機構発現部146は周方向において間欠していない。これと異なり、クリック機構発現部146は、周方向において間欠的に設けられても良い。この場合、前後クリック感を発現するレバー左右位置を間欠的に設けることが出来る。
このクリック機構発現部146は、レバー前後回動範囲の全体に設けられている。これと異なり、クリック機構発現部146は、レバー前後回動範囲の一部に設けられても良い。この場合、前後クリック感を発現するレバー前後範囲を限定的とすることができる。
また、クリック感の仕様も自在に設計されうる。例えば、溝154又は突条156の数、間隔、形状、高さ等を変えることで、様々なクリック感が得られうる。クリック感の創出にハウジング42の下面を用いたことで、クリック感の設計自由度は高められている。
このように、クリック機構発現部146の形態を変更することで、前後クリック感及び左右クリック感を多様に設定することができる。よって前後クリック感及び左右クリック感の設定が容易とされうる。
クリック感は、人によって感知される。クリック感は、視覚では得られない様々な情報を使用者に提供しうる。好ましくは、クリック感は、聴覚及び/又は触覚によって感知される。感知性を高める観点から、聴覚と触覚とが併用されてもよい。聴覚により感知されるクリック感として、音が挙げられる。触覚によって感知されるクリック感として、レバー操作時における抵抗感の変化及び振動が例示される。クリック感の継続時間は限定されない。典型的なクリック感として、比較的短時間の抵抗変化及び音が挙げられるが、比較的長時間のクリック感も可能である。
上記実施形態において、左右クリック感及び上下クリック感は、連結部124の下面125の形状を変更するだけで容易に実現されうる。レバー組立体40では、クリック感の設計自由度が高い。
上記実施形態のクリック機構は、弾性部材50又は弾性部材58に球体を保持させるという構成を有する。この構成により、クリック感の設計自由度は高い。例えば、弾性部材50、58の弾性係数を変えるだけで、クリック感の調整が容易に達成されうる。
球体52,56の直径を変化させると、当接面側への球体の突出量が変化しうる。クリック機構の発現に球体52、56を利用することで、球体の直径を変えるだけでも、クリック感の変更が達成されうる。よって、クリック感の調整は容易である。
なお、上記実施形態では、ハウジング42は全体として一体成形されている。ハウジング42は、別個に成形された部材が組み合わされていても良い。
操作部45とスイッチ部材63との当接によって左右クリック感を生じさせてもよい。例えば、基部63aの第二延在部63cに凸部又は凹部を設けることにより、左右クリック感が生じうる。この場合、上記[仕様c]を容易に達成することができる。又、第一延在部63b及び/又は第二延在部63cに凸部又は凹部を設けることにより、左右クリック感が生じうる。この場合、左右クリック感が生じるレバー左右位置の設計自由度が高い。
図17において両矢印L1で示されているのは、球体52が凸部170に係合していない状態における弾性部材50の長手方向長さである。上部104の直径が小さすぎると、湯水混合栓10に必要な機能が実現できないことがある。この観点から、長さL1は、15mm以上が好ましく、17mm以上がより好ましい。また、過度に大型化された湯水混合栓10では、商品価値が低下する。この観点から、長さL1は、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。本実施形態では、長さL1は19mmとされた。
明確な左右クリック感を得る観点から、凸部170(図17参照)の高さHaは、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。高さHaが過大である場合、ハウジング42又は回動体44の厚みが薄くなりすぎて耐久性が低下しうる。この観点から、高さHaは、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.4mm以下が更に好ましい。上記実施形態において、凸部170の高さHaは0.3mmとされた。
明確な前後クリック感を得る観点から、凸部156の高さHb(溝154の深さDv)は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上が更に好ましい。高さHbが過大である場合、ハウジング42又は回動体44の厚みが薄くなりすぎて耐久性が低下しうる。この観点から、高さHb(深さDv)は、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.4mm以下が更に好ましい。上記実施形態において、凸部156の高さHbは0.3mmとされた。
組立容易性の観点、及び、明確な左右クリック感を得る観点から、球体52の直径Paは、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、3.0mm以上が更に好ましい。直径Paが過大である場合、レバー軸48の直径が過大となったり、レバー組立体40が過度に大型化することがある。また、この大型化を避けるために、ハウジング42等が過度に薄くされうる。これらの観点から、直径Paは5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下が更に好ましい。上記実施形態において、球体52の直径Paは3.0mmとされた。
組立容易性の観点、及び、明確な前後クリック感を得る観点から、球体56の直径Pbは、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、3.0mm以上が更に好ましい。直径Pbが過大である場合、上側突出部の高さを確保するための貫通孔110の幅が過大となる。また、直径Pbが過大である場合、この球体56に係合しうる溝154の幅も大きくされるが、この場合、限られたスペースの下面125に、必要な数の溝154を設けることが難しくなることがある。これらの観点から、直径Pbは5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下が更に好ましい。上記実施形態において、球体56の直径Pbは3.0mmとされた。
ハウジングの材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。クリック機構が発現する際に発生する音は、心地よく且つ聞き取りやすいのが好ましい。ハウジングの材質は、この音に影響する。良好な音を得る観点、耐久性、耐錆性、及び衛生面を考慮すると、ハウジングの材質として、ステンレス合金及び繊維強化樹脂が好ましい。上記実施形態では、ガラス繊維強化PPS樹脂が用いられた。PPS樹脂とはポリフェニレンスルフィド樹脂である。
回転体の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。レバー操作時に金属同士が摺動すると、不快な音が発生する場合がある。また摺動面の材質は摩擦力を変動させるため、レバーの操作性に影響する。操作性及び不快音回避の観点から、回転体の材質としては、樹脂が好ましく、強化繊維を含まない樹脂がより好ましい。上記実施形態では、強化繊維を含まないPOM樹脂が用いられた。POM樹脂とは、ポリアセタール樹脂である。
上記軸保持体の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。レバー操作時に金属同士が摺動すると、不快な音が発生する場合がある。また摺動面の材質は摩擦力を変動させるため、レバーの操作性に影響する。操作性及び不快音回避の観点から、軸保持体の材質としては、樹脂が好ましく、強化繊維を含まない樹脂がより好ましい。上記実施形態では、強化繊維を含まないPOM樹脂が用いられた。
上記球体の材質として、樹脂及び金属が例示される。クリック機構の音及び耐久性の観点から、金属が特に好ましい。上記実施形態ではステンレス合金が用いられた。
旋回操作時のクリック機構に用いられる上記弾性体として、ゴム及びコイルバネが例示される。繰り返しの使用による劣化を抑制する観点、及び、クリック感の調整の自由度の観点から、コイルバネが好ましい。このコイルバネの材質としては、バネ鋼材が好ましい。上記実施形態では、バネ鋼材のコイルバネが用いられた。
前後回動操作時のクリック機構に用いられる上記弾性体として、ゴム、板バネ及びコイルバネが例示される。上下方向のスペースを抑制する観点から、板バネが好ましい。上記実施形態では、バネ鋼材の板バネが用いられた。
上記レバー軸の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。水による腐食を抑制する観点から、ステンレス合金及び樹脂が好ましい。上記実施形態では、ステンレス合金が用いられた。
可動弁体の上側部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。レバー操作時に金属同士が摺動すると、不快な音が発生する場合がある。不快音回避の観点から、上側部材の材質としては、樹脂が好ましい。また、この上側部材を樹脂とすることで、可動弁体全体としての製造コストが抑制される。上記実施形態では、強化繊維を含まないPOM樹脂が用いられた。
可動弁体の下側部材の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、金属及びセラミックが例示される。固定弁体との摺動における耐摩耗性の観点から、セラミックが好ましい。このセラミックは、水に対する腐食性、強度及び耐久性の観点からも好ましい。上記実施形態では、セラミックが用いられた。
固定弁体の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、金属及びセラミックが例示される。可動弁体(下側部材)との摺動における耐摩耗性の観点から、セラミックが好ましい。このセラミックは、水に対する腐食性、強度及び耐久性の観点からも好ましい。上記実施形態では、セラミックが用いられた。
パッキン及びOリングの材質として、樹脂及びゴム材(加硫ゴム)が例示される。伸縮性により、組立性を向上し、製造誤差(寸法誤差等)が緩和されうる。これらの観点から、ゴム材が好ましい。上記実施形態では、ゴム材が用いられた。
ベース体の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が例示される。不快音回避及び強度の観点から、繊維強化樹脂が好ましく、ガラス繊維強化樹脂がより好ましい。上記実施形態では、ガラス繊維強化PPS樹脂が用いられた。
上記の各部材の材質として樹脂が用いられる場合、POM樹脂及びPPS樹脂が好ましい。POM樹脂は、長時間の使用、及び広い温度範囲での使用において、機械的特性(引張強度等)の経時変化が少ない。また、POM樹脂は、繰り返しの応力負荷に対する耐疲労性に優れる。更にPOM樹脂では、吸水による寸法変化が小さい。PPS樹脂は、強度及び剛性に優れ、耐摩耗性にも優れる。更にPPS樹脂は、成形時の収縮率が小さく、高い寸法精度を達成しうる。これらの特性を更に高めるために、上記樹脂は、ガラス繊維等の短繊維で強化されるのも好ましい。
中間弁体の材質として、金属、樹脂及びセラミックスが例示される。水による腐食を抑制する観点及び耐久性の観点から、中間弁体の材質は、セラミックが好ましい。耐久性の観点から、固定弁体の材質もセラミックが好ましい。耐久性の観点から、可動弁体の平滑面PL2の材質もセラミックが好ましい。接触面同士の材質が同一である場合、摩擦係数が増大し、円滑な摺動の妨げとなることがある。ポジション切替及びレバー操作を円滑とする観点から、平滑面PL2と中間弁体とで材質を相違させるのが好ましく、平滑面PL2と中間弁体とでセラミックの種類を相違させるのがより好ましい。ポジション切替及びレバー操作を円滑とする観点から、固定弁体と中間弁体とで材質を相違させるのが好ましく、固定弁体と中間弁体とでセラミックの種類を相違させるのがより好ましい。上記実施形態では、以下の材質が採用された。
・中間弁体61:炭化ケイ素(SiC)
・固定弁体62:アルミナ
・可動弁体60の平滑面PL2:アルミナ
ポジション切替を円滑とするために、摩擦係数抑制層が設けられてもよい。この摩擦係数抑制層として、シリコーンが好ましい。この摩擦係数抑制層は、中間弁体61の上面61e又は平滑面PL2の少なくともいずれかに設けられるのが好ましい。この摩擦係数抑制層は、中間弁体61の下面61f又は固定弁体62の当接面Rc1の少なくともいずれかに設けられるのが好ましい。
スイッチ部材63の材質として、金属及び樹脂が例示される。水による腐食を抑制する観点及び強度の観点から、スイッチ部材63の材質は、ステンレス鋼又はガラス繊維強化樹脂が好ましい。不快な音の発生を抑制する観点からは、スイッチ部材63の材質はガラス強化繊維とされるのが好ましい。上記実施形態では、スイッチ部材63の材質はガラス強化繊維とされた。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。