JP2013181023A - ケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用いるケラチン繊維の染色方法であって、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とするケラチン繊維の染色方法及びこれに用いるケラチン繊維用染色剤である。
【選択図】なし
Description
このような問題を解消するため、近年では過酸化水素に替えてマルチ銅オキシダーゼの一種であるラッカーゼを配合したケラチン繊維用染色剤が提案されている(特許文献1、2)。
詳述すれば、双方がマイナスに強く帯電していれば染色工程においてオキシダーゼとケラチン繊維は互いに反発するので、オキシダーゼはケラチン繊維から離れた位置で酸化染料を酸化発色させることになり、結局、発色した酸化染料分子はケラチン繊維からは遠く離れた位置に分布すると考えられる。従って、発色した酸化染料がケラチン繊維に吸着されにくくなり、染色後に薬液を洗い流す際に発色した酸化染料分子の多くが洗い流されてしまっていると推察される。
即ち本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、pHが高い環境で使用してもマイナスに荷電しにくいオキシダーゼを使用することにより、頭髪用として使用した場合でも使用時に毛髪や頭皮を損傷せず、かぶれが少ないだけでなく、染毛性に優れたケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤を提供することを目的とする。
本発明のケラチン繊維の染色方法は、酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用い、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とする。
本発明のケラチン繊維用染色剤は、酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを含み、当該オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とする。
インドリン化合物としては特に限定されないが、例えば、インドリン、5,6−ジヒドロキシインドリン、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−ブチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、4−ヒドロキシ−5−メトキシインドリン、6−ヒドロキシ−7−メトキシインドリン、6,7−ジヒドロキシインドリン、4,5−ジヒドロキシインドリン、4−メトキシ−6−ヒドロキシインドリン、N−ヘキシル−5,6−ジヒドロキシインドリン、2−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、3−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、4−ヒドロキシインドリン、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、2−メチル−5−エチル−6−ヒドロキシインドリン、2−メチル−5−ヒドロキシ−6−β−ヒドロキシエチルインドリン、4−ヒドロキシプロピルインドリン、2−ヒドロキシ−3−メトキシインドリン、6−ヒドロキシ−5−メトキシインドリン、6−ヒドロキシインドリン、5−ヒドロキシインドリン、7−ヒドロキシインドリン、7−アミノインドリン、5−アミノインドリン、4−アミノインドリン、5,6−ジヒドロキシインドリンカルボン酸、1−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、これらの塩類等を挙げることができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
また、通常の染毛条件で必ずプラスに帯電するようにしてもよく、このような観点からはオキシダーゼの等電点を11.0より大きくしてもよい。
具体的には、通常の染毛条件で必ずプラスに帯電するようにオキシダーゼの等電点を定める場合、13. 0以下とするのが好ましい。
同様に、通常のオキシダーゼの至適pHは7.0〜7.5なので、染毛工程におけるpHもその程度とするのが好ましいが、このような場合のオキシダーゼの等電点は9.5以下、あるいは9.0以下とするのが現実的である。
なお、染毛工程を上記のpHの範囲で行いやすくするため、ケラチン繊維用染色剤自体のpHをケラチン繊維の等電点とオキシダーゼの等電点の間にするのが好ましい。
この化学修飾に用いることができるジアミン化合物としては、1, 4−ジアミノブタン、1, 6−ジアミノヘキサン、1, 8−ジアミノオクタン、1, 4−ジアミノベンゼン、p−キシレンジアミン、N, N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、4, 4 '−ジアミノジフエニルエーテル、4, 4 '−チオジアニリンが例示できる。
また、緩衝剤としてはホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液などが使用でき、脱水剤としては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1, 2−ジヒドロキノリンなどが使用できる。
このようなタール色素としては、昭和41年8月31日公布の厚生省令第30号「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」によって指定されている色素が挙げられる。また、HC染料としては、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC黄2、HC黄4等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性黄57等が挙げられ、直接染料としては、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−メチルアミノ−4−ニトロフェノキシエタノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール等が挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
例えば、界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ソルビタン等のノニオン性界面活性剤;セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチル等の油剤;キサンタンガム、サクシノグルカン、ヒドロキシプロピルグァーガム、カチオン化グァーガム等のグァーガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース類等の増粘剤;1,3−BG、PG、DPG、グリセリン等の保湿剤;EDTA、EDTA−2Na、EDTA−4Na、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤:パラベン、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤;香料等で、これらは必要に応じ、任意に組み合わせて適宜配合することができる。
剤型も液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、泡状、エアロゾル状等、任意の剤型とすることができ、容器も袋入り、瓶入り、ポンプ式容器入り、チューブ入り、噴霧缶入り等、どのようなものでも採用できる。
染料中間体としてパラフェニレンジアミンを含む第1剤と、オキシダーゼを含む第2剤からなる2剤式のケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、第1剤はポリオキシエチレン硬化ひまし油2g、乳酸1g、ヒドロキシエチルセルロース1g、モノエタノールアミン0.9g、パラフェニレンジアミン1g、及び合計25gになるように精製水を加えて混合したものである。なお、第1剤のpHは9.8である。
第2剤は、国際公開WO2007/063614の[0101]にmCueO(1)として記載されているオキシダーゼ(本明細書ではrCueOと称する)を改変し、ヒスチジンタグに代えてカルボキシ末端に6個の連続したアルギニンを付加したmCueOの希釈液(使用時の濃度は0.5units/g)である。
なお、本実施例に使用したmCueOは、国際公開WO2007/063614に記載された配列番号14の塩基配列において、ヒスチジンタグをコードする部分を6個の連続したアルギニンをコードするものに変更したDNA塩基配列を発現ベクターpUC18に組み込み、宿主E.coli BL21に導入して培養し、しかる後、得られた粗酵素液を定法で精製する方法により得られたものである。得られた酵素の等電点(pI)を測定したところ8.1であった。
表1に示すように、第1剤にカップラーとしてレゾルシン0.5gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、第1剤に染料中間体としてパラアミノフェノール0.3gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、第1剤にカップラーとしてメタアミノフェノール0.3gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、第1剤にカップラーとして塩酸2, 4ジアミノフェノキシエタノール0.2gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、第1剤にカップラーとしてpAOC(パラアミノオルトクレゾール)0.3gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、モノエタノールアミンに代えて28%アンモニア水3gを用いた他は実施例6と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
上記した実施例1〜7のケラチン繊維用染色剤を用い、ビューラックス製白髪毛の1g毛束に対して染毛試験を行った。
まず、前処理として、毛束を38℃の流水で30秒間水洗いして、1%SDS液で1分間もみ洗いし、再び38℃の流水で30秒間水洗いしてSDS液を洗い流した後、風乾した。
次に、第1剤0.5g及び第2剤1.5gを秤量してカップに入れて刷毛で混合し、混合液を刷毛で毛束に塗布した。毛束は扇状になるように広げ、できるだけ均一に塗布できるようにした。
塗布後、室温(26.5℃)で15分後放置した後、毛束を裏返して混合液を刷毛で均一に広げ、さらに室温で15分間放置した。
その後、毛束を38℃の流水で30秒間水洗いしてケラチン繊維用染色剤を洗い流し、1%SDS液を塗布してコームで20回櫛通しして泡立てた後、38℃の流水で流しながらコームで20回櫛通しして1%SDS液を洗い流した。洗浄後、水分をタオルで拭き取り、乾燥させた。
乾燥後、分光測色計(コニカミノルタ製、CM−2600d)でLab値を測定するとともに、未処理の白髪毛を基準とした色差ΔEを算出した。結果を表2に示す。
表2に示すとおり、毛束は様々な色に染め上げられ、使用者が求める所望の色に頭髪を染色可能であることがわかる。
第1剤のpHが9.0になるようにモノエタノールアミンの量を変更し、第2剤における酵素の濃度を0.25units/gにした他は実施例1と同様にして実施例8のケラチン繊維用染色剤を作成した。
第2剤の酵素として、上記rCueOを改変せずにそのまま使用した他は実施例8と同様にして、比較例1のケラチン繊維用染色剤を作成した。なお、rCueOの等電点(pI)は6.5であった。
第1剤として、パラフェニレンジアミン(PPD)に代えて、5,6−ジヒドロキシインドール(5,6−DHI)0.3g配合したものを用い、第2剤の酵素としてMyrothecium verrucaria由来の野生型BOD(本明細書においてはwtBODと称する)をそのまま使用した他は実施例8と同様にして参考例1のケラチン繊維用染色剤を作成した。なお、wtBODの等電点(pI)は4.0であった。
酵素として、Myrothecium verrucaria由来の野生型BODにおいて、折り畳まれて立体構造が形成されたときに表面に出るものであって、且つ塩基性アミノ酸でなく、さらに置き換えても立体構造に大きな変化がないもの立体構造を変化させないアミノ酸残基を4個、アルギニンに置き換えてなるrBODを使用した他は参考例1と同様にして、参考例2のケラチン繊維用染色剤を作成した。なお、rBODの等電点(pI)は4.9であった。
表3に示されるとおり、等電点が高いマルチ銅オキシダーゼを用いれば、従来の等電点が低い場合と比較して、染色性が優れていることがわかる。
キュベット(1.5mL UVディスポセル、Top社製)中で、200mM酢酸緩衝液(pH5.5)0.875mL、各酵素(rCueO、mCueO、wtBOD、rBOD)水溶液(0.5mg/mL)0.025mL、及び、各基質溶液0.1mLを混合し、分光光度計(UV−2459、SHIMADZU社製)を用いて、各測定波長での吸光度の変化量を測定した(測定波長はパラフェニレンジアミンは470nm、5,6−ジヒドロキシインドールは300nm)。
そして、既に判っている目標濃度(0.5及び0.25units/g)におけるwtCueO及びwtBODの吸光度の変化量と比較し、この吸光度の変化量と同じになるように各酵素水溶液を希釈して目標濃度の酵素液とみなした。
Claims (3)
- 酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用いるケラチン繊維の染色方法であって、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とするケラチン繊維の染色方法。
- 酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを含み、当該オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とするケラチン繊維用染色剤。
- pHがケラチン繊維の等電点と配合されるオキシダーゼの等電点との間の値であることを特徴とする請求項2に記載のケラチン繊維用染色剤。
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