JP2013181423A - 舶用内燃機関の排気系統消音構造 - Google Patents

舶用内燃機関の排気系統消音構造 Download PDF

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宏 西野
Masahiko Mino
雅彦 美濃
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Abstract

【課題】低コストで消音効果の高い舶用内燃機関の排気系統消音構造を提供する。
【解決手段】エンジン1A,1Bを備えている舶用内燃機関の排気系統消音構造において、エンジン1A,1Bの回転位相を制御するコントローラ10と、エンジン1A,1Bの排気管2A,2Bを連結し、所定の内燃機関回転数における排気脈動周波数の周期と一致する長さのバイパス通路20と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、たとえば舶用主機のように、同型の内燃機関が複数台設置される場合に適用される舶用内燃機関の排気系統消音構造に関する。
従来、客船等の船舶においては、船舶推進用の内燃機関(舶用主機)として、同型のエンジンを複数台設置されている。
図4に示す従来例の船舶Sには、同型のエンジン1A,1Bが2台設置されている。この場合、エンジン1A,1Bから発生する運転騒音を低減するため、エンジン1A,1B毎に排気管2A,2B、消音機3A,3B及び排気口4A,4Bが設けられている。
また、舶用内燃機関等の内燃機関においては、たとえば下記の特許文献1に開示されているように、発生する騒音を取り込み、騒音を検出するソースマイクロホンの検出信号に基づいてスピーカから騒音と逆位相の音を発生させて相殺する技術が知られている。この従来技術は、騒音と逆位相の音を発生させて相殺するため、騒音検出用のマイクロホンや逆位相発生用のスピーカ等の機器類を付加した構成となる。
特開平9−297585号公報
ところで、上述した従来技術は、逆位相の音を発生させるために、騒音検出用のマイクロホンや逆位相発生用のスピーカ等の機器類が必要となる。しかし、特に排気音圧が大となるような舶用主機や、排気騒音が低周波数となる舶用主機の場合には、逆位相の音を発生させるスピーカの制作が困難になる。すなわち、スピーカ等の付加機器類は、舶用主機より排出される高温の排気環境に設置することから、たとえばスピーカのダイヤフラム等が、大きな排気音圧に対して十分な耐久性を得ることは困難である。特に、低周波数に対応するスピーカは、ダイヤフラムが大きくなるため、十分な耐久性を確保するのはより一層困難である。
このよう背景から、たとえば特に快適な居住空間が求められる客船のような船舶では、排気音圧が大となるような舶用主機や、排気騒音が低周波数となる舶用主機にも容易に適用でき、低コストで消音効果の高い排気騒音の低減対策が求められている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、低コストで消音効果の高い舶用内燃機関の排気系統消音構造を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る舶用内燃機関の排気系統消音構造は、複数の同型内燃機関を備えている舶用内燃機関の排気系統消音構造であって、前記舶用内燃機関の回転位相を制御するコントローラと、前記舶用内燃機関の排気管を連結し、所定の内燃機関回転数における排気脈動周波数の周期と一致する長さのバイパス通路と、を備えている。
このような舶用内燃機関の排気系統消音構造によれば、舶用内燃機関の回転位相を制御するコントローラと、舶用内燃機関の排気管を連結し、所定の内燃機関回転数における排気脈動周波数の周期と一致する長さのバイパス通路と、を備えているので、舶用内燃機関の回転位相を逆位相の同回転数に設定すれば、バイパス通路内においては、逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉することになるので、この結果、排気騒音の低減が可能になる。
上記の発明において、前記バイパス流路に、複数の流路長さから一つを選択する流路変更部を設けておくことが好ましく、これにより、長さが可変のバイパス流路内では、異なる複数の運転条件(回転数等)において、逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉する結果、排気騒音の低減が可能になる。
本発明に係る舶用内燃機関の排気系統消音構造は、複数の同型内燃機関を備えている舶用内燃機関の排気系統消音構造であって、前記舶用内燃機関の回転位相を制御するコントローラと、前記舶用内燃機関の各排気管を等しい長さの位置で合流させた後に消音機へ導く排気系統と、を備えていることを特徴とするものでる。
このような舶用内燃機関の排気系統消音構造によれば、舶用内燃機関の回転位相を制御するコントローラと、舶用内燃機関の各排気管を等しい長さの位置で合流させた後に消音機へ導く排気系統と、を備えているので、舶用内燃機関の回転位相を逆位相の同回転数に設定すれば、合流位置において逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉する結果、排気騒音の低減が可能になる。
上述した本発明によれば、排気流路外に設置されるコントローラにより舶用内燃機関の回転位相を同回転数の逆位相に制御すると、バイパス通路や排気系統の配管流路内においては、排気脈動の干渉により排気騒音が低減される。このため、舶用主機より排出される高温の排気環境にスピーカ等の機器類を設置する必要がなく、排気音圧が大となるような舶用主機や、排気騒音が低周波数となる舶用主機にも容易に適用できる低コストで消音効果の高い舶用内燃機関の排気系統消音構造となる。
本発明に係る舶用内燃機関の排気系統消音構造として一実施形態(第1実施形態)を示しており、(a)は構成図、(b)は逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉することを示す図である。 図1に示した第1実施形態の変形例を示す図で、(a)は構成図、(b)はバイパス通路の配管系統図である。 本発明に係る舶用内燃機関の排気系統消音構造として一実施形態(第2実施形態)を示すもので、(a)は構成図、(b)は逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉することを示す図である。 舶用内燃機関の排気系統消音構造に係る従来例を示す構成図である。
以下、本発明に係る舶用内燃機関の排気系統消音構造について、一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態の船舶Saには、2台のエンジン(舶用内燃機関/同型内燃機関)1A,1Bが設置されている。2台のエンジン1A,1Bは、出力や型式等を同一にした同型内燃機関とされる。
2台のエンジン1A,1Bには、運転騒音を低減するための排気系昇温構造として、排気管2A,2B、消音機3A,3B及び排気口4A,4Bが設けられている。なお、消音機3A,3Bは、それぞれ排気管2A,2Bの途中に設置され、排気管2A,2Bの出口開口が排気口4A,4Bとなる。
さらに、本実施形態では、エンジン1A,1Bの回転位相を制御するコントローラ10と、排気管2A,2B間を連結するバイパス通路20とを備えている。このバイパス流路20は、エンジン1A,1Bにおける所定の回転数(内燃機関回転数)で排気脈動周波数の周期と一致する長さLに設定されている。
上述したコントローラ10は、エンジン1A,1Bが同じ回転数で運転され、しかも、その回転位相が逆位相となるように、着火のタイミングを制御するものである。このようなコントローラ10の制御機能は、たとえばエンジン全般の各種運転制御を行うために必要な制御装置内に組み込まれてもよいし、あるいは、単独設置してもよい。
バイパス流路20は、2本の排気管2A,2B間を単純に連結する配管流路であり、排気脈動の一部が排気管2A,2Bから分岐して流入する。
このバイパス通路20は、長さLの設定が重要である。この長さLは、逆位相の同回転数で運転されるエンジン1A,1Bから排出される排気脈動周波数の周期と一致するように設定するが、この排気脈動周波数は、エンジン回転数に応じて変化する。このため、船舶Saの航行中に最も使用頻度の高い回転数を選択し、この回転数に対応する長さLに設定することが望ましい。具体的なエンジン回転数としては、たとえば定格運転時の回転数を選択し、この回転数に対応する排気脈動周波数の周期とバイパス流路20の長さLとを一致させることが望ましい。
図1(b)は、エンジン1A,1Bの回転位相を逆位相とし、かつ、回転数を同回転数に設定した場合、バイパス通路20内において排気脈動が互いに干渉することを示す説明図である。
この場合、エンジン1Aの排気脈動Wa及びエンジン1Bの排気脈動Wbは、同一波長λの排気脈動が互いに1/2周期ずれた逆位相となるため、互いの背と腹の干渉により排気脈動が相殺される。このように、バイパス通路20内においては、逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉することになるので、最終的に排気口4A,4Bから排出される排気騒音の低減が可能になる。
すなわち、消音機3A,3B及び排気口4A,4Bを通過して流出する排気脈動は、バイパス流路20内において相殺された分だけ減少するため、エンジン1A,1Bから発生する運転騒音の低減が可能になる。このような排気騒音の低減は、消音機3A,3Bの小型化を可能にするので、コストの低減にも有効である。
また、図1(b)に例示したバイパス流路20は、長さLが排気脈動Wa及び排気脈動Wbの波長λと同一長さとなっているが、波長λのn倍(L=nλ)とする設定が可能なことは言うまでもない。この場合のnは、0を除く正の整数となる。
ところで、排気脈動周波数はエンジン回転数に応じて変化するため、複数の異なるエンジン回転数(排気脈動周波数)に対応する場合は、たとえば図2(a),(b)に示す変形例のように、バイパス流路20の流路長さLを可変とすればよい。
図2(a)に示す第1実施形態の変形例では、バイパス流路20から分岐して再合流する分岐流路21が設けられている。この分岐流路21は、図2(b)に示すように、分岐点P1から合流点P2までの迂回流路長さが、バイパス流路20側を通過するよりαだけ長くなるように設定されている。
さらに、バイパス流路20及び分岐流路21には、両方に手動操作または遠隔操作の開閉弁22,23が設けられている。この結果、開閉弁22,23のいずれか一方を開にして他方を閉とすることで、流路長さLのバイパス流路20に加えて、流路長さがL+αとなる分岐流路21経由のバイパス流路20′を選択できる。すなわち、開閉弁22,23の開閉操作により、流路長さの異なる二つのバイパス流路20,20′から適宜選択できるため、流路長さが可変のバイパス流路となる。
このため、船舶Sbのエンジン1A,1Bにおいては、2種類のエンジン回転数に対応してバイパス流路長さL,L+αを選択できるようになり、この場合、分岐流路21や開閉弁22,23が流路変更部となる。
このような流路変更部は、上述した1本の分岐流路21に限定されることはなく、たとえば長さの異なる分岐流路21を必要に応じてさらに追加して設けることも可能である。このような分岐流路21の追加は、追加した分岐流路数が単純に増加するだけでなく、開閉弁との組合せにより複数の分岐流路を適宜選択して組合せることも可能になるので、さらに対応可能なエンジン回転数の数を増すことができる。
すなわち、上述したバイパス流路20については、複数の流路長さから一つを選択する流路変更部を設けた変形例の排気系統消音構造を採用することにより、長さLが可変のバイパス流路20内では、異なる複数の運転条件(回転数等)において、逆位相で同一周波数の排気脈動を互いに干渉させることができ、この結果、排気騒音の低減が可能になる。
続いて、図3に示す第2実施形態について、図面を参照して説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の排気系統消音構造は、同型のエンジン1A,1Bが、各排気管2A,2Bを等しい長さの位置で合流させた後に消音機3へ導く排気系統30を備えている。すなわち、本実施形態の排気系統30は、エンジン1A,1Bに接続された同じ長さの排気管31,32と、両排気管31,32の出口を連結する連結排気管33と、連結排気管33の中心位置から排気口4に至る合流排気管34と、合流排気管34の途中に設置された消音機3と、を備えている。
この排気系統消音構造においても、エンジン1A,1Bの回転位相を制御するコントローラ10を備えており、両エンジン1A,1Bが同一回転数の逆位相となるように、着火のタイミングが制御される。
このような排気系統30は、排気脈動が同一長さの排気流路を通り、連通排気管33の中央部で、すなわち、合流排気管34の入口部で合流する。換言すれば、エンジン1A,1Bの排気脈動は、合流位置となる連通排気管33の中央部において、逆位相で同一周波数の排気脈動が互いに干渉する。この合流位置は、エンジン1A,1Bからの流路長さが同じであるから、逆位相の排気脈動は、たとえば互いの背と腹が干渉して排気騒音の低減が可能になる。このような排気騒音の低減は、消音機3の小型化を可能にするので、コストの低減にも有効である。
このように、上述した本実施形態によれば、排気流路外に設置されるコントローラ10でエンジン1A,1Bの回転位相を同回転数の逆位相に制御すると、バイパス通路20や排気系統30の配管流路内においては、排気脈動の干渉により排気騒音が低減される。このため、排気管2A,2Bのように、舶用主機のエンジン1A,1Bから排出される高温の排気環境にスピーカ等の機器類を設置する必要がなく、従って、排気音圧が大となるような舶用主機や、排気騒音が低周波数となる舶用主機にも容易に適用できる。
また、本実施形態の排気系統消音構造は、基本的に排気流路の配管系統を工夫して変更するものであるから、耐久性や信頼性の面でも優れており、低コストで高い消音効果を得ることができる。
ところで、上述した実施形態では、2台の同型内燃機関(エンジン1A,1B)を備えている場合について説明したが、たとえば4台の同型内燃機関を備えている場合には2台を1セットにして対応するなど、2台以上となる複数の同型内燃機関を備えている場合にも適用可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば2サイクルや4サイクルの舶用機関に適用可能であるなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
1A,1B エンジン(舶用内燃機関/同型内燃機関)
2A,2B,31,32 排気管
3,3A,3B 消音機
4,4A,4B 排気口
20 バイパス通路
21 分岐流路
22,23 開閉弁
30 排気系統
33 連結排気管
34 合流排気管
L 流路長さ

Claims (3)

  1. 複数の同型内燃機関を備えている舶用内燃機関の排気系統消音構造であって、
    前記舶用内燃機関の回転位相を制御するコントローラと、前記舶用内燃機関の排気管を連結し、所定の内燃機関回転数における排気脈動周波数の周期と一致する長さのバイパス通路と、を備えていることを特徴とする舶用内燃機関の排気系統消音構造。
  2. 前記バイパス流路に、複数の流路長さから一つを選択する流路変更部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の舶用内燃機関の排気系統消音構造。
  3. 複数の同型内燃機関を備えている舶用内燃機関の排気系統消音構造であって、
    前記舶用内燃機関の回転位相を制御するコントローラと、前記舶用内燃機関の各排気管を等しい長さの位置で合流させた後に消音機へ導く排気系統と、を備えていることを特徴とする舶用内燃機関の排気系統消音構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018535874A (ja) * 2015-10-07 2018-12-06 ロールスロイス マリン アクティーゼルスカブ 海上船

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