JP2013180988A - 経口用光老化抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】経口用光老化抑制剤を提供する。
【解決手段】ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する経口用光老化抑制剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、経口用光老化抑制剤に関し、より詳細には、紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤として有効な経口用光老化抑制剤に関する。
皮膚は常に紫外線に曝露されており、長年かつ繰り返しの紫外線曝露によって皮膚の光老化が促進される。紫外線暴露により、皮膚真皮の細胞外マトリックスの大半を占めるコラーゲンが切断されて顕著に減少するとともにコラーゲン繊維束の乱れが生じ、皮膚の弾力性が失われ、シワが形成される。
ヒアルロン酸は、生体、特に皮下組織に存在するムコ多糖類であり、その高い保湿機能により、化粧料の成分として広く利用されている。ヒアルロン酸は、光老化や紫外線により誘発されるシワ形成を抑制するための化粧料にも利用されており、例えば、ヒアルロン酸、紫外線吸収剤および抗酸化剤を配合した化粧料を皮膚に塗布することにより、日焼け現象等の紫外線障害を抑制することが知られている(特許文献1)。
しかしながら、従来の化粧料において、ヒアルロン酸は皮膚に潤いを与えるための保湿成分として使用されており、特許文献1の化粧料による紫外線障害の抑制効果も紫外線吸収剤および抗酸化剤により得られるものであるため、ヒアルロン酸のみを皮膚に塗布した場合、光老化や紫外線により誘発されるシワ形成を十分に抑制できない。
また、紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有する化粧料の効果が期待できるのは、塗布を行った皮膚の局所的な部分のみであり、広範囲の皮膚で光老化を抑制するには不向きである。
特開2006−176449号公報
本発明は、光老化、特に紫外線により誘発されるシワの形成の抑制に有効な経口用光老化抑制剤を提供する。
本発明者らは、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩が、経口摂取により光老化を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする経口用光老化抑制剤、
(2)紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤として使用されることを特徴とする(1)に記載の経口用光老化抑制剤、
(3)皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤として使用されることを特徴とする(1)または(2)に記載の経口用光老化抑制剤、
である。
上記経口用光老化抑制剤によれば、光老化、特に紫外線により誘発されるシワの形成を抑制することができる。また、上記経口用光老化抑制剤によれば、皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生を促進するため、光老化の抑制に有効な新規製剤が提供される。
また、上記経口用光老化抑制剤は経口摂取するものであることから、生体内で作用することができるため、広範囲の皮膚で光老化を抑制することができる。
図1は、本発明の実施例1〜3のヒアルロン酸の紫外線により誘発されるシワ形成抑制作用の確認試験において、紫外線照射開始6週間後の背部皮膚の状態を示す写真である。 図2は、本発明の実施例1〜3のヒアルロン酸の紫外線により誘発されるシワ形成抑制作用の確認試験において、紫外線照射開始6週間後の背部皮膚組織標本の断面を示す写真である。 図3は、本発明の実施例1〜3のヒアルロン酸の紫外線により誘発されるシワ形成抑制作用の確認試験において、紫外線照射開始6週間後の背部皮膚組織標本から測定した表皮厚を表すグラフである。 図4は、本発明の実施例1〜3のヒアルロン酸の紫外線により誘発されるシワ形成抑制作用の確認試験において、紫外線照射開始6週間後の皮膚中のI型コラーゲンを検出したウエスタンブロットのバンド、およびそのバンド強度を表すグラフである。 図5は、本発明の実施例1〜3のヒアルロン酸の紫外線により誘発されるシワ形成抑制作用の確認試験において、紫外線照射開始6週間後の皮膚中のデコリンを検出したウエスタンブロットのバンド、およびそのバンド強度を表すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
1.経口用光老化抑制剤
本発明の経口用光老化抑制剤は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする。
1.1.ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩
本発明において、「ヒアルロン酸」とは、β−D−グルクロン酸とβ−D−N−アセチルグルコサミンとの二糖からなる繰り返し構成単位を1以上有する多糖類である。すなわち、ヒアルロン酸は、β−D−グルクロン酸の1位とβ−D−N−アセチル−グルコサミンの3位とが結合した2糖単位を少なくとも1個含む2糖以上のものである。また、「ヒアルロン酸の薬学的に許容される塩」としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は、動物等の生体組織(例えば鶏冠、さい帯、皮膚、関節液等)から抽出されたものでもよく、あるいは、微生物、動物細胞または植物細胞を培養して得られたもの(例えばストレプトコッカス属の細菌等を用いた発酵法)、化学的または酵素的に合成されたもの等を使用することができる。
なお、本発明において使用するヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の純度は、医薬品で使用できるレベルであればよく、好ましくは90%以上であればよく、より好ましくは95%以上であればよい。この純度は、カルバゾール硫酸法(例えば日本薬局方)にて測定されたグルクロン酸定量値から算出された値である。
カルバゾール硫酸法は、ホウ酸ナトリウム・硫酸溶液中にヒアルロン酸水溶液を加えて混和し、ヒアルロン酸を加熱分解した後冷却し、カルバゾール・エタノール溶液を加えて混和し、加熱後放冷した試料液の吸光度(530nm)を測定する方法である。同様に処理したD−グルクロノラクトンを用いて検量線を作成し、D−グルクロノラクトン換算値を算出した後、1.102を乗じてグルクロン酸定量値を求める。得られたグルクロン酸定量値に(ヒアルロン酸類の分子量/グルクロン酸の分子量)を乗じてヒアルロン酸類の含有量を算出する。
また、本発明の経口用光老化抑制剤で使用するヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の平均分子量は、光老化抑制効果を十分に得られる点から、好ましくは100万以下であり、より好ましくは400〜10万以下、さらに好ましくは2,000〜2万である。
なお、本発明で規定されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の平均分子量は、以下の方法により測定される。
即ち、約0.05gの精製ヒアルロン酸を精密に量り、0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液に溶かし、正確に100mLとした溶液及びこの溶液8mL、12mL並びに16mLを正確に量り、それぞれに0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液を加えて正確に20mLとした溶液を試料溶液とする。この試料溶液及び0.2mol/L濃度の塩化ナトリウム溶液につき、日本薬局方(第十四改正)一般試験法の粘度測定法(第1法 毛細管粘度測定法)により30.0±0.1℃で比粘度を測定し(式(1))、各濃度における還元粘度を算出する(式(2))。還元粘度を縦軸に、本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100mL)を横軸にとってグラフを描き、各点を結ぶ直線と縦軸との交点から極限粘度を求める。ここで求められた極限粘度をLaurentの式(式(3))に代入し、平均分子量を算出する(T.C. Laurent, M. Ryan, A. Pietruszkiewicz,:B.B.A., 42, 476-485(1960))。
(式1)
比粘度 = {(試料溶液の所要流下秒数)/(0.2mol/L塩化ナトリウム溶液の所要流下秒数)}−1
(式2)
還元粘度 = 比粘度/(本品の換算した乾燥物に対する濃度(g/100mL))
(式3)
極限粘度 = 3.6×10−40.78
M:平均分子量
本発明の経口用光老化抑制剤におけるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の含有量は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩が有効成分として機能しうる量であればよく、通常1質量%以上であり、好ましくは5〜95質量%である。
1.2.光老化の抑制
本発明の経口用光老化抑制剤は、経口投与により、紫外線暴露による皮膚の光老化を抑制する。
皮膚は常に紫外線に曝露されており、長年かつ繰り返しの紫外線曝露によって皮膚の光老化が促進される。特に、顔や手のような直接紫外線を浴びるケースが多い露出部の肌の老化原因はほとんどが光老化であると考えられている。したがって、顔や手においては、加齢によって起こる自然老化よりも光老化を抑制することが重要である。
光老化の主な症状としては、深いシワの形成や、しみの発生であるが、本発明の経口用光老化抑制剤は、特に紫外線により誘発されるシワの形成を抑制することができる。紫外線により誘発されるシワは、紫外線により皮膚真皮のコラーゲンが切断されて減少するとともにコラーゲン繊維束の乱れが生じ、皮膚の弾力性が失われることによって形成される。
本発明の経口用光老化抑制剤は、経口投与により、紫外線暴露による皮膚中のコラーゲンの産生を促進することができる。また、本発明の光老化抑制剤は、コラーゲンの形成に関与する遺伝子の発現を促進する作用を有する。
さらに、本発明の経口用光老化抑制剤は、経口投与により、紫外線暴露による皮膚中のデコリンの産生を促進することができる。
皮膚中のコラーゲンは、例えば血管壁や皮膚を構成しており、これらの器官に弾力性を与えるのに重要な役割を担っており、皮膚においては弾力やハリを保つのに大きな役割を果たしている。また、デコリンは、皮膚真皮のコラーゲン繊維を束ね、コラーゲン繊維形成を正常にし、皮膚の保水力やハリに影響を与える。
したがって、本発明の経口用光老化抑制剤は、皮膚中のコラーゲンおよびデコリンの産生を促進することができるため、皮膚の弾力やハリを保持し、シワ形成を効果的に抑制することができる。また、本発明の経口用光老化抑制剤は、経口投与により、紫外線暴露による皮膚中のコラーゲンおよびデコリンの減少を抑制することができる。
皮膚中のコラーゲン量およびデコリン量の産生促進作用は、例えば、ウエスタンブロッティング、ELISA、アフィニティクロマトグラフィー等によるコラーゲンおよびデコリン蛋白質の検出によって、コラーゲン遺伝子の発現促進は、例えば、ノーザンブロッティング、DNAアレイ、DNAチップ等によるコラーゲンmRNAの検出または定量等の公知の生化学的分析方法により確認することができる。
また、本発明の経口用光老化抑制剤に使用するヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は、前記のようなコラーゲン遺伝子の発現促進作用を有することから、コラーゲン遺伝子発現促進剤として使用することができる。
前記コラーゲン遺伝子としては、Col4a1(その配列は「Assay ID : Mm00802372_m1, Accession
number : Bru, Col4a-1, Del(8)44H, Raw, Svc」にて閲覧可能である)、Col1a1(その配列は「Assay ID:
Mm00801666_g1 Accession number : Mov13, RP23-112C19.9, Col1a-1, Cola-1, Cola1,
Mov-13」にて閲覧可能である)、Col3a1(その配列は「Assay ID: Mm01254476_m1 Accession
number : AW550625, Col3a-1, KIAA4231, MMS10-W, Ms10w, mKIAA4231」にて閲覧可能である)およびCol7a1(その配列は「Assay ID: Mm00483818_m1 Accession
number : AW209154」にて閲覧可能である)が挙げられる。
本発明の経口用光老化抑制剤によれば、皮膚中のコラーゲンおよびデコリンの産生を促進し、紫外線暴露による皮膚中のコラーゲンおよびデコリン量の減少を抑制する結果、光老化、特に紫外線により誘発されるシワの形成を抑制することができる。
本発明の経口用光老化抑制剤を経口摂取することによって皮膚中のコラーゲンおよびデコリンの産生が促進される作用機序については必ずしも明らかではないが、ヒアルロン酸を経口摂取したマウスの腸管上皮表面の受容体にヒアルロン酸が結合することが報告されている(Akira Asari, Tomoyuki Kanemitsu, Hithoshi Kurihara, Oral
Administration of High Molecular Weight Hyaluronan (900 KDa) Controls Immune
System via Toll-like Receptor 4 in the Intestinal Epithelium)。したがって、本発明の有効成分であるヒアルロン酸またはその薬学的に許容できる塩を経口摂取すると、該ヒアルロン酸またはその薬学的に許容できる塩が腸管上皮表面の受容体に結合し、情報伝達された結果、皮膚の真皮繊維芽細胞等でコラーゲンやデコリンの産生が促進されたと推察される。
なお、ヒアルロン酸も皮膚真皮に含まれ、皮膚の水分を保持し保湿に寄与しているが、皮膚を保湿するだけでは、光老化で形成される深いシワの形成を十分に抑制することができない。
本発明の経口用光老化抑制剤に使用するヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は、上記のような作用機序により生体内で作用するため、本発明の経口用光老化抑制剤は、広範囲の皮膚で光老化を抑制することができる。
本発明の経口用光老化抑制剤は、有効成分であるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の原料を含むことができる。そのような原料の例としては水、賦形剤、抗酸化剤、防腐剤、湿潤剤、粘稠剤、緩衝剤、吸着剤、溶剤、乳化剤、安定化剤、界面活性剤、滑沢剤、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、アルコール類等が挙げられる。
本発明の経口用光老化抑制剤の剤形は特に限定されないが、本発明の経口用光老化抑制剤を経口摂取する場合、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。
ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は生体物質であるため、多量に摂取しても副作用がない、またはきわめて低いと考えられるが、本発明の経口用光老化抑制剤として摂取するヒアルロン酸及び/またはその塩の量は、一日当たり10mg〜1000mg、好ましくは100〜500mgを目安とすることができる。投与回数は、紫外線照射量や季節に応じて一日当たり一回もしくは複数回を選択できる。
2.紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤
皮膚は紫外線暴露により、皮膚真皮の細胞外マトリックスの大半を占めるコラーゲンが破壊され顕著に減少するとともに、コラーゲン繊維束の乱れが生じるため、皮膚の弾力性が失われ、シワが形成される。
本発明の経口用光老化抑制剤は、紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤用途に好適に用いることができる。本発明の一実施形態に係る紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤は、経口投与により、紫外線暴露による皮膚中のコラーゲンの減少を抑制することができるため、紫外線により誘発されるシワ形成を効果的に抑制することができる。
本実施形態に係る紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤において、有効成分として含まれるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩としては、上記本発明に係る経口用光老化抑制剤において有効成分として使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を使用することができる。また、本実施形態に係る紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤におけるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の含有量及び投与量ならびに他の成分もまた、上記本発明に係る経口用光老化抑制剤におけるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の含有量及び投与量と同様である。
3.皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤
皮膚中のコラーゲンは、例えば血管壁や皮膚を構成しており、これらの器官に弾力性を与えるのに重要な役割を担っており、皮膚においては弾力やハリを保つのに大きな役割を果たしている。皮膚は紫外線暴露により、皮膚真皮の細胞外マトリックスの大半を占めるコラーゲンが顕著に減少するとともにコラーゲン繊維束の乱れが生じ、皮膚の弾力性が失われ、シワが形成される。また、デコリンは、皮膚真皮のコラーゲン繊維を束ね、コラーゲン繊維形成を正常にし、皮膚の保水力やハリに影響を与える。
本発明の経口用光老化抑制剤は、皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤用途に好適に用いることができる。本発明の一実施形態に係る皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤は、経口投与により、皮膚中のコラーゲンおよびデコリンの産生を促進することができるため、皮膚の弾力やハリを保持し、シワ形成を効果的に抑制することができる。
本実施形態に係る皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤において、有効成分として含まれるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩としては、上記本発明に係る経口用光老化抑制剤において有効成分として使用されるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を使用することができる。また、本実施形態に係る皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤におけるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の含有量及び投与量ならびに他の成分もまた、上記本発明に係る経口用光老化抑制剤におけるヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩の含有量及び投与量と同様である。
本実施形態に係る皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤によれば、皮膚中のコラーゲンおよびデコリンの産生を促進し、紫外線暴露による皮膚中のコラーゲンおよびデコリン量の減少を抑制する結果、光老化、特に紫外線により誘発されるシワの形成を抑制することができる。また、上記経口用光老化抑制剤は経口摂取するものであることから、生体内で作用することができるため、広範囲の皮膚で光老化を抑制することができる。
4.実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
4.1.実施例1〜3および比較例1
下記の各ヒアルロン酸をそれぞれ精製水に溶解させ、各経口用光老化抑制剤を得た。
なお、後述する試験例1において、各ヒアルロン酸の投与量が200mg/Kg/日となるように、ラットの平均体重及び平均飲水量から濃度を算出して、試験液を調製した。
実施例1:ヒアルロン酸(平均分子量30万、白色粉末、キユーピー株式会社製)
実施例2:ヒアルロン酸(平均分子量5万、白色粉末、キユーピー株式会社製)
実施例3:ヒアルロン酸(平均分子量8,000、白色粉末、キユーピー株式会社製)
また、滅菌精製水を比較例1とした。
4.2.試験例1
試験例1では、ヒアルロン酸の光老化抑制作用を確認し、該作用機序を解明するために、へアレスマウスにヒアルロン酸を蒸留水に溶解させた水溶液を経口投与した。
Hos:HR−1系雄ヘアレスマウス(6週齢)を皮膚水分量、皮膚粘弾性、体重により有意差のないよう群分けを行い、実施例1〜3および比較例1の経口用光老化抑制剤の評価を、各群n=6で行った(表1参照)。
マウスの背部に3回/週の頻度で、6週間UVBを照射した。総照射量は1回当たり2.8Jとした。
試験期間中、1回/日の頻度で、実施例1〜3の経口用光老化抑制剤を体重1kgあたり200mg経口投与した。
[背部皮膚の状態観察]
試験期間終了後、背部皮膚の状態を観察した。背部皮膚の写真を図1に示す。
図1より、UV(+)コントロール群では、UV(−)コントロール群と比較して、UVB照射によって背部の正中線に対して垂直方向に深いシワが形成されており、UVB照射による顕著なシワ形成の誘発が確認された。
一方、本発明の経口用光老化抑制剤を投与した群(実施例1〜3投与群)では、UV(−)コントロール群と比較するとシワが形成されているが、UV(+)コントロール群と比較してシワの深さは浅く、UVB照射により誘発されるシワ形成の抑制効果が認められた。
[表皮厚の測定]
試験期間終了後、マウスを解剖し、背部皮膚組織標本から表皮厚を測定した。背部皮膚組織標本をヘマトクリット染色したものの写真を図2に、表皮厚の測定結果を図3に示す。
図2より、UV(+)コントロール群では、UV(−)コントロール群と比較して表皮の肥厚化が認められた。一方、実施例1〜3の経口用光老化抑制剤を投与した群では、いずれもUV(+)コントロール群と比較して表皮の肥厚化が抑制された。
図3より、UV(−)コントロール群に対し、UV(+)コントロール群は1%、実施例1投与群および実施例2投与群では5%の危険率で有意に表皮厚が増加し、実施例3投与群では有意な増加は見られなかった。しかし、実施例1〜3の経口用光老化抑制剤を投与した群では、UV(+)コントロール群と比較して、いずれも表皮厚が低値であった。また、UV(+)コントロール群とのDunnetの検定において、実施例2投与群ではp=0.065、実施例3投与群ではp=0.054となり、両群ともに表皮の肥厚化を抑制する傾向があることが確認できた。
[皮膚中のI型コラーゲン量およびデコリン量]
試験期間終了後、マウスの背部から皮膚を切除して取り出し、凍結粉砕後、ラウリル硫酸ナトリウムを含む緩衝液に溶解することで試料を調製し、ウエスタンブロット法により、I型コラーゲン量およびデコリン量を測定した。
ここで、ウエスタンブロット法とは、ゲル電気泳動によって分子量にしたがい分離したタンパク質を転写膜に写し取り、さらに特定のタンパク質に対する抗体を用いて転写膜上で抗原抗体反応によって特定のタンパク質を発色させてその存在を肉眼観察する方法をいい、蛍光試薬で発色させる方法や、酵素反応を利用して発色させる方法など、多くの周知の手法が適用可能である。今回、I型コラーゲンを識別するために抗ブタ真皮由来I型コラーゲンウサギ抗血清を作製して一次抗体として使用し、デコリンに対しては抗ウシ胎盤由来デコリンウサギ抗血清を作製して使用した。それぞれ、二次抗体としてAnti−Rabbit
IgG HRP Conjugate(Promega社製)を用いて発色反応を行った。結果をそれぞれ図4、図5に示す。
図4に示すように、ウエスタンブロット法によりI型コラーゲンα1鎖のバンドが認められ、このバンド強度をImageJ(米国国立衛生研究所(NIH))を使用して測定し、コラーゲン量を定量した。
UV(+)コントロール群では、UV(−)コントロール群と比較してI型コラーゲンα1鎖の量が減少しており、UVB照射による皮膚中のI型コラーゲン量の減少が認められた。一方、実施例1投与群では、I型コラーゲンα1鎖の量はUV(+)コントロール群と比較してわずかに増加し、実施例2投与群および実施例3投与群では、I型コラーゲンα1鎖の量がUV(+)コントロール群と比較して顕著に増加した。
このように、本発明の経口用光老化抑制剤の経口投与により、皮膚中のI型コラーゲン量が増加することが確認された。
図5に示すように、ウエスタンブロット法によりデコリンのバンドが認められ、このバンド強度をImageJ(米国国立衛生研究所(NIH))を使用して測定し、デコリン量を定量した。
UV(+)コントロール群では、UV(−)コントロール群と比較してデコリンの量が著しく低下しており、UVB照射による皮膚中のデコリン量の低下が認められた。一方、本発明の経口用光老化抑制剤を投与した群では、いずれの群においてもデコリンの量がUV(+)コントロール群と比較して増加し、特に実施例2投与群および実施例3投与群では、UV(−)コントロール群と同等以上のデコリンの量であった。
また、ウエスタンブロット法により検出されるデコリンのバンドの位置で、デコリンの分子量を推定できるが、実施例2投与群および実施例3投与群は、UV(−)コントロール群と比較して高分子の位置にバンドが検出された。
このように、本発明の経口用光老化抑制剤の経口投与により、皮膚中のデコリン量が増加することが確認された。
[I型コラーゲンのmRNA発現量]
本発明の経口用光老化抑制剤がI型コラーゲンの遺伝子発現に与える影響を確認するために、mRNA発現量の測定を以下の方法にて行った。
試験期間終了後、マウスの背部から切除した皮膚組織からTRIzol試薬(インビトロジェン株式会社)を用いmRNAを回収して、リアルタイムPCR機器(Thermal
Cycler Dice Real
Time System TP800、タカラバイオ株式会社)を用いたI型コラーゲンおよびデコリンのmRNAの定量を行った。まず、逆転写によってmRNAからcDNAを合成し、cDNAを用いてPCR反応を行った。すなわち、熱変性(95℃、5秒)およびアニーリング(60℃、30秒)を40回繰り返す増幅反応を行い、同時にDNAに結合するCybrGreenの蛍光をモニタリングすることによってDNAの増幅を測定し、対照のmRNA量を1とした場合の定量を行った。用いたマウスI型コラーゲン、デコリン、GAPDHのプライマーはThermal Cycler DiceTM Real
Time System TP800
Software Ver.1.02Aで設計した。I型コラーゲンの配列は5’−ATGCCGCGACCTCAAGATG−3’(Forward)、5’−TGAGGCACAGACGGCTGAGTA−3’(Reverse)、GAPDHの配列は5’−TGTGTCCGTCGTGGATCTGA−3’(Forward)、5’−TTGCTGTTGAAGTCGCAGGAG−3’(Reverse)である。
結果をそれぞれ表2に示す。結果は、UV(−)コントロール群のmRNA発現量を1とした場合の相対値で示す。
表2より、UV(+)コントロール群では、UV(−)コントロール群と比較してI型コラーゲンのmRNA量が減少しており、UVB照射によるI型コラーゲンのmRNAの減少が認められた。一方、本発明の実施例3投与群では、UV(−)コントロール群と比較してI型コラーゲンのmRNA量が増加した。
このように、ヒアルロン酸の経口投与により、I型コラーゲンのmRNA量が増加することが確認された。
4.3.実施例4
実施例1で使用したヒアルロン酸(平均分子量30万のヒアルロン酸)を経口用光老化抑制剤として使用して、内容物が下記の配合であるソフトカプセルを製した。
[配合割合]
経口用光老化抑制剤(平均分子量30万のヒアルロン酸) 20%
オリーブ油 50%
ミツロウ 10%
中鎖脂肪酸トリグリセリド 10%
乳化剤 10%
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
4.4.実施例5
実施例2で使用したヒアルロン酸(平均分子量5万のヒアルロン酸)を経口用光老化抑制剤として使用して、下記の配合の散剤(顆粒剤)を製した。
[配合割合]
経口用光老化抑制剤(平均分子量5万のヒアルロン酸) 10%
乳糖 60%
トウモロコシデンプン 25%
ヒプロメロース 5%
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%
4.5.実施例6
実施例3で使用したヒアルロン酸(平均分子量8,000のヒアルロン酸)を光老化抑制剤として使用して、下記の配合の錠剤を製した。
[配合割合]
経口用光老化抑制剤(平均分子量8,000のヒアルロン酸) 25%
乳糖 24%
結晶セルロース 20%
トウモロコシデンプン 15%
デキストリン 10%
乳化剤 5%
二酸化ケイ素 1%
――――――――――――――――――――――――――――――――
100%

Claims (3)

  1. ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする経口用光老化抑制剤。
  2. 紫外線により誘発されるシワ形成の抑制剤として使用されることを特徴とする請求項1に記載の経口用光老化抑制剤。
  3. 皮膚中のコラーゲンおよび/またはデコリンの産生促進剤として使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の経口用光老化抑制剤。
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