JP2013181118A - 繊維強化プラスチック用組成物及び炭素繊維強化プラスチック - Google Patents

繊維強化プラスチック用組成物及び炭素繊維強化プラスチック Download PDF

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Abstract

【課題】 クラックや層間剥離に対する強度が高い繊維強化プラスチックを得ることのできる繊維強化プラスチック用組成物とこれを用いた炭素繊維強化プラスチックを提供する。
【解決手段】本発明にかかる繊維強化プラスチック用組成物は、エポキシプレポリマーと、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン及びこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種からなるナノ繊維とを含むことを特徴とし、本発明にかかる炭素繊維強化プラスチックは、前記本発明にかかる繊維強化プラスチック用組成物をマトリックス樹脂組成物とすることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂組成物として有用な繊維強化プラスチック用組成物とこれを用いた炭素繊維強化プラスチックに関する。
繊維強化プラスチックは、繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料であり、軽量でありながら強度の高い材料として注目を集めている。
この繊維強化プラスチックに関し、エポキシ樹脂と炭素繊維からなるプリプレグ上に、ポリスルホンのナノ繊維薄膜をエレクトロスピニング法によって直接紡績して、繊維強化プラスチックの強度向上を図る手法が提案されている(非特許文献1参照)。この非特許文献1によれば、この技術においては、まず、ポリスルホンのナノ繊維薄膜がエポキシ樹脂中に溶解するが、ポリスルホンの粘度の高さ及びエポキシ樹脂の硬化のために、前記溶解は完全には起こらず、その結果、ポリスルホンが球状粒子となって相分離するとされ、このポリスルホンの球状粒子によって高い機械的強度を持った繊維強化プラスチックが得られるとされる。
Gang,Liら、「Inhomogeneous toughening of carbon fiber/epoxy composite using electrospun polysulfone nanofibrous membranes by in situ phase separation」、Composites Science and Technology 68、2008年、987−994頁
上記非特許文献1の技術は、エレクトロスピニング法により得られるポリスルホンのナノ繊維薄膜を利用した技術であるが、このエレクトロスピニング法を行うためのポリスルホン溶液の溶剤は、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC)やアセトンなどの有機溶剤であり、環境負荷が大きいという問題がある。また、DMACは高価である。これらの点に鑑みれば、他の材料を用いて繊維強化プラスチックの強度向上を図ることも検討されるべきである。
また、繊維強化プラスチックについては、マトリックス樹脂のもろさに起因してクラックや層間剥離に対する耐性が弱いため、特にクラックや層間剥離に対する強度を向上させることが必要である。
そこで、本発明は、クラックや層間剥離に対する強度が高い繊維強化プラスチックを得ることのできる繊維強化プラスチック用組成物とこれを用いた炭素繊維強化プラスチックを提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行い、エポキシプレポリマーと、特定のナノ繊維との組成物によれば、エポキシプレポリマーとナノ繊維とが強固に結合し、クラックや層間剥離に対する強度が高い繊維強化プラスチックを提供できることを見出した。
本発明は上記知見に基づき完成されるに至った。
すなわち、本発明にかかる繊維強化プラスチック用組成物は、エポキシプレポリマーと、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン及びこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種からなるナノ繊維とを含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる炭素繊維強化プラスチックは、上記繊維強化プラスチック用組成物をマトリックス樹脂組成物とすることを特徴とする。
本発明によれば、クラックや層間剥離に対する強度が高い繊維強化プラスチックを提供することができる。
実施例のモードI層間破壊靭性試験において、変位距離と荷重との関係を表すグラフである。 実施例のモードI層間破壊靭性試験において、クラック長さと層間破壊靭性との関係を表すグラフである。 実施例のモードI層間破壊靭性試験において、GICとGIPの測定値を表すグラフである。
以下、本発明にかかる繊維強化プラスチック用組成物及び炭素繊維強化プラスチックの好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔エポキシプレポリマー〕
本発明に含有されるエポキシプレポリマーは、硬化剤との反応により架橋ネットワークを形成し得る2個以上のエポキシ基を分子内に有するものであり、従来一般に知られているものが採用できる。
エポキシプレポリマーは、例えば、多価アルコールとエピハロヒドリンとを水酸化アルカリの存在下で反応させて得られる。エピハロヒドリンは、一般的にはエピクロルヒドリンである。
多価アルコールの種類に応じて、種々のエポキシプレポリマーが知られており、例えば、ビスフェノールA型エポキシプレポリマー、ビスフェノールF型エポキシプレポリマー、ノボラック型エポキシプレポリマー、グリシジルアミン型エポキシプレポリマー、グリシジルエーテル型エポキシプレポリマー、ウレタン変性エポキシプレポリマーなどが挙げられるが、なかでも性能とコストのバランスが良好なビスフェノールA型エポキシプレポリマーがより好適に用いられる。
〔ナノ繊維〕
本発明に含有されるナノ繊維は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドンやこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種の高分子からなるナノオーダーの繊維である。
このようなナノ繊維をエポキシプレポリマーに添加することで、クラックや層間剥離に対する強度が高い繊維強化プラスチックを提供することができる。
また、ポリビニルアルコールは、水に溶解させることができるので環境負荷が小さいとともに、比較的安価に入手できるという利点もある。
ポリビニルピロリドンはポリビニルアルコールよりもさらに水への溶解性が高く、やはり環境負荷が小さいという利点がある。
ポリビニルアセタールは、上記各ナノ繊維の中で、比較的融点が低いものであるので、加熱による溶融が容易である。この特性を利用することで、繊維強化プラスチックを形成したとき、該繊維強化プラスチックにクラックが生じた場合において、エポキシ樹脂に悪影響を与えない程度の加熱によってポリビニルアセタールを溶融させ、前記クラックを修復できる利点がある。
前記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、従って、一部に多少の酢酸基が残っているものも含まれる。
この場合、ポリビニルアルコールの鹸化度としては、特に限定されないが、例えば、85〜90mol%である。また、ポリビニルアルコールの平均重合度としては、特に限定されないが、例えば、500〜1800である。
前記ポリビニルアセタールは、通常、前記ポリビニルアルコールの水酸基をアルデヒドでアセタール化することにより得られ、従って、一部に多少の酢酸基や水酸基が残っているものも含まれる。ポリビニルアセタールの平均重合度としては、特に限定されないが、例えば、20000〜50000である。
このポリビニルアセタールは、アセタール化のためのアルデヒドの種類によって種々のものが挙げられるが、好ましくは、ポリビニルアルコールの水酸基の少なくとも一部をブチルアルデヒドでアセタール化した構造を有するポリビニルブチラールである。
前記ポリビニルピロリドンは、N−ビニル−2−ピロリドンの重合体である。ポリビニルピロリドンの平均重合度としては、特に限定されないが、例えば、10000〜100000である。
前記「これらの変性物」との記載は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールまたはポリビニルピロリドンの水酸基、アセタール基、ピロリドン基の一部が他の官能基で置換されたものも含む趣旨である。
ナノ繊維の平均繊維径としては、例えば、50〜500nmであることが好ましく、50〜100nmであることがより好ましい。50nm未満であるとナノ繊維が凝集してしまって組成物中での均一分散が困難となるおそれがあり、500nmを超えると、繊維強化プラスチックに適用したときにプラスチック強化用の繊維(以下、単に「強化繊維」という)束間へ浸透し難く、疲労強度の向上効果が十分に発揮されないおそれがある。
なお、本発明において、ナノ繊維の平均繊維径は、走査型顕微鏡により測定した100本のナノ繊維の単純平均により算出される値をいうものとする。
ナノ繊維の繊維長としては、例えば、250nm〜200μmであることが好ましく、500nm〜50μmであることがより好ましい。250nm未満であると本発明の効果が十分に得られないおそれがあり、200μmを超えると、ダマとなり、強化繊維束内に入りにくくなるおそれがある。
本発明者の検討によると、ナノ繊維のヤング率は、ナノ繊維を混入しようとするエポキシ樹脂硬化物のヤング率より低いことが望ましい。例えば、0.1〜3.0GPaであることが好ましく、0.1〜2.5GPaであることがより好ましく、1〜2GPaであることが特に好ましい。0.1GPa未満であるか3.0GPaを超えた場合、ナノ繊維の添加効果が十分に発揮されないおそれがある。
ナノ繊維は、従来公知の方法で得られるものが採用でき、例えば、高分子溶液を用いて、これをエレクトロスピニング法によって繊維化することで得ることができる。
エレクトロスピニング法は、シリンジに入れた高分子溶液に高電圧を印加して、電界中に溶液を飛散させることによりナノ繊維を作製する紡糸法である。
ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンは親水性であり、上述のとおり水に可溶あるいは易溶であるため、エレクトロスピニング法において水を溶剤としてナノ繊維化を行うことができ、環境負荷が小さいという利点がある。
電圧の強さ、シリンジの吐出口からターゲットまでの距離、高分子溶液の濃度、高分子溶液の吐出速度などによりナノ繊維の繊維径や繊維長をコントロールすることが可能である。
これらの条件については、特に限定するわけではないが、例えば、電圧の強さは5〜30kVの範囲、シリンジの吐出口からターゲットまでの距離は10〜30cmの範囲、高分子溶液の濃度は10〜25重量%の範囲、高分子溶液の吐出速度は0.005〜0.5mm/minの範囲がそれぞれ好ましく採用できる。
エレクトロスピニング法以外にナノ繊維を得る方法としては、例えば、メルトブロー法やフラッシュ紡糸法などが挙げられる。
本発明の繊維強化プラスチック用組成物におけるナノ繊維の含有割合については、例えば、エポキシプレポリマー100重量部に対するナノ繊維の含有割合が0.01〜2.0重量部であることが好ましく、0.1〜0.8重量部であることがより好ましい。0.01重量部未満ではナノ繊維の添加効果が十分に発揮されないおそれがあり、2.0重量部を超えると組成物が高粘度となり、強化繊維との混合が困難となるおそれがあるとともに、疲労寿命が低下してしまうおそれもある。
〔繊維強化プラスチック〕
上記繊維強化プラスチック用組成物をマトリックス樹脂組成物として用いること以外は従来公知の方法により繊維強化プラスチックを得ることができる。
すなわち、上記繊維強化プラスチック用組成物と硬化剤とを混合し、例えば、ハンドレイアップ法、引抜成形法、フィラメントワインディング法、RTM法、ピンワインディング法、インフュージョン法、ホット(コールド)プレス法、スプレーアップ法、連続プレス法などの成形法や、プリプレグの形態でシートワインディング法、オートクレーブ法、ホットプレス法などの成形法を採用して強化繊維と複合化することにより、繊維強化プラスチックを得ることができる。
ここで、硬化剤は、エポキシプレポリマーを架橋硬化可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアミンや酸無水物などが一般的である。エポキシプレポリマーと硬化剤の組み合わせによる硬化反応は、1液型、2液型のいずれでも良く、硬化剤を繊維強化プラスチック用組成物中に含有させておいても良いし、硬化剤を繊維強化プラスチック用組成物に後から添加させるようにしても良い。
また、強化繊維は、従来公知のものを利用することができ、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、金属繊維などが挙げられる。特に、炭素繊維を強化繊維とすることが好ましい。
繊維強化プラスチック用組成物の硬化条件は、上記エポキシプレポリマーや硬化剤の種類によって異なるが、例えば、常温硬化系では常温で数分〜数十時間、中高温硬化系では45℃以上の温度で数十秒〜数時間である。
本発明の繊維強化プラスチック用組成物と強化繊維との混合割合は、例えば、重量比で、40:60〜70:30であることが好ましい。
以下、実施例を用いて、本発明にかかる繊維強化プラスチック用組成物及び繊維強化プラスチックについて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔ナノ繊維の製造〕
<製造例1>
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記する。)の粉末(日本ポバール社製、平均重合度1500、鹸化度88%)を80℃の蒸留水に添加し、マグネティックスターラーを用いて5時間撹拌混合した。
このようにして調製した16重量%PVA溶液を、エレクトロスピニング装置(カトーテック社製)を用いてナノ繊維化した。
具体的には、まず、カソードとなる銅プレート上にアルミ箔を取り付けたのち、PVA溶液をシリンジニードルから0.01mm/minで吐出した。電圧は15kVとし、シリンジニードルからターゲットへの距離は15cmとした。
エレクトロスピニング法(以下、「ES法」と略記する)により形成されたナノ繊維の平均繊維径は100nmであった。なお、ナノ繊維の繊維径については、走査型電子顕微鏡によって100本測定し、その単純平均値をナノ繊維の平均繊維径とした。
<製造例2〜4>
製造例1において、吐出するPVA溶液の濃度を18重量%,20重量%又は22重量%に変更する以外は同様にして、製造例2〜4の各ナノ繊維を製造した。製造例2〜4の各ナノ繊維の平均繊維径は、それぞれ、100nm、75nm、150nmであった
〔炭素繊維強化プラスチックの製造〕
<実施例1>
ビスフェノールA型エポキシプレポリマー「エピコート828」(ジャパンエポキシレジン社製)100重量部に対し、上記製造例3にかかるナノ繊維0.03重量部を添加し、プロセスホモジナイザー(SMT社製)を用いて15000rpmで混合し、繊維強化プラスチック用組成物を調製した。
さらに、エポキシプレポリマー100重量部に対し、硬化剤としての変性芳香族ポリアミン(ジャパンエポキシレジン社製)60重量部を添加し、真空乾燥機で15分間脱気した。その後、得られた混合物を、ハンドレイアップ法により平織炭素繊維「TR3110M」(三菱レイヨン社製、繊維体積含有率50±2%)10枚に含浸させ、実施例1にかかる炭素繊維強化プラスチックを製造した。
<実施例2>
ナノ繊維の添加量を、エポキシプレポリマー100重量部に対し0.05重量部としたこと以外は実施例1と同様にして実施例2にかかる炭素繊維強化プラスチックを製造した。
<実施例3>
ナノ繊維の添加量を、エポキシプレポリマー100重量部に対し0.1重量部としたこと以外は実施例1と同様にして実施例3にかかる炭素繊維強化プラスチックを製造した。
<比較例1>
ナノ繊維を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1にかかる炭素繊維強化プラスチックを製造した。
〔評価試験〕
<引張強度>
引張強度は、島津オートグラフ万能試験機を用いて測定した。200mm×25mm×2mmの試験片を用いて、ゲート長さは100mm、引っ張り速度は1mm/minとした。試験片の両端には、接着によって1.5mm厚のアルミニウムタブを取り付けた。
<曲げ強度>
曲げ性能の測定は、島津オートグラフ万能試験機を用い、3点曲げ試験により行った。この3点曲げ試験は、厚み2mm、幅15mm、長さ100mmの試験片を用い、スパンを80mmとして、室温下、1mm/minの速度で行った。
<モードI層間破壊靭性>
モードI層間破壊靱性は、モードI双片持ち梁(Mode I Double Cantilever Beam)(DCB)法により測定した。このDCB試験は万能試験機(島津製作所社製)を用いて行った。試験片は、厚み2mm、幅20mm、長さ150mmとした。初期クラック長さは50mmとした。
モードI層間破壊靱性GIC、GIPは、修正コンプライアンス較正法(MCC法)を用いて下式(1)、(2)から算出した。
Figure 2013181118
Figure 2013181118
上式(1)、(2)において、GICは初期破壊段階における破壊靭性を表し、GIPは亀裂が伝播している段階における破壊靭性を表す。Ppは負荷荷重、Cは各クラック長さに対応する較正値、Pcは初期最大荷重、Bは試料片の幅、2hは試料片の厚み、Nはエンドブロック補正率、Fははりの大変形に対する補正率、mは(a/2h)に対して(BC/N)1/3をプロットしたときの勾配である(ただし、aはクラック長さ)。
試験方法についての更なる詳細は、ASTM D5528−01の記載に準じる。
<SEM観察>
アルミ箔上のナノ繊維、ならびに、静的試験及び疲労試験での破断面を日本電子社製の走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM−7001FD」により観察した。
〔結果及び考察〕
<ナノ繊維の形状>
ナノ繊維の形状は、上記SEM観察によって確認した。
ES法に供するPVA溶液濃度が16重量%であった製造例1のナノ繊維では、ES法の工程において繊維上にランダムにビーズが形成された。ビーズの大きさ(差し渡し最大長さ)は、200nmに達するものもあった。
ES法に供するPVA溶液濃度が18重量%であった製造例2のナノ繊維では、繊維径、繊維形状ともに乱雑なものが得られた。
ES法に供するPVA溶液濃度が20重量%であった製造例3のナノ繊維は、50〜100nmの範囲の繊維径を有し、ランダムに整列したウェブ状の滑らかな繊維であった。
ES法に供するPVA溶液濃度が22重量%であった製造例4のナノ繊維では、製造例3のナノ繊維よりも厚みがあり、形状にバラツキがあった。
上の結果から、PVA溶液濃度20重量%程度が最も好ましいナノ繊維を形成させるものであったので、実施例1〜3においては、上述のとおり、製造例3にかかるナノ繊維を用いた。
<炭素繊維強化プラスチックの引張強度及び曲げ強度>
実施例1〜3及び比較例1の各炭素繊維強化プラスチックについて、上述の方法に従って測定した引張強度と曲げ強度の結果を下表に示す。
Figure 2013181118
上記表1に示す結果から分かるように、引張強度と曲げ強度は、いずれも、実施例1〜3が比較例1を上回っており、特に、実施例2は、比較例1の結果と比べて、引張強度が10%向上し、曲げ強度も8.8%向上しており、ナノ繊維の添加効果が顕著に現れた。ヤング率、曲げ弾性率については、ナノ繊維を添加することで、値が小さくなる傾向があった。
引張試験後の試験片をSEM観察したところ、実施例1〜3の炭素繊維強化プラスチックにおいては、エポキシ樹脂と炭素繊維がナノ繊維によって強固に結合されていることが分かり、これが、引張強度や曲げ強度の向上の要因であると理解された。実施例2の炭素繊維強化プラスチックにおいて、ナノ繊維によるエポキシ樹脂と炭素繊維の結合が特に優れていることも分かった。
対照的に、比較例1の炭素繊維強化プラスチックにおいては、エポキシ樹脂と炭素繊維との結合が弱いことが分かった。
<炭素繊維強化プラスチックのモードI層間破壊靭性>
実施例1〜3及び比較例1の各炭素繊維強化プラスチックについて、上述の方法に従って測定したモードI層間破壊靭性の結果を図1〜3に示す。
図1(a)〜(c)は、それぞれ、実施例1〜3についての結果を示すグラフであり、図1(d)は比較例1についての結果を示すグラフである。
同様に、図2(a)〜(c)は、それぞれ、実施例1〜3についての結果を示すグラフであり、図2(d)は比較例1についての結果を示すグラフである。
また、図3(a)はGICの測定値を表すグラフであり、図3(b)はGIPの測定値を表すグラフである。
図1を見ると、最大荷重値に達するまでは直線状に増加し、その後、伝播段階において、ジグザグ状に徐々に減少していく傾向が見られた。これは、長さ方向において樹脂リッチの領域と繊維リッチの領域のバラツキがあること、繊維の整合不良、孔、繊維架橋の破壊といった要因で説明できる。
ナノ繊維を添加した実施例1〜3では、ナノ繊維を添加しなかった比較例1と比べて、変位が大きくなり、荷重値が高くなった。これは、エポキシ樹脂と炭素繊維とがナノ繊維によって強く結合されている結果、クラックの伝播が起こりにくくなったためであると推測される。
さらに、図2,3に示す結果から、ナノ繊維を添加した実施例1〜3では、ナノ繊維を添加しなかった比較例1と比べて、初期及び伝搬段階のいずれにおいても層間破壊靭性の増加が見られる。
モードI層間破壊靭性試験後の試験片をSEM観察したところ、ナノ繊維を添加しなかった比較例1では、エポキシ樹脂と炭素繊維との結合が比較的弱かったのに対し、ナノ繊維を添加した実施例1〜3では、ナノ繊維が、エポキシ樹脂と炭素繊維との界面の接着を強化し、炭素繊維強化プラスチックの強度向上に寄与していることが分かった。
本発明にかかる繊維強化プラスチック用組成物は、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂組成物として好適に利用でき、これを用いた炭素繊維強化プラスチックは、従来の炭素繊維強化プラスチックと同様の用途において好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. エポキシプレポリマーと、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン及びこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種からなるナノ繊維とを含む、繊維強化プラスチック用組成物。
  2. 前記ナノ繊維の平均繊維径が50〜500nmである、請求項1に記載の繊維強化プラスチック用組成物。
  3. エポキシプレポリマー100重量部に対し、ナノ繊維の含有割合が0.01〜2.0重量部である、請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック用組成物。
  4. 前記ナノ繊維のヤング率が0.1〜3.0GPaである、請求項1から3までのいずれかに記載の繊維強化プラスチック用組成物。
  5. 前記エポキシプレポリマーがビスフェノールA型エポキシプレポリマーである、請求項1から4までのいずれかに記載の繊維強化プラスチック用組成物。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の繊維強化プラスチック用組成物をマトリックス樹脂組成物とする、炭素繊維強化プラスチック。
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