JP2013181023A - ケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛髪や頭皮の損傷、かぶれが少なく、且つ染色性に優れたケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤を提供する。
【解決手段】酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用いるケラチン繊維の染色方法であって、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とするケラチン繊維の染色方法及びこれに用いるケラチン繊維用染色剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤に関し、更に詳しくは、頭髪を染色した場合でも毛髪や頭皮の損傷、かぶれが少なく、且つ染色性に優れたケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤に関する。
従来より、染毛料等のケラチン繊維用染色剤としては、パラフェニレンジアミン等のジアミン系酸化染料と過酸化水素等の酸化剤を主要成分とした酸化型ケラチン繊維用染色剤が一般的に使用されている。酸化剤としては、従来は過酸化水素がよく用いられていたが、過酸化水素はその酸化作用が非常に強力であるため、アルカリと共に使用すれば、頭髪に対して使用した場合に毛髪や頭皮を損傷してしまう。また、ジアミン系酸化染料はアレルゲンとして作用するが、頭皮が損傷しているとジアミン系酸化染料が頭皮を透過しやすくなり、重篤なかぶれを誘発する問題を生じる。
このような問題を解消するため、近年では過酸化水素に替えてマルチ銅オキシダーゼの一種であるラッカーゼを配合したケラチン繊維用染色剤が提案されている(特許文献1、2)。
特表2002−509091号公報 特開2002−47144号公報
しかしながら、従来のオキシダーゼを頭髪用染色剤の酸化剤として使用した場合、過酸化水素を使用したものと比較して染色性が劣るため、これを補うために酸化染料を大量に配合する必要が生じるが、大量に使用すれば、頭皮に損傷がない場合でもジアミン系酸化染料が頭皮に浸透してしまい、結局、かぶれの問題は十分には解消されない。
そこで、オキシダーゼを使用した染色剤の染色性が低い原因について鋭意研究したところ、ヒト頭髪等のケラチン繊維は等電点が3.0〜5.5程度(通常は3.7前後)であり、オキシダーゼの等電点も同程度であるが、染毛工程はこれよりも高いpHの範囲(6. 5〜11.0程度)で施されるためケラチン繊維とオキシダーゼが双方ともマイナスに帯電することになり、これが染色性に悪影響を与えていると考えられる。
詳述すれば、双方がマイナスに強く帯電していれば染色工程においてオキシダーゼとケラチン繊維は互いに反発するので、オキシダーゼはケラチン繊維から離れた位置で酸化染料を酸化発色させることになり、結局、発色した酸化染料分子はケラチン繊維からは遠く離れた位置に分布すると考えられる。従って、発色した酸化染料がケラチン繊維に吸着されにくくなり、染色後に薬液を洗い流す際に発色した酸化染料分子の多くが洗い流されてしまっていると推察される。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意研究の結果、染毛工程においてオキシダーゼのマイナスの電荷が減少すれば、好ましくはプラスに帯電していれば、オキシダーゼとケラチン繊維の間の反発力が弱くなり、好ましくはオキシダーゼがケラチン繊維に吸着され、発色した酸化染料もケラチン繊維の近傍に分布するため酸化染料がケラチン繊維に吸着されやすくなって課題が解決できるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、pHが高い環境で使用してもマイナスに荷電しにくいオキシダーゼを使用することにより、頭髪用として使用した場合でも使用時に毛髪や頭皮を損傷せず、かぶれが少ないだけでなく、染毛性に優れたケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤を提供することを目的とする。
即ち、本発明の特徴は、酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用いるケラチン繊維の染色方法であって、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいケラチン繊維の染色方法である。
本発明の他の特徴は、酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを含み、当該オキシダーゼの等電点が6.5より大きいケラチン繊維用染色剤である。
本発明の更に他の特徴は、pHがケラチン繊維の等電点と配合されるオキシダーゼの等電点との間の値である上記のケラチン繊維用染色剤である。
本発明のケラチン繊維の染色方法によれば、オキシダーゼの等電点を6.5より大きくしたので、染色工程においてオキシダーゼとケラチン繊維の反発力が弱まり、又は互いに吸引し、そこで酸化染料を酸化、発色させる。このため、発色した酸化染料がケラチン繊維の近傍に分布しやすくなり、ケラチン繊維に吸着されやすくなるので、染色性は極めて良好になる。
本発明のケラチン繊維用染色剤によれば、オキシダーゼの等電点を6.5より大きくしたので、アルカリ条件下で染色する場合にオキシダーゼはマイナスに荷電しにくくなり、好ましくはプラスに荷電する。従ってケラチン繊維とオキシダーゼの反発力を小さくする、又は互いに吸引させることができ、オキシダーゼがケラチン繊維の近傍で作用しやすくなって、発色した酸化染料もケラチン繊維の近傍に分布しやすくなるので、染色性を向上させることができる。
ケラチン繊維用染色剤のpHをケラチン繊維との等電点とオキシダーゼの等電点の間にすれば、オキシダーゼはプラスに荷電するので、オキシダーゼがマイナスに荷電したケラチン繊維に吸着されてその表面上で酸化染料を発色させる。その結果、発色した酸化染料はケラチン繊維の表面付近に分布するため、染料がケラチン繊維に吸着されやすくなり、染色性は極めて良好になる。
本発明において、ケラチン繊維とは毛髪、羊毛等のケラチンを主成分とする繊維が含まれ、また、前記毛髪には頭髪の他、毛髪からなるウイッグ等も含まれる。以下の記載において、ケラチン繊維として毛髪(頭髪)を例に挙げて説明する。
本発明のケラチン繊維の染色方法は、酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用い、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とする。
本発明のケラチン繊維用染色剤は、酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを含み、当該オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とする。
本発明に用いられる酸化染料としては、当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼが存在するものであればどのようなものでも使用できる。具体的には、パラフェニレンジアミン、5−アミノオルトクレゾール、オルトアミノフェノール、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、N,N−ビス(β−ヒドロキシ)−パラフェニレンジアミン硫酸塩、パラニトロ−オルトフェニレンジアミン、パラニトロ−2′,4′−ジアミノアゾベンゼン硫酸ナトリウム、トルエン−2,5−ジアミン、5−アミノオルトクレゾール硫酸塩、パラアミノフェノール硫酸塩、オルトクロロ−パラフェニレンジアミン硫酸塩、4,4′−ジアミノジフェニルアミン硫酸塩、パラメチルアミノフェノール硫酸塩、パラフェニレンジアミン硫酸塩、メタフェニレンジアミン硫酸塩、トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩、2,4−ジアミノフェノキシエタノール塩酸塩、トルエン−2,5−ジアミン塩酸塩、メタフェニレンジアミン塩酸塩、2,4−ジアミノフェノール塩酸塩、3,3′−イミノジフェノール、パラフェニレンジアミン塩酸塩、N−フェニル−パラフェニレンジアミン塩酸塩、N−フェニル−パラフェニレンジアミン酢酸塩、1,5−ジヒドロキシナフタレン、トリレン−3,4−ジアミン、パラメチルアミノフェノール、N,N′−ビス(4−アミノフェニル)−2,5−ジアミノ−1,4−キノンジイミン、オルトアミノフェノール硫酸塩、2,4−ジアミノフェノール硫酸塩、メタアミノフェノール硫酸塩等が挙げられるが、基質特異性の関係でこの中でも特にパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、トルエン−2,5−ジアミンおよびこれらの塩等が好ましい。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
本発明においては、染料として、インドリン化合物や、インドール化合物を用いることもできる。
インドリン化合物としては特に限定されないが、例えば、インドリン、5,6−ジヒドロキシインドリン、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、N−ブチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、4−ヒドロキシ−5−メトキシインドリン、6−ヒドロキシ−7−メトキシインドリン、6,7−ジヒドロキシインドリン、4,5−ジヒドロキシインドリン、4−メトキシ−6−ヒドロキシインドリン、N−ヘキシル−5,6−ジヒドロキシインドリン、2−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、3−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、4−ヒドロキシインドリン、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、2−メチル−5−エチル−6−ヒドロキシインドリン、2−メチル−5−ヒドロキシ−6−β−ヒドロキシエチルインドリン、4−ヒドロキシプロピルインドリン、2−ヒドロキシ−3−メトキシインドリン、6−ヒドロキシ−5−メトキシインドリン、6−ヒドロキシインドリン、5−ヒドロキシインドリン、7−ヒドロキシインドリン、7−アミノインドリン、5−アミノインドリン、4−アミノインドリン、5,6−ジヒドロキシインドリンカルボン酸、1−メチル−5,6−ジヒドロキシインドリン、これらの塩類等を挙げることができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
インドール化合物としては特に限定されないが、例えば、4,5−ジヒドロキシインドール、5,6−ジヒドロキシインドール、6,7−ジヒドロキシインドール、N−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−エチル−5,6−ジヒドロキシインドール、N−ヘキシル−5,6−ジヒドロキシインドール、2−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、3−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドール、2,3−ジメチル−5,6−ジヒドロキシインドール、2−メチル−5−エチル−6−ヒドロキシインドール、2−メチル−5−ヒドロキシ−6−β−ヒドロキシエチルインドール、4−ヒドロキシプロピルインドール、2−ヒドロキシ−3−メトキシインドール、4−ヒドロキシ−5−メトキシインドール、6−ヒドロキシ−7−メトキシインドール、6−ヒドロキシ−5−メトキシインドール、6−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシインドール、7−アミノインドール、5−アミノインドール、4−アミノインドール、5,6−ジヒドロキシインド−ルカルボン酸、1−メチル−5,6−ジヒドロキシインドール、およびこれらの塩等を挙げることができる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
本発明において使用できるオキシダーゼとしては、いずれかの酸化染料を酸化できることが必要である。このようなオキシダーゼとしては、具体的には銅エフレックスオキシダーゼ(CueO)やラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)等のマルチ銅オキシダーゼが例示できる。本発明で使用するオキシダーゼはさらに、等電点がケラチン繊維の等電点よりも高い必要がある。なお、ケラチン繊維の等電点は3.0〜5.5程度であり、通常は3.7前後なので、オキシダーゼの等電点は3.0以上である必要があり、好ましくは3.7以上、更に好ましくは5.5以上とされる。また、通常の場合、染毛工程におけるpHは6.5〜11.0なので、通常の条件で染色時にマイナスに帯電しにくく、好ましくはプラスに帯電させるには、オキシダーゼの等電点が6.5より大きい必要がある。なお、よりマイナスに帯電しにくく、あるいはよりプラスに帯電しやすくするためには等電点をより高くする方が好ましく、具体的には7.0以上、さらに7.5以上とするのが好ましい。
また、通常の染毛条件で必ずプラスに帯電するようにしてもよく、このような観点からはオキシダーゼの等電点を11.0より大きくしてもよい。
ただし、オキシダーゼの等電点を染毛工程におけるpH(又は染毛剤のpH)より2以上大きくしても、オキシダーゼがケラチン繊維に吸着される効果はそれ以上増大せず、等電点を高くするためのコストが嵩むだけなので、それ以下とするほうが好ましい。
具体的には、通常の染毛条件で必ずプラスに帯電するようにオキシダーゼの等電点を定める場合、13. 0以下とするのが好ましい。
同様に、通常のオキシダーゼの至適pHは7.0〜7.5なので、染毛工程におけるpHもその程度とするのが好ましいが、このような場合のオキシダーゼの等電点は9.5以下、あるいは9.0以下とするのが現実的である。
染毛工程におけるpHは、ケラチン繊維の等電点とオキシダーゼの等電点の間が好ましい。そのようにすれば、ケラチン繊維はマイナスに帯電するとともに、オキシダーゼはプラスに帯電するので、オキシダーゼはケラチン繊維に吸着される。但し、通常のオキシダーゼはpH9.0〜9.5あたりで変質・失活するので、染毛工程におけるpHは、前記失活するpHよりも低くするほうが好ましい。但し、染色時のpHがオキシダーゼの等電点よりも高い場合でも、オキシダーゼの等電点を高くすることにより染色時のマイナスの電荷を減少させることができるので、ケラチン繊維との反発力が減少し、染色性も若干向上する。
なお、染毛工程を上記のpHの範囲で行いやすくするため、ケラチン繊維用染色剤自体のpHをケラチン繊維の等電点とオキシダーゼの等電点の間にするのが好ましい。
等電点が高いオキシダーゼは、例えば、通常のオキシダーゼのカルボキシ末端側に塩基性アミノ酸残基を4残基以上、好ましくは7残基以上、塩基性アミノ酸がヒスチジンのみからなる場合は7残基以上、好ましくは10残基以上付加することにより得られる。付加する残基はリシン、アルギニン、ヒスチジンのいずれでも良いが、最も塩基性が高いアルギニンが好ましい。なお、カルボキシ末端側に付加するアミノ酸残基の中に塩基性でないアミノ酸残基が混入してもよいが、その分塩基性アミノ酸残基の数を増やして、全体として必要な等電点が保たれるようにする。
等電点が高いオキシダーゼを得る他の方法としては、オキシダーゼを構成するアミノ酸残基のうち特定のものを塩基性アミノ酸に置き換える方法が例示できる。置き換え可能なアミノ酸残基としては折り畳まれて立体構造が形成されたときに表面に出るものであって、且つ塩基性アミノ酸でなく(好ましくは酸性アミノ酸)、さらに置き換えても立体構造に大きな変化がないもの(酸化染料を酸化する機能に影響が出ないもの)が選択される。
カルボキシ末端に塩基性アミノ酸残基を付加されたオキシダーゼや、特定のアミノ酸残基が塩基性アミノ酸に置き換えられたオキシダーゼを得る方法は特に限定されないが、例えば所望のアミノ酸配列をコードする塩基配列を発現ベクターに組み込み、適当な宿主に導入して培養し、しかる後、得られた粗酵素液を精製する定法が全て好適に採用できる。
等電点が高いオキシダーゼを得る更に他の方法としては、オキシダーゼを化学修飾する方法が例示できる。具体的には、オキシダーゼとジアミン化合物とを緩衝剤中で脱水剤の存在下に約0℃〜40℃の温度で1〜30時間反応させ、反応終了後に反応混合物を濾過して生成したジアミン修飾体を分離すればよい。
この化学修飾に用いることができるジアミン化合物としては、1, 4−ジアミノブタン、1, 6−ジアミノヘキサン、1, 8−ジアミノオクタン、1, 4−ジアミノベンゼン、p−キシレンジアミン、N, N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、4, 4 '−ジアミノジフエニルエーテル、4, 4 '−チオジアニリンが例示できる。
また、緩衝剤としてはホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液などが使用でき、脱水剤としては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1, 2−ジヒドロキノリンなどが使用できる。
本発明のケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤には、必要に応じ、酸化染料以外の染料や色素を使用することもできる。これらの色素や染料としては、タール色素、HC染料、塩基性染料、直接染料等が例示でき、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの色素や染料を含有させることにより、多彩な色調に染毛することが可能である。
このようなタール色素としては、昭和41年8月31日公布の厚生省令第30号「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」によって指定されている色素が挙げられる。また、HC染料としては、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC黄2、HC黄4等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性黄57等が挙げられ、直接染料としては、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−メチルアミノ−4−ニトロフェノキシエタノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール等が挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
本発明のケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧品やケラチン繊維用染色剤に常用される各種成分を使用することができる。
例えば、界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ソルビタン等のノニオン性界面活性剤;セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチル等の油剤;キサンタンガム、サクシノグルカン、ヒドロキシプロピルグァーガム、カチオン化グァーガム等のグァーガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース類等の増粘剤;1,3−BG、PG、DPG、グリセリン等の保湿剤;EDTA、EDTA−2Na、EDTA−4Na、ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤:パラベン、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の溶剤;香料等で、これらは必要に応じ、任意に組み合わせて適宜配合することができる。
本発明のケラチン繊維用染色剤は一剤式でも多剤式でもよいが、本発明の場合、染料と酵素を混合しても酸素がなければ発色しないので、嫌気的条件化で保存すれば一剤式の染色剤として特に好適である。
剤型も液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、泡状、エアロゾル状等、任意の剤型とすることができ、容器も袋入り、瓶入り、ポンプ式容器入り、チューブ入り、噴霧缶入り等、どのようなものでも採用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されないことは云うまでもない。なお、以下の記載において、%は重量%を意味する。
実施例1
染料中間体としてパラフェニレンジアミンを含む第1剤と、オキシダーゼを含む第2剤からなる2剤式のケラチン繊維用染色剤を作成した。
表1に示すように、第1剤はポリオキシエチレン硬化ひまし油2g、乳酸1g、ヒドロキシエチルセルロース1g、モノエタノールアミン0.9g、パラフェニレンジアミン1g、及び合計25gになるように精製水を加えて混合したものである。なお、第1剤のpHは9.8である。
第2剤は、国際公開WO2007/063614の[0101]にmCueO(1)として記載されているオキシダーゼ(本明細書ではrCueOと称する)を改変し、ヒスチジンタグに代えてカルボキシ末端に6個の連続したアルギニンを付加したmCueOの希釈液(使用時の濃度は0.5units/g)である。
なお、本実施例に使用したmCueOは、国際公開WO2007/063614に記載された配列番号14の塩基配列において、ヒスチジンタグをコードする部分を6個の連続したアルギニンをコードするものに変更したDNA塩基配列を発現ベクターpUC18に組み込み、宿主E.coli BL21に導入して培養し、しかる後、得られた粗酵素液を定法で精製する方法により得られたものである。得られた酵素の等電点(pI)を測定したところ8.1であった。
実施例2
表1に示すように、第1剤にカップラーとしてレゾルシン0.5gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
実施例3
表1に示すように、第1剤に染料中間体としてパラアミノフェノール0.3gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
実施例4
表1に示すように、第1剤にカップラーとしてメタアミノフェノール0.3gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
実施例5
表1に示すように、第1剤にカップラーとして塩酸2, 4ジアミノフェノキシエタノール0.2gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
実施例6
表1に示すように、第1剤にカップラーとしてpAOC(パラアミノオルトクレゾール)0.3gが含まれる他は実施例1と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
実施例7
表1に示すように、モノエタノールアミンに代えて28%アンモニア水3gを用いた他は実施例6と同様にしてケラチン繊維用染色剤を作成した。
Figure 2013181023
「染毛試験」
上記した実施例1〜7のケラチン繊維用染色剤を用い、ビューラックス製白髪毛の1g毛束に対して染毛試験を行った。
まず、前処理として、毛束を38℃の流水で30秒間水洗いして、1%SDS液で1分間もみ洗いし、再び38℃の流水で30秒間水洗いしてSDS液を洗い流した後、風乾した。
次に、第1剤0.5g及び第2剤1.5gを秤量してカップに入れて刷毛で混合し、混合液を刷毛で毛束に塗布した。毛束は扇状になるように広げ、できるだけ均一に塗布できるようにした。
塗布後、室温(26.5℃)で15分後放置した後、毛束を裏返して混合液を刷毛で均一に広げ、さらに室温で15分間放置した。
その後、毛束を38℃の流水で30秒間水洗いしてケラチン繊維用染色剤を洗い流し、1%SDS液を塗布してコームで20回櫛通しして泡立てた後、38℃の流水で流しながらコームで20回櫛通しして1%SDS液を洗い流した。洗浄後、水分をタオルで拭き取り、乾燥させた。
乾燥後、分光測色計(コニカミノルタ製、CM−2600d)でLab値を測定するとともに、未処理の白髪毛を基準とした色差ΔEを算出した。結果を表2に示す。
表2に示すとおり、毛束は様々な色に染め上げられ、使用者が求める所望の色に頭髪を染色可能であることがわかる。
Figure 2013181023
実施例8
第1剤のpHが9.0になるようにモノエタノールアミンの量を変更し、第2剤における酵素の濃度を0.25units/gにした他は実施例1と同様にして実施例8のケラチン繊維用染色剤を作成した。
比較例1
第2剤の酵素として、上記rCueOを改変せずにそのまま使用した他は実施例8と同様にして、比較例1のケラチン繊維用染色剤を作成した。なお、rCueOの等電点(pI)は6.5であった。
参考例1
第1剤として、パラフェニレンジアミン(PPD)に代えて、5,6−ジヒドロキシインドール(5,6−DHI)0.3g配合したものを用い、第2剤の酵素としてMyrothecium verrucaria由来の野生型BOD(本明細書においてはwtBODと称する)をそのまま使用した他は実施例8と同様にして参考例1のケラチン繊維用染色剤を作成した。なお、wtBODの等電点(pI)は4.0であった。
参考例2
酵素として、Myrothecium verrucaria由来の野生型BODにおいて、折り畳まれて立体構造が形成されたときに表面に出るものであって、且つ塩基性アミノ酸でなく、さらに置き換えても立体構造に大きな変化がないもの立体構造を変化させないアミノ酸残基を4個、アルギニンに置き換えてなるrBODを使用した他は参考例1と同様にして、参考例2のケラチン繊維用染色剤を作成した。なお、rBODの等電点(pI)は4.9であった。
上記した実施例8、比較例1、参考例1及び2のケラチン繊維用染色剤を用い、上記染色試験と同様の方法で染色試験を行った。酵素の等電点及び試験結果を表3に示す。
表3に示されるとおり、等電点が高いマルチ銅オキシダーゼを用いれば、従来の等電点が低い場合と比較して、染色性が優れていることがわかる。
Figure 2013181023
なお、上記実施例、比較例、参考例において、各酵素の濃度は以下の条件で測定し、調製した。
キュベット(1.5mL UVディスポセル、Top社製)中で、200mM酢酸緩衝液(pH5.5)0.875mL、各酵素(rCueO、mCueO、wtBOD、rBOD)水溶液(0.5mg/mL)0.025mL、及び、各基質溶液0.1mLを混合し、分光光度計(UV−2459、SHIMADZU社製)を用いて、各測定波長での吸光度の変化量を測定した(測定波長はパラフェニレンジアミンは470nm、5,6−ジヒドロキシインドールは300nm)。
そして、既に判っている目標濃度(0.5及び0.25units/g)におけるwtCueO及びwtBODの吸光度の変化量と比較し、この吸光度の変化量と同じになるように各酵素水溶液を希釈して目標濃度の酵素液とみなした。
本発明のケラチン繊維の染色方法及びケラチン繊維用染色剤は、酸化染料を等電点が高いオキシダーゼで酸化するため、毛髪や頭皮の損傷、かぶれが少ないばかりでなく、ケラチン繊維とオキシダーゼの反発力が小さく、或いは逆に吸着するのでケラチン繊維の近傍に発色したオキシダーゼが分布するので染色性に優れている。

Claims (3)

  1. 酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを用いるケラチン繊維の染色方法であって、オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とするケラチン繊維の染色方法。
  2. 酸化染料と当該酸化染料を酸化できるオキシダーゼを含み、当該オキシダーゼの等電点が6.5より大きいことを特徴とするケラチン繊維用染色剤。
  3. pHがケラチン繊維の等電点と配合されるオキシダーゼの等電点との間の値であることを特徴とする請求項2に記載のケラチン繊維用染色剤。
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